神戻月
ジュリウスは意外と冷静だった。「本人との合意の上なら、何も言わない」だそうだ。
鉄面皮とは裏腹に、手に持った紅茶が地震にでも合ってるのかってくらいに揺れていたが。
少なくとも、レアとアリサとの付き合いも続ける事で、完全に逆上して襲い掛かってくると思ってたんだが………なんかこう、逆に戦慄のあまりに冷静になってる感じが…。
ま、揉め事なく収まったなら、それでいいか。藪を突いて、ラヴィエンテみたいなのが出てきたら堪らない。ラヴィエンテが隠れられる藪ってどんな藪だよ。
しかし、R-18な方法での血の力覚醒については厳重に禁止された。
まーそうだよな。その方法が広まって、万が一にもそれが一般的な目覚め方だと知れてしまったら、ブラッド隊の名誉は地に落ちる。いや名誉どころか風紀とか色んな物がグッチャグチャになる。下手をすると、ジュリウスやギル、ロミオは俺に掘られて目覚めたなんて噂が流れかねない。せめて、俺→女→他の男で目覚めたって噂ならまだ分かるが。
どっちにしろ、ブラッド隊は乱交上等の超問題グループと認識されかねない。…ちなみに、乱交って本当は犯罪やねんで。この世界ではどうなのか、イマイチ分からんけど。
実際のところ、俺としてもこれ以上、この手段で血の力の使い手を増やすつもりはない。
ナナは自然と目覚めるだろう(もうその時期も近いようだ)し、力を目覚めさせようとレッスンしているアイドル達は……まぁ、あんな事になったからな。
志願どころか、レッスンに来るとすら思ってない。
「もしも、目覚めさせてほしいと迫られたら?」
それは抱く。喰う。
「……シエルとレア博士とアリサに伝えておくからな」
別に構わんぞ。もう半分諦めてるだろうし、シエルに至っては『何か問題でも?』で済ませそうだし。
で。
…あの、壁際で目を険しくしているタケウチ社長。ちょっといいすかね。
「…何でしょう」
何で皆して、レッスン受けに来てるのん?
「血の力を体得する為ですが」
それは分かりますが。血の力自体は本当にありますし、体得の為のちゃんとした訓練をつけてもいるから、ある程度手応えを感じている者も多かったでしょうよ。
…前回枕営業がどうのって話になりかけたし、信用信頼を損なうような事も言ったし、正直見放されたと思ってたんですが。
今日だって、レッスンに誰も来ない事を確認する為に来たようなもんだったし。
いや、そりゃあ全員が全員揃ってるんじゃなくて、見放してこなくなった人も居るみたいですが。
「……私としても、本意とは言えませんが……仮に本当にあのような方法で血の力に目覚める事が出来るとして…貴方はそれを要求した訳ではありません…。話題に出たのも、リンさんが問いかけたからです。その後も、誤魔化せなくなるまで『そのような方法は無い』…と主張していました」
チラッとリンを見ると申し訳なさそうな顔を少しだけして、そっぽを向いた。…まぁ、あんな展開になるなんて予測できんわな。
「私が決定したのではなく…彼女達は、自分の意思で…ここに居ます。理由は、様々でしょう…」
ふむ…。血の力の覚醒に手応えを感じていたから。異能の力を得てみたいから。黒蛛病患者の治療に効果があるなら。周囲に流されて。アイドルとして役に立ちそうだから…か。
「いずれにせよ、言える事は……彼女達も。私も。貴方の言葉一つで、行動方針を丸ごと変える程…軽くはないと言う事です。自身の考えを持ち…将来を見据え…腹を括って、選んだ道を歩いています。それが…最高の笑顔に繋がると信じて」
……………………………。
「今回のこれも…同じ事ではないでしょうか。以前、助けていただいた恩もあり……これまでの付き合いで育んだ、信用と信頼も…あります。その上で……貴方が非道な行いをする輩ではないと考え…ここに来ました」
……………見縊っていたのは俺の方、か…。
「ただ…女性関係については、信用しておりませんので…。分かっているだけでも、テレビに映っていたお二方、ブラッド隊の少女、そしてタカネさん…。極力、監視させていただきます」
タカネについては何もしてねーよ! 確かに産まれ育ちの関係で、ちょっと特別な相手扱いされてっけど!
あ、待てそういう意味じゃないタカネ…は? 「夜這えばそういう関係になるのですね?」じゃねーよ! どこで覚えたそんな言葉!
「………アイドルとは言え、好いた惚れたを制限できるとは思っていませんが……不実な真似だけはしないようお願いします。いざとなれば…我々にも相応の準備がありますので」
下手な事したら社会的にブッ殺される事くらい分かりますわ。テレビやラジオで一言言うだけで、上はフェンリルから下はスラムのガキンチョ共まで、大騒ぎになりそうだ…。
はぁ…。とりあえず、血の力のレッスンを始めます。完全に見放されたと思ってたから、嬉しいような予想外で戸惑っているような…。
俺に出来る返礼としては、これまで以上に真剣にレッスンをする事かな。
始める前に、一言くらい礼を言っておくべきか…?
そんな事を考えつつ、訓練場に入ろうとした時…ふと、タケウチ社長が小声で漏らした言葉が聞こえた。
「…好いた惚れたを制限してはいません…。私も命が惜しいので」
………ゑ゛?
神戻月
若干不穏な空気を予感しつつも、レッスンは順調に進んでいる。
最近では、「楽しそうだから」なんて理由でナナまで見物に来たり、時にはレッスンに混じったりする始末だ。
…明らかに空元気だけどな。パッと見じゃ分からないくらいにはポーカーフェイス(ナナの分際でナマイキな)だが、最近はいつも一緒に居るレアによると、ふとした拍子に表情が酷く陰るらしい。それはもう、普段が天真爛漫なだけに、その落差で目を疑わずにいられないくらいに。
自覚があるのかどうかはともかくとして、彼女のトラウマが顔を出しつつあるようだ。
メンタルケアとして、榊博士に見てもらおうかと思ったんだが……アレに頼むよりはレアだよなぁ…。ラケルてんてーに至っては、何を仕込まれるか分かったもんじゃないし。
ジュリウスとも相談し(ナナに妙なちょっかいを出さないよう、監視も兼ねていると思う)、ナナの扱いをどうするか色々考えている。
……まぁ、流石の優秀さって事なんだろうか。ジュリウスに、ナナの不調と、その原因であると思われるトラウマの情報を少し漏らしただけで、あっという間に情報を掻き集めてきた。
見事なものだと感心したが、当のジュリウスは逆に渋い顔。自分の部隊の隊員の事を把握しきれていなかったのは、自分の落ち度だと言う。
言ってる事は分からんでもないが、何でもかんでも人に話す訳じゃないんだしさ…。ギルの時だって、あの事情はそうそう踏み入っていいものじゃなかったろう。
特にナナは、自分でも…覚えていないようだし。
ロミオと一緒にジュリウスを励まし、納得はしてないもののまずはナナをどうにかしないと…と立ち直ったジュリウスだが、問題はその方針である。
ナナの過去から、彼女の血の力がどういう物なのかは予想がついた。アラガミを挑発し、呼び集めるもの。それにどう対処する?
「突き詰めれば、二つしかない。荒療治で乗り越えさせるか、穏やかに…そう、セラピーのように自分と向き合わせるか、だ」
「どっちも成功率が低いのが、やるせないな…」
そう言うなよロミオ…。何だかんだで、何とかなるとは思う。あの子は強かな子だ。酷いショックを受けて傷つくだろうが、血の力の制御自体は遠からずできるようになる。なると言うか、する。
しかしわかっちゃいたが、除隊させるとは言わないんだな。
「ブラッド隊は俺の家族のようなものだ。別れるなど考えた事も無い。そもそも、除隊させたところで何の意味がある。ナナの様子からして、アラガミと戦う事が無くなったとしても、あの力は遠からず発動するだろう。その時、一人でいる方が対処しやすいか、周囲に戦力がある方が対処しやすいか…考えなくても分かる事だ」
ただ、それを抑え込めるようになるまでに、何度か血の力の暴発は覚悟しなきゃならん。
乗り越えるまでの被害を、どれだけ減らせるか…か。
「……俺としては、ラケル先生にメンタルケアを頼もうと」
「おいジュリウス…」
「最後まで聞け。メンタルケアを頼もうと思っていたのだが…」
うん?
「以前から何度か言われていた事だが…少し疑念が沸いた。何故、ラケル先生はナナを放置していたんだ…? そっとしておく、時間を置く必要があるという理屈も分かる。しかし、ナナの母親が…亡くなって、マグノリアコンパスにナナを迎え入れた時、彼女を連れてきたのはラケル先生本人だ。…彼女をマグノリアコンパスに入れてから、接触らしい接触も、フォローらしい事もされた形跡が無い…」
「………なぁ、ジュリウス。リヴィって覚えてるか?」
「リヴィ……? ………いや…聞き覚えは…ある気がするが、思い出せん」
「孤児院で俺と友達になった、ラケル先生のお気に入りだって言われてた子だよ。でも、ジュリウスがラケル先生に引き取られてから、ラケル先生はリヴィにあまり構わなくなった。…それこそ、要らなくなった道具をその辺に放り出したみたいに」
「………それは」
「俺だって、その時は何も考えなかった。単にジュリウスの面倒を見るのが大変なんだろう、だから…って訳じゃないけど、俺がリヴィの友達になろうって考えて………いやそんな事考えてたっけ? とにかく、一人になってたからどんどん話しかけていった」
「一人……同年代の子達は」
「ラケル先生に『見放された』リヴィに構って、自分も同じようにされたくない…って、小声で聞こえた事があるよ。どこまでそれが本当だったのか、今となっては分からない。全部が先生の責任だなんて思っちゃいない。ただ……俺も、ナナをラケル先生に任せるのは反対だ」
「…………」
ジュリウスに、ラケルてんてーへの疑念が沸いた…か。そうなるように、ちょくちょく囁いてたんだし、これは狙い通りと言っていいのかね。
話を元に戻すぞ。残念ながら、ちゃんとしたセラピーを受けさせられる人なんていない。
人の心は、素手で弄るには複雑すぎる。ただ、余計な負担をかけないようにする事は絶対に必要だ。
いざと言う時に対処できるよう、アリサとシエルのどっちかがいつも一緒に行動するようにしている。もしも力が暴発したら、ナナを気絶させてさっさと撤退するように指示してある。
「気絶して止まるかが問題だな…。それだけで治まるなら、ナナの母親も死んでいそうにない」
「好き好んで子供を気絶させる母親はいないと思うけど…。まぁ、どうしようもなくなった時にはやるかな。子供を残して死ぬよりはマシだし。…………?」
ん? …………??
「どうした、二人とも。天井に何かあるのか」
「…ジュリウスは、何も感じなかったのか? 何かこう、テレパシー染みた何かを感じたような…」
俺も。テレパシーっつーか、何か呼ばれているような…誘惑されているような…。
ジュリウスが何も感じなかったって事は……(DTだからか? それとも不感症?)
「何か凄まじく不名誉な事を考えている気がするが、俺は特に何も感じなかったぞ。しかし、お前達二人が何かを感じ取ったとすると……何事も無いと言う楽観はすべきではないな」
「話してるコトがコトだし、ナナの力が早々に暴発したか? 今ナナと一緒に居るのは!?」
シエルだ。今日は外壁近辺で小型アラガミの掃除がをすると言ってた。
「ロミオは連絡を取って、何かわかったらすぐに知らせろ。お前は遊撃、俺は上に報告して防衛隊を動かしてくる!」
「了解!」
あいあい、一番楽なトコもらっちゃって悪いね。…なーんてフザけてられんな。
思ったよりも早く話が動いたと言うべきか。…逆に遅かったのかな? ここ最近、アイドル達にばっかり構ってて、GEストーリーは全然進んでなかったもんな…。むしろ、停滞していた状況がようやく動いたと見るべきか。
…その間に、まともな対策を打てなかった自分の無能が強調されるね。
後悔するのは後回しにして、大急ぎで神機を準備し、出撃する。アナグラ内で鬼疾風を使い、何人か跳ね飛ばしそうになったが未遂である。
アナグラの外に飛び出すと、ナナの位置は探すまでもなく明らかだった。
確かに、こう、呼びかけてくる感覚がある。……前回は、こんな感覚あったっけ? あの時も、どうするかあれこれ考えていた矢先に発動していたから、対処に手一杯でどんな感覚だったかは覚えてないなぁ…。
あと、ロミオがこの感覚に気付いて、ジュリウスが何も感じなかったのは…多分、ロミオの血の力の為だろう。あいつの能力は『対話』だからな。かけられた声を受け取れないんじゃ、文字通り話になるまい。本人は皮肉ってるけども。
俺は………アラガミだから、かなぁ? 一応俺もアラガミらしいし、ナナの能力の対象になってもおかしくはない。
ま、とにかく急ぐ。屋根の上を鬼疾風+パルクールで駆け抜け、あっという間に外壁に辿り着き、垂直走りで壁を越えた。
壁の上から見てみれば、少し離れた場所でシエルと、動きに精彩を欠くナナが小型アラガミの群れを相手にしていた。
何とか間に合ったか…。二人に近寄っていくヤクシャを、壁の上からの飛び降り攻撃で一発撃破。
こっちは引き受けるから、シエルはナナを防壁の中に連れてけ!
「はい!」
「でっ、でも…私が居たら、アラガミが…」
…もう思い出してるのか…。
アラガミが入ってこれるとしたら、防壁の出入り口の門からだけだ。そっちはジュリウスとロミオが防衛隊を動かしてるから、侵入される事は無い。
一番厄介なのは、ナナのその力で際限なくアラガミを集められる事だ。その力にも射程範囲がある筈だから、とにかくアラガミの群れから距離を取れ! アナグラの中に居ろ!
「っ……!」
シエル、ナナがゴネるようなら、気絶させてでも連れていけ」
『こちらロミオ。さっきジュリウスから伝達があった。受け入れ準備、防衛準備共に完了している。ナナはアナグラの中に、そういう力を遮断できる場所があるらしいから、そこで待機しろって』
「…ナナ、行きましょう」
「…………ごめん…」
まだフラついているナナは、シエルに背負われていった。
あの『ごめん』は、何に、誰に対してなんだろうな…。
ま、いいか。不謹慎だとは思うが、久しぶりの狩りの時間だ。相手が小型から中型ばっかりで手応えが無さそうだし、狩りっつーよりは蹂躙の時間になってしまいそうだが…愉しませてもらおうか。
神戻月
襲撃は特に問題なく撃退できた。退屈しのぎ程度の難易度はあったかな。と言うのは俺の感想に過ぎず、ゴッドイーターの多くは「かなりヤバかった」と漏らしていた。
ま、確かにちょっと変わったアラガミが出てたしな。俺も知らない種類の奴だ。
またMH世界のモンスターを真似ているのかと思ったが……うーん、どっちかと言うと、討鬼伝世界の鬼っぽい?
あの再生能力の高さはな…。部位破壊しても、ちょっと時間が経ったらまた元通りになりやがる。それで手古摺ってたんだよな、皆。ただ、再生できない部分があったり、再生したばかりの部分は非常に脆くて柔かったりと、脱皮したばかりのザリガニみたいな印象だった。
……ちなみに、部位破壊でしか取得できない素材を、何度でも簡単にぶっ壊して採取できると言う事で、一部のゴッドイーター達は「稼ぎ時だ」と大喜びしていたが。
ナナは現在、ゲームストーリー同様に以前にシオが匿われていた部屋で療養している。血の力の暴走こそ治まっているが、本人は空元気を出す気力すらなく、空気が淀んで見えるくらいに沈んでいる。
その状況でも腹は鳴るんだから、体は正直なものである。
廃人一歩手前状態のナナには、レアが付きっ切りで世話している。…前回ループではお母さん代わりになってたけど、現状を見ると動く事もできなくなったお婆ちゃんの介護状態である。
「さて…これからどうする気かね? ジュリウス君」
「まずは血の力を暴発させないよう、コントロールを叩き込む事になりますが…その間は、極力フライアで移動するつもりです。フライアの機動力であれば、アラガミが追いかけてきたとしても充分振り切れます」
「遠慮せずに、極東に居てもいいんだよ? 彼女の能力でアラガミが寄ってくるかもしれない…という情報は秘匿するし、ブラッドの立場が悪くなる事はない。襲撃だって日常茶飯事だしね」
「そう言っていただけると助かりますが、極東に負担を強いるのは本意ではありません」
なぁ、ジュリウス。フライアを動かすのはいいんだけど、四六時中走らせっぱなしになるんだよな。あれだけデカい物を動かすんだし、燃料費とかも馬鹿にならないんじゃないか?
「燃料だけでなく、食料その他の備蓄も充分だ。この辺はグレム局長の本領発揮だな。自動運行機能もあるから、有事の際以外は職員達も交代で休憩できる」
「では、血の力の教導役はどうするかね? すまないが、彼を持っていかれる訳にはいかない。アイドル達への教導の役目がある」
ん、俺?
「元より、彼はブラッド隊に所属している訳ではありません。契約上、極東に来るまでは教導役を買って出てもらいましたが、それも到着した時点で契約は終了となっています。本人の意思に委ねます」
んー……ナナの事は気になるが…。アイドル達も、ようやく感覚を掴み始めたみたいだし、ここで間を開けるのはよろしくないな。
正直、ナナを優先したいとは思うが。
「ふむ…。やはり、無理に出ていく事は無いんじゃないかい? 極東に滞在すれば、ナナ君を庇う事もできるし、経過観察もできる、彼も君達と離れないままにアイドル達へのレッスンも続けられる」
「ですが…」
「ナナ君の為にも、その方がいいと思う。環境の変化は良くも悪くもストレスがかかる。あまり無理に動かさない方がいい」
引っ越しした後の犬猫じゃあるまいし。……パッと見、確かにネコっぽいが。
「…確かにメンタルケアという点では、フライアよりも極東が圧倒的に優位…。食料、娯楽、更には自然…」
緑に癒されるかどうかは人と環境次第だと思うが。ま、フライアに乗ってる以上、事実上のカンヅメ状態だよなぁ…。部屋から出られないと言うか、家から出られないと言うか。
「ついでに言うと、仮に能力がまた暴発したとして、その状態のままフライアで走り回るのは、正直勧められない。フライアに大した損害はないと思うけど、問題はフライアを追いかけていくアラガミ達だ」
「…っ!? そうか、下手をするとアラガミの縄張りが…!」
「そう、大きく変動する可能性がある。その結果、何が起こるか分からない。一番ありそうなのは、混沌とした縄張り争いを勝ち残った、強靭なアラガミの進化…すなわち新種の出現だが、これは日常茶飯事だからいいとして」
「これまで、ある程度安定していた移動ルートに多大な影響が出る恐れがあるか…」
今後どうする、とあれこれ相談している俺達だが、なぁんか嫌な予感してんだよな…。
前回やゲームストーリーの通りに話が進むとすれば、少なくともあと1回はナナの力が暴発し、それにアラガミの襲撃が重なった。それが自分のせいだと感じたナナは、衝動的に囮になろうと飛び出して……何とか合流したブラッド隊と一緒にアラガミの群れを撃破。トラウマを乗り越え、なんか知らない内に力も制御できるようになってメデタシメデタシ…だったか。
…暴発までは許容範囲。トラウマ克服の経緯がイマイチよく分からんが、人の心なんてそんなもんだ。
前回は、レアの母性と無事がカギになったようだが……。
どうも気になるなぁ。前回のナナは、あんなに落ち込んでいただろうか。いや落ち込むのは分かるよ落ち込むのは。
母親の死因が自分だったって思い出せば、そりゃ自殺モノのトラウマだよ。
でもなー…前回ループ、あそこまでダメージ受けてたっけ? 何だかんだで、立って自分で歩いて飯食うくらいの気力はあったと思うんだが。
レアから誘われた、気分転換の散歩にだって付き合っていた。実際には、気分転換どころかアラガミの襲撃があった訳だけど。
気になる…。気になるな。凶兆の気配がする。
こういうちょっとした事を見逃したおかげで、今まで何度死んだ事か。
よし、もう一回ナナと話してくるか。話すっつーか、ベッドでボケッと天井を見上げてるナナを相手に、一方的にペラペラ喋るだけなんだが。
ゆ゛ る゛ さ゛ ん゛
感応種狩りじゃああぁぁぁぁ!!! 蛇みたいな感応種を探せぇぇぇぇ!!!!