密猟団の拠点をぶっ飛ばしてから4日ほど経過した。
あれから様子を見ているが、拠点が再建築される事はなくなったがそれでも密猟団がちらほら彷徨い歩いているのが発見されるようになった。
何かを探しているような素振りなので、もしかすると襲撃した犯人を探してるのかもしれない。
とはいえこちらは姿を見られてないし、せいぜい分かるのはクルットリで構成された部隊であることくらいだろう。
ちなみに密猟団は見つけ次第抹殺することにしている。
え? 人間を攻撃することに躊躇は無いのかって?
HAHAHA! あるわけないじゃないか! アイツら、俺の拠点にも定期的に攻め込んでくるわ周辺のパルモンを手当たり次第に襲うせいで、普段温厚なパルモンすら殺気立ってて俺にも危険が及ぶんだもん。
これは治安維持活動だよ!
最近の探索のメンバーはは以下の通りだ。
・リコリス(スキル:リコリスリコイルでサブマシンガン連射できる。弾幕薄いよなにやってんの! )
・エテッパ(スキル:ウキウキライフルでアサルトライフル連射。カ・イ・カ・ン! )
・キツネビ(スキル:だっこファイヤーで火炎放射。汚物は消毒だ)
・チョロゾウ(スキル:癒しのシャワーで傷の回復。寒い地域だとちょっと風邪ひきそう)
・ツノガミ(スキル:森の守護者。背中に乗ってどこまでも駆け抜ける。二段ジャンプができる。気分はア〇タカ)
本来は6匹まで持ち運べるのだが、外で捕まえたパルモンを直ぐに使えるように1枠空けておくことにした。
捕獲直後は当然ながらバトル後故に傷だらけなのだが、パルスフィアは内部のパルモンを癒す効果がある。
捕獲してからしばらく休ませれば体力面は問題ないのだ。
マップを確認しつつ、移動を続ける。
実はあれから「レイン密猟団の塔」と呼ばれるおそらくアジトと思われる場所を発見した。
しかし今の手持ちで勝てるか分からない上、本格的にことを構えるには少々躊躇する点があるため今は様子見をしている。
そんな訳で今回の探索は塔とは反対にある海岸方面へ向かうことにした。
ツノガミの背中に乗っての移動は快適で、多少な段差はぴょんと飛び越える。
しかもコイツ二段ジャンプを使えるヤベー奴。まさかナチュラルに月歩してくるとは思わなんだ。
しかも俺を背に乗せたまま戦ってくれる。
どうしても戦いになると密猟団もパルモンも俺を直接狙ってくるシーンがあり、そこそこな危険もある。
だがツノガミの背中に乗っていれば攻撃しつつ移動が出来るので、攻防ともに非常に安心感がある。
ちょっと難易度は高いが、弓矢だって撃てるしな。
ちなみに今日の装備はいつもに増して密猟団から奪った粗悪なライフルを持ってきている。
弾はバラつくし、1戦闘に1回はジャムるけどせっかく銃を手に入れたのだから撃ってみたいので持ってきた。
「海だー!」
「ぱお♪ぱお♪」
思わずとばかりに声を上げると、チョロゾウが俺の足元をぴょこぴょこと飛び跳ねた。
チョロゾウは子供の象をデフォルメし、真っ白に塗り替えたような見た目をしており、こうやって足元でじゃれついてるのを見てるとニチアサのアニメキャラのようにも見える。
「おお、どこを見ても拠点周りじゃ見られないパルモンだらけだ。あそこにいるのは……エイかな? それにあっちは……なんだペンタマやんけ」
ちらほらと捕獲済みの種類もいる。
それでも海岸沿いに来てよかったかもしれない。
これなら魚介を食べれるかもしれない!!
「と考えていた時期もありました。」
なぜか海岸沿いのパルモンを倒しても手に入るのは肉。魚肉ではなく、どう見ても陸生生物の肉。
「なんで、
「うき?」
俺の慟哭を他所に狩りすぎて余らせているルミカイトの肉を貪るエテッパ。
もしかしたら、確率で、わんちゃん! としつこくルミカイトを狩りまくっていたが結局集まったのはパルモンの体液って言うのと、大量のお肉でした。
ちなみにパルモンの体液の使い道は、お風呂になるそうだ。
これを初めて聞いた時「こいつら、仲間の血液で風呂を……!?」と戦慄したが、考えてみれば同族の肉すら食らうパルモンに今更その辺を気にする意味は無ぇなと諦めた。
「それにしてもここいいなぁ」
ポツリとつぶやく。
今俺たちがいるのは海岸沿い近くにある砦跡地だ。
完璧では無いにしても、崩れずに残っている外壁の名残が海岸から吹く風を受け止めてくれる上に、夜に現れる敵対パルモンの視線を遮ってくれる。さらには近くにファストラベルもあるので直ぐに拠点に帰れる好立地。
最初の拠点はここでも良かったかもしれないな。
とも思うくらいには気に行っている。
必要性が出てくるようなら、引越しも検討しよう。
なんて考えていると一匹のパルモンがのそのそと歩いてきた。
「お?」
「くぁう」
ソイツの目つきはやたらと悪いのだが、何となく憎めない顔立ちをしている。
気になって端末で調べたら、そいつの名前は「ンダコアラ」と言うらしい。
「お前……名前それでいいのかよ……」
「くぁう?」
しかも説明文を見ると「目つきは悪いが仲間思いで優しい性格」との事。なんだよ完全に昭和のヤンキーじゃねーか。
帰り道雨に濡れた猫拾ってそうだなオイ。あ、いやダメだ。この世界の猫の方がツッパってるわ。
不良が猫に虐められるわ。
そんなンダコアラはお構い無しに焚き火の前に陣取ると、木の実を取りだしてかじり始めた。
「……まぁいいか」
エテッパとンダコアラ、そして俺の2匹と1人はぼんやりと夜を明かすことにした。
ちなみに野営する時はパルモンに見張りをさせて寝るが、当然熟睡なんて無理。
いつ密猟団が来るか不明だし、敵対パルモンが襲ってくる可能性もある。
そんな訳で今日は仮眠をそこそこに起きておこうと判断した。
翌朝には軽く周囲を探索したあと、真っ直ぐ拠点に戻るつもりなのだからこれくらいでいい。
カシュッ。
隣で物音がして何事かと見ると……ンダコアラがなにやら飲んでいた。
「ってまて、それ……缶か?」
「くぁう?」
俺の声に反応して飲むのを中断して見つめ返してくる。
ンダコアラの手に持っているのは明らかに缶の飲み物。
どこから取りだしたのか、という思いもあるがそれよりも匂いが気になった。
「この香ばしい香り……もしかして、コーヒーか!?」
「くぁう!?」
ビックリするように飛び退くンダコアラ。
さすがにいきなり大声を出してしまったのは失敗だった。
「あ、わるい。同じかどうか分からないんだが、それと似た飲み物が俺好きだったから」
謝るとンダコアラは少し考える素振りを見せたあと、飲みかけの缶をそっと差し出してきた。
「くぁ」
「……くれるのか?」
「くぁう」
つん、とそっぽを向くような素振りだがチラチラとこちらを見るンダコアラ。
「……ありがとう、じゃあ……遠慮なく貰うよ」
受け取って、香りを確認するとやはりコーヒーの香りだ。種類までは分からないが、嗅ぎ慣れたものだ。
恐る恐る口をつけて見ると、深いコクと香りが鼻を突き抜けた。
「ああ、これは……うまい」
元々コーヒーは好きだが銘柄やら種類をこだわる程のものでもなかった。
単に缶コーヒーが好きなだけの半端な趣味。
だがそれもこちらの世界に来てから随分と飲んでいない。それを再び飲めたことが嬉しくて、少しだけ涙腺に来てしまった。
「ありがとうな、久しぶりにこれが飲めてよかったよ。それとお前の分を貰っちまって悪かった。
よかったら肉とか沢山あるから、食ってくれよ」
「くぁう」
そう言って肉を焼き始めると、焼けた先からパクパクと食べ始めた。
「くぁ」
「ん?」
肉焼きに集中していると呼ばれた気がした。
振り返ると、ンダコアラが缶をもって立っていた。
「あれ、まだ持ってたのか?」
「くぁう」
違うとばかりに首を横に振る。
どういうことかと思っていると、ンダコアラはポケットを漁るようにお腹の辺りの毛皮に手を突っ込んだ。
モゾモゾ、すぽん! と音を立てるように取り出されたのは差し出されたものとおなじ缶。
「もしかして、これお前のスキルで出せるのか?」
「くぁ!」
それ! と言わんばかりにビシッと手を上げるンダコアラ。
「すげえな、これをスキルでいつでも飲めるなんて……うらやましい」
ンダコアラから2本のうち1本の缶を受け取り、再び口につける。
するとンダコアラは俺の腰あたりをゴソゴソとやり始めた。
「なんだ?」
ンダコアラは俺の腰ベルトに着けたポーチから未使用のパルスフィアを取り出し、俺の前に置いた。
「……もしかして、捕まえろって言ってんのか?」
「くぁう」
「でもいいのか?」
「くぁ」
てしてし、と肉の盛られた皿を叩く。
なるほど……。
「つまり、コーヒーをくれる代わりに飯の約束をしてくれ……ってことだな?」
「くぁう」
「そういうことなら喜んで! 歓迎するよ」
そう言ってパルスフィアを軽く押し当てると、一瞬で捕獲成功と出た。
こうして、コーヒー仲間が一人増えたのだった。
エナドリはカフェインだからね!
カフェイン繋がりでユニーク個体とかいてもええやろ!(適当)