※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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正直、ちょっと扱いが酷かったかなと思っている。だがこの猫ならやりかねん。


第258話

 

 

HR月

 

 

 何とか誤魔化しきった。…考えてみりゃ、誤魔化す必要もなかったような気がするが。

 こうやってのらりくらりと誤魔化してっから、あの二人とも微妙な関係になっちまってるんだよなぁ…。あっちにその気があるなら、もうさっさと押し倒して、二股(どころじゃないが)公認するように仕込んだ方がいい気がしてきた。

 

 …いつもの鬼畜思考はともかくとして、マオは…経緯はどうあれ、タマフリを発動させる事ができそうなくらいには霊力が上がってたな。固有の異能もミタマの力を借りないタマフリだと思えば、それほど不思議じゃないか。

 

 

 その辺の事も、狩りを終わらせた後の飲み会で話してみたんだが結構喰い付いてきた。ちなみに、今回の会場はミーシャがお気に入りのお洒落(オサレではない)なバーだ。入るのにちょっと緊張した。

 時々、ミーシャはあそこで歌わせてもらっているのだそうだ。そういや歌手志望だって言ってたが…確かに見事なもんだった。

 いやー、ハンター姿もいいもんだが、趣の違う魅力があったね。割と本気で見惚れたし、聞き惚れたよ。

 

 ミーシャの歌について色々語りたいのは山々なんだが、ソッチ系の語彙も感性もすくないからなぁ…。色々経験して多少は人生経験を積んだつもりだが、やっぱ俺は粗忽者だね。

 ……いや、決して本人に対し、『その喉を仰け反らせて盛大に喘がせてみたい』なんて言ってないよ? 思いはしたけど、本当に歌に聞き惚れたんだよ?

 

 

 それは置いといて、真面目に相談された事が一つ。自分も霊力、タマフリの使い方と、その指導の仕方を覚えたいのだそうだ。

 最近猟団に入った新人…当然彼女達も異能持ちな訳だが、これが能力を持て余しているらしい。能力が突然発動…暴発してしまったり、逆に発動させようとしてもウンともスンとも言わなかったり。

 下手をすると、以前のマオのように何らかの症状が発生しかねない。

 

 ふぅむ…不死鳥の息吹で多少は対処できると思うが、マオは現にかなり早く限界を迎えたからな…。確かに、指導できるようにする必要がある。

 しかし、仮に俺のやり方をそっくりそのまま真似るとすると、その子を相手に如何わしい行為をする事になるんじゃないか?

 

 

「…思う所はあるけど、命には代えられないわ。その、初めてが…そういう理由で、同性相手と言うのは、アレだけども…」

 

 

 ふむ、猟団長としての判断と。それは協力しない訳にはいかんな。

 

 

「私も、そうなった時の対処法は知っておきたい。先日のような頭痛も、私自身に起きないとは限らないしな」

 

 

 確かに。また頭痛が起きて、マオが自分で対処できないようなら…前と同じような手段をとる必要があるな。しかも、前よりも強く。

 

 

「………ふむ」

 

 

 オーケイ、伝授しましょ。…とは言え、どう伝えたものやら…。少なくとも今日は無理だな。俺も二人も結構酒入ってるから、また今度になるが。

 

 

 

 

 

 

 …と言う訳で、昨日は潰れる事も無く解散したんだが…二人の間に、微妙に緊張感が漂っていたような気がするのは気のせいか? 先日のマオの話を聞かされた俺の、単なる自意識過剰か?

 あの会話だって、深読みするとなぁ…。

 

 例えば『初めてが…そういう理由で、同性相手と言うのは』…は、そうなる前にせめて普通の経験をしておきたいと言う事で。

 マオはアレだ、気付いている事は秘密にしてるが、自前で霊力修行(意味深)する程に熱中してるから、もう一回修行(微妙に意味深)をつけてもらいたいとか。

 

 そういや、マオってあの発言の後、妙な表情をしていたような…。ロクでもない事を考えてるよーな気がしたが。

 

 

 …何にせよ、言っている事自体は尤もだ。団員の為、症状が再発した時の為、力を持て余している同胞を救う為。また、俺にとってもこの力の扱い方を広めてくれるのは非常に助かる。

 少なくとも、断るという選択肢はなかった。

 

 

 

 

 …ま、とにかく伝授の方法を考えるとしますか。

 

 

 

 

「んっ、んっ、んぉぉ…」

 

 

 

 やってくるなり欲求不満を爆発させて、超人的肺活量でバキュームお口の恋人してるリアを気絶させてからな!

 

 

 

 

 …うーむ、リアのバキュームは凄いなぁ。ハンターの中でも特に身体能力高いみたいだし、何よりそれを奮うのに躊躇いが無いし、欲求不満のおかげでブーストかかってる。

 なんだな、文字通り喰われるんじゃないかと思うくらいの勢いだ。だがそれがイイ!

 奥の奥から精子を引っ張り出そうとするような、この貪欲さ…中々無いぜ。

 

 実際、黙って好きにさせてたら、俺の上に圧し掛かって文字通り犯そうとしてくるからな。中腰でエロダンスするみたいにグラインドさせるのがスゴいんだコレが。

 何度か出したら、「まだヤれるだろ?」と言いながら挑発的に笑ってくれる。勿論ビンビンですよ。

 放っておくとどんどん激しくなるんだよなぁ。

 

 

 

 ま、それはリアの趣味である、下剋上を誘う行為な訳ですが。

 リアの激しさは、欲求が満たされない事の裏返しだ。蹂躙するように犯しながら、同時に蹂躙される事を何よりも願っている。

 蹂躙する激しさが強い程、逆転された時の被虐の悦びを強く感じるらしい。ドSかつドMとか、全くお得な体質です事。

 

 

 ちなみに本日の特にツボだったらしいプレイは、両足を持たれて子宮の奥まで散々嬲られ精根尽き果てた後、三つ指ついたまま俺の足を隅々まで嘗め回すプレイだったそーな。

 

 

 

HR月

 

 立った! デンナーが立った!

 いや前からちょくちょく、リハビリで自力で立ったりしてたんだけど、フル装備の鎧を着て立って歩いた! …ちなみに、言うまでもないが普通の人なら重量で立つどころか動く事すらできません。

 流石に、ハンマーとか大剣とかを持って歩くのは無理みたいだが、ようやくここまで来たか。

 

 いやもう猟団員全員で宴会騒ぎよ。まぁ、半分以上はデンナーの復活を喜んでと言うより、騒いで呑めればなんでもいいって感じだったが。

 

 

 その宴会で、団員の9割くらいが二日酔いになったのが昨日の事。そして本日、迎え酒ではないが真昼間からまた大宴会。掃除と介護が大変だなぁ。

 何でまた二日続けて大酒飲んでるか。ちゃんとした理由はあるのだ。まぁ、それを差し引いても、やっぱり呑めれば何でもいいようだが。

 

 何があったかと言うと、コーヅィが嫁さんと復縁したのだ。狂走ラオシャンロン戦の時、「生き残ったら嫁に謝りに行く」と言っていたっけな。

 まぁ、無事復縁できて何よりだ。土下座した後、何発か殴られたらしいが、それで済むなら安い物、と笑っていた。

 最悪、門前払いか…誰かと再婚してるんじゃないかと考えていたが、杞憂だったらしい。念の為に身辺調査も行ってみたが、よろしくない痕跡は特に無し。実に健全な嫁さんだったようだ。………その、コーヅィの今後の為と言うよりは、あいつの嫁さんを一目くらい見ておこうという好奇心からだったんだけども。

 

 

 まーめでたい事だ。これが死亡フラグにならなきゃな…。何せコーヅィにはもうすぐ上位ハンター昇格という試練が待っている。

 コーヅィの事だから無茶も無謀もしないと思うが、いつ予期せぬ災いがやってくるか分からないのがハンターという仕事だ。

 それを分かっているから、コーヅィも今のうちから徹底的に準備を進めているようだ。…いい意味での臆病さはあるが、ビビって逃げ出すような素振りは全く見えない。

 

 

 

 

 

 …で、俺はと言うと…ようやくG級試験の内容が、決まりつつある……のだそうな。本当に、エラいモタクサしたお話ですこと。

 ギルドの受付嬢がこっそり教えてくれたのだが、結局ギルドは俺を早く昇格させ、同時に俺が持つ技術をとにかく広めさせたいらしい。俺としては願ったり叶ったりなお話である。

 その為、ギルド内で紛糾していた意見は、次のように収束された。

 

①G級へ上がるにせよ上げないにせよ、あの技術は欲しい。

②胡散臭いと思っている人達は、難しい試験を課してその技量が本物かを見極めたい。

③だったら、後進のハンターを育てるという名目で弟子を取らせ、その代わりに試験をちょっとだけ軽くするのはどうだろう。

 

 

 …と、このようになりつつあるのだそうだ。

 ただ、ねぇ…。試験をちょっとだけ軽くする、と言うのがな。超大型モンスターの襲来でもない限り、試験は本来G級の弱めなモンスターを狩らせる、と言うのが通例らしい。

 つまり『G級弱め>上級の強いモンスター』という考えのもとに成り立っている訳だな。実際、G級はそう考えられてもおかしくない程に狂った世界らしい。

 

 

 

 が、だからって本来の試験相手(G級のクック先生とか)より弱い相手として、アカムトルムを指定してくるってどうなのよ?

 

 

 そりゃハンターランク的と言うか、上記の考えのが正しければ、簡単な相手になってるんだろうけどさぁ…。

 もうどんな理屈で話を進めてるのかサッパリ分からんが、とにかく俺はあのアカムトルムを狩らなきゃならんっぽい。いつかは来ると思ってたし、そうでなくてもポッケ村の地価のウカムだってどうにかせにゃならんとは思ってたが…まさかいきなりフロンティアのアカムとは…。

 

 と言うかフロンティアとは言え、そもそもアカムってそんなに生息してるんだろうか? 単に珍しくアカムが見つかって、「丁度いいから試験として放り込んでしまえ」と思ってるだけじゃなかろうか。

 ま、ここまで来てgdgd言っても仕方ないから、とりあえず対策を考える。

 

 

 

 

 でも、やっぱり気になってくるなぁ…。どうしてコーヅィが落ちぶれたのか。団員達には詮索するな、とは言ったものの…。

 ……同じ轍を踏まない為の、アシストの為って名目にはならないよなぁ…。気になり過ぎて狩りに集中できない、とはとても言えない。

 聞くべきか聞かざるべきか、それが問題だ。

 

 

 …なーんてロミオとジュリエ…じゃない、なんだったっけ。ベンジャミン? 違う、えーとホラ、親の仇討ちをするかどーかって感じの表現で…そう、生公レット! ……何で漢字が出てくるんだよ。

 とにかくそんな感じで悩んでいると、当のコーヅィがポロっと漏らした。俺のG級昇格試験の相手が、アカムになりそうと聞かされた直後の事だ。

 

 

「人間には二種類いる……と……狩り場で臆して動けなくなってしまう人間とそこで奮い立つ者と……オレは……そのダメな方……ダメなんだ……」

 

 

 …いや、いきなり何だよ、鉄骨渡りみたいな事言い出して。コーヅィが言うと、ガチで死亡フラグなんだが。

 

 

「いえ……。やっぱり、アカムトルムに加え…上位…になると……トラウマが…」

 

 

 …トラウマぁ? てか、アカムと何か因縁でもあるのか?

 予想はしてたが、やっぱり上位昇格直後に何かあったのか。…話くらいなら聞くぞ? 野次馬根性込みで悪いが。

 

 

「よくある事…ですよ。相手がちょっと珍しかっただけで…。…私は……駄目な男です…。無能で…臆病者で…自分でも何故上位ハンターなんかになれるのかわからない程……駄目な男…。小さなクエストだけをチマチマこなして…誰かを助けたのだって、見捨てた所を誰かが視てるんじゃないか…お天道様に見られてるんじゃないか…ここで見捨てたら、自分の時に助けてもらえないんじゃないかって…怯えながら生きてきたも同然…。あの時だって……困っていた彼らを手伝おうとしたのは…見捨てた事を恨まれるんじゃないかと…思ったからにすぎない…!」

 

 

 よく分からんが、そこまで考えられるってある意味凄いぞ。それで?

 

 

「本当は…ハンターを続けるだけでも………怖かった…。上位は…下位とは別世界…! 逃げたくて逃げたくて堪らなかった…! それでも、失望されるのが怖くて…恨まれるのが怖くて…続けていたんです…。だけど………あれに会った…! あの…黒い神に……!」

 

 

 …なぬ?

 

 

「助けてくれ、手伝ってくれと…言い募る彼らを…突き放す事もできずに……断り切れずに…依頼を…受けました…。でも……あれを見た途端……! 折れた…心が………ぽっきりと…! あれと戦うなんて…どうやっても無理…! ずっと抱えていた恐怖が…噴き出した…! 私は何もせずに逃げて…彼らに謝りに行く事すらしなかった…! 狩場に立てば…あの恐怖がぶり返して…ハンターとして働く事さえできなくなり…恐怖を忘れようと、酒に逃げて…ついには女房にまで見放され……団長に拾われるまで、ずっと他のハンターに集って暮らしていたんです…」

 

 

 それは…無理もないと言えば無理もないよな…。上位昇格直後にアカムと遭遇とか、そりゃ心が折れるわ。ゲームでもない、俺みたいに死んでも次がある身とは違う。むしろ逃げたのは英断だったとさえ言えるだろう。そのまま突っ込んでいれば、討伐どころかアカムに踏みつぶされてペシャンコになるのがオチだ。餌になったかさえ怪しい。

 その後、立ち直れないままにタカリにまで落ちた事とか、依頼人に報告も無しだったのは…まぁ、落ち度だろうけども。

 それを言い出したら、コーヅィにその依頼を受けさせた方にも責はあるだろう。上位のヒヨッコに頼むような内容じゃない。と言うか、ギルドを通さずに依頼をするのは事案である。大した内容じゃなければ見逃される事もあるが、事がアカムじゃな…。

 

 

 

 そうか…そんな事がなぁ。好奇心で聞いていい内容じゃなかったかな。確かにハンター業界では珍しい事でもないが。具体的にはティガとかジンオウガとか、ゲーム機ストーリーのお約束。

 で、実際のトコ、どうだ? 上位、行けそうか?

 

 

「…大丈夫……です。胸を張って…成長したとは……言えませんが…もう震えは来ない…。女房を養う為にも……団長へ恩を返す為にも…! 今度こそ、上位ハンターとして…!」

 

 

 …OK、信じよう。ま、何でもいいから生きて帰れよ。チンケなセリフで悪いが、それに勝る功績は無い。

 

 

 

 

 

HR月

 

 

 G級昇格試験の準備の為、あっちこっち動き回っていたら、見知った顔に会った。

 どうやら買い物に出てきたらしきトッツイと、オジ専…じゃなかった、コーヅィに助けられて突っかかってた奴。

 

 

「…そう言えばまだ名乗ってなかったな。猟団ラサマのシトサだ」

 

 

 …ラサマ?

 

 

「名前の由来は俺も知らねぇよ。先代の団長がつけたもんだし…」

 

 

 さいで。で、トッツイは何を?

 

 

「ニャ、生活用品の補充ですニャ。オイラ達はともかく、歌姫様にはちゃんと寝床や服を用意しニャいといけニャいですニャ」

 

「歌姫、か…。噂話で聞いた事はあったが、本当にここに居たんだな」

 

 

 何だ、知らなかったのか? ……ああ、そう言えばずーっと引き籠ってたんだっけ。そりゃ噂にもならんわな。

 ところでトッツイ、呪いの品とやらは見つかったか?

 

 

「それが…怪しい所はあるんだけど、歌姫様が鍵を持ってるから、開けるに開けられニャいんだニャ。バルラガルの情報もニャいし…手詰まりだニャ…」

 

「呪い…? 何の話してんだ? お前が妙な力を持ってるって話は聞いてるが、それ関係か?」

 

 

 いや、それとはまた別…だと思うんだが、正直ちょっと確証は無い。

 

 

「……そういやお前、G級昇格試験の話が来てるんだってな。訓練所を卒業して、一か月も経ってないってのに…その力が原因か? やっぱ気に入らねぇな…」

 

 

 それもあると思うが、何とも言えんな。コレの事でギルド内部でも色々揉めてるらしいが…。使い方や習得方法を広めるのに問題はないんだが、やっぱ下積みが無いと時間がかかり過ぎてなぁ…。…覚えてみる?

 

 

「…やめとく。ところで、昇格試験の相手はもう決まってるのか?」

 

 

 あー、アカムトルムになりそうだな。アカムってフロンティアには多いのか?

 

 

「G級になって行く所に行けば珍しくないと聞いてるが…ああ、前に一回、メゼポルタ広場防衛戦で出てきた事があるらしいぞ。俺も話しか聞いてないが」

 

 

 そらまた地獄のような防衛戦だったろうな…。何が酷いって、終わった後にもマグマとかの処理が。

 そっちはどうなんだ? G級も近いって聞いてるが。

 

 

「評価されるのはいいが、生憎と今の俺じゃ準備が整ってないな。昇格試験に受かったとしても、その矢先に死んじまったら意味ないだろ。実際、試験を受けるにはちょっと実績が足りないんだよなぁ…。それだけに、お前みたいな一足飛びを見てると複雑だぜ…」

 

 

 まぁ…俺にも色々と背景があるんで、そこに関しては何とも言えんよ。

 …そうそう、昇格直後に、で思い出したが……あー…あんまり言いふらすような事じゃないが、コーヅィが何で落ちぶれちまったのか、わかったぞ。

 

 

「…興味ねぇ…けど、一応聞いておく」

 

「ニャ? …コーヅィ…?」

 

 

 ああ、トッツイは知らなかったっけ? ウチの猟団の一員で、もうすぐ上級ハンターに昇格するって話も来てる奴だ。

 で、あいつが潰れたのは…一言で言えば、ヤバい相手とカチ合って心が折れた。具体的に言えば、さっき話に出たアカムだよ。

 

 

「…おい、あの人がああなったのって、確か上級昇格直後…だったよな?」

 

 

 ああ。元々臆病で、自分はハンターには向いてないって思ってたらしいが…それでも何とかやってたトコに、アカムを見て我慢できなくなったらしい。

 

 

「いや何でいきなりアカムトルムなんて相手にしてんだよ!? 明らかに狩猟許可が出ないだろうが!」

 

 

 わかんね。どっかからギルドを通さずに依頼を受けたようだが…。

 

 

「その時点でシャレになってねぇよ…。本当に、なんでいきなりそんな事やってんだ。一発逆転を狙う底辺だって、明らかに勝ち目がないって分かるくらいだぞ」

 

 

 どうも、誰かに頼み込まれたっぽいんだが…それでいつものお人好しが暴走して………あん? どうしたトッツイ。

 

 

「その…コーヅィというハンター、ひょっとしてメガネの中年ニャ? 喋るのに、妙なタメを作る感じの」

 

 

 そうだが…それが?

 

 

「そのハンターニャ! オイラの依頼を受けて、逃げ出したハンターニャ!」

 

「……はぁ?」

 

 

 ……はぁ?

 

 

「フロンティアにやってきて、右も左も分からずにオイラが困っている時、声をかけてきて…いざとなったら逃げだした、ハンターの風上にも置けない奴ニャ! そんなハンターとは縁を切るニャ!」

 

「…………………」

 

 …………………。

 

「…ニャ? どうかしたかニャ? 流石に縁切りは言い過ぎだったかニャ…?」

 

「……トッツイ、だっけか。色々ツッコミどころはあるんだが…まずこれを聞かせろ。何でアカムトルムを討伐させようとした?」

 

「試験ニャ。頼みたい事があったんだけど、それを達成できるハンターニャのか、確かめる為だニャ」

 

 

「…………………」

 

 …………………。

 

「…………………」

 

 …………………。

 

「…………………」

 

 …………………。

 トッツイ。今まで何だかんだとお前らに力を貸してきたが、対価…と言うよりこっちからの頼みはした事がなかったな。

 

 

「ニャ? いきなり何ニャ…。でもずっと助けられっぱなしなのもおかしいから、何か出来る事があるなら手伝うニャ?」

 

 

 何、大した事じゃない。G級昇格試験、一緒に来てほしいだけさ。別にオトモとして戦えとは言わないから。

 ああ、バッシも一緒の方がいいか? 他に試験を受けさせようって考えたアイルーは?

 

 

「オイラとバッシニャ。本当はもう一匹アイルーが居るけど、今は何処をほっつき歩いてるのか」

 

 

 よし、じゃあトッツイとバッシ、両方行くぞ。秘薬の調合中であっても連れてこい。いいな?

 

 

「おいお前…いや、まだ試験内容が決まってるんじゃないんだろ。俺も口添えするからギルドにさっさと受けさせろって言おうぜ。ついでに試験は俺も手を貸すぞ」

 

 

 おう。…お互い様だと思うけど、目ぇ据わってるな。

 いいのか? アカムとやるのは初めてで、まだやれる程準備が整ってないんだろ?

 

 

「いつかは挑む相手だし、気にはいらんがお前の力は相棒としては申し分ない。何より、真っ当なやり方じゃないにしても、このままサヨナラじゃ俺の気が治まらん…!」

 

 

 ガチギレしとるな。無理もない。コーヅィの事を差し引いて、こいつらにも事情があって、フロンティアの事をよくわかってなかったにしても、こりゃちょっと酷すぎる。

 正直、俺も一瞬とは言えガチで縁切りを考えたレベルだ。勿論、コーヅィじゃなくてトッツイとの縁切りを。

 

 そういう訳でトッツイ、来れるよな? 上位に上がったばっかりのコーヅィに、試験扱いして受けさせられるんだから。コーヅィに物申したいと言うなら、その後に俺が場を作ろう。

 

 

「…ニャ? 何だか大変ニャ事にニャってるようニャ…?」

 

 

 シトサとの直訴のおかげで、G級昇格試験が決まった今日この頃だった。

 

 

 

 

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