――穿界迷宮『YGGDRASILL』、接続枝界『黄泉比良坂』――
――第『拾弐』階層、『既知外』領域――
「…………かなりのダメージだったな。やはり、油断は禁物だ。エロール、よくやったぞ。おかげで助かった」
「…………ホホウ」
主である健太の言葉に、『赤梟頭熊・全耐性』のエロールは誇らしげに鳴き声を上げる。
ただし、その体は満身創痍だ。頭部から胸にかけての赤い毛皮もそれ以外も多くは焦げて黒ずんでおり、毛皮が完全に炭化して肉が露出している場所もあちこちに見受けられる。
クラスチェンジをして『全耐性』の能力を得ていなければ、撃破されていただろう。
第十三階層に繋がる界門を守る界門守護者。
それは人間大のペンギンだった。
それもデフォルメされたやけに愛嬌のあるペンギンで、どうやって保持しているのか片手に小剣、逆の手に丸盾を持っていた。
戦闘力は「これが界門守護者?」と疑問を抱くくらいに弱かったため、『戦士の不動心』がオンになっていた健太は、用心に用心を重ね、戦闘中に自分とエロールに『硬盾士』『増強術士』『司祭』そして『重装騎士』のスキルで防御力を強化していたのだが、それ上でエロールはここまでのダメージを受けた。
その攻撃は、ズバリ「自爆」である。用心していた甲斐があったというべきか、その威力は今の健太をもってしても無視できないくらいに高かった。
何の守りもなく至近距離で受けていれば、今の健太でもかなりのダメージを受けていたことだろう。
ともあれ、「自爆」という形であっても界門守護者を撃破できたことに変わりはない。
これで下の階層、第十三階層通称『酸雨遺跡』へと進むことが出来る。
第十三階層は『酸雨遺跡』の通称通り酸性の雨が降り続ける世界だ。
その酸性雨は人間や大部分のモンスター(酸もしくは水を弱点とするモンスターを除く)には無害だが、対策がされていない装備の類を等しく腐食させる。
高レベルのマジックアイテムはほぼ問題ないらしいので、健太の装備はほぼ問題ないだろう。
確実に大丈夫と蜜柑が太鼓判を押してくれたのが、健太の主武器である小剣『金狼木霊剣』だ。
『金狼木霊剣』は非常に珍しい、五行の『木』と『金』の二重属性だ。
製造において蜜柑がその素材の力を遺憾なく引き出してくれたため『金狼木霊剣』は「木だから錆びず、金だから腐らない」らしい。
これが作り手の腕が悪いと「木だから腐り、金だから錆びる」という代物になってもおかしくはないというのだから、やはり『職人』はレベル以上に純粋な腕がものを言うのだろう。
ともあれ、健太は一つ柏手を打つと限定空間収納を開き、身に纏っていた防寒装備一式を仕舞い、通常装備と耐酸性装備を取り出す。
学園で購入した耐寒装備一式を仕舞い、耐寒用の『ウーン』の梵字の護符を外し、代わりにいつも通りの白黒虎革製の胸部鎧を纏い、耐酸性に造ってきた『ナ』の梵字護符を装備する。
杏が作ってくれた防寒マントだけはまだ身に着けておく。第十二階層にいる状態で全ての耐寒装備を外すのは流石に無謀だからだ。
『ナ』は那羅延天を意味する梵字であり、那羅延天はインド神話におけるヴィシュヌに相当する。
那羅延天は『守護』『健康』のご利益があるとされている。一方ヴィシュヌはインド神話体系における主神とも主役ともいうべき大神だ。
ヴィシュヌは多くの化身を持つため司るものも非常に多いのだが、ヴィシュヌ本体の場合は主に『調和』『秩序』『維持』といったところになるだろうか。
そこからブラフマー文字で効果を『守護』『維持』の力を装備の損耗に限定して固定したのだ。これで酸性雨に対する耐性が期待できる。
「よし、行くか。エロール、モモノスケ《戻れ》」
『具象化』していたモンスターを送還した健太は、第十三階層『酸雨遺跡』に繋がる界門を潜るのだった。
「ここが第十三階層か。『酸雨遺跡』、なるほど」
無事、第十三階層に到着した健太は肉眼、『盗賊』の気配察知、『文官』のスキルで素早く周囲を把握すると、柏手を鳴らして限定空間収納に防寒マントを収納する。
改めて健太は、周囲を見渡す。
第十三階層『酸雨遺跡』。
どこの文明ともつかない廃墟となった建造物が立ち並び、空には常に黒に近い灰色の雲が低く垂れこみ、酸性の雨をシトシトと降らせている。
そのため視界は悪いし、倒壊しているとはいえそれなりの高さの建築物が多数存在するため、死角が多く存在する。
「装備の犠牲覚悟でボンドを召喚したほうが良いかもしれないな」
健太はそう呟く。
『酸雨遺跡』の酸性雨は対策の出来ていない装備を腐食するが、人間やモンスターには基本害はない。
だからここに適している『モンスターカード』は装備のいらないモンスターであり、ゴブリン『槍獣騎士』のジュゲムやコボルト『無法者』のボンドのような装備を必要とするモンスターには不向きな階層である。
しかし酸性雨によるダメージはなくとも、振り続ける雨が視界を遮ることに変わりはない。その上荒廃した建造物が立ち並ぶこの領域は、どうしても死角が多くなる。
盗賊の感覚も文官のスキルも完璧ではない。穴はあるし対抗する能力を持つモンスターも存在する。
そうなると警戒用にボンドの『眼』が欲しい。
「そうだな。そうするか。《来い》ボンド、《来い》トレミー」
「オン!」「…………」
健太は、コボルト『無法者』のボンドと『徹甲虫・多弾倉』のトレミーを『具象化』する。
低学年の小学生ほどの大きさしかない身長のボンドだが、その犬のような顔は精悍でやる気を感じさせる。一方、拳ほど大きさのテントウムシであるトレミーはいつも通り健太の肩に止まる。
「お前たちの役割は偵察と周囲の警戒だ。敵や異変を発見したら、すぐに知らせろ。お前達からは仕掛けるな」
「オン!」「…………」
発声器官のないトレミーは無言のままだが、カードを通して了承の意志は伝わってくる。
「トレミーはこの雨で飛行に支障がないようなら、少し上空を飛んで周囲を見せてくれ。《眼を借りる》ぞ」
そう言って健太は『同調』のスキルでトレミーの視覚を共有する。
無論、虫であるトレミーの視界をダイレクトに見るのではなく、『脳外記憶領域』でトレミーの視覚情報が人間の眼にはどう見えるのか予測して返還するプログラムで、脳裏の一部にそちらの映像を映し出す方式だ。
肉眼で見る自分の視界と、『同調』で脳裏の一部に映し出すトレミーの視界。二つの視覚情報に同時に意識を割くのは少々難易度が高いが、職を重ねてレベルを上げたおかげか今の健太にとっては「ある程度集中していれば維持は可能」な程度だ。
(オンラインのFPS系のゲームを思い出すな。こっちの装備や出没するエネミーを考えればファンタジーRPGの方が近いんだろうが)
そんなことを考えながら広い廃墟の街並みを歩み進むことしばし、最初に異変を発見したのは広く空を偵察していたトレミーではなく、健太のすぐ隣で『眼』を光らせていたボンドだった。
「…………」
無言のまま、脚を止めたボンドはその長く伸びた鼻面を斜め前方向に向け、威嚇するように少し牙をむいている。同時に、健太が「この階層ではできるだけ抜くな」と命じた短剣を抜いている。ボンドの短剣は韋駄天を意味する『クー』の梵字を刀身に刻んである。
この短剣を抜いている間、ボンドは圧倒的な移動速度と一回り強大化した身体能力を得られる。
ボンドの警戒する方向に健太は素早く、『文官』系のスキルである『索敵』を使用する。
その瞬間だった。
これまで『地図帳』のスキルではそこにはなにもいないことになっていた場所、ボンドが睨む石造りの大きな廃屋の奥に敵を意味する赤い光点三つが映る。
「っ、『索敵』に反応して目を覚ましたか?」
健太がそんな言葉をつぶやきながら、両手で大剣を構えると同時に、石造りの廃屋が内側から打ち破れ、三つの大きな影が姿を現す。
第十三階層『酸雨遺跡』に出没するモンスターは、全てゴーレムである。
学園の資料ではゴーレムを『寸法』『素材』『形状』の三項目で分類している。
寸法が標準、素材が土か木か石、形状は人型が圧倒的多数とされているが、もちろんこれは『既知』領域の話だ。
今、健太の前に現れた三体のゴーレムは、明らかに違った。
形状は辛うじて人型をしているが、二本の脚はやたらと短く、胴体は逆さに立てた卵のよう。対して両腕は地面につきそうなほどに長く腕全体が蛇腹のようになっており、変幻自在の攻撃を繰り出しそうだ。もしかすると、さらに伸びてくるのかもしれない。
体と比較して頭部は小さく、目らしき丸いなにかが二つあるが片方が異常に大きく、もう片方は小さい。
全高は目算で三メートル強、学園の基準で言えば大型に分類されるだろう。
材質は良く分からない。土、木、石で言えば石に近いがもっと金属的な光沢があっていかにも頑丈そうだ。
推定『材質不明の異形大型ゴーレム』三体は、辺りの廃屋を砕きながらまっすぐ健太たちに向って来る。
巨体に似合わぬすさまじい移動速度だが、それでも初撃は健太達が先だ。
「トレミー《撃て》」
と健太の言葉を受けた『徹甲虫・多弾倉』は超高速突撃を敢行する。
騎士殺しの異名を持つトレミーの超高速突撃は、頑丈そうな異形ゴーレムの胴体を抉り、突き刺さった。貫くことはできない。トレミーは異形ゴーレムの逆卵型の胴体に埋まったままだ。
その状態を理解した健太はすぐさま次のアクションを超す。
トレミーの高速突撃は生体ジェット噴射器官によるものだ。密着状態からでも多少威力は落ちるものの発動は可能。今のトレミーは『徹甲虫・多弾倉』のため、最大六回まで連続で超高速突撃が可能だ。
「トレミー、そのまま《撃て》《撃て》」
幸い、三度目の超高速突撃でトレミーは無事異形ゴーレムの胴体を貫き、背中から飛び出した。
残念ながら生物系でも機械系でもないゴーレムの場合、貫通痕一つだけでは活動を停止することはない。それどころか戦闘力は全く減少していないだろう。
だが、もちろん今の威力偵察が無意味だったわけではない。
「貫通にトレミーの突撃三発か。結構固いな。トレミー《戻れ》。ボンド、防御専念。異常が『視え』たら教えてくれ」
敵の防御力が分かれば求められる攻撃力が割り出せる。
健太は、トレミーをカードに戻し、ボンドをあくまで索敵に専念させると自らは大剣を両手で構える。
柄をどこまでも伸ばすことに出来る大剣のおかげで健太は大概の場合、先制攻撃権を得る。
だが、初見の敵である異形ゴーレムは健太よりも先に攻撃を仕掛けて来る。
「ゴッ!」
一体は元から地面につくほど長かったその蛇腹腕を一瞬でさらに伸ばして手刀を振り下ろし、
「レッ!」
もう一体は大きさの違う二つの眼のうち、小さいほうから糸のように細い光線を放ち、
「ムウ!」
最後の一体は長い両腕が後方に翼のように伸びて、背中から火を吐きながら高速で突進してくる。
全く同時ではなく、同じリズムでもない、少しずつずれた三連撃。
「ちっ、《はっ》、ふん」
対する健太は、蛇腹腕の手刀を大剣で斬り落とし、細い光線を『硬盾士』のスキル『即席盾』で受け止め、高速で飛んでくる異形ゴーレムを大剣の振り下ろしでたたき割った。
カウンター気味に大剣の一撃を受けた三体目の異形ゴーレムはその一撃で小さな頭部と逆卵型の胴体部分をまとめて砕かれ、活動停止する。
「《伸びろ》、はっ」
さらに健太は大剣の柄を伸ばし、まだ遠方にいる腕を伸ばしてきた一体目の異形ゴーレムと、光線を撃ってきた二体目の異形ゴーレムを纏めて薙ぎ払うように、一閃する。
大剣のもう一つの能力である『鋭刃』は発動させていないので切れ味はお世辞にも良いとは言えないが、その黒味がかった灰色の石のような鈍い刃は、健太の腕力によって異形ゴーレム二体の胴体をガラス細工のように叩き割った。
「オンオン!」
「ああ、分かってる」
あっという間に三体の異形ゴーレムを仕留めた健太だが、ボンドの鳴き声を聞くまでもなく戦闘が始まったばかりであることを把握していた。
スキル『地図帳』によって健太の脳内に広がる広域地図。つい先ほどまでは自分を意味する白のピン一本と味方を意味する青いピン二本しかなかったのに、敵を意味する赤いピンが地図全体を赤く染める勢いで増えていっている。
広域地図の範囲外から押し寄せてきているわけではない。一瞬前までは何もなかった場所に次々と赤いピンが突き刺さっているのだ。
「どうやらこの辺りは、この手のタイプのゴーレムが休眠状態で散らばっていたようだな」
それが健太の『索敵』を察知したことで三体が起動し、その三体を撃破したことで残り数百のゴーレムも起動したのだろう。
「《防御強化》《筋力強化》《敏捷強化》《視力強化》《自動盾》《障壁》」
健太が素早く自己強化を済ませた頃には、いたるところから石造りの廃墟が倒壊する音が響き、振り続ける酸性雨すら押しのけるようにして異形ゴーレムは、全方向から襲い掛かってきた。
同じところに留まり続けると天敵者が湧くという法則は自然領域であっても変わらない。
敵がしぶとかったとしても、また敵がとんでもない数で押し寄せてきていたとしても、天敵者は考慮してくれない。
だから一時間を超える長期戦に及んだ場合、戦闘を継続しながら場所を移動する必要があるのだ。
今回のような全方位から押し寄せる大群を相手にそれをするとどうなるかというと、多くの場合更なる大群を呼び寄せる羽目になる。
結果、数時間に及ぶ戦闘を終えた時、健太の撃破数は千を超えていた。
「《アイテムサーチ》」
酸性雨でぐしょ濡れになった髪を左手でかき上げながら、健太は『検索案内』のスキルでドロップアイテムを探す。
健太の脳内の地図に無数の銀色の光が灯る。クリスタルは小さな光で、ドロップアイテムは大きな光だ。
全部は流石に拾っていられないが、ドロップアイテムは一通り集めておくべきだろう。今回倒した数からするとモンスターカードだけでも結構な数が落ちているはずだ。
「ボンド頼む。適当に拾い集めてくれ。これで《視える》だろう」
そう言うと健太はボンドとの間に『同調』のスキルを使い、視覚を共有した。
ただし、今回はいつもと逆で、ボンドの視界に健太の『検索案内』の結果が記された地図が映るようにしたのだ。
盗賊系と地図の相性が良いのか、それともボンドが純粋に賢いのか、ボンドは現実と照らし合わせて地図を見ることが出来る。
「クン」
健太の言葉を受けてこちらも酸性雨で毛皮がぐしょ濡れのボンドが元気の良い返事をする。
健太は腰に下げていた袋をボンドに渡した。大した量は入らないが、そこまで欲張る必要もない。ボンドは周囲への警戒を怠らず、それでいて素驚くほどの素早さで駆けだす。
もちろん、ボンドだけに任せるつもりはなく、健太自身も目に付くドロップアイテムは拾っていく。
一番多いのはゴーレムの外殻だ。手に取ると金属というよりセラミックに近い感触だ。
健太は一通りアイテムを拾い集めて限定空間収納に収めたところで、呟きを漏らす。
「気のせいではないな。わずかだが小さく、重くなっている。色も濃い」
健太はドロップアイテムを拾うため、背中に収納していた大剣を改めて手に持ち、そう結論づける。
元々この大剣は刀身にSPを込めると灰色の刀身が小さく、重く、そして黒くなるという特徴がある。
だが、今健太は大剣に一切SPを注いでいない。それなのに僅かだがその刀身は健太の記憶にあるものより、小さく、重く、そして黒くなっている。
恐らくだが、刃の鋭さも少し増しているのではないだろうか。
最初は、酸性雨にやられたのかと思ったがどうもそうではないようだ。
「威力が出しやすくなったと思えば悪くはないが、重くなるのは多少問題だな」
元々この大剣は普段の状態でも十数キロはあった。今はニ十キロ迫る重さがある感じだ。
「余裕のある時に一度、凜子先輩に見てもらうか」
知り合いで一番信頼のおける『鑑定士』の名前を口にしながら、健太はひとまず意識を別な点に向ける。
「一体一体は弱めのモンスターだったが流石にこれだけやれば、第三段階職でもカンストするか。とはいえ、経験値効率は『密林竜園』が頭一つ抜けているな」
そのモンスター――異形ゴーレムとの戦闘で見渡す限り遺跡と呼べる呼べるような建造物は全て消え去り、異形ゴーレムが目から放つ光線でまだらにガラス化している地表の上に立ち、健太はそんな感想を漏らす。
そして健太は脳裏に表示される見慣れた文字列に意識を向ける。
『義賊R』
『詠唱術士』『方士R』『火精霊使いR』『風精霊使いR』『水精霊使いR』
『神官戦士SR』
『鍛冶士』『金細工士R』『合成士SR』
『書記』『使役者SR』『統計士』『融合調整士SR』
『独りよがりSR』
『戦闘士』『襲闘士』『剛拳士R』『堅牢盾士R』『聖騎士』『防壁騎士R』『鏡盾騎士R』『魔法騎士SR』『竜騎兵R』『馬上槍武者SR』『浪漫闘士SR』『小妖精騎士SR』『大剣豪R』『槍重装騎士R』『侍大将』
『略奪者』『山賊団長R』
『魔女男』『咒法師』『退神師SR』『精霊契約者』『土精霊契約者R』『拡大術士R』『紋章魔術士SR』
『司教SR』
『牢名主』『一人達者SR』
に転職可能。
※お客様のご契約、ご利用状況では、以下の職クラスは選択できません。
『聖賢見習いGR』『石猿見習いGR』『伝承の英雄GR』『称号獲得者GR』
本来、この次に就く職に関しては健太としては悩む余地がないはずだった。
現在、健太は近々いくつかの難問に遭遇することになっている。
一つは、初めて経験する特級科の護衛依頼。もう一つは、倶楽部対抗戦本戦で起こりうる叶馬との決闘だ。
前者を成功させるのに必要なのは防御力であり、後者を生還するのに必要なのも防御力である。
だから、元々健太は「次に就くのは『堅牢盾士』一択」だと考えていたのだ。
だが、いざ『職業選択の自由』が発動すると新たに『聖騎士』『防壁騎士』が追加されていた。
『聖騎士』もかなり防御力を期待できる職だが『防壁騎士』はそれ以上、防御に特化した騎士職と言える。
礼治と並ぶもう一人の生徒会副会長である耕司が付いている第四段階職『城壁騎士』の前段階とも言える。
『堅牢盾士』と比べても総合的な防御力は甲乙つけがたいだろう。
しいて言えば、『堅牢盾士』はその名の通り「盾を強化」するタイプの防御スキルが、『防壁騎士』は「自分と騎獣の全体を守る」タイプの防御スキルが多いことだろうか。
盾も騎獣もいる健太にとってはどちらがより優先度が高いという話ではない。
「さて、どうするべきか」
健太はボンドが袋いっぱいのドロップアイテムを集めて戻ってくるまで、悩み続けるのだった。