補習レイドが始めった(内部時間で)数日が過ぎた頃。
砦内であれば地上に出ても良いことになっているが、基本的に彼女たちはずっと地下にいる。
なにせ彼女たちは全員良くて第一段階職。一年女子にいたってはノービスなのだ。極級レイドの瘴気圧に晒される外より、
無論、約束通り食事の用意など用事があるときは外に出るが、それ以外は極力地下施設で暮らしている。
地下施設内では昼も夜もないのだが、それはこのレイド内ならばどこも一緒だ。
むしろ、常時夕暮れ時な外よりも、『
そんな地下施設の中でも一番広い女子の共同部屋の中で、五人の女子は贅沢にも暇を持て余していた。
「♪♪♪」
鏡台の前の椅子に座る『
シンプルながらデザイン性の高い鏡台と椅子は、もう一人の二年女子――『
大半は魔王城の窓に消費されたが一部を銀鏡反応でガラス鏡とし、そのうちの一枚を譲ってもらったのだ。
旧『
流石に貰いすぎということで、くっきりメイク巨乳二年がガラス素材を使って化粧品用の小瓶を量産して提供しているのだが、明らかに釣り合っていないだろう。
防衛力という形でこの生活に寄与している
『
その割には何もしていない『
褐色爆乳二年女子はご機嫌に鼻歌を歌いながらメイクに余念がないし、艶なし黒髪ミディアムショート三年女子はベッドの上で電子生徒手帳に入れた同人ゲーム(BL恋愛シミュレーション)をやりながら、ビーフジャーキーを食べている。
ちなみに寝そべっているベッドも、ベッドの上の布団も、食べているジャーキーさえ旧『
気兼ねなく電子生徒手帳を乱用できるのも、旧『
電子生徒手帳程度をフル充電するだけでも一時間くらいかかり、その間に石榴果汁を数回交換しなければならない代物だが、充電ができるとできないでは天と地の差がある。
充電装置に必要な亜鉛や銅はもちろん、
亜鉛や銅以上に大量に摘出できた砂鉄を主原料に『
今は水天の梵字による水流を用いた水力発電で進んでいるが、将来的には風力、瘴気圧力、トマト力等も検討されているらしい。
「よし、こんなとこでしょ」
入念な化粧を終えた褐色爆乳二年女子は、最後に左右の唇をこすり合わせてルージュのムラを取ると満足げにそう言う。
「健気ね。リーダー君は上で作業中だってのに」
くっきりメイク巨乳二年女子は、『
ばっちり化粧をしたとしても、その顔を
しっかりメイクをしているのはそれを指摘したくっきりメイク巨乳二年女子も同様だが、彼女の場合は
「そりゃそうよ。恋する乙女は健気って相場は決まってるの」
「恋するって、恥ずかしいこと堂々と言うわね。まあ、私も心情的には同じだけど」
褐色爆乳二年女子の堂々とした惚気に、くっきりメイク巨乳二年女子はあきれたようにため息をつきつつ、同時に同意を示す。
「でしょ? あれは反則よね。最初の一発でガッツリ墜とされて、そこからさらに何度も何度も深掘りされて、そのくせずっと気遣いを忘れないんだから。堕ち続けてるのに安心感が勝るんだから、もうこれは抜け出せないでしょ」
「そうね。不満があるとしたら、せっかくレイド内で籠っていられるのに、夜しか可愛がってもらえないことかしら」
一般的に補習レイドでは男子が女子をゲットしてベースキャンプに籠れば、後は二十四時間セックスタイムになる。
超級、もしくは極級レイドの瘴気圧は生存本能を刺激し、性欲、精力を激増させる。立場の弱い女子は水、食料、寝床、あらゆるライフラインを男子に握られ、ひたすら性的に奉仕を続けなければならない。
性行為そのものは脳を焼くほどの快楽を伴うとしても、その日々を女子は「地獄」と呼ぶくらいに忌み嫌っている。
それと比べるとここは、楽園と言っても言い過ぎではない。
食事は美味しく、居住空間は清潔で安全。そして、男子とのセックスはいっそもどかしいほどに優しく、そのくせもたらされる快楽は今日までの学園生活でも比較対象がないほど。
「確かに。それも一日おきだからねー。いっそ、毎晩四人で押しかける? リーダー君なら同時に四人でも足りないくらいでしょ」
化粧を終えた褐色爆乳二年女子は、そう言ってくっきりメイク巨乳二年女子の隣に腰を下ろす。流石は旧『
その言葉に応えたのは別のベッドの上に行儀よく座っていた『
「それは止めておきましょう。たまにでしたら良いですけど、いつも同じになったら飽きられるのも早くなってしまうわ」
「なら、シャッフルする? 飽き防止に」
と提案したのはもう一人の三年、艶なし黒髪ミディアムショート三年女子だ。
現状、三年女子二人の夜と、二年女子二人の夜を交互に過ごしている。シャッフルとは、その組み合わせを変えようという提案だ。四人いるのだから組合わせは、最大で六通りになる。
「……それも手ですね。リーダー君が受け入れてくれたらの話ですけど」
くっきりメイク巨乳二年女子は完成したガラスのコップを確認した後、顔を上げるとそう同意を示す。
「ああ、それ良いかも。ホントなら一対一でエッチとかも入れたいんだけど、それやると一周するまで三日お預けになるのがネックよねー。レイド内だとムラムラ収まらんくて、そんなに辛抱できんわー」
「それでしたら誰か一人の夜の後には残り三人の夜を挟むのではいかがでしょう? レイド内で肢体が
褐色爆乳二年女子の言葉に、猫毛茶髪ミディアムロング三年女子がそんな提案をする。
世間の常識から大きく外れている会話だが、実は学園の常識からも大きく外れている。
学園の常識では、男女のセックスに関して女子が計画を立てることはない。ほぼ全て男子の意思が優先されるからだ。ましてや、今の
だから、今の会話は学園基準ではとても平和で、心躍るものなのだ。世間の常識ではアンモラルの極みだとしても。
そして、ここには一人、まだその世間の常識を引きずっている少女がいた。
「あ、あの、先輩達はその、凄く積極的なんですね」
三つ編み眼鏡一年女子は、自分のベッドの上で行儀よく座ったままそう言う。
この数日、三つ編み眼鏡一年女子は本人が自覚しているよりはるかに、恵まれた生活を営んでいた。
安全な空間で、三度の学食よりおいしい食事を十分に食べて、夜はシャワー付き(
空いている時間は上に上がって、
彼女にとって、入学から今日までで一番穏やかに流れる時間だと言っても過言ではないほどだ。
旧『
そのため、積極的なコミュニケーションこそ少ないものの、誰もが三つ編み眼鏡一年女子に友好的な態度で接してくれた。
だが、そんな先輩達が、上では化け物のような怖い一年男子にありとあらゆるところでセックスをされ、下では毎晩四人のうち二人が一見普通っぽい男子の部屋に押しかけ、嬌声を上げているのだ。
最初は自衛のため、戦闘力の高い男子に媚を売っているのかと思った。
だが、何日も接していれば分かる。上も下も、全員それぞれの男子とセックスをすることに物凄く積極的で、むしろ抱かれることを本心から喜んでいることが。
なまじ、彼女たちが善良で親切な分、そのアンモラルな行為を喜んで受け入れているのが、まだ染まっていない一年女子には戸惑いを覚えるのだ。
「うちら全員リーダー君にガチ堕ちしてるからねー。上の連中もあのヤバい子に同じ感じなんだと思うよ」
「一年以上ここで過ごした学園女子なら、例外なく皆こうなりますよ」
「ですね。あちらの彼も、見た目の怖さからは想像もつかないくらいに女子に対する対応は良いですし」
「リーダーたちは学園男子だと上澄みも上澄み。これより上を望むのは酷」
先輩達の言葉に、一年女子は神妙な顔で考える。
「それは、そうですよね」
まだ学園の知識、情報が足りていない一年女子でも、
比較対象は教室の男子と、寮の先輩から教えてもらった情報だけだが、まず強さが尋常ではない。戦っているところを直接見たわけではないが、
正直、なにをどう間違えれば、この『補習レイド』に参加する羽目になるのか、と首を傾げるほどの学園普通科の最エリートである。
その上、今日まで夜寝る時も、風呂に入るときも、トイレで用を足すときも、身の危険を感じたことはない。学園では教室から寮に戻るだけでも身の危険を感じるのに。
「お、認めたな? なら、一年ちゃんもいく? 行くなら順番譲るよ。隷属状態でのラブラブエッチはメッチャ気持ちいーよー」
「それは……」
ニヤニヤ笑う褐色爆乳二年女子の言葉に、三つ編み眼鏡一年女子はうつ向く。
ここで
それでもなお踏ん切りがつかないのは、彼女が今日までまともなセックスを経験していないからだ。どうしてもセックスそのものに忌避感、嫌悪感、恐怖感が拭えない。
「今すぐ無理をする必要はないわ。ゆっくり考えて選べば良いのではないかしら」
悩み沈む三つ編み眼鏡一年女子に、猫毛茶髪ミディアムロング三年女子が優しい口調でそう慰める。
「はい、ありがとうございます」
その優しさに一年女子が少し顔を上げたその時だった。
女子部屋の扉がコンコンと外からノックされる。
女子五人が部屋の中にいる以上、外からノックをする人間は一人しかいない。
「すみません、ちょっと良いですか?」
案の定、それは戻ってきた
「失礼します。今日の夕食はちょっと下ごしらえの人手が多いほど助かるそうなんで、出来れば全員手伝いをお願いします」
本日の外回りを終えて戻ってきた
「りょー!」「分かったわ」「承知いたしました、
一つは服装。まともに「服」を着ているのは、一年女子一人だけで、他は下着とTシャツ、裸エプロン、下着のキャミワンピ一枚、タオルを体にかけているだけ、と煽情的な服装ばかりなのだ。
白鶴荘で女子の露出にはかなり慣れた
そう言う意味では、一年女子の存在は、良いスパイスになっていると言えるかもしれない。
(そっちは、まあいいとして、問題はこっちだよなあ)
覚悟を決めて四人の女子に視線を向けた
『
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に
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『
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スキル『
(想定外だ。セックスで男子から女子に経験値が流れることは分かってたけど。まさかこの数日だけで、全員が
セックスで経験値が男子から女子に流れることは知っていた。
原作でも、第四段階職についているようなトップ層とのセックスは、低レベル女子にとって自力で丸一日ダンジョンダイブするより経験値が稼げるとは書かれていたが、よもや今の自分がそうであるとは流石に考えていなかった。
女子達四人は、身体の疼きを「高難易度レイド内だから」と思っているが何のことはない。経験値がオーバーフローを起こしているだけだ。
(どうする? それとなく希望を聞き出して、こっそり
レイドクエストでは、一部の例外を除きレイド内でモンスターを倒しても、経験値は稼げない。その代わりに死体が瘴気に返らずにそのまま残る。そして、レイドをクリアした暁には、レイドに参加していた人間全員にレイドクリアの経験値が配られる仕組みになっている。
ここ『轟天の石榴山』は極級レイド。レイドクリアの経験値は、百人単位で頭割りにしてもなお膨大だ。
それをオーバーフローでもらい損ねるというのは、いかにももったいない。
「
考え込んだせいで不自然に動きがとまる
「あ、いえ。なんでもありません。では、上で食事の手伝いですから皆さん着替えてください」