※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

160 / 611
EDF4.1、何とかノーマルモードレンジャーでクリア。
礼賛がマジ神装備。
しかしどーすっかなぁ、他の兵科使ってないとは言え、ちょっと熱が冷めてしまったよ。
ラストバトルはかなり燃えたが…。

ドラクエヒーローズに手を出すか…いやいや、流石に金使いすぎだわ。
6月末にはスパロボ、7月末には討鬼伝2、8月には世界樹の迷宮…って、考えてみれば討鬼伝2の一週間後には世界樹なのか。どっちやろう。

と思っていたら、ついついカービィに手が…。
オーバーウォッチとどっちにするか30分ほど迷いましたが、ストーリーの無いゲームだとすぐ飽きる…。

追記
なんかムラムラしたので、完全外伝扱いでR-18やってみようかと思いました。
ただし主人公はこのアホのまま、獲物…もとい相手のキャラは殆ど知識のないアニメのキャラです。
キャラ崩壊? そりゃ元ネタでどんな人なのか知らないから、崩壊するのも当たり前だわ。


しかし、根本的にほぼエロが書けなくなっている不具合。
…こりゃ挫折かな…。



第160話

神喰月エロだけでなく、三人称も書けなくなりつつある日

 

 

 アリサにゼロ距離射撃戦法・改を教え込む。そこからカノンに教えてやれ、と言ってたらちょっと剥れた。…が、流石にカノンを放っておくのはマズいと思ったのか、素直に頷く。…一歩間違えれば、自分も誤射に巻き込まれるもんね…。割と切実。

 

 さて、そんなこんなで順調に夢の中・現実両方でリハビリを勧め、むしろ以前よりも動きがよくなってきたアリサ。人間関係も、まぁマトモなレベルには戻ってきているらしい。

 それはそれとして、今度支部長が極東に帰ってくると情報が入った。で、この支部長にどう対応するべきか…を相談されているんだが。

 支部長はアリサと一緒に汚ッサンを引き抜いてきた。つまり、アリサを洗脳し、リンドウさんを暗殺しようとした首謀者の疑いがある訳だが…。

 

 

 

 

 …あのさ、アリサ…俺、立場的には支部長側なんだけど…まぁいいけど。今は極東から離れてるし…。

 

 で、どうするかって事だが…俺から言える事は一つだけだ。

 リンドウさんが危ない橋を渡ろうとするのを辞めさせろ。言っちゃなんだが、今回お前さんが巻き込まれてエライ立場になったのも、リンドウさんのスパイ行為の巻き添えみたいなもんだ。(汚ッサンにはその前から洗脳されてただろうけど)

 

 ハッキリ言うが、仮にリンドウさんが言うような、支部長の計画の裏があったとして。それを突き止めたところで、リンドウさんには何もできない。

 周囲の人間を無意味に危険に晒すのがオチだ。

 無理に深入りしようとしなければ、支部長だって貴重な戦力を暗殺なんて手段で削ぎ落とそうとはしない。

 

 …ん? その口ぶりだと、リンドウさんが探ろうとしている、支部長の企みを知っているように聞こえるって? …まぁ、実際知ってはいるよ。

 その上でこう言ってるんだ。

 これ以上踏み込むな。上手く行こうと行くまいと、今より悪化する事は無い。

 

 

 

(計画は俺が乗っ取るし、失敗したらデスワープで何もかもリセットされるからな!)

 

 

 

 

 …こんな思わせぶりな事言ったところで、アリサが納得して引き下がる訳もなく。

 大人の姿で色々言っても無駄だと判断したのか、ょぅι゛ょ化して物凄い勢いで泣き喚きだした。

 

 

 うーむ、凄い破壊力だ…キンキン声に、泣いているんだか笑ってるんだかよく分からない声、こっちが何言っても聞いているのかすら定かではなく、意味も無く駆け回るは唐突に飛びついてくるはあっと言う間に逃げ出すは…。

 大人の姿で教えろ教えろと詰め掛けられるよりも、余程厄介だった。

 

 あまりの喧しさに飛び起きたよ……。そしたら俺を起こそうとしていたレア博士に思いっきり頭突きしてしまった。

 

 

 

 

 

 さて、それはともかくどうしたものか。

 アリサも目を覚ましてゴッドイーターとして復帰し、支部長が帰ってくるとなると、そろそろ話が進んでもおかしくない。

 シオの確保か…。上手く支部長の目を掻い潜ってくれるといいんだが。

 

 

 

 

神喰月昔はどうやって書いてたんだっけ日

 

 

 はいはい、どうもお世話になっております皆々様。アリサ・イニ(略)です。

 …キャラが違う? いえ、どうにもここ最近自分のキャラと言うかアイデンティティに悩んでおりまして。

 と言うのも、昏睡から回復して依頼、妙に心に余裕があるのです。むしろ、どうしてあんなにイライラし続けて、今まで極東の皆さんに刺々しい態度をとってしまったのか、本当に申し訳なく思っています。

 まぁ、目まぐるしく変化した私の周囲の環境に、戸惑っているのも大きいですが。

 まさか、先生が私に暗示をかけて操っていたなんて…。振り返ってみれば、確かに思い当たる節はありました。先生のカウンセリングを受けた後は、元気は出ますが妙に怒りや苛立ちが渦巻いていたものです。

 

 ですが、最近はそれすら瑣末事と思える程に濃い毎日を送っています。

 昼は昼でアラガミ討伐。こっちは然程辛くはなくなったのですが、やはり一度失った信頼を取り戻すのには苦労するもの。同僚の皆さんからの視線が痛いです。リンドウさんは「気にするな」と言ってくれますし、サクヤさんも「水に流すわ」と言ってくれますが、いっそ責めてくれた方が…いえ、それはそれで辛いですけど。

 

 

 

 でも問題なのは夜なのです、夜!

 ええ、夜の問題に比べれば、アナグラの皆さんからの冷たい視線なんてどうって事ありませんとも! 

 

 今は極東ではない別の場所に行っているあの人に、「リハビリの為」と称して苦行を課せられているんです!

 夜毎夢の中で行われる、見た事も聞いた事もない怪物と繰り広げる大運動会! タフだはデカいはアラガミとは違う怖さがあるは、何なんですか一体!

 ええ、夢の話ですよ、夢の。単なる夢ではなくて感応現象らしいとは聞いていますが、それにしたって夢には違いありません。

 

 

 ですが、夢とは言わば超リアルなシミュレーターでもあります。アラガミが現れる前の人々は、ゲームセンターに置いてある様々なシミュレーターで悲喜交々の激戦を繰り広げていたと聞きます。

 人間の脳の処理能力を以てすれば、当時のシミュレーターよりも格段に精度のいいシミュレートが出来るでしょう。

 

 

 それこそ、周辺一体に物凄い草木が茂っていて、目の前に本物のドラゴン(リオレウスと呼ばれているらしいです)が居て、臭いもあって圧迫感も感じて、本気で「喰われる」って思う程度にはね!

 

 

 本当に何なんでしょうかアレ。ドラゴン型のアラガミなんて聞いた事もありませんし、アラガミではない普通の動物(?)の筈もないですし。

 ひょっとして、私に夢を見せているあの人の空想の産物? 夢の中なので、確かにそういう事もできそうなのですが…それにしては細かすぎませんか?

 なんというか、アラガミとは違う『何か』を脅威的に感じています。いえ、アラガミとの戦いの中でも、食い殺されると思う事は日常茶飯事ですし、やっている事はそれと同じ筈なんですが……なんていうか、エネルギーとか迫力が全然違うんです…怨念すら感じた事もあります。。

 

 

 そんな訳で、私は夜毎に夢の中で、今はもう見られなくなった大自然の息吹のド真ん中で、得体の知れない猛獣と取っ組み合いを演じています。何をやらかすか本当に分からないんですよ、この猛獣達。

 火を吹く空を飛ぶは当たり前、地面に潜って自由に移動する、レーザービームを出す、仲間を呼ぶ、虚空から突然出現する、手足を吹き飛ばす事ができても、透明なナニカでそれを再生させて平然と動く、明らかに当たっていない筈の攻撃なのに吹っ飛ばしてくる………そ、その…オナラ…で攻撃してくる…。最後の一つと戦わされた時は、真剣に殺意を覚えました。

 ドイツもコイツも呆れるくらいのタフネスです。

 

 勿論、こんな連中を相手にして勝ち続ける事ができる筈がありません。最初は戦いに積極的になれなかった事もあり、容赦なく………よ、よよよ容赦……ひぃぃぃ!!!

 

 

 

 

 

 失礼、返り討ちにあって倒れ、目の前で大きな口が開いたのを思い出して錯乱しました。

 現実であれば、食われて二度と目が覚めなかったのでしょうが、これはどこまで行っても夢でした。夢だと忘れて絶望した次の瞬間には、巨大な口も周囲の自然も消え去り、あの人の前に座り込んでいました。

 最初は酷いものでした。当然ですね、相手がアラガミであれバケモノであれ、殺されるのは何よりも恐ろしい事です。

 ですが「夢だから夢だから」と言って、あの人は容赦なく私をモンスターの前に放り出します。

 

 我ながら、よく順応したものです。あの人から一番最初に学んだ事は、恐怖で動かなくなる体を、更に強い恐怖で無理やり動かす事ですね…。

 あの人が…その、恥ずかしい表現ですけど、私にとってのヒーローだから、疑う事なく従えたのも大きいと思います。

 

 昏睡していた間、何度も夢を見ました。最初はパパとママが私のせいでアラガミに食べられてしまう夢ばかり。それが、何時の頃からか徐々に変わっていきました。あの憎いアラガミは一刀の元に切り捨てられ、パパもママ死なずに済むようになりはじめる。

 …所詮は夢、ですけどね。現実に生き返る筈もありません。…それでも目を覚ました時には、少しだけ期待してしまいましたけど。

 それからも、夢は続きました。恐怖と絶望と後悔の象徴だったあのアラガミは、夢を重ねる毎に無造作に切り捨てられ撃ち捨てられるようになり、パパとママはその場に居なかったかのように登場しなくなり…。夢は、子供の私が彼に、ヒーローに助けられるだけの夢になっていきました。

 一種の刷り込みなんでしょうね。夢の中の事とは言え、絶望の淵から何度も助けられた私にとって、彼は誰よりも何よりも信頼できる人になっていました。

 

 ……あ、あんな事をされても…。

 

 

 

 す、凄かったです……。ドン引き………し、しません。興味ありますから…。

 現実でもあんな感じなんでしょうか?

 その、生物学的物理学的に…あの夢の中での年代の私に入るとは思えないし、そういうコトが出来る体になってない筈ですから、現実とはまた別の感触なんだと思いますけど…。

 

 

 と言うより、やっぱりそういう趣味なんでしょうか? 私の精神安定も兼ねて抱きついたりしましたけど、手を出してきませんでしたし…。最近では、何故か幼い頃の姿に変化できるようになってしまったので、膝の上で甘えたりしています。…これが無ければ、夜毎の大狩猟祭は乗り切れません…絶対精神的に完全に潰れてました。実際、死のトラウマで廃人にならなかったのが不思議です…。こんな目にあわせてくる張本人に甘えてメンタルを回復させる、と言うのもマッチポンプだと思いますが。

 ですが、現実では大人の女性と同衾していると聞きますし……。どういう関係なのか今ひとつ分かりませんが、目下のところ、その相手が最大のライバルですね。

 名前は何とか聞き出したので、調べてみました。技術者の間では、妹と一緒でかなりの有名人らしく、顔写真くらいはすぐに入手できましたが……うぬぬ、これは…手強い…。

 私もスタイルには密かに自信がありましたが、この人はその更に上を行くようです。更に、博士という事は頭もいいでしょうし、キリッとしたクールビューティな印象ですね。家柄もこの世界では上から数えた方が早い程度には名家。

 更には、同衾しているという事は先手を取られているという事。そもそも、私は夢でしか接点を持てない状態…。あらゆる意味で後手に回っているッ…!

 

 

 

 

 …ちょ、ちょっと話が逸れすぎました。

 とにかく、今の私は彼のおかげで(せいで、とも言う)アラガミと以前以上に戦えるようになり、信頼回復の為にも毎日ミッションを受けています。サクヤさん達とも、少しずつ話せるようになっていました。

 

 さて、そんな折に、私と元先生をロシアから連れて来た支部長が、極東支部に帰ってくる…と情報が流れたのですが。

 正直、どうすべきなのか迷いました。支部長は私を手駒にしようとしていたのでしょうか? 元先生が何をしていたのか、知っていたのでしょうか? 何より、リンドウさんを暗殺しようとした事は、支部長の命令なのではないでしょうか?

 

 色々考えて見ましたが、支部長を問い詰める訳にはいきませんし、確証もありません。リンドウさんに至っては「気にするな。そんなヤバいコト考える暇があったら、料理の一つくらい作れるようになれ」と言ってくる始末。とりあえずイラッときたんで、ボルシチでも作りますか…イヤガラセ用の。

 リンドウさんが頼れないなら、と夢の中であの人に相談したんですが、逆に悩みが深まりました。

 すっかり忘れてました…あの人、支部長直属のゴッドイーターだったんですよね。当然、疑問の答えを教えてくれる筈もなく、それどころか「リンドウさんを止めろ」「深入りするな」と忠告される始末。

 これはもう、何か後ろ暗い事か、非情にややこしい背景があるかのどちらかなんでしょう。

 しかも、あの人もそちら側…。

 

 …正直言って、キツいです。私が夢の中で助けられて、勝手に慕っているだけなのは自覚していますが、ヒーローが敵に回るとは…。

 

 

 

 落ち込みながらも、日中はアラガミの討伐を繰り返しています。最近、何やら榊博士からの指令が非情に多いです。普段は特務に当てられるリンドウさんまで動員し、鎮魂の廃寺付近のアラガミを狩り尽くそうとしているような勢いです。

 …極東に来たばかりなら、過労死を心配するような勢いのミッションなのに、辛いとは思わないのは…妙な暗示が解けた為か、或いは夜毎の悪夢に比べれば余程マシだと割り切れるようになった為か。

 

 …ひょっとしたら、神機の性能が妙に上がっているのも理由でしょうか? 最初は錯覚だと思いましたし、そうでないと分かった時には何かしら特別な整備でもされたのかと思いました。

 ですが、特別な事など何も無かったようなのです。リッカさんを筆頭にした整備班の方々も首を傾げていましたが、神機自体のパワーが、一時期を境にして徐々に上がっていっているのだとか。

 これは何かの前兆なのでしょうか? 

 

 

 

 …そんな不安を抱えつつも、ミッションに臨んでいたある日の事でした。

 最近、何だか強力になりつつも、ちょっと数が減ってきたような気がするアラガミの討伐。いつもと変わらない一日…強いて珍しい点を言うなら、私、サクヤさん、コウタ、カノンさんのフルメンバーだった事くらい…の筈なのですが。

 

 

 

 …カノンさんですか? 最近、あの人から教わったゼロ距離射撃戦法を伝えたりしている内に、段々仲良くなりまして。別にお礼のお菓子に釣られたんじゃないです。

 この人も、今までの誤射(根本的な問題はそこではありませんが)の積み重ねの為、周囲のゴッドイーターから信頼を得られなかった人です。信頼回復の為の苦労話とかでウマがあったんですよ。

 常識外れのゼロ距離射撃戦法が余程マッチしたのか、最近では誤射も殆ど無く、オラクルリザーブをフルに活かした超火力要因としてドンドンレベルアップしています。衛生兵として、何かが致命的に間違っていますが。

 

 

 

 討伐が終わり、コアを回収しようとしたところで、何故か榊博士がやってきました。

 珍しい、というレベルではありませんね。何か用事があるにしても、通信で指示すれば済むでしょうに。

 そもそも、榊博士はゴッドイーターではないので、アラガミに襲われたら一環の終わりです。……いえ、ソーマとリンドウさんを護衛として連れていましたし、何よりこの人の事だからアラガミにも効く睡眠薬(人が摂取すると死ぬ)とか持ってても不思議はありませんが。

 

 榊博士の指示に従い、コアを回収せず、何故か周囲に隠れる事になったのですが…何事なんでしょう?

 気配を消して隠れる事、10分程。何だか妙に静かな時間が過ぎました。防壁の外だと言うのに、アラガミが寄ってくる気配が全く無いというのも稀有な経験ですね。この辺りのアラガミを狩り尽したという事なんでしょうか。

 

 

 不意に、興奮を押し殺したような声で「来たぞ」と榊博士が呟きます。…確かに、廃屋の屋根の上から、白い何かが倒したままのアラガミの上に落ちてきましたが…この人、どんな感覚しているんです? リンドウさんやソーマでさえ、気配に気付いてなかったようですよ。

 それはともかく、落ちてきた白いモノ…イエティでしょうか…は、アラガミの死骸の傍に跪くと……クチャクチャ、グチャグチャと………し、死骸を弄っている? 食べている?

 アラガミ同士の共食いなんて珍しくもありませんけど、あれは……あの白いアラガミは、人型に見えるんですが…。

 

 

「皆、頼むよ。アレを捕獲するんだ」

 

 

 …捕獲? 捕獲ですか? 討伐じゃなくて?

 アラガミなら討伐する筈…ではあれは人間? でもアラガミ食べてる…。

 

 まぁ、上司からの命令とあればやりますが…研究の為にアラガミを捕獲するという話も、聞かない訳ではないですし。その後ロクな事になった試しが無いそうですが。

 幸い、夢の中ではモンスター捕縛の訓練もやらされましたし、出来ない訳ではありません。あの怪しげな麻酔玉とかいう道具は持っていませんが。

 

 

 一斉に飛び出して、白いアラガミ(仮)を包囲。さぁ、どう出ます?

 

 

 ……知った事かと言わんばかりに、アラガミ食べてますね。余程飢えていたようです。これは…アレですね、夢の中で戦った、ティラノサウルスを4足歩行にしたのと同じ腹ペコキャラの気配がします。

 警戒しつつも、一歩近寄ろうとした瞬間…ギロッとばかりに振り返る! 予想通り、確かに人型で顔もどうやら人間と同じようですが…ザンバラ髪の間から覗く、血走った目と文字通り血塗れの口がホラーですね。

 コウタもちょっと引いたようです。それでも平然と近寄ってくる榊博士…もうちょっと警戒してください。

 

 

「やっと出てきてくれたね。全然顔を見せてくれないから、ちょっと強引な手をとらせてもらったよ」

 

 

 …相変わらず胡散臭い人です、見た目も言動も。しかし白いアラガミ(仮)は全く興味ありませんとばかりに、再びアラガミの死骸と向き合っています。…あ、コア食べた。

 

 

「やれやれ…ほら、コレをあげるから一緒に来てくれないかな?」

 

 

 懐からコアを取り出す榊博士。目にも留まらぬ速さで振り返る白いアラガミ(仮)咄嗟に神機を構えて榊博士の前に立ちましたが、そっと退かされました。

 ジリジリと間合いを覗うアラガミ(仮)と、来い来いとでも言わんばかりにコアを見せ付ける榊博士。…の、野良犬に餌付けでもしてるんでしょうか…。

 

 ともあれ、大人しくしているアラガミ(仮)を………はい? アナグラに…連れて行く?

 いや、それって超犯罪行為…でも榊博士だし、ちゃんとした理由とお膳立ては……逆に榊博士だから違法行為も普通にやりそうだし…。

 

 他の皆さんは…戸惑っててどうするべきなのか、判断できないようです。リンドウさんは、逆に何か知っているような…? でも黙ってるし…。

 

 

「いいからいいから。私を信じて。いいからいいから。私を信じて」

 

 

 2回言っても胡散臭さが増すだけなのですが…。しかし、このアラガミ(仮)が何なのか、本当に倒していいのかという決断もできず。結局、餌付けしながら極東に戻る事になったのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 で。

 

 

「「「うぇぇぇぇぇーーー!?!?」」」

 

 

「ア、アラガミ…! この子、アラガミなんですか!?」

 

「ちょっ、気付いてなかったんですかコウタ!? コア食べた所見たでしょう!」

 

「そういうアリサは、気付いてたなら何で止めなかったんだよ! アラガミをアナグラにまで連れ込んだなんて知れたら!」

 

「ちょっ、声が大きいわよコウタ君!」

 

「はっはっは、大丈夫だよ。これにはちゃんと理由があるんだ」

 

「だったら説明してください!」

 

 

 

 …非情に見苦しい一幕があったのですが、それは省きます。私は落ち着いていました。落ち着いていましたとも。

 そして榊博士から聞いた事は、あまりにも信じ難い事でした。

 特異点…人と同じように進化するアラガミ。確かに、榊博士は先日のアラガミに関する講義で、そのような事を示唆していましたが…。

 

 

 と言うか、そうだとしても、バレたら下手しなくても銃殺刑モノなんですが…。

 

 

 

「…あー、榊博士、ちょいといいかな? この子がその、特異点って奴だとして、全然コミュニケーションが取れる気がしないんだが? さっきから唸ってばっかりだ」

 

「それは仕方ないよ、リンドウ君。この子は今まで、人間と接した事なんて全く無いんだ。言葉なんて持っている筈が無い」

 

「つまり、これからこの子を育て上げろ…と?」

 

「流石に理解が早いね。この子は私の研究室の中で匿っておくから、遊びにきてあげてほしい。…それが何に繋がるかは、君なら予想がついているだろう?」

 

「…ナルホドね」

 

 

 

 …あのリンドウさん、一人で勝手に納得されても困るんですが。

 でもこの人がこう言う反応をするって事は、この特異点のアラガミが支部長の「裏」とやらに何か関わりがあるんでしょうか?

 

 

 私が戸惑っている間にも、榊博士は脅迫一歩手前、詐欺そのものの論法で皆を説得していきます。実際、榊博士を告発する事は、私達がそれに協力したと証明する事でもあり、それはゴッドイーター、フェンリルの信用に大きく傷を付ける事にも繋がります。

 …自分達の進退だけでなく、社会情勢レベルでの爆弾です。絶対この人、そこまで計算してやっています。確信犯だと確信します。

 

 ですが、実際にこれを公表する事はできませんし…渋々、皆この子の事を秘密にしておく事に同意しました。

 最後に、リンドウさんがシメます。

 

 

「あ~、まぁ何だ、色々あったが、とりあえず全員同意って事でいいな? 納得いかないなら、俺が相談も受け付ける。個人的な事情から念押しするが、支部長にだけは絶対に知らせ「おい~す、榊博士ちょっといいスか?」……る…な…」

 

 

 

 ………。

 

 

 唐突に扉を開けて入ってきたのは、私の夢の中のヒーローでした。ただしこれは現実です。

 

 ……あの、何故ここに…? 出向先に居る筈では?

 

 

 いえ、それよりも…この人は支部長直属。言動的にも支部長の味方。

 更にはアラガミを防壁内に連れ込んだ時点で超重罪。拘束した状態ならまだしも、包囲こそしてますが野放し状態。

 

 

 

 オワタ \(^o^)/

 

 

 

 はっ、いやまだ、まだです! 何とかこの場を乗り切れば!

 

 

 

「ちょっ、いや違っ、この子はアラガミなんかじゃなくて!」「コウタお黙りなさい!」「そうそう、この子は保護した普通の子供で!」「それにしてはメッチャ血塗れでボロボロだな」「そんな状態だったから保護したんです!」「おーう、名前言えるか…唸るだけだな」「トラウマの為に自分がアラガミだと思い込んでる可哀想な子で!」「ナイス言い分けですコウタさん」「カノンちゃん余計な事言わない!」「いやナイスでもないだろ」「これは決して拉致監禁じゃないんです!」「博士が! 榊博士が捕縛を目論んで片棒担がされて!」「知らなかったんです本当に!普通にミッションしていたのに、裏で榊博士が!」「極めて自然に僕のせいにしたね君達」「残念ながら当然の結果で事実ですよ、博士」「実際アンタが無茶苦茶な事企んだんでしょうがぁ!」「……(暫く大騒ぎが続く)

 

 

 一斉に誤魔化そうとする私達、ただし足並みがあってない上に錯乱しているので酷いものでした。

 冷静(に見えるの)はソーマくらいでしたが、あれは普段から口が回らない人ですから、何を言えばいいのか迷っていただけだと思います。

 

 で。

 

 

「結局、何か用なのかい?」

 

「んー、支部長が帰ってくるって言うから、そろそろ本腰入れて特異点を探し始める頃かと思ったんだけど…もう確保したのか。思ったより早かったな」

 

「……え?」

 

「大丈夫だよ、彼は確かにヨハン直属だけど、この件に関しては味方だから」

 

 

「「「「それを早く言え!」」」」

 

 

 …全力で絶叫しましたが、外に声が漏れてないでしょうか? 扉も開いてましたし。

 

 

 ともあれ、味方…というのはどういう事でしょう? 首を突っ込むな、リンドウさんにも手を引かせろとか言ってましたから、てっきり完全に支部長派なんだと思っていたんですが…。

 

 

「ま、そういう訳なんで、この子の事を密告する気は無い。俺個人としては、この子が見つからないままの方が都合がいいから、気付かれそうになったら上手い事注意を逸らすよ。何度も出来るとは思えないけど」

 

「…結局、お前もコイツを使って何か企んでるのは変わりねぇって訳だ」

 

「ちょっと違うな、ソーマ。俺の場合は、この子が何にも使われないように企んでるんだよ。ま、それはあくまで副次効果だけどな。何だ、情でも沸いたか? 確かになんか野良犬のような可愛らしさがある」

 

「冗談じゃねえ…バケモノの事なんざ知るか」

 

「はははは、そう言っていられるも今のうちだ。断言するがお前はこの子をロリ的な意味で好きになおおっと甘いわ!」

 

 

 …ソーマをからかっていますが…結局、色々な事が不明のままなんですけど。結局、支部長が何を企んでいるのかとか、この特異点って子が何なのかとか、あの人が結局どういうつもりなのか、とか…。

 本人に聞いても誤魔化されそうですが、榊博士に聞いたら教えてくれませんかね。

 

 

 …それに、やっぱり味方…と思っていいんでしょうか? ヒーローが完全に敵に回ったのではないとしって、正直ホッとしています。

 もっと親密な仲になれば、色々教えてもらえるでしょうか。

 

 ………そ、その為には…やっぱり夢の中で、子供の体でくっつくべきなのか…。

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。