「ごちそうさまでした」
いつも通り出された朝食を空にする。食堂での初宣伝から1ヶ月ほど経過した。俺の宣伝は今までのオロでは想像できない積極的な男の子、そして昔に消えたと思われている原初という事もあり自分で言うのもアレだが割と好評だと思う。そんな俺の生活は今の所平和であり、日常に店の宣伝をして可愛がられるという時間が追加されたのを除きさほど変わらない。
「今日はまた図書館に行こうと思います」
今日は宣伝はお休みだ。まだまだ知りたいこともあるし図書館にでも行こうと思いエリスに伝える。
「そう、気をつけてね」
初めは俺が髪も目も変えずに外に出るのを危惧していつエリスだが今では心配はしてくれるものの止めようとまではいかなくなった。外出する際に魔道具を使う必要がなくなり俺としては助かっている。
エリスの他にもリヒトやリサにも図書館に行くと伝え家を後にしようとする。するとそんな俺を呼び止める声がかかった。
「私達も連れてって!」
そこには桃色と金色のふわふわとした髪をそれぞれたなびかせた子どもが2人。
「ミカとシノンも行きたいの?」
俺ではなくエリスが聞く。
「うん!お兄ちゃんと一緒がいい!」
ミカが元気よく喋る。シノンはミカの言葉にうんうんと頷いている。
「図書館は遊ぶとこじゃないんだよ?静かにしてなきゃいけないよ?」
「うん!いい子にしてるから連れてって!」
(うーんどうしよ)
妹達が着いてくるとなればあまり目は離せないだろう。そうなれば俺の調べ物の効率が悪くなるのは明らかだ。だがまぁ可愛い妹達の頼みだし調べ物なんて別に急ぎでもなんでもない。そう考えると別に着いてきても構わない気がしてきた。
「ルカ、こう言ってるしお願いしてもいい?」
「大丈夫ですよ。それじゃ皆の準備できたら行こっか」
そう言って妹達を引き連れ護衛の人を含めて5人で家を後にした。
「あ、ルカくーん!こっちこっち〜」
図書館に行く途中に呼び止められる。実は俺が宣伝を始めて以降、結構声をかけられることが増えた。声の主を探していると通りでお菓子屋を営んでいる店主だった。とりあえず店主の方へ向かう。
「ってあらそちらの2人は?」
「ミカとシノンです。それぞれミカがエリスのシノンがリサの娘になります。」
そういえば店主に妹達を見せるのは初めてだったので妹達を紹介する。
「そうなのね、今日は妹さんも連れて勉強しに行くの?」
「まぁそんな所です」
「よく勉強して偉いわね。はい今日もコレあげる。妹さんにもどうぞ」
「ありがとうございます。ほらお菓子もらったぞ、お礼しないと」
「ありがとう!」
「あ、ありがとうございます」
「いいのいいの。勉強頑張ってね」
そう言って店主と別れまた図書館を目指す。店主とのやり取りからも分かるように図書館に行く途中に話しをしてお菓子をもらうのは初めてじゃない。と言うか行く途中毎回お菓子もらってる気がする…
(流石にまずいな。次は遠慮しよう)
そんな事を考えつつ歩いていく。途中でまた何人かに声をかけられ軽い挨拶をしていき図書館についた。
「あ、ルカ君いらっしゃい」
「こんにちは、今日は5人でお願いします」
「はい、ごゆっくり」
受け付けを済ませ本に囲まれた空間を歩いていく。妹達は初めて来る図書館に首をあっちに向けたりこっちに向けたりしていた。
(とりあえず図書館に来たからには本読まないとだよな)
「何か読みたい本はあるの?」
「おとぎ話とかが読みたい」
「おとぎ話か…たしかこっちにあったはず着いてきて」
おとぎ話とかそういった部類の本が集まったコーナーに案内し、妹達が本を探すのを見守る。
(そう言えばこの世界のおとぎ話なんて読んだこと無かったな。まぁだからと言って読む気はないのだが。別におとぎ話なんて見てもためにならないだろうし…)
見守っている途中でふとそんな事を考えているとどうやらそれぞれ読みたい本を見つけたらしく本を手に取っている。あとはそこら辺にある椅子に座って読むだけだ。
「見つけたら本読んでて良いよ。あと、本読む時は静かにね」
(じゃあ俺も自分の本探しにいこうかな)
おとぎ話コーナーを後にする。すると妹達も着いてきた。
(ん?)
「どうしたの?読んでて良いんだよ?」
「えっと…読んで欲しくて…ダメ?」
そういう事かと納得する。もちろん可愛い妹達の頼みだ。断る理由がない。
「いいよ、それならあっちの読み聞かせ部屋行こっか」
「「やった」」
読み聞かせ部屋に着くと妹達の本を受け取り題名を見る。ミカがアブソリュート・ゼロという本を、シノンが救済の聖女という本を持ってきていた。
(なんかどっちも題名だけ見ると地球感覚でいうとおとぎ話コーナーにありそうな本じゃないな…)
そんな事を思いながら読み聞かせを行った。本の内容としては簡単に纏めるとアブソリュート・ゼロは国のために身を粉にして働いた英雄(当然ながら女性だ)がその強さ故に最終的に国に裏切られて復習のために魔に身を捧げ題名にもあるアブソリュート・ゼロという魔法を使い国全体を凍らせ自分の国としたという話。
救済の聖女の方はある国に民に寄り添う見目麗しい王子(おとぎ話らしく黒髪黒目だ)がいたのだがある時謎の病にかかってしまい国王達は手を尽くすも死んでしまう。そんな時現れた旅人がなんやかんやあって王子の死体と会わせてもらい魔法を使って王子を生き返らせ、感謝した国王はお礼として王子をその旅人の婿にあて2人は幸せに暮らしたという話。
後者は理屈はともかくハッピーエンドだから良いものの、前者は一概にハッピーエンドと言えるのか少し微妙だなと思った。
「ありがとうお兄ちゃん」
「おもしろかった」
まぁ妹達には好評だったので良かったとしよう。その後も妹達は読み聞かせを何冊かお願いしてきたので読み聞かせをし、妹達の集中力がきれてウトウトしだしたあたりで帰った。俺の調べ物は出来なかったがウトウトしている妹達が可愛かったので良しとした。