※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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第286話

NTD3DS月

 

 

 親子丼、美味しゅうございました。え? 朝飯の話じゃないよ。エロの話だよ。ミキと領主さん、結果的には同時に貪らせていただきました。何時の間にやらキヨさんまで参加してきたし。

 最初はそういう話じゃなかったんだけどねぇ。…いや、ミキはちょっと期待してたのかな?

 

 部屋にやってきたミキの第一声は、「キヨさんは居ますか?」だった。俺じゃなくてキヨさんに用事? 少なくともここには見えないよ。(見えないだけだが)

 

 

「いえ、ひょっとしたら居るかな、って思っただけです。…ちょっと、時間いいですか? 今後の事について相談したいんですけど…」

 

 

 いいよ。進路相談か…。パパになって数日だと言うのに、もう娘が自立しようとしている件。寂しい。

 …キヨさんが居るかも、と言うのは昨晩見た夢のせいだろうなぁ。

 

 

「冗談はともかくとして…私、やっぱり皆とハンターやりたいです。お母さんやお姉ちゃんには悪いけど…」

 

 

 まぁ、それは別にいいんじゃね。残念とは思いそうだけど、ギスギスしたままって訳でもないんだし。何か問題でも?

 進学した娘が一人暮らしってのは心配だと思うが。

 

 

「お母さんも言ってたけど、やっぱりハンターとしての訓練は受け直さないといけないんだよね…」

 

 

 そこは俺も賛成だな。今のミキは、実力こそ上がってきているが、いわばインスタントハンターだ。実際、調合とか苦手だろう。

 …ああ、長い事待たせてしまうってのが問題か。ハンターの訓練は、それなり以上に時間がかかるからな…。

 

 

「うん…。絶対に戻ってくる、って約束して家まで来たのに」

 

 

 戻ってくるとは言った…言ったが、その時と日付までは指定していない…どうかその事を…諸君らも思い出していただきたい…。つまりその気になれば…1年後に戻ってきたとしても、約束は守られた事になる…と言う事だ…。

 冗談はともかくとして、ミキとしてはハンターには戻りたい、でもシキさんともちゃんと話してみたい…って事かね?

 

 

「うん。…なんていうか、色々見る目が変わったし…」

 

 

 グレなきゃいいんだが…。

 ふむ、つまりフロンティアに戻る方法と、お母さん達と離れない方法を両立させなきゃならん訳だ。都合のいい話ではあるが…娘の為だ。ちょいと頭を捻るとしましょうか。

 とは言え、実を言うとものすごーく単純なゴリ押し方法は既に思いついている。

 

 

「本当!? 流石パパ!」

 

 

 はっはっは、もっと褒めろ。つーても、これも霊力を十全に使えるようになるのが条件だ。

 単純に、基本的にフロンティアで暮らして、2~3日に1度くらいのペースで里帰りすればいいんだよ。

 

 

「里帰りって言うか、実家に顔出し? でも、フロンティアとお家って、馬車を使っても1日かかるくらい離れてるよ。交通費も馬鹿にならないし」

 

 

 移動速度を速めればいいだけの話だ。鬼疾風ってまだ見せてなかったっけ?

 使い手の技量にもよるけど、生身で馬並のスピードを出せるぞ。ジャンプで障害物も飛び越えられるから、回り道せず一直線で済む。

 多分だけど、アラガミ化状態の今のミキなら、馬より早くなるだろうな。

 

 そうだなぁ…。これくらいの距離なら、片道2~3時間って所かな。馬車で来る時は、迂回路も多かったもんな。慣れれば1時間半くらいで行けるんじゃないか?

 

 

「早いよ!? 普通に人が出していい速度じゃないよ! 交通事故コワイ!」

 

 

 でも、これなら頻繁に帰る事も難しくないだろ。走り続けてかなり汗が出ると思うが、そこは風呂の用意でもしておいてもらえばいいし。

 …汗まみれのミキ、か…。

 

 

「ちょっと…何想像してるの、パパ…」

 

 

 そこでパパと呼ばれると、物凄い罪悪感が湧くんだが。

 ふむ…この方法が駄目なら、逆にシキさん達にフロンティアに来てもらうかな。

 

 

「それは…もっと難しいんじゃないかな。お姉ちゃんなら、ハンターの支援の為に、仕事を勉強するって建前があるけど、お姉ちゃんの仕事もあるし。お母さんなんて、正式な領主だもん」

 

 

 あまり開けると、領地の経営がガタガタになる…か。代わりに仕事できる人っていないのか? 全部が全部、シキさんがやってる訳じゃないだろう。

 

 

「そうだと思うけど…多分、そこまで信頼できる家臣の人って……ほら、その、多分お母さんがやらかした時に…。前から、仕事量が多すぎるなら人を増やして割り振ればいいのに、と思ってはいたんだけど」

 

 

 ………あー…離れていっちゃったか…。

 

 

「側近みたいな人は育ててるみたいだけど、お母さんの仕事全部を問題なく肩代わりできるかって言うと…ってレベルみたい。一番信頼してるのって、お姉ちゃんだよ? あ、でも私ってそっち系の事はあんまり教えられてないから、ひょっとしたら私が知らないだけって事も…」

 

 

 むぅ…。一度確認くらいしてみるか…。

 しかし、それ以外の方法となるとなぁ…。家族と手紙のやり取りってのも面白いとは思うが、ミキ達の場合は顔を突き合わせて腹を割って話すべきだろう。

 

 

「ふぅ……暑…」

 

 

 ん? 氷水要るか? と言うか、そんなに暑いか? ひょっとして体調悪い?

 

 

「うーん、フロンティアに1か月も居たから、体内時計が狂ってるんだと思う。あそこ、寒暖差が激しいし、変化が早いし。フロンティアに居ると忘れるけど、今って初夏だよ」

 

 

 …そう言えばそうだっけ。素で忘れてた。道理で妙に薄着にしてるなーと。

 

 

「……これは、お姉ちゃんの服で、合う物が少なかっただけで…まぁいいか」

 

 

 と言うかだな、体調悪いで思い出したが、俺のトコ来て大丈夫なのか? 後でシキさんが様子を見に行くって言ってなかったっけ。

 

 

「そうだった…。一眠りしたら、逆に眠れなくなっちゃって。体がなんかゾワゾワ…じゃない、ワクワクして落ち着かなくって」

 

 

 ワクワクねぇ…ま、アラガミ状態になると生命力が溢れて、活気を持て余すのは分かるな。

 体から色々と漏れ出てくる気がするし、気分が高揚して…………?

 

 

「………あの…あのね、パパ…」

 

 

 ちょっとまてミキ、誰か来る。この足音は……シキさん? えらく慌ててる…し、何だか敵意も感じるような。

 

 

「お母さんが? ………何かとんでもない事が起こった…か、とんでもない勘違いをしてる気がする」

 

 

 ああ…あのポンコツ具合を見るにね。…もう来たよ。

 

 

「ミキ!」

 

 

 バン、と明らかに平常心ではない音を立て、ドアが開かれた。むしろ蹴り破られたと言ってもいい。

 ミキを目にするや、彼女が何か口を開く前に抱き寄せる。

 

 そして俺に対する激しい敵意の目。

 

 

「…ミキに何をするつもり」

 

 

 …何って言われても、話し相手になってただけなんだが。ミキが来たのは、目が覚めて暇を持て余してたからだし、俺が呼んだ訳じゃないぞ。

 

 

「…昨晩、ここでキヨにあのような事をしていた人間の言う事をそのまま信じるとでも?」

 

 

 昨晩? …ああ、覗いてたのシキさんだったのか。

 別に強制した訳じゃないぞ。合意の上と言うか、むしろあっちからのお誘いだったし。

 

 

「っ、お母さん苦しい……ぷは…。…え、あの、何がどうなって?」

 

「ミキ、少し黙っていなさい。これは母親としても、領主としても見過ごせません」

 

「昨晩って……ふぇ? ふぇ!? あ、あれって夢じゃなかったの!?」

 

 

 いやー、夢だけど夢じゃなかったと言うか。多分、その夢を見たのが体が変化する切っ掛けになったんじゃないかな。

 

 

「え、えぇ…。あれ、ひょっとしてキヨさんと以前からの知り合いだったとか…」

 

 

 初対面です。

 …と言うか、これ言っちゃっていいのかな…。侮辱していると思われるかもしれないが、キヨさん今までも何度か似たような事やってるみたいだぞ。

 

 

「………貴方は…」

 

 

 ちゃんとした理由はあるっぽいけどな。政敵の始末か、枕営業か…。都合の悪い相手が、宿泊した翌日に急に態度を変えた事は?

 

 

「………っ」

 

 

 (『食事』のついでに、何か刷り込んだんだろうなぁ…)

 まぁ、本人は割り切ってる節があったけど(飯食う度に躊躇ってちゃ、やっていけんわ)…その辺の相談は本人とやってくれ。

 

 と言うか、気に入らないならその場で乱入すればよかっただろうに。昨日は、結構長い事覗いてたように感じたが? 狼藉を働いていたその場を抑えれば、拘束するも叩き出すも処罰するも、好きにできただろうに。

 …ああ、キヨさんが合意の上だと主張すれば…どっちにしろアカンな。始めてきた屋敷の使用人にいきなり手を出すとか。

 

 

「あ、あのー…お母さん、ひょっとしてここに来たのって…」

 

「…後で様子を見に行く、と言ったでしょう。だと言うのに姿が見えないし、時間が時間だから、まさかと思って来てみれば…」

 

 

 別にミキは他意があって部屋に来た訳じゃないし、俺だって話し相手になるだけのつもりだったぞ。まぁ信用できんだろうが。

 

 

「えーっと……私は…その……ちょっと…」

 

 

 …なんかミキの様子が微妙におかしいような。生命力が溢れまくって、エッチぃ所からちょっと漏れたか…? 

 

 

「……ミキ、とにかく今日はもう休みなさい。…いえ、もう休んだのでしょうけど、この人に話があるなら明日にしなさい。私は一度、徹底的に話さなければならないようです」

 

「は、はい…」

 

 

 あらゆる意味で目が厳しい。ミキが反論すらできないくらいに厳しい。

 そりゃそーだよな。ミキの真意がどうあれ、母親として見過ごせまい。

 俺が純朴かつ一途な好青年であればともかく(俺もかつては純朴ではあったと思う)、今の俺は初対面の相手に即手を出す鬼畜、或いはチャラ男。お付き合いなんて、おかーさんは反対です、と言われても仕方なかろう。

 

 

(ちょっとちょっと、いいですか?)

 

 

 ? キヨさん、テレパシーとは器用な事をしますな。何事っすか?

 

 

(お手伝いしますから、ね?)

 

 

 ………マジ? 普段と変わらないニコニコとした笑顔のイメージが、いっそ恐ろしい。いや恐ろしい程淫靡に見えるって意味で。

 

 

(マジです。そうでもしないと、解決しないでしょう? 少なくとも、シキ様は真っ当な事を言った程度じゃ納得しませんよ)

 

 

 むしろ、こっちが納得できないのは、何でそんなにエロに進ませたがるのか、何だが。昨日もそうだけど、えらくノリノリじゃないか。

 

 

(率直に言いますけど、私、ここ数年ほど満足に『食事』が出来てないんですよ…。本来なら、館の主から漏れたエネルギーで満たされるんですが、シキ様の旦那様が居ないから、単純に考えて吸収効率が半分以下なんです。それに、マキ様はともかくミキ様は、家の居心地が悪い為に、やっぱり生命力も充分ではなくて…。泊られた殿方に体を差し出したのも、政敵をどうのではなく、そうでもしないと飢えて消えてしまいそうだったからなんです)

 

 

 マジか…。と言うか、それちゃんと後始末したろうな?

 

 

(当然です。みんな夢だと思い込んでいますし、覚えてさえいない人も居ます。痕跡は全て消しました。…これでもメイド長で、付喪神ですからね。神通力的なのでチョチョイのチョイです)

 

 

 どっちかっつーと妖術だろ。で?

 

 

(ミキ様の為の説得の一助になる。貴方はいい想いが出来る。私はお腹いっぱい食べられる…あとで私を摘まみ食いするのもいいですよ? 三方、いえ四方両得ですね!)

 

 

 3方は分かったが、4方目…シキさんの得は?

 

 

(それはもちろん、未だ経験した事のない、女性としての幸せを存分に嘗め尽くせる事です。…その、見ず知らずの方の事を、しかもマキ様とミキ様のお父様の事を悪く言うのもなんですが…シキ様のお話や愚痴を聞く限りでは、優しい方ではあっても、オスとして精強とは言えない方だったようで)

 

 ハンターなのにか。…いや、精神的に気弱すぎて、強引に行けなかったのかな?

 ………うわ、何よこのエロゲシチュ。…今更か。

 と言うか、自分の飯の為に館の住人を生贄にするとか…そそるシチュエーションだな!

 

 

(愛着も愛情もありますけど、それもお腹が満ちてこそです…。十年以上も食うや食わず、ジリジリと存在が薄れていく生活が続けばこうもなります。ミキ様が家出をした時には、5年後にはもう二度と姿を現せなくなる事も覚悟したんですよ。ミキ様の体にあのような事が起きているとは考えもしませんでしたが、いい関係の家族を築けなかったのはシキ様にも責任がありますので…オシオキと言う事で)

 

「何を呆けているのです。私を前にいい度胸ですね」

 

 

 …まだ納得した訳じゃない(というタテマエを捨ててない)が、会話が中断されてしまった。更に目付きを険しくして、藪睨みとさえ言える形相のシキさん。

 どっちにしろ、これ以上キヨさんに意識を割くのはアカンな。

 

 …まぁ、仮にも娘にパパと呼ばれてるんだ。母親と真向切って向き合う事もできんようじゃ、話にならん。ちぃっと気ぃ入れますか。

 ………霊体の状態で、シキさんに囁くような位置でフワフワしているキヨさんには目を瞑る方向で。

 

 

 目を瞑りはしたけど、聞いてはいたけどな。特にシキさんが。

 なんつーか…付喪神が悪魔の囁きをするって斬新だなぁ…。

 

 シキさんが何か言う度に、耳元で卑猥な事を囁いて。

 例えばさっきの「何を呆けているのです」の言葉には、『シキさんの体に見惚れてたんですよきっと。年上の女の魅力をわかってくれる子っていいですねぇ♪』なんて吹き込んでいる。

 シキさんは、今のキヨさんは見えてないようだが、それでも全く何も感じない訳じゃない。無意識にでもキヨさんの言葉を受け取ってしまう、それが自分の中から沸いてきた考えだと錯覚する。

 

 そうこうしている間にも話は進み、キヨさんはシキさんに好き勝手絶頂に吹き込み続けている。

 

 

「ミキの事をどう考えているのか」『シキさんの事はどう見えてるんでしょうね? 可愛い人だと思ってほしいですねぇ』

 

「軽々しく私の子に手を出すつもりなら容赦しない」『シキ様本人との火遊びなら、本人の責任の範疇ですよね』

 

「ミキの体はこれからどうなると思うか」『たった一晩で、凄く男好きのする体になっちゃいましたもんね。このままいけば、シキ様よりナイスバディになるかも』

 

「自由意志の恋愛を認めない訳ではありませんが、しっかり責任をとれる相手でないと反対せざるを得ない」『G級ハンターだから甲斐性はバッチリですよ。女好きみたいですから、誘惑に耐えられるかシキ様がテストしませんと♪』

 

「ミキもそう言った事に興味を持ち始める年頃なのはわかりますが、良識ある大人としてそれに付け込む事は」『初体験で失敗しないよう、ちゃんと出来るか確認する必要がありますね』

 

 …会話は万事この調子である。言うまでも無いが、既にまともな会話をするのは諦めた。 

 キヨさんと来たら、見事なほどの口八丁で、何を言っても言われても、エロい意味に解釈をひん曲げてくれるのだ。シキさんに認識されていないと思って、言いたい放題である。

 

 

 そして、あれよあれよと言う間に…。

 

 

「…どうしたのです。ミキを篭絡したその手筈、私に見せてみなさい。そんな物で生まれた感情など、一時の気の迷いだと証明してあげます」

 

 

 

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