※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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次は5日の9時から~。


第151話

神無月脂っこい酒のツマミが喰いづらい…具体的にはチャーハン日

 

 またしてもレア博士が案内についた。

 てっきり、ラケル博士や秘蔵っ子と顔合わせするものだと思っていたんだが…。そう言ったら、レア博士も戸惑ったような顔で言っていた。

 

 

「その予定だったんだけど、実験の方で何かトラブルがあったらしいのよ。ジュリウス…ああ、あの子のお気に入りね…も、そっちに取られちゃったみたいだし。代わりに、ロミオって子が会いに来る事になったわ」

 

 

 …ロミオ? コウタ二号? ただし死ぬ。

 なして?

 

 …ロミオが来るのは、まぁいいとして…これってどういう事なんだろうな?

 俺が来ると同時にトラブル発生、しかもラケル博士とジュリウスがセットになって行動しなければいけない案件。有り得ない、とは言わないし、内容だって分からんが…タイミングが良すぎると言うか悪すぎると言うか。

 ジュリウスじゃないだろう。直接会った事は無いが、ゲームにあるような性格なら、こんな小細工は…まぁ、必要であればやるだろうけど、俺を拒絶する理由が無い。

 となると、やはりラケル博士か? 俺と会いたくないのか…或いは、ジュリウスに会わせたくない? 支部長に対する、何らかの当て付け…でもなさそうだ。

 

 何考えてんのやら…。思ってたより、ややこしい話になるかもしれないな。

 

 

 そんな事を考えながら、フライアをレア博士に案内してもらってたんだが、ちょいと気付いた事がある。レア博士についてだ。

 昨日の初対面時から、微妙な違和感を覚えていたんだが、その理由がやっと分かった。

 

 なんつぅか……変は意味じゃなくて、若いんだよ、レア博士。考えてみりゃそれも当然で、まだGE無印の時期だ。俺がディスプレイ越しに知ってるレア博士とは、軽く見て二年以上のブランクがある。多分、高く見積もってもこの人まだ二十台半ばだわ。そりゃイメージとの違いも出るわな。

 更に言うなら、この人の立ち居地がもっと問題だ。不自然に距離を詰めてくる節が見られたんだが、必ずそれが途中で…と言うか詰める前に止まる。結局近寄って来ない。でも近寄ろうとする。不自然に近かったり、慌てて距離を取ったりと忙しない。

 どういう事かって?

 

 つまり…。

 

 

 

 

 

 

 

 レア博士はまだ処女だったんだよ!

 

 

 

 いやマジでマジで。オカルト版真言立川流の効果なのか、それとも妙な方向に鬼の目タカの目が効果を及ぼしてるのか、はたまた内面観察術に慣れてきたのか、見れば経験があるかどうか何となく分かるし。その中でも、レア博士は分かりやすい範疇だけどな…。

 「んな事ぁどうでもいいわ」と思うかもしれないが、コレ本気で重要よ? 少なくとも、ラケル博士の考えを看破する一助になる程度には。

 

 一言で言ってしまえば、ハニートラップだ。それも、自分の意思ではなくラケル博士にせっつかれて…だろうな。

 妹に対する罪悪感から逆らえず、何とか俺を篭絡しようとするも、男を知らないから近寄るのを躊躇い、近寄ったら近寄ったで驚いてつい後ずさる。不自然な距離間の理由はコレだ。

 レア博士と情を通じたら、それをとっかかりにして俺を自分の陣営に引き込むなり、或いは強姦の類をやらかしたとでも捏造して脅迫する。

 

 ラケル博士がどこまで本気なのか分からないが、これで取り込めれば儲け物、失敗しても無くすのは手駒の処女くらいってか? 大したもんだわ。

 …だが、ラケル博士がどんな奴かってのは、ちょっと見えた気がするな。非情だとか外道だとか、そういう所じゃない。考え方がアラガミなんだ。人間で言う情が通じる事は無い。それ以上に、人間の考え方が通じないし、多分ラケル博士も殆ど理解していないだろう。あるのは、「こうすればこう反応する」「こう誘導するにはこう言えばいい」という膨大なデータのみ。だが、それも人間の考え方を理解しようともしてない為、何処かにズレが生じる。レア博士に色仕掛けなんぞ命じたのがその証左だろう。肉体的には、ものすごーく適任だとは思うが…中身がなぁ。

 いや、レア博士悪い人じゃないよ? 見た目やスタイルもいい、情も深い、頭も…まぁ、いいんだろう。だけど肝が据わってない。男も知らないから、『そういう事』に及ぶ事を…もっと正確に表現するなら、及ばなければならない事を考えて二の足を踏む。ラケル博士は、初体験とか異性に怯える心境を理解できてないんだろう、多分。

 ラケル博士と、その罪悪感に怯え続けて、芯が作れなかったのかもしれんなぁ。

 

 

 …そういや俺の芯って何だろ。死ぬに死ねない状況だったから、イヤでも順応せざるをえなくて何時の間にか作り上げられてたんだけど。

 ………やっぱ肉欲? それとも狩欲?

 

 

 それは置いといて、どうしたもんですかね。ロミオの事は、まぁ適当に相手するとして…いいカラダした女だとは思うし、ハニトラされても甘い汁だけ吸ってスタコラサッサできる自信はあるけど。

 ふぅむ…。

 

 

神無月山芋の梅おろしとかワサビ漬けとか好き日

 

 ロミオ到着。と言うか迎えにいったけどね、俺とレア博士で。

 …あのさ、レア博士…。背景察しつつも無視して言うけど、アンタ何時研究とかしてんの? まぁ俺と一緒に居てデータが取れるとか、そー言う話ならいいけどさ。実際、昨日は血の力こと霊力で、怪我した人を治癒するところを見せたし。

 

 到着したロミオは、今までマグノリア・コンパスとやらで暮らしていたらしい。だが神機を持った事もあるし、初陣も済ませているとか。

 マグノリア・コンパスって孤児院じゃなかったっけ…? ラケル博士経営って時点でお察しだけど、どんな孤児院だよ。

 

 とりあえず、会って自己紹介し、車でフライヤに向かう(運転はレア博士。俺がやろうとしたんだけど、ほぼペーパードライーバーだと知られて強引にハンドル奪われた)途中、色々話してみたんだが…なんつーか、こいつ焦ってる? 新しい環境に対する焦りじゃない。本人も自覚しているようだが、ジュリウスに対する焦りか。

 同年代であり、同じ孤児院出身である筈のジュリウス。だというのに、自分の遥か先に行っている。血の力こそまだ発現してないものの、ラケル博士の執務を手助けしたり、ハヰソサエテヰ(に見える)小難しい気取った会話を、なんか会議とかパーティとかでやってたり。

 そういう、なんかスゴそうなジュリウスを見て、劣等感を感じ始めているらしい。

 

 …ゲームでも、確かにそういう節はあったな。自分だけ血の力を発揮できず、無理に明るく振舞って、無茶で軽率な行動をする。今は…そこまで強いものじゃないものの、「ジュリウスは自分とは違う」という諦観も持てない状態の為、焦りとライバル意識に支えられている状態かな。まだ悪い状態ではないだろう。

 実際、「まだ追いつける!」って本気で信じているようだしね。

 

 そして、その追いつく為の最高の材料が目の前にいる。ぶっちゃけ俺だ。

 ジュリウスでさえまだ会得していない血の力を使える…と嘯く俺。疑わしくも思っているようだが(それも、血の力の存在自体ではなく、ジュリウスでもない人間が使える、という点のようだが)ここで自分が血の力を身につければ、ジュリウスより上位に立つのも夢ではない。

 …流石にそこまであからさまな表現はしてないけどな。

 

 ふーむ、この性格も、派遣されてきたタイミングもラケル博士の誘導の一つなのかねぇ。だとすると、ジュリウスではなくロミオに血の力を会得させる理由…。

 

 

 

 …実験台か。

 

 

 俺が使う力が本当に血の力なのか分からないから、まずロミオにやらせてみよう、ってトコか? 流石に穿ちすぎかな…。レア博士に意見を聞いてみたいところだが、この人に妙な事言うと即座にラケル博士に伝わりそうなんだよな。

 ま、いいか。どっちにしろ、霊力を研究させて終末捕食が可能だって事を証明させる為に来てるんだし。最初からある程度手の内を明かすのは覚悟の上だ。

 ロミオ自身だって、このままゲーム時期に突入してしまうと、死んでしまう可能性が非情に高い。梃入れが必要だろう。少なくとも、ブラッドアーツの一つでも習得させておけば、力に目覚めようと無茶をする事は無くなるだろう。…周囲とのレベルの差は…それこそ訓練させりゃいいか。

 

 

 はー、しかしどうやって教えたもんかな。霊力と血の力は似通っている部分も多いし、ロミオにも素質はあると思う。だけど、そう沢山の事を教えられる訳じゃないだろう。霊力を扱うには、基本的に長い修行が必要になる。…俺が割りとアッサリ覚えられたのは、何度も死んで霊力が高まってたからだろうな。死に掛けたり死に触れる事で霊力が強くなる、というのは昔から言われてた事だし。

 MH世界の正宗と違って、生命力も人並み+α程度。ついでに言うなら、どう見たって瞑想とかが得意そうな人間じゃない。

 何より、根本的な問題として、ロミオにはミタマが付いてない。…俺ののっぺらトリオみたいな奴なら、居ない方がマシって気もするが…能力的には矢鱈高性能なんだよな、こいつら…。でも、正宗だってミタマ無しで霊力使えたんだし、どうにかなるか。

 それこそ、正宗に渡したような道具を持たせ、補助輪代わりにしてもいいだろう。

 

 

 ふむ…とりあえず、治癒系等の術は却下だな。有効な技術ではあるが、使い手に迷いや不安があったりすると逆効果になりやすい。何より、傷を負った部分に合わせて霊力の使い方を変えなければいけないから、それを道具にやらせるのは難しすぎる。

 ミタマ攻の渾身みたいな補助効果や、空蝉みたいな特殊効果も止めておくか。

 やはりブラッドアーツなんだし、攻撃技だなぁ…。

 

 極端な話、霊力篭めてブン殴ればいいんだから、難易度低め、特殊な効果を付けられる程熟達すれば発展も見込める。ついでに言えば、ラケル博士にも余計な情報を与えにくい。

 うん、攻撃系だな。

 

 

 

神無月昼飯はそうめん日

 

 とりあえず、ジュリウスも腹黒博士…これだと極東の博士と被るから、ちょっと追加して腹黒妹博士…も来れないらしいので、とりあえずロミオにブラッドアーツ発現の協力をする事になった。ちなみに、その隣ではレア博士がなにやら記録を録っている。…だから、自分の研究は……アンタ血の力云々じゃなくて、神機兵の研究してんでしょうに…。

 

 まずは俺のブラッドアーツ、という事でミタマ魂の追駆を見せてやる。…ロミオの目がキラキラした。

 アレか、普通に撃つだけじゃ芸がないしインパクトも弱いんで、両手を合わせ体を捻って、「波動拳!」と叫びながら撃ったのがよかったんだろうか。こいつ、割とゲーマーみたいだから、スト2だって知ってるかもしれないし。

 …と言うかネタだから、真面目に記録しないでくださいレア博士。

 

 

 憧れの必殺技(?)を目にして、テンションが上がりっぱなしのロミオ。「ビシバシ鍛えてください! 何でもします!」…ん? 今何でもするって言ったよね? という定番の返しで不安を煽っておいて、まずやる事はロミオがどれだけ戦えるかの検証だ。

 例えブラッドアーツを会得したとしても、マトモに運用できないんじゃ意味が無い。どんなブラッドアーツを覚えさせるか、ある程度こっちで決められるんだから、ロミオの動きに合わせて教え込んだ方がいいだろう。

 

 

 

 

 そういう訳なんで、ロミオをフライアから連れ出し(流石にレア博士は置いてきた。戦いについてこれそうにないし)、適当にアラガミを狩る事約30分。俺にしては短いなーと思ったアナタ、正解です。と言うか今回は狩ったのは俺じゃないし。フォローについたとは言え、ロミオがやったんだし。

 しかし、オウガテイル数匹と、ザイゴートの群れ相手にブレードで30分近く、か…。うーむ。

 良いだ悪いだ以前に、ロミオが使ってる武器がブレードのみってのが意外だったな。考えてみればそれも当然で、新型神機ってまだ数えるくらいしか出来上がってないんだよな。まだGE無印の時期なんだし。

 

 

 …で。

 

 

「…ど、どうですか?」

 

 

 一通りの討伐を終えて、息も絶え絶え…とは言わないが、バテているロミオが、目の前で不安そうな顔をしているんだが。感想としては……。

 

 

 

 普通。

 

 

 

「…ふ、ふつう…」

 

 

 いや、初陣終えただけの状態のガキンチョなんてこんなもんだし。自覚はしてるだろうが、腰が引けてる。警戒が甘い。敵の動きと攻撃が認識できてない。判断ミスで、自分から攻撃を受けに突っ込んでいく事も多い。

 

 

「うう…」

 

 

 問題点は山ほどあるけど、ルーキーなんざそんなもんだな。それをどうにかする為に、血の力が必要って言いたいんだろうが……それは間違いだな。

 上から目線の言葉になるし、今はとても納得できんだろうが、こんなモンは単なる道具だ。持っただけでレベルアップできるような代物じゃない。仮に俺と同じ能力をお前が持ったところで、また間違ったタイミングで使ってスカるかフレンドリーファイアするのがオチだ。

 

 

「っ…」

 

 

 さっきも言ったろ、ルーキーなんざそんなもんだ。

 という訳で、血の力を目覚めさせる訓練と平行して、地力を上げる為の訓練も進めます。

 

 

「へっ!? えぇと…その、教えてくれるんですか?」

 

 

 まぁ、協力するって名目で来てるんだし。何だ、見放されるとでも思ったか。

 残念だったな。ハンター訓練所に「見捨てる」なんて選択肢は一つとして有り得ない。一度始まった以上、ハンターへの道を真っ逆さまに落ちていくのみ。

 

 

「ハン…ター? 狩人? いや、それよりも道を落ちるって、せめて歩いていくとか駆け上るとか」

 

 

 

 それは途中で辞められる時に使う言葉だ。

 

 

 まー真面目な話、今のお前さんじゃ色々足りん。技術とか度胸とかそーいう話じゃなくて、もっと単純なエネルギー量的に。分かりやすく言えば、体力が足らん。

 

 

「これでも…色々訓練受けてきたんだけど。それに、ゴッドイーターになって体力も増えてるんですけど、それでも足りないんですか?(血の力を使うのに)」

 

 

 圧倒的に足りない。(連続で狩りをするのに、血の力を扱うための訓練を受けるのに)

 そもそも、考えてもみろ。例えばロミオ、あっちのデカいコンクリートの塊があるだろ。

 

 

「ありますね、アラガミの食い残しっぽい奴が」

 

 

 あれをぶっ壊すのに、どれだけ体力使うと思う? てこの原理とかその手の技術は無し、道具も無しで文字通り力技でぶっ壊すとしてだ。

 

 

「ゴッドイーターの力でも、一日がかりじゃ無理ですね。と言うか、重機持って来て退けた方が早いです」

 

 

 うん、で、ブラッドアーツっつーのは、その重機の代わりになる訳だ。あんだけドでかいコンクリートの固まりを、粉砕するなり転がして移動させるなり、そういう事を…どんなブラッドアーツにするかにもよるけど、人力でやろうとしている訳だ。

 疲れない筈がないだろう。極端な話、さっき見せた追駆だって、重い岩とかを思いっきり投げつけてるのと変わらない。当然、岩を持ち上げるにも膂力と体力は必要だし、当たってダメージを与えられるくらいに勢い良く投げるにも体力を使う。

 あのコンクリートの塊は極端な例えだが、ブラッドアーツの一発一発にかなりの疲労が伴うと思え。それこそ、重機にさせる働きを、生身でした分の疲労がそのまま圧し掛かってくると。

 

 

「………」

 

 

 ま、決め技ってのはそういうもんだ。リスクが大きいからメリットも大きい。

 それと、これは一発に全てを注ぎ込んだ場合、の話しだからな。そこまで力入れて使わずに、体力消耗を抑えて手数で勝負する方法もある。実戦ではこっちの方がオヌヌメ。使い続ければ慣れたり無駄な動きが少なくなって、体力消耗も減るだろうしね。

 

 さて、その辺の事を踏まえて、自分に体力が足りていると。

 

 

「全然思えないです…。と言うか、それって人間の体力なんですか…」

 

 

 俺達は人間である以前にゴッドイーターだ。そして俺はハンターでありモノノフでありアラガミだ。

 

 

「はぁ……は?! アラガミ!?」

 

 

 冗談だよ。俺の何処がアラガミに見えると?

 

 

「…趣味悪いっすよ…ゴッドイーターとアラガミは紙一重だって言うし…」

 

 

 そだね。ま、とりあえず、体力作りと、戦場の空気に慣れようか。大丈夫、どっちもアラガミ狩ってりゃすぐだから。

 さぁ、久しぶりのデスマーチだ。大丈夫、今までこれを受けた2人は君にケが生えた程度の力しかなかったけど、やり遂げた時には一端の極東ゴッドイーターになってたから。

 

 

 

「…えっ、いや、極東って確かアタマオカシイって毎日のように言われてる…」

 

 

 おかしくないおかしくない、むしろ極東がデフォルトスタンダードだよ、ゲーム的に考えて。

 

 

 

 さぁ、逝こうか。ああそうそう、俺の事は教官と呼べ。

 

 

 

 

神無月もやし鍋……痛まないかな…日

 

 昨日は軽めに終わらせたが、ロミオ君フラフラだった。レア博士が腰抜かすほどビックリしていた。

 その後、更にロミオを訓練に付き合わせたけどな。ハンター並みのボディを目指してもらおう。

 

 朝、疲労困憊かつ筋肉痛なロミオを叩き起こし、軽いマラソン。距離もスピードも、一般人でも負担にならない程度だ。ただしアラガミという名の障害物が一杯居るが。

 ほれほれ、ペースを乱さず走れ。襲ってくるのはこっちで全部処理すっから、今は恐怖や焦りで呼吸を乱さない事を覚えろ。

 マラソンついでに、気晴らしに何匹か狩って帰った。

 

 バタンQ状態のロミオに朝飯を突っ込んでいたところ、レア博士からジュリウスとラケル博士が暫く戻ってこれない、という話を聞かされた。

 そんじゃ血の力の解明は? と聞いたところ、レア博士が担当するらしい。で、その研究も兼ねて、ロミオを鍛えてやってくれ、との事。

 ロミオは生みの親から見捨てられたような表情になった。…育ての親ではあるな。

 

 流石にロミオが可哀想になったのか、レア博士から血の力の研究をするので時間を取ってほしい、と提案された。その間にロミオを休ませろって事ね。

 …まぁ、いいか。血の力の研究が疎かになっては本末転倒だし、ロミオは…言っちゃなんだが、精神的にタフなタイプじゃない。それを鍛える為の訓練ではあるが、あまり詰め込みすぎると折れてしまいそうだし。

 とりあえず、今日は綿密な打ち合わせをする必要があるそうなんで、ロミオには課題だけ出しておく。体を動かす事じゃなくて、座学の方だ。アラガミの行動の特徴、弱点、その他諸々。レポートにして纏めてあるんで、それ読んで自分が相手するとしたらどうするか、何が必要なのか考えておくように。

 それが終わったら、今日はフリーでいいよ。

 

 

 

 

 さて、レア博士と綿密(笑)な打ち合わせの時間な訳ですが……この人、本当に博士ではあったのね。頭いいな。

 俺が見せた追駆や治癒について、気になった点を色々聞いてきた。

 

 真っ先に聞かれたのが、「あれは本当に血の力だと思うか?」である。鋭いね。実際は霊力だ…正直に言わずに、違うと言うのなら何なんだと返しておいた。

 問い返されると困った顔をしたが、レア博士曰く、血の力…特にブラッドアーツというのは、発現する際に赤い光を伴うのだと言う。…ああ、はいはい確かにゲームじゃ何かと光ってましたね。今回俺が使ったブラッドアーツ(っぽいもの)には、それが無い。何故?

 

 …疑問に思うのも分かるが、俺としてはどっちかと言うと、第一発現者である筈のジュリウスが未体得状態なのに、どうして赤い光がどうの、って話ができるんだ? と思うんだが。

 血の力の研究はされていても、言っちゃ何だが実物を確保できていない机上の空論状態。光るにしたって赤に限らなかったりするのでは? そもそも、意味も無く光るという事は、エネルギーが何らかの形で漏れ出しているという事だろう。そんなロス、出ない方がいいに決まっている。ていうか、何でわざわざ攻撃宣言せにゃならんねん。狩人の立場から言わせてもらうと、決め技なんてのは素早く、一撃で、可能であれば音も立てずに目立たないように出すべきだ。予備動作一つあれば、獲物に回避されるリスクは格段に大きくなる。

 

 

 

「え…えぇっと、その辺はゴッドイーター視点で語られても…。私達は理論を研究しているんであって、実用性は…研究はするつもりだけど、まだ誰も会得できてなかったし」

 

 

 そりゃそーかもしれませんが、それなら尚更赤く光ると言われているのは何でやねん。

 

 

「説明してもいいけど、長くなるわよ」

 

 

 んじゃいいです。

 ともかく、俺だってこの力が何なのか、把握している訳じゃないです。ここに来たのだって、支部長が「君が使ってるソレ、ラケル博士が提唱していた血の力なんじゃね?」って事で寄越されただけですし。

 まぁ、単純にサンプルの一つと思えばいいんじゃないですかね。レア博士が言うように、全く別の力である可能性だってあるんだし。

 

 

「そうかしらね…。だとしたら、ラケルが私を寄越したのも、その為かもしれないわ。血の力ではないのなら、あの子にとって価値のない力でしょう。ならば、私で対応しろと…」

 

 

 …ついでに、御曹司に妙な力を見せて、先入観を与えたくない…かな?

 

 

「多分ね。あの子にとって、ジュリウスは特別みたいだから。……ああ、誤解の無いように言っておくけど、決して邪魔者扱いしている訳じゃないのよ、私もラケルも。血の力じゃなかったとしても、研究に協力してくれる事は嬉しく思うわ。何せ、血の力なんて言っても、殆どの場合は眉唾モノ、フィクションを学会で大真面目に話すなって言われた事もあったもの。だけど、実物が無い以上は反論する事もできない。…ジュリウスは、それを我が事のように悔しがっていたわね。少しでも早く血の力を発現しようと、焦っているようにも見えた。…だから、アナタという実物が居てくれる事は、素直に嬉しいわ。……例え血の力と少し違ったとしても、未発見の力である事は確かだもの。反論の根拠にはなるわ」

 

 

 さいで。まー血の力だろうが筋肉の力だろうが、使えるものを使うまでですな。

 さて、本当に血の力かという疑問は置いといて…研究するって言っても、何から始めます?

 

 

「まずは測定からね。私には…あの、追駆?は光が飛んでいったように見えたけど、例えばカメラに写るのか、赤外線とかに反応するのか、発生する時、或いは消滅する時はどうなっているのか。その際の貴方のバイタルは? 知りたい事は山ほどあるわ!」

 

 

 …この人も、ちょっとマッド入ってるのかな…いやいきなり非人道的な実験をしない程度には…でも今回の榊博士だって、性根は超マッドのクセして対話から入ってきたしな…。

 この程度なら普通の研究者の範疇か。

 

 

 

 

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