※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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やっぱり投稿するぜヒャッハー!
これから毎日忙しくなるからね…。
感想って燃料があった方が、仕事も執筆も酒もやりやすいのよホント…。
と言う訳で、16日までは毎日投稿の予定です。


第280話

NTD3DS月

 

 

 ふむ…親子丼、か。美味かった。

 

 

 

 

 え? いや昼飯の話だけど。別に真昼間から盛ろうって系の話でもないよ。

 

 

 

 昼飯時に聞いたんだが、新しいレジェンドラスタが認められた、らしい。

 まさかと思ったが、予想通りにレイラであった。

 

 新しいレジェンドラスタを一目見ようと、酒場に押しかける紳士達。不機嫌そうに据わっているレイラを見て、柏手打って拝んで帰っていく紳士達。

 …まぁ、気持ちは分かる。俺は慣れたもんだけど、改めて見ると凄い恰好してるもんな。

 

 自覚があるのか無いのか、柏手が打たれる度にどんどん不機嫌になっていってるようだ。…まぁ、無理もないよな。さっきから爆竹でも鳴り続けてるんじゃないかってくらい、パパパパパパパパンと柏手が止まらない。

 

 

「はははは、女性のレジェンドラスタが増えた時は、大体こんなものだよ? フラウやリアの時は凄かったなぁ。フラウは即対応して愛嬌振りまいて親衛隊を作るし、リアはガチ切れして戦闘モードになるし」

 

 

 うわぁ、目に浮かぶようですなエドワードさん。…ところで、よもやエドワードさんがレジェンドラスタになった時は、フンドシ一丁で登場したりは…。

 

 

「僕をなんだと思っているのかね。流石にそれは無いよ…。まぁ、認められた直後はまだ先立つものも無かったし、下半身の防具は揃えられなかったんだけどね」

 

 

 アカンやん。よく認定取り消しされんかったな…。

 時に、レイラの事なんだけど…名前を言ってはいけないあのハンターと関係者なんじゃないかと思ってるんですが。

 

 

「ふむ? …同じ穿龍棍使いだから、かい? 確かにあの動きは、彼に通じるモノがある。だが、そうだとしてもあまり触れないでいてやってくれ。…どうにも、彼女は情緒不安定な節がある」

 

 

 情緒不安定? この前一緒に狩りをした事があるが、そんな感じは…ああいや、師匠について聞いたら睨まれたっけ。

 それだけで不安定と言うには、少々弱いと思うんですが。

 

 

「確かにそうだが…元々、彼女はフロンティアに来るつもりも、レジェンドラスタになるつもりも無かったらしいんだ。何らかの取引があって、今の結果になったようだが」

 

 

 不本意な立場って事か…。彼女ほどの腕なら、むしろフロンティア以外じゃ持て余されそうなものだが…。

 しかし、対価が何かは知らんが取引に応じたって事は、何かしらの目的があって活動しているって事だよな。

 

 

「……恐らくは、復讐…だと思うがね。あの目は何度も見た事がある。モンスターに対する怒り、自分の無力感、そして他者への拒絶…」

 

 

 トキシの弟子だとするなら…最後に戦ったアノルパティスか? でも、それならむしろフロンティア以外で活動するとは思えないな。アノルパティスの生息領域はフロンティアだけだし…。

 …そこまで首を突っ込む理由も無いか。親しいカニにも味見有り…もとい、親しい仲にも礼儀あり。何でもかんでも知らなきゃ、仲良くできないって理由は無い。増して、そう深い仲でもないんだし。

 

 

「そういう事だね。気にはなるだろうが、程ほどにしたまえ。……差し当たり、この柏手を止めるかな…」

 

 

 さいですな。柏手が337拍子になったり、33-4拍子になったり、そろそろレイラがキレそうだ。俺もいい加減ウザッたくなってきたし。

 

 

 

 

 

 

 で、参拝客を適当に散らして。

 

 

「ったく、何だったんだあいつら…」

 

 

 率直に言うがネクタイを挟めるおっぱいを見たら仕方ないと思います!

 

 

 

 …なんかよく分からん必殺技を喰らった。でも普通に仕方ないと思うんだ。

 まー戯言はともかくとして、レジェンドラスタだったのね、レイラ。これ、セラブレスは知ってんの?

 

 

「お前とセラブレスと狩りに行った時は、まだ違ったよ。正式に就任したのは今朝からだ。セラブレスには何も伝えてない。と言うより、そもそも一緒に行動したのはフロンティアに来る途中の道だけだ」

 

 

 あら、そうなん? てっきり付き合いの長い友人かラスタだと思ってたけど。

 

 

「全く面識は無かったぞ。…そういや、あいつは今日の見物人には混じってなかったな」

 

 

 多分、一族とやらのトコに里帰りしてんじゃないかね。先日、一族ぐるみでの悩み事があって、それを解決できるかもしれない方法が見つかったから。

 戻ってきたら、顔出しくらいはするんじゃないかね。コネ作りも兼ねて。下手すると菓子折り持ってくるかもしれん。

 

 

「世知辛いな…。いや別に文句がある訳じゃないんだが。まぁ、取り敢えず……さっきの鬱陶しい連中を追い払ってくれた礼も兼ねて、一狩行っとくか?」

 

 

 

 OK!

 

 

 

 

 その後? 特に何も無かったよ。

 お泊りに来たサーシャがお赤飯もまだなのに血を流して女になって、対面座位にド嵌りしたくらいかな。

 

 

NTD3DS月

 

 

 2回レイラと…穿龍棍使いと狩りに行った訳だが、色々収穫はあった。問題だった、蹴りの強化についてだ。

 レイラのやり方をじっと観察して、ようやく秘訣を一つ盗み取った。

 

 前回にも気づいた事だが、やはり穿龍棍に宿った力を蹴りに籠め、強化している。だが、そこで違っているのは、俺の蹴りと違って、籠められた力が爆発しないと言う事だ。

 例えるなら、俺の蹴りに籠められた力は爆薬。衝撃こそデカいが、足に反作用が来るし、一発撃ったら力が霧散してしまう。例えていうなら、無能部下焦がし機・ボンバー君2号。仕込んだ火薬の量が企業秘密。

 それに対して、レイラの蹴りに秘められたはゴムに近い。打ち出す足を内側へたたみ、打つ瞬間軸足を45度開く。開く時の力を利用し外側へひねる。相手が人間であれば、足の指で肉を抉る事すらできるだろう。そこへ加えて、籠められた力はゴムのよう。

 ゴムと言うと打撃力に欠ける印象があるかもしれないが、この場合はむしろ増幅器のような役割を果たすようだ。仮に打撃力に欠けるとしても、固められた力で何度でも蹴り飛ばせる訳なので、総合火力は一発技の爆発よりも遥かに上と来たものだ。

 

 うーん、フロンティアに居るとどうにも気付きづらいが、よくよく考えてみると真っ当な結論ではあるな。

 実際にミッションで戦うとなると、ガドリングとトッツキと、どっちが使いやすいかって話だ。トッツキモドキの鬼杭千切だって、そうそう使うもんじゃないしね。

 

 ふむ…つまりは、10の威力を8に抑えて、2発3発と連続攻撃できるようにしているのか。

 

 

 

 

 

 …これ、どうやって真似ればいいのかな。

 

 はっきり言うが、難易度の桁が違う。霊力で同じような事をやれる自信が、全く無い。一瞬だけ力を集中して、威力を上げるのは簡単だ。が、集めた力を霧散させずに留め続ける? しかも、モンスターに通じるくらいに強い力を、安定させて? 

 どうやってるのか見当もつかん。秘密がまだあるらしいな。

 

 …ジロジロ見てたのがバレて、ゲンコツ喰らいました。まぁ、立ち回りを参考にするくらいなら、事前に言えば構わない…とOKを貰ったので、今後は大丈夫だと思うが。

 いや訂正、あの恰好で大暴れされて、目が行かない自信が無い。目の前にミラボレアスクラスのが居ても自信ない。

 

 

 

 …レイラの事は置いておこう。それより、プリズムに何か言うべきかが問題だ。

 凄腕の穿龍棍使いなのは確定としても、トキシの弟子と言うのは俺の推定でしかないからなぁ…。大分立ち直って来たとは言え、不確かな情報を渡す事もないだろう。

 

 そう思ってたんだが……うーん…。

 仮にトキシの弟子と言うのが大当たりだった場合、プリズムが居た里にも関係がある可能性が高いんじゃないだろうか。結構長い間滞在していたようだし、最後の土地になったんだし…。

 そう思ってモービンに聞いてみると、確かに里にはアイルー以外の住人も居たとの事。その中で、プリズムに次いでトキシに親しい人は………加工屋のおっちゃんか。女のハンターとか居なかった? ……居なかったか。

 

 …ん? 歌姫サンに、妹が居た? 名前は? …………レイラ? マジで?

 

 

 

 

 …同姓同名…か? 当時の妹さんはハンターなどではなかったそうだが…いや、ハンターって専門の鍛え方をすればなれるもんだし…。

 会わせるべき…かな…。もしも本当に血縁者だとしたら、プリズムも…。

 

 と思ってたら、モービンからストップがかかる。

 …確かに、それは懸念事項だな…。経緯はどうあれ、プリズムの力が失われたから、里は滅びた。そしてその時、プリズムはトキシを追いかけて里を出ていた。…極端な話、プリズムのせいで里が滅んだと考えている可能性がある。

 実際には、失われていく力を取り戻す為だったとしても、八つ当たりだったとしても、怒りの向けどころになるかもしれない。

 

 暫くプリズムには黙っておいて、内心を探るよう依頼された。

 

 

 

 

 やれやれ、また面倒事が増えたな。

 で、次の面倒事だが…ミキ嬢が猟団の子達と尋ねてきた。どうするつもりなのか、結論が出たようだ。

 

 

「はい。…その、霊力の訓練方法と言うのを教えてください。自力で習得します」

 

 

 ふむ、一番真っ当なやり方で来たか…。異論は無いが。

 飢餓感はまだ出てないか?

 

 

「今は特には…。薬も常に持ち歩いているから大丈夫です」

 

 

 そうか。…その薬で抑えられている間はいいが、薬が尽きても習得できてなかったら、少々強引な手段を取る事になる。必死で覚えろ。

 …まぁ、最悪の事態になっても、命だけは何とかできると思うから、気楽にやるといい。

 

 

「どっちでありますか」

 

 

 気分的な問題だから、やりやすい方でいいんじゃねーの。両立させられないと、ハンターなんて仕事はとてもやっていけないがね。

 …で。みんなしてゾロゾロやってきたのは、俺が妙な事をしないか、実は詐欺だったりしないか警戒してるって事でおk?

 

 

「それもあるけど、どうせだから私達も、その霊力って奴を使えるようにならないかと思ってね。改めて情報を集めてみたけど、相当に便利な力らしいじゃん?」

 

「噂が本当であるなら、道具を使わず傷を癒す事もできるとか。それがあるだけでも、ハンターとしては非常に利用価値がある…と言うのは、貴方ならお分かりでしょう」

 

 

 まーね。回復薬の後のポーズも取らなくていいし。

 別に問題はないな。この力を広めるのも俺の目的の一つだし、本当に力が使えるようになれば、詐欺の疑いも消えるだろ。

 

 そんじゃ、今から訓練開始でいいか? この時間なら、デンナーとコーヅィも狩りを終えて、いつもの場所で訓練してる時間だろう。

 

 

 

 

NTD3DS月

 

 

 パンツァー猟団、現状では習得者無し。ま、一日で覚えられたら、デンナーもコーヅィも膝から崩れ堕ちるだろうな。……いつもの手段で習得させてるのはともかくとして。

 

 ただ、素質の高そうな子は何人か居たな。いつもの訓練場所に連れて行っただけで、戸惑ったように周囲を見回し、「何だか不思議な感じがする」とか言ってたし。感受性も高そうだ。

 ミキ嬢…ミキは、残念ながら普通…かなぁ? なーんかこう、秘めたるモノがありそうな気がしなくもないような…。

 まぁ、仮に何かあるとしても、大器晩成型だろう。現状、求められるのはアラガミ化を抑える為の早期習得だから、潜在能力にはあんまり意味が無い。

 

 

 俺はともかく、コーヅィとデンナーは信頼に値すると判断されたようで、大分打ち解けていた。特にデンナーは、「あの伝説のガンナー!?」なんて反応まで出てきたしな…。憧れのスポーツマンに出会った少年のような反応だ。

 二人がアラタマフリを使って見せた事で、彼女達の真剣度はかなり上がったようだ。やっぱ実物を見せるの程確実な方法は無いね。

 そうそう、コーヅィにミキの父親の事を訪ねてみたんだが…全く知らなかった。無自覚に人脈が広いコーヅィなら或いは、と思ったんだが…。まぁ、手がかりロクにないもんな。どこぞの領主とくっついたハンター、ってだけじゃ探しようもあるまい。

 

 

 

 結局、今日一日訓練に費やして、目に見える成果は無し。今後も続けるんだが…パンツァー猟団が拠点にしている広場で、訓練に適した所はあったかな。別に、普通に部屋の中でやっても効果はあるんだが、やっぱり効力が段違いだしな…。

 明日はソッチに出向いて、いい訓練場所が無いか探してみようか。

 

 

 本日は猟団部屋に泊まってもらい、明日は送っていく事になった。

 

 

 

 で、夜はいつも通りマイルームに戻って乱交であった。

 

 

NTD3DS月

 

 

 朝、俺の部屋から明らかに情事後のレジェンドラスタ+知らないハンターの女性数名が出ていくのを見て、パンツァー猟団から何とも言えない視線を向けられたが、それはともかく。

 パンツァー猟団のメゼポルタ広場に移動する間に、ふと思いついた。

 

 ミキ、マキ嬢に会って…じゃないな、様子を見てみる気はない?

 

 

「え? …それって、実家に連れ戻されるんじゃ…」

 

 

 隠れてこっそり話を聞くとか、遠くから双眼鏡で見るとか、手段は色々あるぞ。見た所、それなりの薫陶は受けてるようだが、周囲の気配にまで気を配れていなかったからな。妙なお姉ちゃんレーダーとか持ってなければ、隠れようは色々ある。

 

 

「…持ってないですよね? かくれんぼとかした時、隠れられた試しがないんですけど」

 

 

 いや俺に聞かれても。

 …マジレスすると、仮に正面から会ったとしても、強引に連れ戻される可能性は低いと思う。ミキが同意すればともかく。

 何でマキ嬢が、お忍びで、しかも噂を聞いただけの何でも屋なんて店に捜索を依頼してきたと思う? 連れ帰ると何らかの不都合があるか、ミキの意思を尊重しているかだ。

 

 

「………やっぱり私は…。でも、お姉ちゃんがどう考えているのか…知りたい…かも」

 

 

 そっか。そんなら、素材の受け渡しの時、適当にコジツケして呼び出してみるわ。…暫く後になると思うけど。その時には知らせるが、『やっぱり嫌だ』と思ったらバックレていいよ。

 何、そう深く考える事は無い。気楽に言えよ。

 

 

 

 ぶっちゃけ、俺にとってはどう転んでも他人事だからな! 自分の都合だけ考えて決めりゃーいいさ!

 

 

「…はい」

 

 

 

 

 そんなやり取りがあった訳ですが、取り敢えず霊力修行の為の場は確保できた。俺が居るところのメゼポルタ広場の修行場によく似た場所があったのだ。

 …と言うより、各メゼポルタ広場の構造って、大体共通してるよな…。ハンターが過ごしやすい、或いは色々調達しやすい構造になっている。

 まさかとは思うが、最初に始まったころの広場からして、そういう風に意識して設計されたのか? 古代に霊力を扱っていた文明があったようだし、何か関係があってもおかしくはない。

 

 

 ま、その手の検証できない考察は、また暇なときにでも考えるとしてだな。

 セラブレスが据わった目でやってきました。

 

 おう、どうしたセラブレス。一族の問題解決の報告しに行ったんじゃなかったのか? あと、この前一緒に狩りに行ったレイラ、レジェンドラスタだったらしいぞ。

 

 

「ああ、話は聞いている。…それよりも、予想外…いや、考えてみれば順当かもしれなが、問題が起きた。知恵を貸せ」

 

 

 まぁいいけど……一体なんだ? 先日の報告案を試すにしても、もっと時間がかかると思うが。

 

 

「…先日相談した結果、どういう結論になったかは覚えているだろう。外から異能者の血を取り込む、と言うのは少々紛糾したが、近親婚の繰り返しによる弊害の可能性を示唆したところ、素直に収まった。一族の若い男女も、『出会いの機会が増える』と歓迎気味だった。そっちは異能の発現云々は関係なく、単純に伴侶が出来る機会が増えて嬉しそうだったが」

 

 

 じゃあ問題ないじゃん。何がアカンのよ。合コンのノウハウでも欲しいのか?

 

 

「問題は、私の相手が指名されていると言う事だ! …考えてみれば当然だった。同じ外からの血を取り込むのでも、より優良物件が居ればそちらを取り込みたいに決まっている。しかも、一族の中でそいつと接点がわるのは私だけだ」

 

 

 …ひょっとしなくても、Meっすか?

 

 

「Youだ。不思議そうな顔をするな。①他の異能者と比べても、頭一つ抜けた実力者。②我々が知らない、異能を育てる為のノウハウを持っている。③問題を相談され、すぐに原因の検討を付けた上、解決策を提示できる。④この三つが無くても、G級の中堅ハンターとしての稼ぎと立場もある。…噂に聞く女癖の悪さも、血を多く残す為と考えればそうマイナスにはならん。これだけ揃えば、何が何でも取り込んでこい、と言われるのも当然だ」

 

 

 おおう…。でも、セラブレスは嫌なんだよな?

 

 

「当然だろうが! ハンターとしての貴様の実力は認めるし、噂に聞く程鬼畜外道でもないようだが、見境が無い事については噂以上だ。はっきり言って女の敵だ。そんな輩を夫にしたがる奴の気が知れん。…お前の周りの女を貶している訳ではないぞ。何でこうまで好かれているのかは理解できんが」

 

 

 そーね、反論のしようもない甲斐性なしだもんね。

 しかし、それなら何が問題なんだ? お前が一族や親類に意外と愛着があるのは分かったが、意に沿わない婚姻を強要されてハイワカリマシタと頷くようなタマじゃなかろう。嫌だと突っぱねるか、適当にのらくらしとけばよかろうに。

 

 

「単純に、親類から急かされるのが鬱陶しいのと………まぁなんだ、いずれは私も伴侶を持ちたいと思ってはいる。その時、お前との婚姻を押し付けられる事になりそうでな」

 

 

 それ、はっきり言って両方ともどうにもならん。

 

 

「少しは考えろ!」

 

 

 他人に向かって考えろと言う前に、まずは自分で考えろ。前者は親類の問題だから、俺が外からどうこう言えるような事じゃない。伝手がある訳でもないしな。

 

 後者はもっとどうしようもない。…処置無し、と言ってるんじゃないぞ? セラブレスがまず自力で男を捕まえなきゃならんし、その相手がどんな男なのか、何時頃の時期になってるのかも分からん。その時になってみないと、対策の立てようがないだろーが。

 

 

「ぬ…」

 

 

 大体、「婚姻を強制」なんて言われたって、俺はお前らの一族とは縁も所縁もない一般G級ハンターだぞ。「結婚しろ」なんて言われたところで、「お断りします」の一言で終りだろーが。

 ギルドにだってハンターの結婚を左右するような権利は無いし、王族の類が割り込もうとしてくれば、ギルドとの間に溝が出来る。

 はっきり言って、木っ端役人の一族が強制できるような問題じゃない。

 

 

 

「……………………あ」

 

 

 何だかんだ言って箱入りだのぅ…。世界の殆どが一族で占められていると言うか…。

 

 

「…うるさい。にしても、そうまではっきりと断られると、流石にプライドに傷がつくな…」

 

 

 そんな事言ってると、「婚姻を強制」の前に「責任を取って」って言葉がつくハメになるぞ。

 俺がお断りしてんのは、一族とやらのシガラミが面倒くさそうなのと、何よりお前とくっついたら、他の皆との関係はどうなるんだよ。清算というかヤリ捨てはしない主義だ。

 

 

「それは別に言われない気がするな。レジェンドラスタや異能のハンターとのコネツテなんぞ、ウチの一族からしてみれば是が非でも欲しいだろうさ。むしろ、私の心境なんぞ二の次でいいから、もっと増やせと言われるんじゃないか? …まぁ、もしも本当に結婚したら、の話だがな。あまり気分のよくない過程は、この辺にしておこう」

 

 

 そーだね。で、結局解決…にはなってないな。

 将来的な意に添わぬ婚姻は、一言二言で避けられたとしても、そうなるように俺とお近づきになれって催促は止まりそうにない。

 

 

「いや、そちらは私で何とかする。さっきも言われたが、身内の話だしな。…度々すまんな。また相談に乗ってもらうかもしれん」

 

 

 なーに構わんよ。数少ないG級ハンターの知り合いだしな。礼をしたいなら、体…肉欲的な意味で言うと「責任を取って」になりそうだから、労働力的な意味で返してもらおうか。

 

 

「ふむ、よかろう。今度は何を狩る気だ?」

 

 

 ウェストライブ領のお嬢さんから、ちょっと大量の素材集めを依頼されてるんでね。とりあえず…ガスラバズラかな。

 

 

 

NTD3DS月

 

 

 本日、マキ嬢への素材引き渡しの日である。引き渡しついでにちょっと確認したい事がある、と口八丁(手紙だけど)で呼び出しをかけ、現在は酒場で待っております。

 

 そしてその酒場の隅っこの人目に付かない場所には、ミキとその友人のアキャマが潜んでいる。謎のお姉ちゃん系レーダーを搭載していた場合に備え、タマフリで隠形もかけているから、そうそう見つからないだろう。…多分。最悪の場合、何とかして足止めして逃がす所存である。この場をセッティングした張本人としては、そのくらいの責任はね。

 さて、どう出るかな…。っと、おお来た来た。こっちだこっち。

 

 酒場へ入って来たマキ嬢は、以前よりも大分ラフな格好でやってきていた。ま、今温暖期だしね。クッソ暑いしね。

 

 

「済まない、待たせたか?」

 

 

 いや、待ち合わせの5分前だよ。まぁ座りねぇ。遠い所から、遥々おいでやした。

 まずは駆け付け一杯…いや、飯の方がいいかな?

 

 

「そうだな。ああ、一杯はいいが、ノンアルコールビールで頼む。職務中ではないが、真昼間から酒に酔う趣味は無い」

 

 

 まーハンターと違ってすぐには酒も抜けないもんな。

 そんじゃ、料理が来る前に…まずはコレ。集められた素材リスト。

 

 

「む……。ふむ。ありがたい。ようやく半分か…。だが問題は、これが目的の用途に使えるかどうかだな…」

 

 

 条件をクリアした素材が出るまで、繰り返しってのは本当にキツいわ。というか、そろそろそっちの懐も厳しくなってきてるんじゃないか? これ以上割引はできんが、ローンとか考えなくもないぞ?

 

 

「……厳しいのは確かだが、それはいい。貯蓄…と言うか、貯めこんだお年玉を使えば、もう暫く何とかなる。是が非でも完成させなければならないんだ。あの夢に見た戦車を」

 

「戦車!?」

 

 投擲!

 

「ん? …気のせいか? 何か聞こえたような」

 

 

 こんだけ賑わってりゃ、妙な言葉の一つや二つ聞こえてくるだろ。空耳であっても。

 …隅っこで、オデコを赤くしたアキャマをミキが抑えてるが、何も見えんな。隠形かけてるもんな。

 

 ところで、戦車っつっても作っただけで終わりじゃあるまい。あの手のモノは、数を揃えて、使い方を考え抜いて、使い手の練度を上げて、補給ラインを作り上げて……ど、ドーピング? ドクトリン? を作ってナンボだろ。

 その辺の事は考えてるのか?

 

 

「………も、勿論だとも。先祖代々、ハンターの支援をするために研究してきたウェストライブ家を舐めるな。…まぁ、前代未聞の形になるだろうから、やはり既存のものをアレンジしていかねばならんだろうが…」

 

 

 …本当に考えてたのかねぇ? ま、いいや。

 それより本題なんだが。

 

 

「む? ああ、何か確かめたい事がある、と言っていたな。直接会って話さなければならない事なのか?」

 

 

 聞くだけだったら手紙で済むんだが、面と向かって話したかったんでね。忙しい領主の令嬢を呼び出した事はすまないが、可能な限り応えてほしい。言えない事は言えない、分からない事は分からない、機密に関わるなら…まぁ、嘘をついてもいい。

 

 

「前置きはいい。何だ?」

 

 

 ミキ嬢の事だ。実は、ミキという女性は何人か見つかった。。

 が、彼女達は卒業したばかりの新米ハンターだ。ハンターが訓練所を卒業するのに、どんなに短く見積もっても半年以上かかる。ミキ嬢が家出をしてから、2か月も経っていなかったと思うが?

 

 

「その通りだ。別人だろうな。…それだけか? まずはそのミキ某とやらの所に行って、確かめてみるだけでも良かったろうに」

 

 

 少しばかり踏み込んだ事を聞くが……そっちでのミキ嬢の扱いはどうなっている? この際、見つけ出すのは構わんが、そうなったら連れ戻すのか?

 お家騒動がどうのこうのって話に発展しそうなら、俺も少しばかり態度を考えきゃならん。

 

 

「それは………正直に言おう。私にも分からん」

 

 

 分からん? 探させておいて?

 

 

「…お母様は、ミキを探そうとしていない。いや、私の知らない所で手を回しているのかもしれないが、少なくとも表立って行動している様子は見せない。だが、ミキがどうでもいいと考えているのではない」

 

 

 家族についてこんな問いかけをするのも酷だが、その根拠は?

 

 

「ミキがまだ、ウェストライブの娘として扱われているからだ。あの子の部屋も、掃除する以外には何もせず、いつ帰ってきてもいいように整えてある。普通は、領主の娘が責務を放り出して家出をしたなど、醜聞もいい所なんだ。人に言えないような事情があって、一時的にそう見せかけているとしても、政敵につけ入るすきを与えない為に、絶縁したフリをして、その後何らかの口実を設けて復縁させる。…お母様は苛烈なお方だ。もしもミキをどうでもいいと思っているのであれば、すぐにでもウェストライブの娘としての立場を取り上げ、居なかった事にしてしまうだろう」

 

 

 それはまた…。家族に対してそこまで…いや、そこまでやりそうな人物が、やってないからこそ温情がある…と?

 

 

「私はそう思っている。だが、捜索の手も伸ばしてない事には納得できない。…私はミキを連れ戻したい。居なくなったあの日、叱責はされたがそう酷いものでもなかった筈だ。なのに、どうして誰にも告げず、突然居なくなったのか知りたい。話をしたい。私達の何がいけなかったのか。そんなに家で暮らすのが辛かったのか。せめて教えてほしい。絶対に治すから。また、一緒に暮らしたいんだ…」

 

 

 …俯いてしまった。涙こそ流れてないが、泣いてるなこりゃ…。思ったよりアカン所に突っ込んでしまったか。

 とりあえず……。

 

 丸く収まるよう協力は約束するから、飯を食え。腹減ったまま考えても、ロクな結論は出てこんぞ。

 

 

「…うん」

 

 

 

 …さって、どうしたもんかねこれは…。マキ嬢は色々考えてるようだが、問題があるのは全然別のトコなんだよなぁ。家出だって本人の意思じゃなくて、アラガミ化して俺に引き寄せられてきただけだし。

 家に多少問題があるのは否定できそうにないが…。

 

 

 …とりあえず、おかー様とやらがどう考えてるのかが問題だよな。連れ戻して……家出して心配させたお叱りくらいは甘じて受けてもらうとして、どうして何のリアクションも起こさないのかが気になる。何か深い考えでもあるんだろうか。或いは、領主としての立場と、親としての立場の板挟みの結果、そうするしかなかった…とか?

 そこんとこを、マキ嬢が分からないままにしてるってのも、問題と言えば問題か。迂闊に連れ戻して、ミキ嬢に何ぞあったら、また話がややこしくなる。

 例えば……政略結婚でミキ嬢を狙ってる誰かが居るとか?

 

 

「そのような事になった場合、未完成の戦車に大樽爆弾Gを満載して突撃させてでも私は阻止する。しかし、そうだな…。一お母様と話をせねばならんか。意思の疎通と統一は、何よりも優先するべきだしな。分かった。何とかお母様の考えを聞き出してみよう。…その全てを君に伝えられるとは限らないが」

 

 

 ま、そこは責任ある立場だから仕方ないね。こっちとしても、折角見つけた女の子が、不幸になる為に家に戻らされるって事は考えたくない。

 俺のモチベーション維持の為にも頑張ってくれ。

 

 

 

 

 

 ………と、このようなお話になりましたとさ。

 マキ嬢が帰った後、ボロボロ涙を零して顔を真っ赤にしているミキと、額を赤く晴らしてちょっと貰い泣きしているアキャマのおかげで、周囲からちょっと冷たい目で見られたが。

 

 

 …おかー様とやらの考えは分からないが、とりあえずマキ嬢はミキの味方っぽいな。

 

 

「はい…。…それが、分かった、だけでも…うぅ。おねえちゃん…心配かけてごめんなさい…」

 

「うう、自分、涙いいでありますか…?」

 

 

 もう泣いとる。

 …ああ、ついでにミキとマキ嬢のお父さんについても聞いてみればよかったかな。

 

 

「あ…それはお姉ちゃんも知らない筈です…グスッ 子供の頃に、誰かが居た記憶は薄っすらあるらしいんですけど」

 

 

 ふーん。居なくなったのはその前か…。かなり昔だな。トキシ…の年代よりも、更に前か。関係無さそうだな。

 

 

 ま、あっちの問題はおねーちゃんに任せるとして、こっちをどうするかだな。あっちの問題が全てクリアされたとしても、アラガミ化現象をどうにかしないと帰るに帰れん。

 

 

「はい…でも覚悟は決めました! どんな辛い修行だって、やり遂げて見せます! 今からでも、訓練再開をお願いできますか!?」

 

「お供するでありますミキ殿! ミキ殿が本気を出して自分達も協力すれば、きっと霊力なんて指先一つでチョチョイのチョイであります!」

 

 

 おうおう、その意気だ。

 ま、今日はもう瞑想もやったようだし、体を動かしに行きますか。自然の力を感じ取るって意味では、瞑想よりも狩りの方が上手くできるもんな。

 ついでだから、猟団の皆にも報告して、狩りの準備を整えておいで。

 

 

「「はい!」」

 

 

 

 ……と言う訳で、一狩いってきました。流石に下級だけども。

 狩りの腕前についてはまた今度述べるが、悪くはないとだけ言っておこう。

 乱入してきたガノトトスにも、問題なく対処できていた。…ちなみにそのガノトトスは、コンガリ焼けた挙句、今は骨だけになっている。

 

 

 そして今、日記を書いている俺の膝に頭を預け、ミキはスヤスやと眠っている。別に色っぽい事があった訳じゃない。日が暮れた辺りからウトウトしだし、キャンプで飯食った後にパタッと眠ってしまっただけである。倒れ込んだ先が、偶然俺の膝だっただけで。

 …アキャマ殿、羨ましいのは分かったから気配を抑えろ。ミキが起きたらどうする。

 

 

「うう、羨ましいであります…。自分もミキ殿の為なら、膝枕どころか腕枕も胸枕も…」

 

 

 幼く見えて何気にワガママボディな君が言うとシャレにならんな。にしても、よく寝るなぁ…。

 

 

「むぅ…やはり、色々と張りつめていた糸が切れたのではないでしょうか? 少なくとも、身内に味方が一人でも居ると言うのは多大な安心感があるでありますよ。ミキ殿は、マキ殿が大好きだったようでありますから」

 

 

 その分、コンプレックスも深そうだがね。

 

 

「それにしても……凄い食欲でありましたな。以前、貴殿に襲い掛かった時程ではありませんが……また食欲が増しているような気がするであります」

 

 

 ガノトトス、半分近く一人で食い尽したもんな。

 

 アラガミ化が進んでいるのかって話か? …じりじりとだが、進んでいるだろうな。ま、薬がある間はそう問題はないだろう。それに、本気でアラガミ化してれば、骨も残ってないよ。

 ミキには秘密にしているが、実のところ霊力を問答無用で目覚めせる方法も、あるにはある。オススメできないだけでな。…最悪の場合は、それを使う事になる。

 

 

「…最悪、と言う程の手段なら、極力取りたくはないでありますね。…しかし、別の部分でも心配が…。何と言うか…その……決してミキ殿を貶す訳ではないのですが、こうも食べて寝ていると…」

 

 

 

 ん………あー……ミキは牛ってよりワンコなイメージがあるな。それ以上にワンコっぽいのはアキャマ殿だが。

 ま、そこら辺は心配しなくていいよ。ハンターもそうだけど、ゴッドイーターにその手の心配はまず無用だ。少なくとも、酷い体系になったゴッドイー…もとい、アラガミ化した人間は見た事ない。毎日スィーツ食って昼寝してても、太る心配はまず無いな。

 

 

「…霊力を身に着ければ、アラガミ化現象とやらは抑制できるのですよね? ならば…」

 

 

 肥満防止の為にアラガミ化するとか、斬新な動機だな。あっちの連中が聞いたら、ふざけんなって怒り狂うだろうに。

 

 

「いやいや、それだけではないでありますよ。…このような事、ミキ殿が起きて聞いている時にはできないでありますが……ミキ殿は今でも、自分の体について悩んでいるようです。アラガミ化現象、と言う名前と、それを克服した先達が現れたとは言え、自分の体が得体の知れないモノに変わっていく不安は如何ほどか。自分は、例えミキ殿がそのアラガミとやらになってしまっても、友人であります。どこまでもついていく所存であります。ですが、ご家族から拒まれたらどうしよう…と考えてしまうのも仕方ありません。……他には…その、寿命とか…」

 

 

 置いていかれるか、自分だけ先に逝くかって? 寿命は人間と大して変わらなかったと思うがな。まぁ、アラガミの事について全然知らないもんな…知ってても理解できんだろうけども。

 で、それが?

 

 

「仲間は多い方が、安心できるでありましょう?」

 

 

 …マジで地獄の底までお供する気だな、こいつ…何と言う忠犬アキャマ…。まぁ無理なんだけどね。

 

 

「なんと!?」

 

 

 ミキがどうしてこうなったのか分からんままだ。仮にこうなった切っ掛けが掴めたとしても、アラガミ細胞は山の天気より気紛れだ。同じ事をしても、同様の体になれるとは限らん。むしろ、即死する可能性の方がずっと高い。

 あんまり無茶なことは考えず、素直に狩り友やっててやれば「……おとうさん…」………。

 

 

「……父親の不在、と言うのは辛いものでありましょうな。フロンティアなどという魔境にやってきて、それでも探し求める程に」

 

 

 繊細な年頃ならね。………やれやれ。俺って、代役でも父親面できるような人間じゃないんだがなぁ。

 子供でもできれば変わるのかね。

 ま、とりあえず毛布かけてやるとしよう。風邪ひくなよ。 

 

 

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