今後も精進していきますのでよろしくお願いします。
「ごちそうさまでした」
並べられた朝食を食べ終える。今日はいつも通り家族との朝食ではあるのだが何時もより内容が豪華になっている。その理由は俺がついに第1学校に入学する日になったからであろう。
食べ終えた食器を台所に持っていき洗っていく。すると隣で洗い物をしているリヒトが話しかけてきた。
「洗い物はやっておくから忘れ物がないか確認してていいよ」
「ありがとうございます」
言葉に甘えて学校用のカバンの中身を確認していく。
(えっと…今日は入学式と、身長とかの測定だけだから…筆箱とあとは…特にないな…それなら今日のうちに体操服とか持って行って校舎に置いておくか)
持って行く物は多くなくすぐに確認を終え暇になる。初登校なら早めに家を出た方が良いのではと思うかもしれないがこの世界での通学手段は馬車である。理由は学校がそこまで多く設置されておらず家が学校から遠い子はとても子どもの徒歩で行ける距離ではないのと、男の子が誘拐されるケースがあるからなのだそうだ。
「ついに学校ね」
暇を持て余しているとエリスとリサさんが妹二人を連れてやってきた。
「楽しみ?」
「楽しみ半分、不安半分です」
「ルカ様なら何も心配しなくて大丈夫だと思います」
「買いかぶりすぎですよ」
リヒトやリサさんと今日の流れについて大まかに話し合っていると…
「お兄ちゃんいつ帰るの?」
薄いピンクの髪を揺らしながら妹のミカが話しかけてき。
「今日は昼過ぎには帰ってくるよ」
「帰ったら遊んでくれる?」
「もちろん」
ミカの頭を撫でてやると気持ちよさそうにされるがままになる。もちろんシノンだけ放置なんて事はしない。
「シノン」
名前を呼ぶと表情が乏しくもどこか嬉しそうな感じを出しながらトテトテと寄ってくるシノン。ミカと同じ様に撫でると目をつぶって頭を擦り寄せてくる。
(かわえぇ…っていうかコレじゃ妹の為なのか俺の癒しの為に撫でてるのか分かんねぇな)
すると
コンコン
「すいません」
扉のノックされた音と一拍あけて声が続く。恐らく迎えの人が来たのだろう。
「はーい」
エリスが外に出て対応し、一言二言会話はした後こちらに向き直る。
「ルカ、迎えが来たって」
やはり迎えだったようだ。道具を持って玄関へ向かうと玄関に差し掛かった辺りで皆が口を揃えて
「ルカ(様)」
「お兄ちゃん(お兄様)」
「「いってらっしゃい」」
笑顔で送り出すそんな皆に対し俺は
「いってきます」
同じく笑って外に出るのであった。
迎えの人に案内されて馬車に乗る。案内された馬車はある程度装飾が施され手入れがキチンとされている印象を受ける。中の方はさほど広くはないが子どもが乗るのを前提としているのか椅子は柔らかい素材で座り心地は悪くない。流石に俺が赤ん坊の頃に乗った王様の馬車よりは幾つかグレードは落ちた感じがするがあんなモノと比べるのが間違っている。
(中には…誰もいないのか。まさか男は俺1人じゃないよな)
リサ、エリスから聞いた話では馬車は男女別で別れるらしい。2人はドットレーの学校出身で自分たちが学校にいた時は一学年大体女子が30〜40人男子が1〜4人だったという。その話で行くと男子が乗る馬車で俺1人というのはマズイ。単に俺が1番最初に乗せた男子なら良いんだが確信がない以上男子が俺だけの未来を想像してしまう。
(男1人は嫌だ!男1人は嫌だ!)
馬車に揺られながらそんな事を念じているといつの間にか馬車が止まる。恐る恐る外を見回してみると辺りには学校のような建物はなくただの住宅街だった。
(これは他の男の迎えの為と考えてよさそう)
一人ぼっちの心配はなく安心して馬車で待つ。少しすると扉の向こうから2人の男の子が入ってきた。
「つ、ついに学校だね…」
「緊張するね…」
会話をしながら入ってくる2人。1人はコバルトブルーの瞳と髪を、もう1人は深緑の髪と目を持っている。
(2人は知り合いなのか?だとしたらやりにくいな)
だが転生して初めてのリヒト以外の同性だ。せっかくなら仲良くなりたいと思い声をかける。
「俺、ルカっていうんだ。よろしくね」
「よ、よろしく、僕はナオ」
「ぼ、僕はヘシ、よろしく」
コバルトブルーの方がナオ、深緑の方がヘシというらしい。名前を聞いたあたりで再度走り出す馬車だかそんな馬車とは対象的に俺たちの会話はそこで止まってしまう。
(何か話さないと…)
そんなことを思いながら向こうの顔を伺う。どうやら向こうも同じような事を思っているようで少し気まずさが顔に滲んでいる。
だが残念な事に相手が気まずいかどうかが分かっても良い話題が見つかる訳では無いので互いに無言の時間が続く。少ししてナオが口を開いた。
「原初な見た目といい、ルカって名前といい、もしかしてルカ君って大通りでエリス食堂の宣伝してる?」
「うん、してるよ」
「やっぱりそうなんだ」
合点がいったというような顔をするナオと何を喋っているのか分かんない顔をしているヘシ。
「宣伝ってなんのこと?」
「文字通りルカ君は大通りでエリス食堂っていうお店で宣伝をしてるんだよ」
「え?!女の人が怖くないの?!」
信じられないといった顔でこちらを見てくるヘシ。俺からしてみれば女性が怖いという方が信じられないのだがまぁいい。
「そんなに怖くないよ。皆優しいし」
「でもでも、力で勝てないんだよ?宣伝してる時に触られたらどうするの?」
「ルカ君案内の為に自分から手を握りに行ったりするんだって」
「え、えぇ…」
呆れられてしまった。だが会話が盛り上がってきたので先程よりも大分空気がいい。今度はこちらが聞いてみよう。
「2人は知り合いなの?」
「うん、ヘシと僕は近所の幼なじみなんだ」
「ずっと友達なんだよ」
その後も好きな食べ物とか今度エリス食堂に行ってみたいとかの会話で盛りがっていた。
…
「あ、止まった」
話している途中で馬車が止まる。今度は3人で窓の外を見回す。先程は住宅街だったが今回はすぐ近くに大きな建物があった。屋根が黒、壁面が白に塗られたそれは大雑把に見ると真ん中に横長の建物、その左右に縦長の建物がくっついた左右対象な建物といった感じだ。多分上から見るとHの字みたいにみえるだろう。真ん中の建物の中央部分には時計がついた尖塔がついていて、左右の建物にも時計はついてないが建物の奥と手前にそれぞれ尖塔がついている。壁には窓が屋根にはドーマーがそれぞれ等間隔に備え付けられ横の広さや部屋の数は分からないが縦は窓が2つしかないことから二階建てという事だけ分かる。
(家とかから違うから当たり前だけど日本の学校と大分違うな…一言で言うと西洋のパブリックスクールって感じだ…)
「でけー」
「すげー」
2人が隣で建物の大きさに呆気にとられていると、扉が開き馬車の御者が一言。
「ここが学校だよ。降りよっか」
指示に従い俺たちは学校の敷地内へと入っていった。
切りどころがなかったのでちょっと中途半端ですが一旦この辺で切ります。