※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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出来上がっているところまで一気に投稿予約したら、4日毎ペースで約1か月分が出来上がってしまった。
これを一気に投稿してれば、ランキング一位…いや上位…ギリギリ50位くらいに入れたんじゃないかな、とは思う。
実際、今でも時々唐突に40位くらいまで浮上するんだよな…ありがたさで心臓が止まる思いです。


とりあえずストーリーモードクリアです。途中でぶらぶらしながら進めて約4日。
オープンワールドは攻略サイトを見ると楽しみが半減しそうなんで、当分自力で進める予定です。

ちなみに討鬼伝2感想。
①「I'm your ○○○○○」「Noooo!」
②紅月姐さんの瘴気穴閉じる時の動きがおかしいと思うw
③九葉さんマジ討鬼伝のアイドル。というかポジションが完全にヒロインなんだけど。最初と最後に全部持っていかれたw



第177話

神逝月

 

 

 ラケルてんてーは、ジュリウスとの接触を阻もうとする様子は無い。もう血の力を会得して自分のスタイルを確立したからか?

 ジュリウスも俺の血の力の使い方だけでなく、ゴッドイーターとしての腕前とかにも興味があるらしく、何度かミッションに同行した。

 

 …何と言うかコイツ、あつらえたよーな貴公子だな。剣の腕は一流、血の力も人の上に立つ事を暗示しているようなもので、更に容姿端麗。

 今更それでハラたてるよーな性格してないが、いっそわざとらしさすら感じる。まぁ、結構庶民的なトコもあるんだけど。

 

 それはそれとして、ジュリウスには何を教えるべきか。

 統率の力を見てみたが、原理的にはタマフリと大差ない。ただ、ミタマの力を借りて使うか、自分の力を高めて使うかの違いだ。

 今の力でも充分だが、更に強化できるのであればやるべきだ…と考えているらしい。

 

 だけど、コイツに下手な事教えると、その後がどうなるか。GE2のラスボスだもんな。あのマントのアラガミが、更に強化されるのか。

 ……でもそこまで強かったっけ、アイツ…。いやいや、ゲームで弱かったとしても、現実で弱いとは限らない。何せ、ジュリウスがアラガミ化しているようなものだ。俺を例に考えてみても、アラガミ化による身体能力や生命力のぞ往復具合は洒落にならない。

 

 が、フライアに留まる取引として、血の力の制御方法や訓練方法を教えると約束したし…。

 

 

 ちなみにジュリウスとしては、複数の力を操る技術に興味があるらしい。ま、確かにブラッドの血の力だと、一人につき1種類だもんな。

 それに対して、霊力…タマフリの力は、1つのスタイルにつき最低4つ。数が多けりゃいいってモノでもないが、戦術に幅が出来るのも確かだ。

 ま、教えるの自体はいいか。アレコレ先の事を考えても、どーせ想定外の事が起きて、予想や予定を覆されるんだし。

 

 

 ジュリウスの力は、言わばバフ。味方の強化だ。となると、それを更にパワーアップ・応用するとなると…。

 

①効果を強力にする。

②効果を多少弱めてでも、影響する範囲を広くする。

③効果が及ぼす対象を増やす…『統率』で言えば、リンクバーストさせるだけでなく、時にはOPを増幅させたり、ライフや戦闘不能を強引に回復させたりする。

 

 

 他にも色々あるが、ぱっと思いつくのはこれくらいか。

 とりあえず2は却下。現在の能力でも、既に作戦区域一つを充分に覆えるくらいの有効範囲はあるからな。ロミオの『対話』もそうだけど、血の力の射程範囲は全体的に広いようだ。

 

 ジュリウスの血の力は、目覚めてからほぼ自己流で研鑽してきた為か、完全に現在の『統率』の形で固まっているように思える。これを一端壊して、新しい形にするとなると、かなり苦労する事になる。望むところと言っていたが…。

 

 

 

 ……ジュリウスに『自己処理』を教えるかどうかが問題だな。

 ロミオは何てコメントするだろうか? 道連れを増やそうとするか、それとも被害者は自分だけで充分だと止めようとするか。

 お偉いさんに特殊性癖があるのは珍しい事じゃないんで、ジュリウスにも素質はありそうだが……。

 

 やっぱ基本は無しで行くか。イメージに合わないって事もあるが、全うな鍛え方を確立しないと、今後のゴッドイーター達の婚活事情とかに多大な影響が出かねない。

 

 

 差し当たり、ジュリウスは③に興味を示した。汎用性を高める方で来たか。バフ・デバフの効果が色々な物に乗るようになれば、スキル連携もしやすくなる。ゲーム的に考えると、GEクリア後の統率パワーアップバージョン…リンクバーストLV3にするかと思ってたんだが。

 

 

 

 

 そうそう、もうすぐブラッドに新しいメンバーが入るらしい。ギル君かな?

 何か手を打っておかないといけない事はあったかな。初対面でロミオがド突かれたのは覚えてるが、今のロミオが同じ事をするとは思えないし。

 わざわざケンカする必要も無いが…まぁ、仲間意識とかは自然の流れに任せればいいか。

 

 

神逝月

 

 

 芦原ユノ、というアイドル? 歌手? がフライアに来た。

 ふむ…着痩せするタイプと見た。

 

 ついでに、汚ッサン2号も初対面したが、あまり印象に残ってない。男なんかどーでもいいと言うのもあるが、ハンター的に興味を引かれる人じゃなかった。頭にあるのは損益のみ、だな。

 …ふむ、例のシーンの為に、ちょいと小細工しておくか。

 

 

 で、葦原ユノの方だけど…『誰?』って言ったらロミオとジュリウスから原始人を見るような目を向けられた。

 何でも、1年ほど前から騒がれている歌手で、一度などフェンリルを電波ジャックして各地のフェンリル支部に歌を流したのだそうだ。その歌は、何と黒蛛病…ああ、そういやそんな病気もあったね…を和らげる効果を持っているとか。

 単純な歌の上手さ、清楚なルックスも合い間って、カリスマ染みた人気を誇っているとか。

 

 ロミオ的には、芦原ユノと初音○クもといシプレが2大人気巨頭、らしい。…ああ、そんなキャラ(?)も居たな。専用ムービー付で登場したからストーリーに絡むかと思ったけど、全然そんな事は無かったぜ。

 ……そのシプレ、お前夜の鍛錬に使ってるだろ。

 そっちも知らん、と言ったらエイリアンを見るような視線を向けられた。

 

 しゃーないだろ。この2~3年、電子機器どころか人っ子一人居ない状況で文字通りのサバイバル特殊任務してたんだから。フェンリル全支部に流れてたって、俺が聞ける筈が無い。

 僕は友達が皆無とかいうレベルじゃない、物理的に完全なボッチだった。あの時お前と会話したのだって、3年ぶりの人間との接触だったんだぞ。

 そんな事言ってたら、葦原ユノのマネージャーっぽい人が呆れていた。…戦慄してたようにも見えたが。まぁ、確かに3年間誰とも接触しない状況とか、人によっては発狂しかねないな。ロビンソンクルーソーだって孤独に散々苦しんだんだし。俺はどっちかっつーと退屈に苦しんだけど。

 

 

 まぁ、今回の接触はその程度だったな。2度目…3度目?の終末捕食関連で 手を借りる事を考えると、今のうちに接触しておいたほうがいいかもしれないが、どうやら極東支部に向かう途中で時間も無かったようだし。

 ロミオが舞い上がって追いかけてったんで、仕方なくナナを伴って追随。汚ッサン2号の部屋に入ったら予想通り…ゲームの通りだっけ?…既に葦原ユノは居らず無駄足。汚ッサンには俺とナナの着任の挨拶、と誤魔化しておいたんだが…。

 

 あの汚ッサン、ジュリウスが言ってた通り、思ってたより有能かもしれん。

 

 

「ああ、貴様が。話は聞いている。極東での事もな」

 

 だそうだ。何処まで何を知っているかはわからないが、隠蔽されている筈の俺の事を知っているようだった。

 その上で、フライアでの滞在を認める発言も出た。

 

 どうやら、俺の存在を取っ掛かりとして、極東に繋がりを作るつもりらしい。販路を広げるのかな?

 まぁ、何にせよ、強引な地上げ屋みたいな印象を持ってたが、存外思慮深いタイプなのかもしれない。それを金儲けに全振りしているだけで。

 

 それにしても…思ったより簡単に小細工できたな。

 どうやって金を儲けようと知った事じゃないが、あれだけ装飾品をジャラジャラさせてるのはよろしくないねぇ…。

 

 

 

神逝月

 

 

 すっかり忘れてたんで、赤い雨とか黒蛛病について調べてみた。かなりの猛威を振るっている…。

 そりゃ、これを多少なりとも抑える力があるってんなら、葦原ユノが崇められる筈だ。冷静に考えると、歌で病気の進行が和らぐとか、プラシーボ効果以外の何物でもないんだが。

 でも芦原ユノ…ゲームストーリーで言えば、特異点の適合者だ。それが何か関係あるんだろうか…無理矢理にこじつければ、歌声に血の力や霊力に似た物が載っていて、それが効果を発揮していると考えられる。だがそれだと通信越しに効果が出る説明がつかない。歌声に反応して、患者達の体内で何かの反応が起こっていると考えるべきか。

 

 話が反れた。

 

 赤い雨については、大した資料も無く、実物を見てみないと何とも言えない。

 だが、ゲームの知識で言えば、アレは黒蛛病に感染した人間の中から、新たな特異点を探そうとしているのだった筈。

 …俺が触れたらどうなるんだろうか?

 特異点モドキと名乗っている俺だが、終末捕食を起こす力は実際にあるし、蝕鬼の力で取り込んだノヴァの欠片は未だ体内にある。俺が新たな特異点として、正式(?)に選ばれるか? いやしかし、一度は終末捕食を発動させ、そして月まで行った…地球の側からしてみれば、特異点としての役割を放棄・失敗した存在だ。俺ならそんな奴に重要な役割を任せはしない。

 というか、元祖特異点の扱いはどうなってるんだろうか。シオの事は俺以上に徹底して隠蔽されているようで、情報がまるで手に入らない。未だに特異点としての性質を持っているのか、それとも俺が切り離した事で限りなく人間に近いだけのアラガミになっているのか。

 

 やっぱり実物を目にしないと、推測も立てようがない。いい事なのか悪い事なのか…普通なら確実にいい事なんだけど…、赤い雨は暫く近くでは降りそうにない。暫くは棚上げだな。

 

 

 

 

神逝月

 

 

 ギル君到着。うーん、ゲームでも思ったが、見た目と中身が釣り合わないやっちゃな。

 偏見と言われればそれまでだけど、妙に老けて見えると言うか。年齢、22歳らしいんだよな…。

 しかも一見すると精精気のいいにーちゃんにしか見えないのに、酒の飲み方が妙に渋いし、脳筋かと思ったら技術者やり始めるし。

 

 到着後の騒動は無かった。イメージしていたよりもつっけんどんな印象はあったが、それも例の事件でトラウマ出来てるからだろうか。

 ロミオとのケンカは必須イベントや伏線だったりしないので別にいいとして、交流を深めよう…としたらちょっと問題。やっぱりトラウマの為か、どこか余所余所しいし、必要以上に関わりを持とうとしない。

 ナナのおでんパンも突っ返されてたし。ちなみに、一緒にギルに話しかけていたロミオが美味しく頂きました。串ごと食べるのを、正気を疑うような目で見てましたが。

 

 

 ギル…呼び捨てでいいと言われた…の今後はどうなるんだっけか。トラウマの元になったアラガミと遭遇したが…あれは極東に着いてからだっけ?

 いや、ハルさんことムーブメント師匠が来ている間だから、やっぱ極東の前か。えーと、その前にアレだ、騎士道君が来て中型アラガミ相手に根性見せるのが先だっけ。

 考えるだけ無駄かな。バタフライ効果で何がどう変わってるか分からんし。

 

 

 考えてみりゃー、そもそもギルは血の力をどう考えているんだろうか。現状、確認できているのは俺とロミオとジュリウスくらい。それも観測しているのは、基本的に身内と言うかフライア内部の人間ばかりだ。それを資料として発表したって、ヤラセや出鱈目と疑われるのがオチだ。

 お偉いさんの中には、ちゃんと資料に目を通し、ジュリウスが実現してみせたりもして、証拠を見ている人間も居るだろうけど、少なくともギルはそれに当たらないだろう。

 ブラッドに所属…というより勧誘されてOKしたって事は、血の力は信じているのか…それとも、トラウマの地から離れられれば何でもよかったのか。

 

 

 

 …後者っぽいな。血の力を実際に使って見せたら、目を白黒させて「トリックじゃないのか…」なんて言っていた。ま、それが普通の反応だ。

 ついでに言えば、俺の事を聞いて首を傾げていた。事前に聞いていた編成人数と違う、と。まー色々あるのだよ。

 

 

 ま、歓迎会を遠慮したいってんなら、別のやり方で交流を深めるまでである。

 

 

 

 

 

 さぁ、狩りの時間だ。

 

 

 

 

 

 

 

 狩りの時間終了。

 いい腕してるけど、言っちゃ悪いがそれだけだな。動きが完全に弱小アラガミ…というか、割かし脆い相手を想定している。攻撃を加えて沈んだアラガミが、瀕死状態で反撃してくる、とかそういう警戒心があまり無いようだ。長丁場にも慣れていない。

 極東でも通じるは通じるだろうけど、暫くはカルチャーギャップに戸惑いそうだな。その暫くの間が、極東に入ってきた人には致命的な訳だが。

 

 

 

 

 …ところで、あれどうしよう。

 

 

「僕はエミール……栄えある極東支部第一部隊所属!エミール・フォン・シュトラスブルクだッ!!」

 

「そして僕はエリック。華麗なるエリック・デア=フォーデルバイデ。僕達が来たからには、ヒンデンブルグ号から飛び降りたつもりで安心してくれたまえ!」

 

 

 エリック、それは一種の自虐ジョークなのか? それとも独特の言い回しをしてるだけなのか?

 と言うか、誰だよこの人事考えた奴…。

 

 

 

神逝月

 

 

 大事になる前に身を隠した。エリックさん、俺が何やったか知ってるかな。

 …知ってそうだな。第一回終末捕食の時は、詳細は知らされてなかったろうけど。ノヴァの欠片の時は極東ゴッドイーターの多くが俺の幻を探し回ってたらしいし、何らかの繋がりに気づいてもおかしくない。

 …気付いたところで、全うな結論が出てくるのかは別の話だが。

 

 とりあえず、適当な所でエリックさんと接触し、極東の情報を仕入れておきたい。場合によっては、こちらから伝言を頼むか。

 正直、マトモに伝わるか疑問である。

 

 いや、決して悪い人達でも、信用できない人達でもないんだけどね。エミールと会うのはこれが初めてだけど、エリックさんとは前ループでも今回のループでもそこそこ付き合いがある。

 言い回しは独特だけど、視野が広く頭のいい人だ。常人とは色んな意味で違う視点から考えているので、理解されにくいだけで。

 エミールも、ゲームと同じような性格だとすると、言い回しが只管にくどい上、思い込みで明後日の方向に只管突っ走る人種のようだが、これまた信用はできるだろう。

 ただ二人揃って、隠し事という点についてはこれ以上無い程に信頼も信用も出来ないが。

 ラケルてんてーのお膝元で、妙な事を口走られても面倒だ。

 

 

 …そんな事を考えてたんだが。

 

 

「極東の人って事は、教官の事も知ってるの?」

 

「む? キョーカンなる名の友人には心当たりが無いが」

 

「いやエミール、世界には既に友人になった人物と、これから友人になる人物しか居ないよ。なので、華麗に断言しよう。心当たりは無いが、その人物は僕達の友人だ」

 

「それもそうか! はっはっは、一本とられたな、我が好敵手よ!」

 

「……何なんだこいつら…」

 

 

 …相変わらずぶっ飛んだ思考回路してなさる。言ってる事はわかるんだけどね、大仰にしすぎなだけで。

 ギルとナナが戸惑っているが、代わりにロミオが俺の名前を出してしまった。オノレ、余計な事を。

 

 

 

「ああ、彼の事はよく知っているよ。話した事は数える程しか無いが、世界を救う為に過酷な運命を歩みきり、今なお育つ希望の種を遺した、最も華麗なゴッドイーターと言えるだろうね。僕とは思想の違いもあったし、聞いた話では本人にも色々問題はあったそうだが」

 

 

 上田に言われたくない。

 

 

「うむ、伝聞でしか聞いた事は無いが、今の世界と極東があるのは彼のお陰といっていいだろう。栄えあるゴッドイーターの一員として、僕も一度会ってみたかった。緑の君よ」

 

「…緑の君、ですか? 教官、別に緑色じゃないんですけど」

 

「緑と言うのは、自然という意味の緑だよ。彼が何処からか齎した、新たな植物は極東を覆わんばかりに育てられていてね。あれのお陰で、食糧難に苦しみ人々がどれ程助けられた事か」

 

 

 

 …どうやら未だに、農園は拡大を続けているらしい。MH世界の植物が3年かけて繁殖…。いったい何処まで広がっているやら。

 妙な渾名は置いといて。

 

 

「時に、彼がどうかしたのかね? 詳細を知りたいのであれば、極東のアーカイブよりも、農園管理団体・GKNGが彼についての書籍を発行しているので、そちらを読むといい」

 

「少々機密事項に関する記述もあるが、そこは華麗にスルーしてくれたまえ。下手に首を突っ込むと、危険が危ないよ」

 

「…GKNGって?」

 

「Growing Keeping Natural Group……英文としては完全に成り立たないが、自然食材を育て保護する団体の意味だ。…ああ、そう言えばこれは偽名であり、(G)現世に出現した地獄の中で(K)輝きを失わない(N)ノゾミちゃんを影に日向に(G)護衛する会だと言われてもいるな」

 

「誰が言い出したのかわからないが、この華麗とはとても言えない名称が既に広まってしまっていてね。この団体の創始者が彼である…と主張しているんだ。実際、それらしい目撃情報や証言も多々あるんだけど、ちゃんとした資料は無くてね」

 

「はぁ……で、どうなんですか教官」

 

 

 …………そーねー、そんな事もやったねー。でもそんな団体になってるのは初耳だな。

 

 

「………………」

 

「む? 君はどちら様かな?」

 

「……………な」

 

 

 …………おいロミオ、お前後で久しぶりに特訓フルコースな。

 エリックさんお久しぶり。

 

 

「げっ、何で!? 話振ったのナナじゃないすか!」

 

 

 名前出したのお前だろーが! ナナは別途オシオキします!

 

 

「えー!? 私も!?」

 

「み……み、みみ緑の君!?」

 

「なんと、彼がかねエリック! お初お目にかかる! 僕はエミール……栄えある極東支部第一部隊所属!エミール・フォン・シュトラスブルクだッ!!」

 

 

 

 エリックさんが仰天し、エミールは感極まって初対面から抱きついてくるし、なんやねんもう。

 

 

 

 

 暫くしてジュリウスがやってきて、騒ぎは鎮圧された。全員タンコブ一つずつ。

 

 

 

「…なるほど、事情は分かった。今回は不問に処すが、以後は場所を弁えるように」

 

 

 こいつらにそんな状況判断力があると思うかジュリウス。

 

 

「このエミール、常に天地に恥じ入るところの無い自然体である! …とは言え、他者の家で騒ぐべきではなかったか。騎士として謝罪させていただく」

 

「僕も久々に醜態を晒してしまったね。次の機会があれば、もっとスマートに盛り上げる事を約束しよう」

 

「…………」

 

 

 あ、突っ込みを諦めた。と言うより、下手に突っ込むとジュリウスの方がアカンのだよな、コレ。

 極東から派遣されてきた協力者を、話も聞かずに鉄拳制裁したんだから。今もコッソリと冷や汗をかいているようだ。

 

 

 あー、まぁ騒ぐだけ騒いだ事だし、エリックさん、ちょっと旧交を温める時間ある? 極東がどうなってるのか、色々聞きたいし。

 

 

「ああ、勿論さ。話すべき事は山のようにある。エリナの事、GKNGの事、リンドウ君の事、シオ君の事…一晩程度じゃ語り明かせないよ」

 

「旧交を暖めるのは実に素晴らしい光景だが、僕がちょっと寂しいのでブラッド諸君、話し相手を頼むよ」

 

「……よし、ロミオ任せた」

 

「俺かよ。…まぁいいけど」

 

 

 平然と受け入れる辺り、ロミオも変人に耐性がついてきたようだ。誰のせいだろうね?

 なんだかんだでコミュ力チートの片鱗はあるんだよな…。血の力無しでも。

 

 

 

 この後、話をする前に一度ミッションに出撃し、「騎士道の勝利だー!」と「華麗に殲滅!」という一幕があったが、それは省略する。

 …うーん、やっぱ経験の差か、エリックの方が腕はいいな。今のエミールが問題外(極東基準)という事もあるが。

 

 

 

 

神逝月

 

 

 ちょっと間が空いたが、エリックとエミールが極東に戻っていった。俺の存在は、支部長と榊博士、アリサとレアにだけ伝えるようお願いしておいたが…正直不安だ。

 まぁ、実際に終末捕食で俺が何をしたのか知ってる人はごく少数だから、知られたとしても『奇跡の帰還』とか『潜伏しての長期間任務』で誤魔化せると思うが……ああ、でもアーク計画に賛同していた人達も居たんだよな。そいつらからしてみれば、俺は計画を潰した張本人…って事になるのか? 影から狙われる可能性も考えておこう。

 

 

 にしても、エミールの実力が何とも評価し辛かった。オウガテイルにも梃子摺る癖に、中型アラガミと乱闘しても平然と戻ってくるし、「あ、これヤバいんじゃね?」という状況になっても一定以上のダメージを受けない。

 相手が何であっても、一定の成果を出すと言うか、一定の成果しか上げられないと言うか。…妙な血の力でも使ってんじゃなかろうか。

 

 

 

 で、エリック達と入れ替わりで、今度はシエルが参入してきた訳だが………目、眠そうだね。

 こっちはあのopa-iを見てあっという間に目が覚めたのに。…持て余してるからなぁ、性欲…ナナだけでもギリギリだったのに、シエルまでか…。どうやって処理しよ。

 フランさんに軽く声かけたりしてみてるんだが、軽く流されてしまう。切れ長の目で呆れたように見られると、ちょっとゾクッと来た。滅茶苦茶にしたくなって。

 

 

 

 ふーむ、それにしても…こう言っちゃおかしな感じだが、ラケルてんてーにちょっと印象が似てるかな。ゲームの中ではそんなイメージは無かったんだが。

 特に胸部装甲は似てないが。

 

 お人形さんっぽいと言うか……ああ、現状ラケルてんてーのお人形さんみたいなもんか。話してみたけど、正直珍しいキャラクターだ。

 悪い意味で、ガッチガッチの兵隊っつーかね。そういう風に育てられて、それ以外の事を知らないって事なんだろうが。

 秀才と言うより、ガリ勉に近い。遊び方を知らない所も含めて。

 

 

 …気のせいか、俺の事を警戒しているように見えるが…まぁ、俺って立ち居地的にはブラッドですらないからな。ゲームで主人公の立ち居地だった、隊長・副隊長の立場は、現在はロミオとジュリエット…もといジュリウスが勤めているし。

 書類的に考えれば、今の俺はフライアに搭乗していない、不法侵入者同然だったりする。まぁ、こっちとしてはその方がありがたい。色々裏で動けるからね。

 

 

 

 

 

 正直、シエルはこの状態じゃ歓迎できんな。

 綺麗所や戦力が増えるのは諸手を挙げての大歓迎なんだが……なんだろ、同じ職場に空気が読めない奴が入ってきた感じ? 俺だってあんまり読まないけども。

 最低限、極東に行くまでにはどうにかしたい。ハッキリ言うが、今のシエルじゃ通じない。コミュニケーション能力もだが、実力的に考えて。アラガミとの実戦経験が完全に足りてないのを、知識で補おうとしてるからなぁ…。

 それ自体は悪い事じゃないんだが、経験や実感にこそ頼るべき部分まで、知識に頼っている。……要するに「濃い」連中を相手に、一般人相手の対象を基にして接しても、上手くいくはずがないってだけの話だが。

 

 まぁ、全うな教育を受けてないって証明でもあるか。このご時勢で、全うな環境と教育を受けられるのがどれ程幸運かって話でもあるが、それにしたって偏ってるもんだ。

 

 

 色々考えてみたが、やはりシエルが相手でも狩りからのコミュニケーションが一番いい方法だろう。今のシエルにとって、アラガミ討伐・ゴッドイーターとしての使命こそが存在理由のようだし、無理に他の事に興味を持たせようとするのは難しい。

 ゲームのシナリオでもそうだったが、「明らかに効率的でない手法なのに、自分が考えているよりもずっといい結果が出ている」という辺りから自分のやり方に疑問を持ち、変わり始めていたように思う。

 …いや、例外あったな。極東のカピパラには一発KOされてたっけか。うん、最悪アレをだっこさせればいいか。その内、うかつに持ち上げるとグキッと行きそうな大きさになるけど。

 

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