※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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ヒャア! スパロボだー!
明後日から実家に戻りますんで、暫くレス返しできないかもしれません。

どうでもいい事ですが、投稿感覚を1日間違えた。まぁいいか。

追記
前回の活動報告に、レス返し? いや酔った勢いで何か返してたんですが…どうすんだコレ…。


第168話

神住月レア視点日

 

 

 どうも、レア・クラウディスよ。

 この2ヶ月くらいの間で、色々な意味で立場が激変しているけど、まぁ悪くはないわね。…今も、最悪ではないという意味では。

 

 あの人が終末捕食を目論んでいる、なんて言われた時には信じ難かったけど…。でも考えてみれば、シックザール支部長からの調査依頼からして、「本当に彼の力で終末捕食は起きるのか」だったものね。…今思うと、気付かなかった私ってホントにおバカさん…。

 こう言うとアリサは慰めてくれるけどね。終末捕食なんて、一般的には机上の空論、文字通り終末思想の戯言としか思われてないし、増してそれが出来るからって、普通は本当に世界を滅ぼそうなんて考えない…と。

 まぁ、その世界を滅ぼそうとする、と言うのは間違いだったんだけども。

 

 むしろあの人は、世界を残す為に終末捕食を起こそうとしていた。それを話してくれなかった事にも、榊博士からの情報を鵜呑みにしてしまった自分にも、色々と思うところはあるけれど…。

 最悪の事態…あの人の手によって世界が滅びた訳でもなく、あの人自身が死んでいるとも限らず、良くも無いけど最悪とまでは言わないくらいの現状ね。

 とりあえず、あの人はどうやら月に居るようだし、いつか二人で殴りに行こう、とアリサと誓っているわ。

 

 

 …ラケルの事も気になるけれど…私はもう戻る気は無いわ。あの人からも、アリサからももう離れられないもの。

 確証が無いとはいえ、あの子は私を………いえ、やめましょう。どの道、あの子に縛られる生き方には、耐えられない。

 

 

 さて、私の事は置いておいて。

 最近、極東で噂される幻のアラガミについてなんだけど…終末捕食に立ち会ったメンバー全員に、現在わかっている限りの情報が渡されているわ。

 とは言え、姿形と、触れる事さえできないという現状だけなんだけども。

 

 もしもこのアラガミがあの人と何らかの関係があるなら、絶対に知りたい。

 

 

 

 

 …そうでなくても、私・榊博士・シックザール支部長の3者間で、「絶対にロクでもない事の前触れ。対策必須」という認識が共通しているんだけどね。

 

 

 

 だって、モドキとは言え特異点ソックリのアラガミよ? しかも目撃された場所は、基本的にエイジス島の近く。更に言うなら、そのアラガミが目撃された近くには…これはまだ確定情報じゃないけども、新種のアラガミが居た形跡がある、と。

 絶対何かあるわ。これで何事も起こらなかったら、映画の観客ならスクリーンにコーラを投げつけ椅子を壊し、小説であれば即打ち切り、漫画だったら……ソードマスターヤマト並みの上手いまとめをしないと、漫画家生命絶たれるわね。

 尤も、現実で本当に何も無かったら、拍手喝采モノだけど。散々心配して走り回って、出てきたのはネズミ一匹。後で笑い話にでもすればいいわ。

 

 特異点モドキとしての性質を無くして、単純に姿と能力をある程度劣化させて再現したものだとしても、二人から口を揃えて「どう考えても超危険なアラガミだ」と断言されたわ。

 あの姿での戦闘能力を検証した事があったり、普通に考えたら「食われてこい」って言ってるのに等しい特務に送り出したりしたのに、鼻歌交じりでお土産(他のアラガミのコア)まで持って帰ってきた事が何度もあったとか。

 …実験はともかく、特務については問いただしたい所だけど……出来る人材にミッションを振るのも、支部長の仕事ではあるのよね…。

 

 ともかく、能力が1割程度だったとしても、下手なゴッドイーターに接触したら速攻で十字を切る羽目になるわね。ひょっとしたら、ゴッドイーターに噛み付く事でリンクバーストするかもしれない…。

 

 

 リンクバーストするアラガミ…自分で考えておいてなんだけど、ゾッとしないわ。Lv3になられると特に。

 

 さて、まずは何はともあれ実物を見たい所ね。

 次に何処に現れるか? …次に…かどうかはともかくとして、一番怪しいのはエイジス跡地。何だかんだであそこは荒れ果てたままになっていて、片付けの手も付けられていない。

 最後にあの人が居た場所だし…科学的な考え方ではないけど、「縁が強い」とでも言うのかしら。

 

 でもあそこ、今は物凄い数のアラガミが集まっていて、調査どころか片付けも難しい状況なのよね。

 リンドウさん曰く、「あそこの深部まで行って戻ってくるとか、下手な特務より難しい」だそうよ。…ちなみに今までリンドウさんに任せていた特務の一部が公開された時、支部長は窓の外に目を向けて無言だったわ。

 元々、特異点だったシオちゃんを誘き寄せる為の仕掛けがあったそうなのだけど、多分それが普通のアラガミにも作用するようになっちゃったのね。

 

 

 さて、そうなると本格的にどうしたものかしら。

 一応、調査にいける人材が居ないでもないのよね。極東随一のゴッドイーターのリンドウさんでも厳しくても、あの二人なら…アリサとカノンさんなら、充分成功の目はある。

 どういう訳だかあの二人、夜間戦闘が異様に強いのよね、特にカノンさんが。

 でも、やっぱり危険な作業だし、娘を黙ってそれに送り出すのは気が引ける。

 

 シオちゃんなら、同じアラガミって事で安全に調査できるのでは? という意見もあったけど、アラガミ同士の食らい合いなんて珍しくもないし、そもそもあの子に調査なんで出来るかどうか。何か分かった事があったとしても、それを私達が読み取れないんじゃ意味が無い。

 

 

 

 結局、ちょっとずつ調査を進めるか、問題のアラガミに偶然遭遇する事を期待するしかない、か…。

 手遅れにならなければいいんだけど。

 

 

 

 

神住月アリサ視点日

 

 

 どうも、アリサです。最近、義母ことレア博士の苗字を自己紹介の中に組み込むべきか悩んでいます。

 

 早いもので、地球の運命を賭けたあの戦い…実際には戦いにまで発展しませんでしたが…からもう一ヶ月以上が経ちました。

 あの直後は色々とショックを受けていましたが、あの人の真意を知る事が出来た事もあり、また再会の可能性があると信じられた事で、何とか立ち直れました。

 

 他にも色々と問題はありましたが、まぁ…悪化しているモノは少ないと言っていいでしょう。

 ソーマと支部長のフクザツな親子関係も、時折ではありますが話し合いの機会を設けているようです。シオの今後について、榊博士や支部長に助言を求めている姿も何度か見ました。

 極東のアラガミは相変わらず地獄のようですが、それはぶっちゃけいつもの事です。アラガミ強くなるのと同時に、幾つもの新技術…その幾つかは、あの人が齎したモノらしいです…も開発され、対抗策が打ち出されています。

 

 名目上、ゴッドイーターとして扱われているシオちゃんは、日に日に賢くなっている…ようなのですが、性格上、頭を使うのはあまり好きではないようです。毎日好奇心が赴くままに極東支部を歩き回っています。…アラガミだと気付かれないか冷や冷やしていますが、どういう訳だか今のところ大丈夫ですね。

 最近では幾つも歌を覚え、その辺で歌っている所を何度も目撃されています。もう完全にマスコットキャラですね。

 音楽を流していると、それに興味を覚えるのか、近寄ってきてじっと耳を済ませています。…この習性が誘拐等に利用されなければいいのですが、その辺の警備はソーマに期待しましょう。

 ちなみに、聞いていた歌は2,3回で全て覚えてしまい、次の日くらいからその歌を歌い始めます。

 かく言う私も、最近ハマっている葦原ユノの歌を聞かせて歌わせてみようと画策していますが…まぁそれは置いといて。

 

 

 

 最近噂になっている謎のアラガミの事です。

 あの人が変身した姿にソックリでした。あの時の事は、今でも目に焼きついています。話には聞いていましたが、本当にアラガミに変わるなんて…。

 べ、別にそれで愛情が無くなる訳じゃありませんよ? ただ、子供が出来たときに大丈夫かな、とは想いますが。

 

 正直、私とっても気になります。

 エイジス島の事も合わせて調べに行きたいのですが、ママ…もといレア博士が危険だと難色を示しています。危険なのは分かるんですが、私とカノンさんなら最低限の戦闘だけで帰ってこれると思うんですけどね…。

 それでも心配、というのも分からないつもりではありませんが。

 

 

 何処かで運よく遭遇できないでしょうか…。と思っていたら、任務に出ていたコウタがまさかの遭遇。

 くっ、ママに…せめて一時期指示していたカノンさんに遭遇するならまだ分かりますが、何故にコウタ…。接点殆ど無いじゃないですか。妹のノゾミちゃんならともかく。

 何れにせよ、情報を得る前に、ある程度近寄ったらフッと消えてしまったそうです。

 遭遇した意味が無いじゃないですか…。

 

 

 そう思っていたのですが、榊博士は何やらピンと来たようでした。

 そして出された指示は、何故か居住区や防壁外にある、菜園の見回り。何故?

 いえ、確かに菜園は元はあの人が始めたモノだそうですが。

 

 

 結論から言えば、この指示は大正解だったようです。

 居住区には流石に現れなかったようですが、それらしいアラガミの目撃情報が幾つか手に入りました。

 曰く、居住区外に植えている菜園の近くに頻繁に現れ、自分以外のアラガミが菜園に近付こうとすると撃退して消えていくとか。

 

 少なくとも、単なる幻ではありませんね。他に気になる事としては、複数同時に出現した事はあるか、また人間が近付いたらどうなるかなのですが…。

 とりあえずは接触を持たなければ、どうしようもありません。

 

 接触には細心の注意が必要です。最悪、あの人と同等の戦力が敵に回ると思わないと…。そんな相手なのに、調査の為に奇襲も先制攻撃も禁止とか、率直に言えばやってられませんね。

 

 

 接触するとしたら私が一番の候補には違いありません。何度も観応現象で夢に入られた身ですし、直接触れたらあの人の何かが感応現象で分かるかもしれませんし。

 そうでなくても、他人任せ…特に女性にはさせたくありません。また妙な理屈で暴走して、夢の中の私にしたような事をしでかしたら、堪ったものじゃありません。夢の中だと薄々気付いていた私と違いますし、何より普通に考えればアラガミに犯されるようなものです。一生モノのトラウマですよ。

 

 

 

 

 

 

 

 さて、そんな訳でアラガミ防壁周辺を見回り中に、上手く問題のアラガミと遭遇できた訳ですが…。残念ながら接触はできませんでした。

 とある曲がり角を曲がったら、その正面にボーッと突っ立っていまして。隠れるヒマも、気配を察知する事もできませんでした。

 

 近付く事もできず、スーッと薄くなって消えていきました。

 ですがやはり幻でもないようで、謎のアラガミが立っていた場所を見てみると、僅かにですが足跡があります。

 

 

 それと…これは気のせいだったのでしょうか? ほんの少しですが、私を見た時に驚いたような雰囲気が…あったような無かったような…。

 顔が完全に人間じゃなくなってますから、表情が分からないんですよ。

 ただ、これが私の勘違いではないとしたら、近くまで寄った人間に危害を加えず姿を消し、そして私という個体を見て何かしらのリアクションをした…。

 

 

 私を認識した? 記憶があるのでしょうか?

 

 という事はやはりあの人本人? でも何故地球に? そして何故現れては消えるのか。

 

 

 うーん…やっぱりヒーローの考えは分かりません。癪ですけど、ママ…もといレア博士に考察を任せるしかないんでしょうか。

 

 

 

 

 

神住月実家に戻る前に部屋を片付けないと日

 

 

 ヨハネス・シックザールだ。私の立場については、大まかな所は知っていると思うので、細かい記述は省かせてもらう。

 自分で言うのもなんだが、私も大概厚かましい男らしい。

 世界を壊滅させようとして失敗しておきながら、未だにのうのうと極東支部の支部長として座している。

 極東支部内部では、ペイラーよりマシという意見統一が行われ(遺憾な事である)、外部からは…少々影響力を削られたものの、さしたる問題はない。

 

 アーク計画そのものこそ失敗に終わったものの、終末捕食という何より危険な要素を封じ込める事には成功した…という筋書きになっている。

 ここに至るまで色々な遣り取りがあったものだが、健全な生活を送ろうと思うのならば知らない方がいい事だ。知れば必死に生きるのがバカらしくなるぞ…全く…。自分でやっておきながら、酷い話もあったものだ…。

 

 いつぞや彼が言っていたように、我々のような人種は死すべきところで死ねないらしい。その為…という訳でもなかったが、アーク計画後の保身も考えておいたのが良かったのか悪かったのか。この悪夢のような現実で、私はまだ足掻かねばならないらしい。

 

 

 

 

 それはさておき、どうやら彼も死ぬべきところで死ねない人種らしい。

 誰が言ったのだったか、「死んだ後も人生は続く」という言葉が、至言だな。ただし皮肉の。

 

 彼の姿を模しているのか、或いは彼に関わりのある何かなのか、さもなくば本人か。

 彼そっくりのアラガミが出没したという情報が幾つも上がってきている。彼の性質を考えるに、明らかに天変地異に近い…それこそ、第二次終末捕食を危惧する必要さえある。

 

 別に彼に含むモノがあるのではない。今以て、私は彼を信頼も信用もしていないが、彼は小難しい事や陰謀を企てるのに、致命的に向いてない人種である事は確信している。

 予想外の事を幾つもしでかすが、本人はよかれと思ってやっている。そしてその後の影響を考慮していない、或いは過小評価する。

 …率直に言うが、一番危険な人種だ。地獄への道は善意で舗装されていると言うが、舗装どころか開拓するのは間違いなく彼のような人種である。

 

 

 それに当て嵌めて考えると…終末捕食を防いだのはいい。私の計画とは大幅に違い、そして実にあっけなく盛り上がりを台無しにして阻止してくれたが、確かに終末捕食が起きる時期は大幅に遠くなっただろう。

 だが、その対価が彼の身だけで済む筈がない。

 確実に、何かしらとんでもない騒動の種が、彼の足跡の何処かに芽吹いている。

 

 内心で戦々恐々していた所に、今回の報告だ。必ず何かがある。

 

 

 

 さて、アリサ君から今までよりも幾らか具体的な…客観的とは言いづらい情報だったが…報告があがり、私とペイラーは執務室で話しこんでいる。

 …思えば、こうしてペイラーと同じテーマについて議論するも久しぶりだ。結局、今まで私は一度もペイラーに勝てていないのだな。

 

 

「アリサ君の顔を見て驚いた、ねぇ…。ペイラー、君、アラガミの表情って分かるかい?」

 

「感情がある事はほぼ確定している。だが、少なくとも彼の表情を読み取るのは私には不可能だ。

 ペイラーこそどうなのだ。何度も研究の為、彼を変身させたり話し合ったりしていただろう」

 

「正直、私には無理だね。彼、意外と表情を見せてくれないんだよ」

 

 

 …ペイラーが警戒されているだけではないか? …私もか。

 

 

「だが、真に重要なのはそこではない。彼は月へと、ノヴァと共に旅立った。その彼が、もしこの地に何かしらの影響を及ぼすことが出来るのであれば…」

 

「ノヴァ絡みの可能性が非情に高い、と言いたい訳だ。それについては、私も異論は無いね。レア博士から聞いたんだけど、彼が使っていた血の力は…所謂、呪術? かつて信仰されていたオカルト的な手管に通じるものが多いらしい。誰かを呪う為、相手の髪や爪と言った体の一部を通して力を送る、というのは古今東西珍しい手法ではないよ」

 

「その真偽はともかく、そのような性質があるのであれば…彼自身が月に居ながらにして、地球に姿を現す事が出来るかもしれん。…ノヴァを通じて」

 

 

 確かに、ノヴァは彼が月まで連れて行った。だが、その全てがこの地から去った訳ではない。

 微細な破片が残っている可能性は、非情に高い。未だにエイジスに、アラガミが引き寄せられるのがその証拠だ。

 

 どんな事でもそうだが、準備は長く、行うのは一瞬、そして後腐れは準備以上に長引くものだ。

 後腐れ…つまりノヴァの欠片が、何らかの切っ掛けで活動を再開したら?

 恐らく、ノヴァは再び完全体になろうとするだろう。ただし、今度は私の手でコントロールされる事も保護される事もなく、野生のアラガミのように自らの牙で獲物を求めながら。

 

 今度はどんな形に進化するか、想像もつかん。また、特異点、特異点モドキが切っ掛けにならなければ、終末捕食は起きないと思うが・・・その特異点モドキが何をするやら。

 ペイラーが言うように、ノヴァとその残滓を通して何かしらの力を送ってきているとして、それを意識してやっているのかさえ怪しい。目撃情報では、大抵は何もせずに突っ立っているか、近付いたアラガミを排除するだけだからな。

 …実は寝惚けている、と言われても違和感は無いぞ。

 アリサ君の感応現象と同じような感覚で、ノヴァを通しているという自覚も、地球に姿が現れているという自覚も無しの可能性すらある。

 

 そのまま、夢現のまま立ち止まっているだけならいい。だが、もしも彼の思念の何かが、充分に成長したノヴァの残滓の本能に触れてしまったら…。

 

 

 

「…まずは接触が必須か。それに加えて、彼の近くにノヴァの残滓が活動していないかが最大の問題となる」

 

「接触に関しては問題なさそうだよ。彼がやっていた菜園の近くに頻繁に現れるそうだ。しかし、そうなると何故そこに、という事になるが…」

 

「ノヴァの欠片が、菜園付近にあるとも…いや、少々ファジーな理論だが、共通点はあるぞ。極東付近のアラガミの味が変わっている、という話が出てからも、アラガミを食わせ続けたからな。それを通じて、ノヴァの中に彼が育てた菜園の植物が紛れ込んでいる……と、言えなくも無い」

 

「ヨハネス、君、言い出してから無理があるなって思ったろ」

 

「ファジーな理屈とは言っておいたが、言語化すると更に酷いな…」

 

 

 理屈は後回しでいい。と言うより、彼にどこまで理屈や物理法則が通用するのか怪しいものだ。

 血の力を初めとした非科学的な力を筆頭に、生物学を超越した変身、後先考えてはいるが無茶苦茶な理屈を元にするから意味が無い思考回路。

 更に、これは今となっては確かめる方法は無いが、ターミナルを通じて移動しているような形跡がある。これに気付いたのは、アーク計画失敗後、とあるカメラの映像を偶然目にした為だ。どうやって帰ってきたのか疑問に思ってはいたが、ターミナルの画面から湧き出るように現れたのには本当に驚いた。

 フライアからも何度か前触れも無く戻ってきていたらしいのは、この能力を使ってのことだろう。

 

 つくづく、生態の分からない生き物だ。

 

 

 

 

神住月茶葉を使って掃除中日

 

 

 あー、雨宮リンドウだ。

 俺が危惧していた支部長の計画、アーク計画も超展開によって終結し、極東チームは月に行ったあいつを除いて全員無事。終末捕食の危機とやらは去ったが、アラガミが居なくなった訳でもなく、まぁ世は全て事も無しってところかね。

 正直、支部長との間に確執が無いとは言わないが、何だかんだで上手く回ってはいるな。

 アーク計画が終わった今、支部長もまた同じような事を突然目論むような事もないだろう…また何年かすれば、話は別かもしれんが。

 

 最近目撃されている例のアラガミ…あれが本当にアイツに関係があるんだとすれば、ま、どんな形であれ、穏便に済ませたいもんだ。何度か助けられた借りもあるし、何より戦うとなると相当キツそうだ。

 …それに、もっと気になる事もあるしな。どうもアイツの幻影(?)が確認された場所の近くに、これまた知らないアラガミの痕跡が残っている事が何度かあった。

 新種のアラガミなんざ珍しくもないが、これが同じ個体の痕跡だとした場合…エイジス島から始まって、極東付近まで誰にも知られずに移動していたり、短時間で猛烈な勢いで大きくなっている事になる。

 今はまだ中型程度の大きさだろうが、このまま大きくなれば遠からずヴァジュラ級、下手をするとウロヴォロス並みの大きさになる事も考えられる。

 

 早めに見つけ出しておきたいもんだ。

 

 …こんな事を考えていると、最近サクヤに抓られる事が多い。わかってるって、そうそう危ない橋は渡らねーよ。

 それに、今回の件は以前と違って、秘密に調べる意味も無いからな。野良のアラガミを探って誰かに粛清されるような事はないだろうさ。

 

 姉上殿に至っては、そう言ってるを信じているのかいないのか、新入り…フェデリコとアネット…の面倒を見るようにと押し付けてきやがった。

 足手纏いを抱えて無茶はしないだろう、って魂胆なんだろうが……まぁ、心配されていると思っておくかね。

 それに、得体の知れないアラガミがウロついてるかもしれないんだ。万一遭遇してしまった時、二人を庇いながら上手く逃げられそうなのは俺くらいだろう。

 

 

 

 

 

 

 なんて考えていたら、本当に遭遇してしまった。四足歩行の方じゃなくて、アイツの幻影の方だけどな。

 チームメンバーは、俺、フェデリコ、アネット、そして暇潰しもといヘルプで入ってくれたアリサ。

 

 幸い、発見したのはあいつの後方かつ風下から、更には太陽の位置もいい。音とか立てなければ、いくらアイツが相手でもそうそう気付かれる状態じゃない。

 アラガミ討伐作戦の予定だったが、急遽変更。

 

 包囲…すると逆に気付かれかねないんで、俺達は隠れたまま、アリサがこっそりと近付く事になった。

 どういう訳だかアリサの隠密は異常なレベルに達している。本人は「睡眠学習で基礎を叩き込まれて、一晩で総仕上げされた」と語るが…言ってる意味が分からない。同じく妙に隠密が得意になっているカノンは分かるようなんだが。

 

 アリサが一つ深呼吸をすると、次の瞬間には目の前に入る筈なのに認識できなくなりそうになる。新入り二人が動揺してるが、無理も無いか。

 足音や神機の音はおろか、衣擦れの音すらしなくなるんだからなぁ…。

 やっぱアレか、スペツナズか。それともゲシュタポか、カーゲーベー式訓練とかやってたのか。

 …あんまりアリサを怒らせない方がいいな。とづまりすとこ。

 

 

 ともあれ、アリサは順調に気付かれないまま、あのアラガミの元に近付いていった。

 俺も時々見失いそうになる…。あれなら、このまま接触できそうだ。あのアラガミ自身、そんなに周囲に気を配っていないようだしな。もしもアイツ本人だったら、こうやって影から注視しているだけでも確実に気付くし。

 

 アリサが触れるまで、あと3歩。

 1歩。

 2歩。

 

 

 …アリサは一瞬だけ躊躇して、右腕の腕輪を見た。そのままおもむろに3歩目。

 

 

 接触……戦闘になるか?

 

 

 

 

 ならなかった。

 あのアラガミは、アリサが触れると同時に振り返って、アリサの顔を見た途端に消えてしまった。

 

 

「…なんだったんでしょう?」「あれ、最近噂の謎のアラガミですよね…」

 

 

 アネットもフェデリコも首を傾げていた。

 アリサはと言うと、何やら呆然としていたが…すぐに正気に戻って、周囲を見回した。同時に俺も寒気を感じ、警戒する。

 

 …遠くで咆哮が上がった。

 ヴァジュラ…か? しかし何か違う気がする。気にはなるが、新入り二人を抱えて初見の相手と戦いたくはないな。

 

 一旦帰還する。

 

 

 

 

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