※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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世界樹の迷宮Ⅴが8月発売発表ktkr!
悦びのあまりにその場で予約してしまいました。

いやぁ、今年は気になるタイトルが山ほど出るなぁ!

ところで、討鬼伝2の内容を見たんですが、なんか腕使えるようになってるな…。
これ本編に突っ込みたいな。
となると、前々から考えていたあの外伝をやっておかねば。
だがしかし、それを先に出すと書きかけの外伝のあの見せ場が無くなってしまう。

という訳で、2日で外伝を2本ほど仕上げてしまいました。
とりあえず1本出します。


第138話+外伝17

ゲーム用PC月あと一週間ほどで帰省しますが日

 

 

 MH世界も意外と闇が深かった…。

 略してM闇深。

 

 いや、別に闇系されたんじゃないのよ。

 別の意味で闇系ではあったけど、暗殺云々よりはサバト寄りだったな。

 

 

 えー、とりあえず試験として受けたクエスト自体は、そう大したもんじゃなかった。

 ティガレックスに慣れてれば、だけどな…。

 別に獰猛化もしてなかったし、話に聞いた二つ名個体でもなかった。

 

 ただ、受けた時間が時間だっただけに帰ってくるのは真夜中になってしまった。

 これは後で聞いた話だが、もっと早く、或いは遅くクエストを受けるようであれば、クエストの内容が変動するのだそうだ。

 その目的は、「強敵と戦い、夜に帰ってくる」ように調整する事。

 

 帰ってきた俺を出迎えたのは、龍暦院の受付嬢だった。

 ただし、一体誰なのかはわからない。

 帽子を目深に被り、顔を隠し、声も変えているようだった。

 タカの目を使っても分からなかったんで、単純に俺が知らない受付嬢のようだ。

 

 

 もう真夜中で、龍暦院もベルナ村も寝静まっている。

 そんな中で、普段は使われない大きな家屋…もっと言えば、普段は物置の筈…に案内された。

 

 

 そこで、前置きとして色々話されたんだが…うぅむ、納得すべきか驚愕すべきか。

 まぁ、その内容については(覚えていたら)後で纏めよう。

 

 

 案内された先にあったのは、えらく綺麗に掃除された広い部屋。

 甘ったるい香が焚かれている…普通の香じゃないな、多分高揚効果がある。

 

 更にベッドやら酒やら御つまみやら。

 そして、部屋のあちこちで思い思いの格好で寛ぐ女性達。

 

 ちなみに、全員が仮面をしている。

 

 …間違いでも何でもないから念の為もう一度書いておく。

 

 

 

 全員が、仮面を、仮面を、している。

 

 

 

 無論、レスラーとかがやってるような覆面じゃなく、中世のお貴族様系の仮装パーティ…所謂仮面舞踏会で使ってるような、或いはSMで女王様がつけているような、もっと愛を込めて!と叫びたくなるような、ああいう仮面。

 初めて見たけど、意外と誰が誰だか分からなくなるな…。

 

 服装も受付嬢の服だったり、或いは村娘の服装だったり、果てはハンターの鎧のような衣装だったり(流石に偽物だったが)。

 格好は誰かを判別するのに使えそうになかった。

 

 それを見た辺りで、ようやく察しが付いた。

 

 

 

 肝心の「協力要請」と、「報酬」の内容…。

 成程、あれだけ黙秘を強要し、そして事前に教えられないのも納得の内容。

 そして俺なら喜び、協力=報酬という理屈もよく分かった。

 

 

 一言で言えば、レズ乱交の棒役である。

 

 

 

 何で顔を隠してまでそんな事をしているのか、そもそもレズ乱交なのに棒が要るのか、それこそオモチャで充分なんじゃないか、とか色々疑問はあるだろうが…うーん、どこから説明したものか。

 そもそも、受付嬢の仕事というのは、世間一般で考えられているよりもずっとタフな仕事である。

 ずっと受付所で待機していないといけない、と言う点もあるが、それ以上に厳しいのは精神面だ。

 退屈、なんて話じゃない。

 

 例えばクエストを誰かから依頼されたとして、それが何処で起きているのか、どのような被害を受けたのか、或いはこれから被害が予測されるのか。

 それらを分析して、優先的かつハンターの実力に見合ったクエストを推薦する(受けるかどうかはハンター次第だが)のが受付嬢の仕事の一つなのだが、よく考えてみよう。

 

 例えばイビルジョーが現れた、とクエストを誰かから依頼されたとして、その被害がどうなっているか、どうなりそうなのか、それらを受付嬢は常に突きつけられる。

 村の鼻先にイビルジョーが現れたと聞けば、普通は矢も盾も溜まらず逃げ出すものだ。

 イビルジョーに限らず、古龍種、ラージャン、その他危険なモンスターは数えるのも億劫な程に居る。

 

 それらのクエストに、ハンターを送り出す事だって考えてみれば恐ろしい事だ。

 そのハンターが、顔見知りのハンターが、或いはもっと深い仲になったハンターが、クエストに行ったきり帰ってこなかったら?

 …ポッケ村のシャーリーさんでも分かるように、そういった事例は珍しくも無いのだ。

 

 そして、万が一の事(それ程珍しい事でもないが)が起こってしまった場合、それらの悲報を真っ先に受け取るのは受付嬢なのである。

 

 

 近場まで迫ったモンスターの脅威に耐えて受付嬢としての仕事を真っ当し、ハンター達の帰りを信じて待つ。

 これを毎日のように繰り返しているのだ。

 精神的な疲労もあるし、モンスターの種類や出現場所によってはさっさと逃げたくもなろう。

 

 

 

 だが、受付嬢達はそうはしない。

 何故か?

 

 ハンター達を信じているから?

 それもある。

 

 そうする事が職務だから?

 それもあるだろう。

 

 逃げる先が無い、帰る場所がここだから?

 無論それもあるかもしれない。

 

 

 だが、それだけでは人は耐えられないし、いつか折れる。

 それを防ぐ為の行為が、この乱交なのだ。

 

 この辺まで、案内してくれた人の説明な。

 

 

 ここからは俺の解釈だ。

 例え話だが、神聖隊というのを知っているだろうか?

 ローマだかヒスパニアだか、その辺で昔あった部隊なのだが…ぶっちゃけ男同士のホモォ…な部隊である。

 正直、想像するだけでも胸焼けして気分悪くなってきそうなんだが、有効なのは分からんでもない。

 どんな経緯であれ、恋人同士となった者が同じ部隊に居るのであれば、惨めな姿を見せたくないだろうし、恋人を死なせない為に奮戦するのはよく分かる。

 多分、日本古来のSHU☆DOも同じような原理だったのではないだろうか?

 ケツ束を強める事で主従の絆を作り、裏切り防止策にしようとしたとか。

 

 ここでもやっている事はソレである。

 顔を隠し名を隠し身分を隠し、複数人の同性を相手にしているが。

 体の繋がりを作って連帯感を作り出し、「皆を置いて自分だけ逃げられない」という気にさせる。

 更には、アブノーマルかつ身バレしない環境を作り、多少ハッチャけても後腐れの無い息抜きの場ともなっているようだ。

 

 

 どうも、どこの地域でもこの手の結束を強める為の親睦会は存在し、ある場所では飲み会だったり、ある場所ではお茶会だったり、運動会だったり、旅行だったり…まぁとにかく色々な形式があるらしい。

 そして、どういう経緯だか知らないが、昔からこのベルナ村では、仮面舞踏会ならぬ仮面乱交会が代々ひっそりと続いていたそうな。

 

 ちなみに、こういう形式の親睦会を用いているのはベルナ村だけではない。 

 今は廃れてしまっているらしいが、かつてはユクモ村もそうであり、その関連でベルナ村とも繋がりがあったとか。

 そのネットワークにより、コノハとササユが俺のナニについて色々触れ回ったそうな…というか、多分種族年齢的にヤバいコノハとササユの体験は、この辺の繋がりなんだろうなぁ…。

 で、その情報を受けたベルナ村の受付嬢達が興味を持ち、或いは女にだらしない俺に反発し。

 オストガロアを討伐した俺を、丁度いい機会だとばかりに招待した、と。

 

 

 更に言うなら、時折その仮面乱交会に、男性ハンターを誘い込む事がある。

 その場合、日頃の行為で培った技術を徹底的に駆使し、ハンターに奉仕する…搾り取るのかどうかは微妙な所…ようになっている。

 今回は俺がその役って事ね。

 

 多分、完全に百合の道に入り込まないようにする防止策に加え、受付嬢達と同じように、有能なハンターを情で絡め取る為の策でもあるんだろう。

 また、一人だけ身元がハッキリしているハンターに対しても繋がりを作り、影に日向に援護するように仕向けているんだろう。

 

 そりゃ協力=報酬にもなるわ。

 これで喜ばない…悦ばない男なんて、A.BEEさんの同類か、さもなきゃ惚れた相手に操を立てる、何処までも一本気一本道な大真面目なバカヤロウ(尊敬的な意味で)くらいだ。

 

 実際、大抵のハンターなら引きずりこまれて中毒にされてもおかしくない空気だった。

 

 

 

 

 俺?

 

 

 俺にそれを言う?

 相手、幾ら乱交に慣れてるって言っても素人だぞ?

 いや俺も玄人な訳じゃないけど。

 

 

 

 まぁそういう事で。

 

 

 話は逸れたし結末も予想できただろうが、もうちょっと話を続ける。

 シモの話を。

 

 

 まーなんだ、皆して身バレしないと思っているからか、凄かったのなんのって。

 何人かは「あ、この人はあの人じゃね?」って思った人も居たんだが(表情には出さなかったが)、日頃の言動とは全く違うわ。

 清純そうだったあの人が、ストッキングに包まれたおみ足であちこち弄り回してくるし、そこそこ経験豊富そうだったあの人が、この部屋の空気に戸惑いながらも毒されて、生娘のように躊躇い戸惑いながらも息を荒げながら混じろうとしていた。

 真面目一徹だったあの人(っぽい人)は、好き放題に勝手な事を言って煽りまくるし、仮称:Aさんに片思いしていると思っていたあの人は、左右に少女を侍らせて王様…もとい女王様のように堂々としていた。

 Mっ子だと目をつけていた彼女は予想通りにMだったが、既にレズ調教を受けたのか見事な奴隷っぷりを魅せていたし、百合っぽいと思っていた彼女達は予想通りに遠慮ない乱れっぷりを披露している。

 酒嫌いで通っていたあの子は、ワインやらビールやらをチャンポンして既にウトウトしているし、酒を勧めたと思しき下手人はそんな彼女をケダモノのような目で見据えているし。

 婚約者がどうの、夫がどうのと井戸端会議していたあの人達(だと思う)は、危険日(フェロモンのニオイである程度わかります)なんぞモノともせずにナマでナカでね…。

 

 一言で言えば……男が一人しか居ない水○敬ランド状態?

 

 

 色々とバリエーションに富んでいたが、コンビネーションも凄かった。

 俺を寝転ばせて、全員が一斉に吸い付いてくるんだわ。

 舐めるは吸うは抓るは擦り付けるは、一対10人以上でやってるのにお互いの邪魔をしていない。

 むしろ俺にナニしながらも、互いの体を弄りあって高めあうくらいだ。

 

 

 

 ちなみにそんな状態だったからこそ、俺のオカルト版真言立川流も一度に全員に流し込める訳なんだけどね。

 誰かが俺にナニかする度に、そこから霊力が逆流してね。

 その人が触れていた人にも、感電するみたいに霊力が流れ込んでいって、更にその人が触れていた人にも、触れていた人にも…。

 最終的には俺に増幅された霊力が返ってきて、それを更に流し込む。

 ついでに言うなら、複数人が同時に俺に触れている状態だったからなぁ…。

 

 やろうと思えば、触れられている場所全てから霊力を流し込めるからなぁ。

 手で触れられていようが、舌で舐められていようが、足で弄られていようが、顔騎されていようが、足の指先をprprされていようが、脇をhshs…は直接触れてないからさすがに難しいが。 

 

 俺からナニもせずに相手を全員グロッキーにしちゃったのは初めてだったわ…。

 

 うーん、新しい感覚だったなぁ…。

 なんつーか…貪られる、んじゃない。

 皆して貪ってきてたのは事実だけど。

 搾り取られる…のは事実だが、それだけじゃない。

 食われるとも違う…骨までしゃぶり尽くされる幻影なら見たけど。

 

 そう……そうだな、「溶かされる」って表現が一番近かったかもしれない。

 あくまでも丁寧に、こっちの快感を引き出して、抵抗する気を無くしていくような…。

 アレだな、逆レ系のエロゲのハーレムエンドってこんな感覚なんじゃないかな。

 

 

 

 予想はしてるだろうが、その後は遠慮せずにアクティブに動きましたがね。

 俺との繋がりを作ろうとしてるんだったら、作ってやろうじゃないの。

 ただし、俺が皆に首輪をつけるような形でね。

 

 

 

 

 

 

 後日の追記

 

 

 また招待状が届いた。

 でも今度は前の招待状とは違い、「開催したい日時をお知らせください」とあった。

 更にキスマークと、「特別永久会員と認定しました」の手書きの追記。

 …俺がヤりたくなったらいつでもどうぞ、と解釈してもいいのかね? 

 

 

 

 

ゲーム用PC月今回持って帰るのは、MHX、不思議の幻想郷体験版、オーディンスフィア体験版日

 

 

 先日の乱交から一週間ほど経った。

 しかし、あの一夜は正体不明のモンスターが見せた夢だったんじゃないかと思う程、全く形跡を見せない。

 例の倉庫は、翌日には多数の荷物が運び込まれて、今や完全に物置になってしまっているし、「この人かな?」と思っていた女性と顔を合わせても、全く表情が変わる事は無い。

 そもそもあの日、全員がグロッキー+追撃で失神状態になった後でも、ニワトリが鳴くと同時に起きだして(腰が抜けて動けない人も居たが)、物凄いスピードで後始末をし、あっと言う間に解散してしまった。

 それこそ、某シミュレーションで言えば統率140オーバーくらいのレベルだったろう。

 痕跡からニオイからあっと言う間に消え去り、更に集まっていたメンバーもモノノフの俺が『ニンジャか!?』と思う程鮮やかに散会し、単なる空き部屋になってしまったあの部屋で、呆然としながら朝日を眺めた事は記憶に新しい。

 

 その後、多分この人だと特定して、誘ってみようかな?と思って、思わせぶりな態度を取ってみたんだが、一笑に伏されてしまった。

 ちょっとプライドが傷つく。

 色恋沙汰ではなく、色エロ沙汰でのプライドが。

 

 しかし、なんつぅか……スゲェなぁ。

 あの割り切りが。

 俺の霊力が体内に残っている人が居たから、その人達は確実にあの祭の参加者だ。

 一度叩き込まれれば、そうそう忘れる事のできない感覚だと思ってたんだが……日頃にそれらしい素振りを見せても、全く反応しない。

 それこそ、あの一夜は冗談抜きで夢や幻だったんじゃないかと思えてくる程だ。

 

 ただ、表面上はそうでも、内面は激しい葛藤や欲望を押さえ込もうとしていたようだけどね。

 フラウさん直伝の内面観察術をこんな事に使ったら、怒られるかな。

 …面白そうだと煽る姿しか思い浮かばない。

 

 うん、まぁ…あんな素晴らしい乱交会を開くのなら、参加しない手は無いな。

 しかし乱交と言うのは普通に違法である、らしい。

 個人というか身内でやる分には構わない(のか?)が、ヘタをすると官憲のお世話になるような行為だ。

 当然、査察の類が入って発見されれば、今後の開催も出来なくなってしまうだろう。

 ついでに俺自身も塀の中に放り込まれかねない。

 

 

 だったら、日中に妙なモーションをかける訳にはいかない。

 秘密は墓の中まで持って行くとしよう。

 

 …成程、こうやってハンターや受付嬢で秘密を共有し、離れていかないようにする訳か。

 よく出来ている。

 

 尤も、当然ながら反発が全く無い訳ではないが。

 自由参加と銘打っているらしいとは言え、その実態はほぼ強制。

 あまり何度も参加拒否すると、受付嬢の間でハブられかねないだろう…孤立すると言うか、周囲の結束が硬い中で自分だけ、というか。

 アブノーマルな、意に沿わない行為を強要されるようなもので、受け入れてない人間にとっては相当なストレスになるのは間違いない。

 また受け入れた女性達であっても、「女相手ならいいけど、好きでもない男はイヤだ」とレズプレイに専念する者も居る。

 そう言った人に関しては、男性ハンターを招く事自体反対しているとか。

 

 過去には、「こんな事は許されない、告発する!」と言い切った者も居たらしい…男か女かは知らんが。

 それが問題にされずにこうやって続いているという事は…まぁ、温厚かつ真っ当な解決方法ではなかった事は想像がつくな。 

 

 男が一人しか呼ばれないのは、秘密を護る為なんだろうな。

 本来、一度呼ばれたハンターは、もう二度と呼ばれない…らしい。

 例外もあるとは言ってたが。

 たった一人だけ名前も顔も周知され、もしも情報を漏らしてしまえば、誰だかわからない参加メンバーから背後を狙われる。

 「もう一度あの素晴らしいサバトを」と思って聞き込みしていたハンターに、あちこちから『警告』を送った事もあったそうだ。

 そのハンター?

 

 …聞いてないから知らんな。

 

 

 

 

 

 まーなんだ、とりあえず言える事は、だ。

 

 あんだけ複数人を相手にオカルト版真言立川流使えば、そりゃえらい勢いでパワーアップするよねって事だ。

 今回のお相手は皆、肉体的には一般人だったから、霊力の質的には大したものじゃないが、量が凄い。

 それを練りあげるのは、霊力を使える人間ならそう難しくない。

 

 まぁ、ちょっとパワーアップが急すぎて、今は体を慣らしている状態である。

 開催の通知を出すにしても、体が落ち着いてからだな…。

 

 

 

ゲーム用PC月オーディンスフィアは、実家近くで中古があったら買うかも日

 

 JUNがアタックされていた。

 攻撃的な意味じゃなくて、口説き落とす的な意味で。

 

 どーやらJUNが俺に愛想を尽かした事で、「ひょっとしたらチャンスが!?」と思う村人が続出しているらしい。

 アタックしているのが男か女かは伏せるが、お前ら本当にソレでいいんか…。

 まぁ個人の嗜好や人に対する感情にまで口を出す気は無いけども。

 

 ちなみに口説かれているJUNの方はと言うと、そういう動きに気付いているのか居ないのか。

 今はハンター稼業が楽しくて仕方ないっぽい。

 JUNにも村人にも春が来るのは遠そうだ。

 

 …しかし、考えてみりゃJUNは実家に挨拶したんだろうか?

 飛び出してきたから気まずいモンで、会いにいく前にハンターとして一旗あげるって言ってたが…もう半年近く経ってるぞ。

 

 

 まぁ、それはいいわ。

 ベルナ村付近は平和よのー。

 この前みたく剣術バルドとか湧いて出る訳でもなし、霊力関連のイザコザも俺が起こそうとしない限り今のところは多分メイビー願望だけどきっと無い。

 イビルジョーが寄ってきたって話も聞かないし、古龍が居る気配も無ければ、獰猛化モンスターは……残念ながらちょくちょく居るっぽいが。

 

 

 日中は飛行船修復の為の素材集めをしてたんだが、とりあえずはそれも一段落。

 素材は全て納品し、後は修理の作業待ちだ。

 

 正直ヒマだったんで、闘技場で教官が出している試験を、霊力なしの縛りプレイ(シモネタに非ず)やってたんだが…正直軽い。

 まぁ、何だかんだでそこそこいい装備揃ってるし、そもそも現在の俺のスペックが普通のハンターに比べてアホみたいに高いからなぁ…。

 素の攻撃力や防御力が2倍で、体力ゲージが4~5本あるようなもんだ。

 開拓地ならともかく、この辺の闘技場じゃヌルゲーにもなるわな…。

 

 

 

 

 

 という訳で、巷で噂の二つ名個体って奴を見に行ってみようと思います。

 別にピクニック気分で行く気じゃないぞ。

 色々と噂は聞いているし、少しだけだが痕跡を見た事もある。

 

 ユクモ村でフラフラしている時に、ハチの巣の傍で、デカい爪痕や足跡(肉球の跡)を見た事がある。

 形からして多分ドスぷーさんの痕跡だと思うんだが…この大きさがまた異常なんだよ。

 どうみても金冠サイズの更に3倍くらいあった。

 足跡から計算できる体重も膂力も桁外れ。

 更には、近くに川なんぞ無い筈なのに、サシミウオがビチビチ跳ねていた。

 

 遭遇したハンターからも、「二つ名持ち個体は完全に別物。ちょっとでも舐めてると返り討ちに遭う」と何度聞かされた事か。

 

 

 ついでに言っておくと、この二つ名持ち個体だが…特異個体と言うよりは、亜種として考えた方がよさそうだ。

 特定地域に居る、色違いのモンスターみたいな感じの。

 二つ名持ちの個体は一体だけではなく、数こそ少ないがあちこちの地域に居る。

 先ほど例に挙げたアオアシラの特異個体は、ユクモ村だけではなくベルナ村にも居るし、ココット村にも居る。

 

 何とか討伐できても、数が一定以上に減る事は無いそうだ。

 同じ区域の中のモンスターが、一定の条件を満たした時に変貌する…のか?

 例えば生息地域の中に特別な食材があり、それを食べ続けたモンスターが変身するとか。

 或いは種の絶滅を防ぐ為、何体かが寿命を削って本能的に変化しているとか。

 

 何れにせよ言える事は、普通の個体とは全く違ったモノとして考えろ、って事だな。

 

 初見のモンスターと初っ端から斬り合うのは得策じゃない。

 二つ名持ち個体の平時の行動にも興味があるし、どんな攻撃をするのかは絶対に見ておかなければいけない。

 

 問題は、剣術バルドを相手にした時のように、何らかの不確定要素で気付かれるんじゃないかって事だが…モドリ玉の準備は万全、観察が不十分なうちに気付かれたら、交戦せずにさっさと逃げる事にしよう。

 

 

 

 

 

ゲーム用PC月MHXが終われば次はGEだし、リザレクションも持っていこうかな日

 

 よくよく考えてみれば、アオアシラとかよりもずっと先に、二つ名持ち個体を知っていた。

 明確かつ公式に名付けられたもんじゃないが、とりあえず有名な、普通の個体とは全く違うモンスターだったと思う。

 

 

 それはつまり。

 

 

 

 悪魔アイルーである。

 

 

 

 あらゆるモンスターをワンパンで撃破する癖にハゲてもマントも羽織っていないという、いろんな意味で大問題になった改造アイルー。

 霊力を覚えた正宗がこうなっちまうんじゃないか、という不安は若干あるが、それは置いといて。

 

 悪魔アイルーそのものじゃないが、似た様なのが居たよ。

 そうさな…小悪魔メラルーとでも呼んでおくか?

 

 攻撃力ではなく、盗みと逃げ足に超特化した野良メラルーである。

 

 考えてみれば、こんな奴が居ても不思議じゃなかった。

 何せこいつらは、二つ名持ちのアオアシラ…紅兜のすぐ傍で生活していたメラルーなのだ。

 ヤバい気配がしたらすぐに隠れるし、その気配の元から隠れながらの採取だってやっている。

 紅兜が居なくなってから採取すればいい、と思うかもしれないが、紅兜は体の大きさに比例して、とにかく食べる量も多い。

 特に好物のハチミツなんぞ、満腹になるまで待っていたら蜂の巣事態が残っているか怪しいくらいだ。

 

 その中でハチミツを手に入れようと思ったら、紅兜が来る前に採取するか、隙をついて採取するかの二択である。

 そして、あのメラルー達は後者を選択した。

 

 地中に潜って隠れて徹底的に気配を消し、飛び出すやいなや爆弾で目晦まし、怯んでいる隙にハチミツをかっぱらってまた地面に潜る。

 実際、紅兜を相手にそうやっているのを一度見たんだが、物凄いスピードだった。

 何匹かがほぼ同時に地中から飛び出し、陽動・目晦まし・実行部隊の役割を見事な練度でこなし、そして一斉に撤退。

 …ゲリョスやオオナズチよりも盗むのが上手いんじゃないか、と思った。

 

 

 

 

 

 そして連携して複数対象からアイテムを盗むのは、こいつらメラルーくらいだよ。

 

 

 俺が、この俺がメラルー達に背後を奪われるとは…!

 不覚、一生モノの不覚ッ!

 例え紅兜とメラルー達のやりとりに気を取られていようと!

 直前まで、メラルー達が背後から地面に潜ったまま近付いてきてたのであろうと!

 

 俺が後ろをオンナノコ以外に奪われるなんざ、許していいハズガNEEEEEEE!!!

 

 

 …ふぅ、昂ぶってしまった…。

 俺の無様は一生忘れられないにしても、まずはメラルー達を褒めるべきだろうか。

 ミタマ隠でも使ってるんじゃないかと思うくらい、見事な気殺だった。

 

 紅兜に注意が行っている間に、地面の下から集団で迫り、紅兜側のアイルー達が隠れた瞬間、逆に俺の回りで飛び出してきた。

 咄嗟の防御も間に合わず、殴られる事数発。

 勿論、それに伴ってアイテムも奪われた……一匹が一発ずつ殴ってきてたけど、一発につき3つくらい持って行きやがったぞ…。

 

 更にその後、アイルーでもないのに小型爆弾で吹っ飛ばしてくれやがった。

 ……で、爆発音が響けば、紅兜も気付く訳で。

 

 

 無くなっている蜂蜜+何故か居るハンター+周囲には他にモンスターは居ない。

 

 

 つまり、俺・冤罪待った無し。

 

 しかもさっきのメラルー達に、モドリ玉取られていた。

 捕獲用麻酔玉も取られた。

 ……力の護符と守りの護符まで取りやがった。

 

 

 

 オ゛ォ゛ィ゛ィ゛イ゛!!!

 

 

 

 持って行くの、レア度3くらいまでじゃなかったんですかねええぇぇ!!!

 メラルーへの殺意が天元突破!

 俺の憎悪が有頂天!

 

 

 

 

 

 あと紅兜の他に、ちょっと小さめの紅兜がもう一匹出てきたんですがね!

 番か、それとも夫婦か。

 前門の紅兜、後門にも紅兜。

 

 悪夢のようでした。

 

 

 1匹目の紅兜に結構深手を与えてたからか、もう一匹は出てくるなり激怒してやがったし…どんだけ逃げても追いかけてきた。

 まぁ、結局はそれが原因で各個撃破できたんですが。

 一匹は足にも傷を負っていたのであまり早く移動できず、もう一匹だけ突出して追いかけてきたもんだから、適当に距離を稼いで1対1。

 何とか倒した。

 むぅ、捕獲用麻酔玉が残ってれば、入れ違いで戻って傷ついた紅兜を捕獲したんだが。

 

 

 

 

 

 

 

 さて、紅兜2体もどうにかできた事だし。

 

 

 

 

 

 どうしてくれようかのぅ・・・・・・

 

 

 

 

 

ゲーム用PC月実家への土産、配達で送ろうかなぁ…日

 

 

 トウガラシ。

 柑橘系、ハッカ系のニオイ。

 光を反射するようなガラス。

 歯磨き粉。

 水。

 三味線。

 モンスターが低く唸るような音。

 

 ネコが嫌がるようなモノが全てメラルーに通じるとは思わないが、嫌がらせとしてはこんなモノか。

 怒りのままに集落に乗り込んで大暴れってのも考えたんだが、それをやるとメラルー、ひいてはアイルー達と人間との間に悪感情が発生する。

 正直今更だとは思うが、自然の一部を無闇に殺戮(殺せそうにはないが)してもしっぺ返しを喰らうだけだ。

 実際問題、集落を荒らされたアイルーメラルーが激怒して、見かけるハンター全てに向かって爆弾特攻とかしかけるようになったら洒落にならん。

 故に、適度にイヤガラセをする程度に留める。

 

 どいつが原因だ、ってのが分かるように立て札でもしておこうかと思ったが、さすがにそれはやりすぎだ。

 特定個体を吊るし上げたところで、メラルーの行動が変わる訳じゃない。

 むしろ、野良メラルーがハンターの荷物をかっぱらって行くのは、メラルー的に見ればおかしな事でも犯罪でもないんだろうしね。

 それこそ、ハンターが狩場に出て、勝手に採取していくのと似たような感覚だろう。

 

 

 

 だが怒りが治まらんがな!

 さっきの例で言えば、これは狩場に偶然居たモンスターに逆襲を喰らうようなもの!

 狩る必要もないモンスターにちょっかいを出し、逆撃されて3乙したって誰も同情なんぞせん!

 メラルーよ、貴様達はやりすぎたのだ。

 だから粛清しようというのだ、この私が!

 エゴだよ、勿論!

 

 

 ふぅ。

 

 

 散々嫌がらせしておいたから、メラルーの事はもういいや。

 しかし、やはり二つ名持ち個体は強いな…。

 アオアシラがああなるとは。

 

 

 他にどんな二つ名持ちが居るのか調べてみたが……うーん、結構多いと言うべきか、意外と少ないと思うべきか。

 特定条件に従って発生する亜種だと判断するなら……うん、種類的にも頭数的にも少ないかな。

 全モンスターに亜種、二つ名持ちが居ると思ってた訳じゃないが、それにしたって種類が少ない。

 二つ名持ちに変異する条件が分からないが、仮に種族としての本能、外敵に対する最大の守りの役を負っていると考えるのであれば、大抵の種族には居てもよさそうなものだ。

 

 逆に、考えている条件とは全く違い、無造作無作為に発生する突然変異だとするなら…種類的には妥当な数かもしれんが、頭数として多すぎる。

 突然変異とは、そうそう出現しないから突然変異なのだ。

 しかも変異したとして、複数の個体が同じように変化するとは限らない。

 紅兜の例で言えば、ある者は爪が鋭くなったり、ある者は牙や体液に毒を持ったり…変わるにしても多用な変化があると思う。

 だが二つ名持ちは、同じような変化を遂げている。

 しかも、全体としては少ないとは言え、同じ種族内だけで何匹も、だ。

 

 

 …やっぱり、特定の条件を満たしたら二つ名持ち個体と同じような性質を得る、というのが正解だろうか。

 ついでに言えば、二つ名持ち個体の殆どはベルナ村付近で発生しているようだ。

 ユクモ村でも居た事は居たが、数で見ればベルナ村の半分にも満たない。

 

 …ベルナ村付近に、二つ名持ちとなる条件の何かがあるのかもしれない。

 

 

 他に確認されている二つ名持ちは…テツカブラ、ティガレックス、イャンガルルガ…か。

 発見されてないだけで、他にも居る可能性は高いな。

 生息地域と言うか地形にも特に共通点は無い。

 強いて言うなら古代林に近い地形を好む節があるように見える。

 

 …古代林、か。

 確かにずっと昔の生物が進化も絶滅もせずにまだ生き残っていたり、化石なんかも発掘される場所なんだよな。

 あそこに超古代の何かがあるのかも、という考えも否定はできない。

 それに触れて…そうだ、突然変異するのではなく、先祖返りを起こしたと考えられないだろうか。

 

 そういや、発掘された化石で、ティガレックスの祖先に当たると考えられている「ワイバーンレックス」なんてのがあると聞いた事がある。

 二つ名持ちのティガレックスは、このワイバーンレックスの先祖返りであると?

 そう考えれば、複数の個体が同じように変化している説明もつく。

 

 しかし、絶滅したって事はそれだけ能力的に劣っている…いやいや、それは適応力に劣ったと考えられるんで、戦闘力が低いって事とはまた別物…。

 そもそも昔のモンスター達は、あちこちで発見される化石を見るに、今よりも更に大きかったと考えられている訳で…。

 

 

 

 

 …考えるの止めよ。

 背景を想像するのは中々楽しいものがあるが、明確な正解が無い以上、迷宮入りにしかなりゃしない。

 ま、古代林を一度本格的に調査してみるのもいいかもしれないね。

 

 

 …もうすぐ飛行船の修理が一段落しそうなんで、外回りの後になるかもしれないけど。

 

 

 




 はて、またも妙に現代風の所に出たな。
 今度は一体なんじゃろな?
 
 見たところ、ここはどう見ても空港だ。
 飛行船とかが使われている空港じゃなくて、現代で使われていた飛行機が離着陸する空港だ。
 実際、さっきも一機着陸したのが見えたし。


 …それはいいんだが、人っ子一人居ないのは何故に?
 乗客はおろか、職員の一人すら居やしない。
 …ゴーストタウン?
 実はゾンビの街?

 いやでもそれにしては全然荒れてないな。
 つい1時間前まで人が居たって言われても信じるレベルだ。
 実際、その辺の売店のコーヒーを触ってみたが、まだ暖かい。

 …マリーセレスト号事件でも再現してんのか?


 とりあえず歩き回ってみる。
 …人の気配はあるようだが…何だコレ?
 妙に固まっているっぽい。
 うーん、トラブルの予感しかしないなぁ…。


 なんて考えていたら、橋の上で二人組みと遭遇した。
 一人はヒゲ生やしたオッサン、もう一人は金髪のにーちゃん。
 
 なんか言ってるが、英語は分からん。
 …英語、か?
 なんかイントネーションが違うような気がするんだが……英語と中国語くらいなら聞き分けられると思うが、分からん。
 どっちにしろ何言っているのか理解できんが。


 お互い反応に困っていたんだが…ふと気配を感じた。
 しかも荒事の。





 …あの、なんか明らかに軍隊というか特殊部隊っぽい連中が向かってきてるんですけど。
 全身が装甲服っぽいのに、銃、組織的に訓練された動き…。

 カタギかどうかは分からないが、明らかに武装組織だ。

 俺何かやった?
 それとも目の前のお二人さん?
 
 お二人さんから何か言われた。
 多分「逃げろ」とか言われてるんだと思うが、そもそも逃げる先が無い。
 
 と言うか、煙幕っぽいのが投げ込まれてきたんで、咄嗟に飛び降りて逃げた。
 成り行き的に一緒だった二人も、橋から飛び降りている。
 と言うか銃抜いている。


 …え、なに?
 米国なのか欧州なのか知らんけど、日常的に拳銃なんぞ持ち歩かないよな?
 という事は、やっぱりあの連中に狙われているって知ってたの?
 つまり俺巻き添え?
 
 …まぁ、巻き添えなのは夢だったらいつもの事だからいいか。



 そこから先はgdgdと言うか銃撃戦する二人に何となくついていく事になってしまった。
 相変わらず言葉は分からない。

 分かる事と言えば、一見して無関係だと分かるであろう俺を、何故か容赦なくガンガン狙ってくる連中は敵だという事だけだ。
 どうしたかって?
 そりゃ勿論反撃しましたが?

 あの連中、基本的に普通の人間を相手にする事しか考えていなかったらしくて、銃の威力が不足してんだよね。
 あの程度ならハンターゴッドイーターモノノフアラガミアサシン蝕鬼の俺なら余裕余裕。

 銃撃されているんだから、こっちからの攻撃手段が無い?
 …何を言う。
 武器ならそこら中にあるじゃないか。
 ガラスの破片とか床壁の破片とか観葉植物とか。

 ぶっちゃけ、手に持って投げられる物なら全部武器だからネ!
 理屈も状況も分からないが、命を獲ろうとしてくる相手に遠慮する理由は微塵も無い。
 何人かドタマがグロ画像になったが気にしない。

 銃撃戦する二人にしても、なんか色々戸惑っているみたいだが、とりあえず敵ではないという事で見逃してもらっているようだ。
 …なんか、微妙にキラキラした視線を向けられているのは気のせいか?
 時々妙に期待した目をこっちに向けてくるし。


 …それはともかく、敵を張り倒しながら空港を進んでいったんだが…なんか妙なのが出た。


 大量の虫?
 明らかに普通じゃない量の群れの。
 

 …こいつら、普通の生物じゃないな。
 異常気象とかによるスタンピードじゃない、明らかに人の手が何かしらの形で加わっている虫だ。
 それくらい見れば分かる。
 ハンターでなくても分かる…この群れなら。

 とにかく避難しようって話になったようで、銃でバンバカ撃ちながら適当な部屋に逃げ込もうとした。
 が、追いかけてくる。


 …通じるかな?
 ミタマの力は使えるようだが…。

 とりあえず、お誂え向きに一つの通路からしか入ってこないようだし…まずはこれて。



 不動金縛り・ジツ!


 …おお、効いた効いた。
 虫でも案外効くもんだな。
 これなら、霊力を上手く使ってやれば、一網打尽にできるかも?

 …二人から感じる視線のキラキラが増加した気がする。



 …虫の大群に対する嫌悪?
 そんなもの、ハンターやってりゃ放っておいても消えるわい。
 慣れだ慣れ。




 …で、ここで新しい人物登場。
 …軍人さん…かな?
 とりあえず、「アメリカ」と「ラッシュ」という言葉は聞き取れたんで、アメリカの軍隊のラッシュさん、かな?

 色々聞き出したい事がお互いにあるが、それよりも先にまた虫が来た。
 排気口から出てくるとか面倒だな。


 が、こいつらに霊力が通じる事ならもうわかっている。
 だったら対処は簡単だ。



 ミタマ挑発!


 …おお、集まってくる集まってくる。
 ほれコッチ来い。
 むっ…取り付かれた。
 気分がいいものじゃないが、ダメージは少ない…となると。

 不動金縛り・ジツを再度仕掛け、引っかかった奴らはお三方の銃撃で始末。
 そして取り付いた奴は……全身、霊力全開!


 …おお、吹っ飛んだ吹っ飛んだ。
 ドラゴンボールで、取りついてきた相手を「ハァッ!」で吹き飛ばすようなイメージでやったんだが、案外上手く行くもんだ。

 得体の知れないものを見る目をラッシュさんから向けられた(ちなみに最初の二人はジョルジョとエヴァンというらしい)が、スルー。
 あとクールビューティ系ヴォイスの、オペレーターらしきお姉さんの声も聞こえているんだが、残念ながら誰も日本語は分からないらしい。
 なんか翻訳アプリケーションとか無いのかな。


 そこからも、まぁテロリストだかなんだかが延々と湧いてきてね。
 保身の為に協力しましたとも。
 ミタマ「防」で銃撃を受けつつブン殴ったり、背後に回ってサイレントキルしたり、崩落した瓦礫とかを思いっきり投げつけたり。
 

 空港からの脱出の為にヘリに乗り、なんか急ぎの案件があるらしくて降ろされもせずに市街戦しながらトラックを追跡し、片手でデカい銃火器を放ってくる奴をサヨナラ!して。
 何故かそこで別れ損ねて同行したら、ヘリが落っこちて洞窟と森で軍体っぽいのとドンパチ。
 …まぁ、自然の中ならハンターかつアサシンの俺の独壇場だ。
 文字通りの意味でサイレントキルしまくりましたとも。
 ラッシュさんが逆さに釣られてブラブラ揺れてたんで、釣り縄を斬って落っことしたりね。


 あと印象に残った事と言えば……半ズボンかつ微妙にエルフ耳のデカいオッサンと、ラッシュさんがプロレスしてたんで乱入したとか。
 オペレーターさんが妙に興奮した声で、プロレスの実況してたりとか。
 メガネが印象的なサラリーマン風(主にネクタイが)のオッサン(確かワイルドドッグとか呼ばれてたが…野良犬?狂犬?)をボコッったりだとか。

 「ハーメルン」とかいう何となく(メタ的な意味で)危険そうな名前の一団が、どっかの都市に攻撃を仕掛けていたりとか。


 最終的には半裸のヘンタイが何かやろうとしてたんで、NINJYAことハヤブサさんから(勝手に見て)学び取った壁走りからの暗殺でキメたりとか。


 まぁ、そんな按配だったかな?
 結局最後まで言葉は通じなかったが、まあ、4人でいいチームだったんじゃないかな。
 
 とりあえずトラブルが一通り片付いた(らしい)後、ジョルジョさんとエヴァンさんがヘリで飛び立っていって、ラッシュさんに話しかけられた。
 多分だけど、「君は何者だ?」と言われているんだと思う。
 それくらいは、何となく理解できるようになった。


 さて、なんと答えたものか。
 真実を言っても信じられる訳がないし、そもそもそんな語学力は無い。
 ならばいつも通りニンジャで通すか。
 しかしそれでは芸がない。


 …よし。



「I am Rurouni…」


 …これでどうよ。
 とドヤ顔しようとしたら夢から覚めた。
 もうちょっと、ベスさん(名前はこれでいいと思う)を眺めていたかった…。



Side ラッシュ大尉


 ウィリアム・ラッシュだ。
 階級は大尉。
 所属は機密につき公開できん。
 オペレートについているのはエリザベス・コンウェイ中尉…愛称はベスだ。

 私は今、とある極秘作戦に従事している。
 その途中、とある国のエージェント二名と合流するよう指示が下った。
 他国のエージェントと協力する事に思うところはあるが、命令とあれば仕方ない。
 エージェント=スパイという訳でもないからな。


 経緯の詳細は省くが、予定とは少し違い、とある空港でエージェント達と合流した。
 彼らは既にテロリストからの襲撃を受けており、新兵器…テラーバイトに襲われたところだった。
 咄嗟に扉を開いて彼らを招き入れ、テラーバイトの侵入を防ぐ。

 自己紹介する時間も無い。
 とりあえず、この通信機をつけてくれ。



 …待て、何故3人居る。
 一人は明らかに東洋人…ジャパニーズか?
 見たところ、銃器も持っていない一般人か?
 どうも、言葉も通じないようだ。

 気になるが、何にせよ説明は後だ。
 こうしている間にも、テラーバイトは迫っているのだ。
 3人を引き連れ、急ぎ脱出する。

 走りながら所属を話し、任務の事を伝えた。
 やはりジャパニーズには通じないようだったが、パニックも起こさず、遅れもせずついてくるだけで上出来だろう。
 むしろ落ち着きすぎなようにも見えるが…。

 脱出ルートの途中には、テロリスト達が多数待ち構えていた。
 激しい銃撃戦が展開されたが、私とこのエージェント二人なら何とかなりそうだ。
 問題はジャパニーズだが…頼むから大人しくしていてくれよ。
 作戦の重要性を鑑みるに、足を引っ張るようなら、民間人が相手といえども引き金を引かねばならぬやもしれん。



 私の祈りが通じたのか、このジャパニーズが軍人以上に冷静沈着なのかは分からないが、幸い彼はその後も混乱せずに素早く追従してきた。
 前方から迫る一団を、横の通路に入り込んで素通りさせ、背後から強襲しようとした時など、私よりも先に通路に入り込んでいた程だ。
 何者だ?


 …そして、私か彼の異常性を目にしたのは、そこが最初だった。
 テロリストの一人が接近してきて、更に斧を投げてくる者も居た。
 負傷覚悟で耐えようとしたが…突然踊り出た彼が斧を受け止めて投げ返し、接近したテロリストを鉄拳一つで粉砕してのけたのだ。
 …こ、これはよもやゴッドハンドか?
 Kyokusinカラテの奥義なのか?

 更に、その辺の観葉植物からダンボールから、見た目からは想像もつかないような怪力で投げつけ、テロリスト達を駆逐してのける。
 トドメを刺す事すら、躊躇いが無い。


 彼に対する警戒心が頂点に達した辺りで、我々はテラーバイトによる襲撃を受けた。
 先ほどのは壁を這う虫だったが、今度は蜂のようだ。

 この手の相手を銃で相手にするのは厳しいが、そんな事を言っていられない。
 覚悟を決めて応戦しようとした時、またも彼が動いた。

 テラーバイトの前に立ったかと思えば、不可思議な挙動をする。
 すると突然、テラーバイトが動きを変え、彼に一斉に取り付いたのだ。

 死んだ、と確信したものだ。

 だが、それは間違いだった。
 謎の圧力(としか言いようが無い)が膨れ上がったかと思うと、彼に取り憑いていたテラーバイトはグレネードの直撃を受けたかのように弾け飛び、機能停止してしまった。


 何者なのだ、彼は。
 怪しいが、強力な協力者である事も否定できない。
 気を許す訳にはいかないが、手を貸してもらうとしよう。



 空港を脱出する時も、彼をつれてきた。
 本当に何も知らないジャパニーズだったらと思うと罪悪感が無いではないが、怪しいどころの話ではないし、仮にその通りだったとしてもテラーバイトの存在を知った以上、それなりの処置をせねばならん。
 そのままヘリに乗り込んでついてきてもらった。

 済し崩しに、そのまま彼は協力してくれた。
 銃は使えず接近戦ばかりだったが、その戦闘能力は明らかだ。
 それ以前に、その辺に止まっていた車を持ち上げて投げつける辺り、明らかに人間の膂力を超えている。
 その後出合った、片手で対戦車ライフルを振り回し、ス○イダーマンのように飛び回る男を相手にした時など、跳躍からの一撃(どこから取り出したのか、凄まじく大きな剣を振るっていた)で叩き落し、対戦車ライフルをへし折っていたものだ。
 無論、その後は私とジョルジョ、エヴァンで蜂の巣にしてやったが。


 …その男達が、我が軍の者だと知り、あらゆる意味で衝撃を受けたが…その話は辞めておこう。
 これも機密に相当するからな。



 相変わらず言葉は通じなかったが、身振り手振りで何とか意思疎通はできている(と思う)。

 その後も、彼の快進撃は続いた。
 私達の出る幕が無くなるのではないか、と思う程に。

 ヘリで奴らの本拠地に向かう途中、打ち落とされた。
 揃って飛び出して着地したんだが、その後が凄まじい、
 ああいうのは確か、「ムソウ」というのだったか?

 森の中に投げ出されるや否や、何処に敵がいるのかをすぐさま察知し、緑帽子の部隊が青くなるようなサイレントキリングを披露。
 洞窟を抜けようとした時など、進んでも遭遇するのは死体だけだった。
 抜けた時は抜けた時で、流砂を察知し私達と止めた。
 更にその先では、間欠泉が何処から吹き出るのかわかっているかのように進路を変え、時には敵を誘導する。

 戦っているうちに、銃撃を浴びた!或いは誤射をしたか!?と思った事も一度や二度ではなかったが(敵に接近していれば、そうもなる…)、どういう理屈か全て無傷。

 …未知の地形にさえ対応できる上、防御力が恐ろしく高いのか。
 少なくとも、私は敵対したくないな。
 

 洞窟を抜けた先を進む途中、罠にかかって俺が逆さ吊りになった事があった。
 その時は(森に入ってからというもの、彼の姿が見えなかったが)突然現れ、俺を吊るす縄を切断してくれた。
 …その時に見えたのだが……あの刃物は、東洋に伝わるKUNAIではないか?
 NINJYAが使う、スリケンと並ぶ道具だ。


 彼はNINJYAだったのか?
 いや、NINJYAはSASUKE・SARUTOBIが起こした第三次NINKAI大戦とやらで絶滅したと聞いたが。
 だがジャパンのテレビでは、同名の番組が放映されていると聞く。
 ならばやはりNINJYA絶滅は情報操作なのか。

 彼がNINJYA…うむ、確かに彼の能力を考えれば、そう思った方が納得はいく。
 敵の銃撃にせよ誤射にせよ効果が無かったのは、噂に聞くミガワリのジツか。
 NINJYAなどとっくに滅びた幻影だと思っていたが、そう思わせる事も彼らのジツの一つだったのかもしれん。
 侮れんな、ジャパニーズ。
 目の前で大暴れしているNINJYAを見れば、侮る気など湧きもせんが。



 …いや、よそう。
 彼がNINJYAなのかも、NINJYAが生き残っているのかも今は重要ではない。
 まずは任務をこなさねば。


 我々は森を進んでいった。
 その先にあった研究所では随分と骨のある奴がいたものだ。
 銃撃戦ではラチが開かないと判断し、私は奴に接近戦を挑んだ。
 
 なにやらベス中尉が妙に興奮していたような気がするが、よく覚えていない。
 それだけ必死だったのだ。

 尤も、彼(よく考えれば、言葉が通じなくても名前くらいは聞けるな)が私と入れ替わるように接近し、猛烈な乱舞からのカチ上げ、更に空中の奴を掴んで回転しながら落下したのは目に焼きついている。
 あれはよもや、コッポーの伝説の奥義・IDUNA DROPではないだろうか?


 凄まじい破壊力だ…。
 真似はできないにしても、この目に焼き付けておこう。
 うむ、貴重なものを見た。

 いずれにせよ、ジョルノとエヴァンの援護射撃、そして彼のジツで、このタフな強敵も弱ってきた。
 いいぞ、チャンスだ!


 これでッ!

 終わりだァッ!!!!



 渾身のアッパーが決まり、奴は崩れ落ちた。

 …勝つには勝ったし、軍人としては不要な考えだが、なんというか華が無いな。
 俺も決め技の一つでも覚えてみるか…。



 そんなこんなあったが、テラーバイトはこの場所には無かった。
 ベス中尉からの報告を受け、襲撃を受けている州への防衛に向かう。

 きっとやってくれるだろう、とは思っていたが、彼はそこでも遠慮なく行動してくれた。
 テラーバイトに襲われている街を見るや否や、飛び出していったのだ。



 …ヘリから。



 パラシュートも無しに自由落下し、平然と起き上がってきたが、もう驚きは無い。
 落下した場所には何故か藁の束があったし、それがクッションになったんだろう、多分。
 
 俺もそれに続いた。
 空を飛んでくるようなテラーバイトは、彼の「HA!」に任せ、地上のテラーバイトを相手にする。

 …だが、我々の奮闘も、無人爆撃機を止める事には繋がらなかった。
 飛び出していく爆撃機を、ヘリに乗っている二人が1,2機撃墜したのは流石だが。

 その時、ベス中尉から連絡が入った。
 「ワイルドドッグ」が現れたと。

 VSSEのデータにあった、超危険人物!
 この事件に関与していたか!


 どうやら、ワイルドドッグはヘリの飛行を妨げようとしていたようだが、私は援軍にいけない。
 代わりに彼(名前を結局聞きそびれた)が駆けつけたようだが…油断するなよ。



 私はなんとかテラーバイトを葬り、彼らに合流した。
 その時、彼らは既にワイルドドッグを撃退していた。
 流石だな。

 だが感心しているヒマはない。
 一刻も早く、爆撃機を止めなければ。


 爆撃機を止めるのはジョルノとエヴァに任せ、彼はこちらの援護に入った。
 相変わらず、銃撃戦の中を平然とジャパニーズブレードを持って駆け回る姿には寒気が走る、色々な意味で。
 誤射されるとは思わないのだろうか。
 それとも、誤射されてもミガワリのジツがあると思っているのか。

 味方も彼の姿に戦慄し、戸惑っているようだが、それでも一喝すればすぐに体勢を整えた。
 


 程なくして邪魔する敵は殲滅され、先に進んだところ、ジョルジョとエヴァンが敵のボスと思しき男と戦っていた。
 何故半裸なのかは分からんが、随分と身軽だな…こいつも強化改造を受けているようだ。


 む…ボスが後退したか。
 あの二人だけでもハーメルン大隊のボスを撃退するとは流石だな。
 だが仕留めなければ油断はできん。

 爆撃機が飛び立って、どれくらい経った?
 もう時間が無い。


 だと言うのに、奴は操作盤がある場所に続く階段を爆破しやがった!
 これはまずい!

 くっ…損耗に拘っていては、アメリカが火の海になってしまう!
 仕方ない!

 生き残っている者全てで足場を作れ!


 号令を聞いた者全てが、次々と駆け寄っていく。
 テロリストに無防備な姿を見せる事になると分かっていても、アメリカの為に、全てを守る為に。
 例え千の銃弾を受けたとしても、このミッションは成功させてみせる!
 軍人の覚悟を舐めるな!
 俺も行くぞ!


 上から降ってくる銃撃を無視し、俺も足場になろうとした時だった。
 視界の隅で、動く者がある。
 敵か、と思ってみてみれば…彼だった。

 なんと彼は壁を真っ直ぐに駆け上がり、宙返りを決めてテロリストの前に降り立ったのだ。
 流石にテロリストは動揺したようだが、すぐに2丁の銃を向けた。
 確かに、彼は装甲すら纏ってない、単なる一般人にしか見えない。
 目の前で、一般人どころか生身の人間とは思えないような挙動もしていたが。
 銃弾を当てれば、すぐに始末できると考えたのだろう。
 
 だが、知らないだろうがそれは愚策以外の何物でもない。
 
 放たれた数発の銃弾は、彼が持った刃で簡単に弾き飛ばされる。
 その後、彼はバカにしたような表情を見せた。
 「改造されたと言ってたが、こんなもんか?」と言ったところか。
 テラーバイトすら引き付ける、彼の挑発技術は凄まじいな…特定地域の日本人は「アオリ」なる挑発が得意だと聞いていたが、その技術だろうか?

 バカにされたと思ったテロリストは激昂するが、戦場でそんな隙を晒すようでは長生きできん。
 特に彼の前では。
 銃を構えなおそうとするテロリスト、だが彼は影のように間合いを詰める。




 一瞬の交差の後、テロリストは血を噴出して倒れこんだ。
 これで爆撃機を止められる!と思ったが、それは早計だった。

 コンソールを振り返った彼は、次の瞬間には拙い英語でこう叫んだ。


「I can't use it!」


 使い方が分からないか!?
 くっ、無理もない…だが言っているヒマはない!
 
 生き残っている者全員で足場を作り、頂上にはジョルジョとエヴァンが手を伸ばし、階上からも彼が手を伸ばしているが、僅かに届かない。
 ならば!
 

 渾身の力で二人を持ち上げ!


「爆撃機を止めてくれ!
 この国を、救ってくれー!」



 二人を真上に投げ飛ばす!


 目論見は上手くいき、二人は階上へ昇って行った。
 そこから先は、俺には見る事ができなかったが…階上の画面から聞こえた爆発の音。
 ミサイルが着弾した音ではなく、自爆した音のようだった。


「全ミサイルの自爆を確認」


 ベス中尉のアナウンスが流れ、ようやく無事だった実感が湧いてくる。
 
 彼が階上から我々を覗き込み、朗らかな笑みで親指を立てた。
 




 基地の外へ凱旋し、ジョルジョとエヴァンは飛び立っていった。
 コンウェイ中尉と3人で、並んで彼らを見送る。

 名残惜しいが、お互いに立場ある身だ。
 いつかまた、戦場以外の場所で…或いは戦場だとしても、肩を並べるように出会いたいと思う。
 きっと彼らの事は忘れない。



 …さて、何だかんだで曖昧になっていたし、彼らもこの謎を残していくのを躊躇っていたが…。



「すっかり世話になってしまったな…。
 日本語を話せる者を連れて来る時間さえなかった。
 
 ここまで来て、今更とは思うし、そもそも言葉が通じてないのに言うのもどうかと思うが……君は一体何者だ?」


 なるべく威圧しないよう、彼に話しかける。
 …根っからの軍人である私としては、こうして柔らかい口調で話すのは苦手なんだが…こればかりは、ベス中尉にも任せたくはなかった。
 彼が何者であったとしても、尊敬すべき戦友である事は変わりないのだから。


「…いや、君が何者かなのは、今は問うまい。
 それよりも、アメリカ軍にこないか?
 君の技量を、市井に埋もれさせるのは惜しい!

 我が軍には日本人だって居る。
 人種の問題が無いとは言わないが、歓迎されるぞ。
 日本人の作る食事は美味いしな、特にカレーとトンカツが。
 君なら、コック兼兵士にだってなれる!」


 …日本人はセ○ールに憧れると聞いた事があるから、話のネタに持って来てみたが…考えてみれば、ジョークを交えても言葉が通じないのだったな。
 だが、きっと何を言っているかは伝わっていると思う。

 しかし彼は、少しだけ笑って


「I am Rurouni」

 
 とだけ返事をした。
 Rurouni…知っているぞ。
 確か、従兄弟が読んでいたコミックの、Samurai Xのヒーローだ。
 誰にも忠誠を誓う事はないが、世の為人の為に旅をしてYONAOSHIを続ける、MITOKOMONの後継者だっただろうか。

 …そうか…。
 一世一代の勧誘だったつもりだが、彼の生き様がそうであるならば仕方ない。
 だが、何かできる事があれば、いつでも頼ってくれ。

 差し当たり、金銭という事になるが謝礼を……と思ったら、彼はいつの間にか姿を消していた。
 ベス中尉も、ずっと見ていた筈なのに、コマ落としにでもなったかのように姿が見えなくなったのだと言う。

 …SAMURAI Xのヒーローは、TENGUの剣を使い、瞬間移動したかのようなスピードで戦うと聞いたが…やはり彼はその剣の使い手なのだろうか。
 謝礼を受け取ってもらえなかったのは残念だが、感謝する、日本のサムライ、ヒーローよ。




タイムクライシス4編
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