※この作品はR-18です。

ハイスクール転生アンド巻き込まれ   作:ミタライ

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幕間1 主人公達の動向

 白鶴(はくつる)荘は、エントリークラスの中でも下位に属する女子寮である。

 これといった特徴のないごく一般的な女子寮で、主な住民は今年入ってきたばかりの新入生と、金銭的にあまり余裕のない――つまりダンジョン活動があまりうまくいっていない上級生だ。

 一般的なエントリークラスの寮の多分に漏れず、白鶴荘の大半は二人部屋だ。同じ二人部屋でも新入生は上の階、上級生は下の階となっている。

 そんな白鶴荘三階の一室。本来、女子二人の部屋に、今は男が二人追加され、男女四人が二つのベッドに分かれ、睦み合っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あ、ああ! い、いい……せーいちー……!」

 

 片方のベッドの上で、裸で仰向けになった男の上に、一人の少女が跨り、必死に体を上下させ、甘い悲鳴を上げている。

 寝そべる男は誠一(せいいち)。上に乗る少女は麻衣(まい)。どちらも、一糸纏わぬ全裸である。

 

「おい、麻衣。そろそろ俺も動いて良いか?」

 

 麻衣の小ぶりで形の良い尻を片手で撫でながら、誠一はそう自分の上で痙攣する少女――麻衣に声をかける。

 

「やあ! ダメえぇ。私が……」

 

 誠一にニヤニヤとやらしい笑い声を含んだ声に、麻衣はビクリと体を震わせ、首をぶんぶんと横に振る。その拍子に乱れる、セミロングの明るい茶髪が、下から見上げると綺麗だ。

 軽くウェーブがかかっているのに、これだけ光沢があるのは、それだけ丁寧に手入れをしているのだろう。

 無論、それは髪だけに限らない。色白な肌は綺麗に磨かれており、どこを触っても分からないくらいに体のムダ毛は処理されている。

 

 男に前にさらけ出し、男の手で弄ばれ、その上で男に気に入ってもらえるように、丹念に手入れをしている肢体だ。

 その肢体が自分のモノになっているという事実に、誠一は優越感を刺激される。

 

「駄目って言っても、お前全然動かねえじゃねえか、ほら」

 

「やあぁ、駄目って言ってるで……はうっ!」

 

 下から誠一が軽く腰を突き上げると、それだけで麻衣は簡単に絶頂した。

 クタリと胸の上に倒れこむ麻衣の頭を、誠一はペットを可愛がるように撫でる。

 今夜、すでに誠一は一度麻衣の中で精を放っている。その後も誠一のペニスは、麻衣の膣に入りっぱなしだ。ダンジョンダイブで急速にレベルアップを遂げた誠一の精力は、一度や二度の射精で硬度を失うことはない。

 

 今の麻衣には、誠一にされる全てが気持ち良い。

 体の中でずっと存在感を主張している固くて熱いペニスはもちろん、尻をゆっくり撫でている右手のひらも、髪をすくように頭をなでている左手のひらも、からかうように語り掛けられる言葉さえ、麻衣にとっては極上の媚薬に等しい。

 

 今日ダンジョン内のセックスで、麻衣は誠一に完全に『隷属』した。

『隷属』は豊葦原学園で頻繁に起きている、魔術、呪術に属する霊魂的な浸食現象だ。

 同じ男から連続して、膣内に精液を注がれると、女は徐々にその男に染まっていく。その男『専用の女』になっていく。そして、ある段階を超えると、完全に堕ちる。それを『隷属』と呼んでいる。隷属してしまった女は、その男からされる全ての行為に極上の快楽が伴い、ひたすらに男への愛情が高まる。

 こうなると、女は男に逆らうことができない。まさに『隷属』、ただの奴隷だ。

 だから、「良心的な倶楽部」では、複数の男で複数の女を交代で「使う」ようにして、『隷属』状態を回避しているらしい。ちなみに、倶楽部でセックスをしないという選択肢はない。ダンジョンダイブを行い、レベルを上げなければならないこの学園にいる限り、セックスを回避することは、男も女も不可能だ。

 

『隷属』してから始めてのセックスに、麻衣は完全に翻弄されていた。

 今までも、誠一を拒絶できたことは一度もなく、いつも良いように犯され、一晩のうちに何度も絶頂させられていた。だが『隷属』後のセックスは、それと比べても全く次元が違う。

 

 一度目の射精で、麻衣の意識は快楽の海に溶けて消えた。

 これはまずい。これは駄目だ。そう悟った麻衣は、「今度は自分が上になる」と主張して、なんとか自分のペースでコントロールしようとしたのだが、そんな目論見は当然のように誠一にばれていた。

 

「いいぜ、ほら頑張れよ」

 

 そう言って、騎乗位に移行した結果がこれである。

 裸の誠一に、裸で跨っている。素肌が触れ合う感触、そこから感じる『ご主人様の体温』だけで、麻衣の頭は多幸感に支配されてしまう。相手のことが愛おしくて仕方がない。彼が望むのならば、何でもしてあげたい。彼に自分の体が望まれている。それが、幸せなのだと身体の奥が確信している。

 

「せい、いち……の固くて、熱、んん……!」

 

 麻衣は誠一の腹の上に両手を付き、頑張って腰を動かし、自分の中にある誠一の固く熱いモノを刺激する。

 自慢できることではないが、麻衣は年の割にはセックスに慣れている方だという自負があった。騎乗位で相手をイいかせた経験だって、何度もある。そのはずなのに、今は尻を上下に動かすのもつらい。気持ちがよすぎて、動くのが辛い。

 

「ああ、ん、んうう、あ……!」

 

 それでも一生懸命健気に尻を振り、性交を主導しようとしていた麻衣だったが、ニヤニヤ意地の悪い笑みを浮かべてそれを見ていた誠一は無情に告げる。

 

「はい、時間切れな」

 

「ちょっ……まっ!」

 

「待たない。お前に任せてたら、俺いつまでもイけないだろ。おら」

 

 そう言うと、誠一は下から両腕を伸ばし、自分の腰の上に座っている恋人の背中に両手を回し、グッと自分の方へと引き寄せた。

 

「あ……」

 

 抵抗する間もなく、麻衣の体は前に倒れる。下半身は繋がったまま、上半身を抱きしめられた。

 

「せーいち、待っ」

 

 誠一の意図を察した麻衣が焦って静止の声を上げるが、それで止まるはずもない。

 麻衣の大きくはないが形がよく、柔らかな乳房が誠一の鍛えられた胸板の上でつぶされる。そのまま、誠一は麻衣の唇に自分のそれを合わせた。

 

「あ、ンン……ンンン! あ、あ、あ! せーいち無理……これ無理!」

 

 結合したまま、圧倒的に増えた密着面積。その状態からの口づけは、『隷属』状態の麻衣にとって、もはや快楽を超えて、拷問に等しい。痛い一歩手前ぐらいにきつく抱きしめられていることも、「強く求められている」という自負に繋がり、また快楽を増加させる。

 

 向かい合って強く抱きしめたまま、誠一はベッドのスプリングを利用して激しく下から突き上げる。

 

「ア、ヒィ、ヒィ! ダメ、ダメになる、堕ちる、まだ、もっと堕ちる! ああああ!」

 

 一突きごとに悲鳴じみた嬌声を漏らし、唇を合わせる度に、絶頂する。抵抗など不可能な強さで、固く抱きしめられているから、逃げようがない。そもそも今の麻衣に、何をされても誠一から逃げるという発想は、頭に浮かばない。

 

「い、イク、イ……!」

 

 誠一が精液が膣内奥にあふれた時、麻衣は頭のスイッチを強制的に切られたように、失神した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 二組の男女が、存分に互いを求めあい、幾度となく性行為を繰り返した室内は、むせかえるような精臭が立ち込めていた。だが、今は一時静かな時間が訪れている。

 今夜の性行為が終わったわけではない。

 二つのベッドに横たわる二組の男女は、その四人全員がいまだに一糸まとわぬ全裸で、男二人――叶馬と誠一はどちらも股間のモノを隆々といきり勃たせ、終わる気配など微塵も見せていない。

 

 だが、流石に間に小休憩くらいは挟む。今は、二組の男女の小休憩が丁度重なったようだ。

 ベッドに仰向けに寝そべり、左腕で隣に寝る麻衣を抱き寄せたまま、誠一はふと思い出し、視線をもう一つのベッド――叶馬と静香の使用しているベッドの方へと向ける。

 

「そういや、そろそろ追加メンバーのことも考えなきゃなんねーな」

 

 向こうのベッドで胡坐をかく叶馬と、その股間に舌を伸ばしている静香の視線が誠一に向けられる。

 だが、先に反応したのは、そのどちらでもなく、誠一の隣で寝ている麻衣だ。

 

「ハーレム要員増やすの? 誠一用? 叶馬くん用? それとも二人の共用肉便器ゲット?」

 

「誠一。お前の尽きない欲望を否定はしない。だが、今その体勢で女を漁る相談を始めるのは、流石に麻衣に申し訳が立たないと思わないか?」

 

 ベッドの上で胡坐をかいたまま、淡々とした口調でそういう叶馬に、その股間に顔をうずめ、嬉しそうに舌でペニスに奉仕を続けていた静香は、冷たい視線を誠一に向ける。

 

「誠一さん、最低です」

 

「いいの、静香。私はもう堕ちてるから。誠一がそれを望むなら、受け入れるだけ。痛っ!」

 

 自分の腕の中で、わざとらしく「健気に尽くす報われない女」ごっこをしていた麻衣のこめかみに、誠一は右手で軽くデコピンを食らわせると、大きくため息をつく。

 

「パーティー内の俺の評価が恐ろしく不本意な点については、後日じっくり話し合うとしてだ。

 今、言いてえのは、ダンジョンダイブの戦力としての、新メンバーだ」

 

 一人真面目に、建設的な話をしようとする誠一は、多少ひねくれていても、悪ぶっていても、一度身内と認めた相手に対しては、誠実で献身的だ。それが分かっているから、『隷属』しているはずの麻衣が、これほど安心して全てをゆだねて、幸せそうにしていられる。

 

「えー必要ある? 私達超強いじゃん。へたに人を増やしても、面倒ごと増えるだけじゃない?」

 

 カワイらしく頬を膨らませて、そう言う麻衣の言葉は、多分に個人的な感情からくるものだが、的を射てる部分も多分にある。

 新メンバーを加えるということは、人間関係を再構築するということに繋がる。

 それに失敗すれば、人は増えたのに、戦力は低下した。という現象が普通に起こりうる。

 現状が上手くいっている間は、追加メンバーは不要、というのは全面的に間違った考えではない。

 

 それが分かっている誠一は麻衣の言い分を認めながら、早めに新メンバー確保に動くべきだとなお主張する。

 

「まあ、それも一理あるっちゃあるんだけどな。あいにく俺たちは、盗賊(ゆうげき)術士(バックス)術士(バックス)謎の理不尽(アタッカー)って構成だ。バランスが悪いとまで言わねえが、戦闘に偏り過ぎてんだよ。

 最低でも『文官(オフィサー)』は必須だ。んで、これが俺の急ぐべきだって根拠なんだが、戦闘力がない『文官』は数が少ねえ。なっても、再転職(クラスチェンジ)で、戦闘職になろうとする奴が多いからな。その少ない『文官』は、目敏いパーティーが引き入れちまう」

 

 本気でダンジョン攻略を目指すパーティーの間で、少ない『文官』を取り合う形になる。だから、有望な『文官』を仲間にしたければ、早めに動くべきだ、と誠一は主張する。

 

「ほへー、誠一って普段は誠一なのに、真面目に考えてるんだね」

 

「どういう意味だ、それは」

 

 本気で感心したように、えらく失礼なことを抜かす恋人に、誠一は苦笑を隠せない。

 

「幸い、うちには叶馬の反則スキルがあるからな。叶馬なら『文官』に出来るんだろ?」

 

 誠一の言う『叶馬の反則スキル』とは、『情報閲覧(インターフェース)』のことだ。これは、アカシックレコードにアクセスし、あらゆる人、物のデータを閲覧し、僅かとは言え干渉する事すら可能なとんでもスキルである。

 

「その人間が、条件を満たしていればな」

 

「十分だ。なんならレベル上げも手伝ってやってもいい。そういう意味では、すでに『文官』になってる奴に限らなくて良いから、俺たちはやっぱり有利だな」

 

「それなら、急ぐ必要なくない?」

 

 麻衣の言葉に、誠一は再度首を横に振る。

 

「いや。時間が経てばたつほど、ノービスの奴だって減るわけだから、急ぐに越したことはねえ」

 

「ふむ」

 

 一方叶馬は、誠一の意見に一理あると考えつつも、自分としては以前に提案した『前線の壁役(タンク)』の追加こそ、急務なのではないかと考えていた。

 なにせ、今の自分たちは、未だ地下一階で右往左往している身。一年(ひのえ)組だけに限っても、すでに地下二階に足を踏み入れているパーティーは複数ある。地下二階を主戦場にしているパーティーもあるくらいだ。

 彼らに追いつくためには、戦力の増強こそが優先ではないか。叶馬は真剣にそう考えていた。

 無論、クラスメイト達がダイブしている『既知(きち)領域』と、自分たちがダイブしている『既知外(きちがい)領域』では、モンスターのレベルも数も、桁が違うことも、そもそも自分たちが今活動しているのが地下一階ではなく、『地下三階』であることも、叶馬達は誰も知らない。

 叶馬が「自分たちの先を行っている」と思っているクラスメイトなど、『既知外領域地下三階』に足を踏み入れば、その瘴気濃度だけで失禁しかねない。

 

「誠一がそこまで言うなら、私も反対はしないけど、人は選ぶからね。ダメな人は駄目って言うから」

 

「ああ、それは当然だ。パーティークラッシャーを入れるつもりはねえよ。ていうか、新メンバーは俺が見繕ってくるってことで良いのか? お前らは、誰か当てはねえのか?」

 

 誠一の言葉に、静香は困ったように笑い、麻衣は不機嫌そうに首を横に振る。

 

「すみません。私は、あまり交友関係が広くなくて」

 

「あー、ダメダメ。「仲間に入れて」って女子は何人かいるけど、全員下心満載だから。叶馬くんか誠一のパートナー狙い。私は認めない」

 

 それが、「一緒に叶馬、もしくは誠一に仕える」という心構えならまだ一考の余地もあるのだが、全員静香か麻衣の立場に「取って代わる」ことを企んでいるらしい。少なくとも「あわよくば」という野心はある。

 

「ああ、それは無しだな。叶馬はどうだ? って、お前は無理か」

 

 聞くまでもなく、可能性を切り捨てられた叶馬は、不服を申し立てる。

 

「確かに、その手の行為は不得意だが、やる気はあるぞ」

 

「いや、お前が下手に動くと、とんでもない事態になりそうだから、遠慮してくれ。こっちでなんとか見繕う」

 

「むう」

 

 誠一の言葉に、叶馬は不服そうな声を上げながらも、それ以上の反論は出来なかった。

 実際、叶馬は友達がいない。一年丙組のクラスメイトでも、この場にいる人間を除けば、会話を交わしたことのある人間は一人だけだ。

 

 と、そこまで考えた時に、叶馬の頭に天啓とも言うべき考えが浮かび上がった。

 

 クラスメイトの健太(けんた)

 彼には、ダンジョン内で「ここで会ったことは誰にも言うな」と言われた。

 しかし、「パーティーに誘うな」とは言われていない。

 考えてみれば、彼とはダンジョン内で不本意ながら、拳を交えた間柄。その後、和解してお店(ダンジョンショップ)で、買い物をした仲だ。

 喧嘩して、和解して、一緒にショッピングをした。これは、もう友達と言っても過言ではないのではないか。

 見れば、健太は教室でも、食堂でも、いつも一人で過ごしていた。これは友達として、彼を誘う義務がある、とすら言える。

 

「うむ」

 

 俺も心あたりがあるぞ。そう言いかけて、叶馬はふと、言葉を飲み込む。

 ここで、陰キャでインドア派の自分が「俺も人を呼ぶぞ」と言っても、気の良い誠一のことだ。「無理しなくていい」と断られる可能性が大だ。

 ならば、サプライズだ。当日、直接健太を連れてくれば、誠一も「やるな、叶馬。お前も成長したな」と認めれくれるに違いない。

 

 これだ。これしかない。

 

「あの、叶馬さん」

 

 浮かれる感情が『魂魄結晶(ソルデバイス)』を通して伝わってしまったのか、静香が心配そうに声をかける。

 

「大丈夫だ。問題ない」

 

 だが、そうきっぱりと言い切る叶馬に、『叶馬の全肯定マシーン』である静香は、

 

「はい」

 

 とそれ以上、懸念を伝えることを取りやめるのだった。

 

 

 

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