※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

228 / 611
夜種王様から、応援SSをいただきました。
許可もいただけたので、異伝として公開させていただきました。




イヤッフゥゥゥゥ!マンマミーア!
喜びのあまりに1Lスーパードライを一気してちょっと気分悪い。


第228話

入滅月

 

 

 ヤり溜めしようと決断して、兵は拙速を何とやら。早速思いっきりヤらせていただきました。

 残念ながら、橘花は不参加。桜花が完治するまで、願掛けも兼ねてエロ断ちするらしい。……誘いを断った後、何度も未練がましく振り返ったり、指を咥えてじーっと見てきたりしたけども。

 

 

 うーん、それにしても、複数人に囁きの術を使うと、あんな事になるんだなぁ。

 霊力付きの声で、相手に幻覚錯覚を起こさせるのが囁きの術なんだが、これ、俺の声に限らないんだよね。霊力を込めていると言う点で、効果が一段高いのは事実なんだけど、それ以外のの声にも反応するらしい。

 一緒にヤッてる人の喘ぎ声にも。

 

 順番的にはこんなカンジだ。

 まず一発ずつキめて、全員そこそこ盛り上がる。

 ささやきの術発動。ちなみに、耳に唾液を刷り込むと効果が上がる為、全員が全員の耳舐めをやる。この間も、お互いの間でお触りはアリ。眼福。

 俺の声により、幻覚錯覚が起き始める。当然の事ながら、声はこの場にいる全員に聞こえる為、同時に同じような感覚を得始める。

 ささやきの術を使いながらも挿入。響く水音、肉がぶつかり合う音、そして喘ぎ声。

 …それらを聞いているメンバーに錯覚が起きる。まるで、今現在自分に挿入されているような錯覚が。

 本番行為が別の人に移っても、喘ぎ声、肉音その他の音響効果、更には目の前で行われている痴態、自分も経験した事がある行為の感触。これらが交じり合って想起される。

 

 

 詰まる所、誰に突っ込んでいても、全員が突っ込まれているように錯覚していたんだよ!

 だから事実上、休憩時間ほぼ無しで延々と突きまくられた事になるね! まーやっぱり実物突っ込まれてる時が、一番いい反応だったけども。

 

 ま、そんな状態だから、あっという間に皆ダウンしてしまった。この現象について気付いたのが中盤くらいだったからな…。それまでは、他の人が相手をしている間、多少は休んでいられる前提のペースでヤっていたもの。すぐに異常に気付けなかった辺り、俺の観察眼もまだまだ甘い。

 新技開発したけど、ちょっと暴発しちゃった感じだな。

 皆からは……悪くは無いが、やっぱり実物の方がいいのと、メリハリ緩急がつかないという欠点があるので、今回はイマイチ。ただ、絶え間なく責め立てられてヘトヘトの腰砕け状態と言うのも興味深い状態ではあるので、事前に覚悟が決まっていれば時々はOKだそうな。

 

 …あと、これによって一つの可能性を感じられた。

 皆で声や感覚を共有していた為か、突っ込まれている時の錯覚は非常に鮮明なモノだったらしい。最後の酩酊状態なんぞ、俺が何人も居て輪姦しているような幻覚すら見えていたらしい。

 沢山の俺で一人、或いは全員を回すと言うのも興味深いが、そこまで鮮明な錯覚が起きるのであれば………実在しないモノを感じさせる事だって出来るんじゃないだろうか。

 

 

 

 具体的には触手とか。スライムとか。

 

 

 異種姦に見えて、全部俺がヤッている。NTR的な要素も無し。素晴らしいね!

 

 

 

 

 …まぁ、こんな事を考えてたら、何人かが「何だか悪寒が…」とか言い出したので、これはもっと躾けてからにしましょうか。まだ可能性の段階だから、もっと探っていかなきゃいけないしね。

 

 

 

 

 

 

 さて、そんな訳で、ヤり溜めしようと思っていたものの、逆に不完全燃焼になってしまった。

 全員ちょっと食傷気味なので、昼間っから睦むのも無理。

 ホロウからの連絡もまだ無い。

 

 暇な上に欲求不満である。どうやってこのモヤモヤを解消したらいいと思う、橘花?

 

 

「あ…え、えとその、私に聞かれましても……。姉様が治るまでは、貴方との逢瀬には参加しないと決めており…」

 

 

 ああ、それは分かってるよ。俺も何かする気は無い。

 

 

「…そうですか」

 

 

 ただちょっと愚痴りたかっただけでね。悪いね、桜花の事で大変だろうに、迷惑かけて。

 

 

「いえ……あ。あの、でしたら、ここに座っていただけませんか?」

 

 

 ここ? こう?

 

 

「はい。…その逢瀬には参加しませんが…貴方だけが楽しまれるなら、これくらいは有りです」

 

 

 んっ…………んむ?

 

 

「口付けと……あまり時間は取れませんが、手のみで奉仕させていただきます…。これなら、誓いは破っておりませんよね?」

 

 

 それを決めるのは俺じゃない。俺じゃないけど、確かに橘花の大好きな尻には触ってないからね、問題ないね。

 じゃ、お願いしようかな。(ケイカクドオリ!)

 

 

「…い、いかがでしょうか?」

 

 

 ぎこちないけど、いいね!

 おっ…小技も挟んできたな。お楽しみに参加はしなくても、勉強してたんじゃないか?

 

 

「…勉強ではありませんけど…姉様も段々体が治ってきましたし、私も落ち着いてきたら、ついあの夜の事を何度も思い返してしまいまして……その、次に参加できる時には、こんな事をしてみようと、頭の中で何度も…」

 

 

 ほほう、妄想だけで身に着けたのか。やっぱ橘花の素質は凄いな(エロいな)。

 

 

「そ、そうでしょうか? えへへ…」

 

 

 日中、清楚(に見える)な巫女がキスと手淫で奉仕してくれる。おお素晴らしきかな人生。

 よし、橘花が参加できるようになった暁には、今回のお礼も兼ねてすっごいのやってあげよう。それこそ、下手すると結界が維持できなくなって大騒ぎになるくらいの覚悟で臨もう。

 

 技術的にはまだまだ経験不足なので、あまり昂ぶりはしないが、ここで我慢をするのも無粋というものだろう。意識的に射精に近づける。

 

 

「あっ、大きくなりました…。私に注いだ、あの時みたい…」

 

 

 そうだ。もうちょっとで白いのが飛ぶぞ。飲む?

 

 

「………そ、それは…私が楽しんじゃうから、まだ駄目です…。手で受け止めますから」

 

 

 飲むだけで愉しめるのか。やっぱ橘花はモン娘並みだな。

 こっちから触れると、橘花が悦んでしまうのでアウト……いい機会だし、ささやきの術の言葉オンリーバージョンを試してみるか? 話すだけなら問題ない…。

 いや、やっぱダメだな。現状では耳舐めが必須だし、それ以上にどっちにしろ橘花を悦ばせてしまう結果になるから、橘花の誓いを破らせる事になる。

 

 

 仕方ないか…。まぁ、桜花回復後に備えて、果実を熟成させると思えばいいか。…悶々としたのを耐える方が、橘花にとっても「誓いを守ってる」って実感はあるだろうしね。…この行為自体、アウトかどうか怪しいが。

 

 よし、橘花、出すぞ。

 

 

「はい、どうぞ。私の手に……きゃっ」

 

 

 おぅふ……ふぅ…。多少はスッキリしたよ。ありがとうな、橘花。

 

 

「…いえ……これくらいなら、いつでも…どうぞ…」

 

 

 答えながらも、視線は手の精子に釘付けだ。…舐めたそうだが………それ以前に、橘花。それ、どうやって片づける?

 

 

「えっ? ……そ、そういえば…ここに水場はありませんし…」

 

 

 舐めるしかない、という言い訳を考える前に、こうする。

 橘花、ちょっと脱がすよ? 

 

 

「あっ、駄目です、それはやっちゃいけません」

 

 

 と言いつつも、全く抵抗せず、むしろ嬉しそうな橘花。よいではないか、よいではないか。

 いや、お腹を露出させるだけなんですけどね。

 

 橘花の手を動かして、塗りたくり。後は普通に服を着れば、証拠隠滅完了。

 

 

「…あ、これだけ…ですか…」

 

 

 残念ながらこれだけ。やっちゃダメって言ったのは橘花の方だろう?

 ま、お腹に塗られたヌルヌルする感触を堪能するくらいにしておきなさい。(……ムラムラしてくるだろうけどね)

 

 

 

 

入滅月

 

 

 昨日はエロ語りで一日の日記が埋まってしまったので、今回はちょっと真面目な内容にしようと思う。

 と言うのも、ホロウからまた呼び出されたからだ。勿論…と言うべきか、内容は虚海からの接触があった事。

 

 …確認の遣いがあって、まだ3日も経ってないぞ。鳥がホロウを確認して、霊山に向けて飛び立ったとして……移動時間は短くて半日ってとこか? どんだけ超特急で来たんだよ。

 やっぱ、鬼疾風かな…。でもそれにしたって、俺でもやれるか分からないくらいの超スピードだ。

 と言うか、あいつ鬼疾風使えるのか? 少なくとも千歳は、一言だってこの技については触れなかったぞ。…でもホロウと一緒に行動してたなら、使えてもおかしくないよな。始まりのモノノフ達も使ってた技の筈だし。

 

 

 ホロウ、そこんとこどうよ?

 

 

「存在は知っていますが、私の知っている千歳は使えませんでした。今は…使えるようになっていてもおかしくはないですね。術者としての才能に特化していた為か、体を動かす事に関しては目を覆いたくなるような有様でしたから。……いつだったか、鬼疾風を試そうとして、盛大に転んで坂道を転がり落ちて行った記憶が…」

 

 

 …まぁ、堕ちて行った先に肥溜なんてオチが無かっただけマシだな。

 

 

「肥溜はありませんでしたが、蜂の巣を破壊してしまい、それから必死に逃げ回っていました。鬼疾風を使えれば楽に逃げられたでしょうが、何度やっても転ぶだけでしたので」

 

 

 ……そんな記憶があるなら、思い出したくも無いし話に出そうとも思わないのは当然か。

 それはいいんだが、虚海はホロウを呼び出したんだろ? 何で俺を連れてくるんだ。と言うか、虚海は俺の事を知ってるのか?

 

 

「いえ、貴方を連れてきたのは私の独断です。一人で来いとは言われていませんので、問題はありません。貴方の事を知らせるような情報も送っていませんが…いえ、あちらで調べている可能性はありますが」

 

 

 どうだろなー。対外的には、自分で言うのも何だが腕が立つモノノフでしかないからな。女癖の悪さも………いや、表面に出しては……ダメだ、大っぴらにしてる紅月と那木だけで二股野郎の誹りは免れん。

 ホロウと連れ立ってるのにしたって、現地協力者と思われてる程度だろうし。

 

 

 

 …で、何処に呼び出したん?

 

 

「雪原にある、結界石の洞窟で待っているそうです」

 

 

 またあそこか。何かと縁があると言うか、芸が無いと言うか……。相馬さんと一緒に行ったけど、あの時には何も無かったな。

 ……いや、あそこに仕込まれてなかったとしても、触鬼の触媒を持っているのは確かか。場合によっては暴れ出そうとする事も考えられる…術を使う素振りを見せたら、即捕縛する必要があるな。いつぞやの死因と同じで、余波で俺の体に影響が出るかもしれん。

 

 

 

 

 

 

 さて、夏の終わりにも関わらず雪が降り積もっている雪原(異界では珍しくもなんともないな)を抜け、見知った洞窟に到着。洞窟の反対側から入ってもよかったんだが、迷路のような道を抜ける必要があるからな。俺は何度か通ってルートを把握してるからいいけども。

 途中で鬼を何体か狩ったが、どれも左程強くは無い。…精々上級って所か。

 さて、ここからどうなるか…。

 

 

 連れ立って洞窟に入ると、奥からコツコツと小さな足音。洞窟の入り口から入る光の角度もあり、某探偵漫画の犯人役が歩いてきているよーにも見える。

 徐々に光に照らされ、明らかになった風貌は……まぁ当然、虚海だな。初見であれば、体の半分を見て「あれは一体!?」となる気がしないでもないが……俺にとってもホロウにとっても、ぶっちゃけ今更である。特に俺はその本性を知っている為、「ベタな演出してんなぁ…」くらいにしか感じない。

 

 

「…久しぶりですね、千歳」

 

「…今は千歳ではない。虚海と呼べ、ホロウ」

 

 

 何年ぶり(同じ時間軸を生きてないこの二人に、この表現が当てはまるかは分からんが)かの第一声はこれだった。ちなみに俺、完全に蚊帳の外。ムッチャクチャにしたい気持ちはあるが、抑えて見物していよう。虚海を取り押さえ、或いは煽れる体制は崩さずに。

 暫くの沈黙の後。

 

 虚海は俯き、体を震わせ始めた。

 

 

「ク……クックックック……アッハハハハハハハハハハハ!!!! ああ、なんという事だ。何と懐かしい…。まさか本当におんしが来るとは…。こんなに嬉しい事は無い。ホロウ。私はおんしを待っていた。 ホロウ、ああホロウ! 本当に来た! ようやく私を迎えに来た!」

 

 

 ……言っちゃ悪いが、アブない人にしか見えねーな…。まー実際、根がへっぽこの癖して狂人なのは事実だから、間違っちゃいないんだが。

 

 

「…千歳、随分と苦労したようですね」

 

「苦労? 苦労などと、そんな言葉では言い表せぬ…。おんしと共にイヅチカナタと戦い、時を超え、呪いを受けこの体にされて…もう歳月を数える事すら億劫になった」

 

 

 忌々し気に左半身を眺める虚海。…苦労話に付き合う訳じゃないが、あの千歳がこんなになるくらいだもんなぁ…。そりゃ苦労ってレベルじゃないのは確かだろう。

 

 

「幾月も幾歳も、懐かしい故郷に帰る方法を探し続けた…。半人半鬼の体で、鬼と畏れられ物の怪と石を投げられ…そして私は陰陽方に入った。…おんしの記録を辿る為にな」

 

「私の?」

 

「陰陽方にはこの世の暗部を記録した、膨大な古文書が収められていた…。その記録の中に、不可思議な人物が居る事に私は気づいた。歴史の変わり目に現れる、翠瞳の乙女。幾つかの時代に、その存在は記録されていた」

 

 

 …翡翠の乙女、じゃなくて翠瞳の乙女だったか。そういや緑なのは目だけだったな。

 

 

「大きく歴史が動くとき、その者は現れる。そして、ある時忽然と姿を消す…。鬼と戦い、鬼を退けて…。…おんしの事だろう、ホロウ」

 

「……皮肉なものです。人々の記憶から消えても、書物の中には私の存在が残されていましたか」

 

 

 俺、おいてけぼり。何で連れてこられたのか真面目に分からない。

 

 

「…だから私は、おんしを呼び出そうと考えた。方法は色々あったがな。…いざ動こうとした時に、おんしが現れたという知らせを受けた。…私を迎えに来た。そうだろう、英雄ホロウ!」

 

「………」

 

 

 …屁ェこきたくなっていた。寒いから小便もしたくなってきた。この辺便所無いしな…。外の雪原で出したら、あっという間に凍り付きそうだな。

 

 

「おんしは時を渡る翠瞳の乙女。おんしなら私を千年前に還せる筈だ! 私を還せ、ホロウ。元いた世界に……ホロウ!」

 

「…申し訳ありません。私にも、それは不可能です。人が時間を遡る事は、できません」

 

「……クックックック…ハッハッハ……「ですが」」

 

 

 …ん? いや何もしてないよ? クラッカー代わりの音爆弾なんて出してないよ。こんなところで使ったら雪崩不可避だし。

 

 

「ですが、彼ならば或いは」

 

 

 へ?

 

 

「…どういう事だ、ホロウ」

 

「彼は単なる現地協力者ではありません。極めて特殊かつ限定的な状況ながらも時間逆行を繰り返し、共にイヅチカナタを追っている…同志です」

 

 

 товарищ! …アリサにロシア語教わったけど、特に意味は無い。GE世界の一部地域でしか使わないし。

 と言うか、おいホロウ、どーゆー事だ。

 

 

「言葉通りです。彼は死を迎える度に3つの世界を移動し、そして同じ時間から死に至るまでを何度も繰り返し続けています。原理は全くの不明ですが、私が知る中で唯一の時間逆行経験者です」

 

「………信じられんな。おんしが虚言を吐くとは思っておらんが、その男が法螺を吹いているとしか思えん」

 

 

 探し続けた手がかりがようやっと見つかったってのに、随分な言い草だな。ま、そうそう信じられないのも当然か。話の内容も荒唐無稽だが、最後の希望が砕かれた直後に、蜘蛛の糸が天上から垂れてくれば、どうせガセだと思っても仕方ない。…虚海が疲れ切っているのでなければ、その糸を登ろうとするかもしれないが。

 

 

 

「事実です。本人の申告によれば、繰り返しの中で千歳と出会うのは、これで3度目だそうです」

 

 

 千歳と虚海を別人と考えれば、4回目かもしれんが……と言うか呼び方は千歳でいくんだな。

 そして虚海の視線が、更に懐疑的なものになった。

 

 

「…やはり、信じられませんか。こういう時の為に、本人を連れてきました。あなたは千歳が誰にも話していない秘密を知っている、と言いました。それを伝えてください」

 

 

 ああ、証明の為にって事か。…そうだな。

 些細な事じゃ、ホロウから聞いたと思うかもしれん。大きな事なら、陰陽方の長老について調べたと思われそうだ。

 と言う事は…誰にも教えてない、私生活における絶対の秘密…か。

 

 

「どうした。証明できると言うなら、早う言うてみるがいい」

 

 

 言うのはいいけど、ホロウに聞かれていいのか?

 

 

「どうせ戯言だ…」

 

 

 …随分疲弊しとるな。まぁ、あの時も似たような状況ではあったっけ。

 じゃあ遠慮なく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 童貞&オボコ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どどどどどどどどどど?!」

 

「動揺しすぎです、千歳」

 

 

 中々に御立派様だった。棒の毛は剛毛だったな。茂みが深いだけじゃなくて、毛が異様に堅いんだ、集めて使えば防具に出来るんじゃないかってくらいに。そういや、カリ首の所に黒子があったっけな。

 自分からは触りたくないけど、どうしても性欲が抑えられない時は仕方なく。素早く済ませる為に、自分で唾液を手に塗り付けてシコってるんだって?

 

 

「待て、待て! おんし、どうしてそこまで…はっ!?」

 

「童貞と言うのは、男の事だった筈ですが。何故千歳がそれで動揺しているのか分かりませんが、事実だと分かったでしょうか」

 

「わかった、分かったからそこまでにしてくれ! 何でそんな事まで…………」

 

 

 虚海が突然動きを止め、まさかと言いたげに俺に目を向けた。

 

 

 ハジメテは美味しくいただきました。ちょっと強引だったけど、千歳との合意の上だからいいよね。(虚海と合意の上とは言ってない)

 

 

「なっ、なっ………ふ、く、くっくっく、このような体に欲情するとは…大した変態だ」

 

 

 その程度では褒め言葉にすらならんわ!

 

 

「褒めとらんわ。にしても…おんし、もしや衆道か…」

 

 

 生憎、ソッチの初めては貰ってないな。まぁ、いぢり回してビクンビクンさせてやった事はあるけど。

 (あの時は千歳と橘花の3人がかりでヤッたっけなぁ…。あんまりいい気分はしないが、脱童貞も果たさせてやればよかったかも。あの時の橘花なら、3穴攻めも嬉々として受けただろうし。俺が口、千歳が女陰、虚海が尻で)

 

 

「う、うぐぅ……し、しかし、これだけでは私は信じぬぞ。おんしが言う通り、私の経歴を知っているのなら、私がそうそう人を信じぬ事くらい分かるであろうに」

 

 

 では、もう一つ証拠を。…そんな警戒せんでも、さっきみたいな面白おかしいネタじゃないわい。

 

 

「…面白おかしいと抜かしたか、私の体を」

 

 

 体はともかく、悪ぶってる奴が慌てふためいてヘタれている様は楽しいぞ。

 

 

「うぬれ…」

 

 

 オノレと言いたいのか? それはともかく、これを見な。あんまりホイホイ取り込むのは、よろしくないんだけどな。

 

 虚海の目の前で、腕をアラガミに変え、適当な結界石を取り込んで見せる。虚海は大きく目を見開いた。

 

 

「それは…まさか」

 

 

 そう、触鬼の力だよ。お前が手に持ってる、ここに隠そうとしていた触媒で生み出す鬼だ。

 こいつを……まぁなんだ、普通だったら取り込まれて鬼になるんだろーが、どういう訳だか逆に取り込んでしまってな。(まず間違いなく、GE細胞とハンターボディのせいだけど)

 もう隠されてるかと思って、以前もここに来たんだが、その時は完全に空振りだったっけ。そして今お前がここに居るって事は、ホロウと会ったついでに…元の時代に返れなかった時に、ここに隠して騒乱を起こすつもりだったんだろう。

 

 

「…少し違うな」

 

 

 うん?

 

 

「騒乱を起こし、世界を危機に陥れようとしたのは、ホロウを呼び出す為だ。翠瞳の乙女は、時代が大きく動く時に現れる…。ならば、世界に危機が迫れば、ホロウはやってくる。そしてその力を借りて、元の時代に戻るつもりだった…。ホロウがその術を持たぬと分かった今、この触媒にも何の意味もない」

 

 

 力の抜けた手から、コロコロとサイコロのような触媒が零れ落ちる。…取り込んでおくべきかな?

 

 

「くくく…かつては正義のモノノフと謳った小娘が、陰陽方に身を染め、このような物まで用意し、悪党と謗られても反論も出来ぬほど落ちぶれて…。挙句、私がやってきた事は全て無駄か。滑稽だ……」

 

 

 …絶望、ってのはこういうのを言うのかね。すくなくとも、俺の今までの経験からは…ループが始まる前も、始まってからも…読み取る事すらできない感情がそこにあった。

 

 

「もういい…いささか疲れた……」

 

「千歳」

 

「虚海と呼べ、ホロウよ…。私はもう疲れた。だが、かつてのホロウとの……友情と呼べた感情に縋って、最期の一足掻きをしてみるのもいいかもしれん…」

 

 

 虚海の浮かべた…笑みと呼んでいいのか迷う程度には儚い表情は、それこそ何もかもを手放そうとする世捨て人を連想させた。もう希望の重さにも耐えられない、か…。

 

 

「陰陽方には、私同様に鬼に呪われ、常人では叶わぬ歳月を生きた者も居た。奴らが死んだ時の姿を、想像できるか?」

 

 

 完全に鬼になったんじゃねーの? 少なくとも、俺はそれで3、4回死んだぞ。

 

 

「ほう、それは貴重な経験をしたものだ。……あの時、あの男が死んだ時……心底から絶望し、希望を失った瞬間に、あの男は灰となって崩れ去った。声をかける暇すらなかった…。前触れもなく、亡骸すら残さずに、風に吹かれて何もかもが消え去った。何れは私もそうなるだろう…。私は、お前の話を信じていない。いや、この際信じるのは構わないが、それであの頃に戻れるとは、やはり思えん。…私がお前に失望し、灰となる前に、私に希望を示してみせろ」

 

 

 

 

 

 あ゛~、ポンコツが雰囲気出して語っても、酒の肴にもなりゃせんわ~。

 

 

 

「…おいホロウ、こやつ呪い殺しても構わんな?」

 

「出来るのならばどうぞ。私より、様々な面で数段強いので、呪詛返しに会わないように」

 

「……触鬼に乗っ取られてくたばってしまえ」

 

 

 そうなったら繰り返しが続くだけですな。

 と言うか触鬼もう出ないんじゃねーの? ああ、お前が持ってる触媒を奪えばって事だが。

 

 

「戯け。触鬼を作り出す触媒こそこの手にあるが、あれが生まれたのは私の手によるものではない。あれは…自然発生と言っていいかは分からんが、異界の中で見つけたのを捕獲し、研究する事で生まれた物だ」

 

 

 

       ほむん?

 

 

「随分と間の抜けた面を晒すの。ちと考えればわかりそうなものだが…。しかし…そうか、私が呼び出すまでもなく、ホロウがやって来たか。触鬼が出現した理由は、そういう事か…」

 

「どういう事です、千歳」

 

「どうもこうも…イヅチカナタが近くに来ている、と言う事であろう。ホロウ、おんしには分からんのか」

 

「彼と出会う直前から今に至るまで、イヅチカナタの居場所を感知する能力が麻痺しています。奴が居ると言うのですか」

 

「どこにいるのかまでは、分からぬがな。イヅチカナタが来たから、触鬼が現れたのか、触鬼に惹かれてイヅチカナタが現れたのか。何れにせよ、現にホロウは現れた。つまり…触鬼の出現は、次代を動かすと称するに足る出来事という訳だ」

 

 

 

 む…確かに、個体の力は、エース級のモノノフが何人か集まれば十分に対抗できる程度だが、それ以上にヤバいのは増殖速度だ。マドハンドよりも鬱陶しい。

 ある程度数が揃えば、それこそネズミ講級のスピードで増殖してもおかしくない。それは、人の歴史の終わりを実感させるには充分すぎる脅威だろう。

 

 

 …ちょっと待て、そんじゃ触鬼の最初の一匹や、そこから分裂した触鬼は?

 

 

「異界の奥で、急激な勢いで数を増やしている事じゃろう。そら、どうした? おんしはどうするつもりだ」

 

 

 別にどーも。俺だけなら、死んでも次に行くだけだし。

 ただ、紅月とか那木とか初穂とかグウェンとか、あと橘花とか…色々消えてしまうのは惜しい。

 まぁ、頑張って触鬼達をどうにかして、そんであの憎きクソイヅチを存分に惨殺するとしましょうか。

 

 

 

 

 

 差し当たり、虚海を合意のもとに(合意したとは言ってない)ウタカタに連れて行こうか。特典として簀巻き、首輪、童貞を締め付ける輪っかや貞操帯などを用意しています!

 

 

「賛成です。異論は全くありませんし挟む余地もありませんほら千歳も全力で首を縦に振っています」

 

「待たんかい。いや、私の意思が完全に無視されているのはこの際構わん」

 

 

 合意と見てよろしいですね!? ただ今の発言は、虚海完全捕縛管理発言として認定されました!

 よってワタクシが飼い主を務めさせていただきます!

 

 

「だから待てと言うておる!」

 

「千歳、虚勢が剥がれています。久しく会っていないどころか二度と会えないと思っていましたが、やはり千歳はこうでないと」

 

「………んんん!!!!!!」

 

 

 おお、虚海選手の内圧が上がっている! …うむ、やはりこいつはこうでないとな。ホロウ、扱い分かってるな。

 

 

「ええ、貴方も」

 

 

 同時にサムズアップ。ただしホロウは無表情。動作の意味は理解できないようだったが、虚海のボルテージが更に上がったようだ。

 

 

「こ、こいつら……いやとにかく私の意思が完全無視されているのは構わん、ウタカタの里が私を受け入れるとでも思っているのか! 私は」

 

 

 

 はっはっは、余計な事を喋らなければ、体を半分鬼に侵食された哀れな厨二病発症者という扱いでどうとでもなる。モノノフに厨二病って表現は無いが、アレな妄想を拗らせた芸者気取りの若者とか、割と真面目にヤサグレて奇行に走る人間なんぞ珍しくも無いからな。後は鬼に家族とか友人とか皆殺しならぬ丸呑みにされて、気が違ってしまった人とか。

 

 

「そのような扱いを受けるとは…」

 

 

 千歳と名乗ってた頃にお前がお前を見たら、多分頭抱えて布団に突っ込んでいくぞ。

 

 

「…………むしろ、当時の私の世間知らずな言動こそ、頭を抱えたいくらいなのじゃが」

 

 

 まぁ、その辺は悪くも悪くも色々経験した結果って事で妥協してやらんでもないが、ウタカタの連中ならダイジョーブだろ。

 実際、今までの繰り返しの中で、多少の蟠りがあっても普通に受け入れてたからな。(千歳を。虚海がどうかは微妙だが)

 

 

「私と彼が口添えをすれば、ウタカタで暮らすだけなら問題ないでしょう。その程度には信用・信頼を得ています。そもそも、常時ではないとはいえ、全身鬼の体になるのが平然と住んでいますし」

 

 

 俺の事だけどな。ほれ、変身。

 

 

「…これは驚いた。蝕鬼の力を使える事といい、鬼化を制御できるのか」

 

 

 正確に言うと色々違うんだが、まーそんな感じだ。最初に会った時には、制御のやり方を教えてくれって言われたんだが、成果が出る前に繰り返しに入っちまった。

 元の時代に帰れるかはともかくとして、制御ができれば暮らしやすくはなるんじゃないか?

 

 

「仮に人の体に戻ったとて、今更人里に紛れようとは思わぬ…。だが、確かに色々とやりやすくはなるか。この体は、ちと目立ちすぎる」

 

 

 まぁ、飯食いに行くだけでも一苦労だろうしな。

 さて、こっちから提示できる取引条件はこんなところか。俺達と来る…でいいんだな?

 

 

「構わぬ。これが最後の戯れよ…」

 

 

 …やっぱ、半ば以上信じられている訳じゃないな。ヤケッパチな気配が強い。

 それも無理はない……が、確認しておく事が一つある。正直に答えるか否かで、ウタカタの里で暮らすにあたって、ご飯の内容が決まるので心して答えるといい。

 

 

「ご飯は大事です。ある事ない事喋って情報量を水増しして、ご飯の量を増やしましょう。食べきれなかった分は私が食べます」

 

 

 戯け。

 

 で、聞きたい事なんだが、霊山で識って軍師と会ってただろう。そいつの目的はわかるか?

 

 

「識…あやつか。ああ、知っておるとも。あやつの目的も、結局は私と同じよ。過去に戻る事、この何もかもが間違った世界を修正する事。尤も、私と違って奴は自分を含めた全ての歴史を修正しようとしているようだがな」

 

 

 

 そう言って、嘲りと自嘲が同居した笑い声を響かせた。

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。