「そ、それで、お約束の物なんですけど、こ、こ、これです!」
そうして取り出したのは、一枚のカードだ。犬頭の小柄なモンスターが描かれたカード。コボルトの『モンスターカード』である。
一瞬、
「本当に、本当だったんだね。凄いね、健太君たち」
それまでの余裕のある態度はどこへやら、まるで『モンスターカード』に触れると火傷をするとでも思って良そうな様子で、蘭は手を伸ばせずにいる。その意味を掴みかねた健太は、無造作に蘭の手に『モンスターカード』を手渡した。
「どうぞ。確認してください」
「…………え? あ、え? 良いの? 寮の先輩とかから、話聞いてない?」
強い戸惑いを示す蘭に、健太は逆に少し落ち着きを取り戻す。
「いえ、特に聞いていませんけど。何がですか?」
健太の答えに、蘭は苦笑すると困ったように大きくため息をつく。
「今回の取引なら、健太君の後払いが普通なんだよ。場所はこっちのホームなんだから」
曲がりなりにもここは、蘭が暮らす女子寮なのだ。やることをやった後、健太がしらばっくれようとしたら、制裁を科すことができる。逆に、蘭が『モンスターカード』を手に入れて、「報酬はすでに支払った」と嘘をついても、女子寮の中に健太の味方はいない。だから、約束通りセックスをし終えてから、『モンスターカード』を渡すのがセオリーなのだという。
そんなセオリーを知らない上に、緊張でテンパっていた健太は、まだ向こうの『商品』の『包装』すら解いていないのに、こちらの商品を渡してしまった。
本当に慣れていない様子に、蘭は健太をさらに侮り始める。
(これは、本当にこの時期の普通の一年生だね。てことは、本当に運だけで『モンスターカード』をゲットしたのか。その幸運、嫉妬しちゃいそう)
「え、あ、そうなんですね。ど、どうしたら、良いんでしょう?」
蘭の指摘に一度は落ち着きかけた健太が、また動揺し始める。
「もう少ししっかりしようね。前に言ったよね? 『交渉にも応じる』って。それなのに交渉も一切しないで、最初から現物くれちゃうんだもん。私が「これ貰っちゃった」って言ったらどうするつもり?」
「そ、それは……困ります」
健太の素直な感想に、蘭は今度こそ完璧に噴出した。
「こ、こ、困るって、困る……ご、ごめん。アハハハハハ!」
顔を赤らめ、体をよじって笑い続ける蘭の姿は、健太にはとても魅力的に映る。驚異の童貞力を見せる健太は、もうこの時点でかなり蘭に心を寄せていた。
それからしばらく笑い続けた蘭だったが、どうにか笑いの発作が収まると、笑いすぎで浮かんだ目じりの涙を拭きながら、健太に言う。
「もう。ちょっと、交渉を覚えましょう。分かったわ。私はこの『モンスターカード』の対価として、今日一晩健太君がしたいエッチなこと、何でもさせてあげます。これで良いですか?」
「はい!」
健太は即答した。
「だ、か、ら、交渉は?」
ちょっと叱るような蘭の言葉に、健太は困ったように、
「いや、交渉と言っても、その条件で何の不満もないですし」
そう、素直な言葉を発する。その言葉に、蘭は体の奥が熱くなるような、喜びを覚える。
一晩のセックスの対価が、コボルトの『モンスターカード』一枚。学園の価値基準で判断すれば、蘭は友人に「貴女ぼったわね」と言われる取引だ。
現在二年の蘭の価値観は、一年間の学園生活で、ほぼ学園のそれに染まっている。
だから、自分とセックス出来るなら『モンスターカード』を渡して何の不満もない、という言葉が純粋に嬉しい。自分にそれだけの魅力を感じてくれた、と捉えるからだ。
そこまで言ってくれるなら、いっそお言葉に甘えてしまおうか。蘭がちょっとそんなことを考え始めた時、健太はふと思い出したように、尋ねる。
「あ、そう言えば、すごく今更なんですけど、その、蘭先輩は大丈夫なんですか? 俺とその……して。パートナーとか、倶楽部とか」
蘭は二年生だ。二年生なら、すでにパートナーの男がいてもおかしくはないし、大半はどこかの倶楽部に所属している。寮は治外法権ではあるが、それでも自分のパートナーや、自分の倶楽部の女に執着を見せる男は、この学園でも一定数存在する。
健太から見れば、蘭は特上の美人だ。胸が大きく、ウエストは細く、尻は豊か。見るからに全身が柔らかそうで、実際さっきまで触れていた体はとても柔らかかった。容姿も、ちょっと大人びた綺麗系で、十分すぎるくらいに美人だ。ものすごく執着しているパートナーがいてもおかしくはない。というか、いなければおかしいくらいの美人に思える。
だが、そんな健太の感想は、完全無欠に裏切られた。
「健太君は心配性だね。大丈夫だよ、私はパートナーもいなければ、倶楽部にも所属していません」
「…………え?」
本気で予想外の返答に、健太は間抜けな声を発する。
蘭は寂しそうに笑いながら、
「ちょっと前までは、一応Bランクの倶楽部に所属してたんだけどね。捨てられちゃった。私はもういらないんだって。可愛い一年生の為に席を開けろって」
倶楽部にはランクごとに人数上限が設けられている。Bランクならば三十人だ。
通常、倶楽部を牛耳るのは、戦闘力の高い男子だ。Bランクならば、ほぼ間違いなくダンジョン組の倶楽部となる。
そうなると、ダンジョン攻略のための人員が十人から十五人程度は必要とされる。一般的には、このダンジョン攻略の人員は一部の例外を除き、ほぼ男子で占められる。残りの枠に入れてもらう女子は、もうこれはストレートにセックスペットだ。
倶楽部に入れてもらう代わりに、倶楽部の男子全員からセックスを迫られる。拒否権は一切ない。拒否すれば、追い出される。
蘭はそうしたBランク倶楽部のセックス用部員だった。
一般的に、上限ギリギリまで部員を増やす倶楽部は少ない。ダンジョンダイブ、もしくはセックス、どちらかの意味で「見どころのある」奴を見つけた時、すぐに入れられる様に、枠を開けておくのだ。
だが、全ての倶楽部がそうしているわけではない。「オナペットは多ければ多いほどいい。他にもっと良いオナペットが見つかったら、古いのを捨てるだけだ」。そんな考えの倶楽部も一部には存在する。
蘭の所属していた倶楽部は、そうした倶楽部だった。そして、その倶楽部ではこの四月、新一年の女子三人に『内定』を出し、その枠を開けるために、現役の女子部員三人を追い出した。その中の一人に、蘭がいた。
「そんな……」
蘭の口から説明を受けても、健太には現実の話とは思えない。
健太は自分の美意識が、特別世間から離れているとは思わない。その健太の審美眼では、蘭は飛び切りの美女だ。一年
「蘭先輩を捨てるような人、マジでいるんですか?」
それが、飾らない素の言葉であることが蘭にも分かったのだろう。蘭は笑いながら泣いた。
「この時期の一年生だとそう思ってくれるんだね。でも、この学園だと私程度、ほんといくらでもいるから」
これは、自虐ではなくただの事実である。
ダンジョンダイブは、魂魄と肉体の関係を逆転させ、直接魂魄を鍛えるシステムだ。そのため、ダンジョン内である程度の時間を過ごすと、魂魄は本人の意思を反映した形を取る。そして、物質である肉体は、魂魄に沿って変化していく。
結果、豊葦原学園の生徒は、急速にその体を変化させていく。その変化は、圧倒的に女子が著しい。
元々自分の顔、スタイルに対するこだわりが男より強いうえに、自力では生きていけないことを悟った女は、男に好かれる容姿、スタイルであることが学園生活を快適に過ごす上で必要不可欠な武器だと、意識するからだ。
結果、学園で一年も過ごした女子は、大なり小なり性的に成熟した身体になる。
蘭の肢体は、上級生と比べれば、絶対的な武器となるほどのものではない。
ある意味で、直接切った張ったをやっている男達より厳しい女たちの競争の現実に、健太は衝撃を受けつつも、今の健太の頭の大半を占めるのはもっと別なことだった。
つまり、この人は、今フリーなのだ。
「蘭先輩、俺のパートナーになってください!」
それは勢いから出た言葉だが、間違いなく本心から出た言葉でもあった。
今日二度目の対面で、いきなり告白してきた後輩に、蘭はキョトンとした顔をした後、嬉しそうに笑う。
「アハハハ、ありがとう、健太君。でも、さすがに『その商品』はちょっと、『モンスターカード』一枚では、売ってあげられないかな」
「そ、そうですよね。すみません」
恐縮して頭を下げる健太を、蘭は愛おしそうに見つめる。
「だから、私をパートナーにしたいなら、パートナーにしてくれるなら、もうちょっと頑張って。
この『モンスターカード』で五日。五日間、この部屋に来ていいよ。健太君が好きなだけエッチしてあげる。その五日間が過ぎてもまだ、健太君の気持ちが変わらなかったら、色々頑張って私を口説いて。もので釣ってもいいし、他の何かでも良い。エッチに持ち込んで、そして私を墜として。
そうしたら、健太君のパートナーになってあげる。……ううん、その時は、私を健太君のパートナーにしてください」
それは、間違いなく蘭が健太に大きな好意を抱いているからこそ申し出た、破格の条件だった。
ただし、健太が蘭の思っている通り、健太がまだノービスのペーペーだった場合の話だが。
今の蘭はパートナーのいない無所属の女子だが、曲がりなりにも少し前までは、Bランク倶楽部の部員だったのだ。
それよりもう一段下の、Cランクに安定してしまってる倶楽部の中には、普通に彼女を自分の部に入れようとする倶楽部も存在するだろう。
健太が蘭の思っている通り、現時点でノービスだった場合、健太が蘭を『墜とす』には短く見積もっても四、五カ月くらいはかかる。
つまり、今の蘭の宣言はそれまで待っていてくれると言っているのだ。かなり絆されているのは、間違いない。
ちなみに、健太が表向き名乗るつもりでいる、
ゴールデンウィーク前に戦闘系の第一段階職になっているのは、普通科のエリートコース。第二段階職になっているのは、最エリートコースである。年に数人、いない年もあるほどだ。
ともあれ、蘭の申し出は、健太にとって福音以外のなにものでもない。
「はい、頑張ります!」
健太は興奮を抑えられず、何度も頷いた。
交渉は終わった。健太から渡すものは、すでに渡した。次は、蘭に対価を払ってもらう番である。
「…………」
先ほどまでの興奮はどこへやら。この期に及んでもまだ、自分からアクションを起こせない健太に、蘭は優しい笑顔でゆっくり距離を詰める。
「じゃあ、脱がせて」
「は、はい」
蘭の言葉に操られるように、健太は両手を蘭の胸元に伸ばす。
蘭が今着ているのは、ごく一般的なボタンのパジャマだ。ボタンを外すなど、日々の着替えで何度も経験しているはずなのに、
それでも、恐ろしく長い時間をかけて、健太はどうにか、蘭のパジャマのボタン四つを外し終えた。
必然的に、蘭のパジャマの前が開き、胸元からへそまでが露わになる。
「フフ、脱がされちゃった」
谷間がしっかり見えていたので、てっきりノーブラなのかと思ったが、蘭はしっかりブラジャーをつけていた。
乳房の下半分だけを覆う、純白のブラジャーだ。乳首はギリギリ、本当にギリギリ隠れている。
「次は、下を脱がせて」
蘭は健太をリードするように、健太の両手を掴むと、自分の腰に導く。
「…………」
健太は興奮と緊張でまったくの無言のまま、蘭のパジャマの下に指をかける。
下はウエストがゴムのため、脱がすのはさほど難しくない。
健太が下すのに合わせて、蘭はベッドから少し尻を浮かせ、アシストしてくれる。
パジャマは蘭の大きな尻を抜け、柔らかそうな太ももを露わにし、ふくらはぎを越え、最後に両足から完全に脱ぎ去られる。
これで蘭が身に着けているものは、上下の下着だけとなった。
蘭のショーツは、ブラジャーと合わせた同色、同系のものだ。
その白い上下の下着は、蘭の大きな乳房と尻を、どちらも半分ほどしか覆っていない。
その艶姿に、健太のペニスは、ズボンの中でもう痺れるほどに硬くなっている。このままでは、ズボンのチャックが壊れるのではないか、と心配になるほどだ。
自分の下着姿を食い入るように見つめる健太の視線を意識して、蘭はそこで一度止まり、好きなだけ見せてやることにした。
男の中には、裸より下着姿に興奮する者もいることを、この一年の経験則で知っている。
健太の欲望と憧憬の混ざった視線は、蘭の傷ついてさほどたっていない、女としての自尊心を癒してくれる。
自分に性的な魅力があることを実感させる男の視線を感じた時、この学園の一般的な女子生徒が抱くのは、嫌悪感ではない。安堵感である。
健太の視線が少し落ち着いたら次に移ろうと考えていた蘭だったが、蘭の予想に反し、健太の視線は一向に落ち着く様子を見せない。
「次はブラジャーをお願い」
予定を変更してそう言う蘭に、健太は「まだ上があったのか」と感心するくらい、さらに興奮を高める。
「は、はい!でも、どうすれば」
現在、健太と蘭はベッドの上に向かい合って座っている。なお、蘭のブラジャーはフロントホックではない。
蘭は、艶然と笑うと両肘を上げて、
「ほら、両手を私の背中に回して」
と、健太を誘う。
言われた通り、健太は恐る恐る蘭の両脇から両腕を割きこみ、蘭の背中に手を回す。
まるで、蘭の体は壊れ物だと思っているかのように、頑張って出来るだけ触れないようにしている健太の耳元で、蘭が
「もっと、ギュッて強く抱きしめて」
「!!」
耳をくすぐる囁き声と熱い吐息に、健太はビクリと体を震わせ、その後思い切って蘭の体を抱きしめた。
健太はまだ服を着ているが、蘭はすでに下着姿だ。抱きしめると、ブラジャー越しに、とても大きく柔らかな双乳の感触が胸板で感じられる。そこ以外も、どこもかしこも柔らかく、温かい。もう、こうして抱きしめているだけで、頭が多幸感でいっぱいになりそうだ。
「落ち着いた? 大丈夫。好きにしていいんだから。ほら、ホックを外して」
再度の囁き声に、当初の目的を思い出した健太は、ブラジャーのホックを外しにかかる。しかし、童貞男子に四段ホックは手ごわい。
ダンジョンで『
「いっぱい時間をかけて、ゆっくりじっくり外して。壊しちゃったら弁償だからね。上下セットで健太君の好みのを買いに行きましょう」
どう聞いても罰ではなく、ただのご褒美の提案に、一瞬健太は力づくで引きちぎる誘惑にかられたが、例え衣類一枚でも、蘭に乱暴はしたくないという思いが勝った。
パジャマのボタンを外すのと比べても、はるかに長い時間をかけ、健太はどうにか四段のホックをすべて外し終える。
はらりと、ブラジャーが蘭の胸元から滑り落ちる。だが、抱き合うような形で蘭の背中に両手を回していた健太には、それが見えない。
「そのまま、最後の一枚もお願い」
耳元で聞こえた蘭の言葉に従い、健太は蘭を抱きしめた体制のまま、両手を下におろし、最後の一枚――ショーツに手をかけた。
蘭自身の協力もあり、ゆっくりとショーツを脱がしていく。最後の一枚を脱がしたとき、蘭から香る匂いが一段強くなったように感じられたのは、恐らく気のせいではない。一年間の学園生活で、すっかり開発された蘭の肢体は、これだけの時間男と抱き合っていただけで、秘所を滑らせるようになっていた。
健太の手で全てを脱がされた女は、両腕を腹の上で組み、男が見たいと思うところは一切隠さず、柔らかく微笑む。
「あ、はあ、ふわあ……」
「次は、私が健太君を脱がせても良いかな?」
「あ、はい。お、お願いします」
「うん、失礼するね」
手慣れた蘭の手で、健太が全裸になるのにかかった時間は、蘭のそれの十分の一にも満たなかった。
ヘタレを極めているような健太でも、流石にお互い一糸まとわぬ全裸までくれば、緊張やためらいも興奮に押しやられる。
「蘭先輩」
健太は裸で、裸の蘭を抱き寄せ、蘭の唇に自分のそれを重ねようとした。
「うん」
蘭はそれを拒否せず、むしろ積極的に受け入れる。
「ん、んん……あ……」
重なり合う唇より下では、蘭の大きな裸の乳房が、最近気持ちたくましくなってきた健太の胸板でつぶされている。さらに、その下では、ほとんど下腹部にくっつきそうなほどに勃った健太のペニスが、蘭の下腹部に押し当てられている。
「うん……んん」
蘭は、こらえきれず自分を押し倒そうとする健太を巧みに誘導し、口づけを交わしたまま、自分が下になる形でベッドに体を横たえる。
裸で仰向けに寝ても、なお「大きい」と分かる蘭の双乳の上に、健太は覆いかぶさるようにして、夢中で口づけを続ける。
もう、目が血走るほどの興奮状態だ。ゆっくり、女の体の触り方をレクチャーできるような状態ではない。幸いと言うべきか、一般的な学園女子である蘭は、すでに問題ないくらいに潤っている。
これは、ひとまず一度、出させなないとどうにもならない。そう結論付けた蘭は、そっと唇を離すと、しっとりとした声で告げる。
「ねえ、もう来て。私、我慢できない……」
うるんだ瞳でそう告げる蘭の言葉に、健太が抗えるはずもない。
「はいっ!」
いよいよ、その時だ。健太は、少し足を開いて仰向けに寝る蘭の足の間に、膝立ちの姿勢で入り、勃起しすぎて上を向いてしまっているペニスを手で無理矢理少し下におろしながら、その先端を蘭の股の間に、当てる。
「うん、いいよ、うん、そこ……」
蘭は巧みに体を浮かし、動かし、初心者の健太のペニスを正しい位置へと導く。
「フッ!」
興奮と緊張から、ダンジョンでも上げたことのない気合の声を発して健太は、腰を前に突き出す。
ズブリと固い肉棒が、温かく柔らかい肉壺の中へと差し込まれる。
熟れた女肉の感触に、今日まで半月、我慢に我慢を重ねてきた童貞が我慢できるはずもない。
「あっ!?」
奥までペニスを突き刺した。ただそれだけで、健太は激しく射精してしまった。
第一段階職を八つ、第二段階職を一つマスターした男が、半月の間ためにためた精だ。無論、健太もこの半月の間、一度も射精をしていなかったわけではない。しかし、自慰では性欲は多少落ち着いても、ダンジョンで高まった精力は発散されない。それは、正しく女の
その第一射は、蘭の予想どころか理解すら超えていた。
「あああ……!」
それまでの余裕から、一瞬で体を弓ぞりに反らし、口から断末魔じみた絶頂の声が漏れる。
蘭は元Bランク倶楽部の部員だ。仮にもBランク倶楽部となれば、部長や幹部には何人か第三段階職の者もいる。彼らの精液を注がれた経験もある。
だが、今の健太から注がれたそれは、それらとも全く次元が違う。
「う、嘘……お、堕ち、る……?」
たった一度の射精で、七割がた自分が堕ちたことを実感した蘭は、今更になって焦りの声を上げる。
「け、健太君、ちょっと待って」
「はあはあはあ、蘭先輩!」
だが、健太は全く言うことを聞かない。そもそも興奮で聞こえていないのだ。通常の第二段階職になった男でも、五度や六度の連続射精は可能なくらいの精力を誇る。いわんや、例外的に複数の
健太は、蘭の上に自分の上半身を覆いかぶせ、狂ったように腰を振るう。
「待って、待って、待って!」
覆いかぶさる健太を下から押しのけようとして、蘭は健太の体を一ミリも動かせないことにやっと気づく。これまでは、ずっと健太が蘭の誘導に素直に従っていたから、全く気が付かなかった。健太と蘭では、抵抗が無意味なくらいの力の差があった。
「嘘…あ、また……! あああ」
どれだけ力と体力、そして精力が増していても、所詮は童貞を卒業したばかりだ。膣内の刺激に全く慣れていない健太のペニスは、文字通り三擦り半で第二射を放つ。射精しながらも、健太の腰は止まらない。
「あ、待って、ほんと、まって、無理、これ、無理……!」
学園上位層に匹敵する精力を、童貞の早さで矢継ぎ早に注ぎ込まれる。
「先輩、蘭先輩! またイきます」
今度は宣言できただけ、多少は余裕が出来てきたのだろか。
「待って、堕ちてる、うそ、ほんとに堕ちる……あああ!」
蘭は、これまでに何度か経験した、その感触を体の奥に覚えた。『隷属』。特定の男専門に体を作り替えられてしまう現象。『隷属』された状態で、他の男に無理矢理抱かれ続ければ、やがて『隷属』はそちらの男に移る。それを何度も繰り返すと、だんだん『隷属』しやすくなる代わりに、『隷属』自体は浅くなる。
倶楽部で複数の男たちに、何周も『隷属』を回された経験のある蘭は、かなり『隷属』が浅い方だ。
それでも、『隷属』がもたらす快感と愛情は、抗えないほどに甘美だ。
「あ、健太君、まだしてくれるの……」
すでに手遅れとなった蘭は、両手を自分に覆いかぶさる健太の背中に回す。汗ばむ健太の背中を愛おしそうに撫でながら、自分の中で不器用に動く健太のペニスを健気に締め付ける。
「先輩、それ良いです!」
「良かった」
健太に喜んでもらえた蘭は、心底嬉しそうに笑う。
あっというまに次の射精。もちろん、それで終わるはずない。
「ああ、健太君……もっと、もっと可愛がって」
一度上体を起こした健太は、蘭のその胸と同じくらいに大きな尻に両手を回し、先ほどよりは少しは器用に腰を振るう。
「あっあっあっ! いい、凄い、あ、また来る! え? 堕ちる? また、堕ちる!?」
次の射精で、また『隷属』した蘭は、初めての現象に声を
フリーセックスが基本の豊葦原学園では、意外とあまり知られていない現象だが、『隷属』状態でさらに同じ男から精を注がれ続けると、『隷属』は深まる。同じ男に抱かれ続ける限り、『隷属』はどこまでも深くなっていく。深まった『隷属』は、そのまま快感の強さ、愛情の深さ、そして『隷属』の強固さに現れる。
健太はもう自分が何度蘭の
体位が正常位から変わらないのは、経験がないから他の体位を取れないというより、体位を変える時間すら惜しいというほうが正解に近い。
「あ、健太様、凄い! 健太様、ぎゅって、抱きしめてください」
「はい、蘭先輩!」
やっと少し蘭の言葉を理解できるようになったのか、健太は言われるがまま、ベッドと蘭の背中の間に腕を入れ、蘭の体を抱きしめて、全身を密着させる。
「凄い、また、イク、また堕ちます……」
もはや、堕ちること自体に蘭は快感を覚える。大好きな愛おしいご主人様に刺された
「健太様、私を自由に使ってください!」
さらに堕ちる。
「ああ、幸せです。健太様もモノになれて、蘭は幸せです」
さらに堕ちる。
「ああ、ご主人様。またイきます。蘭は、またイってしまします……不甲斐ない蘭をお許しください……」
さらに堕ちる。
今の蘭にとって、性技に長けた『
その夜の性行為は、蘭が気を失い、そのことに気づいた健太が正気を取り戻すまで続いた。