※この作品はR-18です。

パルワールドに転移した男の話   作:ただのトーリ

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始まりの台地周辺

 

 モーガンと別れた俺がまず真っ先に行ったのはパルモンの捕獲と周辺地理の探索だ。

 基本的に友好的なパルしか居ない事や、やや起伏はあれど安定した地形であることはわかっている。

 

 小高い丘の上に陣取るように拠点を作り、周囲を壁で囲った。

 唯一の出入口は正面の階段から続く小さな扉だけ。

 

 集団で責められた場合、入口をひとつに絞ることで迎撃をしやすくにするというモーガンの提案だ。

 

 しかも小高い丘ということもあって、拠点の背後は断崖絶壁。

 裏から攻められる可能性がほぼないのは有難い。

 

 また湧き水が小さな滝のように出来上がっており、それを伝って下ると開けた場所へ出る。

 ちょっとした泉の脇にひろばがあり、そこからスロープのような下り坂がしばらく続く。

 

 その途中、石柱を発見した。

 

「これがファストラベルの石柱か」

 

 モーガンから事前に聞いていたこの世界特有の超技術、そのひとつだ。

 

 目の前にあるのは3mに届かないくらいのモニュメントめいた石柱。

 これと例の端末を同調させると、マップにファストラベルの位置がマーキングされる。

 そして次から拠点とファストラベルのモニュメントへ一瞬で移動できるようになるそうだ。

 

 試しに同調だけ済ませてみる。

 やり方は簡単で、端末を石柱に押し当てるだけ。

 

 するとピロリンと軽やかな音を奏でてマーキングがなされた。

 

 次に石柱の前で端末操作して拠点をタップしてみると次の瞬間には見慣れた拠点の内部に立っていた。

 

 

 突然現れた俺に拠点内で仕事をしていたパルたちが驚く。

 

「ああごめんごめん、次からこうやって帰ってくるかもしれないから覚えておいてくれな」

 

 謝りつつ言うとツッパニャンがやれやれとばかりに肩を竦めた。

「にゃふう……」

 

 このツッパニャンは最初に捕まえた個体なのだが、やたらと仕事熱心な性格だったので拠点運営のリーダーをやって貰っている。

 

 ただ、寝食を忘れての仕事をやりがちなのでたまに様子見をして休ませないと徹夜とかやりかねない。

 どこの社畜パルだお前は。

 

 

 

 

 ほかにもペンタマというペンギンそっくりな可愛いやつもいたので捕まえた。

 こいつは水を操ることが出来る上に、手作業に精通しているので拠点での物資作成に大いに貢献してくれている。

 

 

「お、弓矢結構できてるな。ありがとうなペンタマ」

「ぺん〜♪」

 

 ちなみにパルモンの鳴き声というか声は割と分かりやすく、名前の一部だったりそのままの動物の声だったりする。

 

 ただやたらと発音が人間めいているので、アニメキャラを見てるような感覚になる。

 

 タマコッコに至っては普通にニワトリだったし。

 色々脳がバグる。

 

 

 ともあれファストラベルは便利だな。この辺りで手に入らない素材もこれがあれば回収は遥かに楽になる。

 

 とはいえ、今はまだ食生活の安定化が急務だ。

 遠方の探索はそれからでも遅くは無いはずだ。

 

 

「さて、そろそろ食事にするか」

 

 

 俺は立ち上がり拠点の外へと向かった。

 

 

 

 

 拠点の外、とは言ったが一応敷地内であることには変わりない。

 ただ壁で囲った外に一つだけ小さな小屋が置かれてあると言うだけのことだ。

 

 これはなんの小屋なのかと言えば……屠殺場だ。

 

 モーガンから振る舞われた肉を食べた時点でうっすら理解していたが、この世界の食肉はパルモンから成り立っている。

 

 とくタマコッコは雛という幼体の時期が無く、卵から帰った次の瞬間には成体の姿となって卵をポンポコ生み出す。

 

 そんなせいか、タマコッコは至る所で肉食パルのご飯になっているにも関わらずその数を減らすどころか増やしつつあるレベルだ。

 

 そんな訳で我々人間もタマコッコには非常にお世話になる。

 だが、俺だって鬼や悪魔じゃない。

 拠点のみんなが見てる前でタマコッコをお肉にするさまを見せたいわけじゃない。

 

 なので俺は急遽食肉加工用の小屋を建てて、そこでパルモンのお肉を作っているわけだ。

 

 ただちょっと有難いことに、この世界のパルモンは出血というかグロ的な表現が発生しない。

 

 例えば普段狩りで使っている弓矢だが、彼らにぶち当たると突き刺さるのではなくはじけ飛び、その衝撃がダメージとなる。

 

 これは俺にも適用されるらしく、少し前に不意をつかれて攻撃を受けたのだが、出血は怒らずものすごい衝撃と打撃を受けただけで済んだ。

 

 モーガン曰く、この世界での四肢欠損は存在しないとの事。

 まあ、炎攻撃やら電撃攻撃は普通にあるのでやけどやら関電は存在するらしいので油断は禁物。

 

 

 要は、この屠殺場でパルモンに肉切り包丁を振り下ろすと……。

 

「コケーー」

 

 タマコッコの鳴き声と一緒にお肉と卵がドロップする。

 

 そしてタマコッコ本体はポフンと消えて、残るのは食料のみ、血やら羽が霧散したりはない。

 

 

「マイルド表現でほんとよかった」

 

 

 

 

 この調子で、食肉用に捕獲したタマコッコを解体していく。

 

 ちなみにいちいち捕まえる必要はなく、狩りの際にトドメをさせば同じように肉と卵を落とすのだが、そうすると肉が腐るまでの時間を気にしなくては行けなくなる。

 

 対して捕まえたパルを預りボックスで眠らせておくと、一種の冬眠になるのか食料不必要でいつまでも保管できる。

 

 言い方はアレだが長期保存できるお肉が確保できるのだ。

 

 

 

 

 

 拠点にいるパルたちの分を作ったあと、敷地にもどり餌箱に調理した肉を盛る。

 ちなみに餌箱の中には周囲で回収できたベリーなども山ほど入れているので、俺がいない間の食事はこれで間に合う。

 

 

 ちなみに今晩の食事はタマコッコの串焼きとタマコッコから取れる卵の目玉焼き、フランスパンモドキとそしてベリーを盛りだくさん。

 タンパク質、ビタミン、炭水化物共に取れるバランスの取れた食事だ。

 

 

 パンなんていつの間に作ったのか、といえばうちで捕まえたパルモンに農場を任せたら1週間でまとまった数採取できるようになった。

 

 前々から気付いていたけどこの世界の植物の生育が異様に早い。

 伐採した木は翌日には復活してるし、小麦やベリーを育ててみると半日でボロボロと取れる。

 

 そんな生育して大地がすぐ干上がるのではないかと思うが、コレまたそんな様子は無い。

 

 

 もしかすると各地に埋まってるパル鉱石がそれらのエネルギーを賄ってるのかもしれない。

 

 そして拠点にいるキツネビという名の、炎を吐く小狐タイプのパルモンに竈門の番を任せたら、こんがりいい具合に肉や目玉焼き、それだけでなくパンまで焼き上げてくれた。

 

 一家に一台キツネビと言いたいくらいに有能だ。

 

 

 娯楽のない世界で食事は数少ない楽しみの一つだ。

 みんなで食事をしている時は本当に楽しくて笑顔になる。

 ペンタマにベリーを食べさせてやったり、タマコッコにパンをちぎって食わせてやったり(流石に同族の肉を食わせるほど鬼畜じゃない)しているとあっという間に夜だ。

 

 パルモンたちは粗末ながらも俺が頑張って作ったベッドに行くとすやすやと寝息を立て始める。

 それを見届けたあと、俺も敷地内に作った家に向かい、ベッドに入る。

 

 するとキツネビが俺のベッドに潜り込んできた。

 こいつの体はポカポカしていて暖かいので湯たんぽ代わりになる。

 

 優しく抱きしめながら眠ると、あっという間に眠りに落ちていった。

 

 

 

「おやすみ」

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