神無月冷たいお茶と熱いお茶、どっちが好き?日
色々測定された。なんか色々狂喜しながらも、ブツブツ悩んでいたレア博士が印象的だった。
研究中は色仕掛けの事とか、色々忘れられるみたいだな。特に不自然なく接してくれていた。
ロミオは一日休みを貰ったおかげか、何とか復調したみたいだ。回復力は結構高いな。ゴッドイーターとして強化されたおかげか。そんじゃ、暫くは隔日で訓練していくとしますかね。一日は動けなくなる程訓練して、その次の半日くらいで完全復活できるようになったら、次のステップにって事で。
ちゅー訳で、今日は訓練の日です。走れ走れ。
マラソンが終わったら、フライアの中の訓練施設で訓練+測定。タマフリには自分だけでなく、周囲の仲間にも影響を与える術もあるからな。すっかり忘れてたが、ミタマの特技には渾身強化・周囲とかもあったし。…これ、覚えた時には「いつも一人だから使えねー!」とか思ってたんだよな…。使えるようにはなったけど、本来の使い方じゃないなぁ…実験の為だし。
測定していたレア博士が、やっぱり頭を抱えていた。まーそりゃそうだろうな。タマフリで攻撃力が高くなるなんて、科学者からしてみれば意味不明の一言だ。
動きが特に変わった訳じゃない、筋肉量が増えた訳でもない、勿論神機の質量が増えた訳でもない。なのに何かを攻撃した時の結果だけが違う。
レア博士の視点からすれば、1+1が何故か3になっていたような感覚だろう。それも、何度繰り返しても同じような結果が出る。偶然とか測定ミスでもない。
俺がやっているのであれば、手抜きと本気の違いを疑う事もできるが、今回測定したのはロミオ。そこまで器用な事は、まだできる子じゃない。
昨日測定した追駆だってそうだった。目には見えるし、発射前で留めていた状態の追駆に触れる事もできるのに、カメラには写る時と写らない時があるし、赤外線を初めとした殆どのセンサーには触れても反応しないし、着弾した追駆の衝撃は妙な形で標的に浸透する。物理法則ガン無視。
測定した様々な結果を元に、俺・レア博士・ロミオの3人で色々と話し合ったりもする。治癒以外のタマフリを他人にかけたのは俺も初めてだし、感想を聞きたかった。
ロミオ曰く、「体の周りを、よく分からない何かが覆っている感じ」だったそうな。ふむ…力が湧いてくる感覚ではなく、周囲を包まれる…。俺が自分で渾身使っている時は、全身に力が行き渡るような感覚なんだけどな。自分で使うのと、他者から影響を受けた場合の違いだろうか?
再度使用してみた時は、確かに…俺が使った霊力が、ロミオの体に取り憑いて…特に武器に集中していた。うむ…どう考えてもこの為だろうな。霊力だって、既存のセンサーとかでは測定できないだけで、れっきとしたエネルギー、或いは質量みたいなものだ。軽い道具で殴りつけるのと、重い道具で殴りつけるの、どちらが効果があるか…という話だろう。
使われた際、ロミオには特に不快感等は無いらしい。自分を覆っているモノに関しても、正体不明なだけで、特に鬱陶しさも感じてない。むしろ、自分が強くなったという感覚が湧いて、興奮するとか言ってた。
うーん、確かにバフかけてるようなもんだから、強くなってはいるんだろうが…。
しかし、霊力に抵抗が無いなら、他のタマフリを使ってみて、霊力に慣れさせるか? そうだな、韋駄天・周囲で移動速度とスタミナ回復速度を上げれば、マラソンとかもしやすくなるし、速い速度での戦いにも慣れるだろうから、反射神経・判断速度の向上にも繋がるだろう。
さて、研究と訓練を両立しなけりゃならん訳だが、その前にロミオから疑問が出た。俺はどういう状況で、血の力を扱えるようになったのか?
…この子、結構深いトコ突いてくるね。現状、俺は唯一の血の力持ちで、尚且つ経歴不明という状態だから、レア博士も迂闊に突っ込まないようにしていたというのに。
ま、適当なカバーストーリーはもう作ってあるけど。
元々、俺はとある地方のゴッドイーターだったんだけど、腕を買われて特殊部隊に組み込まれた。闇系…というより、『介錯』系の仕事もある部隊だったんで、身バレすると面倒な事になりかねない。その為、過去の経歴は全て抹消済み。
で、特務の最中に色々死に掛けたりして、こう……ちょっと許せない事があって、それで気が付いたら使えるようになってたんよ。
「え…えぇっと…その、ごめんなさい、妙な事を聞いて」
「と言うより、答えになってないわよ。前半は割りと重い話だったのに、肝心の目覚めた状況には全く触れてないんだけど」
…そこまでカバーストーリー作ってないんだよ。
まー、どういう状況かって言われてもな。「こんな感じだったんじゃないかな」ってくらいだぞ。俺だって気がついたら使えるようになってたんだし。
少年漫画の定番みたいな話だけど、一番有効だと思われるのは強い感情の爆発、それから生きるか死ぬかの状況だと思う。ただ、そういう状況なんてゴッドイーターやってりゃ珍しくもないからな。他に条件があるのは確かだろうな。本人の素質か、
「血の力の発現に必要と言われている、P66偏食因子はロミオにもジュリウスにも投与されているから、個人差はあっても素質に問題はない筈よ。まぁ、そうなると投与されていないアナタが何故使えるのか、という疑問は湧くけど」
「その…偏食因子は、あれば目覚めやすくなるってだけで、必須のものじゃないんでしょうか? あと、俺やジュリウスの偏食因子って、普通のとは違うんですか?」
「その辺の事はラケルから、ちゃんと説明されている筈よ、ロミオ。必須のモノじゃない…そうかもしれないわね。仮にそうだとしたら、今まで築き上げてきた仮説の大部分を修正しなければいけないわね…。ラケルが何て言うやら」
…そー言えば、血の力の専門家ってラケル博士の方なんですよね。確かレア博士は神機兵の……えーと、有人でしたっけ、無人でしたっけ。何で血の力の研究を?
「有人の方が専門よ。何故って言われてもね………妹に手を貸すのは、そんなにおかしな事ではないでしょう?」
まぁ、そうですな。大人になってもそこまで仲がいい姉妹も珍しい気はしますけど。
それに、こう言っちゃなんですが、自分の研究を後回しにしてでも協力するのはやり過ぎに見えますけどね。
「……かもしれないわね。
さて、この話はもう終わりよ。私は今回の測定で得られたデータを纏めるから、後は…ロミオが倒れない程度に訓練して頂戴」
「うぇっ、まだ続くの!?」
続くよ。まだ日が沈んだばかりじゃないか。夜は長いぞ…特に苦しい訓練しているときは。
…しかし…ここの所レア博士と話したりしていたが、どーにも誰かに重なる気がする。外見が似ているんじゃなくて…こう…内面観察術で見える、性格とかが…だけど。
神無月ぬるい風呂と熱めの風呂、どっちが好き?日
ロミオを鍛える事、ふと気付けば2週間程。最初は数日でアナグラに一度戻り、菜園の様子とかを見ておくつもりだったんだが…熱中しすぎた。
まぁ、最初の予定とは色々な意味で違っているし、隔日で鍛えてたから、たった一日じゃ移動してすぐ終わりになってしまうからな…インターネットを通じて移動すりゃいいんだが、タイミングを測らなければ怪しまれるし。
そろそろ一度、アナグラに戻ろうと思います。ただし、コッソリと。何故コッソリかって? 大した理由じゃないんだが…研究協力の名目で来たのに、成果をあげるどころか責任者の顔すら見ずに戻るっていうのはなぁ…。俺じゃなくて、向こうがトラブってるのが原因ではあるんだが。
…それに、汚ッサンを始末するのであれば、俺はこっちに居たって事にした方が都合がいいからね。
という訳で、自分の休日に合わせてロミオにも休みを言い渡し、レア博士にも了承を得た。
休暇中は、訛った勘を取り戻す為、その辺をプラプラしてくるつもりだと伝えてある。…勿論、ちゃんと素材は持ち帰ってくるよ?
レア博士は首を傾げていたが、ロミオからの「プラプラ=好きにアラガミ倒してくるって事です」と耳打ちされて、引き攣った顔で納得していた。別にいいじゃないか、休みの日に仕事したって。タイムカード押してないし。そもそもこれは仕事ではない。言うなれば、趣味を兼ねた敵情視察! 近所の同業者の店をちょっと見に行くようなもんである。
さて、その辺の戯言はさておいて、監視が無いと思われる場所で、電脳空間にダイヴイン。ついでに、俺の部屋に仕掛けられている盗聴器やらカメラの類やらは内部プログラムをぶっ壊して、全て無効化した。迷子にならないか若干怯えつつも、そして妙な所通ってデータを無用にぶっ壊したりしないか戦々恐々しつつも、何とか成功。電脳空間から抜けたのは、アナグラにある俺の自室だった。
念のために周囲を確認したが、何らかのセンサーに引っかかったり、カメラが稼動している様子は無し。上手く感知されずに潜り込めたようだ。
ならば、早速やる事は、汚ッサンの始末…なんだが。クソ、タイミングが悪い…。どうも汚ッサン、支部長と何やら密談中のようで、警備が最も厳重な場所に篭っている。それを掻い潜って殺すだけなら出来なくもないのだが、そうなるとアナグラ内部に犯人が居る、と考えられてしまうだろう。ヘタをすると粛清の嵐、最悪の場合は濡れ衣を着せてリンドウさんを謀殺しようとか、そういう展開になりかねない。
汚ッサンを始末するのは既に使命と言っていい(俺が勝手に言ってるだけだが)が、それが極東支部の不和に繋がると思うと迂闊な真似はできない。気に入らないが、今回は諦めて次の機会を待つか…。
このままおめおめと戻るのも癪だな。ちょっとアリサの様子と農園の様子を見ていくか。
……見に行ってよかったのか悪かったのか…。不和とかどうでもいいから、汚ッサンを縊り殺したくなってきた。
何があったって、そりゃゲーム通りと言うかね。…アリサが全方位にケンカ売りまくってんだよ。刺々しいと言うか意味も無く周囲を見下したような発現を繰り返し、既に孤立しつつある。例外と言えば、隊長であるリンドウさん、何かと世話を焼いているサクヤさん、そして悪口言われているのに気付いているのか居ないのか分からない元祖ロミオ…じゃなかったコウタくらいだ。まぁ、コウタはわかっててスルーしている節が多く見られるが。
素…と言うか後のアリサを知っている俺としては、やはり汚ッサンから受けた洗脳の結果にしか見えないんだ。案外、高まったプライドと自分の心の弱さを誤魔化す為の、自分自身で作り出した鎧の可能性もあるかもしれんが。
何もかもがあの汚ッサンのせいだとまでは言わないが、やっぱムカつく。
しかし、ここで感情に任せて始末するようでは獣と同じだ。それじゃ討伐される側だろ、ハンター的に考えて。暴力を振るって何かをしようとするなら、理性的にやらんとな。欲望に流される俺が言っても説得力無いけど。
うーむ、口惜しいがアリサに関しては現状じゃ何も出来ん。汚ッサンを始末するのもそうだし、暗示を解くのも、新しく俺がかけるのも。
少々強引にオカルト版真言立川流に持ち込む事は…できるっちゃ出来るが、俺が完膚なきまでに犯罪者になるし。理由はどうあれ、汚ッサンを始末した時点で犯罪者? …今回ループではまだ何もしてねーな。
…仕方ない。今回は菜園の様子だけ見て帰るとするか。
神無月ヌルゲーとマゾゲー、どっちが好き?日
フライアに戻ってきました。またコウタ2号ことロミオを鍛える日々が始まるお。
…どうでもいいが、ロミオとジュリウス…ロミオとジュリエット? …ホモォな妄想が捗りますな。なんとも腐れた女史の方々に人気そうなお名前ですこと。実際、二人とも顔は整ってる方だしな。特にジュリウスが。実はラケル博士もソッチ系の方で、終末捕食云々は全て勘違いだったら腹抱えて窒息するまで大笑いするんだが。
あー、とりあえずだな、菜園の事から話そうか。
まぁ、思ってた以上に上手く行ってたよ? ヘタすると、この世界での農業に関しては、俺を凌駕しかねないレベルで。
分からんではないけどな…。この世界で生まれ育ったこの人達にしてみりゃ、生まれて初めて腹一杯、新鮮なものを食べられるチャンスなんだ。そら必死こいて学びもするわ。
ノゾミちゃんに至っては、なんか異様に林檎とかイチゴとかトマトとかを育てるのが上手くて、一般市民の皆様からは「紅い天使」なんて徒名までつけられていた。コウタが「俺の妹に変な通称が…」って落ち込んでたが、それはそれとして林檎美味かったらしい。まぁ、あのシスコンの事だから、貰ったのが密閉空間で開けるの禁止な最臭兵器でも美味いという気がするが。
続々と信者(?)も増えて、徐々にノゾミちゃんその他の初期参加者が組織の幹部扱いになりつつあるとか…。まぁ、ノゾミちゃんはどっちかと言うと代表マスコットって感じらしいが。
しかも、なんか菜園に警備兵までついていた。予想はしてたが、俺が居ない間に一悶着あったみたいだな。影響力や規模が大きくなれば、こう言った事も当然増える、か…。何も考えずに出発したのはミスだったな。
予想外だったのは、ゴッドイーターの皆さんまで菜園に来るようになってた事ですかねぇ? …カノンか? カノンが連れて来て紹介したんか?
別にやっちゃイカンとは言ってなかったし、実際来ても別に問題はない。カノンが切っ掛けになったのが良かったのか、ゴッドイーターやフェンリル関係者に対して強い敵意を見せている人も居ないようだ。少なくとも、表面上はね。
リンドウさんとサクヤさんのデートに、またバッタリとぶち当たったけどな。初期参加者達くらいには顔を見せておこうと思い、ちょっと話し込んでいたら、二人が揃ってやって来てしまった。…ツバキさんがアナグラで、寂しい体抱えてんだろうな…。弟がデート中で、本人は俺とヤるまで全く経験なかったみたいだしな…。内心、結構気にしてたし。
まーそれは別にいいんだよ。このままストーリーがゲーム通りに進めば、最終的には結婚してリンドウさんが尻に敷かれるのは確定なんだし。でも、顔見られたのは失敗だったかな…。
以前、着任の挨拶で菓子折り持って行った為か、それとも支部長直属という立場の為か、顔だけは広く知られてるんだよな。
実際、サクヤさんから「あら? 何処かの研究機関に行ってるんじゃなかったの?」なんて言われちゃったし。菜園が心配だから、休日に帰ってきたんです、とだけ言っておいたけど。
リンドウさんが探りでも入れようとしているのか、軽いカマかけみたいな事も聞いてきたんで、こっちから「デートですか?」みたいな質問でそれを封じておいた。…二人とも否定はしたけど、どう見てもね…。この辺に植えてる植物が全部、サトウキビになったような気分を味わうハメになった。
とりあえず、俺が戻ってきた事は秘密にしておくようお願いする。まだ向こうで全く成果が上がってないのに、ノコノコ戻ってきたのは気まずいから…と言っておいたが、さて納得してくれたかな。代わりに、ピンチの時には支部長の命令を無視してでも一度は助ける、なんて約束をしてしまった。…今ならリンドウさんとも渡り合えそうだけど、口先じゃ勝てる気がしない。
そういや、ソーマや上田は来てないんだろうか? 前回ループでは、いともアッサリと餌付けできていたんだが。…と言うか、そうだ上田! エリックどうした!
…無事だそうだ。「新しい輪が見つかったかもしれないんだ。それを目にするまでは、いやエリナに華麗なる世界を見せるまでは死んでも死ねない!」とか宣言し、上田されそうになった時も何とか避けきったそうな。
無事ならいいんだが…まさか自力で上田挽回するとは。「新しい輪」って、この菜園の事かね? 菓子折り配った時にも、そんな事を言ってたような気が…。それが上田生存の分岐点なんだろうか? いや菓子折り一つで生き残れるとか、流石にねーよな。
神無月コメディとシリアス、コメディが好き(断言)日
フライアに戻ってきました。さて、今日からまたロミオを鍛えてレア博士と血の力の研究をする日々が始まるお。
…ところで、前々から感じていた、レア博士が誰かに似ているという件だが…ようやく分かった。MH世界のドリスさんに似てるんだ。ラケル博士と通信で連絡をとっている時の表情を見て、ピンと来た。
ドリスさんは、ベッキーという手のかかる先輩の世話をし続ける事で、自分の価値を認める事ができていた。同じように、レア博士もラケル博士に手を貸す事で、自分を保っているんだろう。…正負の方向性の違いはあるけどな。
疑問ではあったんだよなー。ラケル博士は、明らかに人倫に反する研究を続けていて、更には父親すら暗殺してしまった。幾らレア博士が、ラケル博士に対して負い目と愛情を持っているからと言って、それだけで寄り添い続ける事ができるだろうか?
寄り添っていたんじゃない。寄りかかっていたのは、レア博士の方だった。そうしないと、自分が保てなかったのだろう。妹を半身不随としてしまった罪悪感から始まり、彼女をサポートする為に犯した罪の意識も圧し掛かっているだろう。
更に、ドリスさんと同じような人種であるのなら、頼られ世話する事で自分の価値を認識する…逆を言えば、そうする対象が居なければ、自分に自信が持てなくなってしまう。ゲームでは「妹に支配されていた」と述懐があったが、支配されていたからこそ自分を保てていた。罪の意識も、どんな行為も…それこそ、好きでもない相手にに色仕掛けする事も…、妹の為と称して耐える事ができる。妹が居なくなれば、耐える事ができなくなる。
…ラケル博士がそこまで気付いているのかは、分からんけどな。気付いていても理解できてない気がする。
しかし……うん、そうなると…上手くやれば、レア博士をこっちに引っ張りこめるか?
レア博士は、良くも悪くも情が深く、それに流されやすい。また、公私混同もしやすいタチのようだ。ここだけ聞くとアカン人みたいだが、ドリスさんを思い出せば分かるだろうが、ちゃんとした立ち居地と役割を用意して、それが真っ当なものであるのなら、精力的に働いて尽くしてくれるタイプだ。
問題は、どうやってラケル博士から引っぺがすかだよなぁ…。依存に限らず、タチの悪い関係と健全な関係、どっちが引き裂きにくいかと言われると前者なのが世の常だ。そう簡単に離れられるようなら、レア博士だってここまでラケル博士についてきてないだろう。
…で、そんな事を脳裏に浮かべつつ、レア博士と話してたんだが、近い内にラケル博士がフライアに来るのだそうな。残念ながらと言うべきか、ジュリウスは来ない。
ここへ来て、ラケル博士のみが顔を見せにくる……俺の力が血の力なのか、判断しかねたのか? それとも利用できそうだと思ったのか。
…レア博士に任せてると、分かるものも分からないと判断した? ……流石にそれは無いか。測定とか研究とかは普通にやってたし、まだ難しい理論を捏ね繰り回す段階までは行ってないだろう。
ま、とりあえず二番目の目的だった、ラケル博士のツラをようやく拝めそうだ。後は、俺の力によって終末捕食に干渉できる事を証明する…か。
あ、それよりロミオ鍛えないと。なに、キツい? 大丈夫大丈夫、人間はゴッドイーターじゃなくてもこれをこなせる。事実、俺はこなした。貧弱君だった俺も、素でゴッドイーターに迫るくらいの体になったぞ。そっからゴッドイーターとして強化されたら、エライ事になったけどな。
はっはっは、ギブアップしてもいいけど、別に止めないよ? 言ったじゃないか、「ハンターへの道を真っ逆さまに落ちていくのみ」と。君は自由落下を途中で止められるかね?
まー、そろそろブラッドアーツとかを使う為の訓練も始めるんで、張り切ってついてきんしゃい。
…何? 「つまり更にハードになるんですね」と? よく分かってるじゃないか。
神無月エロとエロス、どちらが好きとか選ぶべきではない日
さて、ラケル博士とご対面……したんだが。顔合わせて自己紹介して、それなりに話もして、血の力という名の霊力も見せた。
…んだが、なんというか…話した気がしないな。いや、言葉を交わしたという意味では、明らかに会話はしたんだが。
正直、市松人形(勿論髪が伸びる奴。金髪)相手に一人語りやった気分だ。うーむ、俺の内面観察術が未熟なのかもしれないが、こうまで中身に何も見えない人間が居るとは。
何というか、言葉を遣り取りして、それを受け取ってはいるようなんだが…それに対する反応が全く見られないんだよな。何かを考えるように首を傾げてみても、視線も揺れず、呼吸も乱れず、ただ只管に内面は凪いだまま。
いや、やはり人間ではないんだろうか。体が人間で、話しているのはラケル博士本来の人格、そして考えているのが得体の知れないアラガミの意思…。俺の内面観察術で見えるのは、ラケル博士の人格まで。指示を出しているアラガミの片鱗は全く見えない。つまり、俺が見ているのは何も考えずに命令された通りに反応しているだけの傀儡に過ぎない…か。
あくまで予想だけどね。
正直言って、気味が悪い……アレだ、不気味の谷現象の一種じゃないかな。俺から見ると、ラケル博士は人間に近いロボットに見える訳だ。
…なぁるほどなぁ(巻き舌)。ラケル博士ってのはこういう奴なのか。色々とイメージが固まらなかったが…うん、こういう奴だと割り切るべきだったか。結論、人間として扱うな。以上。
実際問題、ラケル博士と話して情報を引き出すのは無理だな。ボイスチェジャー付きのインカムを使って、肖像画を相手に話そうとしているようなものだ。得られる情報が少なすぎて、また得られた情報も異質すぎて分析もできん。
だからと言って、始末するのも…だな。終末捕食に関しての口添えをしてもらわなきゃならんし、多分「今この場で自分が死んだら」という対策も立てているだろう。それも、復讐云々じゃなくて、自分の死まで終末捕食を起こす為の1ステップとしての対策を。
より正確に表現すれば、「アラガミの意思は、使い捨ての手駒(ラケル博士の体)を失っても全く痛手に思わないし、止まる理由も無い」…かな。
ここで殺せば、無用な混乱と嫌疑を齎して、動きにくくなるだけか…。
ロミオはラケル博士に声をかけられ、何やら張り切っていた。…ま、理由はどうあれ、やる気になるのはいい事だな。
…来客のようなんで、短いが今日の日記はここまで。