※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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7月頭に長期休暇を取れる事になりました。
本部の皆様のおかげッス…。

それはそれとして実家にPS4が無い為、スパロボとPS4本体以て帰る事になりそーです。

あと、ちょっとした問題に突き当たっています。
お暇でしたらご意見いただけると助かります…いやどうするかはもう決めちゃってるんですけど、他の方々の意見がどうなのか気になって。
昨日から活動報告に出してますんで、良ければご意見ください。なるべくカオスなのを。


第167話

神住月スパロボまであとちょっと日

 

 何日なのか全く分からなくなってしまったが、とりあえず新しい月に入ったって事にしよう。

 

 気になる事や疑問は多々あるが、まずはこの場所について。

 昨日の日記にも書いたが、ここは月面だ。しかも、月に不時着したノヴァの影響なのか、完全に緑の星になってしまっている。いやもう見事なまでに草木がボーボーだ。お手入れを怠ったあとのシモの毛くらいボーボーだ。いや具体的に誰のとは言わんが。

 

 ま、それは別におかしな事じゃない。月に植物が自生できるのかとか、そもそも空気があるのかとか、その辺は全てノヴァの仕業だ。

 ついでに言えば、重力も地球に居た頃と大差ない程度には感じている。これもノヴァの仕業なのか、それとも俺が情報生命体であるからなのかは分からないが。

 

 

 

 さて、一見すると自然が豊かに見えるこの星だが、実を言うとそうでもない。おかしな言い方になるが、あくまで人工的な環境…ノヴァ・俺という意思を通した結果、このような状況になったらしい。

 と言うのも、生えている植物の多くに見覚えがあるからだ。主にMH世界の植物だ。

 

 更におかしな点はと言うと、この星の中で生命らしい生命は、どうも俺だけらしいのだ。どれだけ歩き回っても、獣は勿論、虫も魚もいやしない。

 そのクセ、今のところはこの植物の星は、破綻らしい破綻を見せていないのだ。

 どういう訳だか、雨も降ってない、朝も夜もないのに葉っぱに露が垂れていたりする。全く水を受けていないにも関わらず、植物達は育つ一方。

 

 

 …どうなってんだろうな。動物が生まれてくる前の世界ってこうだったのか? 自分から動く者が無く、ただ草木が風に(月面だから吹いてないけど)揺れているだけ。

 

 

 考えても考えても答えは出ず、正否すら分からない僅かな知識を元に、ああじゃないのか、こうじゃないのかと考え続ける日々。率直に言うが、退屈極まりなかった。

 狩るべき相手も居ない、話をする相手も居ない、動く者一つ無いこの星。

 

 

 ああ、今の俺って、本当に一人っきりなんだな…って何となく思ったよ。

 

 

 

 それから暫くは何をする気にもならなかった。何かしたところで、まるで意味が無いからな。

 このままボーッとしてれば、餓死して討鬼伝世界に行けるかな…と思うくらい投槍だった。

 

 

 そんな時だ。

 不思議と腹が減らない事に気付いたのは。葉についた露を集めて飲んではいたが、考えてみりゃそれだけで足りる筈も無い。生命活動するのに最低限必要な分は集められてたけど、水が飲みたいという欲求を満足させる量では決してなかった。

 飯だってそうだ。成っているよく分からない果物とか野菜とか食ってはいたけど、とにかくココじゃ肉が無い。タンパク質が足りん。それも、できれば自分で狩った奴がよかったが。

 

 

 

 今更ながらに、どうしてほぼ飲まず食わずで平然としていられるのか、疑問を持った。

 何時ぞやの山篭りの成果が出て、とうとう霞(DOA的な意味で)を食えるようになったのか。萌をエネルギー源に出来る領域まで辿り着いたのか。エロがエネルギー源なのは今更だ。

 だが二次元(3Dだが)の良さは分かるが、今の俺はリアルの女の方がいい。ついでに言うと、俺はどっちかっつーとあやね派だった。

 

 

 …戯言はともかく、とにかく今の俺は何処かからエネルギーを供給されている身のようだ。

 何処から?

 

 ここは地球じゃない。死の星…は言いすぎだが、生命なんて元々全く無かった月なのだ。…ちなみに探し回ってみたが、月の都や遺跡は無かった。月の裏側まで行ったが、隕石バカスカ落っこちてきて死ぬかと思ったよ。そこでも平然と繁殖している植物達マジパネェ。

 という事は?

 

 暫し悩んだが、ここには俺以外にも一体だけ生命体があったのを思い出した。

 そう、ノヴァだ。

 

 俺が干渉し、月まで運んできた超ド級のアラガミ。生命力という点で考えれば、折り紙つきだろう。

 考えてみれば、ノヴァに干渉し、ここまで来た後も、その接続を切った覚えが無い。ノヴァにそのつもりがあるのかは知らないが、俺はノヴァと一つの生命体状態になっている訳だ。

 別に切り離してもいいんだが…そうなるとガチで餓死しそうだしな。

 

 何より、この状況は興味深い。

 ノヴァは月を包んで根付き、そして馴染んでいっている。月と同化しようとしているようなものだ。

 

 そして、俺はそのノヴァと繋がっている。地球で言えば、龍脈や霊脈と繋がっているようなものだ。しかも、月のエネルギー(どんなのがあるのか分からんけど)を独り占めしている状態。

 

 

 これは…上手い事やれば、相当なパワーアップが出来るんじゃないか?

 

 

 

神住月連休の日は鍋が美味い日

 

 

 その辺の草木=ノヴァ。ノヴァ=月。

 この図式を元に、ノヴァに干渉するイメージでやってみたんだが…うん、スゲェなコレ。アホみたいにデカいエネルギーを感じる。

 ただ、地球の地脈から感じるようなエネルギーとはちょっと違うな。やっぱり月だからか? 魔力が満ちているってのが定説だしな。霊力は使ってきたが、魔力ってどういうモンじゃろ。

 

 まーそれは何時か魔法使いか魔術師にでも会った時に聞いてみるとして、最近の俺はとにかく瞑想を続けている。ノヴァを通して、この月のエネルギーを身に受ける為だ。

 そんな事して大丈夫かなー、月の生命力が枯れ果てたりしないかなーと最初は心配したんだが…まーなんだ、蟻がエベレストを食い潰せるかって話だよ。普通の蟻だぞ。キメラアントでもなきゃ、七英雄さえ戦うのを避けた「アリだー!」じゃないぞ。 

 

 森羅万象に満ちる力を、人間一人がどうにかしようったって無理な話さ。惑星一つのエネルギーを、俺一人が吸い取ったところでどれだけの差が出るよ。FF7みたいに、大規模かつ無駄の多そうな施設で、恒常的に力を吸い上げてれば別だろうけどね。

 

 

 

 まぁ、それでも俺にとって有益なのは間違いない。上質、大量の力の触れ続ける事でそれに適応し、エネルギーを溜め込み、練り上げ、自分に返し、月とノヴァに還す。

 …オカルト版真言立川流の、ちょっとどころではない応用だ。

 

 …別に月を犯しているのではない。………でも月って何かと女神扱いされるよな…。

 やべ、ここんとこずっと禁欲状態だったから、滾ってきたじゃないか。

 

 瞑想に集中しすぎて、ふと気がつけば体に蔦が巻きついてるレベルだったからなぁ…。本格的に時間経過が分からなくなってきた。

 うーん、一度ムラっと来たらムラムラムラっと燃え上がってきたじゃないか。だが一人で処理するのも何だし。

 

 

 

 …瞑想してれば、これも治まるかな。究極生物はSEXしないって言うし…いやダメだ、仮に瞑想だけでその領域までいけるとしても、俺は御免だ。人生の潤いが無くなってしまう。

 

 

 

 ぐぬぅ…生殖器だって、一ヶ月も使わなきゃ衰えるんだよな。それだけじゃなく、ここは平和すぎるから、狩りの勘だって鈍ってしまいそうだ。

 体を動かしてはいるけど、飢えや敵意を感じないこともあり、どうにも緊張感が無い。

 

 

 

 …何かいい暇潰しでもないものか。

 

 

 あー、アリサやレアとかどうしてっかなぁ…。アリサが居るから、俺が居なくなってもレアはラケル博士の所に戻ったりしないと思うが。

 支部長だって気になるな。あの人がそうそう隠居するとは思えないから、またトップに立って何かやろうとするか…いや、案外裏方に回るかもしれないな。

 シオは何をしているだろうか。ソーマにナニをされているだろうか。既成事実、逆レ乙。

 コウタはまた死亡フラグを立ててはヘシ折っているだろうか。カノンは誤射姫から暗殺姫になっただろうか。

 リンドウさんはサクヤさんにとっ掴まっただろうか。

 榊博士は、極東支部を巨大ロボッゲフンゲフン

 リッカさんは俺が残した神機のデータを使ってキメラゴフンゴフン

 

 

 ああ、ムラムラするだけじゃなくて、思い出したら色々と気になってきたじゃないか。

 考えてみりゃ、終末捕食を防いで当分起きなくした上、誰も死んでない最高に近いエンドだというのに、俺がそこに居ないんじゃな…。いやアリサやレアが泣いていると思うと、ハッピーエンドとは言えないが。

 

 勿論、心残りはまだまだある。

 まず何より気になるのがロミオのその後。血の力には目覚めたのか、そして一人遊びを脱却できたのか。

 GE2のストーリーはどうなるか。極東から広まり始めた植物は何処まで伸びるか。そういや美味しくなったアラガミとか、芽を生やしているアラガミも居たな。

 

 クソイヅチを叩き切る為の準備だってしたかったし、神機の力をもっと引き出す方法だって研究したい。

 

 

 

 あー、やる事が無い…というより出来る事が無いのが、こんなに辛いとは。

 

 

 

 

神住月最近、感想返しを忘れそうになる事が多い日

 

 

 瞑想の途中で寝てしまった。うーん、なんかおかしいな…確かに瞑想してても、限界に来れば寝る事もあるし、夢も見るけど、なんかそういうカンジじゃなかったような。

 まぁ、思い出せない夢だし、いいか。

 

 とりあえず、この場所のエネルギーを使って、俺の体を作りかえるだけ作り変えてみようと思う。アラガミ化するって意味じゃなく、こう…なんだ、細胞の一つ一つから強靭にするというか。霊的にも物理的にも練り上げるというか。

 ま、下手な事すると即死だけどな。いくら頑丈だからって、肺や心臓をいきなり金属製に変えた日にゃ、血も酸素も回らなくなってオダブツするのがオチだ。

 

 

 最終的な目標は、月から地球に向かってフライハイ…あ、宇宙だから高いとか低いとか無いわ…とにかく月と地球を移動する事ができる手段を作る事。分かりやすく言えば、羽か、ブースターか…。更に大気圏を突破する為の装甲やらナニやら。

 そういうのを作って、月から帰還する。

 エネルギー量は膨大だし、上手く使えば月面から地球に砲弾みたくすっ飛んでいく事はできると思う。軌道計算を間違うと、カーズ様みたく考えるのを止めるハメになってしまいそうだが。

 やれやれ、どれくらいかかるやら。

 

 

 まぁ、久々に霊力の基礎修行を行うのが楽しいって思えたし、そんなに苦ではないけどな。

 地力ってのは一定以上には中々上がらなくなっているものだが、ここでの瞑想のお蔭で霊力量が増える増える。更に、ブッパしても誰にも迷惑かけないから、遠慮なく力を振るう練習ができる。

 月に居る内に、ちゃんと力の手綱を取れるようにならんと。…いつまで居る事になるのかは、誰にも分からないが。

 

 

 まぁいいや。

 良くも悪くも、ここは刺激がとにかく少ない。嫌が応にも瞑想状態に入らざるを得ないんだし、もういっそネテロ会長のような植物の領域でも目指してみるか。手フェチの殺人鬼はアカンな。だってここにある手って自分のだけだし。

 

 

 

 

神住月むしろ投稿予約日を忘れる事が多い日

 

 

 かゆ   うま

 

 

 

 

神住月新しい感想を頂いているのを見てから、「今日投稿だったんだ」と思い出す日

 

 

 かゆうまは流石に冗談。体の変換にしくじったら、本当になりかねんけど。

 そうなったら、月にはウサギじゃなくてゾンビが住んでいるんだよって事になるね! 桜の下の死体と違って、美しさも幻想もありゃせんな。

 

 それはともかく、また瞑想する毎に夢をみるようになってきた。明らかに普通の夢じゃねーよな。

 昨日の夢は、どっかの廃墟をウロウロしていた。視点の高さと歩く時の上下するリズムからして、四足歩行だな。一度月を見上げて咆哮したが…聞いた事の無い声だな。

 流石に廃墟の映像だけだと、何処なのかはわからんけど……。

 

 この夢が何らかの意味を持った夢だとすると。

 

 月に居る俺が、地球の事を察知して見た夢で。動いているのは明らかに四足歩行アラガミ。しかも、俺が知らない鳴き声…つまり新種のアラガミか。

 

 

 ロクでもない事になる未来しか見えんなぁ…。アリサ達、大丈夫だろうか…。

 

 

 

 

 

 

神住月台場カノン視点日

 

 

 どうもみなさま、こんにちは!

 台場カノンと申します。

 

 早いもので、あの大事件からもう一ヶ月以上が過ぎました。

 色々と…そう、色々とありました。アーク計画に反対した皆さんと賛同した皆さんの間で一触即発状態になったり、終末捕食の危機が無くなりはしたけどもその後の蟠りが残っていたり。私も何度か小競り合いに巻き込まれて……ふと気がつけば、周囲の皆さんが全て倒れ伏していました。あれから、険悪な雰囲気になっても私が近付くとすぐに解散してしまうのですが…何なんでしょう?

 そういうのを片っ端から火消しして回ったのは、誰であろうシックザール支部長でした。「死に損ねた者の、せめてもの尻拭い」と言っていましたが…。

 

 正直、私も支部長に対して含むモノがあるのは否定できません。シオちゃんを生贄にしようとしたり、世界を滅ぼす終末捕食を起こそうとしたり。

 だけども、それを全て否定する事もできません。後から詳しい話を聞いたのですが、終末捕食が起こる事は、いわば自然の成り行きのようなもので、防ぐ事はできないと考えられていたそうなのです。シックザール支部長の計画は、世界を滅ぼす為ではなく、滅びが避けられないのなら少しでもマシな結果を得ようとした計画でした。それでも、やっぱり賛同はできませんけども…。

 

 

 アーク計画は失敗に終わりましたが、全てが阻止された訳ではありません。

 終末捕食は確かに起きて…ですが、あの人が…教官先生が、月まで終末捕食を持っていってしまいました。

 結果的には、アラガミの居ない世界こそ実現できなかったものの、世界を滅ぼす一番の脅威は取り除く事が出来た……らしいです。

 

 これについて、シックザール支部長は何だか難しい取引とか立ち回りをして、責任をとって辞任…という自体を回避してしまったようです。

 私達も、このまま続けさせていいのか? 何かしらケジメは必要なんじゃないか? という意見は出たものの、じゃあ誰が次に支部長をやるんだ、って話になると…。

 私は他所の事を知らないので分かりませんが、極東支部は他所の地区からは地獄のように恐れられているそうです。例え出世できるとしても、そんな所の支部長になんて誰がなるか…と言うのが一般論だそうです。

 

 人材を引っ張ってこれないのであれば、今居る人に任せるしかないのですが…支部長役が務まりそうな人と言えば、榊博士くらいなんです。

 榊博士か、シックザール支部長か。…アーク計画に賛同するか否か以上の、究極の選択でした。結局、「榊博士をトップにすると、権力をカサに来てとんでもない実験に協力させられそうだから、シックザール支部長の方がマシ」という結論に至りました。

 「榊博士よりマシ」と評されたシックザール支部長は、ちょっと傷ついたような顔をしていましたが。

 

 

 

 とりあえず、極東支部は今日も平和です。アラガミの断末魔とゴッドイーターの悲鳴も響いていますが。

 あの日から眠り続けていたシオちゃんも、一週間程度で目出度く目を覚まし、今では極東支部のマスコットキャラと化しつつあります。実はアラガミ? 誰も信じていません。信じたとしても、シオちゃんの魅力に当てられて「こんなカワイイ子がアラガミの筈が無い」と現実から目を逸らします。

 とは言え、終末捕食を起こす特異点である事は否定できず…その辺りの事を、榊博士に聞いてみた事があります。

 

 答えは「大丈夫」でした。特異点はあくまで切っ掛けであり、本来の終末捕食は、アラガミが互いを食らいあって成長し、あの時に見たノヴァのような大きさに成長し、そこに特異点が接触してようやく起きる現象なのだそうです。

 アラガミはまだまだお互いを食べ続けている段階で、終末捕食を起こすに足るアラガミは生まれていない。

 …あの、それってアーク計画を起こさなければ、終末捕食は……いえ、そうですね。いつ起こるかわからないのに加え、いつか必ず起こる事。であれば、こちらでそのタイミングを決めてしまったほうがマシ、という事だったんですね。

 

 

 そうそう、終末捕食について…というより、それを起こした教官先生の事なんですが。あの人が何を考えて終末捕食を起こしたのか…起こしたと言いますか、起きたけど被害を防いだと言いますか。

 とりあえず、アリサさんとレア博士は、あの事件の直後は自殺するんじゃないかと思うくらいに落ち込んでいました。

 無理もないですよね。どうにも、3人はフクザツな関係だったようですし。

 …やっぱりアレでしょうか、『大人』な関係なんでしょうか。それとも昼ドラ的な関係なんでしょうか。ドロドロしたのって、あんまり好きじゃありません。お菓子も美味しく食べられなくなりますから。

 

 とにかく、暫く落ち込んでいたお二人(自殺阻止の為監視付き)ですが、教官先生が残したメールの下書きを読んで、ちょっと元気を取り戻したようです。

 詳しい事までは教えてくれませんでしたが、榊博士とお二人の話を偶然聞いてしまったところ…。

 

 

 

 

 やはり、教官先生は終末捕食を起こす事を目論んでいたようです。最初に榊博士やシックザール支部長と接触したのも、特異点モドキを名乗り、終末捕食を起こす事ができる存在として…だとか。

 実際、それは目の前で実行しましたから、信じるしかないんですけど。何を考えていたのか、世界を滅ぼそうとしていたのか、何がどうなってノヴァごと月まで出発するなんて超展開になったのか、その辺は全く知りませんでした。

 

 榊博士曰く、教官先生は独自の方法で終末捕食を…回避しようとしていたんだろう、という事でした。

 シックザール支部長は終末捕食を利用し、多くの犠牲という対価を払って、アラガミの居ない世界を作ろうとしていました。

 榊博士は、シオちゃんのように特異点を人間として育て、終末捕食をコントロールさせて防ぎ、行く行くはアラガミとの共存を目指していたそうです。

 

 そして教官先生は、終末捕食を起こしながらも、自分で制御し、犠牲を最小限で抑え、当分終末捕食が起こらないようにするつもりでした。

 

 

 残されたメッセージにもあったそうですが、教官先生の方法が上手くいけば、終末捕食が発生しつつも世界は滅びず、更に死人も出ずに済みます。ただしアラガミは居なくならない、という結果になるそうです。

 事実、そうなりましたね。…教官先生自身の生死は不明ですが。

 三者三様の方法で、どれが正解なのかは分かりませんが、結果的には教官先生の一人勝ち…なんでしょうか?

 

 

 アリサさんもレア博士も、それを知ってから幾らか立ち直られたようです。

 好きな人が世界を滅ぼそうとしたんじゃなくて、救おうとしていた…と思った方が、まだ気持ちは楽でしょう。…一番肝心の、その好きな人についてですが…榊博士は、教官先生はただ死んだという訳ではないと考えています。

 少なくとも、ノヴァが月に到着するまでは、教官先生が制御していたと考えているようです。

 

 それはつまり、教官先生は宇宙に出てもまだ生きていたという事で…。空気圧も酸素もなし、-270℃の世界の世界でどうやって生きていけるのか、という疑問もありますが、その辺はノヴァがどうにかしたんだろう、と言うのが榊博士の見解です。

 そして、月に不時着した後は、仮死状態かコールドスリープ状態か…とにかく死んではいませんが、活動もしてない状態だと考えているようです。

 極端な話、それこそスペースシャトルで月まで行けば、教官先生を回収する事もできそうです。

 

 それを聞いて、アリサさんとレア博士は、いつか迎えにいくんだ…と息巻いているようなのですが、使えるスペースシャトルはアーク計画の為に全部使っちゃってるんですよね…。シャトル自体は無事に戻ってきていますけど、打ち上げに使う機械をまた1から組み上げなければいけません。

 どれだけ時間がかかるか…。でもそんなの関係ない、とばかりに気合を入れていました。

 私も出来る限りはお手伝いするつもりです。教官先生には、私もお世話になりましたし…。

 

 ……正直、ちょっとだけ羨ましいです。あんな風に誰かを好きになって、迷わず突き進める事が。

 ただ、フタマタ公認するのはあんまり羨ましくないです…。お付き合いするなら、誠実な人がいいです。どうして教官先生、そんなにモテるんでしょうか…。

 

 

 

 そこは蓼食う虫も好き好きという事にしておいて、ちょっと気になる事があります。

 と言うのも、最近妙なアラガミの噂を聞くんです。新種のアラガミが産まれるのは、極東に限っては然程珍しい事ではないのですけど…ああ、その後絶滅せずに生き残るのは珍しいそうですね。

 

 それはさておき、そのアラガミは何と言いますか…旧世界にあった、特撮ヒーローのような姿をしているそうです。人型のアラガミなら、シユウの類かと思いましたが、明らかに違います。

 目撃した人の証言によると、両腕にブレードらしきモノがついており、2本の角、何だかトゲトゲした体格。

 色は…目撃者によって違いますね。朝方だったり夕方だったり真夜中だったりするそうなので、日や暗闇の影響かもしれません。

 

 そのアラガミは、何も無い所にボーッと突っ立っていたそうです。日向ぼっこでもしていたんでしょうか? それとも、お腹が空いて動けないんでしょうか。

 また、その後何をするでもなく、ゴッドイーターや、或いは他のアラガミが近付くと、煙のように消えてしまったとか。

 真偽の程はともかくとして、私、そのアラガミにちょっと覚えがあります。一瞬だけですけど。

 

 そう、あの終末捕食の日、教官先生が一瞬だけ姿を変えた、アレにそっくりなんです。

 これはシックザール支部長も榊博士も最優先で確認したそうです。最初に教官先生が、お二人に送ってきた映像があるそうなのですが、その静止画像を例のアラガミの目撃者に見せ、裏付けを取ったとか。

 

 

 これってどういう事なんでしょう?

 

 教官先生は、確かに月に行ってしまった筈です。あの人の事ですから、大気圏くらいから自由落下して脱出するくらいの事はやっても違和感はありませんが、それならアリサさんやレア博士に連絡を入れると思うんですが。

 仮にそうだったとしても、謎のアラガミ出現の原因とは思えません。

 

 …ま、まさか教官先生のオバケだったり…? そういえばレア博士が以前居た場所では、不思議な力を使ってなにやら研究をしていたというお話ですし、所謂霊能力があってもおかしくないかも…。

 はっ、ひょっとして、戦いになると私の記憶が度々飛ぶも、悪霊的な何かに取り憑かれているからなんでしょうか!?

 

 

 …いえ、それは無いですね。記憶が飛んだ後は、大抵なんだかすっきりしてますし。悪霊に憑かれているのに気分がよくなる筈ありません。

 

 

 

 じゃ、どういう事でしょうか?

 

 なんだか分からない事に、シオちゃんはそのアラガミ…幻影?…について、何やら理解している節があるそうなのですが、それを言葉に出来ていません。

 「ここには居ないぞ、あそこに居るぞー。でも寝てるぞ」だそうです。ソーマさんも首を傾げています。

 …ソーマさんがそんな事でどうするんですか、シオちゃん係りなんだからちゃんと理解してあげてください。

 

 シオちゃん係り? その名の通り、シオちゃんのおはようからオヤスミまでを見守って、将来は一緒のお墓に入る係りの事ですが。

 

 

 

 …からかい半分で言ったんですが、殴られませんでした。これは本格的にくっつく予感! 年齢差がヤバい領域だけど、ドロドロした愛憎劇も無い、ステキな異種間恋愛……! やだ…お菓子が進んじゃう…!

 

 

 

 まー真面目な話、シオちゃんの言葉を一番理解できるのはソーマさんでは? 榊博士とかだと、理解しても私達に理解できるよう説明してくれるか怪しいですし。

 それに、榊博士に先に解読されちゃったら悔しくありません?

 

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