HR月
味を占めたのか、タカリ達が度々来る。。回復薬は狩りに使ったのかそれとも昼飯代として売り払ったのかは微妙なところだ。
と言う訳で、「何に使った?」と聞いたら「もちろん狩りに」と答えてくる。「よし、じゃあ今日も回復薬渡すから、一緒に行こう」と繋げます。明らかに面倒くさそうな顔をするので、報酬はほぼ持って行っていい、と約束する。…うむ、行きますかね。
狩りの内容自体は、非常に簡単なもの。G級並のが出てくる訳でもなし、フロンティア以外と大差ないレベルだ。
で、ここでちょっとポイント。ハンターであればペイントボールの匂いを辿って、モンスターを探す事は誰でもできる。…このタカリ達でも、辛うじて可能。これは特筆する事じゃない。
が、俺の場合は普通じゃない追跡方法や探知方法が幾つもある。足跡を初め、食事のあと、フン、その他諸々。人間にも応用できる追跡術だ。と言うかタカの目万能すぎ。
…ん? 何がポイントかって?
そりゃ、猟団員がアイテムとか持ち逃げしたら、軽く見つけ出せるよって話だよ? まぁ、別に問題ないよね。逃げなきゃいいんだし。会費とか取ってる訳じゃないから、所属し続けた方がメリットあるでしょ。
もうみんな猟団員だろ? そういう話で同意して、昨日もアイテム渡したんだしさ。 なーに、別にノルマがある訳じゃないんだ。今回みたいに、一緒に行く時は報酬半分以上そっち持ちだから。
…いや? 脱退したり逃げたりしても、何かするとは言ってないよ? しないとも言わないけどね。
…とまぁ、ちょっと脅かしておいた。自分達が何かの罠にかかった、或いはタカるつもりで釣られた…と言うのは半分くらいは気づいたようだが、それでどうこうとは言わなかった。
事実、一緒に行った狩りの報酬は約束通りに半分以上渡しているし、アイテムのバックアップもしている。装備を作る為の資金すら提供していた。まぁ、流石に金に関してはしっかり領収書持ってこさせたが。
それに、タカリ連中も、全員が全員、芯から根本から完全に腐っている訳ではないらしい。「これだけバックアップされてるなら、ひょっとして自分で行けるんじゃないか?」と思い始める連中がチラホラ出始めている。
そういう連中と狩りに行く時は、あまり出しゃばらず、彼らの援護に努めるようにした。
何度も傷ついたが、それでもモンスター(中型)に立ち向かう姿は、正にルーキーハンターそのものだ。人によっては「この程度の相手に無様すぎる、見ていられない」とさえ言いそうな戦いを経て、勝利の雄叫びをあげるハンター(中年・多分教官より年上)。
その狩りの後で、浴びるように酒を飲んで…勝利の味と、無駄にしてしまった今までの時間を悔いていた。一頻り泣いた後は、随分と面構えが変わっていたものだ。
…たった一度の勝敗が、人生を決めてしまう事もある…か。今回の勝利は、あのハンターをいい方向へ導くものだと思いたいな。
…俺の計画通りにコトが進めば、古龍ないしクサレイヅチとやりあう運命が待っている訳だけども。
そのハンターと、デンナーが話しているところを、ちょっと耳にしてしまった。
…デンナー? 渾名。あっちこっちで「伝説のガンナー」と呼ばれてるけど、どういう訳だか名前を名乗りたがらないんだよな。まぁ、気持ちは分からんでもないが。故郷特有の名前だそうだけど、大の男が名乗りたいもんじゃないわアレ…。だから本人の了承を得て、デンナーと呼んでいる。
尚、次代を超える電車の名前に似てるけど、特に関係は無い。
ともかく、その会話の内容だが…俺の事と、今後の事だった。
まぁ、当然というかなんというか、やっぱり怪しまれてるよなぁ。訓練所を卒業して一か月にも満たないという経歴と、自分で言うのもなんだがそれに見合わない実力、怪しげな治療能力。タカリハンター達を更生させ、戦力にしようという考え。その為の切っ掛け作りという名目で、自分の報酬は猟団運営の為の最低限を除いて放り投げる。しかも、最初から一方的にタカらえるのさえ前提にしている。
猟団員(と言う名のタカリ達)にも、俺の言動を怪しんでいる者は沢山いる。それでも脱退しないのは、「逃げたらすぐに見つけ出せる」という脅しが効いているから……ではなく、今現在の状況が「オイシイ」からだ。
自分だけで狩りをするよりも、ずっと儲けが大きい…何せ、俺が報酬を半分以上投げている上に、アイテム、装備作成に必要な金は猟団から出しているのだ。安全とまでは言わないが、非常に少ない負担で、大きく利益が出る。…この状況を捨ててまで、他所へ行ったとして、そんな都合のいい寄生先が見つかるか?
自分で言うのも何だが、まず無いだろう。そういう風に、報酬の分け前協定なども決めている。…スゲェ頭痛くなったけどな…。パピを掻っ攫ってきて、運営を任せてしまいたくなった。
そんな訳で、何かしっぺ返しがあるんじゃないかと警戒しつつも、タカリ達は逃げるに逃げられなくなっている訳だ。中には、バックアップ付とはいえ自力で狩りを成功させ、自信をつけて立ち直る者や、ハンターとして再出発しようと考える者も出て着た。
再出発しようとしている元タカリ達は、体が鈍っている者も多い為、俺が鍛える事になるが…うん、案外悪くないわ。根が臆病なのは否定できん連中だからか、慎重さは持っている。危険を無暗に犯さないのは、ハンターとしていい素質だ。
ちなみに、デンナーは言うまでもなく治療が目的。立ち直った彼……シダ・コーヅィは……まぁ、切っ掛けをくれた俺に、出来るところまでついていく…と言ってくれる。ちょっとグッと来たな。できれば女の子に言ってほしいもんだが。
…今のところは、俺の目論見は上手く行ってると言えるだろう。
HR月
デンナーに、モノブロス亜種の事を聞いてみた。物凄い顔をされたが、見つけ出して狩る…と伝えると、もっと複雑な顔になった。
…別に、デンナーの敵討ちを考えてる訳じゃないぞ。言っちゃ悪いが、生死をかけた狩場の中で、しくじったのはデンナーだ。モノブロス亜種だって、生きる為に返り討ちにしただけだ。それを本人でもない者が怨恨の理由として、命を刈り取ろうとするのは…色々な意味で冒涜だ。デンナーだって、それは望んでないだろう。
できれば、立ち直ってから決着をつけたかった? …まぁ、そこは分からないでもないが、いつになるか分からんらな。
あと、伝説のガンナーと呼ばれた自分でも勝てなかった相手に、俺みたいなルーキーハンター(と言う事になっている)が勝ってしまったら非常に複雑。いや勝つに越した事はないんだけど。もし万が一があったら、自分の治療も猟団も全て台無しになってしまう。
実に自分本位な言いようだが、まぁ当然か。結果的には、俺を心配してくれているのは事実だし。
ん? 俺がモノブロス亜種を狩ろうとする理由? あー、一言で言えば、あっちのメゼポルタ広場で協力者を作る為かな。
必須って訳じゃないんだが、まぁ義理もあれば建前も必要だしね。一度は狩るっつった以上、成否はともかく可能な限りの事はせんとな。それに、猟団の実績にもなるだろう? 今は何だかんだで、あんまり評判がよろしくなかったハンターの集まりと思われてるし。
…と言う訳で、デンナーに色々話を聞いたところ、モノブロス亜種の場所が判明した。どうやら冬眠し損ねた(するのかは分からんが)個体のように、色々苛立っている危険な状態らしい。放っておくと、生態系に影響が出る=フロンティアが騒乱の渦に包まれる切っ掛けになりかねないレベルだとか。
その為に、デンナーに依頼が回ってきたのだが…まぁ、失敗談を細かく話すのは止めておこう。
そういう訳で、依頼を受けたんだが…流石に止められた。デンナーでさえ後れを取ったモンスターを、G級にもなってない俺に任せられるか、という話だった。
まぁ、一度止められただけで、強く申し込んだらあっさり通ったが。それで失敗しても、自己責任だからね。クエストを受ける為のハンターランクも、既にクリアしていたし。
さて、同行を申し出る数人を断って、モノブロス亜種の元へやってきた訳だが……ふむ、あれが白一角竜。白っつーか白金っつーか、見事にギンギラギンである。
亜種とは言え、なーんで砂漠であんな色になるかねぇ? 金は金で別の意味で目立ちそうだが、そっちならまだ辛うじて保護色になってただろうに。
本当は雪山がモノ亜種の居場所だった……でもあんな巨体が潜って隠れられるような場所は……いやそれを言い出したら、ドドブランゴとか明らかに雪じゃなくて地面を掘ってるし…。
まぁいいか。場違いな白金については、アルビノ的なナニカと考えよう。…だったらむしろ、体は弱い筈だけどな。
だけど隣に居る、ディアブロス亜種(金冠サイズ…モノブロス亜種が小さく見える)は一体何ぞ? デンナーの話の中にも、あんなのは出て……いや、でも有り得る…のか? いかにモノ亜種が強力で、デンナーが油断していたとあっても、それでデンナーが引退するくらいの大怪我をするとは…。実は、もう一匹いて隠れて奇襲を受けたとか? でもそれならデンナーが黙ってる筈もないし、本人は「最後に受けた攻撃が何だったのかまで、嫌になるほど焼き付いている」と言ってたから、後ろから串刺しという訳でもない。ついでに言えば、デンナーだろうとレジェンドラスタだろうと、相手がカンタロスであったとしても、一歩間違えれば死ぬのが狩りだし。
白黒が揃っているが、別段めでたいとも思わんな。
そもそも双眼鏡を使って観察してみたが…あのディアブロス亜種、口元から黒い息が見えてんですけど? ……ディアブロス亜種って、産卵期に入った雌のディアブロスだったよな。うん、これはそういう時期だとして。
なぁんであのディアブロス亜種は、ハンターが近くに居る訳でもないのに激オコしてるんですかねぇ? フロンティアにはそういう個体も居る、と言われれば反論もできないが、それ以上に気になるのは…。
ディアブロス。常に怒っている状態。………片角…ではないのが唯一の救いか。
仮に、マ王が同一個体でなく、ある程度の条件を満たしたディアブロスが進化した姿だとして…それをフロンティアで満たしたらどうなるか。ただでさえ強力なモンスター揃いのフロンティア。かつ、ブチギレ状態の亜種。更にマ王。お付きのモノブロス亜種。詰んだ。
いやいやいや、トッツィ待って、これちょっと待って。流石にヤバすぎるって。
あそこに突撃するのは狩りでもないし自殺とさえ言わないし。地獄巡りの一言よ? 或いは天上に辿り着けないダンテ。悪魔も泣き出す方じゃなくて、ベアトリーチェちゃんと一緒な方だ。ただし、途中で見捨てられる。
…すぐに退散したいところだが、それならそれでギルドに事の次第を報告する義務がある。もう少し情報収集していくか。勿論、モドリ玉の準備も万全だ。
何より、ディアブロス亜種とモノブロス亜種が互いを敵視してないのかも分からない。今は単に、イライラしてないから落ち着いているだけなのか。単なる通りすがりだから、危険を冒して追い払う対象として見てないだけかもしれない。
HR月
念の為、隠れ場所を変えながらコソコソ観察。…ディアブロス亜種は、そのまま何処かに行ってしまったようだ。ふむ、通りすがりだったか。マ王候補とやりあわずに済んで、本当に助かった。
…カンもいいディアブロス亜種だったしな。
隠れ場所を変えて数分後、見事にそのエリアに飛び出してきたのが見えたよ。…あそこに居たら、確実に見つかってたな。おお、怖い怖い。
さて、そんな訳で、今度こそモノ亜種の討伐だ。観察し続けていたおかげで、大体の能力は推し量れたし、細かい癖も分かった。それでも一歩間違えると非常に危険だが、やってやれない事は無い。
大型相手の実戦で使うのは初めてになるが、超越秘儀の準備もオッケー。さぁ、一丁行こうか。
うむ、乙りかけたけど、勝利! 初手奇襲で、尻尾を切断しておいて本当によかった…。崖の上にスタンバって、各種バフをかけての飛び降り攻撃から、六華閃舞で動きを止め、ラッシュで斬り飛ばした。
仕留めた後で気付いたが、こいつのシッポおかしい。いや攻撃力がどうのって意味じゃなくて、こう…尻尾のデコボコがね、普通より大きくて堅いのよ。
…観察している間にも、妙に尻尾を上手く使う個体だな…と思ってたが、アレだ。これ尻尾に岩とか引っかけて飛ばす奴だ。ただでさえ素早いモノ亜種に遠距離攻撃か…悪夢だな。デンナーはよく生きて帰れたもんだ。
さて、デンナーの仇討ちなんてつもりはないが、心配してるだろうし、朗報を届けに行かなきゃな。トッツィへの報告は、その後でいいだろ。
帰ってきました。ディアブロス亜種という心配事はあるけども、それは俺が考えるべき事じゃない。と言うか、いくら強力でも単品であれば、メゼポルタ広場で石を投げれば当たるくらいにひしめいている、廃人達の敵ではない。
かく言う俺も、多分できない事は無い。モノブロス亜種の延長線上でやれるなら、だけどな。
モノ亜種討伐達成の功績により、ハンターランクアップ。これで上位ハンターか…。早いもんだな。
ていうか、フロンティアはG級がスタートラインみたいなもんだから、それこそ感慨に耽るには早すぎるか。
同時に、猟団の名前もそこそこ有名になってきたようだ。尤も、そっちに関してはタカリの集まりという悪評もあるので、良くも悪くも、といった感じだが。
先日、真っ当なハンターとして復帰した…改めて名前を認識したが、シダ・コーヅイ(高所恐怖症)を始めとし、低ランクながらもしっかりと狩りをこなすハンターも増えてきた。悪評が無くなった訳ではないが、「タカリ達が真面目に狩りしてる…どうなってんの…」みたいな目で見られるようになったきたようだ。まぁ、真面目に狩りしてるって認められるだけでも、現状じゃ上等だな。
とりあえず、きょうの所は祝勝パーティと言う事で、猟団員全員で大騒ぎだった。
特にデンナーは騒いだなぁ…。泣き上戸だったり怒り上戸だったりしたが、脱ぎ上戸はヤメロ。男の裸なんぞ見たくない。…思い上がってしくじって、ハンターを断念せざるを得なかった。それを、偶然俺と遭遇して、復帰の道が得られた。そして当の俺が、その原因となったモンスターを狩る…。
色んな感情が渦巻いてるなぁ、あれは…。
…とにもかくにも、デンナーの治療を考えなきゃな。本人の凄まじい執念も相まって、通常通りの生活を送るだけなら、ほぼ支障は無くなりつつある。この調子でいけば、俺がこのMH世界に居られる間には復帰できる…と思う。多分。やっぱりハンターボディは凄いね。
HR月
トッツィの所に来た。俺がモノ亜種を狩った、と言うのは既に聞いていたらしい。
えらい畏まって出迎えられたよ。…トッツィ、頼むから今まで通りの態度にしてくれ。じゃないと、俺はお前の事をトッツキと呼びたくなってしまう。
「何だか溢れ出るロマンと、異様にコアなファンが出来そうな名前だニャ」
うむ、言霊だけでもそこまで分かるか。と言うか、何でモノ亜種を狩った事知ってんだ?
「昨日、エドワードが来て話して行ったニャ。それだけの為に来るんだから、レジェンドラスタってヒマなのニャ」
…エドワードさん? 確かに、何かと来てるなぁ…。しかしあの人達がヒマとは思えんが。ま、それはいいや。
さて、トッツキ…もといトッツィよ。……………その、言いづらいんだが。
そもそも何でモノ亜種を狩るっつー話になったんだっけ。
「それは………ええと、ここに居ていいのかを決める為に…ニャ? でもモノブロス亜種を狩る前から、ここで寝泊まりしてたニャ」
なんだっけな…そもそもここに来たのって、サムネ夫妻からトッツィ達の人間不信をどうにかできないか、みたいな事言われてた覚えがあるんだが。
「ニャ! それニャ! オイラは、歌姫様に会わせていいか見極める為に依頼を出したんだニャ!」
…歌姫? なんぞそれ。聞いた事ないな。
「…そうニャ? 以前はハンターの間でも、色々有名だったニャ」
そう言われてもな…正直、何も思い出せん。色々と特殊な環境で育ったもんね。で、その歌姫様が何ぞ? 作詞作曲でもしろってのか?
「…してもらっても、今は歌えないニャ。…長い話になるニャ。今、時間いいかニャ?」
おk。
…ふむふむ。ほうほう。(・_・D フムフム。…はっ!? 寝てない、寝てないよ。
うむ。つまりは、かつては古龍ですら退ける力を持っていたが、それがとある理由でなくなってしまった。
その結果、歌に守られていた里は壊滅。歌姫様はそれを悔いて、もう歌う事を辞めてしまった、と。
「なんだか大雑把だけど、寝ずに聞いてたみたいだニャ。オイラは、もう一度歌姫さまに、あの美しい歌声を取り戻して欲しいニャ! そのために、オイラ達は必至で研究してきましたニャ。そしてついに、神龍木という素材に、その手がかりがあるという事を突き止めたですニャ! お願いします! 浮岳龍と呼ばれる古龍を討伐して、神龍木を採ってきてほしいニャ!」
浮岳龍…つーと、ヤマツカミか。やるのは構わんが、問題はどこに居るかだな。
神龍木は確か、麻痺太刀作る為に躍起になってた覚えがあるね。
モノ亜種だってそうだったが、相手は伝説とも言われる古龍だ。探すにしても、何処をどう探せばいいか…。この時期なら、まだポッケ村に居るか? でもアイツ、多分龍脈の力を吸ったり、そこから紛れ込んだ狂竜ウィルスで変質してるよな…。確かあの時は仕留め損ねたおかげで…そう、アイツが原因かは知らんが、ミラっぽいデカいのとナバルデウスの乱闘が…。
「それなら大丈夫だニャ。以前、ギルドマスターに相談した時、何体かヤマツカミを見つけて監視しているって教えてくれたニャ。それ以前に、メゼポルタ広場では古龍の襲撃何て日常茶飯事ニャ」
…そういやそうだったな。それにしては、俺は聞いた事ないけど…。
「確かに、最近は襲撃は無いニャァ…。でも、平和でいいんじゃないかニャ?」
んな訳ねーべ。原因があって結果があるんだ。結果があるなら、どっかに原因がある。古龍が来ない理由が、どっかにあるよ。…多分、デカい災害って形でな…。
まぁいいや。とりあえず、ヤマツカミを狩ってこいって事ね。ギルドマスターに聞いてみるわ。…ハンターランクが足りなかったら、暫く待っててくれよ。
「わかったニャ…信じるニャ」
ちょっとだけ、表情が暗くなった。今まで裏切られた事があるからか、やっぱり信じるのを怖がってるっぽいな。
さて、そーゆー訳で、ギルドマスターの所に行ってきた訳ですが……ヤマツカミの討伐依頼を受けるのは、特に問題なかった。
いや問題なかったと言うか、むしろ受けない方が問題だった訳でして。
…猟団を挙げての討伐依頼、或いは防衛戦…ですかい?
「その通り。この所発生しなかったし、お前は初めてだな」
ええまぁ…。(別ループでラオシャンロン戦とかはやった事あるけど)
その様子を見ると、日常茶飯事なんで?
「一か月に一回以上、とだけ言っておこう。メゼポルタ広場のハンターの中には、こればかりで生計を立てている者も居る程でな……いや、それは置いておこう」
ギルドマスターは少し虚空を見上げて、何か考え込んだようだった。しかしすぐに口を開く。
「話には聞いておるじゃろうが、メゼポルタ広場は頻繁にモンスターの襲撃を受けておる。元がモンスターのナワバリじゃったし、無理もない。居場所を返せと襲ってくる者もおれば、生存競争に負けてこちらに突撃せざるを得なかった者もおるじゃろう。奴らの強さは、上から下までとにかく極端でのう。どれくらいのハンターを迎撃に出せばいいかも、さっぱり決まらんのじゃ」
まぁ…ここのモンスター、強い奴は強いけど、弱いモンスターは列強種族でも弱いっすからね。
「うむ。しかし、だからと言って楽観したり、放置しておく訳にもいかん。故に、その対策として人海戦術を採る事となった。玉石混交とは言え、数は力じゃ…お互いに足を引っ張り合わなければな」
ニャルホドねぇ…。で、今回は俺の猟団もそれに参加する義務がある、と?
「そういう事じゃ。おぬしだけでなく、一定以上の規模やランクの猟団は例外なく。無論、相応の報酬はある。拒否できない事もないが、ペナルティは大きいぞ」
それが成立しているって事は、今までに大きな問題は…。
「無いの、辛うじて…じゃが。何せ相手によって、労力の多少が極端すぎる。今までは、労力はそう多くは無かった。だが、突然凄まじい災厄が襲ってこないとも限らんのがフロンティアじゃ」
…そうだな。いきなり広場がルコディオラに襲われる日がくるかもしれん。
「ルコディオラならまだマシな方、と言うのが救われんの。そして、今回の襲撃は、恐らく3日後。来るのは…浮岳龍、ヤマツカミじゃ」
ほぉ…そりゃまた、都合がいいのか悪いのか。
「トッツィ達に手を貸してくれる、という話は儂も効いておる。討伐ないし撃退できれば、神龍木はこちらで融通しよう。それだけでなく、お主は先日モノブロス亜種を狩った注目株じゃ。猟団の評価も大きく上がり、それだけの恩恵も受けられるようになるじゃろう。猟団の実態がどうあれな」
まぁ、根っこがタカリ集団だしね…。しかし、そう考えると…もしこのまま猟団が上手く行けば、一番メリットが大きいのはギルドって事になるか?
素行の悪いタカリが、曲りなりにも戦力として数えられるようになるんだから。一人一人は心許ない戦力でも、数が揃えば………いやモンスター相手にその理屈が通じるかは微妙だけども。
「否定はせんが、肯定もせんよ。我らは中立故、表立って支援する訳にはいかんが、どのような手であれ実績を挙げれば平等に評価しよう。お主らは、数だけは急速に膨れ上がりつつある。その状態で実績を挙げれば、その分だけ旨味もある」
ふむ、個人ではなく、猟団の規模に応じて褒章が出るのか。成程、人数が多くなれば、仲違いや派閥争いの危険もあるが、その分利益も大きい訳だ。ややこしい…いや、深読みするとこれって…うん、アコギな真似してるね。
「そう言うでない。お主らにメリットが大きいのは事実じゃし、個人的にも期待しておる。……コーヅィも立ち直ってきたようじゃしの」
は?
「何でもないわ。では、お主らの猟団は参加じゃな。…そういえば聞き忘れておったが、猟団名は決めたのか?
………狩りゲー世界転生団。団っていうか、狩りゲーじゃなくてリアルだし、転生してんのは俺一人だけど。
「文字数制限(と言う名を騙るメタい何か)に引っ掛かる。却下じゃ。四文字以下にせぃ」
今時ドラクエ3並かよ。
…まぁ、ともかくそーゆー事で、防衛戦(という祭り)に参加する事になったのだ。度々起こる事らしいし、フロンティアの住人は何度も参加しているっぽいから、タカリ団員達を動員するのは左程難しくないだろう。一丁演説でもやるか、みたいな事も考えてたが。
しかし、聞き間違いじゃなければコーヅィの名前が聞こえたんだが。…知り合いかな?
いくら何でも、コーヅィがトンデモハンターで、ギルドから注目されていた…とは思えんしなぁ。
と言うか、よくよく考えてみりゃコーヅィがタカリハンターやってたのが分からんな。確かに最初こそタカリに来たけど、仕事自体はチマチマコツコツと真面目にやってたし。そりゃお世辞にも、才能や能力の高いハンターとは言えないが、いい意味でも悪い意味でも慎重さなら俺以上。貯えを無意味にすり潰すような度胸があるとも思えんのだよな。
日本人気質に近いというか、ワーカーホリック…とまでは言わなくても、無職無収入だと座りが悪いっつーか。
良くも悪くも小心者で、真面目で堅実な道からはみ出すのを嫌がるんだよな。いやハンターが、真面目はともかく堅実かと言われると言葉に詰まるが。
……何か、コーヅィが道を踏み外すような事があったんだろうか。コーヅィの真面目さ、真っ当さのもとになっているのは…精神・性格のあり方。危険や将来の恐怖を極端に嫌う。となると、それを壊したのは………やはり精神。恐怖か、砕かれた矜持か、嫉妬か…。
ま、機会があれば聞くが、そうでなけりゃ詮索は無しだ。こちとら、タカリを大量に抱える猟団の首領。個人の過去を詮索してアラ探ししてたら、猟団員なんぞ残りはしない。
流石に明確な犯罪ともなれば庇えんし、猟団に所属してやらかすようなら容赦はせんが。
ああ、そういやもう一個気になる事があったな。去り際にギルドマスターがボソッと零したんだが…「このタイミングで浮丘龍…考えたくはないが、やはりそうなのか…?」だそうだ。
何かあるのかね。
…ギルドマスターや教官の言が事実なら、古龍の襲撃は決して珍しい事ではない筈。と言う事は問題はそこではなく、恐らく「この時期」か、或いは「襲ってきたのが浮岳龍」と言う事のどちらか。……判断が出来んな。
※シダ・コーヅィ→シダ・コージイ→イシダ・コージ→石田光司
と言う訳で、名前が同じ……じゃないけど、とにかくこの人の容姿をイメージしてくだしぁ。