盗みのチャンスは一度だけ BAD END 作:muzineki
その頃、泪と矢崎は、平山邸本館から伸びる渡り廊下を歩いていた。
日本庭園の中を進むと、その先にはコンクリート造りの建物がある。
そこには窓が一切なく、1か所しかない入口は自動追尾式の監視カメラが厳重に侵入者を見張っていた。
「ほら、ここが平山さんの運営する、防犯設備の研究所だよ」
「すみません。そんな大事な場所に、私のような派遣社員が入れるよう口をきいていただいて……」
礼を言う泪に、ハッハッハッと上機嫌に笑う矢崎。
その根底に下心があるのは、言うまでもない。
「なになに、防犯に興味を持つのは良い事だ。この国の治安を守るため、私や平山さんがどのような働きをしているか、今日はじっくりと教えてあげよう」
言いながら矢崎は、隣を歩く泪の肩に手を置いた。
そして泪の身体を引き寄せ、遠慮なく身体を密着させる。
(傲慢で軽薄、その上にスケベ、本当に最低の男ね)
心の中で軽蔑の言葉を吐きながら、泪は愛想笑いを維持する。
矢崎は下半身で物を考える男だ。
肉体関係に持ち込めないと解れば、すぐに泪に対する興味を失うに違いない。
瞳に近づく手がかりは、今のところ矢崎しかいない。
どんな恥辱を受けても、泪は矢崎の気を引く必要があった。
「さあ、研究所に入るぞ」
矢崎は扉の前に立つと、センサーに手を当てた。
すぐにカメラが作動し、矢崎と泪の顔を覗き込むように動く。
しばらくすると、金属の扉が音も無く開いた。
(セキュリティは指紋認証と顔認証の二段構え。でも指紋認証は一人が通ればパスできるみたい。これなら何とかなるわ)
泪は小さく微笑むと、矢崎と共に研究所へ足を踏み入れた。
窓のない廊下は明るく、ドーム型の監視カメラが死角無く設置されている。
入り口では4体の警備用のロボットが、侵入する者に対して目を光らせていた。
ブーッ!
突然のブザー音に、泪の足が止まる。
それはロボット達が発したものであった。
ゴム弾の銃口を向けるロボットに囲まれた泪は、緊張で足を竦ませる。
「はっはっはっ、そうだったそうだった、説明を忘れていたよ」
笑いながら泪に近づいた矢崎は、いきなり泪の腰に手を当てた。
そして断る事も無く、スカートのホックを外した。
「きゃぁっ!」
タイトスカートが床に落ちると同時に、泪が悲鳴を上げた。
現れた見事な脚線美に、矢崎は舌を舐めずりする。
「槙村君、正式な権限で入るわけではない君は、身体検査が必要なんだ。今すぐこのロボット達の前で、裸になりなさい」
「えっ! は、裸ですか?」
「そうだよ、変なものを持ち込んだりしないようにね」
「そ、そんな、いくら何でも裸なんて……」
「大丈夫だ。ここには私以外、誰もいない。それに身体検査をしないと、ここから先には入れないぞ。さあ、早く脱ぎなさい」
命令口調で、そして興奮ぎみに矢崎は言った。
この様子だと、指示に逆らえば矢崎を激怒させるかもしれない。
そう考えた泪は、諦めて服を脱ぎ始めた。
(これを逃したら研究所に入れるチャンスは無いかもしれない。瞳を助ける為にも、我慢をしなくては……)
絹ずれの音と共にブラウスを脱ぐ泪。
さらにブラジャーを外すと、鼻を伸ばしている矢崎の視線を感じた。
パンティを脚から抜き取ると、美貌が朱に上気する。
ある程度の覚悟はできていたが、こうも凝視されるとさすがに羞恥を感じざるを得ない。
「いやはや、美しい乳房だ。それにその薄い恥毛も上品ですばらしい。やはり君は最高の女性だよ、槙村君」
「あ、ありがとうございます。」
誉め言葉に困惑した泪は、恥ずかしさで下を向いてしまった。
矢崎はなおも、泪の身体を隅々まで嘗め回すように視姦する。
「あ、あの……まだ終わらないのでしょうか」
「我慢したまえ、槇村君、これは機密を守るために必要な事なんだ」
言いながら矢崎は泪の周りをぐるりと回る。
そしてあらゆる角度から泪の裸体を鑑賞した。
引き締まりキュッと上を向いた尻を見ると、遂に欲望を抑えられなくなり手を伸ばしてくる。
「きゃ、きゃぁぁぁっ!」
尻肉からの刺激に泪が嬌声を上げる。
気が付かれても、矢崎は揉み込むのを止めなかった。
泪が逆らわないのをいいことに、矢崎はたっぷりと尻肉の感触を満喫する。
ピンポーン!
突然、インターフォンに似た音が鳴った。
音はロボット達からで、彼らは泪の包囲を解き元の位置へと戻っていく。
「身体検査が終わったようだな、もういいぞ、槇村君」
矢崎は残念そうに言いながら、泪の尻から手を離した。
ホッと息を吐いた泪は、すぐに下着を手にする。
だがそんな泪にかまわず、矢崎はスタスタと先に歩いていく。
「ほら、槇村君、モタモタしていないで早く来るんだ」
「えっ……矢崎先生、私はまだ服を……」
「そんなものはいい、裸のままさっさと来るんだ」
泪の都合などお構いなしに、矢崎はどんどん先に歩いていく。
そして奥にある部屋へと入っていった。
(な、何なのよ、あの男は!)
叫びたくなるのを抑えつつ、泪は急いで服を身に着けた。
そしてヒールの音を鳴らし、急いで矢崎の後を追った。
(ここは……?)
部屋に入った泪は、息をついて辺りを見回す。
その部屋は四方の壁に沿って、回廊状に展示ケースが設けられていた。
「遅かったじゃないか、槇村君」
泪の背後から不機嫌な声が聞こえる。
それは先に入っていた矢崎のものであった。
「私はね、この部屋を君に見てもらいたくて、研究所に入れるよう口を利いてやったんだ。私が来いと言ったら、すぐに来なくてはダメじゃないか」
「す、すみません……」
反射的に謝罪する泪。
なぜ謝る必要があるのかは、聡明な泪の頭脳でも理解できなかった。
「では、この部屋に展示されている物について説明しよう」
頼まれてもいない解説を始めながら、泪に近づく矢崎。
気が付くと、泪の肩を掴んでいた。
そして厚かましく身体を密着させる。
「ここに飾られている物はね、私たちの助言に基づいて開発された防犯装置で、平山さんが捕らえた盗人たちの持ち物なのだよ、いわば戦利品だね」
整然と設置されたケースの中は、展示品が溢れかえっている。
ピッキングツールやバール、サークルカッター、そして電子ロック解除用の小型PC。
どれも泪にとっては見慣れた品であった。
(泥棒コレクションの噂は聞いていたけど、まさかここまでとは……)
目にした光景に、泪は全身に汗が流れるのを感じた。
道具は10人分や20人分では済まず、名うての怪盗として知られた者の道具まである。
まさかこれだけの同業者が、平山に捕まっていたとは思わなかった。
(あ、あれは!)
ひときわ目立つ場所にある、縦長の大きなケースが泪の眼に入る。
そこに飾られているのは、胸元をキャミソールにした青いレオタードだ。
足元には同じ色のハイヒールがあり、隣のケースには盗みの道具と、そしてキャッツカードが飾られている。
紛れもなく瞳が盗みの時に身に付けていた品だ。
「おや、やはりあれが気になるのかね?」
泪の様子に矢崎はニンマリと頬を緩ませる。
興味を引けたと思ったのだろう、泪の肩を抱いたままレオタードを飾るケースへと移動する。
そして上機嫌に解説を始めた。
「これはね、あのキャッツアイが使っていた道具なんだ」
(ああ……)
矢崎の言葉に泪の身体がら力が抜ける。
予想はしていたことだったが、信じたくない事実であった。
だが気落ちしている暇はない。
少しでも瞳に近づくため、泪は何も知らぬ小娘を演じる。
「ほ、本当にあのキャッツアイの物なんですか? でも私、逮捕されたなんてニュースは聞いたことありませんけど……」
「うむ、そこはね、いわゆる機密という奴なのだよ、だから一般には公表されていないんだ」
勿体ぶった言い方をしながら、ぷくぅと鼻を膨らませる矢崎。
自分はそれを知る特別な人間なのだ、そう言いたげな様子が見て取れる。
「そうなんですか……私、キャッツアイの素顔をいっぺん見てみたいです」
泪は色目を使いながら、甘えるような口調で言った。
下半身で物を考える男に、この誘惑ほど効くものはない。
矢崎はほんの少し考えると、泪の耳元に口を近づけた。
「だったら見せてあげようか? その代わり、今晩は私に付き合うと約束しなさい」
泪が求めていた言葉を、矢崎はあっさりと吐いた。
その呆気なさは、仕掛けた泪が驚くほどであった。
(本当に、どうしようもない男ね)
泪が了承すると、矢崎はキスを迫って来た。
表情に嫌悪を出さぬよう必死に努力し、キスに応じる。
矢崎の舌は泪の口内へと侵入し、蛇のように這い回った。
手はスーツの中へ図々しく潜り込み、ブラウスの上から乳房を愛撫する。
「れろ……ちゅっ……れろ……ちゅっ……れろ……」
舌が絡み合う音を立てながら、泪はされるがままになっていた。
矢崎の手は次第に厚かましさを増し、スカートの中にも侵入する。
口の中にも次々と唾液が送られた。
その度に泪はこくっこくっと嚥下して、甘い鼻息をもらす。
(うぅ……いったい、いつまで続ける気なの……)
貪り尽くすようなキスと執拗な愛撫に、泪は辟易した。
そんな心とは裏腹に、生理的な反応で秘芯は蜜に濡れてしまう。
屈辱感と惨めさから、泪は泣きたくなってきた。
それでも瞳のために、矢崎が満足するまで我慢した。