※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

238 / 611
MHXX発売!
…3/25、プレイステーションVR追加販売。
だが抽選。それ以前に仕事なんで並ぶ事すらできない。
転売ヤーに金払うのも癪だし、今回も見送りかな…。
PC用のVRは素で10万くらいかかるみたいだし、何より惹かれるソフトがイマイチ…。
VRのエロもどんなもんか。

XXも、アマゾンで見るとそこまで大きな違いは無いようだし…でも発売当日の12時についてた評価だしな…マトモにプレイした評価とは思えんが、確かに大きな追加要素と言える程では…。
当分は仁王で行くかな。


…なのはいいけど、今回は後書きに全部持っていかれそうな気がする。
あと、活動報告でちょっと悩み中。


238話+外伝20

HR月

 

 

 さて、情報収集はこの辺にして、そろそろ本格的にハンターとして動こうと思ったんだが、どうしたものか。

 GE世界や討鬼伝世界は、曲がりなりにもストーリーがあったから、それに従っていればよかったし、基本的にあっちからの襲撃を防ぐ事によって話が進んでいた。…いや、自分から狩りにいかなかったとは言いませんけどね。

 でも、MH世界にはそういうのが無いんだよなぁ。PSP版・3DS版なら、多少なりともストーリーもあれば、エンディングもあるんだが、MHFはなぁ…。

 レベルアップが最大の目的だから、好きにやればいいっちゃいいんだが。

 

 

 とりあえず、先立つ物が必要だ。拠点…家こそ借りてはいられるが、そこから先の食費や雑費は自分の負担。飯食う為には仕事せにゃならぬ。

 何でもいいからクエストを引き受けようと、受付に行ってみたんだが……ふむ、とりあえずユニスは居ないか。多分、今でもデスワープ直後のあの街で受付嬢をやってるんだろう。

 いやそれは置いといて、驚いたのはクエストの種類の数。MHFでも期間限定だの特別だのハンターズクエストだの色々あったが、同じように一見しただけではサッパリ分からないくらいのクエストがある。ぶっちゃけ、何がどう違うのか分からない。

 

 聞いてみたところ、大きな差はタイムリミットの差…らしい。多分これ、ゲームと違うよな?

 しかし考えてみれば当然か。依頼が出ていると言う事は、それを頼んだ人が居る、と言う事。当然、依頼人にだって色々と都合がある訳で、いつまでに必要、何時を超えてしまったら達成してもらっても意味がない、一個分納品してくれればいいから早い者勝ちの依頼など、期限や形態は多岐に渡る。

 逆に、常に依頼が出ている…主にハンタークエストは、ギルドが常時掲げている物が殆どだ。常に素材の需要があるから、ちょっと目を離すと異常なまでに数が増えるから、メゼポルタ広場の安全を確保できないくらいに近くに寄ってくるから。これまた理由は様々だが、理由があって常時掲載状態なのは間違いない。まぁ、フロンティアにまだ慣れてないハンター達への救済措置、という一面もあるんだろうが。

 

 

 が、常に出ている依頼だからと言って、それが安全とは限らない。ギルドも安全基準については可能な限り配慮しているようだが、フロンティアは魔境だ。環境変化がとにかく激しい。それはもう、色々な意味で自重しろと叫びたいくらいに。

 1日前にモンスターがそこに居たからと言って、同じモンスターがそのまま居るとは限らない。全く別種になってる可能性もあるし、同じ種類のモンスターでも見違えるような変化を遂げている場合もある。

 

 

 

 

 と言うか、モンスターの生息領域以前に、環境の変化が激しすぎるんだよ! どこのグランドラインだここは! 海王類モドキも山ほど居るし! 何よりも気温がワケ分からん。

 比較的近くにある街では全うな四季があった(まぁ、それはその内3か月くらいしか体験してないが)と言うのに、フロンティアと来たら…。数日のうちに季節が一巡するような有様とか、率直に言って訳が分からない。

 

 何を言ってるのか分からないって? そうだなぁ…。まず、フロンティアの季節は、大別して3つに分けられているんだよ。繁殖期、温暖期、寒冷期。ここまではゲームと一緒だな。気候的には、俺らも知っている春・夏・冬に分類される。秋は…まぁ、寒冷期に統合されている感じだろうか。

 そして、当然の事と言えば当然の事なのだが、同じ温暖期の中であっても、常に気温が一定な訳ではない。雨の日もあれば晴れの日もある、曇りもすれば嵐も来る。更には冷夏という言葉もあるように、温暖期だと言うのにクッソ寒い日もあるのだ。これらが数日の間で、不安定に一巡する。勿論、温暖期である事に違いはないので、寒い日にしたって他の季節よりは暖かい傾向があるが。

 

 何故こんな事になっているのか? という疑問には、これは古龍の仕業である、と答えよう。あくまで、そう考えられているだけで、実証されている訳ではないのだが。

 ま、確かにねぇ。天候を操る古龍を初め、炎や氷を自在に操るモンスターなんて珍しくない。これらが闊歩しているのがフロンティアなのだ。こいつらが力を奮えば、それだけで気候は変化する。それが遠い場所の事だったとしても、天候と言うのはあちこちの空模様の影響を受け、及ぼすものなので、どっかに余波が飛ぶだろう。

 更に言うなら、気候が変わればそこに住むモンスターも変わる。より快適な住居を求めて移動するモンスターが居れば、それに追われて逃げ出すモンスターも居る。

 これに加えて、フロンティアの地形は複雑無比。何処にどう影響が及ぶかなんて、考えるだけ無駄である。

 

 

 ていうか、下手すると地形すら日替わりになるからな。

 

 

 強力なモンスター達が暴れまくって洞窟が崩壊したと思ったら、数日と経たずに元通りになってたり、違う場所に洞窟ができあがってたり…。

 まるで、フロンティア全体が秘境のようだ。ほら、クエストに出たと思ったら、道を間違えていつの間にか入り込み、同じルートで進んでも今度は侵入できないって奴。

 

 

 或いは………討鬼伝世界の異界と同じような……?

 

 

 …いや、流石にまさかなぁ。確かに地形は意味不明だし、文字通り流動してると言われても驚きはしないけど、異界とは違うだろう。少なくとも鬼が出す瘴気は無い。筈だ。

 でもMH世界にもオカルトパワーはあるみたいだしな…。そういや、ある程度以上の難易度のクエストに行くと、体が妙にしんどかったり、鎧の効き目…防御力が落ちるという話を聞いた事があるような…。

 

 

 

 

 …まぁ、今から考えても仕方ないか。現状の俺では、雲の上の話と大差ない。

 何より、話が逸れに逸れまくったが、今重要なのはこれからどうするかという話だ。とりあえず、慎重に慎重を重ねてクエストを選び(それでも運悪く乱入・或いはG級並が湧いて出るという事態を避けきれそうにないが)経験を積み、何より金を稼がなければ。

 

 でもちょっと不安……なんて事を考えていたら、いつの間にか隣に教官が立っていた。アンタ広場の入り口に居たんじゃないんかい。

 

 

「うむ、それはそれとして、貴様ホルクを知っているか?」

 

 

 ホルク? ……何それ?

 

 

「やはり知らなかったか…。他所の土地で言うオトモだと思えばいい。全く、貴様が割り当てられたホルクの元に来ていないと聞いてもしやと思ったが…」

 

 

 んな事言われてもなぁ…。知らない物は知らないよ。いや、情報収集(キリッ)なんて言いつつ、基本的な事を知らなかったのは俺でもどうかと思うけど。

 

 

「貴様は既に、教えてもらえるのが当然のヒヨッコではないのだ。我輩に言わせればヒヨッコ同然ではあるが、それでも己の足で立つのが当然の、一人のハンターだ。誰かが常に助けてくれる、教えてくれるなどと思うでないわ。知りたい事があったら自分で調べろ。便利な物は自分から探さねば、誰も教えてはくれんのだ。まぁ、聞けば答えてくれる人くらいはいるかもしれんが」

 

 

 厳しいご意見で。まぁ、社会人としては当然の心得ではあるわな。ハンターを社会人と称していいかは微妙な所だが。

 ともあれ、教えに来てくれた教官に感謝です。

 

 

「仕事だからな! 暇だし。それに、共に狩りに行く仲間の有無は、ハンターライフのモチベーションに大きく関わる。貴様がボッチを拗らせて、やる気をなくされても迷惑だ」

 

 

 そーゆーのは卒業してます、多分。一時期、ボッチを拗らせてたのは確かですが。

 

 

 

 

 さて、件のホルク? ハルク? であるが……ガブラス? いや、もうちょっと鳥っぽいな…。

 

 教官の話では、人に育てられたホルクは賢く、人懐っこい性格をしているらしい。パートナーであるハンター以外の人間にも、無暗に敵意を見せる事は無い。

 …筈なのだが、なんか俺警戒されてる。餌を投げても喰い付かない。他の人がやると喰い付く。近寄ると、アカラサマに緊張して体を強張らせる。

 

 …俺、君に何かやったかな? と言うか、この反応は……「人間ではなくモンスターを前にしているかのようだ」とは教官の言。

 うーん……確かに中身はアラガミだし鬼だけどさぁ……。ハンターはそれ以上にモンスター染みてるんだし、そっちに怯えられるのはなんか納得いかんなぁ…。

 

 まぁ、納得いこうが行くまいが、怯える子を無理に従属させて肉盾扱いする気はない。まぁ、ホルクはその性質上、肉盾としてはまるで期待できないらしいが。

 かと言って怯えられたままなのも気分が悪いので、ゆっくり手懐けるとしましょうか。それまでは一人での狩りだな。

 

 

 

HR月

 

 

 結局、ホルクのお供も無しに、一人で狩りを続ける。ホルクで思い出したが、確かフロンティアにもプーギーを連れて狩りをしたりする機能があった筈。

 他にも、捕らえたモンスターを飼育するという話を聞いた覚えがあるが…どっちも今は無理だな。

 何せ、今はホームに俺以外誰も居ないのだ。それこそ、お付きのネコすら居ない。

 

 考えてみれば無理もないのだが、ハンターの数に対し、お付きになれるアイルーは非常に少ないのだ。

 アイルーだけなら沢山いるのだが、彼らも自分達の社会体系を持ち、それらを意地して暮らしている。お付き認定される程優秀なアイルーがそもそも少ないし、優秀でもサボらないアイルーはもっと稀。根本的に、人語を学習したアイルー自体がね…。

 ポッケ村やベルナ村のようなハンターがあまり居ない土地なら、ハンター一人に対して複数のアイルーが付く、と言う事もあるのだが…フロンティアのハンターは何百人って数だからな。

 

 その為、フロンティアでのお付きのネコは、ハンター自身が確保する事となっている。別に、麻酔玉叩き込んで攫ってこいというのではない。アイルー達の集落や、運よく巡り合えればネコバァを介して、直接本人…もとい本猫と契約するのだ。

 無論、「拠点には全然帰らないから、お付きのネコが居なくてもいいや」という者も居る。そういうハンターは、他のメゼポルタ広場を渡り歩き、貸し部屋に数日宿泊してはまた他所のメゼポルタ広場で狩りをする…という生活を送っているようだ。

 そういうのも悪くはないが、俺としてはやはり拠点を確保したい。

 

 

 何故って、お突き合いする相手が出来た時に困るじゃないか。

 

 

 そういう訳で、砂漠に狩りに来た時、ついでにアイルー達の集落に寄ってみた。

 人語を喋れるアイルーが非常に少なかったが、こっちも多少はアイルーの言葉は分かる。…大の男が、ニャーニャー猫なで声を出している姿は、他人様には見せられないが。

 契約自体は、まぁスムーズに進んだと言っていいだろう。仕事内容としては、家の掃除に、精々が料理をする程度。料理に関しては、専ら狩人弁当で済ませているので、自分が食べる分だけ作ればいい。ああ、ホルクの世話も任せる事になるな。

 狩りに連れて行くオトモと違い、特に危険もない仕事だ。しかも、掃除さえ済ませてしまえば、後はほぼ自由時間。何をしていてもお咎めなし。それだけに給与は安いが。

 

 幸い、人間の言葉も分かる、他所で少しだけだがオトモを経験した事もある、という高性能アイルー2匹と契約できた。一匹は家事、一匹はホルクの世話。

 それはいいんだが……なーんかこいつら、見覚えがあるんだよな。別に嫌な記憶じゃないんだよ。いつぞやMH世界でデスワープした時の、爆弾抱えて突っ込んできたネコって訳でもない。

 こう、毛並みと言うか目の形と言うか耳の角度と言うか…どっかで見た事あるような。

 

 それが気になってセットで契約したんだが、どうやらこの2匹、夫婦らしい。

 性格は揃って活動的で、とにかく黙っていたりジッとしていたりするのが苦手。その分、暇潰しにでも仕事をするので、結果的には割と真面目な方だろう。

 欠点があるとすれば、放っておくと延々と喋り続けるって事かな。俺はのっぺらのウザさで慣れているからいいが、人によっては五月蠅いとも感じられるだろう。…アイルー語でニャータカニャータカ話すんじゃなくて、隣で聞いてる俺にも分かるように人語で喋るのは、気遣いのつもりなんだろうか。

 

 で、それに付き合ってた時に、ちょっと話題に出たんだが……この2匹、子供が何匹か居るらしい。そいつら放っておいて仕事に来て大丈夫なのか?と聞いたら、既に自立して旅立ったとの事。

 …と言う事はこの2匹、人間換算で40歳くらいだろうか? ………はい?

 

 

 

 末っ子はまだ子供? 人間で言えば12~3歳程度?

 

 

 おいおいおいおいおい、何をいきなりネグレクト宣言してんだよ!? 思春期じゃねーか一番大事な時期じゃねーか!

 と焦ったが、これがアイルーの生態だった。ある程度まで子供の世話はするが、独り立ちは早いし、本猫もやりたい事が出来たり、ついていきたい誰かを見つけたら、まっしぐらに突っ走る。そうでなくても、ふと思い立ったら何処かにフラッと行ってしまう場合もある。そういう場合、アイルー達は探す事をしない。本人の意思を尊重すると言うのもあるし、幼いアイルーでは襲われたら生き残れないようなモンスターが居た場合、二次災害の恐れがあるからだ。この辺、人間の子育てよりもずっとシビアである。

 アイルーの生態の是非を論ずるのはここまでにして、本題。

 

 

 この二人の末っ子、名前がネコマと言うらしい。ちなみに苗字はサムネ。

 …ネコマ・サムネ。

 

 わー、なんだかとってもききおぼえがあるなまえだねー。あといちもじでほんとにねこかおまえ、といいたくなるようなとんでもきゃらくたーとおなじなまえになったのに。

 

 

 

 

 

 …あいつの両親かよコイツら!道理で妙に毛並みがいいし、既視感を感じると思ったわ!

 

 

 

 まぁ、それでどうなるって話でもないんだが。一応、今あいつが何処にいるのか教えはしたが…それも多分、なんだよな。あいつの事だから、七転八倒して変な所に向かいそうだし…。

 それを聞いた親猫達も、「元気ならそれでいいニャ」とあっさりしたもの。人間とは価値観が違うのかね、やっぱり。正宗自身も捨てられたとは思ってなかったし、よそ様の家庭環境にあんまり首を突っ込むもんじゃないな。

 

 ただ、幼い頃の正宗の事の話にはちょっと興味が出た。

 親の元から巣立っていった時は、キッチンアイルー志望だったらしいが……それが、どうしてハンターに代わってモンスターを狩りたい、なんて事になったのやら。

 

 

「アイルーの中でも、特に気紛れな子でしたからニャー。何かするにしても、壁にぶち当たると暫く悩んで、飽きて辞めてしまう事が多かったですニャ」

 

 

 まぁ…子供だしな。しかし、俺の知ってる正宗…二人の言うネコマは、そんな感じはしなかった。

 モンスターに負けても、やり方や相手を変えながら再戦したし、キツいだけで面白味もクソもない石炭掘りだって、グチグチ言いつつやっていた。

 …案外、名前が同じだけの別猫って事は…。

 

 

「多分ないですニャ。アイルーがオトモではなく、ハンターと同じように戦いたい…。考えるアイルーは多いニャけど、実行しようとするのはあの子くらいニャ」

 

 

 まぁ、言いたい事は分かるけどな。言っちゃなんだが、ハンターでもない一般人が、ラオシャンロンを狩ろうと志すようなもんだ。いつかは出来るようになるかもしれないが、今はとてもじゃないが信じられない夢物語でしかない。

 この2匹の元から旅立って、ニャンターを志すまで一体何があったのやら。

 

 




 さて、毎度の如く何処じゃろな、ここは。もう夢でも現実でも大して変わりない気がしてきたが、例によって見覚えのない場所に居る。
 …今回はまた、随分と高い所に出たものだ。ガラス張り…らしい壁面と、金属特有の輝きを持った床。ガラス越しに見える赤い金属は、塗られた鉄筋か。
 
 外に見えるのは……うーん、何だろな。古臭いという程古くもなく、都会と言う程都会でもなく。しかし何となく懐かしい。
 ……そうか、これはアレだな。レトロって奴だ。高い場所から一見した印象でしかないが、昔ながらの掘っ立て小屋っぽい建物がある区画と、妙に近代的な(それでも野暮ったいが)ビル…ビルヂングとでも称したくなるような建物が集まっている区画がある。
 …お、アレは電車か。見た感じ、あまりスピードが出ている様子もないし、デザインも古臭い(この世界の人から見れば最新に見えるかもしれないが)。と言うか、下手すると路線バスと言った方がいい規模のような気もするし。

 ふぅむ、少なくとも俺が元居た世界の、元居た時代ではないな。多分、時代としては大正櫻と浪漫の嵐が吹き荒れそうな頃だろう。尤も、アレは確か大ではなく太だったと思うけども。



 さて、しかしこれからどうしたものか。今の俺、フロンティア用の鎧装備なんだよね。狩りの途中にキャンプで寝たんだっけ?
 この世界・この時代の頃はよく知らないが、流石にこの格好で帯刀して歩いてりゃ、官憲のお世話になるのは間違いないだろう。ここから鷹の目で見るだけでも、下を歩いている人達で武器を持っている人なんていない。
 むぅ……鎧の下、インナーだけなんだよな…。場所によっては上半身裸で歩いている、何かの作業をしているらしいおにーさんとか居るようだが…誤魔化せるかな?





 ………ん、なんか寒気がする。瘴気? …とは少し違う気がするが…なんだか、ヤバい空気が漂ってきた。
 周囲を見回すが、特に何も居ない……いや、人の気配が一つ………と…これは? 人……でも死人…生きてはいるっぽい…が、そもそも感じる圧力や強さに反して、体が小さすぎる。子供どころか、赤ん坊や小動物くらいの大きさだ。
 敵意は感じないが、俺を警戒・或いは値踏みしているようだ。
 …この空気の中でもそうしてるって事は、この状況での荒事に慣れているか、全く気付かないニブチンか…。でもこの気配は古強者の気配だな。
 下手に動いて刺激したくないが…どうしよ。

 でも、あっきらかにヤバい気配がビンビンしてるし、これ放っておいても何か出てくるな。鬼…じゃない。もっと危険……なんだが、何となく畏怖すべきと言うか信仰すべきと言うか、俺は絶対敵対しちゃいけないような、それでいて挑みかかるべきのよーな。
 

 そんな訳の分からない感想に首を傾げていると、部屋の中央の柱からチーンと金属音が響いた。…エレベーターかよ。
 む…扉越しで分かりづらいが、これまたヤバそうな気配がする。元々ここに居た奴と関係があるかは知らんが、できればとっとと逃げたい。
 もういっそ、ラストガラスもとい隣のガラスをブチ破レイクして、イーグルダイブで脱出を計ってしまおうか。

 そんな事を考えている内に、エレベーターの扉が開く。
 そこから出てきたのは……。





 肩の上に猫。
 マント…と言うより外套。
 チラッと見えただけだが、腰にピストル。
 刀。
 学生服。
 いくつもの管。
 学帽。
 



 そして何より、見間違えようもない内ハネして、とんがっているモミアゲ!!!!




 ここまで言えば分かるだろう。






 十四代目葛葉ライドウ!




 待て待て待て待て待てヤバイヤバイヤバイこいつはヤバいこいつ自身もヤバイがこの世界は特にヤバい!
 いや待て人修羅殿が来るよりは…でもマニアクス版では出典してたし、話の進み具合とかにもよるけど下手すると同レベルくらいに…。

 デビルサマナー系の話は、将来核戦争で荒廃待ったなし…なのはかなり未来の話だし、確かこの世界観は特殊な時間軸にあるとかで実現するか分からないし、少なくとも100年以上先の話だからいいとして、悪魔がやばい!
 
 分霊とかならまだいいが、高位悪魔とか本体とか、何より閣下辺りに目を付けられたら、それこそ本気で何が起こるかワカラネェ!
 パラレルワールドとか複数の時間軸に跨って存在するとか、そういう連中が俺の状態を見たら、色々分かるかもしれないが、それ以上に生き残れる気がしねぇよ!

 と言うか、さっきから感じている妙な寒気は異界化だったのか!? 討鬼伝世界の異界とは大分違うな…あっちは結局、毒素を振りまいてるけど現実世界なのは…いや瘴気が濃いと時空も歪むしな。



「貴様は…」


 あ? あぁ、そういや、もう一人居たんだっけ。すっかり忘れてた。ライドウに反応して出て来……?


  


 足元に猫。
 マント…と言うより外套。
 チラッと見えただけだが、腰にピストル。
 刀。
 学生服。
 いくつもの管。
 傷の入った学帽。
 顔に傷跡が幾つか。




「やはり…この世界に我自身が存在したか…。となると、ここは異なる時空の世界か…。成る程、我の世界と寸分違わぬ」




 そして何より、見間違えようもない内ハネして、とんがっているモミアゲ!!!!




 ま、魔人ドッペルゲンガー!?



「違う。異なる世界のライドウだ」


 ぬあ、猫が喋る! …まぁそういう事もあるよね。アイルー見てりゃ珍しくもないわ。黒だからメラルーか。二足歩行してみれ。爆弾は出すなよ。



「魔人についての発言といい、我の声が聞こえる事といい、どうやら業界関係者のようだな」



 あ、いえちょっと知識と霊感があるだけなんで、そういう訳では…。
 ここで起こってた騒ぎとやらにも関わった覚えないです。敵意向けないで。

 なんだこのWライドウ。…あ、いや待て思い出してきた。あーあーあったね、こういうイベント。
 確か超力兵団じゃなくて、アバドン王の方だっけ。別の世界線から飛ばされてきた、葛葉………えーと、雷銅? 電動? が居て、その後確か…?


「察しの通り、悪魔にしてやられた。我とした事が不覚を取った…が、何とか、時空の狭間に悪魔を誘い込み、封印を施した。その反動で、我はここに飛ばされてきたのだ」

「ほほう、こちらに来る経緯が我らと少し違うようだ。やはり、微妙に世界が異なるようだな」




 その後確か…イベント戦、だよな。と言うか、ここに出てきたのって確か…。
 …ああ、そりゃー俺と言うナマモノにしてみれば、畏怖すべきで信仰すべきで、絶対敵対しちゃいけなくて、それでいて挑みかかるべきだわ。


 …ぬ、プレッシャー!


「グワッハッハッハー! 若造が! このワシから逃げられると思うなよ!」




 御立派様キターーーーーーー!!!!
 マーラ様!
 マーラ様じゃないですか!

 

「サマナーとしてそこそこデカくなったようだが…やはり貴様らとはモノが違うわな。グワッハッハッハー! …む?」 


 キョロキョロと…見渡しているのかな? 目がどこにあるんだろ…やはり先端か。カメのアタマか?


「ヌヌヌ? これは珍妙な。同じデビルサマナーがもう一人。いや、それ以上に気になるのは…貴様じゃ!」

 
 はっ!? お、俺をご指名っすか御立派様!? そりゃそこそこ自信はありますが、流石にアンタ程デカくないし、人間(に見える相手)のメス以外とのお突き合いは勘弁してほしいんですが!



「ワシじゃって願い下げじゃ! いや、男同士でもモノは使うし、最近は女同士でも道具を使えば似たような事ができるから、そっち方面の権能もないではないが」


 マジか。流石に御立派様は器が違った。


「それほどでもない。ふむ……貴様、中々面白い術を身に着けておるようじゃな。人間にしてはモノもそれなりじゃし、歳にしては実績も申し分ない。…妙な状況におかれてはいるようじゃが、それはどうでもよいな。うむ、貴様、儂のムスコになれい!」


 あ、やっぱループの事分かるんだ。
 御立派様のムスコとな。マーラ様じゃない御立派様は我がムスコだが、御立派様はムスコのようでありながら、俺にムスコになれと言う。


「つまり血縁が続いておると言う訳じゃな。うむ、似通うのも当然じゃ」


 ムスコになるって事は義理だから血縁は無いが、御立派様ならナンボでも血縁を残せますな。


「うむ。我がムスコになれば、貴様に加護を授けてやろう。今まで以上にナオンに恵まれ、貴様のモノで好き勝手できるぞい? その結果、ワシは貴様から送られるMAGIでより一層漲る。女の幸せをトコトン味わえるナオンが増える。誰にも損はない取引じゃよ」


 いやー、非常に魅力的な提案ですが、今となっては全く心が揺れませんな。
 まぁ、これでもソッチ方面の技術を学び、求めている…自分で言うのも何ですが、求道者ですので。


 人の研鑽で高みに上り詰め、神魔の領域を踏破して尚進む事こそ、人の本懐です。
 なので、非常に勿体ないですが、またの機会にと言う事で。


「グワッハッハッハー! そういうと思うたわい、益々気に入った! 貴様が要らんと言うても、ちょっとした加護はくれてやろう! 見事使いこなしてみせい!」


 ……あ、ありがとうございます。でも、後ろのWライドウが鯉口切ってるんで、後ろからバッサリ殺られない程度にお願いしますマジで(迫真)。
 と言うか、加護貰っといて悪いけど俺はこっちに付きますんで。


「グワッハッハッハー! 構わん構わん! 3人纏めて、ワシのギンギンの突きで軽く捻って、ワシの偉大さを思い知らせてやるわー!」



 …そういう事になったのだった。
 ところで、別の世界線のライドウに手傷を負わせた技ってなんだろ。御立派様が言うように、ギンギンの突き? それともマララギダインだろうか。





 で、結局、御立派様と言えどWライドウには勝てなかったよ…となった。出現した悪魔(言うまでもなく全て女性だ)は、目の保養にはなったかな…正直、そんな事言ってられなかったけどね。
 Wライドウに不感症疑惑が降りかかったが、誰も聞いてないからどうでもいいだろう。

 と言う訳で、一件落着した別の世界のライドウは、ヤタガラスの所へ行って時空を超える秘宝を借りる、との事だったが…それってアレだよな、アロマ回路? アルマ回廊? …アマラ回廊ね。を使うって事だよな。
 強力な悪魔達がワンサカ居て、恐ろしい事にWライドウはそこで修行したりするらしいが……滅多にない機会だから、俺も見に行っていい? (確か時空間を繋ぐ回廊だから、ループについて何か分かるかもしれんし)
 いや、中に入ろうとは思ってないって。別に無料で、とも言ってない。珍しい宝石なんだけど、これと交換でどうかな。飛龍の紅玉。


 …オッケーが出た。大学イモとどっちがよかったかな。


 で、回廊の中を、外からちょっとだけ覗き込んだんだが…うーむ、さっぱり分からんな。ナカに入らないと、回廊すら見えないんだろうか……おっと、ナカじゃなくて中ね、中。意味は変わらんけど。
 しかし…こりゃフロンティア並、下手するとそれ以上にヤバい気配がするなぁ…。
 フロンティア以上はまず無いと思ってたが、世界は広いわ…別の世界っぽいけど。







 さて、その辺で夢から覚めた訳だが、御立派様の加護とは何だったのか。
 …ほら、あのゲームのシステムってさ、相手の弱点属性を当てて硬直した時に、更に攻撃すればMAGIを奪えるってあったじゃん? これを、御立派様風に当て嵌めてみるとどうなると思う?



 弱くて感度のイイ所に一突きすると、こう、キュッて締まったりするやん? その時に更に追撃すれば、それでMAGI(のような何か)を奪えるようになったよ!
 それだけだと相手から生命エネルギーを吸い取るだけになってしまうが、そこはオカルト版真言立川流の神髄の見せ所。奪った力を増幅して返すのだ。循環する力の量が大きければ大きい程、与えられる快楽は大きくなり、調整もより精密にできるのだ! 理屈は聞くな!

他にも、まだ試してないけど、体液をある程度操作できるようになった…気がする。怪我をした時に、血を固めて応急手当…とかじゃなくてアレだな。女性のハラのナカに入った白い体液を、モゾモゾ動かして内側から責めるとかできそうですな。

 いやー、流石は御立派様やわ。あんな事言ったけど、加護を受けちゃったものは仕方ないし、時には見知らぬ道具や手に馴染まない得物を使ってみるのも一興。経験と言う意味では、どちらも得難いものよ。俺がこれに溺れて、腕というか腰を訛らせてしまわない程度に活用しますか!


 あと、これに不満がある訳じゃないんだが、ライドウがやってたMAGIで武器を具現化する奴、あれは覚えたかったなー。
 狩りにも役立つだろうし、習熟すれば武器じゃなくて触手も具現化できるようになりそうだったのに。

 …どっちにしろ、フロンティアに来てから、お相手いないけどね。




デビルサマナー 葛葉ライドウ対アバドン王編。
新作かリメイクしてくれ!
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