※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

248 / 611
討鬼伝モノノフ続行中。
そしてプレイ中にふと気づく。
…これがプレイできるって事は、グランドオーダーも出来るんじゃね?
と思ったが、携帯が破損して代替え機使用中につき延期。

仁王はカンストしたし、大型アップデートに期待かな。
あとは称号の木瓜と刀匠…複数相手が死ぬほど面倒くさい。特に鴉天狗はタヒね。せめてカワイイ女の子とかDOA風味なら…!


前回の前書きで、思いついた外伝が『いつになるか分からない』と言いましたが、素晴らしい動画を見つけて超ブーストがかかってしまいました。
正直、盗作呼ばわりされないか不安。

今回、ちょっと動きが無い(そしてエロと言うにも微妙)なパートが長かったんで、埋め合わせにいいかなーと思ってたら、本編並の長さになってしまった。



あと、唐突になんですが、5/7まで毎日17時更新する事にしました。
出来るかどうか今一不安でしたが、GW企画って事で、書き溜めの消化も兼ねます。
…GW明けから、またヒイヒイ言いそうだなぁ…。
だって5/2からは仁王アップデート三昧だろうし…。



第248話+外伝21

HR月

 

 

 さて、結論から言うと、ヒジョーに上手くいった。意味深は無い。

 直接的な接触は耳だけに限定されているものの、ある意味俺が狩りの技術以上に信頼を置く業だからね。…まぁ、今回使ったのは、まだ完全に御しきれてないオカルト版真言立川流中伝の技だから、不安はあったが。

 うーん…そうだな、これから同じ事をする可能性もあるんだし、記録はつけておくか。エロと違ってほぼノータッチだったから、参考資料が少ないんだよな…。

 

 

 

 壊れた扉を適当に直して密閉を確保。マオはベッドの上に座らせる。

 

 まず深呼吸して目を閉じる。吸って。吐いて。吸って。吐いて。ハンター式の睡眠法を軽く使う感覚だ。

 目の痛みでリラックスは出来ないだろうが、まだそれはいい。

 

 耳に触れるぞ…最初は舐めるんじゃなくて、指に唾液を付けて、それを塗り付ける。いい気分はしないだろうが、我慢してくれ。

 人差し指を咥えて濡らすと、右耳に触れた。明らかに拒絶しようとしたが、抑え込んだようだ。

 

 

 耳の穴付近に軽く塗す。微量の霊力を込めた吐息を吹きかけると、マオの背中がブルっと震えた。霊力の伝達は充分。

 喉を一度鳴らし、声に力を込めた。マオの耳元で囁き始める。

 (まずは目の痛みを抑える…と言いたいところだが、根本的な治療が目的。先に、留まっている力を受け入れる先を作る)

 

 

 全身に力を籠めろ。抜くと同時に、肺の中の空気を全て押し出す。自然と息が吸い込まれ、新しい空気が体に入ってくる。

 入って来た空気は、肺ではなく心臓に集中する。

 もう一度、全身に力を籠める。脱力する。また入って来た空気が、心臓に宿る。

 繰り返し呼吸すれば、心臓にどんどん空気が貯めこまれていく。

 

 …そう、もう一度。もう一度。もう一度。

 それでいい。

 今度は右手だけに力を入れる。脱力すると、心臓に宿っていた空気が右腕に流れ込む。

 次は左腕。右足。左足。頭。

 

 体が空気で満たされる。そのままもう一度深呼吸すると、今度は空気ではなく、光る気体が吸い込まれる。

 空気と違ってほんの少ししか吸い込めないけど、それはまた心臓の一番真ん中に宿って、一緒に宿っている空気を金色に変えていく。

 

 …心臓の空気が全て金色に代わる。その金色から、一本の糸が飛び出てきた。細い糸だが決して千切れず、血管を通って、体を巡る。左肩。左腕。肘。手。指。末端まで糸が進んだら、折り返して脇の下へ。脇腹。腰。左の腿。膝。脛。爪先まで。折り返して、股座を通って右足。内腿。膝。脛。爪先。折り返して腰、右脇腹、右腕、肘、手の甲、指先。折り返して、右肩に。胸を通って、糸は心臓に帰ってくる。

 もう一度大きく深呼吸を続ける。吐き出された空気の代わりに、光る気体が飛び込んでくる。呼吸を続ければ続ける程、その量は次第に増えていく。

 心臓から伸びる糸が、徐々に太くなっていく。糸は膨れ上がりながら、ゆっくりと全身を巡る。糸から紐へ、紐から縄へ。

 (霊力の循環の道筋はできた。後は循環量を増やし、留まる場所…溜池を作る)

 

 縄から川へ。

 

 体の中を流れる光る川は、行場を求めて体中を巡る。どんどん、どんどん広がる。

 心臓から出た川が、胃に、肺に、子宮に流れ込んでいく。

 

 

 いよいよ全身が満たされると、今度は川は遡り始める。首を通って、頭まで届く。

 大きな力の流れが駆け巡り、留まっていたもの、こびりついていた不純物が、一斉に押し流される。代わりに満ちるのは、新鮮で、清らかで、絹のように滑らかな光の奔流。

 触れたものを癒し、乾いた地に潤いを与え、木々が芽吹く為の栄養を注ぎ込む光の本流。

 (目の痛みの元となっていた力が、押し寄せてきた霊力の本流で、強引に経路に押し流された。暗示のおかげで、流れ込んだ霊力には経路の損傷を癒す力もある。これで痛みは治まっていく)

 

 

 全身に、余すところなく光が満ちた。光に触れて、今まで眠っていた感覚が目を覚まし始める。

 感覚の名前は…喜び。光が触れる場所全てが、春を迎えた森のように活発に動く。心臓も、肺も、胃も、朝も、子宮も、全てに活力が満ちた。

 (上手くトランス状態までもっていけた…。この状態を長く維持して、体内の力の流れを整え、流れを自覚させる)

 

 

 だけど、このままではいけない。マオ、お前はこの喜びの手綱を握らなければいけない。今の喜びは、災害の跡に訪れた一時的なもの。それを立て直し、以前よりももっと繁栄させるのがお前の役目だ。

 そうすれば、もっと大きな喜びを、もっと長く感じていられる。

 

 

 お前が一番使い慣れているのは何処だ? …そうだ、その魔眼だ。頭痛と目の痛みの元凶になったからこそ、それを制御すれば同じ事は起きない。

 

 

 …ここから、少し難しくなってくる。俺の言葉をもっと取り込む為に、耳に唾液を付けるぞ。……ああ。そのままじっとしていろ。

 

 

 

 目を閉じているマオは、痛みが引いたのか、安らかな顔をしている。耳を舐めると聞いても、拒絶の意も全く見せなかった。

 ベッドの上に上がって、マオの肩に腕を回す。…一応、セクハラじゃない…と、ミーシャとサーシャに言っておこうとしたが………何だ? 顔を真っ赤にして俯いたり、『あわわわわ』みたいな表情なんだが。

 何? …声がエロい? いやエロい内容なんて、今回は何も言ってないだろ。まぁいいや、続ける。

 

 

 

 んっ……。

 

 唾液を多く纏わせた舌で、マオの耳をくすぐる。まずは外側から。耳たぶは舌の腹で。デコボコした部分は舌の先端でマッサージをするように、唾液でヌメってない部分が無くなるまで舌を擦り付ける。

 一舐めする度に、マオの体がピクピク動く。念のため表情を伺ってみれば、トランス状態が続いている為か、恍惚とした表情は崩れてない。このまま行けそうだ。

 

 

 外側部分は、充分に濡れた。今度は奥まで。

 舌先を尖らせ、マオの耳元に限界まで顔を寄せて、ゆっくり差し込む。流石に、耳の穴に舌がそのまま入り込むような大きさではないが、唾液による滑りのおかげで、ヌルヌルと抉じ開けるように進む事が出来た。

 奥まで舌を差し込んだら引き抜いて、唾液を補充し、もう一度差し込む。

 …ヌチャ、ペチャ、と聞き慣れた音が響く。女を抱く時とよく似た音だが、少し違う。マオは……表情がちょっとトロけてきてるな。トランス状態だから、忌避感が湧いてこずに感覚だけを受け止めてるのか。…悪くない。

 

 っと、いかんいかん、私情は置いておく。唾液もかなり奥の方まで行き渡った。術を続けよう。

 

 

 

 体に行きわたっている光の奔流は、本来マオ自身が持っている力だ。普段は体の中で眠っている力だ。大きな閉じた水門があって、そこの中に蓄えられている力。

 今はそれを開いて、中の水を垂れ流している。このままだと、遠からず水は尽きてしまうだろう。だから、水門を調節する為の機能を付ける。

 マオ、今のお前の体の中で、一番多く水が溜まっているのは何処だ?

 

 

「……お腹…」

 

 

 (目や頭ではないか…。ちゃんと経絡が流れているって事だな)

 お腹……丹田か。なら、その腹の中に源泉がある。そこに大きな水門がある。開いているのが分かるか? それを、少しずつ閉じるんだ。

 

 

「………嫌、だ…」

 

 

 うん?

 

 

「こんな感覚は……初めて…なんだ…。もう、少しだけでいい……この感覚に、浸っていたい…」

 

 

 …これはちっと予想外。よく見てみれば、無表情にも近かった顔は、どことなく緩んで恍惚としているようだ。…性的な快感ではなくて、幸福感に包まれているんだろうが…。

 ふむ、どうしたものかな。放置しておくとよろしくない。

 命に別状は無いな。ブーストがかかって霊力が絞り出されているが、そう遠くない内に…生命維持に問題が出る前に、トランスが解け、溢れ出ている霊力も治まるだろう。

 しかし、そうなると恐らく霊力コントロールは全く身に付かない。根本的な解決にはならないだろう。

 だが、本人に拒むような意思があると、暗示も上手くいきそうにない。霊力付きの囁きなので、ゴリ押しする事もできなくはないが…。

 

 

 …思い出されるのは、前ループでユクモ村の双子との囁きプレイ。…うん、この路線で行くか。所詮俺だから、エロにならざるを得ないのだ。

 

 

 

 わかった。なら、その感覚を長続きさせる方法にしよう。と言っても、やる事はあまり変わらない。今は水門が開き過ぎているから、あっという間に水が尽きてしまう。

 だから、それを半分くらい空いた状態にすればいい。今感じている悦びはは消えず、長続きするようになるだろう。

 

 

「…わかった……それでいい…」

 

 

 いい子だ。すぐにはコントロールができないだろう。だから俺が補助する。1から10まで数を数えるから、それに応じて水門から溢れ出る水の量が変わる。お前の体を駆けまわる、光の奔流の勢いも変わる。

 今は…そうだな。水門の状態は「6」だ。いいな、「6」だぞ。6割開いているんだ。

 今から一つ一つ、段階を踏んで変動させる。

 

 …閉じさせようとしないか不安か? 大丈夫、「3」より少なくはしない。

 じゃあいくぞ。「5」

 

 

「…5……」

 

 

 (目に見える変化はない。マオが感じている恍惚にも変動はないようだ)

 「4」

 

 

「………4…」

 

 

 (霊力の奔流が、少し弱まった。恍惚は…顔が少し陰っている。影響が出たか)

 「5」

 

 

「5…」

 

 

 (上げる方には躊躇い無し、と)

 「6」

 

「6…」

 

 「7」

 

「……7…」 

 

 (6以上に上げるのは躊躇った? …恍惚であっても、これ以上深く入り込むのに恐怖を持っている)

 「6」

 

 

「6…」

 

 

 水門の開閉が、どんどんスムーズになっていく。また、古い水が流れ出た事で、湧き出てきた新しい水で満たされる。

 その水は、マオの意思で動かす事ができる水だ。体中にその水が満ちて、今感じている喜びは、もっと強い悦びに替る。

 

 ほら、マオが気持ちよくなりたい、幸福を感じたいと思った場所で、新しい水が騒ぐ。流れ込んで、満ちて、満ちて、沈めて、取り込んで。我慢できない程の悦びで埋め尽くされる。

 これ以上の感覚は怖い? でももっと欲しい。 体の内側が疼いて仕方ない? だから欲しい。

 欲しい。欲しい。欲しい。

 

 どうすればいい? その感覚を与えられるのは、他ならぬマオのみ。お前が作り出した力が、お前の望みに従って、お前を気持ちよくしようとしているからだ。

 だから、もっと強い感覚が欲しいなら、この水門だけでなく、水をコントロールすればいい。

 心配ない。俺の声がサポートするし、その水はマオの意思そのものだ。自然とできる。

 

 さぁ、もう少し開放するぞ。「7」

 

 

「7…」

 

 

 (躊躇いが無くなった。暫く往復させて抵抗を完全に消し、コントロールをスムーズにする)

 「6」

 

「6」

 

 「5」

 

「5」

 

 「6」

 

「6

 

 「7」

 

「7」

 

 「6」

 

「6」

 

 「7」

 

「7」

 

 

 数字を前後させて、徐々に大きくしていく。

 そうしている間に、マオの反応が変化してきた。数字が変わる度に体を痙攣させている。小さくすれば安堵したような息を吐き、大きくすれば悦びに震える。

 …暗示をかけた通り、マオの全身を駆け巡る霊力は、自身のカラダを悦ばせようとしているようだ。肉体を動かさなず、神経と内臓で自慰をしているようなものか。

 尤も、その自慰で何処まで達せられるかは俺の胸先三寸次第なんだけども。

 

 数字を前後させ、徐々に数をあげていく度に、マオの痙攣は強くなる。雌の匂いも漂っている。

 意識しているのか居ないのか、嬌声さえ漏れている。敏感な場所を撫で回されて漏れるアンアンではなくて、呼吸の仕方を忘れてしまったような、荒い息で構成された嬌声だけども。

 

 

 …それでも、マオの限界は近付いてくる。唯でさえ、霊力にブーストをかけて無理矢理出力を増しているのだ。いくら体が悦んでいたって、どうしたって体力は消耗する。マトモな呼吸もできないのだから、猶更だ。

 ここらで落ち着けるか? …いや、それはあんまりよくないな。ここまで盛り上がってる(俺じゃなくてマオがだ)んだし、デカい山を一つ越えるくらいの区切りは必要だろう。

 発情具合で例えるなら、欲求不満が堪りまくったケダモノが、ようやく解放されたようなもんだ。小さな絶頂が一つ二つ来たところで、猛りが収まる筈がない。

 

 

 (数を変える事にも、上げる事にも全く抵抗がなくなった。同時に、そう支持される事にも慣れてきている。頃合いだ。

 「8」

 

「8」

 

 「9」

 

「9っ……」

 

 「8。覚えているか? 10が一番大きな数だ。マオが一番強い悦びを得られる、大きな数だ」

 

「は、ち……」

 

 「9」

 

「きゅう…」

 

 「9」

 

「きゅう」

 

 「9」

 

「きゅう…」

 

 「9…あと1が欲しいか?  だが、もしもそこまで到達してしまったら、もう止まらない。最後の最後まで、その感覚に溺れ続ける」

 

「ほ……しい…10、ほしい…」

 

 

 いいだろう。ただし、今度は1から数えていく。

 さぁいくぞ。

 「1」

 

「いち」

 

 霊力の流れが弱まり、体が落ち着く。

 

 「2」

 

「にぃ」

 

 大きく息を吸い込んで、体と心を落ち着けたようだった。

 

 「3」

 

「さん…」

 

 またじわじわと霊力が強くなる。

 

 「4」

 

「よん」

 

 全身に少しずつ力が入り始める。

 

 「5」

 

「ごぉ…」

 

 声と表情に熱が宿る。

 

 「6」

 

「ろ、くっ…」

 

 内側から膨れ上がる悦びに耐えられないかのように、仰け反り始める。

 

 「7」

 

「しちっ…」

 

 呼吸が乱れる。 

 

 「8」

 

「はっ……ち…!」

 

 膨れ上がった悦びは留まるところを知らない。なのに、最期の一線だけを超えられず、マオの体内を蹂躙する。

 

 「9」

 

「きゅう…!」

 

 

 ここが、マオが辿り着けた最高点。最後の一線にして、悦びを阻む最後の壁。

 その壁を。

 

 

 「10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20」

 

 

「うっ、あぁ、っっ、っ、………………!!!!!!!」

 

 

 壁を越えた先に、更に深みが広がる。10が最高、と教え込まれていたマオを、容赦なくその深みへ突き落す。

 

 

 「61626364656667686970…」

 

「っ、っ、っ、っ、っ!!!」

 

 

 言葉が加速する。数が一つずつ、素早く大きくなり続ける。もうマオに抗う方法は無い。俺の声にも熱が籠っているのが自覚できる。

 

 

 「71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 」

 

 

 マオの体中が痙攣し、それこそオーガズムが止まらないかのような有様。舌を突き出して顎を仰け反らせ、豊かな胸の先端で は、薄着を押し上げるポッチが二つ、はっきりと見える。ここからは直接見えないが、股座からは雌の匂いが強くなっていた。

 

 

 

「81 82 83 84 85 86 87 88 89 90919293949596979899」

 

 

 最後の一押し。マオの残存霊力も、これが限界だ。最後の+1で言葉を止め、耳を一舐め。敏感になった体はそれだけで達しそうになるが、霊力の干渉によってそれを許さない。

 マオが達するのは、これだよ。

 

 

「1000」

 

 

 

 

 

 …で、めでたくマオは気絶した訳だ。

 念のため、暗示を解く囁きも耳元で囁いておく。無意識に作用するもんだから、寝てても問題は無いのよ。睡眠学習みたいに。

 

 

 

 

 

 …あの、ミーシャさん。何でアワワワワしながらこっちにボウガン向けてんの? サーシャはサーシャで、プルプル震えながら蹲って怯えてるし。

 …まぁいいか。とりあえず、これでマオの頭痛と目の痛みは当分起きない。霊力の扱いも、体である程度覚えてると思う…こっちに確証はないが。

 

 起きたら気分爽快になってると思うが、信用するな。今、マオの中の力をほぼ使い切ってる状態だ。気分爽快ってのは、ランナーズハイとか、重労働した後の爽やかさと同じだよ。

 しっかり飯食わせて、素振りもさせずに眠らせるように。…言わなくも、胃腸も活発に動いてるから、起きたらまずトイレ行って飯を要求すると思うけど。

 

 それと……着替えさせてやってくれ。(潮まで吹くとは…処女には刺激が強すぎたか…?)

 

 

 

 

HR月

 

 ストライカーがどうなったかも気になるが、そろそろ衣装も完成している頃だと思い、トッツイの様子を見に来た。渾身の衣装が効果を発揮せず、意気消沈したトッツイをどうやって元気づけるか…を考えながら来たんだが…予想はちょっと裏切られた。うん、いい意味で…なんだろう。

 

 

「おお、お待ちしておりましたヌァ!」

 

 

 …だから普通に話せって。なんだ、思ってたより元気そうだな。衣装はどうだったんだ?

 

 

「…ダメでしたニャ。歌姫様の呪いは、衣装では解けないニャ」

 

 

 …呪い? 呪詛の類なら、俺も多少は心当たりがあるが…モノノフ的に。

 なんでまた、いきなり呪いなんてモノが出てくるんだ。

 

 

「バッシの奴が黙ってたんですニャ! 歌姫様が呪いを受けていたニャんて、聞いてないニャ! てっきり、あんな事があったから、それで落ち込んでおられると…」

 

 

 呪い…ねぇ。そんなら、大抵のものは俺が感知できそうなもんだが…いや、呪いって言ってもオカルト的な物とは限らんな。呪詛に見えるが、物理的な原因があった事なんて珍しくもない。

 で、その呪いを解くにはどうすりゃええの? 衣装は結局、作っただけ無駄か?

 

 

「ニャ、詳しい事は理解できニャかったけど、衣装も必要らしいニャ。あの衣装を来て、特別に調合した特効薬を飲めば、呪いは解けるらしいニャ」

 

 

 はーん、無駄にならなかったなら良かったわ。で、そのバッシは何処だ? 調合だなんだって、結局トンでも素材を要求されるのは目に見えているんだが。

 

 

「ここに居ますニャ。流石に話がお早い。…ですが、依頼の前に、貴方を見極めさせていただきたいですニャ」

 

「バッシ! オイラが見込んだハンターに、なんて口利くニャ!」

 

 

 いやトッツイ、お前も最初似たようなもんだったぞ。と言うか、見極めるのはいいんだが、そーゆー事やってるからハンター達が助けてくれなくなるんじゃないか?

 …まぁいいや。で、試験の内容は?

 

 

「これからワタシが作る薬は、『天地人』の薬といいますニャ。それを作る為の材料を集めるのは非常に困難で、文字通り『天』『地』『人』全てを兼ね備えたハンターでなければ材料を集められない事から、この名前が付きましたニャ」

 

 

 ほうほう。で、天地人の内容は?

 

 

「天は運…いや、ここでは敢えて天の時と申しましょうかニャ。どれだけ腕がよくても、希少な素材は手に入らない時もありますニャ」

 

 

 …ああ、対物欲センサーって事ね、ハイハイ。でも俺がそれを持ってるとは思えないんですが? と言うかリアル対物欲センサーとか何がなんでも欲しいわ。

 いや、いっそリアル物欲センサーを持って他人に使うと言う手も……ダメだ、それが人間のやる事かよぉ。

 

「ニュフフフ…ご謙遜を。トッツイが衣装を作る為の、新鮮な霞龍の血を求めている時、正にそれを持っていたのはどなたでしたかニャ? 聞けば、その霞龍を狩ったのも、正に数日前だというではニャいですか。これこそ正に天の運。あなたに天が味方している証拠ですニャ」

 

 

 それで納得するなら、別にいいけどよ…。俺に天…。こんな訳の分からんループに放り込みやがった天が味方ねぇ…。ま、運命なんぞ信じてないから、天と言われてもどうでもいいがね。

 

 

「次に、『人』ですニャ。これは言わずもがな、ハンターとしての実力ですニャ。貴方の勇名は、このバッシも聞き及んでいますニャ。訓練所卒業から一か月足らずで、フロンティア上級ハンターへ昇格し、猟団を設立。先日のメゼポルタ防衛戦では、ほぼ単騎でヤマツカミを仕留めたそうですニャ」

 

 

 …色々過大評価されてるような…。

 

 

「最後に、問題は『地』ですニャ。貴方のこれまでの行いで、『天』『人』を持っているのは分かりましたニャ。なので、最期に『地』をお持ちかどうか、確かめさせていただきますニャ。そうですニャ……混沌茸を20個集めてくださいですニャ」

 

 

 混沌茸…っつーと、確かエラく危険な胞子を含んだキノコだったな。特定区域にしか植生しない、と聞いていたが…どこからとってきてもいいのか?

 

 

「構いませんニャ。混沌茸が自生する場所を多く知っているニャら、それは狩場を知り尽くしていると言う事ニャ。『地』をお持ちと言う事になりますニャ」

 

 

 ん、よかろ。とは言え、流石に暫くかかるぞ。悪いがトッツイ、待っててくれ。

 

 

「バッシが大変な事を言い出して、申し訳ないニャ…。どうかお願いするニャ。歌姫様の呪いが解けるまで、あの大悪党のトキシの呪いが消えるまで、あと少しなんだニャ!」

 

 

 ……んあ? ……ああ、とりあえず猟団に戻って準備するわ。その前に一つ用事もあるし…。

 じゃ、今日の所はこれでお暇する。

 

 

「お早いお戻りを…。ニュフ、ニュフフフフ…」

 

 

 

 

 

 

 

 …さて、どういう事かね。

 混沌茸については、まぁいい。確かに珍しい植物だが、実を言うと手元に10個くらいある。何であるかって? 

 

 

 特定区域にしか生えないと言われていたが、ベルナ村では普通に農園で取引できるからだよ。

 

 

 『地』の試験に合ったやり方ではない? 何を言う、名産品を知ると言う事は『地』を知ると言う事ではないか。そもそもバッシは、「どこからとってきてもいいのか?」と聞いたら頷いたではないか。他所の事を知らなかったバッシが悪い。

 とは言え、残りの10個は流石に手間だな。人海戦術で行くか。猟団の連中に知らせを出さないと。高額買い取り、と書いて猟団内で触れ回れば、幾つかは確保できるだろう。楽して金儲け、一発逆転にはメがない連中だからな。

 

 

 さて、それよりも問題はトキシの事だ。最後にトッツイがポロっと漏らしたが…大悪党?

 先日、デンナーやマオからの情報により、「歌姫とトキシが恋仲で、それが力が無くなった原因なのではないか」と推測したが…違うのか?

 仮にそれが正しかったとして、正面切って聞くのは悪手以外の何物でもない。少なくともトッツイは悪党だと思い込んでいるのだし、それと主が恋仲なんて聞かされたら、こっちの話も聞かないくらいに激怒するだろう。

 いやー危なかった危なかった。

 

 しかし、どうなのかねぇ。トッツイは直情的で素直だが、思い込みが強いところがあるし、人間の感性とアイルーの感性は別物だ。伝聞や比喩、冗談で話された事を真に受けて、勘違いを拗らせている可能性は非常に高い。

 

 

 

 

 …トキシ。伝説のハンター、か。同じ伝説と呼ばれているならデンナーが居るが、それとはまた別だろうか。

 伝説ってくらいだから、案外レジェンドラスタと関わりがあったりしてな、レジェンド繋がりで。そうでなくても、そんだけ名の知れたハンターなら、レジェンドラスタ達も知っているか。

 よし、折角こっちに来たんだし、酒場に顔を出していこう。リアさんに斬りかかられないように祈祷してから。

 

 

 

 




 ふむ、今度はまたちょと変わった夢だな。いつもいつもワケの分からん場所に理不尽に放り出されている(夢なんて大体そんなもんだが)が、今回もまたワケが分からん。
 今現在、俺は森の中を結構なスピードで疾走している。具体的にはバフかけまくって全力疾走した鬼疾風くらいには早い。。
 森は真っ暗で、不気味…と言うより、明らかに尋常ではない『何か』が居る。俺の感覚で言えば、討鬼伝世界の鬼が近いんじゃなかろうか。怪物なら他の2世界にも居るけど、MH世界は物理的怪物、GE世界は科学的(?)怪物。そんで討鬼伝世界とこの森の怪物は、霊的な怪物だ。
 まあ、間近で見た訳じゃないから、何とも言えないが…。

 立ち止まって観察する事もできないんだもんなぁ。だって、森の中を疾走していると言っても、実際に走っているのは俺じゃない。列車だ。列車…いや機関車?
 うん機関車だね。トーマスではないけど機関車だね。時々ポッポーって音がしてるし、蒸気機関車だと思う。
 俺はその先頭の上…蒸気をあげる煙突に凭れて、ボケーっとしている訳だ。

 いやもうどうしたもんかねー。車掌も居ないみたいだし。飛び降りても俺なら無事でいられると思うが、何処まで続くか分からない森を延々と探索するのは面倒くさい。
 いっそ開き直って乗客側に行くというのも考えたんだが、フロンティアで延々狩りしていた為、メッチャいかつい鎧に、返り血も結構…。騒ぎになるのは目に見えている。そもそも、この列車がどっかの駅で停車しないと、客席に居たって全く意味が無い。
 仕方ないので、何処かに停車したら適当にトンズラしようと思って、ずーっとここに居るんだが…一時間以上走り続けてるぞ、こいつ。一体どんな線路なんだ、ここは。

 蒸気機関車の癖して、釜の調節をする人も居ないし…。パズーに「釜焚き手伝え!」と言ってやりたくなる。そうなると対面から軍が来たり海賊なのか空賊なのかよくわからん一家が来たりするかもしれんが、暇潰しになればそれでいいや。




 と思っていたら、線路の対面からじゃなくて、後ろから来た。いや列車じゃなくて人だけどね。…なんだこの組み合わせ。フンドシマッチョ、微妙にシブい恰好したサムライ……に、ニンジャ?
 …結構強い…な。特にあのサムライ。総合力ならともかく、剣の腕ではちょっと勝てそうにない。

 誰も居ない操縦席付近で、何やらスイッチを弄っていたが…どう見ても技術者さんとかじゃないな。何だ? 機関車ジャックでもするのか?

 暫く様子を見ていると、何故か屋根の上まで上がって来た。そこで俺に気が付いたらしい。


「…何者」


 無賃乗車した人です。


「……………なぜここに居るでござるか?」


 何でって言われてもなぁ…。気が付いたらここに居たとしか言いようがないんだが。乗った覚えのない列車に居るし、列車は列車で誰も居ないし止まらないし、切符出せって言われても困るからずーっとここに居たんだよ。
 そう返すと、3人は円になってヒソヒソ話を始めた。…本人を前にして密談とか感じワルイよ? まぁ、この距離なら思いっきり聞こえるけどね、俺の耳なら。風の音がちょっとうるさいけど…。


「…どう思う?」

「この列車に居る時点で、恐らくはそういう事だとしか…」

「………」

「でもこれ伝えられるか? 已經死了(お前はもう死んでいる)、なんて」

「マッシュ殿の顔が妙にいかつくなったのは気になるでござるが、このまま冥界行と言うのも…いや、もしここで列車から降りられれば…」

「モンスターになっちまうんじゃないか? 死んでるのに魂だけが戻ったって」

「……俺はこのまま冥界に行く気は無い…」

「そりゃあそうだが…」

「何れにせよ、列車を止めない事には何ともならんでござる。後は煙突の下のスイッチでござるが…」


 …死んでる? いや確かに何度も死んでるけど。あの言いようだと、ここ=列車に居ると言う事は死んでいる、という訳で…。
 サムライ、ニンジャ、そしてフンドシな理由は分からないけどマッシュ…。




 おいこれってもしかしなくても                         カチッ



 …今 足元から   何か音が



『私の走行の邪魔をするのはお前達か!』


 キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!!





 最終幻想六の魔列車かよ!?

 ちょっ、俺関係ね、振動がぁぁぁ!? 全員纏めて前方線路に投げ出されて。 
 チャンス、このまま明後日の方向に…透明な壁に弾かれたッ!
 何とか着地。


「走れー!」


 マッチョもといマシュ…でもないマッシュ殿は無茶を言いよる! くっ、ナンバリングの壁を越え、燃え上がれガルバディア魂ィィィィ! 不発に終わったあの兵士の魂、俺が引き継いでやるァァァァ!!!
 キスティス先生に「そんなに頑張らないで…」と言われても、逆に燃え上がるんだよォォォォ! ご褒美なんだよォォォちょっとくらいトウが立ってても! リアルに許容範囲じゃん先生!

 下が線路でスゲェ走りにくいけど、何とか魔列車に轢きつぶされない程度の速度維持に成功。隣で平然と3人走ってるが、どんな脚力してんねん。


「線路脇に避けるでござる!」


 無理! さっき吹っ飛ばされた時に弾かれた。多分、動けるのは線路の上だけだ!
 しかも斥力があるっぽいから、見えない壁を駆け上がる事もできそうにない。


「んじゃこのままどうにかするしかねえだろ! アンタも戦えるな!? 一番手行くぜ! 爆裂拳!」


 こんな状況で戦うの初めてだけどね! 悪霊相手ならそこそこやれるよ。
 でもコイツどう見ても金属物質だけどな! 飛び掛かってブン殴って戻るくらいなら、そのまま飛びついてりゃよかろうに。
 あ、着地際を見事に車輪に掬われた。…チッ、魔列車の車輪に異常は無いか。車輪一個飛ばしたんだから、そのまま走行不能になれっての。




 ってオイそこのニンジャ何をこの状況で悠長にアイサツしとるか!
 なんてオクユカシイ! しかも後ろ向きに走りながらウツクシイ合掌!


「シャドウのアレは気にしても仕方ないでござる。次は拙者が。…牙ッ!」


 おお、機関車の表面を貫いた! ……が、適当に切り傷つけたところで列車が壊れる筈ないわな。
 む、それどころか……何か上に飛ばした?

 ちょっ、いきなり雨降って来たんですけど!? 


「酸性雨だ!」


 マジで!? と言うかだったら魔列車も錆びるだろうが!


『表面が少し錆びた所で、走行に直ちに影響はない。イイネ?』


 アッハイ。
 あ、酸性雨止んだ。…あれ、いつの間にか魔列車にスリケンが刺さっている。
 横を見ると、シャドウが懐をまさぐっていた。…酸性雨に紛れて投げつけたのか。と言うか残弾無しか?


 そんじゃ、次は俺が…。

 よし…狙いは車輪。追駆、行け!


    パシュッ


「…ショボっ!」


 うっせぇぇ! 考えてみりゃ走りながら貯めなんざできねーよ! その前に車輪ブン殴ったって、逆に回転に弾かれる事に今気づいた!
 ええい、そんならこいつで…神機、ブラスト砲! 


「おお、今度は派手だな、しかも二回攻撃とはやるじゃないか。俺も負けてられないぜ。こいつでどうよ!」


 おおっ! マッチョもといマッシュのガチムチからゴン太ででっかくて白濁したのが噴き出した! フンドシ一丁だから余計に似合うよ気持ち悪いなぁ! 
 なお、この辺には女っ気もホモッ毛もマッチョ×魔列車なんて廃レベルの猛者も居ない事を明言しておく。
 

 背後からポーッと甲高い音が響く。汽笛か? スピードアップする気かコイツ!


「いや、魔列車の汽笛は魔界の汽笛、恐らくは…来るでござる!」


 どこからともなく、白い靄で出来た人間が集まってくる。幽霊か…クソ、霊力で追っ払えるとは思うが、数が多すぎるぞ。
 案の定、うらめしや~とでも言いたげな幽霊達が……多い多い多い多い! 他の3人は1体ずつなのに、なんで俺だけ大挙して押し寄せてくるの!? ナニ!? 成仏させてくれ? 魔列車に居りゃ成仏もクソもなくホトケさんになるだろがいい加減にしろ!

 何とか幽霊達を念仏唱えて追い払い、横を見てみると………うん、なんだ。ニンジャは許す。魔列車の明かり以外に光源が無いこの場所で、サングラスは致命的だと思うがまぁ許す。暗闇はニンジャセンスで乗り切ってくれ。
 サムライは……おい、何で緑色の肌にアヒルみたいな嘴に、おまけに皿まで……河童じゃねーか!? そういやそんなステータス異常、最終幻想6限定であったような…。 え? ナニ? 俺もカッパになってるって? マジで? ……………マジだった。どうすりゃ治るんだコレ。
 しかも俺の上にはなんか数字が出てるし、そういや紫色の泡が体中から立ち上ってるし、妙に体がだるいし…。って、これ死の宣告に毒にスリップじゃねーか! どんだけ重複してんだ、あれだけ幽霊にタカられりゃこうなるのも納得だが!


 そしてマッチョ、お前は一体どんな足運びしてるんだ。両腕を上にかかげたオリバーポーズでグルグルグルグル回りやがって。
 …ん? これってもしかして混乱? …と言う事は、味方に攻撃を仕掛けて…………ちょっ、よりにもよってこっち来んなし! 焦点が合ってない何処を見ているか分からない目で、微笑んでいるように見えるクセに全く顔が動かないアルカイック無表情(右回転)で迫ってくるのはやめろォ!


 うおおおぉぉぉぉぉ!!!!!



 全力攻撃! (悪)夢を見せるマッチョは後ろに吹っ飛んでいった。ガン、と音がしたから多分魔列車に弾かれたんだろう。…あんなモン、魔列車も触りたくなかったろうに。
 で、マッチョは平然と復帰してまた走ってるし。
 クソ、生きてやが…いやいや混乱を治める為に殴っただけだよ、汚物を消去しようなんてしてないよ。


 む、突然木の葉が舞った。これも魔列車の新しい攻撃……じゃなくてニンジャのジツか。おお、まさか本当に透明になるとは…ちょっと感動。
 黙って走るが……考えてみりゃ、これ意味ないのでは? 逃げ場がない以上、線路の上に居るのは明白だし、魔列車は延々と走り続ける訳で。



 …ダメだ、それ以前にあいつ、どうやったのか知らんがこっちを探知してるぞ。……へ?







 …いつから魔列車はスリーナインになったんだ…? 空飛んだよ……。そのまま太陽系を脱出しろよ…。
 いや、チャンスだ! 全員反転、魔列車が飛んでるうちに逆側まで走り抜けろ! 流石に魔列車も後ろには走れない筈!


「走れるよ後ろにも! フィガロで機関車の構造について教えてもらった事があるから間違いない!」


 マジか!? ええい、だったら上から砲撃か体当たりが来るぞ、逃げろ逃げろ!


「もう逃げ続けてるだろ! …ビームが来たぞ、避けろぉ!」


 避けろったってサーチライトが…ええい、タマフリ、空蝉! ……あ、あっぶねぇ…。そっちは無事か!?


「カイエンがやられた、俺が食い止めるから先に行け!」


 チッ、魔列車は…降りてくる。待て、着地先が車道に限定されるなら、こいつはどうだ。タマフリ・金縛り! ホールドトラップ! 痺れ罠! 大樽爆弾G! あといつの間にか現れた犬の突貫!
 よっしゃ大成功! 勢いが弱まったぞ、足止め頼む!


「任せとけ! 動きさえ止まれば……うおぉぉぉりゃああああぁぁあぁ!!!!!!」



 おおぅ、まさか魔列車を持ち上げるとは…そのまま飛んだ! …人間が飛べる高さじゃねぇよ。
 これはアレかメテオストライクだっけ? そういやゲームでも魔列車にかけられたような気がするな。後ろの方どうなってんだろうか。幽霊とは言え乗客とか、食堂とかあった筈だけど。




 …あ、落ちてくる………って、あんなモンがあの高さから激突したら…全員、対ショック体制!
 ……キノコ雲が起つとか、核兵器並かよ…。マッチョは平然と着地してるし。


「…やったのか?」


 おいニンジャ何をフラグ立て…いやもういっそ立てまくって無効化…。


「いや…手応えが無かった」


 最初からダメでしたかそうですか。
 サムライもまだ倒れたままだし…どうすっかな。


 爆発の煙が治まりそうになった時、煙越しに魔列車のライトが見えた。…逆さまになってた筈なのに、どうやって戻った上に、車輪と轍を噛ませたんだろうか…。
 とにかくもう一回走れ!


 ええい面倒な、おい聖水ないか聖水。いやフェニックスの尾でいい。あいつアンデッド系なんだから効くだろ、放り投げろ!
 いっそ聖水としてションベ……いや野郎の排泄水なんざ聖水にならねーな。


「おう、その手があったか! ええと、ちょっと待て…」


 おい走りながらどこに手を突っ込んどるか! そんなトコにナニ持ってやがる! なんだ、自前の聖水どころか性水でお陀仏させようってのか!?
 それでやられる魔列車が実に哀れじゃないか、是非そのまま叩きつけろ。俺が5キロくらい遠くに行ってからな。


「あれ…ない、無いぞ!? 列車に乗る前は確かにあったし、乗ってからは全く使ってないのに!」


『ぬはははははは! 当列車への危険物及び大きさを問わず刃物・武器となり得る物の持ち込みは固く禁止されておるわぁぁぁぁ!』


 ちょっ、まさか強制没収したってのか!? ナニを…じゃなくてフェニックスの尾か。俺のはしっかりあるし、血を送り込んだらオッキする感覚もあるから大丈夫だな!
 あっ、でもよく考えたら俺も武器持ってねぇ!? 神機? これは俺の体の一部で生物だから武器じゃない。むしろペットだ。



 くっそ、何かないか、魔列車を止められる方法。線路を爆破、ボイラーなどの内部機関の故障、車輪の破損、脱線、警告見落としの事故、置き石、速度制限、終点…ポーションは?


 フェニックスの尾が無いなら………エリクサーはどうだ?!
 いや待て…そもそもおうして魔列車は俺達を投げ出した? 装置を操作されて…走れなくなるから? それなら、正規の手段があるじゃないか。


 ちょっと速度を落とし、魔列車に近付く。心配するな、そのまま進め!
 魔列車の攻撃は……ちょっ、まさかの直接攻撃(と書いて轢きに来ると読む)!? だが好都合だ。


 ほいっ! よし、上手い事車体に取り付けた。


「おいおい、何する気だ!?」


 いくら魔列車でも、操作室内部までは攻撃でできんだろ。俺達を外に投げ出したのがその証拠。内側でスイッチ弄りまくって、無茶な操作でぶっ壊してやらぁ!
 そっちはそのまま時間を稼いでくれ!


『ぬおおおお小賢しい真似を!』


 ドッタンバッタン暴れ始めた魔列車だが、警戒さえしてればどうと言う事はない。と言うかそんだけ暴れるんだったら脱線しろよ。
 それはともかく車掌室。せめてもの抵抗なのか、幽霊達を呼び寄せようとしていたようだが、念仏唱えて成仏させる。

 ブレーキこれかな? こっちは加減速のレバーか。このバルブは蒸気を伝えるパイプの為のバルブと見た。む、これは進行方向操作の為の機械か? こっちのレバー何ぞ? まぁいいや、出鱈目に操作すりゃいいんだから、適当に弄ればいいだけだ。
 適当に動かそうとした瞬間…。


『間もなく、次の停車駅に到着します。余計な操作はおやめください。まだ生きているようだから、次の駅で下してやろう…』



 ………ええぇ…マジか?


「おーい、次の駅見えてきたぞ! あそこで停車するなら、そこで降りよう! いやもう降りてるけどな」


 マッチョ殿の大声が聞こえてくる。それでええんか…。



 虚偽情報だった事も考え、いつでも重要そうなレバーを操作できるよう陣取っていたが、本当に停車しやがった。次の駅まで、結局走り抜けたんだな…。
 なんだかなー。次の駅で停車すると言うなら、余計な戦いせずにそこで降りればよかったな。
 マッチョ達だって、客室で飯食って、駅に着いたら降りればよかっただけだろうに。
 とりあえず車掌室から出て、3人無事な事を確認する。線路から駅に上がって、一息ついているようだ。サムライ殿はまだ倒れたままか。フェニックスの尾、無かったもんな。

 おつかれー。とりあえず逃げられるようで何よりだ。


「ああ、色々あったが、何とか無事だったな…。シャドウもお疲れ」

「…………」

「それより、早い所カイエンを起こしてやりたいんだが…」


 俺も回復アイテムは…戦闘不能を治すようなのは持ってないなぁ。むしろ大量に持っていきたいくらいだわ。3乙しても狩猟続行とかできそうだし。

 と言うか、さっきから聞きたかったんだがどうしてお前はフンドシ一丁なんだ。ズボンくらい履け。


「いやぁ、車内で戦ってる間に、ビルドアップしたら服が全部破けちまってなぁ。実はこのフンドシも、その辺のカーテンを使ったものなんだ」


 ああそう、どうでもいい事聞かなきゃよかった。

 確かこのイベントでは、サムライ殿の妻子が魔列車に乗り込むシーンがあったような…。辛いかもしれんが、サムライ殿は意地でも叩き起こすべきだと思う。しかし叩いた程度でどうにかなるとは…。
 とりあえず、タマフリの回復かけてみるか。

 そう考えて、列車から降りようとした瞬間。


『お前は駄目だ』


 は?
 唐突に鳴り響く汽笛の音、初速から唐突にトップスピードに乗って走り始める魔列車。駅のホームで、唐突すぎる発車に反応する事もできず、遠ざかっていく3人。

 おおいどういう事だよ!? サムライ殿の別れイベントはどうした!?


『あの男の連れ合いが乗る駅は、次の駅だぞ』


 マジで!? 有象無象の、まだ乗ってない乗客を把握してるとかパネェな!? その割には、まだ生きてるマッチョ殿達を乗せたようだが。
 いやそれより、何で俺は駄目なんだよ? 場合によっちゃ車両ジャックするぞ。


『お前はこの世界の者ではないだろう。この世界に居る事は認められん』


 そんな事まで分かるんかい。と言うか、まさか3つの世界の移動ってコイツの同類の仕業じゃなかろうな…。


『そこまでは知らん。それよりもだ』


 ゴトッと目の前に落ちてきたのは、レンチ・スパナ・その他工具に掃除道具…。


『さっきの男に投げられたおかげで、車内が酷い事になっている。お前が直せ』


 
 ちょ、理不尽! いやマッチョ殿が投げる為の隙を作ったのは俺だし、確かに爆弾とかで盛大に揺らしましたけどね!




 …結局、暇に任せて直す事になってしまった。こういう時だけ夢が終わらない…。
 ついつい悪乗りして、機関車〇ーマスを意識して飾り付けたら、最終幻想八のグラシャラボラスそのものになってしまった。多分、その内最終幻想八世界で呼び出されるんだろうなぁ…。




 ところで、俺まだカッパ状態なんだけど、いつ治るんだろう。


 

 ようやく目が覚めたら、カッパは治っていた。
 ただし、水中で呼吸ができるようになっていた。これで、ますます人間から離れてゆく…。

 あとさ、カッパって尻子玉とれるじゃん? ……ケツならフィスト〇ァックしても怪我も痛みも感じさせないように出来ます。むしろ尻子玉的なナニかを直接ナデナデもできるようになりました。
 いや、誰で試したとは言いませんけどね。



外伝・ファイナルファンタジー6編。
微笑動画で『第14回MMD杯本選 魔列車』を検索してから見ると、より楽しめ…いやあっちの方がずっと面白いしキレがあるな。
パクリと言われない事を祈る。
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