※この作品はR-18です。

俺、聖騎士になります   作:虚飾縫合

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10話

「聞こえなかったかい?」

 

「いや、そうじゃなくてですね…」

 

この人は何を言っているのだろうか。お付き合いをお願いだと?まだ5歳の俺に?これを言っているのが同じ5歳とかの子どもなら子どもだからと流せるが相手はどれだけ低く見ても20手前あたりだろう。オロではこのくらいの年の差は普通なのだろうか。前世込みでの初の女性からの真剣そうなお付き合いの申し出でしかも相手はとびきりの美人という状況。普通なら喜んで受け入れるが残念ながら普通の状況ではないため俺の内心は喜びよりも驚きや疑問でいっぱいだった。

 

「いきなりすぎてちょっと驚いているというか…理由を聞いてもいいですか?」

 

「そんなのルカが欲しくなったからに決まってるだろう?」

 

肩から片手を動かし下顎を撫でるような擽るような手つきで触ってくる。

 

「ん…そうじゃなくて…経緯を聞かせて下さい」

 

「経緯ねぇ…どこから話そうか…」

 

手を下ろししばし考え込む彼女だったがまとまったのか話し始めた。

 

「まず前提として女が彼氏ないし夫が欲しいってなったら努力が必要になるのさ。だからボクも例にもれず努力をして今では商会の会長をしているんだ。まだ新しくて小さい商会だけど利益はちゃんと出てる。それが評価されてボクにも縁談が幾つか来たんだ」

 

「何も問題ないじゃないですか」

 

俺に付き合いを申し出るまでもなく男がいるじゃないか

 

「いいや、大ありだね。だって全ての縁談が第2以降の婦人なんだ」

 

「あー…」

 

結婚について今まで考えたこともなかったため地球の感覚のままでオロは一夫多妻でもOKな世界だった事を忘れていた。第2婦人とかだと何かしら問題があるのだろうか。

 

「第1婦人と第2婦人とでは扱いに差があったりするんですか?」

 

「いや、付き合った順番が違うだけで扱いに差がある訳ではないね」

 

ないんかい!

 

「じゃあ何で縁談を断ったんですか?」

 

「ボクが絶対に第1婦人じゃないと嫌だからさ」

 

「そ、そんな理由で?」

 

「そうさ、夫を手に入れるために沢山努力したのに2番以降に甘んじる気はないからね。だが周りの成人済みの男は皆誰かの夫でね。だからボクは考えたんだ。まだ成人済みじゃない男の子と付き合って成人したら第1婦人になればいいって。そしたら丁度その時にヒューマノイドに女に優しく笑顔が可愛い原初の男の子がいるって聞いてね。初めはそんな絵に書いたような男の子なんて信じてなかったよ。でもヒューマノイドには商会としても行く必要があったから行ってみたら本当にいて今に至るって感じだ」

 

「は、はぁ」

 

言葉の意味を理解は出来ても素直に納得は出来ないとこはあるが一応筋は通っているように見える。だがそれとは別に幾つか気になることがある。

 

「経緯は分かりました。ですけど僕と…」

 

(あ、何て呼べばいいだろう。無難にセレスティアさんでい―)

 

「―セレスで良いよ。ルカは特別だ」

 

「セレス…さんが付き合うにあたってさっきのお腹の模様の質問は何の関係があるんですか?」

 

まずはこれ。彼女はまず俺に聞いてきたお腹の模様のこと。聞いてきた時は凄く大事そうに聞いてきたのに今までの話でどこにも出てきておらず聞く必要があったか疑問だったのだ。

 

「あー…それは…簡単に言うと第1婦人が既に決まっているかどうか…かな」

 

妙に歯切れが悪い…それなら直接結婚相手いる?とか聞けばいいのではないだろうか。何か隠していると感じた俺はもう少し質問してみる。

 

「どうしたらお腹に模様が出来るんですか?」

 

「…大人になったら出来るよ」

 

「それが本当なら子どもの僕にお腹に模様があるかなんて聞く必要ないですよね?」

 

「慎重になり過ぎて聞いたのが良くなかったかな…それにしてもルカは本当に5歳かい?」

 

そう言った彼女の顔はやや困り顔で笑っていた。

 

「正直に教えて下さい。どうしたらお腹に模様が出来るんですか?」

 

「今のルカは知らなくていい事だよ」

 

どうやら教える気はないらしい。だがここまでのやり取りでコレじゃないかというのがある。セックスだ。確証はないし上手く言語化できないが話し方的に地球でもたまにある大人が子どもに子どもの作り方を誤魔化して教えるあの感じと似ている。よし、少し揺さぶってみよう。

 

「なるほど、つまりあれは童貞かどうかを聞く質問でもあったんですね」

 

「ゴホッ」

 

「ブフォ」

 

どの護衛かまでは分からないが護衛達が咳き込んだ。どうやらビンゴとみて良さそうだ。目の前の彼女は微笑んでこちらを見ている。

 

「周りを見れば分かったと思うが正解だ」

 

「模様についてもう少し教えて貰っても?」

 

「…模様の有無は童貞か否かを現していて、童貞を失った時にその時の相手と同じ髪色の模様がお腹に出来るのさ」

 

なるほど、リヒトの模様もエリスと同じ髪色のものがあるから信用して良さそうだ。思いもよらぬとこで長年の疑問が晴れてスッキリしたがそれとは別に思った事もある。

 

(セレスさんって…地球で言う処女厨みたいなもんか…)

 

まぁそれはこの際置いておいてもう1つ気になった事を聞いてみる。

 

「ありがとうございます。もう1つ質問なんですけど年の差による寿命はどうするんですか?10年は差がありそうなんですけど」

 

「童貞とかは知ってるのにそこら辺は知らないんだね。よかった、また答えにくい質問が来るのかと思ったよ。寿命はね、結婚の時に結ぶ命の契約で殆ど同じになるから大丈夫さ」

 

「命の契約?」

 

「そう、人間と人間の結婚ならともかく人間と異種族ではそもそも寿命に差があるからね。そこで命の契約さ。命の契約を結ぶことでそうだね…だいたいそこから300年後にお互い寿命が来るって考えれば良いかな。だからあまり年の差は関係ないよ」

 

(300年て…長)

 

「なるほど…」

 

想像していた答えの斜め上をいっていたためあっけに取られたが疑問は解決した。

 

「もう質問はないかい?」

 

「はい、ありがとうございました」

 

「いやいや、こんなのお安い御用さ。それで話を戻すのだけれどどうかな、ボクと付き合ってはくれないだろうか」

 

美人で商会の会長をしているというセレスさんだが…

 

「申し訳ないんですけどお断りさせて頂きます。5歳の段階で人生のパートナーを決めるのは少し早計ではないかと思うんです」

 

俺は断ることにした。女性を振るのは初めてだからか罪悪感がすごい。だが当のセレスさんは俺とは対象的に微笑んでいた。

 

「そんなに申し訳なさそうにしなくていいさ」

 

「でも…」

 

「断ったのはボクの事が嫌いということではないよね?」

 

「え、まぁそうですけど」

 

「なら大丈夫。ボクとしてもいきなりOKは貰えると思ってないさ、たとえ貰ったとしても結婚してないうちは周りの女性は関係ないと君にアプローチしてくるだろうしね。ボクとしても今回は単純にルカへの挨拶とこれから起こるであろう争奪戦にボクが参加するのを本人に知ってもらうというがメインだ。それによっぽどな事がない限りは君みたいな男の子を諦める気はないよ、絶対にね」

 

どうやら断られるのを織り込み済みで話をしてきたらしい。俺は問題を先延ばしにしただけかもしれないが思ったより深刻じゃないことに安堵した。

 

「争奪戦って大袈裟ですね。そんなにモテませんよ」

 

安堵して気が緩んだのもあり場を和まそうと冗談めかして言う。するとセレスさんの顔から笑みが消える。さっきとは笑う人物とそうでない人物が逆になった。

 

「ルカはもう少し自分の魅力に気づいた方がいいよ。原初で見た目も良く内面は初対面の女に分け隔てなく笑顔で接してしかも撫でたり手を繋いでもいい男の子なんて世の女からしたら夢が現実になったようなものなんだから」

 

冗談を言っているようではない顔にややたじろんでしまうとすぐに彼女は先程から浮かべている微笑みに戻り

 

「ま、ルカは最終的にはボクだけのものになるから他の女なんて関係ないけどね」

 

そう言った彼女の言葉は冗談だったのかはたまたそうでないのか俺には分からなかった。

 




どうも虚飾縫合です。前回、今回の話について補足をします。長いです。
まず親抜きで本人達だけで結婚とかの話をしていいのかという問題ですが、オロでは案外大丈夫です。というのも基本的にオロでは男性はあまり女性とは仲良くなりませんというかなれません。そこで親としてもせっかく結婚を視野に入れるまで仲良くなった女性と息子を無理やり別れさせると次の結婚候補を見つけまたそこまで仲良くなるのに結構な時間がかかるのがわかりきっているので本人間で良いならそれで良いよという節があります。これだと親が息子の結婚相手は誰でも良いと思っていると思われるかも知れませんがそんなことはありません。親も息子はキチンとした人と結婚して欲しいと思ってます。じゃあなんでそんな適当なのかと言うと例外はありますが聞くまでもなく結婚相手は優秀な人が多いからです。セレスも言ってましたがこの世界では男を捕まえようとしたら基本的に努力しある程度の何かしらの力が必要(力がないとほかの力があるやつに取られるから)です。そのため男である息子と結婚を視野に入れるまで仲良くなっているということが何よりもその女性の能力を示しているため親としては申し分ないという結論になります。
次にセレスがルカに間接的に童貞か否か聞いたことですがこれは女性にとっては結構大事です。プロローグでも書きましたがオロの女性は性欲とか独占欲とかが結構強くセレスのように結婚相手を独占したいと考える人は一定数います。そんな人達にとって自分が童貞の卒業相手か否かが大切かどうかなんて言うまでもありません。
次にセックスするタイミングについて。基本的にオロでは結婚した後にセックスをします。付き合ってる段階でセックスしない理由は単純で最終的に男の子が誰のものになるのかは分からないからです。あるタイミングではA子ちゃんが1番リードしてたけど最後はB子ちゃんと結婚したみたいな展開になっていざ初夜を迎えた時男に模様があったとします。そしてB子ちゃんはセレスのように独占欲が強いタイプだったら報われませんよね。そのため付き合ってる段階ではセックスはしません。ただこれにも例外があって例えば貴族どうしで結婚が成人前から決まっている場合や男を争奪する際にあまりに1人の女性がリードしていて結婚するのが自明だったらこの限りではありません。本編でセレスは貴族ともう婚約を結んでいて貴族がルカの可愛さに我慢できず手を出した可能性を考えて5歳にもかかわらずあんな質問をしました。
次に年の差の結婚について。オロでは別に珍しいことではありません。当たり前ですが子どもは大人と比べて大して出来ることはありません。そんな子どもが子どもの時から男にアプローチをしているという事は大体貴族とかボンボンです。そんなのは全体的に少数です。大体は子どもの時はセレスのように努力し何かしらの力をつけます。そして誰かの第〇婦人になるかそれが嫌ならセレスのように子どもにアプローチしていくわけですね。(セレスはいささかアプローチするタイミングが早い気がしますが)
最後に命の契約について。オロでの人間は寿命が100年他は300年ほどとなっています。異種族との間には200年の差があるため結婚後の寿命の差をなくそうというのが命の契約です。結婚してから発動し発動前と後では不思議な仕組み(設定めんどかった)により寿命が変わります。寿命を伸ばすと言うよりは上書きといったイメージに近いかもしれません。例えば20歳の男と35歳の異種族がいたら残りの寿命はそれぞれ80年と265年になりますが契約すると両方とも残り300年になるという感じです。契約は1人1つまでしか結べないため定期的に誰かと契約を追加して寿命を半永久的に増やすというのは不可能です。また既に年が280歳とか寿命が間際だと効果は薄いです。ちなみにこの世界は作者のご都合世界なのでたとえ人間の年が90だろうと異種族の年が280だろうと見た目は多少衰えますが多少だけで全然若いです。
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