※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

296 / 611
自動車教習所に2輪の免許取る為に通ってるのですが……うおおお、日中から酒が飲めねぇぇぇ!
毎回18時以降からだから、それまでKENZENに過ごさねばならぬぅぅぅ!
飲めないのは拷問、拷問なんだ…。


それはそれとして、26日に仁王DLCキター!
悟りの道の次は何だ、神の道か? それとも羅刹か地獄か煉獄か。
悟りの道初期でまだウダウダやってます。
神宝が中々でない…。幸運を上げねば。


ちょっと書き溜めが多くなり過ぎたんで、投稿速度を少し早めようか考え中。
しかし、話は殆ど進んでいない。
ダレてるなぁ、今更ながら…。


第296話

PS4月

 

 

 考えるのが面倒になって、女に逃げた。まーいつもの事だが、もう開き直ってしまえ。

 いや女遊びに逃避する事じゃなくて、プリズムとレイラの件で。いつ会わせても話がややこしくなる結論しかないんだから、さっさとやってしまえ。後は野となれ山となれ。荒野になったところで、耕してしまえばいいのである。種撒けばいいのである。種(いつもの)。つまり恒例の手段で、争う気力を無くさせてしまえと。

 

 

 

 なんて考えていたら、予想外の所から話がややこしくなってきた。

 簡潔に言おう。イナガミ発見。イナガミ発見。イナガミ発見ッッ!!!!

 

 

 …いや、個体そのものじゃなくて、それっぽい現象があったって事なんだけども。

 話を持ってきたのは、トゥルートとイリス嬢ちゃんだった。別に何が悪かった訳じゃない。ただ只管にタイミングが悪かった。

 

 事の始まりは、夜の狩り(モンスター相手の方な)を済ませて、朝帰りしてきた時の事。帰り道に夜遊びしまくって、朝風呂に入るとメンバーと別れ、俺はその辺の飯屋に入ったんだが…ここにトゥルートとイリスの嬢ちゃんが居た。

 …消臭玉使って、臭いを消しておいてよかったなぁ…。嬢ちゃんにはちょっと刺激が強すぎると言うか、教育に悪いとトゥルートに叩き出されてしまう所だった。

 

 それはいいんだが、二人からちょっと相談を受けたのだ。

 壊滅し、今は復興の為の支援を受けている二人の村だが…この村の近くで、奇妙な現象が多発しているそうだ。もう既にこの時点で予想は付くだろうが、見た事も無い植物(トゥルート達にとってはな)が、村の近くでニョキニョキ育っているのだとか。

 

 特徴を聞くまでもなく、やっぱり竹でした。…これ、レイラに言ったら突撃していくかなー…なんて思ったら。

 

 

 既に背後に立っていた。オーラが今までとは段違いです。

 

 

 

「…で、場所は」

 

 

 アイ、コチラニナリマス。

 

 って、おいおいおい待て待て待て! いきなり一人で行く気か!?

 ていうか、なんでテメェこんなとこに居やがる!

 

 

「当たり前だ! 大体、いきなりなんかじゃない! アタシはずっと、その為に鍛えて、強くなって、準備してきたんだよ! ハンターってのは、いつも一人だ! 信用できない連中と組んだって、ロクな事にはなりゃしない! あの女の事を黙ってたお前もだ! あとここに居たのは朝飯の為だ!」

 

 

 止めようとする俺に裏拳叩き込んで、レイラはすっ飛んで行ってしまった。

 そして、更にややこしい事にだ。

 

 

「…正直、貴方が殴られるのを見て、少々スッとしましたが…今の方は?」

 

 

 NAZEそこで歌姫ッ!?

 

 

「新聞配達の途中だったのですが…」

 

 

 喉はどうした! ちゃんと寝てろよ!

 

 

「歌うのは厳しいですけど、話せる程度には回復しました。元より喉以外は健康ですし、洞窟の中で横たわってばかりだと太…もとい、また気が滅入ってしまいます。何より、お給金をいただいて仕事しているのですし、私が休んだら他の方に負担がかかってしまいます。動けない程でもないし、別の方に感染する訳でもないので、無理しない程度に働かないと」

 

 

 畜生、妙に真っ当な責任感とかプロ意識覚えやがって…。いい事だと思います。

 …い、いや待て、まだ、まだだ。

 

 確かに擦れ違いはしたが、まだ二人の関係に気付かれた訳では…!

 

 

「ところで……話を戻しますが、今の方は……よもや、レイラ…?」

 

 

 絶望。

 

 …いやいや、レイラってアレだろ、確か前に言ってた妹だろ。おめーの妹が、あんなに物理的にも精神的にも逞しすぎる程逞しく育つ訳ないじゃん。

 

 

「いえ、しかしあれは確かにレイラ…」

 

「よく分からんが、今のは確かにレジェンドラスタのレイ「お姉ちゃんハイあーん!」あーん…美味しいぞイリスゥゥゥゥ!」「うん、でもお姉ちゃんは今とっても不味かったよ空気読もうね?」「イリスゥゥゥゥ!?」

 

 

 ナイスだイリス嬢ちゃん! あとトゥルートは吊るしておこう。

 くそ、名前バレだけは避けられたが、レジェンドラスタなのは知られてしまった…時間の問題か?

 

 大体どこを見て妹さんだって判断してんのさ。聞いた話だと、何年も会ってないんだろ。面影なんて、人が思っている以上に早く失われ…。

 

 

「あの兎の耳のような装飾がついた帽子とか、意味ありげなのに全く意味の無い眼帯とか、上着だけ着こんでシャツも付けず、何故かネクタイだけ絞めている姿とか、子供の頃のままです」

 

 

 筋金入りかよあの恰好!

 

 

「たしか幼い頃は、何かの物まねをして里のアイルー達を従え、『めんどーごとはきらいなんだ…』とか『ふふふ…こわいきゃ』とか言っていたような」

 

 

 ああうん、狩場でも言ってたね似たようなセリフ。と言うかこわいきゃって何だよ。微妙に別ゲーのキャラが混じってるよ。

 

 

「舌を噛んでプルプル震えていた姿をよく覚えています。……貴方がそうまで慌てて誤魔化そうと言う事は……何かあるのですね? あの子が例え私の知っているレイラでないとしても、私や、歌や、トッツィ達に関わる、非常に危険で陰惨な何かがあるのですね?」

 

 

 あー…えーと…それはー……。

 

 

 …誤魔化せん。確信してやがる…。

 

 

 モービンに聞け!

 俺はあいつを追いかける!

 トゥルート、すまんが飯代払っといてくれー!

 

 

「待ちなさい! 待てと言っているのです!」

 

 

 元ブタ…もとい歌姫とは思えない、やたらと鋭く繰り出される手と、新聞配達で異様に鍛えられた脚力を持って、俺に追いすがるプリズム。

 だが、その程度ではまだまだハンターには追いつけぬわ!

 

 

 ……いや、思ったより足が速いし、それ以上に徐々に引き離されつつも30分以上全力疾走して追いかけてくる持久力と執念にはマジでビビッたけども。やっぱコイツ、レジェンドラスタの姉なんだなぁ…。

 

 

 

PS4月

 

 

 トゥルートの村(跡)まで、馬で約1日。良い馬を使い潰すつもりで走らせれば、もう少し短縮できるだろう。いくらレイラがレジェンドラスタと言っても、移動速度はそれくらいだ。

 対して、俺は鬼疾風を使い続ければ、大体半日ちょっとで村まで到着できる。

 

 馬より足が速い人間とか、どこの神話やねんと思いつつも、大急ぎで準備を整えて、飛び出して行ったレイラに追いつくには充分だろう…と思っていた。

 

 

 

 

 まさかナルガクルガを移動手段として使うとは…。

 

 

 いや、俺だってランポスを手名付けて馬代わりに使ってた事はあるけどね。

 と言っても、レイラの場合は自分でナルガクルガを手名付けた(或いは叩き伏せて舎弟にした)訳ではない。俺も初めて聞いたが、「ライダー」と呼ばれる人々だそうな。

 モンスターと絆を結び、共に生活すると言う、ハンターから見れば信じられない文化を持った人々。本来であれば、彼らは独自すぎる文化の為に、他の社会と切り離された土地で生活しており、フロンティアなんぞに出向いて来る筈がない…らしいのだが、どういう訳だか、丁度居合わせたらしい。

 しかもレイラとは顔見知りだとか。

 

 何でそんな人達と? ……はぁ、修行中のレイラが訪れた事があると。その時のよしみで、一番俊足のライダーがレイラの足になった…。

 

 

 タイミングが悪いよ!

 

 とか言ってる場合じゃない。流石にナルガクルガには追いつけない。かと言って、鬼疾風以上の移動手段は、現在は無い。

 …走って追いかけるしかないじゃないかぁぁぁ! 畜生やってやらぁぁぁぁ!!!!

 

 

 

PS4月

 

 

 まぁ、追いつける筈も無かったんですがね。アラガミモードになっても、一瞬の加速力ではナルガクルガを上回るが、途中でダウンして動けなくなるものな。

 必死こいて追いかけ続け、多分半日分くらい遅れてトゥルートの村(跡)まで到着した。

 レビディオラを撃退した時にも会った、復興作業中の村人に聞いてみると、やはりレイラは既に到着し、イナガミが居ると思しき場所へ向かってしまったようだ。

 

 と言うか、作業中の村人、避難させておこうよ…。近くに古龍が居るんだぞ。

 そう伝えると、村人達は作業を一端切り上げ、避難する事にしたようだ。ウェストライブからの支援もあり、別の場所に衣食住が保証されているらしい。

 

 村人達が何処に身を寄せているのか聞いておいて、レイラの元に急ぐ。

 

 

 

 間に合わなかった……と言いますか、最悪の事態にだけは間に合ったと言いますか。

 レイラを見つけた時、既に彼女はボロボロだった。死んでるんじゃないかと思うくらいには。

 

 ピクリとも動かないレイラに、ノシノシと近寄ってくる、獅子と龍を合体させたような古龍。あれがイナガミか…。

 多少の傷はあるようだが、致命傷には程遠い。…レイラでさえ、そこまでしかダメージを与えられなかったのか…。こりゃ逃げの一手だな。

 

 効くかどうかは博打だったが、閃光玉でイナガミの視界を遮り、鬼疾風でレイラを掻っ攫う。

 竹に紛れて逃げる…が、竹を隠れ場所として見るのは止めた方がよさそうだ。ここは奴のホームグラウンド。しかも竹を操る力があると言うのだから、完全な敵地である。 

 

 と言うか、さっきから竹がワサワサ蠢き、急激に伸びたり、逆に縮んだりしている。…完全に迷いの森だなコリャ。景色をアテにして道筋を決めるのは、止めた方がよさそうだ。太陽を目印にして直進するか。

 

 

「おい……なに…してる…」

 

 

 おう起きたか。そのまま寝てろ。

 

 

「はなせ…! アタシは…やつを……! ようやく…みつけた…んだ!」

 

 

 うっさい、そのザマで何が出来る。仇討ちでも狩りでも構いやしないが、乙った時の為の救助アイルーも連れてこなかったバカの言う事なんぞ聞かないよ。

 

 

「…そ……くそっ…くそっ、ちくしょう…! まけた……アタシは…なんのために、いままで…!」

 

 

 …泣いてるんだろう。見た所、完全に一方的でなかったとしても、いいようにあしらわれたのは想像に難くない。

 よりにもよって、レイラをそうまで叩き伏せられるイナガミの戦闘力は驚異的だな…。

 

 それはともかくとして、何とか逃げ切れたようだ。竹林を抜ける事が出来た。…抜けた先、或いは瞬間に奇襲があるのではないかと思って警戒したが、特に何も起こらず。

 …脅威とすら認識されていなかった、って事かね…。

 

 

 とりあえず、トゥルートの村の人達が身を寄せている所に行って、診療所に放り込む。

 タマフリを使って俺も治療するが、徐々に傷が塞がれていくのを見る診療所の方々の視線が痛かった。後でやり方を教えてくれと言われたが、時間が無いので無理っすね。

 

 

「っ……は…」

 

 

 あ、起きたか。…ここは診療所だ。

 おい動くな。酷い怪我なんだから。…暫くハンターとしての活動は止めておけよ。まぁ、ハンターボディなら、飯食って寝てれば一週間もせずに治ると思うけどな。

 

 …こら動くなっつってんだろ!

 

 

「離せ…あいつは…イナガミはどうなった…」

 

 

 どうもこうもない。レイラを掻っ攫って、さっさと逃げてきたんだよ。あの竹林から、動いちゃいない筈…ってだから動くな!

 そんな体でどうするつもりだ。再戦するにしても、体が治ってからにしろって。

 

 

 …ふぅ、静かになったか。落ち着いたんじゃなくて、体力が尽きたって感じだが。

 動く事すらできなくなったからか、レイラは俯いて小刻みに震えている。血が滲む程に拳を握りしめている…だからそういうの止めろ。

 

 

「…くそぅ……あいつを倒す為だけに、今までずっと…」

 

 

 あいつを…って、トキシの仇討ち相手本体だったのか? 同種族じゃなくて。

 

 

「ああ…。間違いなく、お師匠様とあの時戦ったイナガミだった…。なのに…なのに、アタシは……お師匠様…!」

 

 

 水滴が零れ落ちるのを、見ないフリをした。

 …どうしたものかな。

 

 考え込んでいると、レイラは涙でグチャグチャになった顔を上げ、俺を見据えた。

 

 

「……こんな事を言えた義理じゃないが、頼みがある」

 

 

 …何だ?

 

 

「こいつを」

 

 

 …穿龍棍? しかもコレ、レイラが愛用してる奴じゃないか。これを差し出して、どうしろって?

 

 

「…恥を忍んで、頼む…! アタシじゃ、あのイナガミには勝てない…。アタシに代わって、アタシのこの穿龍棍で、あのイナガミを倒してくれ…。お師匠様の仇を…!」

 

 

 

 

 

 

 

 え、無理。

 

 

「……………」

 

 

 いやそんな顔されても…。

 俺、穿龍棍の扱いにかけても、ハンターとしての単体戦闘力でもお前より二回りくらい下よ? レイラで勝てなかった相手に、そんな俺が挑んでも結果なんぞ見えてるだろうが。

 今から特訓するにしても、お前が全回復する方が確実に早いぞ。

 

 苦渋の決断で俺に頼んだのは分かるが、理論的にも実力的にも無理がある。

 

 

「だったら…だったらどうしろって言うんだ!? お師匠様の仇が、ようやく手の届くところに居るんだ! このまま諦めろって言うのかよ!」

 

「それは簡単な問題だよ、レイラ」

 

 

 何奴……って、エドワードさん? とティアラと……プリズム!?

 おいおい、何でこのタイミングでここに…。

 

 

「レイラ…。話は全て、モービンから聞きました。貴方が私に向ける怒りは、尤もだと思います。殴られようと罵られようと、全て受け止めようと思って来たのですが……まずは体を治しなさい」

 

「……ッ!」

 

 

 タイミングがいいのか悪いのか…。今のレイラの頭の中はグチャグチャだろう。仇のイナガミに負け、倒す手段も見つからず、そこへやってきた全ての元凶ともいえる人物。しかし殴り掛かる事もできやしない。

 レイラが動くに動けない状態なので、刃傷沙汰に発展しないのだけが救いかな…。

 

 …姉妹の話はこれからしてもらうとして、エドワードさんとティアラは何故ここに?

 

 

「私は仕事の帰りに、この2人を見かけたから、暇潰しに寄ってみただけよ」

 

「レイラの事を知った歌姫がどうしても話がしたいとね…。全く、僕らも彼女達の関係には気を使っていたと言うのに、君はいつも暴走するね」

 

 

 考えるだけ無駄、気を遣うしかしないのは何もしてないのと同じ、という結論に達しまして。

 

 

「それも一つの真理ではあるかもね…。ともかく、歌姫から『今すぐレイラの元に向かいたい』と依頼を受けてね。レジェンドラスタとしての仕事とは少し違うが、引き受けたんだよ。…相当な剣幕で飛び出して行った、と言うのも気になったし」

 

 

 …ひょっとして、イナガミの情報も既に掴んでました?

 

 

「この近くに、場違いな竹林が出来た、という話は聞いていたよ。……さて、レイラ。歌姫との話の最中に割り込むが、少しいいかね」

 

「…なんだよ」

 

「どうしろと言うのだ、と君は言ったね。イナガミを倒すのは、確かに彼では厳しいだろう。……だが、彼はそれを可能とする手段を持っている。いや、彼だけではない。極一部の例外を除き、全てのハンターがその手段を持っていると言ってもいいだろう」

 

「どういう事だ!? どうすればアイツを倒せる! お師匠様の仇を討つには、何をすればいいんだ!」

 

 

 …あーはいはい、そういう事ね。それなら確かに倒せる可能性はあるけど。

 

 

「教えてやりなさい。どうやらトキシは、それだけは教えられなかったみたいね」

 

「お師匠様が…?」

 

「レイラ。貴方は、自分だけの力を頼ってここまで来た、と言っていたわね。確かにそれはハンターとしては必須の事だわ。フロンティアに限らず、自然は厳しく孤独な場所。だからこそ、誰かに寄り添う前に、まず自分の足で立てるようにならなければいけないわ」

 

「トキシは本当に素晴らしいハンターだった。ただ一点…いや、二点を除けば、完璧とさえ言って差し支えなかっただろう。そして、困った事にその一点の欠点は、君に受け継がれてしまったようだ」

 

「お師匠様に……欠点?」

 

 

 

 ……レイラ、暫し沈黙。

 

 

 

「…割と沢山あったと思うが」

 

「そうでしたか…?」

 

「歌姫サンのは、蓼食う虫も好き好きよ…」

 

 

 

 まぁ、そりゃ人間だものね。

 戯言はともかくとして…その欠点を補えば、多分イナガミにも勝てるだろうね。勿論、苦戦は免れないけど。

 

 

「…聞かせてくれ。アタシは、どうすればいい?」

 

 

 ただ一言で済む。

 

 

 

 

 

 ひと狩り行こう『ぜ』。

 

 

 これだけさ。

 

 

「…はぁ? 何だそりゃ…。禅問答でもしたいのかよ…。そんなもんに付き合ってやれる気分も頭も無いぞ。もっとわかりやすく言え」

 

「私も分かりにくいと思うわ。洒落た言い回しだとは思うけど、レイラが理解できる訳ないじゃない」

 

 

 ティアラ、ちょっとレイラをディスってないか?

 

 話を戻すが、レイラ。お前がやってるのは、『ひと狩り行こう』だ。『ぜ』が無い。『そうだ 京都、行こう』…はここじゃ通じないか。

 自分ひとりで狩りに行くなら、『ひと狩り行こう』で終わりだよ。

 

 でもな、『ぜ』ってついたら、誰かに語り掛けてるって事だ。独りじゃない。誰かと一緒に狩りに行くんだ。

 

 

 一人で狩りに行く事を否定はしない。自分の力だけで切り抜けなきゃいけない場面や、そうしないと得られない力は確かにある。

 だけど、元々狩りってのは一人でやるもんじゃないんだよ。当たり前だろ。相手は人間なんかよりずっと強くてでっかいモンスターだ。わざわざ一人で戦うのは、自殺と同じだぜ。

 

 

「……それだけ…か?」

 

 

 ああ、それだけさ。それだけの事が、レイラ、お前は出来てない。

 実際に経験してるだろ。この前、ミラボレアスとやり合った時、勝てたのは何でだ?

 レイラだけの力じゃない。セラブレスだけでもない。増して俺の力だけでもない。ミキが集めてきた人達の援護があって、駆け付けたプリズムのバフとデバフを受けて、ようやく勝てた。

 3人がかりで、穿龍棍の奥義って奴を成功させたのだって覚えてるだろ。あの時、感じた事の無い手応えや充実感を感じてたんじゃないか?

 一緒に狩りをするってのは、そういう事だ。

 

 

 ただ頭数を揃えて殴り掛かるだけじゃない。レイラがイメージしてるのは、そこまでなんだろう。

 だから、仲間を増やす事も、頼る事も考えてない。

 

 

 

 

 連携をとって、役割分担して、次に何をするって声を掛け合って。

 それが『モンスターハンター』だ。

 

 

「…モービンは、あの方が最後に戦いに赴かれた時、一人で行かせてしまった事を嘆いていました。例え力が足りなくても、共に戦っていれば、違う結末があったのではないかと…」

 

「そう。それこそが、トキシの最大にして最悪の欠点だった。あまりに強すぎ、他のハンター達との隔絶した実力差の故に、常に一人で戦っていた。誰かを頼る事を知らなかった」

 

「それまで受け継がれた為に、レイラは他人を頼らず自分の力を高め続けたの。非常に腕の立つハンターになった代わりに、ハンターなら誰もが学ぶ戦い方を知る事ができなかった。だけど、嘆く事はないわ。これからその戦い方を学べば、地力で勝る貴方は、凄まじい成長を見せるでしょう」

 

 

 …と、ここまで色々言ったけど、いきなり方針を変えろってのも難しかろうし、すぐには信じられないだろう。

 とりあえず、リハビリがてらに、何か狩りに行こう『ぜ』。

 

 今までで苦戦したモンスターとか、狩ろうと思っても厳しかった奴とか、手間がかかり過ぎるからってあきらめてた事とかないか? 力を合わせる、集結させるって事の効果を体感しに行こう。

 

 

 

「………納得できた訳じゃないし…どうにも言い包められてる気もするが、分かった。だったら…一つ、頼みがある。こいつを見てくれ」

 

 

 何ぞ?

 

 

「壊れた穿龍棍…? コーレクラウフィーか」

 

「これは…よもや、あの方が愛用していた…」

 

「そうさ。お師匠様が最後まで使っていた穿龍棍さ。…お師匠様の亡骸は見つからなかったけど、これだけが残っていたんだ…。これを直すのを、手伝ってほしい。今までも素材を集めてはいたんだけど、自分の武器の強化を優先してた」

 

 

 ふむ…素材なんだっけ?

 

 

「覇種テオ・テスカトルとメラギナスの素材が主だね。しかし…これは酷いな…。一から作るのではなく、直す事に拘るなら、通常より多くの素材が必要になるかもしれない。元より、工房の親方をして『えげつない数の素材が必要』と言わしめた代物だ」

 

 

 まぁ、連携を学ぶ機会が多くなったと思えば…。

 これを直して、どうする気だ? 自分の穿龍棍はどうする。

 

 

「…アタシの穿龍棍は、アタシが使うさ。直してもらったお師匠様の穿龍棍は…お前に託す」

 

 

 俺!?

 

 

「アタシ以外じゃ、お前が一番使いこなせてる。…アタシが信用できる人間の中では、って話だけどな。アタシと一緒に、お師匠様の武器と、遺された防具を使って、あのイナガミを倒してほしいんだ。…本当は、防具もアタシが使うつもりだったんだけどね」

 

 

 装備固定か…。まぁ大丈夫だろ。伝説のハンターが使ってた装備だし、産廃って事は無い………ちょっと待て。

 その装備、男性用? 女性用?

 

 

「アタシが使うつもりだったんだから女性用だろう」

 

 

 …トキシはオカマだったのか!?

 

 

「「処すぞ」」

 

 

 ごめんなさい。つかプリズムまで声が怖いよ。

 

 

「ったく…。モノにもよるけど、職人に頼めば男性用・女性用は変更できるんだよ。お師匠様の私物に手を付けるのは躊躇われたけどな」

 

「知らないのも無理はないがね。装備の譲渡は基本的に禁じられている。基本的に、闘技場や訓練所向けのサービスさ」

 

 

 ふーん…ティアラ、知ってた?

 

 

「興味も無いわ。この私が誰かのお下がりを使うと思って?」

 

 

 そりゃそうか。

 さて…そんじゃ、とにもかくにもレイラが動けるようになるまで待たなくちゃな。その間の世話は…プリズム、任せていいか?

 

 

「ええ、勿論」

 

「ちょっ!」

 

 

 文句ゆーな。いや言ってもいいけど、面と向かい合って、お互いの言い分を頭ごなしに否定せずに、腰を落ち着けて言えよ。

 話す事も、言いたい事も全く通じ合ってないんだ。貯め込み続けりゃ、そりゃロクな事にならんさ。イメージの中の相手じゃなくて、実物に向かって言いたい事言ってみな。頭の中で罵り続けるより、よっぽどスッキリするだろうさ。

 

 

「それで決裂したら?」

 

 

 そん時はしょーがない。縁が切れた、繋ぐ事もなかったってだけでショ。距離を置いた方が上手く行く関係だってあるさ。

 大体、レイラは現在動けず、プリズムは話したいと思っていて、そんでお互い存在を知られてるんだ。どうやったって、同じ結果に辿り着くだろうよ。

 

 そんじゃ、一週間くらいしたら様子見にくるから、それまでに色々話し合っておくように。じゃーねー。

 

 

 

「やれやれ、強引な事だね…」

 

「とんだ無駄足だったわね。丁度いいわ、買い物に付き合いなさい」

 

 

 へーい。

 

 後ろでレイラがなんか騒いでたが、プリズム任せた。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。