※この作品はR-18です。

ハイスクール転生アンド巻き込まれ   作:ミタライ

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幕間4-1 女子対談(みつだん)

 豊葦原学園は、陸の孤島に存在する全寮制の巨大学園だ。

 一学年千人の五年制の全生徒を囲い込む学園の敷地は、大概の想像を超えて広い。

 学食は総合大学の学食よりも広いし、購買は大きめのスーパーもしくは小さめのショッピングモールだ。

 他にも馬鹿げて大きく施設の充実した武道館、大概の公立図書館よりは大きく、資料も充実している図書館、なぜかこれだけは普通の高校とあまり違わない体育館などが敷地内には点在しており、生徒の中で学校内の施設をすべて把握している者は皆無なのではないか、と思えるほどだ。

 

 特に、学園内に点在する小さな飲食店は、ほとんどの生徒が存在すら知らないのではないだろうか。

 生徒の多くは、寮費に食費が含まれている寮の食堂で朝夕をすませ、学食で昼食をすませている。逆に『銭』に余裕がある一部の生徒は、休日やサボりで外食をするにしても、学生街まで足を延ばす。

 

 カフェ『勿忘庵』は、そんな学園内施設の中でもつい最近旧厩舎をリフォームして開店したばかりであり、まさに穴場、隠れ家という表現が相応しいこじんまりとした喫茶施設だった。

 

 

 

 

夕暮れ時。窓から差し込む夕日が木造の小さな店内を、赤く照らし出す中。小さな丸テーブルを挟んで椅子が二つ供えられている二人席に、二人の女子が向かい合って座っていた。

 

「急な呼び出しなのに来てくれて、ありがとうかな。静香(しずか)ちゃん」

 

 そう言うのは、長い黒髪を一つにまとめて眼鏡をかけた女子――凛子(りんこ)だ。倶楽部『匠工房(アデプトワーカーズ)』副部長。部長の蜜柑(みかん)は精神的に支柱であり、実際の倶楽部の運営は彼女が回している。

 

(あんず)先輩からの伝言ですから。こちらとしては、安心して足を運ぶことが出来ます」

 

 凛子(りんこ)よりも長い黒髪を真っすぐに下ろしている静香(しずか)は、そう答えると口元に意味深な笑みを浮かべた。

 (あんず)は『匠工房(アデプトワーカーズ)』の一員であり、叶馬(とうま)に完堕ちしている一人である。

 静香(しずか)の返答には、「(あんず)を信用している」イコール「(あんず)はすでにこちら側の人間だ」、というけん制の意味が込められていた。

 無線が一切使えない学園内で、人を呼び出そうと思うと人づてに伝言を頼むしかない。一応有線のネットは使用可能なのだが、生徒の間で一般的な連絡手段とはなっていない。

 

 凜子は眼鏡をはずすと、静香(しずか)を待っている間読んでいた文庫本の上に載せる。

 入学前は眼鏡が手放せないド近眼だった凜子は、今でも腰を据えて文字を追う時は眼鏡をかける癖がついている。

 その眼鏡は、一応ダンジョンで発見したマジックアイテムだ。効果は「霧や煙、水蒸気等による視界阻害を低減させる」というあまり強くないものだが、ふちのないフレームと小さめのレンズのデザインが気に入って、凜子は伊達眼鏡として愛用していた。

 

「うん、叶馬(とうま)くんなら(あんず)ちゃんの面倒を見てくれるだろうから安心かな。(もも)ちゃんもクルミちゃんも、もちろん私も、ね」

 

 凛子(りんこ)はそう言って制服の襟に留めてあるパートナーバッチを指で弄んだ。

 

 (あんず)桃花(とうか)久留美(くるみ)、そして凛子(りんこ)自身。四人とも『匠工房(アデプトワーカーズ)』のメンバーで、叶馬(とうま)に抱かれ、叶馬(とうま)に隷属している女子である。

 ただし、正式に叶馬(とうま)のパートナーとなっているのはその中では凛子(りんこ)だけである。現時点では。

 

「はい。叶馬(とうま)さんはお優しいですから。全員、安心して飛び込んできてください」

 

 凛子(りんこ)の「自分たちも叶馬(とうま)の女だ」宣言にも、静香(しずか)は全く動じることなくむしろ誇らしげな笑顔でそう答える。

 

「そう言ってもらえると助かるかな。あんなことされちゃったら、もう惚れるしかないって感じだし」

 

 そう言って頬を赤らめる凛子(りんこ)に、静香(しずか)はピクリと煮出し乳茶(チャイ)の入っているティーカップを小さく揺らす。

 

「『学生決闘(メンズ―ア)』でしたか」

 

「うん。目の前で奪い取ってもらっちゃった」

 

 凛子(りんこ)叶馬(とうま)の正式なパートナーとなった日曜バザーでの『学生決闘(メンズ―ア)』騒動については、すでに静香(しずか)も一通り情報を集めている。

 凛子(りんこ)の元パートナーが所属するBランクのチンピラ倶楽部の面々が、謎のヒゲメガネ、ハゲヅラコンビに一方的にやられて、彼らのパートナー二人がヒゲメガネとハゲヅラのものとなった、らしい。

 静香(しずか)が集めた情報はそんなところだ。

 

 凛子(りんこ)は自分が叶馬(とうま)のものである証であるパートナーバッチを愛おしそうに指で撫でながら、口を開く。

 

「んで、叶馬(とうま)くんのハーレムは現状、静香(しずか)ちゃんが仕切ってるってことで良いのかな」

 

「はい」

 

「それで『叶馬(とうま)くんハーレム拡大計画』は、叶馬(とうま)くんはあずかり知らぬことで、全部静香(しずか)ちゃんが暗躍しているってことで良いのかな?」

 

「はい」

 

 凛子(りんこ)のかなり聞こえの悪い問いに、静香(しずか)は全く悪びれることなく、堂々と肯定の答えを返した。

 実際、凛子(りんこ)の指摘は全面的に事実である。

 叶馬(とうま)は、ただ衝動を欲望に任せて、据え膳を頂いているだけだ。『匠工房(アデプトワーカーズ)』の二年生女子十二人全員を叶馬(とうま)ハーレムに組み込もうとしているのは、静香(しずか)の方である。

 

叶馬(とうま)さんの望みをかなえることが、私にとって最優先ですから」

 

 あっさりとした口調が逆に凄みを感じさせる。

 ちなみに静香(しずか)叶馬(とうま)の間には、静香(しずか)が勝手な考えでおせっかいを焼いている、ということは起こりえない。

 静香(しずか)の『魂魄結晶(ソルデバイス)』が叶馬(とうま)(てのひら)に融合して以降、叶馬(とうま)の思考や感情、欲望、衝動はほぼ全て静香(しずか)に伝わっている。

 

「あ、うん。ある意味お似合い、かな」

 

 静香(しずか)のガンギマリぶりを理解した凛子(りんこ)は、少し気圧されるように言葉に詰まる。

 それでもすぐに体勢を立て直し、実用的な話を進める。

 

「まあ、こっちとしてもご主人様に忠実なまとめ役がいることは悪くない、かな? ところで、こっちの条件は聞いてるかな?」

 

「そうした些事の調整は、叶馬(とうま)さんではなく私の役割ですから」

 

「つまり、全く聞いていないってことかな」

 

 叶馬(とうま)に「自分たちがパートナーとなる条件」を伝えていたはずが、全く伝わっていなかったことを静香(しずか)の返答で確信した凛子(りんこ)は大きくため息をついた。

 

 

 

 

 

 

 静香(しずか)凛子(りんこ)は、叶馬(とうま)との夜の生活や、ダンジョンダイブ、そこでの『銭』の取り分、『匠工房(アデプトワーカーズ)』の仕事に対するスタンスなど、詳細について一通り、条件を定めた。

 

「うん。その条件なら私達も全員、叶馬(とうま)くんをご主人様として受け入れられそう。問題は、私同様パートナー登録されちゃってる子がいるってことかな」

 

 凛子(りんこ)はそう言って少し表情を引き締める。

 男子が女子を所有するに等しい学園のパートナー制度だが、それでもパートナーとなった男子の義務や、パートナーとなったことで生じるトラブルもないわけではない。そのため、意外と誰かのパートナーになっている(されている)女子はそこまで多くはないのだが、『匠工房(アデプトワーカーズ)』十二人の中でも、パートナー登録されている女子は凛子(りんこ)だけではなかった。

 

 二年になって以降、押しかけて来たのは凛子(りんこ)のパートナーが初めてという状況からも分かる通り、とっくに飽きて捨てられているに等しい状況だったが。

 それでも、いざパートナーを解消しようとすれば、「やっぱり、おしい」「今は使ってなくともそのうち使うかも」と考えるのが、この学園の男子の大半だ。

 

 それでも、静香(しずか)は余裕のある口調で答える。

 

「『銭』で解決するのでしたら買い取ります。交渉が決裂するのでしたら、叶馬(とうま)さんの出番です。今の叶馬(とうま)さんの『学生決闘(メンズ―ア)』を断ることのできる上級生はいないでしょうからね」

 

 規則上『学生決闘(メンズ―ア)』は格下からの挑戦は拒否できない。

 上級生を相手に『学生決闘(メンズ―ア)』を仕掛け、その全てに叶馬(とうま)が勝利することを毛ほども疑っていない静香(しずか)の態度に、凛子(りんこ)はため息をつく。

 

「まあ、取って来るダンジョンアイテムや、この間の『学生決闘(メンズ―ア)』なんかで二年のダンジョン勢より強いことは分かってたけどね」

 

 非常識にもほどがある、とあきれた表情を隠さない凛子(りんこ)に、静香(しずか)は今日初めて少し躊躇った後、おずおずと問いかける。

 

「あの、つかぬことをお聞きしますが、やはり叶馬(とうま)さんはおかしいのですか?」

 

「……は?」

 

 凛子(りんこ)の表情と声が如実に語っている。「お前、頭大丈夫か?」と。

 流石にその視線は静香(しずか)にもダメージがあったのだろう。

 静香(しずか)は少し慌てて顔の前で右手を振ると、

 

「いえ、違います。叶馬(とうま)さんが普通ではないことは流石に理解しています。その人格というか精神性とかありかたとかは。私がお聞きしたいのは、『叶馬(とうま)さんの強さ』がこの学園の基準でも現時点でおかしいのか、ということです」

 

 そんな少し早口になった静香(しずか)の言葉にも、凛子(りんこ)は胡乱げな表情を変えない。

 

「いや、それだって分かるでしょ。寮の先輩から聞いてない? レベルアップや転職(クラスチェンジ)の平均速度や最速記録とか。もしくは、教室でも他のパーティーの進捗とか聞こえて来るでしょ。それと比べて可笑しいと思わなかった?」

 

「それは、まあ確かに私たちのパーティーは進んでいる方なのかな? とは思うのですが、学年のトップ層はこのくらいなのかも? という疑念もまたありまして」

 

「ないない、ないかな。少なくとも、私達の学年には入学一カ月で二年のBランク倶楽部員を一蹴できるようなお化けはいなかったかな」

 

 凜子(りんこ)はしつこいぐらい否定の言葉を重ねる。

 入学一カ月の一年が二年のダンジョン勢の戦闘職に勝利するというのは、それくらい異常なことなのだ。

 これが入学半年というのならば、それこそ今静香(しずか)が言ったように学年のトップ層ならば、二年のダンジョン勢を相手に勝る可能性も出て来る。だが、入学一カ月はいくら何でも時間が足りなすぎる。

 

静香(しずか)ちゃんって情報収集はしっかりしてそうなイメージだったんだけど?」

 

 凛子(りんこ)の半眼を受けて静香(しずか)は少し困ったような表情を浮かべながら、

 

「はい。確かに色々と調べてました。その結果と照らし合わせると、叶馬(とうま)さんの強さは「ありえない」という結論になるのですが」

 

「ですが?」

 

「あいにくと私が直接この目でダンジョンダイブを見た事のある男子は叶馬(とうま)さん、誠一(せいいち)さん、健太(けんた)さんのお三方だけなので」

 

「ああ……そういうこと……」

 

 それだけで静香(しずか)の問題がなんであるか理解した凛子(りんこ)は、天井を仰ぎ見る。

 叶馬(とうま)一人だけならば、その突出具合を「異常」「バグ」「例外」「なんか変なの混ざってる」と理解できただろう。

 だが叶馬(とうま)健太(けんた)。はたから見ると同じくらいに突出した強さの男子が身近に二人いたせいで、「あれ? ひょっとして異常ではなくてハイエンドはこれくらいなの?」という疑問を抱いてしまった。

 

 異常さも一目でわかる叶馬(とうま)と違い、健太(けんた)は一見するとこの学園では落ちこぼれの部類に入る、弱い男子にしか見えない。

 しかし、これまでに健太(けんた)が持ち込んだダンジョンドロップ品を見ていた『匠工房(アデプトワーカーズ)』の面々は、健太(けんた)も普通ではないことには気づいていた。そして、この間の『学生決闘(メンズ―ア)』で初めて見た健太(けんた)の戦う姿は、凜子たちには叶馬(とうま)と違いを見つけられないレベルだった。

 

「うん、理解したかな。訂正、というか付け加えるかな。叶馬(とうま)くんと健太(けんた)くんの強さは明らかに異常、かな」

 

 凜子(りんこ)はそう断言した。

 才能ある生徒は半年もすれば、上級生の大半よりも強くなる。そういう「ハイエンド」は各学年に数名はいる。だが、それでもやはり一年以上ダンジョンダイブを繰り返している上級生に追いつき、追い越すには数か月の時間を有する。

 入学一カ月で追い抜くというのは、「あり得ない」レベルの話だ。

 

「そうなのですね。それならば、問題ありません。ヒゲメガネ紳士にお任せください。場合によってはハゲヅラバディも助けてくれるかと」

 

 当たり前のようにそう言う静香(しずか)の言葉に、凜子(りんこ)は今更ながら確認を取る。

 

「ったく、私が文句を言える立場じゃないけど、なんであんなふざけた変装?するんだか。にしても、本当に私達全員叶馬(とうま)くんのものになって大丈夫なの? 叶馬(とうま)くんの負担とか、健太(けんた)くんの取り分とか普通あるでしょ。私や(もも)ちゃんイチゴちゃんは健太(けんた)くんの方に行った方が良くない?」

 

 凛子(りんこ)のあげた三人の名前。凜子(りんこ)桃花(とうか)市湖(いちご)の三人はチビロリ集団な『匠工房(アデプトワーカーズ)』では少数派な巨乳や大人びたタイプの女子だ。健太(けんた)の女の好み、性癖は完全にばれているようだ。

 

叶馬(とうま)さんに関しては全く問題ありません。むしろ、先輩達にもかなり頑張っていただくことになるかと」

 

 現状、静香(しずか)沙姫(さき)海春(みはる)夏海(なつみ)の四人で毎晩叶馬(とうま)の相手をしているが、はっきり言って四人がかりでも全く歯が立っていないのが現状だ。

 静香(しずか)の感覚では『匠工房(アデプトワーカーズ)』の十二人が加わって「これなら勝負になるかも? いや、まだきついか?」くらいだと感じている。

 すでに叶馬(とうま)と複数回肌を合わせて、ガッチリ隷属している凛子(りんこ)には、静香(しずか)の言葉が嘘や大げさではないと感覚で理解できたのだろう。

 

「うわ、心配が真逆。静香(しずか)ちゃん、沙姫(さき)ちゃんに双子ちゃんでしょ。私に(あんず)ちゃん、(もも)ちゃん、クルミちゃんを合わせるとすでに八人よ。それでまだまだ余裕があるっておかしすぎるかな」

 

 一般的に同時に隷属させられるのは四人くらいでも破格と呼ばれるレベルだ。叶馬(とうま)の器は破格を通り越している。

 

「あと、健太(けんた)さんにはこちらからも打診したのですが断られました。「『匠工房(アデプトワーカーズ)』の絆は強固。全員揃ってこそ『匠工房(アデプトワーカーズ)』。引き離していけない」だそうです」

 

 健太(けんた)自身は自覚していないようだが、あの時の健太(けんた)静香(しずか)が知る限り今までで一番真剣で強い拒絶を見せた。それまではなんだかんだ言って叶馬(とうま)静香(しずか)たちには異常なくらいに甘い健太(けんた)が、こちらの提案をここまで強固に拒絶することもあるのだ、と驚いたほどだ。

 

「あー、うん、そう。そうかー」

 

 予想外の答えに、凛子(りんこ)は珍しく照れたように視線を泳がせる。凛子(りんこ)には健太(けんた)の気遣いが嬉しい。

 その結果は「自分の友人に全員纏めて隷属させる」というものなのだが、それでもこの学園では破格の気遣いだ。

 蜜柑(みかん)が中心になって築いた『匠工房(アデプトワーカーズ)』の絆の価値を認めて、それを守ろうとしてくれている人がいた。その事実に凛子(りんこ)は胸の奥が温かくなる。

 

「んじゃ、お言葉に甘えて全員纏めて叶馬(とうま)くんのお世話になろうかな。あ、でも、健太(けんた)くんにも同じくらい感謝してるから、貸し出されたら目いっぱいサービスしとくかな」

 

 誰かのパートナーになってもそのパートナーの友人に、自分が貸し出されることを当たり前に想定している凛子(りんこ)は、完全にこの学園に染まっていると言える。

 だが、そんなこの学園では当たり前な凛子(りんこ)の言葉に、静香(しずか)は少し困ったように眉を寄せると、警告する。

 

「それはあり得ないですから、そちらから申し出るのも控えてください。叶馬(とうま)さんも健太(けんた)さんも、その辺りについては全くこの学園の流儀に従う気がありませんから。二人とも非常に独占欲が強いので、自分の女を他の男に抱かせることはありません」

 

「わ、うわあ……それやるんだ。出来ちゃうんだ」

 

 静香(しずか)の言葉に凛子(りんこ)はドン引きしながら、同時に体の奥底から湧き上がる歓喜に震える。

 この学園で男子が女子を、それも複数の女子を独占するというのは、簡単なことではない。女子を共有する、女子を貸し出す、女子を借りる。そうした行為が、男子の間では当たり前であり、そうすることが男子同士の仲間意識や結束を築く大きな要因となっている。

 それをやらないで押し通すのには、大多数の男子と繋がりが無くてもやっていける突出した個の力が求められる。

 

「聞けば聞くほど似たもの同士だね、叶馬(とうま)くんと健太(けんた)くん。一見すると、全く似てないのに」

 

「それ言うと健太(けんた)さんは嫌がりますよ。健太(けんた)さんが言うには叶馬(とうま)さんと健太(けんた)さんは、「アイ○ンマンとメ○ルマンくらい違う」らしいです」

 

「具体的にはどこがどんな風に違うのかな?」

 

「私には分かりかねます」

 

 静香(しずか)はすまし顔で、ティーカップを傾けた。

 

 

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