※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

161 / 611
唇とか顔が乾燥して辛い今日この頃。



第161話

神喰月休日の時間を持て余す日

 

 はい、そんな訳で何時の間にやらシオが確保されておりましたとさ。めでたしめでたし。

 …めでたいのか?

 

 しかし、今回のシオはどうにも全く言葉を理解していないようだ。考えてみれば、それも当然か。言葉を教えていたらしいリンドウさんが、MIAしてないもんな。

 まぁ、問題はないだろう。シオの学習能力の高さはお墨付きだ。どういう風に接するかにもよるが、言葉を覚えるのはそう遠い事じゃないだろう。

 時期が多少前後するかもしれないが、大した差は出ない。

 

 さて、こうなると後はノヴァがいつ完成するかだな。

 ラケル博士からも、「俺の力で終末捕食に干渉可能」という結論も貰った。…そういや、この辺の事って支部長にはもう報告が行っているんだろうか?

 この後は恐らく、ノヴァが完成する辺りで本当に干渉可能なのか軽い実験を行い、可能と判断されればゴーサイン…だろう。ただし、その時には支部長が本物の特異点を探す事を諦めているか、特異点モドキの俺を使っても本来の終末捕食と変わりない結果を得られる、という確信を持っていなければならない。

 支部長の根気…は鉄の意志を持っていそうだから、危機感に期待するしかないな。本来の終末捕食は、いつ破裂してもおかしくない爆弾みたいなもの。それを探している間に手遅れになるリスクを、どれだけ考えているかがカギだ。

 

 

 

 さて、それはそれとして、折角極東に戻ってきたんだし、色々顔を出していく事にする。

 リッカさんに神機を見せるのを皮切りに、ソーマやリンドウさん、サクヤさんとも話したし、菜園が前に戻った時の3倍くらい大きくなっていたのには驚いた。

 

 サクヤさんには改めて助けた礼を言われたし、コウタにはノゾミちゃんが可愛すぎて辛いと相談(自慢)を受けたし、ソーマは…やっぱ妙な事を考えているって事で色々と威嚇されたな。

 リッカさんを初めとした整備班には、「今度はどんなネタ仕入れてきたの?」なんて言われたし…。

 

 ちょっと深くまで話したのはリンドウさん。

 シオの事、エイジス計画の事、特異点の事、変身の事…色々聞かれたが、話せる事は殆ど無い。立場だけじゃなくて、目的を考えても支部長寄りだからな。情報を漏らす訳にはイカンのよ。

 ただ、シオを守り通せば支部長の計画はほぼ阻止できる、とだけ伝えておいた。まーウソじゃないな。代わりに俺がやるとしても、デスワープするか世界が滅びないかのどっちかだし。

 

 ついでに言うと、アラガミ化の事は最初から支部長も知ってると言ったら、「いや、だったらあの時何で秘密にしてくれなんて言ったんだよ」と言われた。……あー、そりゃそうだな、あの暗殺阻止のタイミングでそんな事言ったら、アラガミ化の事を秘密にしてくれって意味だと思うわ。でも「無断で来たんだから、本来の役目をサボってるのを秘密にしてくれ」って意味でした。ややこしくてサーセン。

 

 

 

 あと、「……マジ?」と素でツィートしてしまうような話題が一つあった。

 これはリッカさんから説明された事なんだが、最近極東ゴッドイーターが使う神機が妙にパワーアップしているらしい。

 装備を変えた訳でもないし、何らかの処置をした訳でもない。捕食の自由度を上げる為に、少々拘束度合いを弱めはしたが、それだけだ。少なくとも、直ちに神機のパワーアップに繋がる事は無い。

 んじゃ、一体どうして神機が強くなっているのか…。

 

 

 …これを語った時、リッカさんは自分の正気を疑い続けているかのような、ぬとねの区別がつかないような、完全に固定された表情になっていた。

 

 

 

 曰く、『アラガミが美味しくなっているのだと思われる』………何、そのトリコ。

 

 そういや、アラガミって不味いらしいな。GEBでは、レンが人間にとってはクソ不味い初恋ジュースを飲んで、「アラガミよりずっと美味しい」みたいな事言ってたし。

 要するに何ですかい、神機のパワーアップは食い意地によるものだと? もっとアラガミ食べたいと叫んでいると?

 とうとうアラガミ細胞がグルメ細胞能力まで模倣したのか? 神機がグルメ細胞の悪魔を宿したのか? 食えば食うほど溢れる旨みなのか。

 

 

 ……話を詳しく聞いてみると…ヘタするとセンチュリースープくらいは出来上がってしまうんじゃないかな、という内容だった。

 

 

 そもそも、アラガミは食った物の性質を学習し、体を変化させる性質を持っている。これは無機物有機物アラガミ細胞の区別無く、そういう事が出来るようになっている。

 では、人間が食べられる物を取り込んだアラガミはどうなるか。

 

 美味しくなる。少なくとも、既存のアラガミよりは美味しくなる。

 

 んじゃ、一体何を取り込んだというのか。防壁の外で食べられるモノなんて、今はもうビルとかの廃墟しか残ってないだろうに…と思っていたら、ある事を思い出した。

 以前エリックから連絡を受けた、「防壁の外に野菜などの種を撒いている」という件だ。

 

 

 …大当たりでした。

 外で育った野菜などを食ったアラガミ。そのアラガミの味が変化し、そのニオイに釣られたアラガミ達がそれに食いつき、またコピー。アラガミがどんどん野菜味になっている。

 

 

 マジかよ…でもそれって、人間でも食べられるって事かな? そうなったら、別の意味でこの世界の食料状況が一変するんだが。

 …そうですか無理ですか。確かに、アラガミ細胞はアラガミ細胞でしか傷付けられないものな。噛み付いたところで食いちぎれそうにないし、例え食いちぎって食べたとしても、胃袋の中でアラガミ細胞が蠢く事になる。

 …で、消化されずに…逆に胃袋の中から食われるか……或いは、その前にシモから出て行って…?

 

 ……で、出た後もアラガミ細胞は消滅はしてないから、周囲にあるもの…つまりは排泄物を取り込んでアラガミになる…!

 つまりウ○コ型アラガミ!?

 

 この世の地獄が始まりそうだ…。終末捕食を起こしてコントロール可能だったら、この可能性だけは摘んでおかねば…。

 

 

 

 

 

神喰月仕事はめんどい日

 

 

 極東支部でアレコレと用事を済ませ、明日にはフライアに戻らなければならない。リッカさんがもっと神機を弄らせろとゴネてるけど。今頃は徹夜でデータ取りだろう。…もうちょっと色気のある話できんかな…。いやリッカさんはあんな感じだからリッカさん、と言うのも分かるんだけど。

 

 さて、そうなると一晩時間が空く訳だが、何をするべきか。コネを作っておくという意味では、やるべき事は山ほどある。

 が、一晩で成果を出せるような方法は……いや、あったな。菜園で取れた野菜とかバラ撒けばいいんだ。もう菜園の経営は任せきりになってるけど、所有権自体は俺から動いてないし。幹部(初期参加者達)がしっかりと手綱を握ってるから、反乱起こされる事もないし。

 しかし誰に渡すべきか。……正直、今回に限っては、下手にコネ作ると厄介な事になりかねないんだよな…。

 

 

 

 そんな事を考えていると…おや、誰か来たようだ…。

 

 

 …アリサとカノンさん?

 ああ、そういえば妙に仲が良さそうと言うか、サラッとシオ確保のメンバーの中に居たけど…二人揃って何事? …今回は嬉しいイベントが起こるような接点は無かったと思うけど。

 

 どうやら二人は別々に俺を訪ねようとして、バッタリ会っただけらしい。

 で、カノンさんの用事はと言うと…アリサを通して教えた、ゼロ距離射撃戦法についての相談だった。

 会得したお蔭で誤射も(割と)減り、戦力と看做されるようになってきたのだが、そこで満足していてはいけない、と本人は語る。衛生兵が何処を目指してるんだ…と言いたいところだが、志は見上げたものである。

 そこで、ゼロ距離射撃戦法創始者(という事になっている)の俺に、更なる改良と、自分の動きでおかしい所が無いか確認を頼みたい、との事だった。

 

 …まぁ、やるのは別に構わんが…明日の朝までだから、大した事できないぞ。

 改良については……火力を更に上げる案も一応あるが、使いこなせるか、実現できるかどうかは別問題。アイデアだけ出しておくから、後は好きにしな。

 

 

 

 という訳で、この後演習場に行くんだが…アリサの用事は?

 

 …似た様な内容らしい。と言うのも、今まで何だかんだいいつつ夜毎に俺に扱かれていたアリサだが、それは全て夢の中での話だ。

 経験値は確かに蓄積され、今では黒爺猫を前にしても体が充分動く程度にはトラウマも軽減されたようだが、やはり現実と夢では感覚が異なる。そもそも相手がモンスターや鬼じゃなくてアラガミだし。敵の動きも違うし大きさも性質も違うから、こっちの動きもそれに合わせて変えなければいけない。

 なので、一度現実で自分の動きを見て欲しい…と。

 

 

 ……どうにも、他にも用事はあったようだが、カノンさんの前では話せない類だったかな。まぁ、それこそ現実ではなく夢の中で話せば、盗聴の危険はほぼ無いけども。

 

 

 

 よし、そーいう事なら予定変更。演習場じゃなくて、防壁の外行くぞ。本物のアラガミ相手にして、動きを見せてもらう。

 …何、門限? コッソリ出て行ってコッソリ戻るから問題ない。

 これも訓練の内だ。カノンさんに…カノンでいい? じゃあカノンに教える改良案にも必要になってくるからな。

 

 

 という訳で、地図地図…よし、このルートを通って防壁の外まで行って、この辺りでアラガミを狩ります。

 

 

「あの…そのルート、道じゃないですよ」

 

「そもそも、出入り口の無い所を使って防壁を超えようとしているんですが」

 

 

 何を言う、進めるスペースがあるならそれは道だ。スペースが無くても進んでいけばそれは道になるのだ。乗れるのであれば、パイロットの体を壊すような機体であっても乗り物だ。具体的にはトールギス。

 そもそも、ゴッドイーターの身体能力を持ちながら、一般人と同じ道しか使えないという認識が間違いなのだ。ジャンプすれば家屋の屋根にだって乗れるし、ちょっと慣れれば瓦礫の山だってサンポ気分でホイホイ乗り越えられる。体を上手く使えば壁を走る事だって出来るし、手足を使って昇る事もできる。泳ぐ事だって出来るし、勢いをつければ水面歩行だって…え、何、少なくとも水面歩行はできない? じゃあその辺の石ころでも浮かべて足場にしなさい。

 なぁに、ゴッドイーターでもない普通の人間だって出来る事なんだ。 ま、とにかく手本を見せるからやってみんさい。

 

 

 

 

 という訳で、文字通り屋根の上を走ってきました。更に防壁は文字通り乗り越えました。対アラガミ装甲を組み合わせたものだから、あっちこっちに出っ張りがあるのよね。掴める所が多くて楽勝だわ。やろうと思えば、出っ張りを足で掴んで垂直歩行とかも出来るぞ。

 後ろの二人は、何だか知らんがゼイゼイと息を荒くしている。

 

 

「こ、こんなやり方で壁を越えるなんて…」

 

「わ、私としては、壁よりも道中の屋根の方が傷つきました…」

 

 

 …この二人、足場にした家屋の天井を何度も踏み抜いているんだよな…。それも仕方ない事ではあるんだけどね。何せ家屋っつっても粗末なプレハブ小屋が殆どだし、そもそもこの二人が持っているのは神機…ゴッドイーターとして強化されないと、持つのも一苦労のメッチャ重い代物だ。

 俺? 別に俺は踏み抜いてないよ。屋根の下に柱のある場所とか、特に頑丈な場所にしか足を置いてないし、体重移動で屋根にかかる負担を上手くバラけさせてるからね。だから、屋根を踏み破ったのはキミタチの体重のせいじゃありません、安心しなさい。

 …後で謝りに行くか修理しに行かないといけない? 却下、こっそり出たのがばれるじゃないか。そもそもコッソリ修理しに来たとしても、今度はもっと派手に踏み抜いて体ごと落下する未来しか見えない。

 

 

 さて、ここからは防壁の外での狩りに移る訳だが…ここで重要な事が一つあります。

 今は真夜中です。防壁の外には、当然の事ながら電灯等という甘えた文明の利器はありません。いつもならレーダーで敵を探索してくれる指揮車やオペレーターだって居ません。更に今日は新月です。星でも出てればもう少し明るいかもしれませんが、空気が急に清浄になった訳でもないんで、明かりとしてアテにするには不安です。

 

 

 つまり……俺達もアラガミも、ほぼ目に頼れない状況なんだよ!

 

 

「………あの、そんな所に突貫すると? 死ぬ気ですか」

 

 

 問題ない、俺はもう慣れた。

 そう、人間とは考えるより先に慣れるイキモノなのです。と言う訳で、この何処から襲われるか分からない暗闇の中で、アラガミを逆に襲いましょう。

 静かに、一撃で、見つからずに、暗がりから背後を警戒しつつも、アラガミの警戒網を掻い潜ってバッサリ一撃で仕留めます。

 迂闊な物音を立てると、コンゴウ辺りが速攻で目を覚ましてやってきます。視界が利かない中での乱戦とか悪夢です。

 

 これが出来るようになれば、日中でもデカブツに奇襲仕掛けまくる事ができます。尚、奇襲をかける時には徹底してリソースを火力に振るのがコツ。部位破壊なんて甘い事は言わず、文字通りアラガミの四肢をもぎ取る勢いで攻撃するといいでしょう。コンゴウ辺りなら、足一本削いでしまえば殆ど動けなくなります。

 

 

「で、でもでも、一撃で倒すって言っても、そんなに強い攻撃力が無いんですけど!」

 

 

 はい、そこがポイント。ゼロ距離射撃戦法は火力が強く、狙いを外しにくい反面、継戦能力に乏しいのが欠点です。全火力を一瞬に集中させる訳ですが、集中させられる火力にも限界があります。秒間10発が限度の銃に、1秒で100発放てと言ってもそりゃ無理ですわ。

 

 なので、ここで改良案! 集中させるのが限界なら、一発一発の火力を上げればいいじゃない。

 という訳で、ここで登場するのがスキル「生存本能」! 瀕死、つまり死の一歩手前で居ると攻撃力が上がるスキルな訳ですが、これを強化パーツ無しでも使えるようになってもらいます。

 

 

「…パーツ無し…と言うと、神機にスキルを?」

 

 

 うんにゃ、君達自身にデフォルトで付ける。それも、特にダメージ負って無くても効果が発動する奴を。

 

 

「ちょっと何言ってるか分からなくてドン引きなんですが」

 

 

 瀕死とは死を感じる状況を指す! であれば、いつ何処からアラガミに襲われて死ぬか分からないこの状況は、正に瀕死の状態と言える! 例えケほどの傷すら受けてなくても!

 この暗闇の中、ちょっとでもしくじれば大量のアラガミに襲われかねない状況の中、必死でアラガミを仕留め続けるのだ! さすれば君達の生存本能が大きく刺激され、デフォルトでスキルを身につける事ができるであろう!

 

 

「いやあのちょっと」

 

 

 という訳でゴー! 先に行ってるぞ!

 

 

 何か言いかけてるのを無視して、気配を消して暗闇の中へ。夜更かししてたグボログボロと正面から目があったんで、叫ばれる前に貫いた。

 そしてその場ですぐに隠れる。

 

 10秒程して、追いかけてきたアリサとカノン…馬鹿め、せめて足音を隠せと言うのだ。そして唐突にあった死体に驚くヒマがあったら、警戒をしろと言うのだ。危うくカノンが上田になってしまうところだったじゃないか。

 真っ二つにされて落下してきたオウガテイルに、カノンが顔を青くしていた。

 うむ、いい塩梅に死を意識し始めたな。俺は隠れて見守っているから、頑張れよ。

 

 

 

 

 

 

神喰月酒と飯の日々日

 

 

 眠い。結局、昨晩はほぼ一晩中暗闇の中で大暴れしていた。

 いや、俺がじゃなくて…というより、俺とカノンが。アリサも動いてはいたけど、特に凄かったのはカノンだなぁ…。

 

 結局ね、カノンが隠密行動を身につける事は……うん、無かったよ。裏カノンの事、すっかり忘れてた…いくら危険な状況だからって、あのトリガーハッピーが大人しくしている筈も無い。

 あの後10分もせずに、自重という単語を一切投げ捨てた爆音が響き渡った。勿論、周囲のアラガミが目を覚まし、一斉に向かってきましたとも。

 暗闇の中で、瞬発力から生命力、攻撃力まで人間とは比べ物にならない獣に襲われるんだ。そりゃ瀕死どころじゃ済まないだろう。

 

 が、カノンはそれを、俺の予想とは違う方法で覆してしまった。

 瀕死とは死を感じる状況を指す。

 そして、隠密とは自分の居場所を悟られない事を指すのだ。

 例えあちこちで爆発が起き、眠りを邪魔されて怒ったアラガミが走り回っていたとしても、自分の居場所が悟られなければそれでいい。

 

 そう、カノンは爆発を陽動として使い、走り回るアラガミをコッソリと背後から奇襲しまくったのだ。隠密とは静かな行動でなければならない…というセオリーを引っくり返した、見事な戦術だと言えよう。 

 爆発音に惹かれて集まってきたアラガミの群れの中に紛れ込み、標的に近寄るや一瞬で仕留め(大爆発させ)てすぐ離脱。新しい爆音に惹かれて寄ってきた新たなアラガミの群れに再び紛れ、爆殺・離脱。しかもアラガミの群れ同士の縄張り争い、共食いまで誘発させやがった。

 素晴らしい。乱戦の中で一人だけ極めて冷静かつ冷酷に身を潜め、大火力で敵の心臓を鷲掴みする…新たなステージだな。

 

 うむ、EISEIHEIと呼んでおくか。EISEIHEIのリンクエイドは、仲間を助ける為ではない。自分の体力を分け与え、HPを半分にするのが最大の目的である。

 2~3度リンクエイドすればあら不思議、敵の攻撃を一発も受けていないのに、生存本能が発動します。

 ちなみに上級EISEIHEIともなれば、生存本能だけでなく、生存本能全開とか、火事場力とか、背水の陣などと言った別の世界のスキルまで会得しているとかいないとか。

 

 

 ……アリサ? 今までの夢の中での教育の結果なのか、取り乱しもせず淡々とワンヒットアンドウェイを繰り返していましたが? ちなみにワンヒット=低くても0.4キルくらいかな。早ければ2撃、多くても3撃で仕留めてます。

 表情が完全に固定されて、目からハイライトが消えてたけどな。

 ま、あれだけ冷静に自分の役割に徹していられるなら、ゴッドイーターとしての力量は…そーだな、ルーキーを卒業したと言えるくらいにはあるだろう。

 ただ、やっぱり暗闇の中での狩りには慣れてないみたいだなぁ。だって一撃必殺できてなかったし。夢の中での訓練メニューに付け加えるべきか。

 

 

 ま、とりあえずは休むといい。慣れない状況での狩りだったのに加え、死の危険をヒシヒシと感じた一日だったろうからな。体力も精神力も尽き果てているに決まっている。

 裏カノンはメッチャイキイキとして満足そうだったが。

 

 

 こっそりと回収していたコアは、シオ…まだ名前は付けられてないが…のご飯として榊博士に提供する。

 シオが食べる量は物凄いからなぁ…あれでどれだけ保つやら。シオを満足させ、特異点としての本能を押さえ込めるだけの食料を確保しようとすると、まず間違いなく支部長にバレる。

 榊博士が大量のコアを集めている、と聞けば、支部長なら確信はせずとも怪しく思うだろう。極東支部の電源を落とすなんて、よくよく考えれば相当に無茶なやり方だ。確信してなければ、とてもじゃないがこんなやり方は出来ない。

 

 つまり、シオの食料は極力コッソリと集める必要がある訳だ。また真夜中の狩りのお時間ですな。

 …そうそう、ゲームと同じ手段を支部長が取ってきたら? という懸念を、榊博士に伝えておかなければ。何かしらの対策を講じてくれるだろう。

 

 

 

 

 

 ところで、今日の夕方辺りでフライアに到着したんだが、ロミオにも野戦訓練を施すべきだろうか?

 ここの所霊力も上昇しなくなってきているし、死を一層間近に感じる訓練で、殻をムリヤリ破らせるべきか…。

 

 …いや、止めておこう。あれは上級者向けの訓練だ。ロミオは訓練兵を卒業しつつあると言っても、それでもルーキー。妙なクセをつけるべきじゃない。

 そんな事を考えていたら、バッタリ会ったロミオが一瞬で「逃げるべきか留まるべきか」みたいな顔になった。

 ホントに勘がよくなったな、コイツ。ひょっとしたら、ロミオの血の力ってシエルみたいな情報系か? 危機感知とか未来予知的な。

 

 ただ、暗闇や夜間での戦闘はいつ起きても不思議は無いんで、何れはやらせなければならないだろう。

 その時、俺が一緒に居られるとは限らないんだよな…。だってロミオがルーキーを卒業するとすれば、極東支部に来てからだろうし…と言うか、他所でエースと呼ばれていても、極東に来るとルーキー程度にしかなれなかったなんて良く聞く話だし。

 つまり、ロミオがルーキーを卒業するのは恐らく、GE2の時期だ。それまで俺が生きていられるか分からない。

 

 

 …うむ、やり方だけ教えておくか。

 土産の野菜使って飯を奢ってやりながら、極東支部でオンナノコ二人とこんな訓練したぜー、と土産話。

 最初はアリサの格好とかカノンの巨乳とかの話に食いついていたロミオだったが、夜戦訓練の話になると深く同情したような顔付きになった。なんちゅーか…同類相憐れむ的な。

 おいおい、そんな顔していられるのか? お前もその内やるんだよ。下手すると保護者無しでな。

 しっかり聞いておけ。

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。