③素直に口淫
いち度は彼の誘惑を退けたものの、私が彼と結ばれるのは時間の問題でした。
私はあの夜のキスの感触を何度ともなく思い出しては、女芯を火照らせました。
まじめなだけで無粋な夫に比べ、若くてハンサムで気の利いた口説き方をしてくれる泰明は、なんとステキに見えたことでしょう。
だから、オペラの日から一週間ほどあとに再び泰明に誘われると、私は断れませんでした。
泰明に連れていかれたのは、新宿の裏通りにある、ケバケバしいネオンが瞬くホテルでした。
もちろん私はその種のホテルに入るのは初めてでした。
「愛してるよ」
部屋に入ったとたん、抱きすくめられ熱烈なキスをされて、私は全身がカッと火がついたように燃えさかるのを覚えました。
口の中に潜り込んできた泰明の舌が私の舌を痛いほどに吸い立て、私の唾液を啜りました。
「ああ、ダメよ・・・・・・」
ダメよダメよと呟きながら、私はいつの間にか彼の手で裸に剥かれ、むき出しの乳房を揉まれていました。
「きれいなオッパイだね」
やがて手の愛撫から口の愛撫に変わり、生温かい舌で乳首を転がされると、電流のような刺激が走り抜けました。
「ああ、恥ずかしいわ」
夫に抱かれるときは、いつも寝室の灯りを消します。こんな風に明るい場所でバストを揉まれたり舐められたりするのは初めてでした。
「それなら、もっと恥ずかしいことをしようか」
泰明は私のパンティを脱がすと、その場に跪(ひざまず)いて、ふさふさと黒い陰毛に、いきなり鼻先を埋めてきました。
「あっ、そんなのダメよ」
私は驚いて飛び退くと、急いでベッドの毛布の下に潜り込みました。
しかし、結局はいくらもしないうちに、泰明の手で毛布を剥がれ、股を割られて、彼がいちばん恥ずかしい場所にキスするのを許してしまいました。
「お願い、暗くして」
「せっかく目の前にこんなに魅力的なカラダがあるのに、暗くしてしまうなんて勿体ないじゃないか」
私の懇願を無視して、泰明は愛撫を続けました。
「ああ、ダメ・・・・・・。いやよ」
「本当にいや? それならやめようか」
恥ずかしくてたまらなかったけれど、同時に気が遠くなるほど気持ちよい愛撫でした。
莢(さや)から顔をだしたクリトリスは今にもはちきれんばかりに充血し、そこを舌でこすられると、ビリビリ感電するようでした。
さらに、濡れそぼった膣に指を入れて刺激されると、
「あうっ」
と、思わず声が洩れました。
「どう? 気持ちよかった?」
私が達してしまったのを知ると、泰明は自らのペニスに手を添えて、私の口に近づけてきました。
「あなたも僕が好きだという証拠を見せてっ!」
互いの性器を口で愛撫するなんて、夫との間では経験のないことでした。
はじめて間近に見る泰明のペニスは、夫のモノとはだいぶ形状が違いました。
夫のソレは短く先細りだけれど、泰明のソレは夫のモノよりずっと長いだけでなく、亀頭部分のミッシリと太くて逞しいのには驚きました。
(人によってこんなにも違いがあるものなのか・・・・・・)
私は感心したような心持ちになり、素直に口を開いて迎え入れました。
かすかにオシッコの臭いを感じましたが、興奮していたせいで、それも気になりませんでした。
「ほら、しゃぶってっ!」
フェラチオのしかたなど皆目わからなかった私ですが、彼に言われるままに、懸命に舌を絡め、吸いつきました。
と、言っても、彼のペニスが太いせいで、大きく開いたあごは痺れ、息をするのも苦しいくらいでした。
④実らぬ不倫の恋
(こんなに逞しいモノがアソコに入ってくるなんて、痛くないかしら?)
かすかな怯えも感じました。
もともと、私は男といえば夫ひとりしか知らず、その夫とのセックスもあまり楽しいとは思えませんでした。
泰明のことはスキでたまらなかったけれど、はたして彼に抱かれて悦びを感じられるだろうかと、不安になったのです。
しかし、そんな心配は無用でした。
やがて、彼が私にのしかかるようにして、躰をつなげてきたとき、自分でも驚くくらい豊富に濡れていた私の秘所は、難なく彼のモノを受け入れていました。
「ああ、好きよっ!」
逞しい亀頭で膣壁を押し広げられ、めまいがするような快感がこみあげてきました。
彼が腰を揺すり始めると、全身が蕩けだすようでした。
「ダメ・・・・・・。ああ、あたし・・・・・・。いったいどうなっちゃうの?」
それは初めて感じる強烈な快感でした。
世間知らずだった私は、40歳になって初めて肉の悦びに震えたのです。
その日以来、私はすっかり泰明に夢中になってしまいました。
四六時中、考えるのは彼のことばかりです。
(彼に会いたい、抱かれたい)
と、そればかり考えて、パートの仕事も家事も上の空でした。
これまでオクテだったぶん、いったん悦びを知った肉体は貪欲でした。
泰明とは3日にいち度は愛し合いました。
夫や子供には、
「英会話スクールのスタッフが急に2人も辞めてしまったの」
と、言い訳をしましたが、そんな下手な言い訳を、夫は本気にしたでしょうか? たとえ、疑われても構うものかと、私は開き直っていました。
40歳になって初めて肉の悦びに目覚めた私は、不倫の後ろめたさを覚えるどころか、
(今までは、いったい何だったのよっ!)
と、かえって夫を恨みたい気持ちでした。
実際、夫や子供を捨ててもいいと思えるくらい、泰明にひたすら私はのめり込んでいました。
彼に抱かれれば抱かれるほど、快感は深くなりました。
初めは彼の前で肌をさらすことさえ恥ずかしかったのに、次第に大胆になった私は、自分から大きく脚を開いて、早くきてっ! と、促すようになりました。
ところが、3日にいち度だった泰明とのデートが、やがて、一週間にいち度となり、さらに間遠いものとなりました。
「どうして? 私を愛しているんじゃなかったの?」
実は、泰明に奥さんや子供がいることを知ったのは、つき合い初めて3ヶ月が過ぎた頃でした。
「ウソをついていたのねっ!」
「訊かれなかっただけだ。それに結婚しているのは、お互い様じゃないか」
私は裏切られたように感じましたが、それでも彼と別れる気にはなれませんでした。
悦びを知った肉体は切ないまでに彼を欲していました。
「それでもいい。抱いてっ!」
性交を渋る泰明に私は体当たりで迫りました。
彼を悦ばせようと、アゴが痺れてガクガクになるくらいフェラもしました。
しかし、私がムキになればなるほど、泰明の気持ちは私から離れていきました。
「もう終わりだ。別れよう」
世間知らずの私は、要するに口の巧い泰明に弄ばれたにすぎなかったのです。
彼に捨てられてからしばらくの間、私は呆然自失の状態でした。
職場でもボンヤリしてばかりで、とうとうやんわりと解雇を言い渡されました。
家でも私の様子は明らかにおかしかったでしょう。
唯一の救いは、夫がそんな私を見て見ぬふりをしてくれた事でした。
たぶん、夫は何もかも知っていたのではないでしょうか。
しかし、知っていながら知らぬふりをしてくれた夫の優しさや、器の大きさに気づくまでには、いち年近い時間が必要でした。
その夫は、今から2年前に他界しましたが、私はとうとうあの時のことを謝る機会を持てませんでした。
初めて社会に出て、チヤホヤされて勘違いしてしまった愚かな私・・・・・・。
いまでは、ホロ苦い思い出です。
完