いや~、不便極まりなかったっす。
レス返しもできないし、文献もロクに調べられない、動画も見れないニュースも見れない。
やっぱ執筆するなら、それなりの環境が必要ですね。
とりあえず書き溜めは結構できたので、投稿は続けられそうです。
EDF5とMHWにドハマりしなければね!
うーん、MHWは絶対延期すると思ったのになぁ…。
ベータテストの結果って、すぐには反映できないだろうに。
とりあえず、頂いた感想に返答をさせていただきます。
時間が無いので、ちょっとずつですけども…。
神逝月
今日も今日とて、極東をフラフラ歩き回る。前回は風呂と飯屋くらいしか行かなかったけど、思ったより色んな施設があるな。
ブラッド隊員は、思い思いに極東を探索している。…昨日は風呂に連れて行こうかと思ったけど、できなかったんだよな。今度は露天風呂がある所を探して誘ってみよう。
で、俺はと言うと、昨日の話でニート扱いだったのがちょっと傷ついたので、改めて雇ってもらえないかと、支部長に相談に行ったのだが。
「駄目だ」
…あの、せめて理由を。
「率直に言えば信用できん。かつて君は、私を裏切ったろう? …世界を滅ぼそうとした私を裏切っても、何の不思議もないが」
そりゃまぁ…元々、お互いに利用し合うだけの付き合いでしたし?
「これでも、中々厄介な立場に居るのでな。あまり爆弾を抱え込むような事はできん。ゴッドイーターとして君を扱うなら、ラケル女史が隠蔽した一般人への暴行が問題となる。ゴッドイーターではない『何か』として君を扱うなら、かつての君の所業…終末捕食発動への協力がネックとなる」
つまり、支部長とフェンリルにとって都合が悪い、と。
トカゲにシッポを切られた? 俺シッポ?
「そうなるな。……が、私とて全く話の分からん男でもない。君を雇う事はできんが、その真の理由について教えてやろう」
…真の…理由? トカゲのシッポ切りが建前だと?
「うむ。まーなんだ、それを教える事が、私を裏切った君への意趣返しにもなるかと思ってな」
急に口調が軽くなりましたな、支部長。その口調でソーマとも話してやったらどうです?
「シオ君とは普通に話せているから問題ない。あと、いい加減に息子とくっつけたいから知恵を貸したまえ。…とにかく、君を雇えない真の理由だが…………女は怖い、と言う事だ」
…女? 今、現状で関係がある女っつーたら、レアとアリサだが?
は? 放置しておくとまた月か別の世界に行ってしまいそうだから、何もさせない? まず経済力から削る?
……どうやら、二人が計画した俺を監禁するプランは、未だに蠢いているらしい。
しかし、あの二人のヒモになれとゆーなら、悦んでなってやろうではないか。
…とは行かないよなぁ。イヅチが来るだろうしよぉ…。
……ああでも、あの二人がそうしろっつーなら……いやしかし…。
神逝月
どうにも、アリサとレアに対して、今までとは違う感覚がある。よーな気がする。
多少嫌な事でも、あの二人のする事なら受け入れてしまいそうな。具体的には、「ハンター止めろ」と言われたら、割と真面目に悩むレベル。
今まで通りに好きだよ? 俺なりに、だけど。…それが所有欲から来る物であっても、愛おしいと思うし、孕ませたいと思うし、幸せそうな顔を見ると、なんかこう…満たされる。
でも、その他にもなんかあるような気がするんだよ。…………考えてみりゃ、ある意味特別なのかなぁ…。
今までずっと、ネンゴロになっては死別し、忘れられ、次は全く近付かなかったり、同じようにネンゴロになる機会があったりしたけど…もしも、GE2の時期から始まる現象が今回だけではないとすると、記憶や愛情、思い出を共有してくれる二人が現れた事になる。
…不思議な気分だ。処理しづらい感情が、湧き上がってくる程には。
自分でも分かる程度には、ムズカシイ顔して歩いていたら、意外な出会いがあった。
タケウチ社長…だったっけ? 一昨日ぶりですな。
「む…どうも。お元気そうで、何よりです…。…何やら…難しい顔をしているように見えましたが」
そうですか? …まぁ、確かに悩みっちゃ悩みでしたが、贅沢な悩みと言うか、幸せな悩みと言うか…。まぁ、深刻なモンじゃないですよ。
……気のせいかな、なんだかちょっと壁を感じるような…。いや元々そんなに親しい訳でもないし、目の前で同業者をフルボッコにしちゃったらしいし、無理もないかな。
「そうですか。……そう言えば…オーディションの審査員になったとか。どのような経緯で?」
支部長と榊博士から要請されて…としか言いようが。
前にもそちらさんのアイドル……確か、リンさんでしたか…に話しましたが、オーディションには目的があって、それの専門家が俺だったってだけです。
「…どのような目的、専門分野なのか、聞く事は…」
…言ってもいい部分なら、もう公開されてます。少なくとも、『第二の葦原ユノを探せ』の言葉に嘘は無いですよ。
「…そう、ですか。………。フェンリルが何故、突然このような企画を立ち上げたのか…疑問に思ってはいましたが」
ま、いきなりアイドルだもんなぁ…。
………あの、タケウチ社長、こっちから一つ聞いていいですか?
そもそも、何でこのご時世にアイドル会社なんてやってるんです? おかしいともバカバカしいとも思いませんが、単純に不思議なんですよ。
設ける手段なら、山のようにあるでしょ。…特に、この極東は金の生る木が山脈規模で群生してるようなもんですし。
「………ええ。確かに。この極東地区は、3年の間に大きく変わりました。ここでは珍しくなくなった…例えば果実などを持ち出すだけでも、相当な儲けになるでしょう。………ですが、『人はパンのみにて生きるにあらず』とも言います」
そりゃ、パンしか食わないんじゃ栄養に偏りが出ますからな。
「…そういった意味ではないと思いますが…。……問いかけに問いかけを返すようですが…貴方は、人が生きる為に最も重要なのは、何だと思いますか?」
図太さ。
「…………」
図々しさ、生き汚さ、狡猾さ、厚顔、バイタリティ。総じて言えば、活力ですかね? 俺の場合は精力と限りなく近い生態してますけど…。
「…ひょ、表現はともかく…私も、人が生きるのにおいて、最も重要なのは…活力だと思っています。3年前の……いえ、極東の外に出れば、今も続いている…明日どころか、その瞬間の腹を満たす事さえ満足にできない、滅びる寸前の世界…。その中を人々が生き延びられたのは…その活力があってこそです。苦境を乗り切り、より良い明日を掴み取ろうとする…その活力があって、それによって活動してきたからこそ……今の極東があるのだと思っています」
ふむ。一人一人が、より良い環境を作ろうとした結果、この緑に溢れた極東がある…と。一理ありますね……緑の出所はともかくとして…。
確かに、俺は種を渡して育て方を教えはしたけど、それ以上の事はやってない。目先の利益に囚われず、緑を、食い物を、より増やそう、広げようとしたのはGKNGを始めとした極東の人達。切っ掛けを捕らえ、実現させたのは間違いなく彼らである。
「そして…活力の元になるのは……『笑顔』です」
タケウチ社長は、無骨で表情筋に乏しい(言っちゃ悪いが、殺し屋と言われた方が納得できそうな)顔を、自分の指で動かして笑顔を作って見せた。
…心の底から、この持論を信じているのだろう。不格好な笑顔なのに、妙に明るく、愛嬌がある。
「嬉しい時…楽しい時…人は、笑います。例え辛い時でも…笑う事で、『負けるものか』と気合を入れ直す事ができます。何より……笑顔は…誰かに活力を与える事ができます。人は、自分が笑う事と…誰かを笑わせる事を求めて…生きているのです」
だから、アイドル?
「はい。多くの人達に…笑顔を振りまく、今の世界に何よりも必要な職業です。少なくとも…私はそう思っています」
……………。
「……あの、何か?」
いや…なんつーか、文句言ってる訳でも皮肉な訳でもないんだけど、もうタケウチ社長がアイドルになったら? と思って。
「…私…ですか? 私のような、不愛想な男など…。…………スカウトの途中、不審者扱いをされ、職務質問をされた事も何度もありますし」
お、おう…。いや、何か知らんけど、リンさん達みたいな普通のアイドルを差し置いて、事実上のトップアイドルみたいな扱いになる未来が見えた気がして。戯言っすわ。忘れてください。
まぁ…応援しますよ。オーディションで贔屓云々はともかくとして、いい理念だと思います。
俺達ゴッドイーターは……いや、今は違うけど……戦う事しか出来ませんから。極東じゃ飯もそこそこ食えるようになってきてるし、そうなりゃ今度は人生の楽しみを充実させる時期です。
頑張ってくださいな。
「…はい。ありがとうございます」
それだけ会話して、タケウチ社長とは離れた。…やっぱり微妙に警戒されてる気がする。さっきの持論は完全に本気で本心だったみたいだけど、まだちょっと壁が…。俺が離れた後、張っていた気が漏れたように、小さく溜息を吐いたのが聞こえた。
何だろな…。元々不愛想な人みたいだが、あまり人見知りするタイプじゃなさそうなんだが…。
むぅ、出来れば仲良くしたいもんだ。アイドルとお近づきに…って意味じゃなくて、単純に気に入った。いい人徳持ってるわ、あの人。
さて、経済的な拘束を狙っているアリサやレアへのオシオキを考えつつ、極東をフラフラ歩く。
ブラッド隊は、今日は総出で任務に出ている。事実上の極東デビューだ。
…疲れ果てて帰ってくるだろう。銭湯に連れてってやるか。
露天風呂がある銭湯を探して歩き回っていると、怒鳴り声が聞こえてきた。
喧嘩かな? と思って野次馬に行ったら、先日の……ペパロニ、だっけ? あの屋台の嬢ちゃんが、ツインテールの女の子に怒られている。
またロハで食材一掃セールしたのかな? と思って聞き耳を立ててみる…。
「だからお前は、何度言っても! 何度も何度も! 料理が好きなのはわかったから、せめてちゃんとした料金を貰えと!」
「勘弁っすドゥーチェ~!」
……またやったらしい。と言うか、そんなに何度もやってるのか。
そんなんで、よく店を続けてられるもんだ。経営的にみれば、売り上げを得られない上、食材の大量ロス(実際には使っていたとしても、金が取れてないんじゃね)。どんだけ損失が出るか、考えたくもない。
普通に考えれば、あの嬢ちゃんは責任問題で、即座に首チョンパになってもおかしくない。少なくとも、ああやって店を任せたままでいられる筈がない。と言うか、食材を確保する資金すら無くなって、店を出す事すらできなくなっちまう。
……ちょっと興味湧いたな。
「全く…。もうやっちゃったものは仕方ないから、ここまでにしておくけど…ホンットーに、これ以上は止めろよ? やったら怒るからな」
「はいっす…」
「それじゃ、私は練習に戻るから。屋台の片づけは、他の皆にも手伝ってもらえるように声をかけておくよ」
…説教を切り上げ、練習とやらに向かおうとするドゥーチェ。何だか慣れていると言うか、予定調和的にやってるっぽいな。と言うか、結局説教だけして、具体的な処罰は何も下していない。
どういうつもりなんだろうか…。
屋台から離れているドゥーチェの後を追い、どう声をかけたものかと悩んでいると、広場に出た。
そこには何人かの少年少女が屯しており、それぞれ手元で何か作業を行っている。……内職…かな?
「あ、ドゥーチェおかえりなさい! ペパロニはもういいんですか?」
「よくはないけど、いい。もう今日は店仕舞いだから、手伝いに行ってやってくれ」
「はーい。それじゃ……あれ、誰かいる」
あ、気付かれた。視線が一気に集中する。
「誰~? この空き地は、私達チーム「あんちお」のものだぞ~!」
「アンツィオだ、アンツィオ…。で、誰だ? この辺りでは見ない顔だけど」
名乗る程の者でもないんで、イエローベアと呼んでくれ。蜂蜜好きの奴な。…丁度無職だし。
名前はともかく、あっちの屋台の…ペパロニって嬢ちゃんに、美味い物食わせてもらったもんさ。
「ああ、ペパロニのお客さん?」
金払ってないんで、客と言えるかは微妙だけどね。
礼でもできればなーって考えてたんだが、そっちの…うん、そっちのドゥーチェとやらが怒ってるのが気になってさ。
ちゃんと対価を貰えって怒るのはよく分かるんだけど、あの嬢ちゃん、今まで何度もやってるんだろ? どうして監視もつけず、ペナルティも説教だけで終わらせてるのかなーって。
「ん? あぁ…まぁ、何だ。やっちゃったものは仕方ないし、監視をつけようにも、正直言ってウチの連中の頭とノリは、大体似たようなものなんで…」
目を逸らしながら言うドゥーチェ。何と言うか……本心を言ってる訳ではないんだが、事実を言ってる感じだな。相当に苦労しているらしい。
しかも理由になってない。
やるだけ損しか出ないのなら、止めてしまった方がまだマシだろうに。
「……言いたい事は分かるんだがな…。まぁ、ちょっと入れ。……? アンタの顔、どっかで見たような気が…」
そうか? 初対面…いや、先日食わせてもらった時にすれ違った程度だと思うぞ。
「ま、いいけど…。丁度、初めて聞く人の意見も欲しかったところだ。一曲聞いて行ってくれ」
? ? ?
「ほら、あれあれ。シンデレラオーディション! あれにドゥーチェが出るんだよ! 私らも揃って応援するんだ!」
ほう…。何だ、アイドルになりたいのか?
「それも無いとは言わないが、もっと大きな立場を手に入れる為だな。…変な意味じゃないぞ。私は……まぁ、こいつらを纏めてる立場にあるんだけど、もっと高い立場に立てれば、色んな事ができるだろ。そうすれば、こいつらに楽させてやる事だってできるからな」
へぇ…大したガキ大将だ。
と言うか、ドゥーチェって渾名?
「どっちかと言うと、愛称。本名はアンザイっていうらしいけど」
「ばらすな! せめてアンチョビと…」
「ガキ大将なんかじゃないわ! ドゥーチェは、今をときめく、あのGKNGの幹部なんですからね!」
「やめろって…私なんてまだ下っ端もいいとこだよ。そりゃ、こうやって人を集められるから、割と便利に使われてるって自覚はあるけど。じゃ、一曲行くぞ! 忌憚ない意見って奴を頼むな!」
そして始まる……なんだ、このテンポは多分どっかの軍歌か何かだと思うが。
小さなラジカセと、近くにいる数人の口笛やパーカッションによるバックミュージック。
味があると言えば味があるが……やっぱ、素人だなぁ。練習を重ねた素人だってのは分かるが。
だけど、詰まらなくはない。
「~~~~~!」
「「「「ドゥーチェ! ドゥーチェ! ドゥーチェ! ドゥーチェ!」」」」
すげぇ一体感。歌の技量を補って余りあるくらいに、周囲の観客…あんちおチームのノリがいい。
ただ、やっぱドゥーチェの技量はな…。ユノやプリズムの歌を知ってるから、ハードルが高くなりすぎてるのかなぁ…。
と言うか、ドゥーチェコールが凄すぎて、歌が半ば以上聞こえない。
しかし、あのオーディションには結構な人数の応募者が居た。そもそも、ガチ…と表現していいのかはともかく、本職のアイドルまで出場するのだ。言っちゃ悪いが、技量で言えば遠く及ばない。
やるなら、この一体感で勝負をかけるべきだろうが…。
そんな事を考えてると、隣に座っていた子が話しかけてきた。
「なぁなぁお兄さん、さっきペパロニの事気にしてたよね?」
ああ。正直に答えてくれそうにないから、諦めたけど。何かあるのか?
「んー、あれね、本当はドゥーチェも止めたくないんだよ。ペパロニの夢は、沢山の人に料理を食べてもらう事。それ以上に、私達や極東が、こんな生活ができるようになったのは、あの子のおかげだって思ってる」
…どういう事?
「まだ緑が少なくて、殆どご飯が食べられなかった頃から、ペパロニはああだったんだ。後先考えずに、腹が減ってる人に食べさせる。…そりゃ、私達のチームにとっては大損害かもしれないけど、他の人達はどうだと思う?」
3年前…。飢えて治安も最悪だったあの頃に、その所業…。……聖人かな? 飢えて死にそうな時に差し出されたパンは、満漢全席より価値があると言うが…。
と言うか、そんな真似を何度もしてたら…。
「うん、『恩返し』って言って助けてくれる人が物凄く居たよ。ペパロニは全然自覚してないし、理解もしてないみたいだけど。損害はあったけど、長い目で見れば大きすぎるくらいのリターンがあって、ペパロニのおかげで生きる気力が沸いてきたって人も沢山いる」
「実際、ここまで極東が復興したのって、そうやって働き始めた人が増えたから…って言われてるくらいだからね。止めようったって止められないんすよ」
そりゃ、今だって全員が、充分飯が食えてるとは言い切れないもんなぁ。無理に止めさせたら反感を買うし、人脈も途絶えかねない訳か。そりゃ怒りはしても止められんわなぁ…。
「ドゥーチェ個人としても、できれば続けさせてあげたいって思ってるしね。…だから、格安でもいいからちょっとでもお金を貰え、って何度も言ってるんだけど」
あの嬢ちゃんの事だから、「ちょっとしか貰わないんじゃ、何もないのと同じっすよ! いいから食べてってください!」とか言い出しそうだな。
しかし、ドゥーチェって慕われてるんだなぁ。ペパロニの嬢ちゃんだって、散々叱られてる筈なのに、反発もしてないみたいだし。
「そりゃ、私達のリーダーですもの。さっきも言ったけど、ドゥーチェは本当は『アンザイ』って名前だったんだよ。でも、孤児の私達の面倒を見ている間に、自分の名前も知らない子が増えて…その子の名前が、切っ掛けは分からないけど『カルパッチョ』になったのね」
おもっくそ飯の名前じゃねーか。
「そーね。それを気にしてたカルパッチョを励ます為に、自分から『アンチョビ』って名乗り始めて…それから、私達のチームでは、呼び名をご飯や調味料の名前にするルールができたの」
はぁ…たった一人の為に、名前まで変える…か。面倒見がいいってレベルじゃないな。この慕われようも納得だわ。
「~~~~………。ふぅ…ど、どうだった?」
ああ、楽しめたよ。 思わず俺もドゥーチェコールしちゃうくらいに。
ただ…忌憚のない意見、と言われたから言うが、やっぱ素人だな。歌詞も覚えきってないだろ。口籠った部分が、幾つかあった。
「む…。分かるか…。やっぱり、本来の歌詞が分からないのは痛いなぁ…」
つか、何でそんな曲を練習してるんだ。
「そりゃ、こうでもしないと勝ち目がないからに決まってる。聞いた話だと、本職まで出るらしいからな。聞き慣れた曲じゃ負けるのが確定してるから、こうして珍しい曲で勝負しようとしたんだが…」
ダメだったかなぁ、と落ち込むドゥーチェ。
んー、別に悪いとは言わないよ。ただ、審査員になるらしい極東支部の博士やら支部長やらは、何ヶ国語話せるか、数えるのも面倒だって連中だから、これで意表を付ける…という考えは捨てた方がいい。
「うぇ…」
本職も出場するって話だから、歌のテクニックでの勝負は最小限にすべきだろうな。
俺も素人目線だから、あまり確かな事は言えないけど……持ち味を生かせ、かな。
「持ち味っすか? ドゥーチェの持ち味……味……ドゥーチェ、ちょっと舐めてみていい? ペロペロしていい?」
「やめろバカ。私の持ち味って言うと……………」
チーム・アンツィオ。その結束かな。
さっきのドゥーチェコール、あれは絶対に活かすべきだ。言ってみれば、本職達にもそうそう居ないくらいの強烈で熱烈なファン、親衛隊がついてるようなもんだぞ。
多分、どの出場者よりも大きなアドバンテージを持てるだろうな。
「……そ、そういうものか?」
ああ、そういうもんだ。
特に、今回のオーディションは、歌の上手さだけを競うものじゃない。詳細は言えないが、『如何にして人の感情を強く動かすか』がカギになる。
この子達、応援に行くんだろ。初めて会った連中も、審査員も、纏めてドゥーチェコールに巻き込んでしまえ。
チーム・アンツィオの結束力とノリの良さが、何より強い味方になってくれると思うよ。
「いくら何でも、ファンタジーすぎると言うか、楽観的すぎる気もするけど…でも、それなら確かに勝ち目があるな! チーム・アンツィオの結束力は世界一だ!」
「ノリすぎて失敗する癖もね」
「それも、あんちおの味! …ところで、ペパロニがまだ戻ってこないね?」
「まだノリでバカな事やってるな! 止めてくる!」
休憩もそこそこに、ドゥーチェはどっか走って行った。
…大丈夫かな。追いかけた方がいいか? まぁ、話の通りなら、ペパロニの嬢ちゃんに妙な事をする奴は、周囲からタコ殴りの上にムラハチっぽいし、危険な気配も感じないから大丈夫かな。
まぁ…色々と収穫もあったな。リンさんやタケウチ社長に負けず劣らず、素直に応援したい子達だよ。