※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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第164話

神変月艦これ改、購入。まだ届いてない日

 

 

 極東に戻ってきたはいいが、俺ってば基本的に単独行動ばっかりね。

 ま、仕方ないんだけどさ。支部長直属で、特務を受けて動いている訳なんだから。

 今も、特異点探し(探してないけど)とノヴァの育成に必要なアラガミのコアを狩り集めている。

 

 で、その相手がね、ウロヴォロスとかスサノオとか、接触禁忌種がメインでさ…。他のゴッドイーター、連れていこうにも行けないんだよ…。

 最近は支部長も、反目の芽があるリンドウさんじゃなくて、俺をメインに使うようになってきている。こう言っちゃなんだが、リンドウさんに出来る特務なら、俺にも…まぁ大体は出来るだろう。

 

 別に、リンドウさんの腕に俺が追いついた訳じゃない。リンドウさんは腕利きだが、使っているのは旧型神機で、普通のゴッドイーターよりも身体能力は高いが、それ以外の力は無い。

 対して、俺は新型なので遠近防に対応可能であり、本来この世界には無い力を振るう事が出来る…あんまり使うと霊力を使う接触禁忌種が出るので、なるべく自重しているが。加えて、変身というバグ能力さえある。

 そこまでやって、ようやく同じ任務を達成できる。

 

 …分かってはいたけど、あの人バケモノだわ。特に、自分以外のメンバーに対する気配りやら指揮やらは、100回くらいループしないと敵いそうにない。

 

 

 特務以外の時は割りと自由に動けるんで、ミッションに誘ってくれてもいいのよ? いいのよ? 

 …そうだね、今回ループで最初の頃もそうだったけど、支部長直属なんて怪しい奴とつるみたがる人は殆ど居ないよね。今ではシオの事を隠して榊博士の研究室に通っている為、胡散臭さは倍率更にドン!である。

 

 そんな中でも、物怖じせずに誘ってくれるアリサとカノンちゃんマジペットと天使。ちなみにカノンちゃんには教官扱いされています。…接近戦こそ上手くなりましたが、誤射は0にはなっていないようで。

 

 

 ミッションの帰りには、何時の間にやら想定の数倍の規模にまで膨れ上がった菜園を見に行くのが日課です。

 以前はコウタの妹のノゾミちゃんを護衛しないと…と考えていたが、既にそれも不要。彼女はマスコットではなく、リアルエンジェルとして崇められていた。不届きな考えを持つ者が湧いて出たら、何処からともなく親衛隊が現れて洗脳…処罰ではなく洗脳…されるとの専らの噂である。ちなみに、コウタ曰く「ウチのノゾミが天使なのは事実なんだから、そんなに不思議な事じゃないと思うけど」だそうな。順応しやがった。

 

 そしてこの菜園は、今尚恐るべき進化を遂げようとしている。

 と言うのも、以前から考えられていたように、「アラガミ防壁の外に、菜園を広げられないか?」という考えが真剣に考えられているのだ。それも、素人知識にせよ、それなりの算段を付けられて、だ。

 

 確かに、防壁の外で菜園を作れば、あっと言う間に野生のアラガミ達に食い荒らされてしまうだろう。だが、それはアラガミを遮るモノが何も無いからだ。

 つまりは…そう、例えば小型のアラガミ用防壁があれば、どうだろう? アラガミに侵入される事無く、その土地の栄養(あまり潤沢ではないが)を独り占めして菜園は育つだろう。…尤も、上からの侵入を防ぐ為に防壁をドーム型にしなければならないし、そうなったら太陽の光も入らないので、そんなに簡単な話ではないが。

 

 ではちょっと考えを変えて、防壁ではなく…アラガミを殺す装置ならばどうだろう? それこそ無理だ、と言われていた。アラガミは同じアラガミ、或いはゴッドイーターが持つ神機の攻撃にしか傷つかない。これはこの世界の常識である。

 しかし、しかしだ。

 何故にこちらの装置で、アラガミを殺さなければならないのか? …何を言っているのか分からない? 何、簡単な話だ。

 

 

 こっちでアラガミを雁字搦めにして動けなくしてしまえば、後は寄ってきた別のアラガミがムシャムシャしてくれるじゃないか。

 

 

 動けなくするだけなら、方法は幾つもある。アラガミが現れる前は猟師だった、という住民も居て、様々な種類の罠を考案している。

 …うーむ、ちょっと自信無くすな。俺もハンターだから、色々と罠の心得はあるが…この一般猟師が持つ罠のバリエーションには、遠く及ばない。…そもそもパッと思いつく罠なんて、シビレ罠に落とし穴に爆雷針に各種爆弾、ホールドトラップくらいだもんな…。

 まぁ、それも無理も無いのかもしれないが。

 何せハンターの相手は、基本的にデカブツだ。そんな相手に効くような罠なんて限られているし、短時間ながら確実に効くように、また仕掛けやすいように、大型に対して特化していった結果だろう。

 

 対して、猟師さんの提案する罠は、小型相手にしか通用しないようなモノも多い。…モンスターやアラガミを基準とした小型なんで、普通の動物で考えたら大型と言えるのかもしれないが。

 

 

 ただ、この案にも問題はある。目の前に動けなくなったアラガミが居たからと言って、もっと美味しい野菜が手の届く所にある。どっちを食べるだろうか?

 野菜…とばかりは言い切れない。野菜を食べている所に、拘束から逃れたアラガミが「俺のモンじゃあ!」とばかりに飛びかからないとも限らない。逆に、「最後の一本までは仲良く食おうぜ(残り5本になったら裏切ろう)」と一緒に食べ始めるかもしれない。

 

 

 

 …と、このように色々と頭を悩ませている。

 俺としては…もっとやれ、としか言えないな。一緒に考えてくれとも言われたが、俺だってオツムは一般住民達と変わりない。実際のアラガミとの交戦経験があるのは、大きな差だと思うが。

 

 ただ、どのような試行錯誤をしたのか、その結果はどうだったのか。それだけは全て教えて欲しい…いや、形にして残してほしい。

 それは財産だ。この菜園が無ければ何の意味も無く、伝えたところであっと言う間に絶えてしまう財産でも。

 本人達にとっては、自分達の努力の結晶を、反吐が出る程大嫌いな連中の為に掻っ攫われてしまうものであっても。

 

 

 神機を使わず、アラガミに対抗しようと試行錯誤した新たな試みは、絶対に記録しておくべきだ。

 

 

 

 

 

 

 …アーク計画が終わり、全てがリセットされた大地で生きていく、宇宙船から降りてきた1,000人の人間達の為の遺産であっても。

 

 

 

 

神変月SRWはよ。はよ。日

 

 

 そーらも自由に飛べるーはずー♪

 

 …何か混ざった。具体的には青狸(声変わり前)とS○APが。

 でも飛びたい。ドラッグ的な意味ではなく。フライハイ。ジャンプじゃなくてフライがいい。ギブミー舞空術。イカロスの羽でもいいぞ、落ちても死なないから。

 

 真面目な話、今一番に思いつくパワーアップって言ったらコレだろう。色々とゴテゴテと後付でよく分からない技術を習得し、今の俺はガキンチョが魔改造したプラモデルみたいになっている。

 これらを全てひっくるめて使いこなせるようになるべきだと思うんだが、どうせだったら後2、3個くらい詰め込んでからの方がよくないだろうか。

 で、そこで一番欲しいのが、空を飛ぶ…である。空中ダッシュと多段ジャンプと忍法ムササビの術までなら出来るが、どうにも重力に勝てないんだよな。

 

 んじゃ、どうやって空を飛ぶかってーと……思いついただけなんだけどね。

 ゲームGEのエンディングで、ホラ、シオを乗せたノヴァが、空と言うか月に向かって飛び立つじゃん? あれって普通に空中浮遊だよね。

 羽も無いし、あの巨体を浮かすだけのジェット噴射の類もない。中身が空気より軽いガスって事も無いだろう、重力圏を突破して月までいけるんだから。

 

 終末捕食を乗っ取る予定なんだし、その時にあの原理をコピーできないかな、と思っただけである。

 ちなみにザイゴートも浮いているが、アレはどーもガスで浮いているようなのでパス。

 

 

 

 さて、戯言は置いといて、ちょくちょくシオの所に顔を出している。支部長にバレないように、色々手を使って…それこそ霊力も使って。ダイヴインだけは絶対に知られないようにしているから、使ってないけど。

 まー相変わらずカワイイねこの子は。

 リッカさんに会わせたくなってくるよ。マジな話、今回も服を作るのに協力してくれたようだし、事情を察しているのに黙っていてくれるし、いい加減一回くらい会わせておかないと不義理な気がしてきた。

 尤も、その義理を果たすとシオの存在がバレた時に道連れにしてしまう事になる訳だが。

 

 

 ただ、リッカさんの方がクッソ忙しそうでなぁ…。その元凶である神機の持ち主…て言うか宿主? 本体? の俺が言うのもなんだけど。

 極東支部で出撃した後、戻ってくると大抵、技術班を率いたリッカさんに神機を強奪されてしまう。特に抵抗する気が無いとは言え、俺から得物を文字通り奪っていけるあの連中、ゴッドイーターになってもそこそこやっていけるんじゃないだろうか。

 

 と言うか、今更なんだが俺の神機の一体何を調べているんだろうか。色々な意味で規格外な神機であるのは自覚がある。

 そもそもからして、現在ゴッドイーター達の戦術に革命を起こした神機である。拘束具が無くても暴れもせず使い手に牙を向けもせず、意図を汲んだかのように大きく伸び広がってアラガミに食らいつく、使い勝手もそのパワーも一線を画する神機。

 そりゃー一から調べたくもなろう。

 

 更に加えて、時々…そう、リンドウさん暗殺計画の時だけでなく、時々勝手にその辺に残ってる神機をムシャムシャして、勝手にスキルを覚えているような神機なのだ。

 更に更に言うなら、覚えたスキルを取捨選択するどころか、合成まで可能……なのか? イマイチ分からんが、そんな気配すらある。具体的に示すなら、攻撃力Lv10を覚えていた筈が、神機をムシャムシャした後に見てみたらハーフスタンスLv3なる攻撃力+防御力を増加させるスキルになっていたり。

 

 うーむ、そういや神機ってアラガミ以外も食えるようになってたんだよな。遺された神機は調整されたアラガミだから、まぁ納得できるとして。

 他の世界の鬼やらモンスターやら武器防具装飾品やらを食わせれば、何か覚えるかな。

 現状、スキルは俺+のっぺらトリオ+神機+防具で使っている訳だが(多すぎるって言うな)、更に増やせるかもしれんのか。

 …どうせ増やすなら、妙な夢を見た時にいいスキル覚えてほしい。いつもの3つの世界のスキルなら、装備整えればある程度融通は効くからね。

 

 

 まーとにかくアレだ、今回のリッカさんルートには入れそうにないね。もう2人も関係を持っておいて何を抜かすと言われるだろーが、前回MH世界を考えりゃそれこそ、何を今更だ。

 本音を言えば、惜しい…と言うか、欲しいと思う。あんな風に試行錯誤して、短くて二度とない人生の時間を何かに注ぎ込む様な情熱……………いや、こんな言葉は誤魔化しだ。

 

 俺にも情熱はあると思ってる。女に対する欲望も、真っ当とは思わないが愛情もあるし、欲望とも愛しさとも取れる熱がある。

 狩りをしている時には余計な事も肉欲も生死も頭から吹っ飛ぶくらいの昂揚があるし、状況にもよるが、多分デスワープ脱出の機会を永遠に逃したとしても、その昂揚に従う事だってあるだろう。何より、成功するにせよ失敗するにせよくたばるにせよライフワークにせよ、俺は言葉にするのも憚られるレベルで狩りが大好きだ。

 志ってやつも、まぁある。ハンターは人の為に狩りをしつつ、自然の調和を乱さない為に狩る者だ。ゴッドイーターは滅びかけた世界で生き延びる為に足掻く人の剣だし、モノノフは昔から鬼を…人の影に生まれ負の感情を食らって成長する鬼を調伏してきた。俺個人としても、その意思は受け継いでいるつもりだ。

 個人的な志を言うなら……ゲームストーリーが終わった後の世界に興味があるな。俺のデスワープとループが続いている限り、多分世界に未来は無い…たった一年後でさえも。それをどうにかする為にも、このループを抜け出したい。

 どれも、他者に対して憚る事の無い情熱の元だと思う。

 

 

 

 

 だけど、神機や論文、何より機械を弄っているリッカさんが放っている何かが俺には無い。だから欲しい。

 

 

 

 

 …と、何となく乙女ゲーのよくわかんない竿役…もとい彼氏役の理屈になってない理屈を語ってみる。

 ま、リッカさんが魅力的なのは事実だけどね。もっとお近づきになりたいわぁ。

 

 

 

 

 …空を飛ぶ技術、リッカさんに相談してみっかな…。

 

 

 

神変月ヤケ酒いくぞー日

 

 

 えーと、この後ってどういう流れだっけ?シオはもう服を着ているから脱走は無いとして…そうだ、ノヴァに呼ばれて(?)特異点としての本能に目覚めかけて、一度ソーマ達の前から姿を消すんだっけ。

 それを防いだとして、何か問題はあるか? …無いな。

 覚醒を防ぐのも、軽いものならご飯を食べさせたり、呼びかけたり、体を揺さぶったりすれば出来ると思う。予防という点では、まずエイジスを認識させない事か。

 

 そうなると、シオを連れて狩りをする事が出来なくなってしまうかな。エイジス島はアナグラから割りと近い所にあるからな…。

 だが、子犬…もといシオにとって、おサンポは食事と並ぶ一大イベントだろう。おサンポの無いワンコの一生……想像しただけでも泣けてくるな。ストレスでhageるんじゃなかろうか。

 シオも結構行動的だし、今までが野生で生きてたからなぁ…空も見えないアナグラの一室に閉じ込めたままだと、その内癇癪起こしそうだ。

 

 なるべく近くに居て、妙な事があったらすぐに止められるように言い含めておくしかないか。後は…そうだな、逸れた時に何処で合流するか、教え込めればいいんだが。…帰巣本能でアナグラに帰ってくるかな? いや、ゲームだと帰ってこなかったし、何より正面からノコノコやって来そうだ。もしそうなったら、即アラガミだとバレて特異点認定である。

 

 

 

 そうそう、支部長に相談したんだが、そろそろノヴァを本当に起こせるかの実験が必要だと思うんだが。ラケル博士から可能というお墨付きをもらいはしたいけど、あくまで理論上は、だし。

 支部長だってぶっつけ本番で試す程冒険はしない筈……なんだが、どういう訳だか「実験は不要」の一点貼り。…どういう事だ?

 

 俺にノヴァを見せたくない? いや、ノヴァそのものは単なるデカいアラガミだし、存在を知っている俺に隠す意味は無い。

 特異点を絶対に見つけ出す、という決意の表れ? これも違う、次善の策を用意しないような人じゃない。

 うーん………?

 

 

 榊博士に相談してみるものの、「残念ながら、その件では私は力になれないよ」と一蹴されてしまった。

 そう言われてみれば、そうだったな。支部長は終末捕食を起こしたい、俺は終末捕食を乗っ取りたい、榊博士は終末捕食を起こさせたくない。シオの件では榊博士の味方のつもりだけど、終末捕食の件については俺は榊博士とは相容れない位置に居たんだっけ。

 

 

 …エイジスに忍び込むか? 不可能じゃない。

 でもあんまり意味が無いな。今のノヴァはまだ、終末捕食を起こせる程育ってはいないだろう。忍び込むのに成功しても、精々不完全なノアを一瞥できるくらいだ。

 

 

 うーむ……打開策が思いつかん。

 暫くは支部長の特務をこなしつつ、シオのご飯確保に協力しますかね。

 

 

 

神変月最近、顔が肌荒れして痛い日

 

 大事な事を忘れてた。ゲームの通りに話が進めば、よく分からんが電源を落とされてシオの存在がバレてしまう。

 この辺の対策をしておくよう、榊博士にいつだったか頼んだような……あれ、別のループの時だったっけ? 何度も同じような状況を繰り返してると、記憶が混じってくるな。

 

 ともあれ、周囲を幾ら探しても特異点が見つからず、その内内部に目を向ける…というのは不自然な事でもなんでもないだろう。しかも榊博士は特異点を育成して人間に近づけるという計画まで持ってるんだから。

 停電を上手く乗り切り、その後も幾らかの方法で探りを入れてくるだろうから、それも誤魔化して……やっぱり探しても見つからない。そういう状況に持っていかないと、支部長は俺を特異点の役割には据えないだろう。

 

 この事を相談してみた結果。

 

 

「…ふむ、成程。確かに、ヨハネスがシオを探す方法としてはありだろうね」

 

 

 どーも、一発限りの大技っぽいですが?

 

 

「ああ、頻繁に取れる手段ではない。しかし、一度行ってしまえばこちらには手の打ち用がないだろうね。復旧の際、データを全て持っていかれる」

 

 

 という事は、シオに関するデータを全て削除すれば?

 

 

「…現実的な手段ではないな。消したとしても痕跡は残るものだ。完膚なきまでに削除するには、それなりの手間がかかる。リアルタイムでそれを行い、更に不自然が無いよう加工するとなると、私がもう一人必要になるだろう」

 

 

 恐ろしい事言わんでください。

 

 

「君がもう一人居るよりは、ずっとマシだと思うよ。君、その内分身の術とか使えるようになるんじゃない?」

 

 

 俺じゃなくて神機が会得しそうですけどね。

 

 

「うーん…そうだね、データをスタンドアロン型のPCに移しておこうか。今後の記録もそっちに残して、持っていかれるデータは予め偽造しておけばいい」

 

 

 …その偽造、バレないと思います?

 

 

「いや、ばれるだろうね。私が一から手がけたものならともかく、どうしたって手抜きの出来栄えになってしまう。でもそこは大丈夫さ。偽造がバレた事なら、何度かあるからね」

 

 

 それの何処に安心しろと。

 

 

「秘密の、(私基準での)ちょっと危ない実験をやっていた、と言えばいいさ。今までだってそうだった」

 

 

 ああ、マッド特有の信頼感ね、ハイハイ。それで誤魔化しきれるなら、この件はお任せします。

 その後のちょっかいについては…出来る限り、俺がスパイしてきますかね。

 

 …あまり成果を期待できそうにないとか言われた。失敬な。スニーキングミッションは得意だぞ。…そういう事じゃない?

 

 

 

 …俺は支部長に、信頼も信用もされてない? マジで? 俺、それなりに支部長に貢献したと思ってるんだけど。菜園の件は、何も言わずに始めたのは悪かったと思うが、宇宙船やら何やらを掻き集めるのにいい手札になったと思うし、特務という無茶ブリにも文句も言わず応えているつもりだ。

 そういう問題じゃない?

 

 

 榊博士にヤレヤレと肩を竦められ(この人にやられると割りと屈辱だ)、どの辺がアカンのか逐一説明を受けた。

 ……あー、うん、なんだ、その……仰る事は尤もだと思いますけどね……。なんかこう、俺の立ち居地…使い所が無くてベンチで待機させられてるのに、温存されてると思い込んで切り札を自称している空気読めない人みたいだ…。

 

 

 あぁー、格好悪い…。色々考えてたつもりだったけど、根っこのところが狂いまくってちゃ意味ないわ。

 そうだよなぁ、終末捕食を起こすのに協力しよう、なんて自分から言い出す奴を誰が信用するもんか。せめて、コウタのように身内をアラガミの居ない世界に送り出す為とか、そういう理由があればまだしも。

 それ以外にも、人類の9割以上を殺す計画に協力するのに、悲壮感も決意も何も感じない。更には出所だって怪しい。何故か榊博士のアカウントを使ってファーストコンタクトを取ろうとするし、いざ会ってみれば変身こそ事実であったものの、身の上を一切話そうとしない。

 こんなので信用される人なんて、最低系SSの主人公くらいだ。…書いてて何故か心が痛い。

 

 あー、しかしそうするとどうなんだろ。特異点が見つからない状態が続けば、俺の投入を決断するかもしれんが…その時、素直に特異点役をやらせるとは思えん。少なくとも、薬で意識を奪ってノヴァに埋め込むくらいはやるだろう。

 しかし、意識が無い俺を生贄にしたとして、終末捕食を起こさせる事は可能だろうか? …いや、霊力使うには基本的に意識と意思が必要だ。気を失う、或いは薬で朦朧としている俺に、ノヴァを起動させる事ができるとは思えない。

 

 となると、不安要素バリバリのまま俺にやらせるか、断固として俺を使わず特異点を探すか、か。まともに考えれば後者だな…。

 

 

 うーん、どうしよ。終末捕食の乗っ取りは変わらないとして、色々考え直さないと…。

 

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