現実には初期アリサやサツキさんなんてメじゃないくらいにイヤなヤツが一杯居て困る。
上の上の上司も「空気悪くしてるから止めさせようぜあいつ」なんて言う始末。
そう考えて読み返すと、ツン期も微笑ましいかな…。
泣いたり笑ったりできなくさせてやりたいが、その前にまず自分が泣いたり笑ったりしなくなるようになるべきか…。
久々愚痴ってしまいましたが、失礼いたしました。
お詫びと言ってはなんですが、外伝付です。
追記 26日に、間違って一瞬だけ185話を投稿してしまった件。
申し訳ありませんでした。
神戻月
新しい月に突入。月末月初は棚卸が面倒くさいね。よーわからんけど、決算月とやらの為、普段の棚卸よりも更に面倒くさかった。
シエルが超手伝ってくれたのが助かったんだが、一応フライアに所属って事になってるからね。社外秘の部分も多かったから、手を貸してもらえたのは一部だけだ。
で、そのシエルなんですが……「友達の儀式」を毎晩せがんで来ます。ナニの快感が気に入っただけでなく、深く繋がっているという実感が何より嬉しいようだ。
ご希望に応える為、少々アクロバティックな体位でより深く繋がるというか捻じ込むようにしています。こう…グイッと一番奥の壁を抉られるのが大好きなようです。
遠からず、一番の性感帯はボルチオになると思われる。
肉体的には今関係を持っている中では最年少なのに、上の口でも下の口でも一番奥まで歓迎してくれる。
幼げな風貌と、体に似合わないくらいの巨乳と、俺のをグロテスクなくらいに咥え込む部分。すげーギャップだ。
…ちなみに、初体験の画像はデジタルで保存してあります。翌日にはシエル・レア・アリサで鑑賞会までやってました。…勿論、その間に盛り上がって3人レズプレイに発展してたけどな!
それをこっそり撮影…盗撮にあらず…していたんだが、その辺も含めてしっかり保存してあります。シエルが個人的に家宝にするつもりのよーです。
しかしまぁ…レアからお許しが出ているとは聞いていたけど、許すどころかえらい嬉しそうだ。何? カワイイ娘が増えた? 家族が増えたよ、やったねレアちゃん! …増えるじゃなくて増えた、だからセーフかな。
…ほんとに母性が溢れてるなぁレアは…。尤も、その母性でナナを癒していたすぐ後で、新しい娘を性的に弄っているのだから、えらく業が深い母性だが。
シエルの事は、以前から気にかけていたらしい。マグノリアコンパスでの軍事教練…或いは、その名を借りた実験や虐待…は相当なものだったらしく、機械のようになってしまったシエルをどうにかしたいと思っていたとか。…その当時は、ラケルてんてーの下に居たので、思うだけで何もできなかったそうだが。
ちなみに、シエル的にレズプレイにはあまり抵抗が無いらしい。レアもアリサも、最初の一回は対抗意識とかもあって躊躇いが強かったんだが…まぁ無理もないよな、男2女1でそーいう事するとして、男同士で触りあう気になるかって話だもの。
でも色んな意味で純粋培養なシエルは、女同士だろうと全く躊躇い無し。ちょっと世間一般とは感覚がズレてるな、やっぱり。まぁ俺的には嬉しいけどね。これなら色々仕込むのも楽そうだ。ストレスや嫉妬によって殺傷に走る可能性も低い。
それはそれとして、ナナの一件でちょっと進展…いやトラブルがあった。いや、おかげでナナのトラウマも乗り越えられたみたいだからいいんだけどね。
それと言うのも、レアがナナを気晴らしの散歩に連れまわしていた時の事だ。
最近ではナナの誘因も、大分コントロールが効くようになってきた。一週間以上、ほぼ缶詰状態で訓練訓練だったもんなぁ。そんなんだから、ナナもかなりストレスが溜まっていた。
誘因が発生しても、止めるだけなら自力でどうにかできるようになってきた事もあり、ようやく外出許可が下りた訳だ。
…でもなー、ここで俺や榊博士に見落としがあった。ナナの最大のトラウマは、誘因そのものじゃなくて、それで「母親を死なせてしまった事」だった。
普段の訓練とは違い、レアという母親役と一緒に行動し、そして不意に誘因が発動する。…冷静な状態であれば、ナナは自力でコントロール…完全には止められないまでも、その力を弱めるくらいならできただろう。
しかし何ともタイミングの悪い事に、そこでアラガミが登場してしまった。…どうやら、寄植種が「散髪」を受けに来ていたらしい。
アラガミ登場、「母親」がここに居て、誘因も発動している。更に言うなら、ミッション中でもないので神機すら無し。
パニックを起こすには、充分すぎた。そしてそのパニックに引きずられるように、誘因の力がどんどん強くなっていく。
幸い、その場で襲ってきたアラガミは、駆け付けた防衛班のブレンダンさんに対処されたが、そこからが問題だった。ナナの力によってアラガミ達が呼び寄せられ、ブレンダンさん一人ではどうにもできない状況になっていく。
神機を取りに行こうにも、それだと居住区を抜け、アナグラまで行かなければならない…つまりそこのアラガミを呼び込む事になる。
で、咄嗟にナナがとった行動は…ゲームの行動を、更に無謀にしたものだった。
レアが止めるのも聞かずに、ゲームシナリオ同様、近くにあった車を動かして(鍵付きっぱなしかよ!)アラガミ防壁の外へ突撃。…ただし、武器は一切持ってない状態で。
それから暫く、アラガミ達の妨害を掻い潜りながら逃げ回ったらしい。
連絡を受け、俺達が現場到着するまで、約30分。車の轍を追いかけて追いつくのに時間がかかりすぎた。
追いついた時、既に車は炎上しており、ナナの姿も無し。近場の敵を掃討しつつタカの目で追いかけると、どうやら車がオシャカになる寸前に外に飛び出して、何とか逃げ隠れしていたらしい。
炎上してから、約20分ってところか…。誘因によって居場所がすぐバレてしまう事を考えると、それだけ逃げ回れたのは大したものだ。
散会して掃討・捜索を始める。ナナを発見したのはロミオだった。どうやら「対話」で反応を探ったらしい。
居場所さえわかれば、話は早い。
その場に急行し、近場のアラガミをサクサク全滅させた。最近ではブラッド隊も、極東のアラガミに慣れてきたからなー。秒殺とは言わないまでも、コンビネーションと分断を駆使して確実に素早く仕留められるようになっている。
持ってきたナナの神機を手渡して、その後アラガミの殲滅は一旦完了。だが、このままだとまたすぐに集まってきてしまう。何が悪いのか、誘因のコントロールは未だに効かず、どうしたものか……という話になったんだが。
超展開で解決しました。。
「ナナ!」
という叫びと車の音がしたかと思えば、なんとレア登場。護衛もつけずに追いかけてきたらしい。
途中のアラガミを、行きがけの駄賃に打ち抜いておいてよかった…。
車から飛び降りて、一直線にナナに駆け寄って抱きしめる。戸惑うナナと、「よかった…本当に、無事でよかった…」と涙目で繰り返すレア。
「母親」に抱きしめられた事で気が緩んだのか、それとも何かしらのフラッシュバックでもあったのか。
「ふ…ふぇ…ふぇぇぇぇぇ」と、ナナは子供のような声で泣き出した。涙声で「ごめんなさい、ごめんなさい」と何度も謝り、レアに力なく縋り付いていたが、何となく…「もう大丈夫なんだな」って思えた。
事実、泣き出した辺りから、ナナから放たれていた誘因の力は急激に弱まり、既に消え去っていた。
神戻月
また娘が増えたねレアちゃん! …ナナがね、レアを母親扱いしてるのよ。別にママと呼ぶ訳じゃないし、死んだ母親の代わりにしている訳でもない。単純に、母親みたいな人として慕っているだけだ。
精神的にも安定したようで、誘因の力も何がどう作用したのか、コントロールできるようになっていた。
榊博士曰く、「色々吐き出したのが良かったんじゃないかい?」だそうな。
正直、俺の与り知らぬ所で色々始まって色々終わった感が否めないが、まぁ収まる所に収まったって事か。
さって、そうなるとこれから色々どうすべぇ。
ゲームでのメンバーも揃い、ロミオ以外は(表向き)血の力に目覚めた。ゲーム通りなら、今後は焦ったロミオによって色々揉め事が起きてしまう訳だが、今回のロミオじゃな…いや悪い事じゃないんだが。
実際、ロミオの血の力をいつまで隠しておくかって問題もある。正直、今となってはあまり意味がないような気がするし、本当に気づかれてないのかという疑問も強い。
仮に気づかれているのだとしたら、ロミオがラケルてんてーに反目の意思を持ちつつある事も気付かれているだろう。始末されそうになったら、極東に逃げ込めとでも伝えておくか。
ラケルてんてーの計画を考えると、ブラッドの中で少なくとも一人、犠牲が出る事が前提になっているだろう。
それは綿密な計画によるものかもしれないし、幾つかタネをばらまいておいて、それらが偶然連動するのを待っているのかもしれない。少なくとも、次善の策や予防策が山ほど設けられている事だろう。
どう出るか予想もつかない。強硬策をとってくる気もするし、逆にどうなっても構わないと思っている気もする。
…考えてみれば、ラケルてんてーの行動待ちばかりだな。ブラッドの面々には、血の力に目覚めてもらわなければいけなかったから、ゲーム通りに話を進めてた訳だが…こっちから反撃、仕掛けてみるか?
手札も…あまり気は進まないが、あるにはある。と言うより、ラケルてんてーって基本的に叩けば埃が山となる人種だからな。
父親殺しに始まり、子供達への人体実験とか。孤児院のフリして軍事教練受けさせてるのは…まぁ、教育の一環と言い張れない事もないか。
レアの証言を得られれば、ラケルてんてーの社会的立場は一気に悪化するだろう。ただし、その場合はレアもただでは済まない。本意ではなかったとは言え、色々やらされてきたみたいだし。
…何よりその場合、ブラッド隊からの反発がすごい事になりそうだが。ロミオ以外は、本性にちっとも気づいてないみたいだし。
ブラッド隊からしてみれば、言いがかりというか冤罪を着せられて破滅させられそうな恩師を助けよう、って考えになるだろうしなぁ。ブラッド隊を敵に回さない為には、やっぱりラケルてんてーの行動の後に反逆する必要がある。
神戻月
ラケルてんてーの事はともかくとして、忘れかけていた件を思い出した。ロミオのモトカノの事だ。
とりあえず誰なのかを調べてみたんだが、割とアッサリと調べはついた。フライアの入館記録を見て、頻繁に出入りしていた同年代の少女…これだけで思いっきり絞り込める。
まぁ、その入館記録はこっそり盗み見したんですが。
名前には全く聞き覚えがない。少なくとも、ゲームに登場した人物じゃなさそうだ。
お偉いさんの娘さんらしいので、周辺の状況も探ってみたが…まぁ、普通の女の子やね。お偉いさんの子供として、割と自覚のある行動をとれる子のようだが、言っちゃなんだがせいぜい学級委員長止まりか。
一時期を境に、フライアに訪れる事が全く無くなり、本人も沈んだ様子が多くみられるようになった…らしい。最近では既に立ち直っているようだ。
…肝心の、ロミオに対する未練はどうかな?
少なくとも、失恋&初体験の失敗(いや体験事態は成功してんだけど)を拗らせている…という訳ではないようだ。少なくとも、反動から妙な性癖拗らせて、相手を構わず股を開くような○ッチにはなっていない。
また、特定の相手との個人的付き合いもなく(ボッチという意味ではない)、ロミオに対する未練は……あるか無いかはこれから調べる。
また、トラウマになっている可能性がある、エロに対する反感は…どうだろうな、これも調べないと。
幸い、極東からそう遠くない場所で暮らしていて、こっそり接触するのも難しくはなさそうだ。
そうだな、ロミオの写真か映像でも見せて、反応を伺ってみるか? ロミオ本人を連れていくのはダメだ。今のあいつなら、雑踏ですれ違っただけでも気付きかねない。
調査にかけられる時間は、長くて2日程度。
その間、極東を離れる必要もあるな。
2日程度でも、当然アリサとレアはついて来るだろう。
そんな事を考えてたんだが、赤い雨が降るという情報が入ったため、急遽中止。また、支部長と色々協議した(と言っても、考えてるのは支部長一人だったけど)結果、黒蛛病を治療できた例がある事を公表することになった。
メリット・デメリット共に色々とあるが、今の俺はフライアではなく極東支部に所属している。何ぞ言われたとしても、ラケルてんてーにはそれをどうにかするだけの権限もなく、またフライアに出向させるという形になった場合、ラケルてんてーに貸しを作れる…という判断らしい。
まぁ、ラケルてんてーは必要であれば貸しなんぞ易々と踏み倒すだろうし、俺にも言ってない別の算段があるんだろうけどな。
ただ、公表するのは「極東のゴッドイーターが持つ特異な技術が功を奏した為であり、それらを医学的・科学的に立証する事は未だできていない」という段階まで。俺の個人名も伏せられて、極秘情報扱いされるらしい。
無理もないと言えば無理もないが、かなりの反発も食らうだろうな。世界各地に居る黒蛛病患者してみれば、方法はどうあれ完治する手段があるのに、それを故意に隠していると言っているようなものだし。
とりあえず、今度雨が降った時、複数人を観測しつつ治療を行う予定だ。
赤い雨が降ると思われるのは明日の午後。一人でも多く治療ができればいいんだが…。
神戻月
赤い雨が降った。隔離病棟がうめき声で満ちていた。ひどいもんだなこりゃ…。
それを見かねたのか、葦原ユノが隔離病棟に訪れていた。感染の恐れがある為、病室の中には入らせてもらえなかったようだが…それを言ったら普段も同じだと思うんだけどな。まぁ、苦痛で余裕のない患者が理性的な行動をとれるとも思えん、というのは確かにあるが。
彼女の歌で苦痛が和らぐという話もあったんで、歌おうとしたのかと思ったが…どうやら、マネージャーの高峰氏に止められているらしい。
まぁ、葦原ユノの感情はともかく、仕方ないと言えば仕方ない。雨が降り終わるまで、少なく見積もっても半日かかる。それまでの間、ずっと歌い続けたら、それこそのどが潰れて歌手廃業何てことになりかねない。
今回だけ、一曲だけ…を許していたらキリがない。「なぜあの時だけ歌ったのか」「どうして今回だけ歌わないのか」という話になると、それこそ炎上どころか噴火するだろーしな。
その辺、理解しつつも揉めてはいるようなんだが…録音した歌を流し続ける事で、どうにか妥協しているらしい。やはり、効果は落ちるようだが。
まぁ、その二人を後目に、治療実験に移る訳ですが。機材を運び込んで、もはや何を専門に研究しているのかさっぱりわからない榊博士が立ち会う事になっている。
…榊博士、どーでもいいですけど、アンタ毎回毎回平然とヤバいトコに足を運んできますね。まぁ、どうやったって死ぬのが想像できない人種だから、別にいいんですけど。
さて。実際の治療風景ですが。今回は患者(実験台)を個室に移動させる余裕もなかったのが、衆人環視の中で行う事になります。
しかも複数人同時は初めてです。
よくも悪くも、視線を集めたり、苦悶の声で集中を乱すような神経はしてない。治療自体は、まぁ上手くいったと言えるだろう。
個人個人で衰弱が物凄く激しかったり、気絶する程の痛みを感じる人もいたようだが、そこまで責任持てん。最悪、首筋に一撃して気絶させっから。
そういう訳で、苦しんでいる人達の中心付近で鬼祓いを初め、患者の中の余分な霊力を吸い寄せるような感じにしたんだが。
とりあえず覚えているのは、榊博士が病室だという事も忘れて興奮している声と、あまりよろしくない力が体に入り込んでくる不快感、それに助けを求める声くらい。
病室の外から除きこんでいた葦原ユノと高峰さんに後から聞いたんだが、吸い取った力…黒い蜘蛛の模様が俺の全身に這い回っており、本当に蜘蛛に集られているようだった…らしい。思わず悲鳴を上げそうになったとか。
ま、おかげで何人かの黒蛛病患者は完治。人によっては軽減までだが、大分楽になったらしい。
完治した人達は、まだすぐに退院とはいかない。本当に完治しているのか、再発の可能性はないか、何より感染しないかを検査する必要がある。尤も、まだ治ってない人達と同じ病室に居て、再度感染してしまったら元も子もない。接触感染のみとは言え、何がきっかけになるかわからないので、別の病室に移る事になった。
かく言う俺も、どう見ても感染者だったもんで、やはり入院。暫く狩りができないのが辛い。
一応面会謝絶状態だったんだが、アリサやシエルが何をやらかすか分からないと言う事で、早急な検査の末退院となった。ちなみにレアは、何かしそうだけど実力的に足りない(ポンコツだし一般人だし)と言う事で、脅威認定されてない。
で、結局検査の結果、完治した人達は問題なし。当面、接触感染の疑いも無し。それでも念には念を入れ、暫く監視と検査の義務が付く。
俺も同様…というか、理屈はともかく黒蛛病の因子が俺に凝縮されたと思われるんで、より一層念入りに検査されたが…まぁ、健康体である。
だって黒蛛病の力は、鬼祓いでほぼ浄化しちゃったもんな。まぁ、それでも治している最中に痛みはあったし、今も多少は体にしんどさが残っている。…どうにも覚えがある感覚だと思ったらアレだ、討鬼伝世界で瘴気で動けなくなりつつある感覚に近い。
アレも霊的な意味での毒みたいなものだから、似ているのも当然なのかもしれない。
まー理由はともかくとして、これで黒蛛病患者の治療の目途は立った訳だ。霊力以外でもどうにかなるのかは、これから榊博士が調べる訳だが。
とは言え、全患者を治せた訳ではない。
特に重症だった人達は治療が追いつかなかったし、逆に軽症だというのに、殆ど効き目がない人も居た。
その効き目がない人の中に、葦原ユノに特に懐いている子供がいたんだが…ひょっとして、ゲームでも登場したあの子か?
本人なのかはともかくとして、治療方法は模索しなければならない。
もしも何かわかったら、自分にも知らせてほしい…と葦原ユノに直接頼まれた。手まで握って頼まれた。ロミオならきっと舞い上がっているだろう。
さて、そういう訳でデータと睨めっこしている榊博士と、研究室で話し込んでいる訳だが…何気に深いトコまで突っ込んできたよ、博士。まぁ、いつ追及されてもおかしくないし、逆に追及されないって時点で色々な意味で大目に見てもらってるんだけど。
最初に聞かれたのは、「治療の効果の個人差が激しいが、これは何が原因だと思うか」だった。
俺が応えて曰く、「血の力、ないし他の『何か』の資質があるか…つまりは体質」。嘘は言っていない。現時点で俺に出せる回答としては、これが限界…いや、その一歩手前か。霊力を血の力と言い換え、『何か』の資質を特異点の資質と表現してないだけで。
それを聞いた博士は、その結論はどうやってだしたのか…と問うてきた。
どうやってと言われても、実際に赤い雨や患者を診てみて、更に治療した時の感想から…と言おうとしたら、その瞬間に「君が最初から持っている知識によってかい?」と遮られた。
それだけだったらトボける余裕もまだあったんだが…続けて「それとも、『前回』の結論から?」と。
つい言葉に詰まったところ、ナルホドと勝手に納得し、またデータと睨めっこだ。
…どういう意味だったのかね。
いや、俺の知識とか、黒蛛病とかを治した力の出所を怪しんでるんじゃないんだよ、多分。もっと根本的に…俺がおかれている、ループという環境に気づかれているのかもしれない。
まぁ、だからと言って困るような事もないんだが。
まぁ、とにかく暫くの間、俺は極東で黒蛛病の治療に専念する事になる。
つまりは、仮にフライア・ブラッドがどっか別の場所に移動する場合、シエルと離れ離れになる事になるんだが…………なんちゅーかその、かなりヤバかった。
アリサのファインプレーがなければ、シエルが思い詰めてブラッド辞めて極東に来たかもしれないくらいだ。まぁ、アリサ的にはそれはそれでオッケーだったみたいだが。
ファインプレーの内容? …離れているからこそ出来る、アレとかコレとかだよ。具体的には写メとか。遠距離での『命令』とか。そーいうのを、「絆を確かめ、高めあう為の行為」として教え込んだらしい。物は言いようだなオイ。
…そのファインプレーのおかげで、ちょっと引っかかっていた疑問が解消された。
アリサとシエルが会った時に、アリサが妙な煽りを入れていた件だ。シエルに向かって「セフレという友人関係もありますよ?」みたいな事を囁いていたようなのだが、そもそもどうしてそんな事を言ったのか疑問だったのだ。
本人はレアと自分の命の為(レアの心臓が一回止まった後だったから、思わず納得してしまった)と言っていたが、それにしたって割と常識人(極東基準)にのアリサが、初対面の相手にそんな誘いをするものか?と思っていたんだ。
いや、疑似母子でレズプレイしている時点で常識もクソ(ス○トロではない)もないと言われりゃそれまでだけども…とにかく。
どうやらアリサ、この3年間レアと何度も睦んでいた為か…本格的にレズのケが芽生えてきたようです。俺が本命だからバイか。
シエルを一目見た時に、つい「あ、この子乱れさせてみたい」と思ってしまったそうな……まぁ、気持ちはよく分かるな。年齢に見合わないボディとクールさと純粋さを、好き勝手に染め上げてみたくなる。というか染め上げている真っ最中ですが。
とにかく奥まで咥え込みたがるから、もう完全に子宮が形を覚えて…いやそれは置いといて。
レアに話を聞いてみたところ、この3年…いや最近の1年くらいは、時々女の子を見て妖しい目をしていた事があったらしい。…想像すると割と似合うな。ゾクゾクするぜ。
まぁ、レアが体を張って(欲求不満を鎮める為にも)アリサを受け止めていたので、実害は出てないようだが……俺を取り合おうとするようなシエルを見て、対抗意識より先に「チャンス!」と思ってしまったようだ。
で、煽りに煽り、シエルもそれに乗せられて今に至ると。
…俺としては問題ないなぁ。
レアとしては……流石にシエルに手を出したと知られた時には正座で説教を受ける事になったが、自分達だけでは体が保たないのは自覚していたし、アリサが煽ったのも予想していた。
更には、シエルをそのまま放り出す訳にはいかない…まだラケルてんてーの下に居た頃から、シエルの脆さはよく知っている。
結局、言いたい事は多々あれど、認めるしかない状態だった。
…その夜は、シエルとレアで色々シチュエーションプレイをしたから、割と好意的に認めてくれるようになっていると思う。
例によって例のごとく、またしても同じように毎回毎回芸が無く夢を見ているようだ。それはいいんだが、今回はまた随分と気分が悪いというか陰気な夢である。
何が酷いって、こう…景色がなぁ…。もう陰気で陰気で。ある意味絶景ではあるんだけど、漂っている雰囲気が暗すぎてヤバすぎて…一般人でも即「ヤバイ」と分かるくらいにおどろおどろしい。
絶対何か出る。モノノフの俺が言うのもなんだけど。
見渡した限り、確認できるのは…まず正面にある鳥居と、その奥の…神社? 神殿? 何か階段が続いているが、途中で壊れているようだ。
周囲にあるのは、湖や海って言われるよりもヘドロ溜まりって言われた方が納得できる水溜り。どうやらここは浮島か何かで、このヘドロの海に浮いているらしい。
背後は……ああ、一応道はあるな。でも見たところ、コッチに進んでも何があるか分からないし、おどろおどろしさも消えそうに無い。
まぁ、正面の方は、おどろおどろしいを通り越して物凄い瘴気が渦巻いているんですが。討鬼伝世界の異界の瘴気と似たようなものだと思うけど、禍々しさは段違いだ。
明らかにこの先、何か居るよなぁ。それも古龍並みにヤバいのが。
わかってても進むんですが。ハンターのサガでもあるし、どーせ夢だと割り切ってるし、怖いもの見たさもあるしね。
…で、進む訳ですが……さっきから、そこの岩陰でgkbrしているおっさんは何ぞ?
試しに話しかけてみたところ、最初に気が狂ったんじゃないかと思う程驚いて、10秒程したら落ち着き、「うぉっほん!」なんて声が聞こえてきそうな動作をした。
ただし、実際に聞こえてきた声はなんちゅーか「ホニャラフニャヒニャニャ」みたいな訳の分からん声でしたが。それでも何故か意味が分かるこの不思議。
開口一番に「妖怪か」と問われたが、妖怪じゃねぇよ…妖怪を宿してるが。人間とも言いづらいが。
で、このオッサン、どうやら大剣士スサノオというらしいんだが…なんだ、この…アンバランスな人だな。
紫色の服、もじゃもじゃのヒゲ、禿げた頭に赤い鼻。
見た所、確かに大剣士を名乗れるくらいには鍛え上げているようだし、技術は…分からんが、多分小手先より気迫の一撃で勝負するタイプだ。
体に宿している霊力もかなり強い…なのに、さっき見たようにガクガクブルブルしてとても戦えそうにはないし、持っているのは剣どころか木刀である。
なんというか、積み重ねてきた素質と鍛錬を、精神一つでダメにしちゃってるような印象だ。
俺の印象はともかくとして、このオッサン、この奥に居る大妖怪に用事があるらしい。「成敗する!」と見得を切っているはいいが、今この瞬間も足が震えていた。
…無理しねーほうがいいぞ? と忠告はしたのだが、何でも惚れた女が攫われてしまったらしく、助けに行くのだそうだ。おーおー、いい英雄譚だねぇ。
ま、どうせ夢だし、付き合ってやっか。
で、その妖怪って何?
……ヤマタノオロチ?
まぢ?
詳しく聞いてみると、攫われたのはクシナダという女性で……うん、これアレだな。日本神話かと思ったけど、大神だ。
そういや、こんなシーンあったよな。もう殆ど覚えてないけど…まぁ、アマ公が直で見られるってんなら、危険を犯す価値はあるな。モフモフかつ人を舐めた態度を取るケダモノだけど、仮にも天照大神だ。見るだけでもなんかご利益あるかもしれない。
そんな訳で、アホみたいに濃い瘴気の中を進む俺とスサノオ。この瘴気、討鬼伝世界の異界の瘴気とは違うみたいだな。禍々しさはあるが、即毒になるようなものでもないらしい。そうでなければ、俺もスサノオもとっくにオダブツしているだろう。
で、そのとんでもない瘴気の中、小さくも力強い、温かい気配を放つ何かが移動している…うん、アマ公だね。あっちは元気に攻略を進めているようだ。
あっちのケダモノは心配なさそうなんで、こっちは道無き道を行きます。
これだけ強い瘴気の中なら、不完全ながらスサノオも妖怪を目にする事が出来るらしい。見たのは初めてだったらしく、天邪鬼を見て「意外とひょうきんな奴らだな…」みたいな事を呟いてたが。
流石に妖怪達から完全に隠れきる事は出来ず、何度か戦ったが…なんだ、スサノオ普通に戦えるじゃん。剣筋とかはお世辞にも綺麗とは言わないが、妖怪を撃退する為の気迫とかは充分だ。妖怪を怖がる…というよりも、見えない物を怖がっていたらしく、姿が見えていれば普通にやれるらしい。ま、天邪鬼の殆どは、顔を隠してるだけで人間か猿にしか見えないからね。
誰も居ない調理場や勝手に物が動く広場(全部妖怪の仕業…いやちょっとはアマ公もか)を通り抜け、壁はフリークライミングでスサノオを助けながら上り、進むこと暫く。
なんかドブ川みたいなひっでぇニオイが漂ってきた。…ああ、そういや妖怪がヤマタノオロチに出す料理作ってたな。人間としては絶対食いたくないが、ヤマタノオロチ的にどうなんだろうか、アレは。クシナダ姫の前菜として食わせてみて、感想を聞きたかったものだ。
何度目かの鐘の音が響いて…ああ、もうすぐアマ公とヤマタノオロチとの決戦か。ゲームのとは言え神話の戦い、是非とも目にしてみたいものだが…。
その辺のぶら下がってるモノを足場にして更に進み、長い道に出た。…ああうん、覚えてる覚えてる。この先がヤマタノオロチの広間だ。
既に決戦は始まっているらしく、神々しい力と禍々しい力のぶつかり合いが響いてくる。これは…余波だけでも結構キツいな…。
スサノオ、もうすぐだ。準備は出来てるか?
「ハニョフラホヒホニハハ」(うむ、このスサノオ、今回ばかりは退きはせん。ここに来るまで世話になった…あとはこの大剣士スサノオに任せておけ)
…便利だね、この世界の言葉。それはともかく、確かにスサノオには気力が漲っていた。この力のぶつかり合いも感じているだろうに、臆してはいない。ドタン場で肝が据わったか、確かにその姿は大剣士の名が違和感なく当てはまる。…スサノオに対する評価としては、違和感だらけだけどな。
ま、どっちにしろやる事は変わらない。スサノオについていけば、ヤマタノオロチが肉薄してくるので、確実に気付かれるだろう。別のルートからの侵入口を捜す。…スサノオの最後の一撃の前では、月の光に照らされるんだったな。上から行くか。
アラガミ化も使って、スサノオより先回り。上から2柱の戦いを覗き見する。
アマ公の隈取は見える…。でも筆調べはわからないか。アレを何とか覚えたかったんだけどな…特に花を咲かせたり浄化したりする奴を。
…うっは、こりゃスゲェ。今まで戦ってきた鬼やモンスターなんぞとは比較にならん。体内に渦巻いている霊力が、アマ公もヤマタノオロチも桁外れだ。これ、本当ならサイズを100倍くらいにしてやる戦いだろ。
が、その戦いの場に乱入する大剣士サマが一人。どう考えても無理無茶無謀に無知無智無恥なんだが、不思議とサマになっているのはヤマタノオロチが相手にしているからか、神話の一ページだからか…或いはスサノオ自身の力なのか。其れは無いな。
しかし、俺という異分子が離れているからか、話はゲーム通りに進んでいく。
む、アマ公の遠吠え。という事は…月が出た。おお、こんな瘴気の中でも絶景かな絶景かな。
光が降り注いで……スサノオの持っている剣…闘片撲だっけ? もっとマシな名前はなかったんかい、トウヘンボクって。ともかくあの木刀に…光が宿って………いや花を咲かせてもなぁ…。
しかし、そこからは凄かった。いくらアマ公との戦いで弱っているとは言え、あの日本神話の大怪獣の首を一手一手で落とすというのは、明らかに人間にあるまじき暴挙だろう。…そういや日本神話じゃスサノオも神だったっけ。
7本の首を瞬く間に両断し……しまった! 大神の最萌アイドル、雷の首を見てなかった!……、最後の一本は縦に両断。
改めて見ると凄まじいな。技の名前は意味が分からんけど。
で、落下してきたクシナダ姫を受け止めて、何か語ってるな。…ああ、大笑いした。ま、ハッピーエンドって事だろうな。
さて、俺はどうしよ。信仰心なんぞまるで無い身だが、アマ公の旅の一助として、何かお供え物でもしたいところだが……おろ?
花弁が飛んできた。これは……トウヘンボクの花ビラか? …まぁ、記念にとっておくか。あっと言う間にボロボロになると思うが、押し花にでも…。
「ワオォォォーーーーーンン!!!」
アマ公の勝ち名乗りの遠吠え…だけど違う、これは危険を知らせる!?
咄嗟に顔を上げた時、既に遅かった。目の前に迫った、異常な密度の瘴気の雲が直撃する。
…ああ、そういやこんなのあったね。ヤマタノオロチの体から、幾つかの瘴気が立ち上って飛んでいくってのが。それが直撃した訳か。運が悪かったのか、それとも狙われたのか…。
何れにせよ、夢はそこで覚めた。
目を覚ました後に試してみたが、やはり筆調べは発動せず。ま、仕方ないね。俺、字ぃ汚いし。絵だって、アレで発動されたらむしろエラい事になってしまいそうだ。新手の妖怪を作り出してしまう。
代わりにあったのは、あの時掴んだ花弁…トウヘンボクの花弁だ。
…いやこんなモン持って帰ってきてもなぁ…。押し花にはしておくけど、栞くらいにしかなりゃしないよ。
日記の栞にするかな…。
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ところで皆様、疑問は無いだろうか? アマテラスの力を受けて、トウヘンボクは花を咲かせた。その花が普通の花だと思うか?
また、スサノオはその武器を以て、ヤマタノオロチを切り裂いてトドメを刺した。それはスサノオ自身の力でもあるが、やはりトウヘンボクと、宿った力も無視できない。
何が言いたいかと言うとだな…。
今は日記の栞にしかなってない花弁だが、儀式や鬼祓の道具として使えば、それこそ無傷の大型の鬼をダース単位で一瞬で浄化してしまえるくらいの力が宿っていたりするのだよ!
勿論、黒蛛病患者を相手に使えば、赤い雨とか体力消耗とかそんなの無しに一瞬で完治だ。
でも気付かないから、そんな神アイテムは今日も日記に挟まるのだった。
時に、妖怪に二郎丸・三郎丸と言う「結婚を許されなかった男女が海に身を投げこの姿になった」と解説があるのが居るが、何故に二人とも丸…。やはりホモだから結婚が許されなかったんだろうか。
外伝 大神編。
次はEDFを考えなくもないが、ネタが出たとしても多分討鬼伝世界でストーリーが進んでからになると思う。
EDFで無双するのはちょっとな…礼賛乙取ってノーマルで楽勝してたけど、やっぱ四苦八苦してた時期の方が長く楽しめたのは確かだった。