※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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北斗が如く、とりあえずクリア。
勲章とかトロフィーとかまだまだ残ってますが、それは後回しにしよう。
ラストについても色々言いたい事があるが、まあそれも言っても仕方ない。
あれで生き残れるなら、3人で入ればいいじゃんよ…。
とりあえずは進撃やるぞー!
クッソ面倒くさい一日も終わってる(筈)だしな!

と思ったら、配達が遅くて初日はできなかったよ…。
下手にネットで予約するより、近場のゲーム店の方がいいなぁ。

というか、仕事がきつくて辛い…。
ミスしたり完全にできてなかったりする自分が悪いんだけど、何か言えば考えが足りない確認が足りないと怒られ、シフト調整しようにも一日の半分以上を作業とシフトの穴埋めに使わなければいけないからゆっくり考えることもできず、そもそも人が少なすぎ…。
もう耐性ができたはずですが、また帯状疱疹になりそうな気がしてきました。


ええい、巨人ぶっ殺してストレス発散じゃ!


第340話

神戻月

 

 

 しあいしゅーりょー。きた、みた、かった。

 何だかなぁ…本当に消化不良だよ。しかも俺だけ。

 

 …要するにアレだ、俺の予想以上にブラッド隊の怒りが強かったって事だろう。

 特にギルの血の力によるバフの効果が、アホみたいに高かった。それに加えて、ジュリウスの『統率』も、心なしか効果が高かった…バーストレベル4とかに片足突っ込んでるんじゃないかってくらいに。

 もっと酷かったのはアレだな、ロミオだ。

 お披露目した血の力を、予想以上に使いこなしてたよ。『手を上げろ!』の一喝で、ミズチメモドキが本当に手を上げ、無防備な状態になった瞬間に喉元に一撃。確実に相手を反応させることが出来るとは聞いていたが、意図的に完全に無防備にさせられるとは…。

 尤も、そこまで強い命令は、相当昂ってる時じゃないと出来ないっぽいけど。

 

 

 …俺? 予定通りに甲殻をぶっ壊したら、その時すでにミズチメモドキはリンチを受けてズタボロだった。

 とりあえず首跳ねておいたけど、どっちかと言うとあれは「介錯しもす」だったな。

 

 

「勝ったんだから、別にいいだろう。と言うか、他に気にする事があるだろう。ナナの事もそうだが、あのアラガミについて」

 

 

 ああ…。遠距離能力、察知できない能力も気になったが、いざ見つけてみたらあのアラガミ……2体で一体とはなぁ。

 あのアラガミ、姿形は大きさを除けば、ミズチメとほぼ同じだった。だが、アラガミの核が二つあったのだ。

 一つは頭に。もう一つは甲殻の中の尾に。

 

 

「核が二つある例は、今までにもない訳ではない。2体のアラガミが合体しているのもな」

 

 

 ああ…公式記録には残ってない筈だけど、リンドウさんが桃毛蟻に取り込まれてた時とか、ああいう状況か。

 しかし、ありゃどっちかっつーと…そういう感じじゃなくて…。

 

 

「…あぁ、何と言うか…『進化に失敗した』的な印象はあったな。殆ど何もさせずに倒してしまったから、あまり詳しい事は分からんが……頭と尾で、こう、別々の行動を取ろうとして、胴体が混乱してしまっているような…」

 

「あ、それ多分正解だわ。『対話』の反応が何か違和感あったような気がしたんだけど、それかぁ…」

 

「そういう情報はすぐに共有しろ! …そんな暇も無かったか。それに、『気がした』程度の不確かな情報をばらまくのも問題か」

 

 

 

 …うーむ、他の感応種と一線を画する能力を得た代償、なのか? 進化失敗した結果、予想外の能力を得た? でも姿形からして、ミズチメを意識した進化なのは確実…。何処からミズチメやMH世界のモンスターの情報を得たのかも気になるが。

 …一体だけだと、キャパシティ的に間に合わなかったから、強引に二体が合体して能力を実現させた? その代わりに、体が上手く機能しなかったのか…。

 

 考え込んでいると、扉を開けてシエルが入って来た。

 

 

「失礼します。…ナナさんの様態は、芳しくありません」

 

 

 

 やはり、か…。空気が一斉に沈むのが分かる。…いやシエル、お前のせいじゃないよ。

 内容が内容だ。どうやったってこんな空気になる。

 

 思い出を汚され、トラウマを散々抉られたナナ。その元凶こそ倒したものの、それでナナの心の傷が癒える訳ではない。

 「これでもう悪化はしない」という考えさえ、甘かったかもしれない。刻み込まれた自責の念と歪められた認識により、自前の悪夢を見るようになりそうだ。…歪められてない夢でも、悪夢には違いないしな。

 

 

「夢に侵入され、悪夢を見せられていた…と聞かせはしましたが、それ以上に自分のせいだという考えが根付いてしまっているようです」

 

「廃人一歩手前の状況から多少はマシになったものの、このままだとゴッドイーターとして復帰するどころか、自立して行動する事さえ難しい…か」

 

「これ、下手をすると血の力が自分を殺しにくるんじゃないか? そういう性質があるって、前に言ってたろう」

 

 

 ああ、血の力…霊力が自分に害を与えるアレな。ナナの状態だと、本当になっちまってもおかしくない。

 

 

「どうにか手はないか、レア博士に相談してみたんだが……夢には夢を、だそうだ」

 

「夢を見せるって事か? そりゃ、ナナのおふくろさんに会う事ができるとすれば、もうナナの夢の中じゃないと無理だろうが…」

 

「比喩表現じゃね? 夢中にさせるとか…ほら、丁度アイドルも居るんだし、『夢を見せる』って言うじゃん」

 

「俺も最初はロミオが言うように比喩だと思ったのだが、ギルが言う文字通りの意味で言っているらしい。と言う訳で、非常に不安を感じるが出番だ」

 

 

 

 

 

 …は? 俺? 

 いや一体何しろってのよ。そりゃ催眠術染みた事もできるけど、それで夢を操れってのは無茶な話だぞ。耳元で延々と囁いたところで、意図した通りの夢が見られる訳じゃない。

 

 

「もっと直接的な方法があるそうだ。かつて、お前はアリサさんの夢に入り込んだ事があるのだろう? 昏睡状態だった彼女を、それで目覚めさせたのだと聞いたが」

 

 

 ………あ。そう言えば、そんな事も…。あの時ってどうやったっけ。少なくとも意図してやった訳じゃない。

 霊力を通わし合った状態…オカルト版真言立川流で、ドロドロのヌップヌップにヤりまくった直後で、かつ隣で寝ているのであれば、R-18な夢を見せて失神した後もエロエロ責めにできるんだが…今のナナじゃなぁ。

 抱く気がしないし、精神的にも半ば死にかけてるから、この状態でヤッてもあまり効果がないように思う。生命力を増幅させあうオカルト版真言立川流だが、それは互いの力が一定以上あってこその話だ。

 

 

 ちょっと待て、あの時どうやったのか思い返してみるから。

 

 

 

「ああ…。つーか、お前のその力、本当に一体何なんだ。攻撃、回復、補助、病気の治療に加えて夢を見せるだの…出来ない事ないんじゃないか?」

 

 

 これでも結構縛りがあるんだよ。確かに、普通に比べて異様に多様性が高いけど…。

 ………あ、見つけた。こういう時、日記は重宝するね。えーと、肝心の方法だが………。

 

 

 

 

 

 

 あ゛

 

 

 

 

 

 

 …ナナにのっぺらミタマを送らなきゃならんのか…。最近じゃ意識すらしなくなってた、あのウザさが天元突破している連中を…。

 それこそ、ナナの精神が崩壊してしまうような気が……。

 

 

 うーむ…いや待て早まるな。のっぺらミタマの好きにさせずに、俺の意思で夢に潜り込むことが出来ればいいんだ。わざわざアレらに出番をやる事は無い。そしてそのまま歴史の闇に消えて行ってもらおう。もうちょっと正確に言うと、死に設定として忘れ去られてもらおう。

 

 

 

 

 …これに関しては、最後の手段として考えておいて…話は変わるが、あのミズチメモドキみたいな力を持った奴、また出てくるかな。

 

 

「どうだろ…。……あのさ、教官。これ、仲良くなった研究チームの人から教わった事なんだけど」

 

 

 またそーやって、すぐ人脈広げるなぁロミオは…。何ぞ?

 

 

「あのアラガミ、俺達と戦う前から、結構傷ついてたみたいなんだ。古い傷跡が沢山、切り傷から炎、氷とかの跡まで色々だったってさ」

 

「他のゴッドイーターと交戦した記録は無い…と言う事は、他のアラガミから受けた傷だな。恐らくは複数の種類から」

 

「集団で攻撃されたっぽいな。多分、『異物』として」

 

 

 …つまり?

 

 

「あのアラガミは、他のアラガミにとっても異常、異端だったんじゃないかって言ってた。普通のアラガミから見れば、一つの体に顔が二つあって、それぞれ別の人格が宿ってるようなものじゃないかな。こう言っちゃなんだけど、ある種のバケモノに見えたのかも…」

 

 

 ふむ…。異物を排除したがる習性は、人間もアラガミも変わらないか。

 仮にそうだったとした場合、奴は群れや住処を追い立てられたと?

 

 

「多分。仮に、あいつが持っていた能力が、そんな異常な体に進化した結果だったとしたら。或いは逆に、そんな体に変化した代償として得た力だったとしたら」

 

「アラガミにとっても、その変化リスクが非常に大きいか。自分の居場所や群れを失う覚悟で変化しなければならない。しかも、今回のように体一つに頭二つという状況になってしまえば、二つの頭に使われる体は混乱し、通常の生活を送る事すら難しくなるだろう。多くのアラガミに襲われた傷跡が残るのは、逃げる為の能力すら不十分にしか持てなかったという証明でもある」

 

 

 成程ねぇ…。今までの感応種とは、一線を画する力だ。それを得ようと思ったら、アラガミにも相応の対価が必要になってくるって訳か。

 それは確かに、そうそう沸いて出そうにはないな。あくまで推測止まりだってのが問題だけど。

 

 一応、あいつと接触した可能性がある、道中で見かけたアラガミは大体狩っておいたが……古傷をつけたアラガミまでは把握できんな。そいつらが余計な能力を持たない事を祈るしかない。

 

 

 

 

神戻月

 

 

 があああぁぁぁあヲノオオォォォォレエエエェエ!!!!!!

 

 やられた! 出し抜かれた! いや俺が間抜けだったと言うべきか!

 クソッ、ここのところ大人しくしてたと思ったら、思い出した途端にコレかよ!

 

 あぁ!? 何がって、そりゃのっぺらミタマだよ! 

 やってる事自体はグッドなんだよ、ナイスタイミングなんだよ、どうしようか悩んでた所にジャストミートなんだよ!

 

 でも視界の端で相変わらず煽ってくるのが、気が狂う程ウザイいんじゃああぁぁ!

 つーか、ナナの夢の中を走り回るんじゃねぇぇぇ!!!!!

 

 

 

 

 

 はぁ、一頻叫んで、ようやく落ち着いたぜ…。

 何を憤ってるかって? もう見当はついてると思うが…俺が止める暇もなく、のっぺら共がナナの夢と俺の夢を繋げやがったんだよ。どうやったんだ…。

 まぁ、やった事自体に文句はない。文句は言えない。純粋な善意なのかはともかくとして、ナナを立ち直らせる一助になるのは確かなんだから。

 

 本当に、こいつら一体何なんだろうなぁ…。俺の一部の癖して俺の意思をマルッと無視するようで、実際は助けになるような事もやってるし、ある意味では『こうしたい』という欲求を叶えるような方向に動く事も多いし。

 このクッソウザい生態さえなければ、万々歳なのになぁ…。

 

 こら走り回るな飛び回るな、ここはナナの夢の中だぞ!

 

 

 

 やれやれ…こうなったら、もう四の五の言わずに目的を果たしてさっさと現実に戻るか。そうすりゃ、のっぺら共もナナの夢から消える……消えるよな? いやでも何時だったか、のっぺらを送り付けて百日夢から目覚めさせた初穂が、暫く魘されていたような…。そもそも夢を繋げる事自体、のっぺらが勝手にやったんだから、その気になれば俺の制止なんぞ無視して乱入できるのでは?

 …考えてても仕方ないか。もうなるようになれっての。

 

 

 さて、そうと決めれば、後はこのナナの夢をどうするかだが…。呪いで見せられた夢が脳に焼き付いているのか、アリサから聞いたのと同じような光景が流れている。

 今流れている映像は、母親に連れられて各地を渡り歩いていた頃の記憶だろう。ただし…歪められた記憶と、正しく暖かい思い出の記憶が混濁しているようだった。

 

 幼いナナの手を引く母親の姿は、とても朧だ。その動作も、ナナと手を繋いで歩調を合わせて歩いているようでもあり、嫌がるナナを引きずって無理矢理連れ回しているようでもあり。

 何と言うか…複数の映像を、投射機か何かで同時に同じ場所に映し出しているようだ。

 

 今も、おでんパンを作っているらしき姿と、よくわからない合成食糧らしき物を渡して放置している二人の母親が映っている。

 …呪いによって記憶や夢を歪められ、徐々に辛く当たられた記憶が本当だと思い込み始めていたんだろう。本当の思い出と偽の思い出、板挟みの状態になったのは…間に合ったと言っていいのだろうか。

 

 

 それにしても、ナナの母親の姿形が見られないのはちょっと残念だなぁ。アリサをして、俺が「絶対に放っておかない母性マシマシの美人」だって言ってたから、ちょっと楽しみにしてたんだが。

 

 

 ともあれ、辛く当たる母親の方を消していけばどうにかなるかな? しかし、消すと言ったってどうしたものか。いかに酷い母親の姿をしているとは言え、ナナにとってはただ一人の肉親。それも、本当にクソみたいな親だったのではなく、優しく強く大好きだった母親なのだ。

 それを、目の前で…それこそアサシンブレードで一突きなんてやってみろ。それこそ、自分のせいで死んだ母親や、目の前で全滅してしまったゴッドイーター達の姿を想起しかねない。

 

 アリサの時はどうだったっけ…元凶になってた黒爺猫を散々ブチのめしていたら、黒爺猫が弱くなっていき、死んだ両親の姿も薄れていき、アリサも段々成長していったんだっけ。

 つまり………印象を変えろって事か。

 

 絶対的なトラウマだった黒爺猫を雑魚扱いする事で、夢の内容は変わっていった。

 ならば、今回は夢の内容を変える…ではなく戻す方向になるが…やる事は同じだ。

 

 

 『暖かな記憶の母親こそが本物だ』と、確信できればいい。それがあれば、心の傷は残るだろうが、ナナの心は生き返る。

 …あ、いや待てよ、どっちにしろ『自分のせいで母親が死んだ』って事を乗り越えさせないとイカンのか。それはまた追々考えるとして…。

 

 

 とりあえずは、辛く当たる母親の印象を消していきますか。そうだな、それこそ辛く当たる母親にのっぺらでも嗾けるか。

 或いは、優しい方の母親に話しかけ、嫌な親の方は徹底して無視するか。こうすれば、酷い母親は、俺から全く反応されない=実は幻で存在してない、となるのではないか?

 俺という追加要素を放り込む事で、記憶を少し歪め、代わりに補強する。

 

 ま、アレだな。「一週間前にホタテクリームコロッケ食べたの覚えてる?」と聞かれるとすぐに思い出せないが、「一週間前にこういう事があったんだけど、その時にホタテクリームコロッケ食べたの覚えてる?」と言われると、連想して思い出しやすくなるのと同じだわ。

 そして「あのコロッケ、実はカニクリームコロッケだったんだ」と囁き続ける事で、記憶をすり替える。

 

 

 分かりにくいって? フィーリングでどうにかしてくれ。

 

 

 さて、そんじゃ優しいお母さんの映像に話しかけてみるかな。ちゃんと反応してくれるといいけど…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちゃんと反応してくれた。しかもおでんパンくれた。これは……思い出の味ってやつか…。

 

 

 

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