――穿界迷宮『YGGDRASILL』、接続枝界『黄泉比良坂』――
――第『捌』階層、『既知外』領域――
ゴールデンウィーク明け初日の放課後。
健太は、ソロでのダンジョンダイブを敢行していた。
現在健太がいるのは、第九階層。
第八階層から始まった今日のダンジョンダイブだったが、運よく第九階層に繋がる『界門』玄室が近くに見つかり、そこを守る『界門守護者』の七頭大蛇が相性よく倒せたことで、本日は第九階層を探索の場とすることが出来た。
第九階層は地下迷宮型最後の階層。この下の第十階層から自然領域型に変わる。
第十階層に到達することは、一つの目安だ。
第十階層より下を探索していれば、曲りなりも中堅と言われるレベルだ。ここから第二十階層の『新世界』までは、深度と難易度が比例しなくなる。階層ごとの特色と相性が重要視される。
そして何より、第十階層に到達することで第三段階への転職が可能になる。
「第十階層に続く『界門』玄室が見つかれば、今日中に第十階層に足を踏み入れたいところだ」
後で『脳外記憶領域』で情報を纏める、見直すを行うため、ソロダイブでは意識的に独り言を増やしている健太はそう呟く。
健太は、『文官』のスキルである『位置』をこまめに使い、周囲の地形を『脳外記憶領域』に落す。
理想は『位置』を使えば『脳外記憶領域』にオートマッピング出来るようにしたいのだが、今のところそこまでスキルを使いこなせていない。
いっそ『文官』の上級職である『案内人』を取得し、『地図帳』のスキルを取得することも考慮すべきかもしれない。
地下第六階層から出没し、ここ地下第九層までに広く出没するモンスターであるオークは学園男子に人気で、女子に大不人気なモンスターである。
男子に人気なのは人間に近いサイズ(それでも二メートル越えだが)の人型モンスターのため、流用可能な武器防具を比較的頻繁にドロップするからだ。
女子に不人気なのは簡単で、オークが牡だけの種族で、女と見ると激烈に犯し続けるセックスモンスターだからである。
オークが第六階層から第九階層にかけて広く出没するとは言っても、流石に階層ごとに傾向がある。第六階層からはレベルの上昇が緩やかになるのは確かだが、緩やかなだけで九階層までは下に行けば行くほど難易度が上がるのは間違いない。
そのため、オークも階層が下になる程手ごわくなる。下の階層になる程群れの数が増え、群れの中にオークナイトのような手ごわいレア個体が混ざっている確率が高まる。
そんなオークのレア個体の中にオーク『蜥蜴騎兵』という個体が存在する。第九階層に巣くう巨大蜥蜴に騎乗して戦うオークだ。
オークナイトと違い、鎧は着ていないし騎士のスキルも使ってこないが、オークが巨大蜥蜴に乗っているというだけで脅威だ。
元々オークは力はあるが脚は遅いモンスターである。それこそ、質の悪い倶楽部が女子を生餌として放り出しても、非戦闘職の女子が走って逃げられる可能性があるくらいに。
対して、巨大蜥蜴は騎獣となるモンスターとしては鈍足の部類だが、それでも中堅どころの戦闘職の大半よりは足が速い。逃げられないオークと言うだけでも脅威なのに、巨大蜥蜴は体重二百キロ越えのオークを乗せても走行に支障がないほどの巨体を誇る。体重ならば余裕でトン単位だろう。
それがただ野生のまま暴れるのではなく、オークというある程度知恵のあるモンスターに使役されて突進してくる脅威は容易に想像が付くだろう。
『既知』領域でオーク蜥蜴騎兵が出れば、九階層を稼ぎ場所にしている程度のパーティーはほぼ全滅だ。
そのオーク蜥蜴騎兵がここ、『既知外』領域第九階層では十匹以上の群れで出没する。数トンの巨大蜥蜴に乗った二百キロ越えのオークが十匹以上の群れを成して突っ込んでくるのは、もはや悪夢の光景と言える。
そんなオーク蜥蜴騎兵の群れが、最大速度で広い通路を爆走していた。後ろから迫る悪夢から逃れるため。
『《土精霊、足止めしろ》。《風精霊は上から追走、攻撃》。《水精霊は右回りで回り込んでオークを攻撃》。《火精霊は左回りに回り込んで巨大蜥蜴を攻撃》』
「ヒギッ!?」「ギャア!!」「シャア!!」「アブッ?」
忠実に健太の命令を実行する四種三十体、合計百二十体の精霊によって、大蜥蜴に乗ったオーク――オーク蜥蜴騎兵の群れが追い込まれていく。
三十体の土精霊が『土縛り』で『巨大蜥蜴』の脚を床に縛り付ける。もっとも健太が召喚している精霊は下級精霊に過ぎず、オーク『蜥蜴騎兵』は相対的に高レベルだ。そのため、土精霊の『土縛り』の大半は抵抗されてしまう。
だが、それで良い。運悪く抵抗に失敗した一匹か二匹のオーク『蜥蜴騎兵』だけがその場にとどまり、他は先へと進む。
そうして動きの止まったオーク『蜥蜴騎兵』に、水精霊が水弾、火精霊が火弾を放つ。攻撃役の水精霊、火精霊も下級精霊だが、一、二匹のオーク蜥蜴騎兵に水弾、火弾がそれぞれ四十発ずつ集中砲火すれば、いくらオークと巨大蜥蜴が強い生命力を誇ると言ってもひとたまりもない。
結果、逃亡を続けるオーク『蜥蜴騎兵』の群れは、一匹、また一匹と数を減らしていく。
これならばいっそ総員で反転攻撃に出るべき、という判断は間違ってもオーク『蜥蜴騎兵』の頭にはよぎりもしない。
邂逅一番、大剣の一閃で彼らのリーダーであるオーク『蜥蜴騎兵長』を騎乗している特大の巨大蜥蜴ごと一刀両断にした化け物に立ち向かう気骨は、彼らに残っていない。
オーク『蜥蜴騎兵』の群れは、最後の一匹まで逃走の果てに仕留められた。
巨大蜥蜴、精霊大蛇、有翼蛇、徹甲虫、そしてオーク。
第九階層のモンスターはほぼ全て十体以上の群れで出没する(徹甲虫など、さながら散弾銃だ)。
だが、そのいずれも今の健太の脅威たりえない。
『戦士の不動心』がオンになっている健太は現状自戦力と、これまでの戦闘結果。そして、これまでの階層における階層で出没するモンスターの強さと、その階層の『界門守護者』の強さの傾向から、問題ないと判断を下す。
無論、事前の準備は万全にする。
『増強術士』の各種『増強』スキル。『硬盾士』の持続時間の長い『盾強化』のスキル。『遊び人』の『自慰』。そして、前回会得した『司祭』の『祝福』『守護』と、今日コンプリートしたばかりの『盾騎士』の『追尾盾』といった持続時間の長いスキルを掛けられるだけかける。
その後健太は、第十階層に繋がる『界門』玄室に足を踏み入れた。
「キイィ!」
第十階層に続く『界門』を守っているのは、一匹のトカゲのようなモンスターだった。
大きさは、さほどでもない。スリムな体つきの四つ足の爬虫類。大きさだけならば、九階層でよく見る巨大蜥蜴よりはるかに小さい。
重種の馬ならば、これくらいの個体はいてもおかしくはない。そう思える程度の大きさだ(ただし、尾の長さは頭から尻までと同じくらいあるので、尾を含めた体長で測れば馬の比ではない)。
しかし、その強さは巨大蜥蜴の日ではない。それどころか、これまで相対した全ての『界門守護者』『逸脱個体』と比べても一回り強いと健太は、分析する。
「《はっ》!」
噛みつき攻撃を左肩前に浮いている光の盾――『追尾盾』で受け止めながら、右手の小剣――『金狼木霊剣』で『斬撃』を放つ。
「《ふっ》!」
その攻撃をトカゲ型モンスターが素早い身のこなしで回避するのは想定済み。健太は続けざまにトカゲ型モンスターの回避方向に『火炎壁』を立てた。
「キッ!?」
流石にこれは予想外だったらしく、トカゲ型モンスターは炎の壁に頭から突っ込んでしまう。しかし、
「カッ!」
トカゲ型モンスターは、火炎壁からすぐに脱出はせず、むしろその炎の壁を目隠しにして、その長い首を曲げてこちらに向け、口から火炎球を打ち放った。
「《せい》」
バスケットボールほどの火炎球を健太は危なげなく、左腕の方形盾で受け流す。
「……大したダメージではないが、ノーダメージでもない。厄介だな」
健太は離れた場所でこちらを睨むトカゲ型モンスターに視線を向けたまま、そう呟く。
火炎壁に突っ込んだトカゲ型モンスターは、その緑の鱗に覆われた体の一部が確かに焼け焦げていた。しかし、全く大したダメージではない。
口から火炎球を放ったこともあり、いっそ炎無効であればまだマシだった。多少なりともダメージが通ったということは無効ではない。
火属性に強い防御力と言うことならば良いが、そうでないとすれば素の防御力で健太の火炎壁をそれだけ防いだということになる。
盾で受け流した火炎球も、直撃していれば今の健太でも結構なダメージになっていたと思われる感触があった。
攻撃力。防御力。俊敏性。生命力。一つ一つならば、過去に倒した『界門守護者』にも伍する、もしくは上回るモノもいた。だが、これだけ高レベルでバランスの取れている敵は初めてだ。
そして、それ以上に厄介なのは、このトカゲ型モンスターが高い知能を有していることだ。
自分の強さを自覚した上で、敵対する健太の強さを警戒し、こちらのフェイントを見切るだけでなく、先ほど見せた火炎壁を目隠しに、火炎球を撃ち出すような真似もしてくる。
駆け引きをしてくる敵と言うのは、純粋な能力が低くても厄介なものだ。
「まあいい。少しずつ削っていこう。《土よ在れ》」
方針を固めた健太は、右手に持つ『金狼木霊剣』に『土付与』で土の属性を食わせる。加えるではなく、食わせる。
五行相生『土生金』。
「《ふっ》!」
『金』属性が爆発的に高まった『金狼木霊剣』を手に、健太はトカゲ型モンスターに向かい『強盗』のスキル『俊動』を発動させて一気に距離を詰める。
「キィ!?」
「《はっ》!」
『闘士』のスキル『豪撃』を乗せた攻撃を、トカゲ型モンスターは緊急回避しようとするが、『土生金』で『金狼木霊剣』の刀身が伸びている分回避しきれない。
『豪撃』を受けても、トカゲ型モンスターは即座に反撃をする。
しかも、体長と尻尾の長さと体の柔軟さを生かし、健太の左側から噛みつき、一瞬遅れて右後方から長い尾による殴打を加えるという洗練された連撃だ。
「クン、キッ、ケン!?」
しかし、健太は動じることなく噛みつきは方形盾で殴り返し、尾は『金狼木霊剣』でうち払い、ついでに『金狼木霊剣』をもう一度振るってアルファベットのC字型になっているトカゲ型モンスターの左肩に斬撃を叩き込む。
「キキッ!」
たまらずトカゲ型モンスターは距離を距離を取ろうとした。
「《ふっ》!」
だが、健太はすぐさま『俊動』で距離を詰める。
「カッ!」
とトカゲ型モンスターは口から火炎球を放つが、それも健太は左腕の方形盾で打ち払う。そのまま速度を落とさずに接敵。
「《ふん》!」
再び『豪撃』のスキルを乗せて『金狼木霊剣』を振るう。
トカゲ型モンスターの硬い鱗が、鮮血と共に飛び散る。
『界門守護者』であるトカゲ型モンスターは確かに、攻撃力、防御力、敏捷性、生命力。全ての能力が高水準にまとまっている。
だが、事前に数々の持続型能力増強スキルを自分に施してある健太のスペックは、全ての分野においてトカゲ型モンスターを超えている。唯一、劣っているのは戦闘の妙――駆け引きの部分。
それを理解した健太は、駆け引きを放棄した。敵の攻撃はフェイント、実際の攻撃の区別なく全て防ぐつもりで反応する。こちらの攻撃は「いける」と思ったタイミングで躊躇わない。
防御の無駄は、速度で補う。攻撃の無駄は回数で補う。そうして消耗するスタミナは元のスタミナ量で補う。
駆け引きで負けても、基礎能力ですりつぶす。もはやどちらが知的生命体が分からない戦闘は、ゆっくりと健太の勝利に向って動き出した。
「クキィ……!」
長きにわたる、だが一方的な戦いは、トカゲ型モンスターの断末魔の声で終わりを告げる。『界門守護者』の死体が瘴気に返った後には、一枚のカードだけが残される。
通常のモンスターと比べて、レアドロップの確率が高い『界門守護者』は『モンスターカード』となることも比較的多い。
健太は、堕ちているカードを拾い上げて確認する。
名称:――
種族:昇格竜
属性:竜
階位:1
能力:『真摯』 『強化』 『竜因子』
存在強度:☆☆☆
【長き生の果てに竜に至った蜥蜴。その歩みは止まらない】
想像以上に良いカードだ。
「蘭先輩に良い土産が出来たな」
蘭の『モンスターカード』はコボルト『遊撃手』。使い込んだことで十分な戦力を有しているとはいっても、元は最弱、最安値のコボルトだ。新米『文官』の実咲が『ゴブリン・エリートソルジャー』という『逸脱個体』のモンスターカードを使うのだから、先輩としても部長のパートナーとしても箔のつく『モンスターカード』はあったほうがいい。
以前にドロップした『黒瑪瑙犬』の『モンスターカード』でも良いが、あっちは所有権の半分が竹海にある。もちろん、竹海が買い取ることを許してくれて、蘭が欲しがったら二枚とも蘭のものにしても全く問題ない。
健太は『昇格竜』の『モンスターカード』をしっかりと仕舞うと、代わりに二枚の『モンスターカード』を取り出す。
「ジュゲム、ボンド、《出ろ》」
健太の言葉を受けてゴブリン『槍騎士』のジュゲムと、コボルト『強盗』のボンドが現れる。
「ジュゲム、お前の槍と俺の大剣を持ってきてくれ。そっちの槍は俺が預かる。ボンドもこの短剣を持って周囲を警戒だ」
「ギィ」
「オン!」
主である健太の命令に、ジュゲムとボンドは即座に動き出す。
現在ボジュゲムは、オークロードからドロップした短槍を主武器にしているが、カードと一体化は出来ていないので、健太が別に持ち込まなければならなかったのだ(ボンドの梵字を刻んだ短剣も同様である)。『界門守護者』であるトカゲ型モンスター――『昇格竜』を相手に全力を尽くすため、雑魚散らしようの副武器の大剣と共に、ジュゲムの短槍も戦闘開始と同時に玄室の片隅に放り出してあった。
ボンドがその眼で周囲を警戒している間に、ジュゲムは自分の槍と健太の大剣を持ってきた。健太の大剣は馬鹿げて重いのだが、第二段階職である『槍騎士』なジュゲムならば持ち上げる程度は片手でも問題ない。
「グギ」
「ありがとう、ジュゲム。ボンド、異常はないか?」
「オン!」
ジュゲムから大剣を受け取った健太は、念のためボンドに警戒の結果を聞き、異常なしの報告を受けて動き出す。
「よし。このままいくぞ。ジュゲム、ボンド、俺の後からついてこい」
そう言って健太が向かうのは、『界門』。この向こうには第十階層が広がっている。ここ『羅城門』ダンジョンの一つの区切りである第十階層への転移に、『戦士の不動心』がオンになっている健太は何ら気負いのない足取りで踏み出した。
「これは、ダンジョンというより完全に異界だな」
健太は、密林の隙間から覗かせる空に輝く太陽を見上げ、そう呟いた。
第十階層。通称『密林竜園』その名の通り、ここは出没するモンスターのほぼすべてが竜という、攻略難易度的には最上級の階層である。
もっとも『既知』領域では竜の出現数は少ないので、死に戻り上等で何度も挑戦すれば、いずれは第十一階層に繋がる『界門』にたどり着くことができるらしい。
もちろん、ここ『既知外』領域はそのような可愛らしいところではない。
今健太は、瘴気濃度が薄い上の階層と繋がる『界門』側に留まっているため、まだモンスターと相対していないが、一歩踏み出せばそこは多種多様の竜種がひしめき合う、地獄の如き密林が続く。
健太としても、このまま初めての『自然領域』ダンジョン、第十階層の探索を続けるつもりはない。そもそも、今日の目的は「第十階層に到達する事」そのものだったのだ。その目的は達成され、その目論見は見事に当たった。
「やはり、『モンスターカード』にもレベルキャップは存在していたか」
「ギギ!」
「オンオン!」
ジュゲムとボンド。長らく成長が止まっていた二匹のモンスターがやっと次の段階に至り、興奮の声を上げている。日頃から元気なボンドはともかく、ジュゲムは非常に珍しい。
ジュゲムは、一回り大きくなっていた。百六十五センチ前後だった身長が、百七十センチの健太と同じかもしかすると少し大きいくらいになっている。肉厚な体つきのため、体重は間違いなく健太よりあるだろう。
その頼りがいのあるガッチリとした体に纏っているのは、飾り気のない硬革鎧だ。それまでの革服よりも防御力はもちろんのこと、文明レベルも上がっている。
一方、ボンドは体格はほとんど変わっていない。元から百センチを少し超えるくらいの小柄なボンドが、「よく見たら少し大きくなったかも?」と思う程度だ。しかし、顔立ちはより一層シャープな賢そうな犬顔になっているし、こちらも身に纏っている革服が革鎧になっている。
「よくやった。ジュゲム、ボンド《戻れ》」
二匹を戻した健太は、『モンスターカード』を確認する。
「ジュゲムはゴブリン『槍獣騎士』。ボンドはコボルト『無法者』か」
『槍獣騎士』は、比較的にレアな職だ。『獣騎士』は天馬や鷲獅子といった上位の魔獣を騎獣に出来る上級騎士である。こちらは第三次職としてはノーマル職の一つに数えられ、ジュゲムはそれの槍騎士版だ。
上手く飛行騎獣が手に入れば、ジュゲムの有効度は激増するだろう。飛行騎獣と長柄の武器である槍は相性も良い。飛び道具が原則使えないダンジョンでは、事実上最善の装備と言えるかもしれない。
一方、ボンドの就いた『無法者』は、『盗賊』系第三段階職としては王道と言える。戦闘系にも探索系にもよっていない。バランスの取れた職だ。癖のない、使いやすい成長を遂げたと言えるだろう。
しかも、健太の目論見通り、ジュゲムもボンドも、それぞれ直前まで持たせていたオークロードドロップの短槍と、健太が韋駄天の梵字を刻んだ短剣が『モンスターカード』に取り込まれている。
「これで、またジュゲムとボンドが主力に戻れるだろう。問題は俺か」
そう呟いた健太は、二枚のモンスターカードを仕舞い、意識を脳内の文字列に移す。
『義賊R』
『拳闘士R』『大剣士R』『槍騎士R』『侍』『術騎士SR』
『魔術士』『呪詛師R』『方士R』『浄魔士SR』『火精霊使いR』『土精霊使いR』『風精霊使いR』『水精霊使いR』
『神官戦士SR』
『鍛冶士』『彫金士』『素材製造士SR』
『書記』『案内人』『使役者SR』『蒐集家』
『引き籠り』『一人上手SR』『独りよがりSR』
『戦闘士』『襲闘士』『重装騎士』『堅牢盾士R』『鏡盾騎士R』『馬上槍武者SR』『浪漫闘士SR』『小妖精騎士SR』
『略奪者』『山賊団長R』
『精霊契約者』『拡大術士R』『紋章魔術士SR』
『司教SR』
に転職可能。
※お客様のご契約、ご利用状況では、以下の職クラスは選択できません。
『聖賢見習いGR』『石猿見習いGR』『伝承の英雄GR』
『昇格竜』を倒した時点で『職業選択の自由』が発動していたのだが、あえてそのまま第十階層に降りたのだ。案の定、健太自身も第三段階職に転職が可能になっていた。
「しかし、一度第三段階職になってしまうと、しばらくは『職業選択の自由』発動まで相当な経験値が必要になる。次は補習レイド攻略に向けて、『文官』系と『職人』系を優先するべきか」
『戦士の不動心』がオンになっている健太は、第三段階職の誘惑に負けず、そう冷静に判断を下すのだった。