勝利の女神:NIKKE ─The Last Kiss─【Another Story】 作:一般指揮官
飛空艇の一室では微かな金属音が鳴り響く。
備え付けの小さなテーブルの天板へ敷かれた雑毛布に規則正しく並べられた突撃銃の部品。大小の、そして形状も異なる部品は磨き上げられた後、一点ずつが組み上げられていく。
バラバラにされた部品達は、やがて元の存在へ戻り始める。産み出された理由──怨敵を打倒せんが為に設計された突撃銃へと。
大口径の銃弾を使用する為に設計された太い銃身が、その薬莢へ充填された炸薬が燃焼する際のエネルギーに耐えられるだけの強度や剛性が求められた機関部が順番通りに組み上げられた。
雑毛布の上へ取り戻した姿を見せ付けるかの如く威容を誇る一挺の突撃銃──それを操る青年が最終点検を始めた。
槓桿、そして引き金を交互に引いては撃鉄が落ち、撃針が前進する感覚を確かめ、清掃と結合が完璧に終わったと認め終わる。
ソフトパックを振り、飛び出した煙草を銜えて引き抜くと細かい傷が所狭しと刻まれたオイルライターで火を点けようとした。
一服を始めようとする刹那──呼び出しのブザーが響く。
〈──私だけど〉
「…入ってくれ。鍵は掛けてない」
閉鎖していた扉が横へ滑る。姿を見せた人影が室内へ足を踏み入れた。
「遅くにごめんね」
「…いや、構わない。…それは?」
「あぁ、これ?一杯どうかな、って」
大人の女性らしい母性を感じさせる落ち着いた声に混ざる僅かな幼さ。ちょうどいい塩梅の高い声は耳の保養に最適だ。
背後で扉が閉まる最中、彼女は携えて来た一本のボトルと二人分のワイングラスを青年へ見せ付ける。
しかしあろうことか彼は──銜え煙草のまま眉間へ深い縦皺を刻み、渋面を浮かべてしまう。
「…ワインは苦手だ。しかもフルボディだろう?」
「え、そうだっけ?」
美味しいのに──飄々とした態度のまま女性は勝手知ってる青年の部屋を進み、突撃銃の整備を済ませたばかりの小さなテーブルに向かう。
敷かれたままの雑毛布を机上の隅へ追い遣り、持ち込んだボトルと人数分のワイングラスを置くや否やポケットを細い手で漁り始める。
取り出したのはコルクを引き抜く為のオープナーだ。
「……ナイフは?」
未開封であることを証明するようにボトルには熱収縮されたキャップシールが存在している。
彼女ならば素手でも──或いはボトルの先端ごと手刀で切り落とせるだろうが、それはあくまでも戦闘時のことだ。
年頃の男女が二人きりの状況ではあまりにも味気ない。
その点は抜かりないはずなのだが──青年が問い掛けると彼女は軽く肩を竦めてみせた。
「…手の掛かる
肩を竦め返した青年は部屋の隅にある洗面台へ歩み寄り、突撃銃の整備で汚れた手をハンドソープを用いて念入りに洗い流す。
続けて隣り合う無機質な実用本位のロッカーへ腕を伸ばし、扉を開ければ姿を見せたのは戦闘時に纏う装具一式だ。
ナイフを鞘から抜き取り、彼女の傍らまで進むとボトルを受け取った。
括れたネックの真下へ刃を当て、ボトルをゆっくり回して切れ込みを入れていけば、やがてキャップシールが剥がれて中身を密封するコルクが露わとなる。
傍らから差し出されたオープナー──ポピュラーなスクリュー式のそれを大きな右手が受け取り、コルク栓へ捩じ込む。
「…ワイン、苦手じゃなかった?」
その割には手慣れている様子に彼女が問い掛ければ、鼻を小さく鳴らした青年が軽々とコルク栓を引き抜いてみせる。
「…
芳醇な香りを放つ深紅のそれがワイングラスへ注がれる。手渡されたグラスを細い右手が受け取り、続けてもうひとつのそれへ半分以下の量が。
「…習ってはいたけど苦手、と」
「…苦くて酸味があるのがどうしてもな」
ワインが苦手という人種の大半が挙げる理由そのままを青年は口にした。
「…一昨日はお疲れ様」
「…どうということはない」
「──嘘」
彼女が断言し、細い左手の指先が青年の眉間へ向けられる。深く刻まれた縦皺を揉み解そうとするが──長年に渡って深々と刻まれたからか全く柔らかくなる気配がない。
「…2名、だよね?」
「──カールとダニエルに」
戦死した2名の部下──それぞれの名を呟き、青年がワイングラスを軽く掲げた。深紅の──さながら鮮血の如きそれを一気に嚥下し、渋面を浮かべる。
「──ロード級4機を含めた30機超…良くぞまぁ6名で攻勢を防ぎ切った」
「…うん。凄いよね」
「任務も果たされた。作戦全体で見れば、微々たる損害だ。気にしちゃいない」
「──嘘。気にしてる癖に」
──本当に嘘が下手なんだから。
クッと細い手が動く。グラスが傾けられ、深紅の芳醇な香りを放つワインが喉を伝って流れ落ちる最中、彼女の星を宿した瞳が青年の姿を捉えた。
酷く──疲れた様子だ。
ステンレスで作られた簡素な卓上灰皿を掴み、彼はベッドへ向かう。端へ腰掛け、タンカラーの
ずっと銜えたままだった煙草へやっとオイルライターの火が点き──彼は吸い込んだ紫煙を天井を見上げつつ緩く吐き出した。
彼は──彼等は
「…
愛称──それもただ一人しか呼ばないそれを紡ぎ、次いで尋ねつつ彼女は彼の隣へ腰掛ける。
「…色々だ」
「…そっか。色々、かぁ…」
相槌を打ち、横目に覗えば青年が何度か小刻みに首肯する仕草をみせる。
「──俺達にとって、戦場での戦死は名誉なことだ。そう教育されたし、そう信じている。これは変わらない」
「うん、知ってるよ」
「…アイツらを死なせたことに後悔はない。…ない、が…」
「…が?」
不器用なりに言葉を、表現を選んでいるのだろう。青年が考えを纏め、口を開くまで彼女は待ち続けた。
「…もう少し別の状況での…より良い死に場所があったのではないか、と考えてしまう」
煙草の紫煙を燻らせる彼が傍らに腰掛ける彼女の細い手からワイングラスをそっと奪い取る。抵抗もなく、グラスを手放した彼女の視線の先で、半分以下の量になった深紅のワインが一気に喉の奥へ消える。
「…アルコールに耐性があるのは辛いね」
「…もう慣れたよ」
肩を竦め、微かな苦笑いが彼から漏れた。乾いたグラスがベッド横の小さなサイドテーブルへ置かれ、続けて半ばも吸っていない煙草が卓上灰皿に押し潰される。
それが合図だったのか──手袋を嵌めた細い両手が青年の頬へ添えられた。
そっと、力を入れずに顔を向けるよう誘導し、互いの視線が絡み合うと星を宿した瞳が閉じられ、彼女から触れる程度に唇を重ねる。
乾燥気味の唇へ重ねられた、色付き、潤いのある唇──口付けに応じ、青年の大きな右手が彼女のショートボブに纏められた白に近い菫色である
内側の桜色に染まった髪も纏めてクシャリと乱れる感覚を彼女は捉えるが──そんな些事に構ってはいられない。
──相変わらずキスが上手。
朴念仁、唐変木、堅物で──鈍感な癖に上手いとはどういうことなのだろう。
「…んっ…」
左手が細い腰に回され、抱き寄せられる。
青年の顔が大きく傾き、互いの唇が深く重なれば、漏れ出た切ない高い声も掻き消えてしまう。
──もっと…。
力が抜けていく。
脱力したのを見計らったのだろうか。重なる唇を割って侵入した舌先が彼女の歯列をなぞる。
求められていることに歓喜を感じながら彼女がそっと歯列を開け──彼を招き入れた。
舌が絡め取られ、口腔で水音が響き始める。
──息が苦しい…でも…もっと欲しい。
煙草を吸った直後だからだろう。舌が絡まる度にワインとは異なる苦味を感じた。
人物によっては不快を覚えるだろう。しかし彼女にとっては──下腹部が熱くなる味でしかない。
やがて唇が離れ、舌が抜き取られる。
互いの間に細い銀糸の橋が架けられ、半ばから呆気なく千切れ落ちてしまう。
星を宿した瞳が潤み、頬が熱くなる。息遣いが悩ましく、切なく繰り返される中──彼女の肢体がベッドへ押し倒された。
「…いいか?」
「…それ、今聞くこと?」
しかも押し倒した後だ。
覆い被さった青年の顔はバツが悪そうに歪むも、彼女は口角を緩めつつ太い首に細い両手を巻き付けて抱き寄せる。
再び唇が重なり、触れる程度の口付けを交わす中、細い両手が青年の上着へ伸びた。
同時に大きな手も彼女の軍服へ向かう。
衣擦れの音が響き、ベッドの外へ男女の纏っていた衣服が次々と落ちて行く。
「…綺麗だな」
「…いつもそう言うよね」
「本当に綺麗だからな。仕方ない」
揃いの意匠の下着──薄紫色のそれがシミひとつない白い柔肌を包む唯一の布地となる。
──こういう時だけ素直なのは…。
ズルい。しかも余裕がありそうなのがまたズルい。
枕の上へ乗った頭を横へ傾けてそっぽを向く。左右の耳を彩る耳飾りが揺れる中、ベッドがギシリと軋む。
そっぽを向いた彼女だが、やはり気になって視界の端へ青年の姿を捉えた。
彼女の手で脱がされ、逞しい肉体が露わになっている。
厚い胸板と太い首筋、肩幅も広い──視線を少し下へ向ければ深く刻み込まれた腹筋が垣間見えてしまう。
「──
低く落ち着きのある声──普段から聞き慣れた筈の声音に官能的な甘さを感じる。
その声で愛称を呼ばれた彼女は、やっと覆い被さる青年へ向き直った。
太い首筋から垂れる2枚の認識票──それが通されたボールチェーンへ指先を引っ掛け、顔を近付けさせるや否や、何度目かの口付けを交わす。
ねっとりと舌を絡ませ、唾液を互いに交換しつつ口付けに興じる最中──シーツの白い肌の隙間へ大きな片手が差し込まれる。
青年が何をしようとしているのかは彼女も察しが付いた。
唇を重ね、舌も絡めながら彼女が背中を少し浮かせる。すると滑り込んで来た片手は下着のホックを探り当て、プチンと器用に拘束を解いてみせる。
両肩のストラップもガッデシアムの肌を撫でつつ外された。
下着が取り除かれ──青年の眼下に豊かに実った乳房が現れる。
「…綺麗だな」
「…相変わらず…余裕そう…」
「…これでも一杯一杯なんだがな?」
肩が軽く竦められ、微かにベッドを軋ませつつ覆い被さっていた青年が彼女へ体重を預け、互いの肌が重なった。
彼の頭が胸元へ向かう気配を感じ、彼女は短く刈り上げられた髪が生え揃う頭を両手で抱擁しながら脱力する。
色素の薄い肌に大きな膨らみを生じさせた豊かな乳房。その頂点には形が良い乳輪と乳首が存在する。どちらも淡い紅色で染まったそれらが諸共に乾燥気味の唇で食まれた。
「──んっ…!」
程良い力加減──唇で食まれつつ、逆の乳房が大きな片手で優しく下から掬うように揉まれ、彼女の唇が切ない嬌声を響かせる。
息が乱れる──戦闘中でもこのようなことはない。
興奮と期待で胸が高鳴り、思わず青年の頭を胸元へ掻き抱く。
息が苦しいかもしれないが、それは我慢して欲しい。余裕がないのだ──と彼女は自己弁護を心中で漏らす。
不意に乳輪に沿って舌が這わされ、逆の乳房では指先が円を描きつつ乳輪の縁を擽った。
ビクリ、と肢体が、腰が震える。はしたない嬌声をあまり挙げたくないとばかりに彼女は自身の指先を食んで声を抑えようとするが──
「──やっ…そこ…!」
「…嫌じゃないだろう?」
確かに嫌ではない──嫌ではないが、恥ずかしい。
肌を重ねた回数は既に片手の指の本数を超えているが、それでも羞恥心ぐらいはあるのだ。
それまで乳房を揉んでいた片手が薄く縦に割れた腹筋の線が浮かぶ肌を滑りつつ下肢へ向かったかと思えば、ショーツのクロッチに触れたのだ。
そこへ至った指先が布地越しに蜜口を緩く圧迫しながら上下に動いて刺激が与えられ始めると、彼女の全身を快感が駆け抜ける。
「──あっ…あぁ…!」
堪らず青年の広い背中へ両腕を回して抱き寄せ、快感が駆け抜ける肢体を震わせつつ高い嬌声を漏らす彼女の様子を伺う青年が──僅かに力を入れてクロッチ越しに蜜口の縦に裂けた割れ目を探り当てた。
「──ふあっ…!!」
「…濡れてるな…気持ち良かったか?」
──デリカシーがない。
言わずとも良かろうに、聞かずとも分かるだろうに。ショーツが濡れている理由にそれ以外があるのか。
文句のひとつも言ってやりたいところだが、生憎と彼女にその余裕はない。
フーフーと息遣いを荒くしながら、せめてもの非難を伝える為、星を宿した瞳を鋭利に細める。
しかし──彼女は気付いていないだろうが、細められた瞳は目尻に涙が薄く溜まってしまい、迫力は皆無である。
「…可愛いな」
乳房の肌へ口付けを落とした青年が上体を起こし、身体ごと足元ヘ向かった。
ショーツの両端を摘み、スルリと長い脚を通して最後の布地を剥ぎ取ってしまえば──彼女の全身がとうとう曝け出される。
「…脚、開いてくれ」
余裕の態度が気に食わないのだろう。彼女がむくれた様子のまま、自ら膝を立てて長い脚を開いて付け根の状態を青年の眼前へ見せ付ける。
縦に割れた蜜口──茂みが覆っていないまっさらな秘所は溢れた愛液で蕩けていた。まだ前戯や愛撫もそれほどしていないというのに敏感なことだ。
脚が閉じられないよう大きな両手で白い太腿を押さえながら青年の頭が脚の付け根へ落とされる。
これから何をされるのか──それを察した彼女は瞳をギュッと強く閉じた。
乾燥気味の唇が脚の付け根へ触れた瞬間、細い肢体がベッド上で跳ねた。
シーツを強く握り締める両手へ力が籠もり、呼吸が乱れ、唇が震える度に嬌声が止めどなく溢れ出る。
蜜口へ口付けした青年の唇が愛液を啜り、意識して尖らせた舌が胎内へ入り込んで暴れ出した。
ゾクゾクと背筋から脳へ快感の電気信号が駆け抜け、彼女は全身が麻痺するかのような感覚を味わう。
しかしそれも束の間。じんわりと下肢を中心に体温は上昇し、淫らな液体触媒が分泌されては胎内を満たして彼の行為が潤滑に進むよう準備が続く。
「──リッ…ク…!」
熱に浮かされながら青年の愛称を呼び、細い両手が刈り上げられた髪が覆う頭に添えられる。
蕩けた蜜口を啜る水音は大きくなる一方──そして一際大きく、彼女の肢体がビクリと痙攣した。
「──ふあああっ!!」
快感が一気に爆発し、唯一の生体である脳髄が痺れる感覚──絶頂へ至った瞬間、甲高い嬌声が室内に反響する。
尚も続く絶頂の余韻に彼女は小刻みに肢体を震わせる中、潤んだ視界の中で大きな身体が覆い被さって来ると反射的に首筋へ腕を絡めて口付けを強請る。
「…リック…お願い…もう…」
「…今日は欲しがりだな。まぁ、俺も我慢は難しいが…」
口付けを軽く交わした後、青年の逞しい身体が一度離れた。身を起こした彼はベッドのヘッドボードを漁り──いわゆる避妊具を取り出した。
「…それ…付けるの?」
「…付けた方が良いだろう?」
「…私、
「…それは知ってる。というか、俺も
本来なら互いに必要のない処置だ。彼女は言うに及ばず、そして青年も──。
彼が言うには
それを知ってか知らずか、青年は自身の昂った分身へ薄膜を纏わせ、改めて彼女の肢体へ覆い被さった。
「……力、抜いてくれ」
「…うん…ゆっくりね?」
肌を重ねるのは久しぶりだ。最初はゆっくりと──それを彼女が頼むと青年は小さく頷きを返す。
昂った怒張の先端が蜜口へ触れ、僅かに異物が侵入した途端、彼女は息を詰まらせる。
「…あ…待って…待ってリック…ゆっくり…ゆっくり来て…」
「…分かってるから…」
優しい口付けが落とされ、緊張しないよう暗に告げられる中、青年の腰が押し付けられる。
徐々に拡張され、胎内の深くへ侵入せんとする怒張を迎えた彼女は異物感と共に確かな快感と多幸感を捉えた。
覆い被さる青年の背中へ腕を回し、抱き付く格好のまま呼吸を整え──やがて彼の動きが止まる。
「…大丈夫か?」
「…ん…へいき…でも…おっきい…」
「…久しぶりだからな。ゆっくりしよう」
「…うん…」
激しい行為も嫌ではないが、こうして身も心も満たされる情事は快感と多幸感も一入だ。
彼からの催促へ彼女は素直に頷く。
頭上から降り始めた口付けの雨──額、瞼、頬、そして唇の順に落とされる乾燥気味の唇。
最後に唇へ触れた時、待ちかねていたかの如く彼女も自ら潤った唇を押し当てた。
果たしてどれほどそうしていただろうか。彼の形と大きさ──それらを彼女の身体はやっと思い出したらしい。
怒張を締め付ける胎内の収縮は異物を排除しようとする蠢きから、受け入れたそれから与えられる快楽を享受しようと適度な力で締め付ける動きに変わっていた。
「…そろそろ…」
「…うん…いいよ。…いっぱい、動いて…?」
唇を食みながら伺いを立てて来た彼へ彼女は頷いて許可を出す。
彼女も正直なところ、そろそろ限界なのだ。
許可が出ると──青年がゆっくりと律動を始める。律動に合わせ、彼女の肢体が揺れ、豊かな乳房も重々しく揺れ動く。
「──あっ…!」
「──…リリス…あまり締めないでくれ」
「──締めて、なんか…!」
彼の怒張が大きすぎるからだ──などと言っても彼は不思議そうに首を傾げるだろう。
ベッドが律動に合わせて軋み、唇を震わせて切なく喘ぐ彼女の嬌声が室内に響き出して暫く経った頃、細く括れた腰を大きな両手が掴んだ。
衝撃で肢体が上へ逃げてしまわないようしっかりと固定したかと思えば、徐々に、しかし確実に彼の律動は激しく、そして深くなっていく。
「──リック…リック…!」
「…どう、した?」
星を宿した瞳を潤ませ、自身へ覆い被さった青年を抱き寄せながら彼女は快楽に喘ぐ。
耳元では彼の荒くなりつつある息遣いが聞こえ、官能的な響きに彼女は興奮しながら望みを口にする。
「──キス、して…!」
何度目か分からない口付け──唇を重ね、舌を絡ませながら肢体を揺さぶられ、最奥を突き上げられる彼女の青年の広い背中へ回した両手に力が籠もる。
次第に一回りは膨張し、太く、そして硬くなる怒張の存在を胎内で感じ取った彼女は意識して下腹部へ力を込めると青年の分身を強く締め付けた。
「──リリ、ス…!」
「…一緒…一緒に…!」
汗の玉を肌へ浮かべながら腰を揺らす青年が頷いた。
絶頂の階を登る為、律動は激しさを増す。
薄膜に包まれた怒張の括れが胎内から掻き出した愛液を体外に溢れさせ、結合部は白く泡立つ。
最後は一緒に高みへ──それを望んだ時、薄膜へ包まれた怒張が胎内で大きく震えた。
「──あっ…!──ああああっ!!!」
そして薄膜越しとはいえ、如実に感じられる迸る射精の勢いの良さに彼女も青年と揃って絶頂へ至った。
眉間へ深く刻まれた縦皺ーーそれを何本か追加で刻みつつ青年は絶頂の余韻に浸るがーー
「……悪い。まだ足りない…大丈夫か?」
「……うん…私も…もっと欲しいから…」
──溜まっていたのだろうか。それとも彼女へ縋りたい気分なのだろうか。
いずれにせよ、まだ足りない。
同意を得られた彼は胎内から怒張を引き抜くと、避妊具を交換し、新しいそれを纏わせた。
「…四つん這いになってくれるか?」
「…うん…でも…ゆっくり、してね?」
「…ゆっくり出来るのはこれが最後だからな」
この二回戦目以降は約束出来ないーーそれを暗に告げつつ、青年は彼女をベッド上で四つん這いにさせ、背後へ立つと──
「──ああああっ!!」
既にこれ以上ないほどに濡れた胎内へ再び怒張を挿入。腰と肩を両手で掴んで衝撃で身体が逃げぬよう注意しつつ、再び動き出せば彼女は、はしたなく大きな嬌声を響かせ続けた。