※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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3日に突然日間5位まで浮上しててフイタ。
…やっぱアレかな、1日投稿感覚を間違えたからだろうか…。
あれー、来てないぞー、もうちょっとしてから見てみよう。を繰り返された結果だろうか…。
申し訳ない。


ちょっと無気力気味?
相変わらず脇腹が痛いし、それ以前にこう…何もする気にならない。(ゲーム以外)
うぅむ、やはり酒量を減らすべきか…。


第209話

魔禍月

 

 

 

 あと数時間もあるけばウタカタ…と言ったところで、異変発生。上からヒノマガトリが落っこちてきた。ついでに桜花も降りてきた。

 上を見れば、崖の上に槍の穂先が見える…ありゃ伊吹かな。

 

 

「何者だ?」

 

 

 何者って…ウタカタに配属されるモノノフですが何か?

 

 

「何? 援軍が来るという話は聞いていないが」

 

 

 あー…命令書ならありますが。引っ越しのドタバタで、来るのがちょっと遅れてますけども。ちょっと待って、確か荷物の一番下に…。はいコレ。

 

 

「む…確かに…。だが、君の配属についてしか書かれていないが。残りの4人は………べ、紅月殿!? マホロバの里の紅月殿か!?」

 

「ええ、私は確かに紅月です。…どこかでお会いしたでしょうか?」

 

「い、いえ、直接会うのは初めてです。何度か戦っているのを遠目に見た事があるだけで…」

 

「そうですか…私も貴方の噂は聞いています。ウタカタの里の桜花殿」

 

「こ、光栄です…」

 

 

 …なんぞ? そういや、紅月ってイツクサの英雄とか呼ばれてたんだっけ。桜花がミーハーになってもおかしくないか。

 しかし、ちょっとドジったな。俺にしろホロウにしろ、九葉のオッサンから異動の命令とか正式に出してもらえばよかったか。そうすりゃ、少なくともウタカタで使わせてもらえる家を掃除しておいてくれただろうに。

 

 …ま、いいけどね。流れのモノノフなんぞ珍しくもないし。

 

 

「話が逸れましたが…彼らの身分は、私が保証します。また、諸々の事情により、暫くウタカタで戦わせていただきたいと思います。大和殿へのお取次ぎをお願いします」

 

「承知しました。…ところで、身分はともかく、彼らは一体?」

 

「む、鍛冶師修行中の清磨だ」

 

「ホロウです。流れのモノノフ…と言う事になっています」

 

「なっています?」

 

 

 ホロウ、ややこしい言い方をするんじゃない。実際流れ者状態だろうが。

 あー、俺は…正式(笑)な書類があるからいいか。

 

 

「私は…モノノフの訓練兵だな。見ての通り貴方達からすれば異国の出身だが、日本語は出来るので気軽に話しかけてほしい」

 

「お、おう…」

 

 

 ちょっと気後れしているようだ。金髪碧眼がそんなに珍しいか。…珍しいな、現状では。

 グウェンは色々事情があって、霊山での訓練を一時切り上げて派遣されてるんだ。細かい事は霊山の九葉のオッサンに聞いてくれ。

 

 

「…九葉? 『血塗れの鬼』か?」

 

 

 …なんだそりゃ? 確かに鬼も逃げ出す悪人面ではあるが。

 

 

「…いや、何でもない。詮無い事を聞いた。何であれ、助っ人が来るのは大歓迎だ。こちらも中々切羽詰まった状況でな。…見た所、紅月殿は勿論、君達もかなりの使い手のようだ。期待させてもらうよ」

 

 

 どーも。ところで、崖の上に居たポニョ…もとい居た人は?

 

 

「ああ、伊吹なら一足先に里に戻した。こっちも色々と忙しくてな。それでは、ウタカタまで案内しよう。非戦闘員が居るから、鬼が出る道は避けていくぞ」

 

「すまん、手間をかける…」

 

 

 

 そういう訳で、若干曲がりくねった道を通ってマホロバへ。鬼疾風なら1時間かからなかったな…。こっちでも広めるとするか。

 …考えてみりゃ、逃げ足の速さが超強化されるからな…。斥候部隊の生還率も上がるかもしれん。

 

 

 

 

魔禍月

 

 

 ようやっとやってきました、ウタカタの里、今回ループが始まって約1か月と2週間。月日が過ぎるのは早いもんだ。

 その一方で、ウタカタは実に見慣れた景色が広がっている。里に来るまでの道を観察していたが、大きな戦いがあった形跡もなし。大攻勢もなかったようだ。

 

 …やはり、俺が来ないとストーリーが始まらないんだろうか? 考えてみりゃ、これまでのループでも里に来る時期はバラバラだったが、いつもゲームストーリーの初め頃からの始まりだったしな。

 まぁ、そうだとしたら準備にかけられる時間が増えるんだからいい事だ。…標的のイヅチカナタには、どんだけ大軍集めても意味無さそうだけども。

 

 

 とりあえず、俺達は無事にウタカタの里に受け入れられた。住居をどうするかって問題もあったが、清磨は「この辺の異界を巡っているから気にしなくていい」とか言い出すし、ホロウも俺も寝ようと思えばどこででも寝られる。

 なので、野宿に不慣れなグウェンと、紅月を里の中の家…ゲームで言う主人公の家で、俺も何度か住んだ事がある…に置く事になった。んで、俺とホロウは結界の際に近いボロ屋。申し訳ないと言われたが、屋根があるだけで十分です。大工仕事も出来ない訳じゃないしな。

 

 

 

 で、肝心のこれからの戦いだが…それぞれ分業と言うか、別の部隊に配属される事になった。

 ま、無理もないわな。紅月はイツクサの英雄と言われているだけあって、即最前線の遊撃隊と言うか切り込み役と言うか…いや、切り込み役は富獄の兄貴が居るだろうから、主に遊撃隊かな。

 グウェンはまだ訓練中、タマフリもまともに出来ない未熟者なんで、直接戦う事の少ない偵察部隊。

 

 そして俺とホロウは、里の防衛部隊。…何気に初めての配置だな。いつも好き勝手に出撃ばっかりしてたから。

 ここに配置されるのも、分からんではないな。紹介された際に、紅月が「彼は私より強いですよ」なんて言って一騒ぎあったものの、流石に突然信用はできんだろう。紅月がかなりの名声を持っているので猶更。

 「イツクサの英雄以上に強いモノノフなら、名前くらいは知れている筈」「でも誰も知らない」「しかし紅月が嘘を言っているとも考えづらい」「じゃあしばらく様子を見ようか」と、こんな所だろうか。

 

 

 なお、配属される際のゴタゴタは、思っていたよりは少なかった。

 グウェンの金髪碧眼も、前ループでは半分鬼の千歳を(少なくとも表面上は)最初から平然と受け入れていたウタカタの人達にとって、大した事ではなかったようだ。

 半人前以下を最前線のウタカタに寄越した事については、大和のお頭がOKを出した事で反対意見は封殺された。グウェンの保護者(?)が九葉のオッサンだって事を聞いたら、「そうか、奴か。なら必要な事なのだろう」と一人で納得してしまっていた。…知り合いなんだろうか?

 

 他にあったゴタゴタと言えば、何でマホロバの里の次期頭領候補がこんなトコに居るんだ、という事くらいだろうか。それに関しては、俺も未だに理解できていません。西歌のお頭に押し付けられて、いつの間にやらズルズルと…。

 

 …ゴタゴタが少なかったと言うよりは、有名人の紅月に意識や意見が集中して、こっちに飛び火しなかったって言った方がいいかな。まぁ、揉め事を引き寄せる性質らしいから、遠からず引火してくるとは思うけども。

 

 

 

 

 

 

 さて、里の防衛部隊って事で、俺とホロウは伊吹の部下として付く。よく鬼の討伐に出撃しているけど、一応所属は防衛部隊らしい。

 主な任務は哨戒、並びに里に近づく鬼の排除。…なんだけど、主力部隊に組み込まれてないだけあって、彼らの実力は良くて二流。いっそ、徹底して気配を消す訓練をさせて、偵察専門にすりゃ良かろうに。

 そんなもんだから、ちょっと強力な鬼が出たら、すぐに伊吹に頼る事になる。伊吹本人も、見た目や普段はアレだが、仲間の命がかかってると文句一つ言わずに出張るもんだから、そのスタイルが確定してしまっているようだ。

 

 これはアカン。問答無用でAランクSランクの改善事項だ。ゲームでも伊吹が間に合わずに死人が出ていたが、そうでなくても遠からず間に合わなくなる。今現在でも、例えば二か所で大型鬼に襲われたら、確実に一方は見捨てる事になるだろう。

 伊吹だってこのままでいいとは思ってなかったろうが、簡単に大型鬼と戦えるくらい強くなれる筈もないし、それくらいなら…と自分でやっていたんだろう。

 

 

 が、俺達にはうってつけの改善方法がある。そう、鬼疾風だ。やり方を広めようかなー、と漠然と思ってはいたが、これは思っていた以上の効果を出しそうだ。

 

 

 

 

 

 

 と言う訳で、新顔として紹介された初日から、鬼疾風の特訓です。顔出し早々、上から目線で訓練しろと言った事については反発が出たようだが、鬼疾風の実演をすると一転。教えろくだしあ、とばかりに全力絶叫。

 一見しただけでも逃げ足の速さが跳ね上がるってわかるし、訓練も…まぁ、細かい制御はともかく速く走るだけならたいして必要ない。

 

 ただ、防衛部隊でありながら最初から逃げる事だけを想定する訳にもいかないもんで、やっぱり留まって戦う事にはなる。そうなると、やっぱり伊吹、俺、ホロウの誰かが出張らなきゃいかんのだよなぁ…。まぁ、伊吹一人でやってた時に比べれば、負担が3割になってると考えれば…。

 それに、今後はそもそも鬼を近付けないやり方を伝えていこうと思うからね。防衛部隊なんだから、近づいてきた鬼を討伐するより、そもそも近付けない事を考えて、その上で突破されたら総力戦くらいの考えは持っておかんと。

 

 と言う事は、鬼を相手にしたトラップか。いつぞやのループでは、火薬(Gのヤツな)の量に任せて鬼の大攻勢を壊滅させたりしたっけなぁ…あれは気持ちよかった…。

 しかし、常にそれを張り巡らせる程の火薬量は無い。少なくとも、今は。他の罠の張り方を教えなきゃならんな。

 実力の差による物とは言え、新人にデカい面されて指導されるのは気分がよくないだろうが…ま、死ぬよりはマシと諦めてもらおう。場合によっては、ヘタレことロミオを一般軍人並みにまで鍛え上げた教導の出番である。

 

 

 

 

 その為には、一回心を圧し折らなきゃいかんけどな。

 

 

 

 

 

 そうそう、金髪碧眼で忌避されてないかなー、と思ってグウェンの様子を見に行ったんだが、全く問題なかった。初日も前ループもそうだったが、ウタカタの人は大らかすぎる…。

 忌避されるどころか、珍しいから触らせて、とまで言われたらしい。初穂に。

 

 …初穂、今度はグウェンを妹扱いする気か? いや今度はも何も、初穂にしてみりゃ初対面だし千歳に会った事もないんだけども。

 と言うか、見た目から実年齢から精神年齢から、完全に初穂が年下な訳ですが。

 まぁ、大和のお頭を弟扱いしてんだし、年齢についちゃ今更か。

 

 と言うか、初対面(今回は)の初穂と話してる間に年齢の話になったんだが……なんつぅか、すげぇ意外だな。

 初穂が15歳でリアルJC年齢なのはいいとして、伊吹が26歳、桜花が22歳、グウェンが21歳、そして富獄の兄貴が23歳……。兄貴、意外と若かったんだな…伊吹よりも若いってのが一番意外だわ。明らかに戦場で10年以上過ごした面だから、最低でも30前後だと思ってたんだが。

 ちなみに、那木は前ループで聞き出したが、24歳である。まだまだ花盛りの年だと思うが、モノノフ的には適正結婚年齢を逃して…ゲフンゲフン。

 

 

 ま、とりあえず初穂との初対面は好感触だったと思っていいだろう。グウェンから、鬼に襲われていたところを助けてくれた恩人、として紹介されたらしく……あれ、なんか千歳の時と既視感が。まぁいいか。

 しかし、久しぶりに初穂を見た気がするが…いやそれを言ったらウタカタの皆も同じか。とにかく、やっぱり初穂の実力は一段下に見ざるを得ない。グウェンは更に下だが、アレはルーキーじゃなくてトレイニーだから比較対象にするのが間違いだ。

 

 暫くの間、初穂はグウェンと一緒に基礎練習をしよう、という事になっているようだが……どうなんだろな。初穂もまだ半人前だが、ウタカタの里の戦力の一つである事は変わりない。少なくとも、前のループでオオマガトキ阻止の為に動いていた時は、立派な戦力の一人だった。

 だと言うのに、イヅチを斬り損ねた訳で…。初穂もある程度以上には強くなってもらわないと、今後の戦いで取り返しがつかない事になりかねないんだよなぁ。初穂のポジションをホロウに肩代わりさせるとしても、正直言って心許ない。いやホロウの実力自体は初穂以上だと思うんだが、対イヅチカナタ用の戦力が削られるのはな…。

 荒療治になるが、二人ともある程度戦線に出すべきかなぁ…まぁそうだとしても、決めるのは俺じゃなくて大和のお頭になるけど。

 

 

 

 

 

 追記 到着初日のチュートリアル的襲撃は、紅月がさっさと片づけてしまったらしい。ま、イツクサの英雄殿を引っ張ってこなきゃいかんような相手でもないしね。

 

 

 

 

魔禍月

 

 ウタカタに到着して、はや数日。勝手知ったる里でもあるし、生活は順調だと言っていいだろう。

 

 …紅月が飯を作りに来る事を除けば。やっぱこの子、嫁入りと考えているようだ。誘えば……イケるかな?

 いやいや待て待て、いくら美味しそうな脂の乗った(失礼な意味ではなく)28歳とは言え、嫁入りの覚悟を決めてきている人に軽い気持ちで手を出すのはよろしくない。いや今までの相手だって本気っちゃ本気だったけども。

 正式に娶ると言うか籍を入れる覚悟をしなければ、この手の女に手を出すのは危ない。いやこの女が危ないって意味じゃなくて、軽い気持ちでナニした因果が、増幅されまくって俺に返ってくるって意味だ。俺だって学習するんだぞ? ちゃんと活かされるかは別問題だが。

 

 …一回、しっかりと話し合った方がいいな。……………覚悟を決めてから。

 

 

 

 

 いや、覚悟決めたところで次のループに行けば無かった事になるんだろうけどさ。最低限、かつてない程の怒りを湛えた紅月を交えての修羅場は考えておかないと。

 浮気する前提で考えてるのは、もう言うまでもないと思う。真面目な話、橘花のストレス解消も、尻以上のモノは見つかってないからなぁ…。

 

 

 ま、その辺は後で考えるとしてだ。

 現状の最大の問題は、イツクサの英雄が甲斐甲斐しく世話を焼く(焼こうとはしている)俺は何者なんだ、って視線をどうにかせにゃなるまい。

 

 

 

 

 

 と言う訳で、紅月と腰を据えて話し合おうと向かい合ったんだが…タイミングの悪い事に来客があった。……清磨だ。しかもかなり酒臭い。

 疲労困憊状態だな…。異界を適当に巡っていると聞いていたが、何があったんだ?

 

 

 座り込んで一方的に愚痴り始めたので、紅月との話し合いが出来なくなってしまった。

 愚痴を適当に流して、寝かしつけて、ついでに目覚ましと称して冷たい川にでも放り込もうかと思っていたんだが、なんか…妙に深刻に落ち込んでいるようだったし、紅月の制止もあったので、ちょっと話を聞いてみた。

 要するに、タタラさんの武器を見て、自分の技術との格差を突き付けられたらしい。タタラさん本人からも、「ひよっこが」と言われたそうだ。

 清磨の場合は、その為にウタカタの里に来た筈なんだが…それを考慮に入れても、今までの自分の態度が恥ずかしくなったらしい。

 

 

 …まぁ、なんというか、よくある話ではあるんだろうな。自分がトップだと思っていたら、それより遥か高みの相手に蹴っ飛ばされて鼻っ柱を叩き折られたと。

 尤も、この鍛冶狂いと言ってもいい清磨が、それだけでこんな醜態を晒す訳ではなく。技術格差に打ちのめされて、すぐに自分の腕を上げようと、あれこれ工夫を凝らし、基本的な技術を一から叩き直そうとしたそうな。

 いい目標を見つけたからか、数日間の再修業をしただけで、今まで感じていた壁を突破して武器を打ち続けて…また壁にぶつかった。

 

 技術はタタラさんには及ばないものの、自分に足りない物が見えてきた。しかし、それとは別に決定的な『何か』が自分に足りない。

 それを自覚し、探そうとしているものの、再修業によって溜まった疲労も抜く必要があり…ちょっと気晴らしに呑んでいこうとしたら、こうなったと。

 

 

 

 …うーむ、なんちゅーかクソ真面目だなぁ…。極端から極端に走るっつーか。

 ストイックな数日間と、その反動でベロンベロンか。まぁ誰だってハメを外したい時はあるし、気分転換だって必要だ。別に怒る理由は無い。…紅月との話し合いは、今度でいいか。

 

 しかし、清磨に足りない物ねぇ…。何だろな。正直、色々な意味で足りない部分はあるし、逆に不要な物もくっついていると思うが。足りない物は気遣いとか常識、不要な物は放浪癖かな…。

 でもそれって鍛冶には関係なさげだし。

 

 たたらさんから見ればヒヨッコ扱いでも、清磨にはそれなり以上の技術はあると思う。少なくとも、情熱とか努力とか真剣さではないな。その辺は足りてると思う。

 …ふと思ったが、リッカさんとかを見たら、たたらさんはどう思うだろうか。鍛冶と技術で畑違いとは思うけども…。

 

 

 …何となくだけど、清磨よりも腕は下だけど、清磨に足りてない物とやらを持っているような気がした。

 

 

 

魔禍月

 

 

 平和だのー。鬼も大したヤツらが居ない。防衛班の出番が少ない。鬼疾風の訓練はちょっと手古摺っているが、伊吹を始めとした主力級は勿論、準主力にも好評だ。

 となると、次の流れとしては、ミフチがモノノフの誰かを追いかけてきて里の近くに侵入。その後に那木さんと富獄の兄貴と顔合わせしてカゼキリイベントか。

 

 まぁ、俺がやるとは限らんのだけどね。ホロウがやってもいいし…ああ、最初の襲撃イベントに立ち会ったって事は、今回は紅月が主人公の立ち位置の可能性もあるか。

 

 

 とは言え、呑気に観戦ばかりもしていられない。今出現する鬼は、俺から見れば大した事は無くても、同じ防衛班の連中にしてみれば大いに危険な者が多い。ゲームでは実在しているのかすら分からなかったモブキャラでも、実際にこうやって接しているのだし、それが死んでしまうのは嫌なものだ。

 これからの戦いに備えなければいけない。主力級も、それ以外もだ。覚えているだけでも大攻勢から始まって、初穂の焦りと百日夢、伊吹の後悔と富獄の兄貴の因縁、速鳥の過去、桜花が先走って橘花が欲求不満で那木さんがトラウマで秋水がスパイでオオマガトキの再来が来て…。

 全てのイベントを踏破しなければいけないとは思わないが、何かしらの区切りをつけておかないと、何が起こるか分かったもんじゃない。最悪のタイミングで噴出するに決まってる。

 差し当たり、全員と面合わせしとかにゃなるまい。

 

 最優先は…橘花かな? いや別に尻が目当てじゃなくて、何だかんだで一番負担がかかってるからね。神垣の巫女だからね。そうだな…同じ神垣の巫女って事で、かぐやと文通でもするように仕向けてみるか?

 現役の巫女の言葉は、かぐやにもいい助言になると思うし、同類が居ると知ればお互いに貯めこんだ鬱屈も話しやすくなるだろう。

 よし、決定。

 

 …どうやって顔を合わせようか。今までは、天狐を拾った辺りで遭遇してたよな。時々里の中を歩き回ってるから、運が良ければそこで顔を合わせるくらいは出来ると思うんだが…。でも護衛も居るからな。出来るとしても自己紹介くらいだろうか。

 

 

 

 

 …そうそう、橘花で思い出したが、彼女に色々謀略を仕掛ける事になる、陰険メガネこと秋水。…なーんか態度にトゲがある気がする。元々人当たりのいい方ではなく、慇懃無礼が座右の銘のようなヤツだったが、妙に感情的な節が見えるなぁ。

 俺にもそうだが、特にグウェンに。異人さんがそんなに気に食わないのかね? 良くも悪くも、直接的な手段に出るような奴ではないから、大丈夫だとは思うが…。

 虚海の行動もあるから、秋水とも繋がりは作っておいた方がいい。やれやれ、やる事一杯だね。

 

 

 

 

 

 

 などと油断していた。しまった、またも見逃した。いつの世も、最大の脅威は外部ではなく内部にあると知っていたと言うのに。

 

 

 

 

 誰も助けは期待できない。呼び込んだのも目を離したのも俺だし、俺が始末するべき事だからだ。

 

 

 

 

 だって、紅月は俺の為に飯作ってくれたんだし。作ってくれたんだし! 作ったんだし! 作りやがったんだよオラァ!

 

 

 

 

 

 

 悪気がないのが手に負えねぇ…。マホロバを出てからパワーアップと言うかランクダウンと言うか、とにかく悪い方に向かっておられる。

 久音が鬼の料理に目覚めてから、それにハマって目を離していたのが良かったのか悪かったのか。…いやでも紅月って餓鬼とか食った事あるらしいしな、オオマガトキの辺りの大戦で。俺も食った事あるけど。

 

 

 …食うとヤバそうだからって、触鬼の力を使って取り込んだのはもっとヤバかったかな…。まさかこの俺が一発でノックアウトされるとは思わなんだ。

 

 

 

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