※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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発売日だイャッフゥゥゥー!
あと2時間が長い!
仕事が終わるまであと5時間!
1ヶ月間も焦らされたぜ…。
当日は夜のシフトなんで、帰ってきたらやり尽くす!
飯も酒も準備オッケー!
唯一の欠点は、休日が来月まで無いって事だよ!


第175話

神逝月討鬼伝世界に突入したいけど話はまだまだ長い日

 

 

 久々にラケル博士と対面したが、相変わらずのようだ。俺を見る目に感情が篭ってない。

 ジュリウスとナナにも会った。ナナは以前のループで一度会ったっけな。尤も、あの時はラケル博士に手酷く(多分意図的に)捨てられて、今の彼女とは大分違う印象だったけど。うん、やっぱ天真爛漫が似合う子だな。

 ジュリウスはと言うと…うーん、一見しただけで分かる高級志向? 本人が意図してそう見せているかは微妙だが。妙に威圧的に感じたのは、俺を警戒しているんだろうか? ラケル博士に何か吹き込まれたのか?

 

 

 …簡単な問診の後、一体何故あそこで倒れて…と言うか埋まっていたのか聞かれた。返答としてはロミオに返したのと同じだったが、それだけでは納得されてない。

 そもそも、どうやら俺は極東で死んだって扱いにされているらしい。それはよく分かる。

 まさか終末捕食を意図的に起こせる人間が居た、なんて発表もできないだろうし、アラガミに変身する能力なんて尚更だ。その後のノヴァの欠片だって機密事項もいいトコだろう。それら全てに妙な形…公表できないような形で関わっている俺をどう処理するのか。

 一番簡単なのが隠蔽、二番目が死人に口無しだ。ウヤムヤにした訳だな。

 

 …支部長の手口にしちゃ陰険さが足りんな。アリサ達が何かごねたかな。

 

 

 

 とりあえず、今の俺に極東との繋がりは無いよ。公式には死んだ事になってるし、さっきまでやってたのは血の力の個人的な実験だ。正直言って、再現できる気がせん。出来てもやらんけど。

 まぁ、公でない形で極東に顔を出せば、歓迎してくれるんじゃないかね。少なくとも2名は。大多数の人には、『今度はどんな厄介事持ち込んできやがった』って顔されると思うけど。

 

 

「では、今のあなたに政治的なしがらみは無いと言うことか?」

 

 

 全くの0とは言わんが。仮に極東に顔出したとしても、同姓同名の別人って事にされるだろうよ。

 少なくとも、極東の皆にとって、俺がここに居る事自体寝耳に水もいいトコだろうしね。

 

 

「成程。では、貴方はこれからどうするつもりだ?」

 

 

 うーん…ロミオがどう仕上がってるか気になるし、暫くここでお世話になる…と言うのはどうだろう?

 以前には教え切れなかった技法も幾つかあるから、それを対価として提供するって事で。

 

 

「…確かにそれは興味が「いいでしょう」…ラケル先生?」

 

「彼は一時期フライアに滞在していました。彼のおかげで血の力の研究も進み、助けられた恩もあります。充分に信頼できる方です」

 

 

 …そりゃどうも。

 さっきから居るだけでずーっとだんまりだったのに、えらく突然出てきましたな。

 

 

「月日は人を変えるものです。暫く貴方を見せてもらいましたが、お変わりないようで」

 

 

 ラケルてんてーもね。ちょっとは変わればいいだろうに…(体格的に)。

 

 

「部屋は以前に使っていただいた所でいいですか? あれからフライアには色々施設が増えました。ジュリウス、後で案内してあげなさい」

 

 

 お気遣いどーも。

 ああ、外出許可はどうすれば取れる? ロミオと久しぶりに会ったんだし、どっか飲みに行こうと思うんだけど。

 

 

「フライアが移動中の時は、外出できません。ですが簡単なバーを用意しています」

 

 

 …ああ、そういやフライアって移動要塞だったな。で、バー? 要塞にしては洒落てるね。

 

 

「ブラッドは全員未成年ですが、職員の中にはお酒を嗜む方も居ます。…ロミオは未成年ですよ?」

 

 

 飲ませないようにしますよ。(般若湯は別だけど)ま、とりあえずは酒より飯ですな。ここ数ヶ月以上、まともな飯食ってなかったもんで。

 

 

 

 

神逝月と言うか終わる区切りが見えない日

 

 

 ふぅ。結構濃い日々だったが、何とか落ち着いた。

 月からの大気圏突入(らしい)に始まり、丁度ブラッドに拾われて、ロミオの成長に感嘆しつつラケルてんてーと水面下で牽制しあって。

 更にジュリウスからナナを紹介された。

 

 いつぞやのループで一度会ったきりだったが、相変わらず見事なボディしとるわ。年齢詐称を本気で疑う程度には。と言うか、以前会った時よりも更に立派なボディになっていた。これ、スラムに居たら絶対襲われるだろ…孤児院育ちでよかったな。

 調べてみればそれも当然で、極東での終末捕食の事件から3年近くが経っていた。…確かに長い事月で暮らしてたけど、3年は長すぎないか?

 睡眠、瞑想だけじゃその時間は過ごせないと思うんだが…。ひょっとしたら、自覚しない内に活動休止とかもやってたかもしれない。ふと目を空けたら植物の蔦に雁字搦めにされてた事もあったし。

 

 ……それだけ長く一人だったんなら、性欲がナナでバーストしても無理ないよね! いやナニもしてないんだけどさ、自己処理も含めて。

 だってここ、ラケルてんてーの手の内だぜ? 何処で盗聴されてるか分かったもんじゃない。てんてーにシゴいてる時の声とか音とか聞かせるよーな趣味は無い。ちゃんと反応するなら別だけど。

 

 

 

 ま、それはそれとして、昨日は割り当てられた自室で、色々調べていた。盗聴器とかじゃなくて、俺が月に行ってから極東付近で何があったのか……後は、俺の体が今どうなっているのか、とか。

 

 とりあえず一番気になってたリンドウさんの生死は、問題なし。右手に篭手を着けた珍しいゴッドイーターとして知られていた。と言う事は、やっぱりアラガミ化したんだろうか? でも腕じゃなくて右手だけ…そこだけアラガミ化した?

 まぁ、生きてるようで何よりだ。

 

 アリサの名前も、そこそこ有名になっているようだ。レアと一緒にあちこち奔走しているらしい。そのレアの名前は、殆ど出てこないけど…。

 シオの情報は全く手に入らない。これは榊博士…いや、支部長は支部長のままなんだっけ…が隠蔽していると見るべきかな。

 ソーマはどうやら、一人の脳筋もといゴッドイーターから、博士見習いとして色々活動している最中のようだ。何をやってるのかは、よく分からなかったが。

 

 で、俺の事も調べてみた…エゴサーチしてる気分だったが。出てきたのは、アーク計画遂行中に殉死という一文のみ。別にその扱いでも文句は無いが、なんかちょっと寂しい。

 

 

 

 で、次に調べた俺の体だが……まず、ノヴァとの繋がりが感じられない。どうやら月から移動した為、リンクが途切れてしまったらしい。

 別にそこまで問題ではない…と思う。月に居た頃は、ノヴァとの繋がりのおかげで真空状態でも生きていられたが、もう地球に戻ってきている。ノヴァの膨大なエネルギーを使えなくなっているのは残念だが、散々瞑想やら何やらして、俺の自身のエネルギーは以前より格段に大きく強くなっている。少なくとも、GE世界のアラガミを相手にする分には充分だろう。

 ノヴァとの繋がりが無いのはいい事だ。もし繋がりがあったら、俺を通してラケルてんてーが妙なちょっかいを出してきて、月に居るノヴァがいきなり再活性、地球に落下してくる…なんて事も? 流石に考えすぎだろうか。

 

 ただ、考えてみれば月で俺が食ってた植物って、ノヴァの一部でもあるんだよな。つまり俺の腹の中には、まだノヴァが一部とはいえある訳で。

 …ひり出せばいい? アラガミ細胞って、人間の消化液じゃ溶けそうにないんだよな…下手するとクソの中にノヴァの細胞が 潜んでいるかもしれん。

 

 それをラケルてんてーが採取…せめて検便にしてほしい…すると…。

 

 

 

 

 リアルな話をすると多分ノヴァの細胞を育てる事は可能。

 発見当初はたった一つの小さな細胞だったアラガミの進化速度を考えると、周囲のモノを侵食しながら想像を絶する速度で育つ。

 ただし取り込んだモノの性質を真似るので、育ったノヴァはクソのニオイがすると考えられる。戦いたくなくてヤバイが終末捕食を放っておくと更にヤバい。。

 俺のクソで地球がヤバい。

 

 更に推測の話をすると、月の緑化(MH世界の植物で)の事を鑑みると、終末捕食後の生命の再分配の形は元となったアラガミの性質を強く受けるので、新しい世界の生命活動の根幹にはクソが強く関わると思われる。具体的には遺伝子にクソの情報が強く刻み込まれ、新しい生命体はクソを食料とする可能性がある。

 俺のクソで新世界がヤバい。

 

 またクソの側を憶測で説明すると、糞と言うのは歴史上非常に重要である。肥料として植物の成長に貢献し、動物の縄張りを示すのに使われ、集団戦では排泄物の処理に非常に苦労し、土に大小便が染みこんで年月が経ち化学変化と微生物の力によって強力なパワーを宿して火薬となりダイナマイトとか銃とかになって歴史に常に影響を与え続ける。新しい世界の命が俺のクソの情報を持ち続けているなら、世界は常にクソによって動いている事になる。

 俺のクソ不滅。

 

 

 

 …考えてみたが最悪すぎる。どうしたものか…。

 

 

 

 

 ああ、そうか。出さなきゃいいんだ。完全に取り込んでしまえばいい。

 普通の人間なら「一生便秘にならなきゃムリだろ」って話になるが、俺には裏技がある。月に居る間もすっかり忘れていたが、俺の体はアラガミであると同時に、蝕鬼でもあるのだ。

 どんな物でも侵食して取り込んでしまう、虚海(と書いてポンコツと読む)が作ったにしちゃーえらく凶悪な代物だ。コレ使って、俺の体内のノヴァを完全に取り込んでしまえばいい。体内のどの変にノヴァがあるのかは分からんが、多分イメージでどうにかなる。俺の体内にあるだけなら、ノヴァも終末捕食には至るまい。

 ちなみに、蝕鬼の能力を使うとトイレに行かないリアル都市伝説アイドルになる事もできるけど、俺がアイドルになったとして誰得か。そもそもソッコーでスキャンダルして終わるし。

 

 

 

 さて、では最大の問題に移ろうか。

 今の俺が抱えている、一番危険そうな案件…即ち。

 

 

 

 

    約3年分の性欲を持て余す。

 

 

 「こ…このままでは俺のおニンニンが爆発してしまうぅぅ!」ってレベルで持て余す。流石に犯罪行為には走らないが……いや、考えてみりゃ今までスレスレな事を結構…。

 

 ともかく、今の俺ではナナのヘソとか膝裏とかが目に入っただけでピクッと動いてしまう(何処がとは言わない)状態だ。ぶっちゃけ、生活しにくい事この上無い。しかもナナは距離が近くてスキンシップが激しいし。

 という訳で、今日はもう寝る。もう寝てアリサと感応現象で接続する。

 夢精するかもしれんが、声を盗聴されながらイタすよりゃマシだろう。

 

 

 

 

神逝月余計な話を挟みすぎたか日

 

 

 神も仏も居ないのか。アラガミなら居る。俺もアラガミだ。何と言う事だ、俺は神だったのか。だがどちらかと言うとマーラ様の眷属と言われた方がシックリくるな。

 

 

 昨晩はよーく眠れました。ええ眠れましたとも。感応現象どころか淫夢すら見なかったからね!

 おかげで朝起きたら下半身がガチガチですよ! 肉体操作術使っても収めるのにメッチャ苦労したよ。

 

 はて、何でアリサと感応現象できんかったんじゃろ。

 …考えてみりゃそれも当然か。普通、感応現象って適合率の高い新型同士が、右手で接触しないと起きないんだよな。離れていても平然と接続できていた今までがおかしいんだ。

 エロをエサにして、のっぺら連中にアリサと接続させようにも、当のアリサがどこに居るのか分からない。流石にこの状況じゃ、感応現象は起きないか…。

 

 うーむ、どうやって処理しよ。

 ラケルてんてーは…やっぱアカンな。あの得体の知れなさと言うか、人形を相手にしているような感覚で萎えるし、それ以前に隙を見せたら何をされるか分かったもんじゃない。

 ナナ…は、別にダメっていう理由は無い。体も…あの年齢で、孕めるくらいには体が出来上がってるようだし。それはそれで凄い話だ。年齢的に考えてアウトだが、それこそ今までロリとどんだけヤってきたんだという話だ。

 

 候補としてはもう一人、昨日紹介されたオペレーターのフランも居るんだが。フルネームが、フラン=フランソワ=フランチェスカ・ド・ブルゴーニュという、前半分はある意味覚えやすい名前の人だ。

 金髪美人で見た感じからして「出来る女」って感じ。ただし格好は、GE世界の女性の例に漏れず(割と常識的なのに)露出度が高い。ノースリーブで脇丸出し、ミニスカとストッキングの絶対領域…よく見たらスカートの下に下着の線が見えるのは秘密だ。何故か手袋をしているが、これが妙にフェチっぽく見える。

 是非とも、ミッション受付の下に潜り込み、スカートを脱がせストッキングは破きつつ隠れてセクハラしたい所だが、見た目通りにセキュリティが厳しそうだな。公私の区別を過剰なくらいにつけているというか…その分、内側に入り込んだらヤリたい放題させてくれそうだけど。

 

 

 …また欲望が溢れ出してしまいそうになった。日記の中だからまだいいが、本人達をそーいう目で見て警戒、或いは軽蔑されるのは勘弁してほしい。

 と言うか、(擬似)妻子が居るというのにナチュラルに浮気の算段を立てている辺り、俺は全うな人生は送れそうにない。今更だけど。

 

 俺が色欲外道だと言うのは誰にとっても今更の話なので置いておくとして。

 ラケルてんてーは何を考えてるのかね。以前はジュリウスとの接触をあの手この手で阻んでいたようだが、今は…どうなんだ?

 警戒するジュリウスを他所に、俺をフライアに招きいれる事を決めたのはラケルてんてーだ。味方している筈が無いし、ラケルてんてーが…というより、それを操っているアラガミが意味も無くそうするとは思えない。

 何か目的があるな。

 やっぱり血の力か? 確かにそれを交換条件にはしたが…ジュリウスは既に目覚めている。これから順当に成長していくだろうし、そこに俺のような不確定要素を好き好んで入れるとも思えない。

 

 …うん、考えてみりゃ、今まで月に居た俺の情報を、ラケルてんてーのアラガミが知っているとは思えない。と言う事は、俺の調査? 

 終末捕食にも関わったであろう俺が、どういう変化をしたのか、今まで何をしていたのか、今後どうするのか…その見極めか。

 

 もしそうだとすると、下手するとここに収容された時点で何かされてた可能性もあるな。ロミオが付きっ切りで看病していてくれたらしいが、マジで感謝だ。

 

 

 

 さて、ロミオへの礼は般若湯でも適当に仕入れてくるとして、今はGE2のどの辺りかね。隊員はまだジュリウス、ロミオ、ナナしか居ない…で、俺も所属。って事は、事実上始まったばかりの頃だろうな。

 …そういや、レアが居ないんだよな。と言う事はアレだ、GE2の陵辱用の汚ッサン2号こと……えーと、成金の人はどうなったんだ?

 確かあの陵辱用……いや、なんか違うな…枕営業用の汚ッサンでいいか。 がスポンサーになって、フライアを建設できたって話だったと思うんだが。

 レアが何か妙な事をされているなら(アリサになら許す)、処刑の前に性転換させて特殊な性癖専門の店に売り払うトコだが、アリサと一緒に各地を飛び回っているレアに、枕営業なんぞする余裕は無いだろう。

 

 その辺、ちょっとジュリウスに聞いてみたんだが、どうやら別のスポンサーがついているらしい。

 意外な事に…というべきだろうか? そのスポンサー、なんとフォーデルバイド……? なんか違うな。

 とにかくアレだ、エリナや上田の実家の繋がりらしい。ちなみにジュリウス、上田と何度か会った事もあるそうな。

 

 

「お前も分かるだろうが…血の力と言うのは強力である以上に、今後は非常に重要な要素となってくる。感応種の事は知っているな?」

 

 

 …あー、アラガミが血の力を使ってる奴だろ? 俺はまだ会った事無いけど、神機の動作が停止するとか。

 まぁ、何れ出現するとは思ってたけどな…。人間の中にも、こうやって血の力に目覚める奴が出たんなら、それを模倣できない理由が無い。

 

 

「そう言う事だ。そして、血の力の存在が証明された後、その可能性に逸早く対処しようとしたのがフォーゲルヴァイデ家だ。未だ研究途上だったラケル博士に援助を申し出て、何かと便宜をはかってくれている」

 

 

 はーん、そんな事が…あの上田一族がねぇ。

 納得っちゃ納得か…今までのループでも、資源の減少やら何やら、普通のゴッドイーターとは少し違う視点で物事を考えていて、それに対策しようとしてたしな。

 …いやいや、こっちの事。

 他にスポンサーは?

 

 

「そうだな、大体が企業だが…最も身近な例を挙げれば、神機兵開発のスポンサーとして、グレム局長が居るな。このフライアに滞在する事もある。強引な手法をとる事が多いが、能力的には優秀ではある…特に金策についてはな」

 

 

 ああ、やっぱ居る事は居るのね。

 …予想外なのは、ジュリウスが「能力的には優秀」と評価した事か。「俗物めが…!」みたいな反応を予想してたんだが。

 

 

「思うところが無いとは言わん。だが、俺達とて霞を食って生きていける訳でもない。神機兵の研究についても大きな影響を及ぼしたし…。何より、他者が稼いでくる金銭に頼っておいて、それを稼ごうとする手段を批判する事こそ俗極まりないと思わないか?」

 

 

 耳が痛いね。生理的に受け付けない(俺の場合は、レアに手を出していた可能性でイライラする)為に過小評価しがちだったが、もうちょっと警戒しておく必要があるか?

 

 

 

「遠からず、顔を合わせる事になるだろう。一時とは言え、ブラッドに所属する事になるんだ。失礼の無いようにな」

 

 

 あっちが侮辱するような事を言わない限りはね。 バカを相手に気兼ねなく反撃できるのって素晴らしいよ?

 

 

「そういう事を言い出すお前の方が、俺からしてみれば問題児なんだが…まぁ、殴りたくなった事があるのは事実だがな」

 

 

 外見で損をするタイプなのか、それとも行動で恨みを集めるタイプなのか。

 とりあえず、あのシーンの為に幾つか保険をかけておくとしますかね。

 

 

 

 

神逝月

 

 

 ロミオ、ナナ、俺の3人でミッション中。ジュリウスはハブ…もとい、何やら打ち合わせがあるとの事で、フライアに残っている。

 

 

「それにしても、ジュリウスも大変だよなー。隊長の仕事の上に、よく分からない会議やら何やらに出てさぁ」

 

「時々、ミッション前なのにお呼びがかかっちゃって、断ろうとしてるの見るよね。で、断りきれなかったらロミオ先輩が代理リーダー」

 

「これから忙しくなるからな。その内、俺が完全に現場リーダーになっちゃったりしてな」

 

 

 ありえるなぁ。というより、現場のリーダーがそれ以上の責務を背負い込んでる時点でおかしいんだよ。

 …まぁ俺だって、組織のリーダーやって頃はノウハウも全然無しで、参謀役に丸投げして現場にばっかり出てたから、別の意味でおかしいリーダーだったけど。

 ちなみに、その時の参謀役ってのがナナより幼い。

 

 

「あ、子供扱いはやだなー。…え、私より年下が? 組織の纏め役?」

 

 

 普通に運営できてたぞ。最終的には、組織を使って俺を囲い込もうとするくらいには掌握してた。

 

 

「それはそれで怖い話…。ところで教官、今日のミッションですけど、どうするんっすか? 普通に一戦して終わり?」

 

 

 新人のナナが居るから、やっても二戦くらいで。

 …ああ、俺もちょっと狩りをしたいから、終わった後は二人とも先に帰っててくれ。

 

 

「あ、それだったら私、教官のミッション見たい。凄い人っていうのは聞いてるけど、どれくらい凄いのか分からないし、それに血の力を沢山使えるんでしょ? 見せて見せて」

 

 

 …まぁ、いいけど…あんまり参考にならないと思うぞ。今回は狩りってより実験とリハビリのつもりだし。

 

 

「リハビリって、教官別に怪我は無かったじゃないですか」

 

 

 いやそうじゃなくて、ちょっとした理由があってこの1年くらい、全然狩りが出来なかったもんでな。割と冗談抜きで退屈に殺されるかと思ったぜ。

 普通の人間なら発狂してるね。

 

 

「ナイナイ、フツーの人だったらアラガミと戦わないと退屈で死ぬとかないって」

 

「と言うか教官が普通の人とか無いって」

 

 

 …いや、割と本格的にフツーの人なら発狂する環境だったけどね。

 

 

「だったら尚更、教官って普通の人間じゃないんでしょ」

 

 

 ロミオ、なんか今日は突っ込みがキツいな。だが中途半端な攻撃は自分を追い詰めると知るがいい。

 ま、今はミッションだ。

 

 

 

 

 

 

 

 という訳で、最初のミッションはオウガテイル討伐。俺を発見した時の捜索がナナの初陣だったって聞いたが、本当だったみたいだ。

 ゲームで言えば、ナナと主人公が奇襲を受けそうになって、ジュリウスに庇われるシーンだが…こんな感じだったな。

 

 

 崖の上から、遠くのオウガテイル発見。遠目に見て、ナナが感心したような声を上げている。

 下からの気配を察知。さりげなくナナの前に出て、崖に向かって足を突き出す。

 

 飛び上がってきたオウガテイルの頭に直撃。バランスを崩して吹っ飛ぶオウガテイルに、ロミオが放った…ブラッドアーツが直撃。南無。

 

 

 …ロミオ、ブラッドアーツ覚えてたのな。どんな特性にするか悩んでたのを覚えているが…まぁ、今度聞くか。

 

 で、ミッションはと言うと、オウガテイルの群れを1匹だけ残して、俺とロミオで瞬殺し、残った一匹はナナが担当…と言っても、周囲の奴らが片付いている事に気付いてない。

 捕食者を相手にして腰が引けてないのは大したもんだが、半ばヤケクソのクソ度胸だったようだ。視野狭窄状態で飛び掛り、反撃を受けそうになった事もあった。その度に、俺達が密かにスナイプして、オウガテイルの動きを止めてたけど。

 

 何度も空振りし、無意味にステップを踏み込みジャンプし、攻撃を受けた訳でもないのに土塗れになりながら、ナナは勝利した。

 死んだオウガテイルを更に何度か殴りつけ、無呼吸打撃が限界を迎えた辺りで、ようやく俺達がノンビリ眺めているのに気付いたようだ。激しく抗議を受けたが、オウガテイルについている射撃痕を示して、ちゃんとサポートしている事は教えた。納得いってないようだが。

 

 

 ま、初陣なんざこんなモンだろうな。少なくとも、ブタに殺された俺よりはマシだろ。

 

 

「教官殺すブタとかどんなバケモンですか」

 

 

 ブタ、侮れんぞ。地区によっては、血の力よりも赤いオーラを放って、カウンター以外の攻撃を全て弾きながら超攻撃力で突進するブタだって居るからな。まぁ、俺も実物は見た事ないが。

 ちなみに、自覚はしてるだろーけど、ロミオはアレより酷かったからな。

 

 

「でしょうね。で、これからどうします? もう一戦……は、ちょいと厳しそうですが」

 

 

 ああ、中途半端にインターミッション作ったのは失敗だったな。抗議を聞いてる暇があったら、さっさと次の奴連れてくればよかった。気力に穴あけちまったな…。

 まぁいいか。

 んじゃ、俺は適当に狩りに行くわ。見に来るんなら好きにしてくれ。ただし、その場合ナナはロミオの指示に従うように。

 

 

「んー……なんか疲れたけど…見るだけならいっか。ロミオ先輩、よろしくね」

 

「疲れた程度でグチグチ言ってたら、ゴッドイーター勤まらないぞ。ま、安全な位置は確保するつもりだから、腹ごなししながら行こう」

 

「はーい。あ、おでんパン持って来てたんだった。…教官、いる?」

 

 

 貰おう。…おお、これが実物のおでんパン。だがあまり奇抜な代物には見えんな。…比較対象が悪いのか。MH世界で適当に取った果物とか、討鬼伝世界で殴り殺して食った餓鬼とかに比べれば。

 まぁ、味も食えるモノではある。パンに染みこんだ汁がナイス。

 

 

 …そんな事を考えつつ、適当に広い場所に陣取った。

 血の力、もといタマフリ発動。内容は『挑発』。

 ただし、今の俺が使う挑発は、ちょっと普通の挑発とは違う。月で自覚無しに3年近く修行に明け暮れ、霊力の量で言えば今回ループ開始時の何倍にもなっていると思う。その分、調節が難しいが…今回の術は単純だ。敵を惹きつける効果と範囲が、桁外れに広くなっているのだ。

 

 という訳で、周辺一体のアラガミが、俺に向かってガシガシ迫ってきます。しかも活性化状態で。…ちょっと予想外だったが、挑発だもんな。そりゃ挑発されれば怒ってキレるわ。

 ま、いいか。こっちとしては、攻撃が激しいのは丁度いいくらいだ。リハビリ…狩りのカンを取り戻さなきゃならん。

 さっきのナナの援護で分かったけど、やっぱり体と神経が鈍ってる。オウガテイルくらいなら瞬殺できたし、極東のヴァジュラでも苦戦せずあしらえるだろうけど、弛んでるわぁ…。この状態のままフロンティアなんぞ行ったら、何もできずにデスワープするのがオチだ。

 

 さて、ワラワラ集まってくるアラガミ共と、どうやって遊びましょうかね。いつもの俺なら、何もさせずに一気に殲滅しちまうんだが……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …飽きた。いやね、そこそこ数は来たのよ。挑発を繰り返した結果、あちこちから色んなアラガミが集まったし、中には感応種らしき奴も居た…進化途上だったのか見た事の無い奴だったけど。

 でもさ、攻撃が単純かつ狙いが粗雑で。即席コンビネーションだって無し。てんでバラバラに攻撃してくるだけだし、それならもっと攻撃範囲が広いのを連発してこいっての。

 

 ま、普通のアラガミなんてこんなモノかな。極東やMH世界で時々ある、異様に訓練されたコンビネーションを披露してくる方がおかしいんだ。

 このまま狩り続けても、あまりリハビリになりそうにない。なんかもう面倒になってきちゃったし、まとめてブッ飛ばすか。

 

 再度挑発を使い、更にアラガミ達を呼び寄せる。ある程度数が集まったら、タマフリ虚空ノ顎で引力を発生させ、その場に固定する。

 

 

 

 そして各種バフを乗っけた覇山竜撃砲(を神機とOPで再現・強化したもの)を叩き込む!

 

 

 

 

 おお…地球でやるのは初めてだけど、相変わらずいい破壊力。発破山ほど爆発させたいみたいになりました。

 アラガミは一網打尽になった。…極東じゃここまで上手くいきそうにないな。虚空ノ顎も強引に抜け出すやつも居るだろうし、攻撃範囲を広くした分、ダメージは薄くなってそうだ。多分生き残りが出るだろう。

 

 

 

 ただいまー。思ったより手応えなかったから、早めに切り上げてきた。

 …おい、ナナはどうした? 顔色悪くなってるぞ、この過剰健康優良児が。

 

 

「わからない…でも、なんだか気分が…悪いよ…」

 

「教官が狩りを始めた辺りで、段々顔色が悪くなってきたんです。診察したけど、怪我とかはないし、精神的なモノだと思うけど…帰って医務室行こうか」

 

 

 そうだな。初陣の様子を見ると、今日は眠れるか怪しいし。

 …精神的なモノ、というのは俺も同感だが…緊張が解けたにしても、妙なタイミングで出たな。何か他に理由がある気がする…。

 

 

「詮索は後回しにして、早いとこ戻りましょう。ナナが動けなくなった状態で戦うのは簡便してほしいっす」

 

 

 そだね。どっちが背負う?

 

 

「んじゃ教官お願いします。俺が先行しますから」

 

 

 なんだ、女を背負うチャンスはいいのか? 青少年。

 

 

「それ…セクハラ…」

 

「ナナ、いいからもう寝てろよ。…それと教官、俺に対して言いますか、それ…」

 

 

 …………再会した時から思ってたが…いやまぁいい。行くか。

 

 

 

 

 

 




という訳で、次回投稿は28日の朝7時です。
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