※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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前回は感想を催促したようで申し訳ないです…。

今後気になるゲーム…。
世界樹の不思議なダンジョン2。(購入ほぼ確定)
仁王のDLC第三段。
アサシンクリード新作(10月)
EDF5(発売日17年中の予定)

出ないかなーと思ってるゲーム。
新作ダクソ。
新作龍が如く(時代劇版)
ゴッドイーター新作(情報多少あり)


現状じゃこんなものかなぁ…。


第290話

NTD3DS月

 

 

 ミキをパンツァー猟団に届けるついでに、猟団ラサマに寄っていく。

 大人ボディになって戻って来たミキが、色々な意味でモミクチャにされていたが、まぁ仲間同士のスキンシップだろう。主に聞かれていたのは、実家とどうなったかではなく、成長の秘訣だし。無論、肉体的な意味で。

 まぁ、そっちはそっちで語ってくれ。パパであっても、娘の交友関係にまで口は突っ込めん。…娘に突っ込みはするけども。

 

 

 下ネタ親父ジョークはともかくとして、猟団ラサマは意外と動揺してないようだ。面会を求めた時の、キッチリした対応からもそれは予測できる。

 トップが叩き上げだけあって、こういった場合の対応も叩き込まれているんだろう。ウチも見習わないと…とは思うが、そっち方面はデンナーとコーヅィに丸投げしてんだよな…。なんかもう、俺って猟団長と言うよりは、スポンサーになってないか?

 

 さて、それはそれとして…。

 猟団部屋の奥に案内され、部屋に入って見えたのは、体のあちこちが白くなったシトサだった。…包帯塗れ、か。

 

 

 よう、シトサ。…思ったより重症だな。

 

 

「なんだ、笑いにでも来たのか? …これでも軽い方でな。お前んとこの二人が居なかったら、確実にあの世行だったぜ」

 

 

 俺のところの…?

 

 

「聞いてないのかよ。…いや、俺が頼んだんだったか。瀕死だった俺を、あの二人が治してくれたんだよ。…なんつったか…ほら、お前が使ってる妙な力だ」

 

 

 タマフリか…。まぁ、役に立ったなら何よりだ。つーか黙っててくれって言われたとしても、報告くらいしろよあいつら…。

 

 

「お前がしっかり手綱を取ってないのが悪いね。…つか、本当に何しにきやがった」

 

 

 ひっでぇ言いぐさ。一度は背中を預けて戦った仲だろーが。重体になったって言われて、気にしておかしいかよ。

 と言うか、一体何があった? お前がこんだけ傷つく相手と、そうそうカチ合うとは思えん。

 堅実で慎重派だし、石橋を叩いて渡るタイプのお前が。

 

 

「………」

 

 

 昇格の話があった時も、まだ自分は準備不足だって保留にしたろ。昇格したって事は、充分に力がついたと判断したな? お前がその辺を見誤るとは思ってないぞ。

 何かとんでもないモノと遭遇したな。

 

 例えば……鈍重な癖に異様に攻撃力が高くて、どんな攻撃を弾き返す黒い龍…とかな。

 

 

「…知ってんじゃねぇか」

 

 

 ……マジかよ…。いつかは、まさかと思ってたが…。

 

 

「なんなんだ、アイツは? どんな攻撃も通じない。異様に強い力、あのプレッシャー…」

 

 

 俺も実物を見た事は無い。先日…約1か月から2か月ほど前か。あの龍が出現する予兆が立った。それを俺が知ったのは、3日前くらいだ。

 …と言っても、明確な証拠があった訳じゃなくて、推測に推測を重ねて、妄想の領域まで考えて、それでもまさか…って話だったが。

 

 名前は……推測が当たっていれば、という前提で話すが……黒龍・ミラボレアス。

 

 

「ミラボレアス……ん? ミラボレアスってアレか? あっちこっちの伝承に伝わってる、この世に災厄と滅亡をもたらすとされる「伝説の黒龍」か?」

 

 

 そうだな。確か、シュレイド王国を滅ぼした龍って言われてるんだっけ。

 …別にふざけちゃいない。確かに御伽噺としか思われてないけど。

 

 

「…そうであってもおかしくはない、と思う程度には強かったよ。…団員にはこんな事は言えないが…正直に言う。勝てる気がしない」

 

 

 …ゲームでは、タフネスと火力が脅威ではあっても、動き自体は単純で鈍重だった筈…。しかし現実では?

 

 

 …シトサ、侮辱する問に思うかもしれないが、答えてくれ。

 勝てなかったのか? それとも、負けたのか?

 

 

「…勝てなかった、と言いたいが……完全に負けだ」

 

 

 …攻撃が通らないだけなら、シトサはこんな重症にはなってない。動きが鈍重であれば、ハリウッドダイヴも駆使して逃げ切れるだろう。

 攻撃が通らない事は、勝てない理由にはなっても、シトサがこんな深手を負い、負ける理由にはなってない。

 つまり…シトサは黒龍の動きを見切れなかった…。

 

 

 しかし、よく生きて帰れたな…。仕留めた獲物は巣に持ち帰るとか、鎧や武器を体に溶かし込むって話だったが。

 

 

「言いたかないが、眼中になかったんだろうよ。尾…だったと思うが、弾き飛ばされて終わりだった。実際、あのコーヅィとデンナーが通りかからなけりゃそのまま死んでたぜ。ったく、またコーヅィに借りができちまった」

 

 

 妙に嬉しそうに言ってんじゃねぇ。

 ギルドへの報告は?

 

 

「正体不明の黒い龍、としか。…本当にミラボレアスだったとして、素直に信じるとは思えないしな。むしろ、信じる方がどうかしてる。俺だって、本当にミラボレアスかと言われるとな。とんでもないモンスターが、フロンティアを動き回っている…としか」

 

 

 そうだよなぁ。レジェンドラスタ達には個人的に信用を得ているとは思うが、話しても信じてもらえるかどうか…。

 

 

「……おい、まさか俺の仇討ちなんて考えてないだろうな」

 

 

 まさか。行方不明になって完全に死んでるなら、探し出して遺品を持ち帰るくらいしてやろうとは思うが、狩りの間に起きた事だろ。狩ってるんだ、狩られもするさ。相手にしてみりゃ狩るまでもなかったようだが。

 …ただ、俺の考えが的中してりゃ、どっちみちコイツとカチ合うのは確定事項だ。

 下手すると、こいつは俺に引き寄せられてメゼポルタまで来たって事になりかねん。

 

 

「流石にそりゃ自意識過剰だろ。確かにお前は妙な力を使うし、ハンターとしちゃ大したもんだろうが、それだけで伝説のモンスターが寄ってくるような事が………いや、何か因縁があるのか?」

 

 

 分かりやすく言うと、同族的なナニカかもしれない。ついでに言うと、ミラボレアスの鱗を貫ける道具を持ってるかもしれない。

 …まぁ、そうだったとしても、用心する事しかできないけどな。どこにいるのかも分からないし、何処でカチ合うか分かったもんじゃない。

 

 

「そうだな。結局、結論はそうなるか…。しかし、奴に傷をつけられる道具ねぇ…。よくもまぁ、そんな都合のいい物持ってたもんだ。恵まれた才能、特異な力、特別な道具…。お前は何かの物語の主人公でも気取ってんのか」

 

 

 気取りたくて気取ってる訳じゃないわい。毎度毎度、過去の選択や失敗が納豆よりもしつこく後を引いて、それが絡まり合って話が雪崩式に大きくなっていってるだけだっつぅの。

 俺がその道具を手に入れた時だって、ある病気にかかったのが切っ掛けだったんだぞ。克服するまで、何度空腹(と言うかアラガミ化)で発狂した事か…。

 まぁ、その病気には自分から望んで感染したんで、自業自得だけども。ただ、提案した人が実は俺の謀殺を目論んでたと言う…。

 

 

「聞いてるだけで訳が分からん。もうええわ…。まぁ何だ、コーヅィとデンナーには礼を言っておいてくれ。こんな体なもんで、直接行けないんだ」

 

 

りょーかい。お大事にな。まぁ、お前もハンターなんだし、一般人なら再起不能確実にあの世行の状態の今でも、飯食って寝てりゃ治るでしょー。

 幸い、デンナーみたいに再起不能になりそうな怪我は、あいつらが塞いでくれたみたいだし。

 

 そんじゃねー。

 

 

 

 

 …ふぅ、思ったより元気そうで安心したぜ。最初に思ってたよりは重症だったが、ミラボレアスっぽいのと対峙して、精神的にもやられてないようだ。トラウマを負って再起不能、って事も考えられたしな。

 しっかし、とうとう来やがったか…。フロンティアに来た以上、いつかはやりあう事になると思っていたが…色々と想定外のモノが絡んでくるもんだ。予定通りに進んだ事なんぞ、数える程度しかないし、しかもその後決まってもっと厄介になるんだから、今更だけどな。

 

 

 ミラボレアスがこれから襲ってくるとして……メゼポルタ広場に直接カチコミに来るか、俺が一人の時を狙ってくるか、或いはミキを狙うか…。一番厄介なのは最後のだな。

 広場に直接来るなら、大勢のハンターでフルボッコに……いやでも、ゲーム通りの能力しかない訳じゃないよな。伝承が本当だとすれば、メゼポルタ広場を纏めて灰にするくらい朝飯前か。

 

 …そういう状況に備える為に、俺はハンター全体の戦力底上げを考えてたんだよなぁ…。最近はエロにかまけてすっかり忘れてたが。

 では、その効果はどうだったのかと言うと…………まぁ、なんだ、殆ど効果ねーな。いや、全く効果がなかった訳じゃないよ? ウチの猟団の連中の分だけでも、更生していい狩りするようになったんだし。

 

 霊力だって徐々に広まっている。タマフリまで使えるのはレジェンドラスタの中でもフラウくらいだが、それでも力を自覚しただけで色々恩恵はあるようだ。

 ウチの猟団でも、デンナーとコーヅィが教練しており、霊力習得の兆しが見えるのもチラホラ。

 猟団ストライカーを通じて、異能者が集まり、その力の使い方を教え合ったりもしている。

 

 

 …でも、相手が相手だから焼け石に水っぽいんだよなぁ…。考えても仕方ないか。焼石どころかマグマに水であろうと、現状より悪化する事は無いだろう。少なくとも、負傷者に対する治癒の手段は増えているのだし。

 

 

 

 

NTD3DS月

 

 

 ミラボレアス…龍。龍に対する武器と言えば、何だ? いわゆるドラゴンバスター。ドラグンバスター。ドラゴンスレイヤー。アメノハバキリ。ドラグ・スレイブ。

 むぅ……。どれもこの世界では入手できそうにない。いや、飛竜や古龍にも通じそうな武器ならあるんだが、相手がミラボレアスだしな…。

 この世界でミラボレアスにダメージを与えられそうな物と言えば、皆大好き大樽爆弾、撃龍槍、ガンランスの砲撃に…………あ。

 

 

 

「…で、アタシの所に来たのか」

 

 

 そうなんだよレイラっつぁん。

 

 

「まぁ、穿龍棍使いの先輩としては、お前に多少指導してやるくらいは構わんけど…。しかし、ミラボレアスねぇ。実在すんのかな」

 

 

 伝承に謳われるミラボレアスかは知らねーな。そう思えるくらいにヤバい奴が、フロンティアを闊歩してるってだけの事だ。

 遭遇したシトサの話じゃ、攻撃がまるで通らなかったらしい。

 

 

「叩き上げとは言え、上級昇格直後だろ? 装備も辛うじて揃えられた程度だろうに。…しかし、お前がそこまで警戒してるなら、何かはあるのか…」

 

 

 認めてくれてるようで嬉しいよ。

 で、実際どうかな。穿龍棍は、その名の通り黒龍を穿てるか。

 

 

「実在するかも分からない奴に、穿つもクソもないだろ。…と言うのがハンターのアタシの答え。穿龍棍使いのアタシに言わせると……ミラボレアスだろうが、ナバルデウスだろうが関係ねえ。穿龍棍に死角はない!」

 

 

 おおぅ、言い切りやがった…。つー事は、クッソ堅いモンスターにも通じるような必殺技があるのか。

 

 

「…あるにはある。ただ、アタシに使えるのかって言うとな…」

 

 

 ダメじゃん。と言うか、穿龍棍マスターだと思ってたのに、使えない技があったのか…。

 

 

「お師匠様も研究中の技だったからなぁ…。ざっくばらんに言うと、貯めこんだ龍気を流し込んで、それを龍気穿撃で解放する。ここまではお前も出来るな? この時、龍気穿撃じゃなくて、特に威力のある攻撃を連続で、瞬時に叩き込んでその威力を増すんだよ」

 

 

 …他に秘訣があると見たが?

 

 

「あるが、そこまで教えてやんねーよ。大体、瞬時にって言うだけあって、ほぼ同時に叩き込まなきゃならないんだぜ? コンマ一秒の誤差もなく、正確にポイントを見定めてだ」

 

 

 ん~……アレかな。3方から同時に衝撃を叩き込んで、一点で交差させる事によって威力を高めるとか、そういう技かな。何かの格闘漫画にあった気がする。

 ……なぁ、それって……お前も、師匠も、一人でやろうとしてたのか?

 

 

「ん? 当たり前だろ」

 

 

 …実験としてでも、複数人で試したりは?

 

 

「しなかったな。言いたい事は分かるよ。2~3人でターゲットを囲んで、同時に着弾するように攻撃すればいいってんだろ? それ、ハッキリ言うけど一人でやろうとするより難しいぞ。たった二人での攻撃でさえ、文字通り同時に直撃させるなんて、どんだけ難しいと思ってんだよ」

 

 

 そうかぁ? 一人で同時にやろうとするより、コンビネーションでやった方がやりやすいと思うがな。どっちにしろ、難易度クッソ高いけど。

 …考えてみりゃ、レイラと同等に穿龍棍を使える奴なんて、まず居ないか。

 

 

「そうだな。テスターも何人か見かけたが、その中でもお前は使えてる方だ。使いこなせてるとは、とても言えないが」

 

 

 精進しろって事ね。

 それは置いといて、現状じゃ通じそうな技はないか…。

 

 

「おい、勝手に結論出してんじゃねえ。死角は無いって言っただろうが。…いいぜ、この所、レジェンドラスタとしての仕事も無くなってヒマだったんだ。そのミラボレアスっぽい黒龍、アタシも探してやるよ」

 

 

 いいのか? というか、レジェンドラスタの仕事が無いって何だよ。まさか、止めちまったのか?

 

 

「そういう訳じゃないんだが、何故か依頼が来なくてね。…何も悪い事してないよな、アタシ…」

 

 

 少なくとも、俺がされた覚えはないが。蹴っ飛ばされるくらいならあったけど、あれは下ネタへの反撃だったし、そもそもその手の問題行動で言えば他のレジェンドラスタ達の方が…。

 ………いや待て、ひょっとして問題が無さすぎて不気味に思われてるんじゃないか? レジェンドラスタが、こんなにマトモな筈がない。どっかに罠がある筈だ。…別に服装は問題にされてないよな?

 

 

「どうしろってんだよ!? はぁ…まぁいいか。元々、乗り気だった訳でもないし。情報が入ってこないなら、その分働いてやる理由もない」

 

 

 そんな事言ってると、サボッてると見做されて、情報持ってこないかもしれないぞ。

 とりあえず、ミラボレアス探して歩き回ってみるとしますかね。

 

 

 

 

 

 

 つー訳で、シトサがミラボレアスと遭遇したと思しき地点までやってきた。

 シトサが上げた報告に、ギルドも警戒しているのか、何人かのハンターが調査に来ていたようだ。しかし…。

 

 

「…なんだコリャ。居るのか居ないのか…」

 

 

 妙な痕跡だな。確かに何らかのモンスターの痕跡だが…シトサから聞いた風体とは、大分違う奴の痕跡のような。ミラボレアスじゃないのか…?

 しかも、途中で痕跡が無くなってるし。飛んだ…にしては、やっぱり風圧の跡も無い。

 

 

「…妙な動きしてやがるな…。まるで摺り足みたいだ」

 

 

 摺り足? 摺り足って、武術とかのジリジリ動くあの摺り足? …言われてみれば、その後に見えなくも無いが…四足歩行ドラゴンが摺り足…?

 

 

「あんまり真面目に受け取るな。そんな気がしたってだけだ。…で、仮にこっちに真っ直ぐ進んで飛んだとしたら…この先には、何も無いな」

 

 

 メゼポルタ広場も無いな。何か餌でも見つけたのか、それとも住処に帰る事に………ん? 餌? ターゲット? 俺じゃないとすると……ミキ!

 ヤバイ、あっちのメゼポルタ広場が危ないかもしれん!

 

 

「…何だってんだ、一体?」

 

 

 お前がイナガミとやらを探してるように、俺にも色々因縁があるんだよ! すまんが、もうちょっと付き合ってくれ! 3軒隣のメゼポルタ広場まで突っ切るぞ、鬼疾風使うから手ェ掴むからな!

 

 

「ちょっ、おい!?」

 

 

 返事も聞かず、レイラの腕を鷲掴みにして走り出す。

 考えてみれば、真っ先に確認しておくべき事だった! もしも奴が同族を探しているなら、俺かミキかのどちらかを追う。俺にカチ合わないって事は、ミキに狙いを定めたって事かも…!

 

 最悪、メゼポルタ広場が一つ滅びてもミキを逃がす覚悟を決める。

 

 

 

 

 

 が、到着した広場は平和なものだった。いつも通り、ハンターで賑わっている。

 …空振りか?

 

 

「…おい、いつまで掴んでるんだ。ったく…。何だ、ここに何かあるのか?」

 

 

 あるじゃなくて、居るんだ。ミラボレアスモドキのターゲットが、ここに居る知人かもしれん。もうアラガミ化も解けてる頃合いだと思うが…。

 …とにかく会いに行ってみるか。パンツァー猟団の猟団部屋は、確か広場の外れの方だったな。新入りはいい場所にありつけないって、アンズ嬢ちゃんがボヤいていたのを覚えている。

 

 

「猟団、ねぇ…。アタシには縁が無いもんだな。ずっとソロでやってきたし」

 

 

 そういうハンターも珍しくないわな。ま、結構いいもんだぞ。個々の力が足りなくても、出来る事を合わせていけば選択肢は増える。

 …何より、祭りに参加できるからな! 俺、まだした事ないけど。

 

 

「ああ、入魂祭って奴か。随分と盛り上がるらしいが、アタシもちょっと興味あるな。参加する気はないけど。…ここが猟団部屋って奴か…」

 

 

 パンツァー猟団の部屋に到着し、面会を請う。何だかんだで顔見知りだし、ミキをしっかりフロンティアから連れ帰ってきて、それなりの恩も売ってる(それ以上にややこしくしていると言われると反論の仕様も無いが)から、あっさり面会できるだろうと思っていた。ミキも俺に好意的と言うかパパ扱いというか、普通にパパ扱いならちょっとヤバイくらいに親密な関係だし。そして実際、あっさり会えたんだが…。

 

 ……あ、あのー……確か、ミミ…だっけ? 何をブツブツ言っておるのん?

 

 

「……いや…何でもない……シハノマルワタシハノマルワタシハノマルワタシハノ……」

 

「…何だこいつ…」

 

 

 猟団の客室に案内した後、お茶を出してフラフラと歩いて行ってしまった。茶は苦いけど、茶柱は5本立ってた。

 前に会った時は、もっとまともだったぞ。ちょっと攻撃的な節はあったけど。

 なんつぅか………猟団が妙な雰囲気だな。皆俯いて、偶に頭を自分でガンガン殴ってるのも居るし。顔を傷つけないのは嗜みかな。

 

 

「猟団ってのは、いつから精神病院になったんだ? …猟団に入りたがる奴らの気がしれないぜ…」

 

 

 普通はこうじゃねーんだよ。と言うか、まさかミキまでこうなのか? 娘みたいな子がこのありさまとかちょっと見過ごせんな。

 ミキ……はまだ来ないな。本当に何かあったのか? アキャマ殿でも通りかかってくれないかな。こう、髪の毛モジャモジャの女の子なんだけど。

 

 

「…あいつか?」

 

 

 …タイムリー。おい、アキャマ殿アキャマ殿。こりゃ一体何事だ。この猟団に何が起こった。と言うかミキは無事なのか?

 

 

「ミキ殿…ミキ殿ぉぉぉ…! ああ、自分は自分は……! なぜあのような事をッ…! 合わせる顔がないでありますぅぅぅぅぅ……」

 

「…? よく分からんが、こいつ…か、或いはこいつらが、そのミキって奴に寄ってたかって何かしたってのか?」

 

 

 そんな子達じゃないと思うぞ。絆の強さで言えば、俺が見てきた中でも有数のもんだ。何せ、この前出現したアカムトルムに襲われて、誰一人パニックになる事なく、全員で生きて帰ったくらいだし。まぁアカムトルム自体を斬ったのは俺だけど、氷炎結界呪法の塔を壊したのは腹括って隠密したこいつらだったんだよなぁ…。将来有望すぎるわ。

 

 

「あれ、こいつらとお前だったのか…。んじゃ、何でこうなってると?」

 

 

 さぁ…あ、ミキの気配。………アラガミ状態?

 

 

「パパ、お待たせ!」

 

 

 眩しいッ!

 

 

「なんか禍々しい眩しさが!?」

 

 

 微妙に感想が違うけど、バン、と扉を開けて「ここがパパのいる部屋ね!」と言わんばかりに突入してきたミキの満面の笑みに目を逸らす。

 と言うか、マジでキラキラ状態なんですけどこの娘(肉体関係あり)。

 

 

「…? パパ、どうしたの?」

 

 

 いや、ちょっとミキが可愛すぎて生きるのが辛くてな。逆に嬉しいけど、これがM心…?

 それはともかく、なんか妙なモンスターに襲われたりしてないか? シャレにならんのがこの辺をうろついてるっぽくて、心配で顔を見に来たんだが。

 

 

「そうだったんだ。大丈夫だよ。最近は、専ら訓練所で基礎からやり直してて、狩場には出てないし」

 

 

 狩場じゃなくてもあっちから襲来してきそうでなぁ…。

 しかし、そうならこの惨状は何ぞ? 

 

 

「惨状って?」

 

「いやだから…どう見ても皆揃って落ち込んでるだろ。むしろお前の輝かんばかりの笑みが不気味に思えてくるくらいに」

 

「失礼な…。……? えっと、パパ、この人は?」

 

 

 新米レジェンドラスタのレイラさんだ。さっき言ったシャレにならん奴とやり合うのに、手助けを申し出てくれた。ちなみに例の(つまり肉欲の)関係は無い。

 

 

「あ、そうなんだ…。パパが迷惑かけてます」

 

「あー……なんだその、そんな迷惑はかけられてないぞ。…すまん、こういう…シャコウジレイ、ってのか? そういうのとは縁が無い生活を送って来たんで…。と言うかパパってお前まさか子持ち…」

 

 

 流石に血は繋がってねーよ。

 

 

「お構いなく。私もそういうの、あんまり得意じゃないんで…。えーと、それで、何でしたっけ? みんなに何があったのか?」

 

 

 ああ。ミミだって妙な呟きを延々と繰り返してたしアキャマ殿だって錯乱してるし。ナニコレ、SAN値直葬なの? 集団ヒステリーやB級ホラーパニックの前兆なの?

 

 

「よく分からないけど……皆には何事もなかったと思うよ? どっちかと言うと、私があったと言うか、皆は何かした方と言うか、その結果コレと言うか…」

 

 

 ……惨状自体は認識してんのな…。

 で? 結局何よ? 前に見てから、一週間も経ってないぞ。確かあの時は、戻ってきたミキの変わりように驚いて、どうやったらいきなりそんなに育つのか一斉に問い詰められてたと思うが。

 

 

 

「あー……そのー…」

 

「? ああ、私が聞いたらまずい話なら、席を外そうか?」

 

「お願いします…。流石にこれを他人に聞かせるのは、色々と問題があるんで」

 

 

 特に深入りするつもりもなかったのか、あっさりと部屋の外に出る。その辺をちょっとブラついてくる、と言っていたので、猟団部屋の外まで行くのだろう。…まぁ、辛気臭いもんな…。

 ミキ、それで何があった? アラガミ化も、もう解けてる頃だと思ってたんだが。

 

 

「うん、なんていうか……猟団に戻ってきて、皆に集られてたのは知ってるよね? 何でいきなり大きくなってるのか、って」

 

 

 ああ、そこまでは見てた。当然の反応ではあるな。ちゃんと信じてもらえたようで何よりだが。

 

 

「おっぱいが本物なのかー、とかウェスト細いー、とか色々されてる内に、みんな段々ヘンな気分になってきちゃったみたいで」

 

 

 おい、まさか…。

 

 

「お風呂あがりにジャレてる時に……みんなに抱き着かれて、そのまま」

 

 

 百合ん百合んに突入しちゃった訳か。

 

 

「いーや、ミキのアレは違う! 私らがやらかしちゃったのは確かだけど、ミキのアレはなんか違う!」

 

 

 おや、アンズ嬢ちゃん。……お前もミキを襲った訳か。

 

 

「それについては釈明の余地も無いけど、アンタだってミキに手を出して…いやそれは置いといて。ミキを襲っておいてなんだけど、あれは百合じゃない。なんていうか………もっとねちっこい…そう、レズだ!」

 

「そこ主張するんですか団長…」

 

「主張もするよ! 私らに体を拘束されても平然としてるし、むしろなんか淫靡に笑うし、いつの間にか抜け出して、逆に女王様みたいに私らを傅かせてねっちょりと……ああぁぁ…」

 

 

 ……………。

 

 

「………てへ」

 

 

 デコピンッ!

 

 

「あうっ!」

 

 

 血の繋がりもないのに、血筋を感じさせるような事しやがって…。と言うか、その時にエネルギーを吸い取ってアラガミ化…或いはバースト状態の燃料にしたな。素でオカルト版真言立川流みたいな事してやがる…。

 つーかコレ、多分体に精神が引っ張られてるな。思考回路がエロに全振りされてると言うか、インモラルな事にも躊躇いが無くなっている。

 最後までヤッちゃった?

 

 

「純潔は無事だったよ。襲い掛かった私らが悪いんだけどさ…。ていうか、ソレ用の道具があったら、きっと今頃…」

 

「それは大丈夫だと思いますよ。…まぁ、どっちにしろ、猟団メンバー全員が一晩でこうなっちゃった訳で…」

 

 

 心ならずも、女同士に足を突っ込んで、自分は同性愛者じゃないと言い聞かせてるのか。

 正直、無理もないとは思うけどなー。アラガミ状態のミキってフェロモンむんむんで、その辺を歩くだけで襲われるんじゃないかって真面目に心配だったし。

 

 と言うか、変化の切っ掛けが切っ掛けだったからな…。俺とキヨさんのナニ見て変化して、そういう事に特化した体になってる…。そりゃウブなネンネが妙な気分になったり、くっついただけで媚薬飲んだような状態になっても無理ねぇわ。

 

 

「…やっぱり普通の現象じゃなかったか。触り合ってる間に変な気分や雰囲気になって来た、って事は時々あるし、狩りで昂った後に…って話は聞いた事があるけど、皆が一斉にだもんね」

 

 

 フェロモンって基本ニオイだし、毒や鱗粉による状態異常と考えれば、ハンターなら無効化できるんじゃないか? 俺は試した事ないから、保証できんけど。試す気もないけど。むしろ自分からかかりに行くけど。

 

 

「パパはかからなくても、常時状態異常だよね!」

 

 

 お前がゆーな、ムッスメ。今現在、その状態異常を振りまいてるのはお前だ。

 と言うかアキャマ殿とか大丈夫か? あの子がミキに何かしたとしたら、切腹くらいしそうなもんだが。

 

 

「別に、私はそんなに嫌な事されてないんだけどね。最初は押し倒されたけど、結局みんなすぐに大人しくなって、私の言う事ちゃんと聞いてくれたし」

 

 

 あー…奴隷を侍らせてる女王様的な? 或いはペット? アキャマ殿のバター犬とか似合いそうだな。

 

 

「…足を組んで座ったミキの爪先を舐めてたのは覚えてる。膝の上でニャンコ可愛がりされてたのが居たけど、そっちが誰だったかは覚えてない。指先一つでビクンビクンさせられて、それどころじゃなかったし」

 

 

 …素質たっぷりですこと。アラガミ化のおかげで、全身が性器と言うか大人のオモチャ状態だもんなぁ…。もっとも、このオモチャは意思を持っていて、大人の方をオモチャにしようとするようだが。

 

 

「やだなー、パパ以外にそんな事しないよ。今回のは、皆が私をオモチャにして遊んだら、気持ちよすぎて自滅しちゃったって事じゃない?」

 

「実家に戻る前の、ちょっと引っ込み思案で常識的なミキはどこへッ…!」

 

 

 家族と和解した切っ掛けが切っ掛けだったし、こっち方面に振り切っちまったんだろう。二日目の夜なんぞ、俺と一緒に玩具使って母親を抉ってたし。マザー〇ァッカーだよコイツ。

 とっくに察してると思うが、俺が大人にしちゃった。色んな意味でぶっ飛んだ状況で。

 

 

「とっくに分かってるよ…。まぁ、パパって呼んでても血縁者じゃないし、ミキ本人が幸せなら何も言わないけどさ…。私らだってやらかしたんだし。しかも、ミキのお母さんって事は、領主様って事で………そっち方面にはノータッチにするよ。巻き込まれるのはゴメンだ」

 

 

 それがいい。

 で、話を戻すが、ミキ。最近、何かに見られたり狙われたりしてる覚えはないか? 人間じゃなくてモンスター…いや、人間も含めてか。

 

 

「? 特にないけど……何かあったの?」

 

 

 とんでもないモンスターが、近くをウロついてる可能性がある。そいつは…まだ確証はないが、俺とお前に関係がある奴だ。

 俺の考えが正しければ、そいつはアラガミの一種だと思う。

 

 

「アラガミって、ミキの体が変化しようとしている奴? でもそれ、出現するには特殊な条件がそろわないといけなくて、それが何十年も先って言ってなかった?」

 

 

 そうだな。俺の知らない条件があるのか、それともずっと前に出現したヤツの生き残りか。俺が言ってた事が全くの出鱈目、だったのかもしれん。

 アラガミは特殊なモンスターだと思ってくれればいい。同じアラガミ以外の攻撃は通さない。…全くの効果なしって訳じゃないと思うけどな。

 (ミキがウェストライブから持ち出したかもしれないナニカが原因で出現した…と言うのは伝えない方がいいな。確信は無いし、余計な責任背負いこみそうだ)

 

 あっちにしてみりゃ、数少ない同族だ。もしかしたら接触しようとしてくるかもしれん。

 

 

「…友好的に?」

 

 

 望みは薄いな。もしそうなったら、何でもいいからとにかく逃げろ。G級昇格直後の、叩き上げのハンターですら重傷を負った。お前らじゃまず生き残れん。この前のウカムトルム以上のバケモノだと思えよ。

 …話したい事はそれだけだ。いや、親子の触れ合いがしたくないって訳じゃないんだが、レイラに付き合ってもらってそいつを探してるんでな。

 時間を取って貰っておいて悪いが、俺はもう行くよ。

 

 

「うん。またね、パパ。……あ、そうだ、ちょっと来て」

 

 

 ミキは俺を部屋の隅っこに引っ張り込むと、屈ませて耳元で囁くように話す。鼻息がくすぐったい。変な気分になってくるが、これ確信犯かな。

 

 

「あのね…このまま皆、パパにプレゼントする、おちんぽケースにしちゃうから。優しく扱ってあげてね?」

 

 

 ……確信犯だな。体が元に戻った時に、自分の行動を顧みてショックを受けなきゃいいんだが。

 おっそろしい事を言い出したムッスメを止める勇気も、その気もなく、俺は猟団部屋を後にした。

 

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