神呑月
狂乱の一夜(ぶっちゃけ、そうでない日の方が珍しいが)が明け、ナナとリカは自室でオネム。まー体力使ったからな。
特にリカとか、2~3日は筋肉痛なんじゃないだろうか。
えーっと、昨日って結局何がどうなったんだっけ。二人との夜が激しすぎて、色々頭から吹っ飛んでしまった。
そうそう…血の力の体得者が出たんだよな。次に、フミカさんが親類の治療の為に俺に会いに来て…夜にはこっそり治療してしまった。誰にも気づかれないよう、情報が漏れないようにレアとアリサが細工している筈。
その後に、あの二人の誘惑だったっけ。
数えてみると少ないが、最後の1つが大きすぎたな。
あー、思いっきりヤりまくったなぁ…。
「それはいいんですけど、だったらどうして私は廊下で会うなり犯されたんでしょうか…全然嫌ではありませんけど」
歩くセックスがそこに居れば、そりゃセックスするだろ。まぁ、今回のはミナミが妙な表情してたから、おかしなことする前に手を打ったのもあるが。
「全く…ちゃんと体を洗ってから来ればいいのに…。おちんぽ様から、二人の体液の味がしましたよ? 私も呼んでくれたらよかったのに。…でもこうしておざなりに後始末させられるのも、なんだか興奮します…」
本当に妙なモン目覚めさせてしまったなぁ…。
「はい、あとちょっとで終わるから、じっとしててくださいね。よいしょっと…」
精液とミナミ自身の愛液でドロドロになった肉棒を口で掃除し、ミナミは立ち上がってショーツを脱いだ。結構アダルティなショーツを使ってるな。見た目の清楚さは、服一枚脱いだだけで消え去ってしまうようだ。
それはともかく、生暖かさの残るショーツで、肉棒についている唾液を拭き取った。…そして、それを器用に俺のナニに括り付けて、ズボンの中に押し込む。
…何やってんの?
「こうすれば、暫く私の体温を味わえるし、女の子にちょっかいを出そうとする時に貞操帯代わりになるかなって」
そりゃこんなモンをちんこに着けて女の子を抱こうとすれば、ドン引きされるだろうけどよ…。自分の意思で外せる貞操帯って意味あるのかよ。
ま、いいや。ところで、何か用事でもあったん?
「ええ。と言っても、正確に言うと用事があるのはアリサさんのレア博士なんですけど…今日はここには居ないんですね」
ああ、いつもなら一人はいるけど、今日はちょっとな…まぁ察しろ。何か用事なら伝えておくけど?」
「大した事ではないんですけど…ちょっと何人かで女子会をしようという話になって、是非ゲストにと」
女子会? …まぁ、何も言わんが…日付と時間を伝えておくけど、参加するかは知らんぞ。
多分、暫く俺から目を離そうとしないと思う。ここ最近、別の女をどんどん抱いてたからな…。
「素晴らしいですね! 私の基準で言えば」
そりゃお前の中身を知ってりゃな…。まま、ええわ。そんじゃ、俺はもう行くど~。
…ちょっと呼び出されて、支部長に会いに来たんだが…。
「……落ち着け、息子よ」
「俺を息子と呼ぶんじゃねえ……。物心ついた頃から、最悪の両親だと身に染みてたが、それでも一つだけ信じてた事はあった。テメーは、お袋一筋だって事だけはな」
「事実だ。私はアイーシャ一筋だ。不倫なぞ論外、彼女と出会う前にもそのような関係になった相手など居ない」
「ほう…じゃあ、こいつは何だ? 何故テメーを父なんて呼ぶ?」
「…おじさま、の方がよかったでしょうか? 確か、援助交際の相手をそう呼ぶことがあると」
「…………」
「待て、本当に待て! その発言は私にとって色々な意味で侮辱的かつ社会的に危険だ!」
「そこまで堕落してやがったか…。年甲斐もなく、足長おじさんでも気取ってるのか!?」
「く、首が! 鈍い刃物の感触が!」
支部長なら、社会的な危険は捻りつぶせると思うけどな。
…なぁ、シオ。これ、何やってんだ?
「おー、久しぶりだな! 何って………カゾクダンラン?」
えらく物騒なカゾクダンランもあったものである。ソーマの手には、どっから持ってきたのか鋸がある。チェーンソーとかではない、極めて原始的かつ手入れの悪いノコギリだ。
支部長の首に突き付け、一息に引けば…まぁ、あの手入れの悪さじゃ死にはしないな。ムッチャ痛いだろうけど。
そして、それを眺めながら、何故か支部長室にある炬燵でマッタリとミカンを頬張るシオ。…今、季節的に夏なんすけどね。まぁ、アラガミが現れて自然がメッチャクチャになったから、夏も冬も大して変わらないけどさ。気候が変動しまくるって意味で。
「これか? とーちゃんが『いつでも来なさい』って、特別に準備してくれたんだ! とーちゃんエライな!」
…支部長、孫がカワイイのね。いや孫っつーか義娘だが。
して、そこでシオにミカンの白いトコを食べさせようとしているタカネは、結局何故ここに?
「これでも、血の力の体得者第一号ですから。それに関して、少し話があると呼び出されたのですが、お父様と呼んだらこのような有様に」
ああ、まぁ確かにお父様ではあるよな。さて、どうしたものか。助けるか? このまま眺めているのもいいな。
しかしどうせなら、もうちょっと混沌とさせてやりたい。ここでどうすれば一番面白いかな。
「そこ! 妙な事を企んでないで、ソーマを止めんか!」
ソーマはゴッドイーターとしてもかなり身体能力の高い方に入るし、それに腕力で抗ってる支部長って意外と凄いな。(聞いてない)
「このまま眺めているのもいいな」しようとしたのだが、俺もこの後少々予定が入っている。仕方なく止めて誤解を解いて、ちょっと煤けている支部長と、タカネで話をする。ソーマも居るが、どうやらまだ疑っているらしい。
「それで、お父様。この度はどのようなご用事でしょう?」
「君にお父さんと呼ばれる筋合いはない」
筋合いがあるかないかは別として、そのセリフの意味合いは普通とは全然違うな。それで?
家庭板案件を見せ付ける為に読んだ訳でもないだろうに。
「む…簡潔に言えば、出張の依頼だ。タカネ君はアイドルだから、ライブツアーとでも言うべきか」
「お仕事でしたら、事務所を介してくださいませ。私がこうしてアイドルをやっているのは、あの方々への恩返しです。不義理をする訳にはまいりませんわ」
「それは分かっているし、話は通してある。後日、正式な仕事として事務所の方から話があるだろう。ツアー極東を出て大陸に渡り、世界を一周してくる形となる。当然、相応の時間がかかるし、体力的にも厳しいものがあるが…君達には問題なかろう」
そりゃ、ハンターとノヴァだしな。動かない事による体力消耗も結構キツイいものがあるけど…と言うか、移動手段は?
「飛行機が主になるが、車、船、その他諸々だ。尚、墜落する予感がしたのでヘリだけは除外してある」
カプコン製じゃないなら大丈夫だと思うけどなぁ…。
つーか、何でその仕事の話に俺を呼ぶ訳?
「無論、君も無関係ではない。このライブツアーの目的は、血の力を広める事、そして世界各地の黒蛛病患者の治療だ」
ああ、そういう…。確かに、タカネだと苦痛を和らげたり、病の進行を遅らせたりはできるけど、治療はできないもんな。
しかし、いいのか? 仮にも俺は、現状だと唯一の治療法所持者だが…それを極東から離すと言うのは?
「問題が無いとは言わないが、それ以上に君をずっとここに留めておくのも別の意味で問題が出る。簡単に言えば、『こっちの奴らも治療しろ』だな」
あー、難癖つけられる隙が出来る訳か。それなら、こっちから一時的にでも貸出して、恩を売った方がいいと。
「そして、問題がもう一つ。ラケル博士だ」
………ついに動いたか。
「ついに、と言うよりは、今までは仕込に専念していたようだな。手段は分からんが、君を排除するか、或いはジュリウス君を黒蛛病に感染させる策の準備が出来たから動き始めたんだろう」
策って…具体的には?
「先日君に会いに来た、フミカという女性がいただろう。君に抱かれる事で、血の力を得ようとしていた女性だ。君は彼女の頼みを断り、どうやら夜に誰にも見られず治療を行ったようだが」
バレテーラ。
「安心したまえ。これについて責める気はない。レア博士からも、予め話はあったしな。むしろ、これに関してはよくやったと褒めてやりたいくらいだ。……彼女を少し調査した。完全に一般人…逸般人でもない、ただの市井の女性だ。彼女が、君に抱かれて血の力を得られるという情報を得られるとは思えん」
? それは…確かに疑問に思ったけど。てっきり、俺を見限ってレッスンに来なくなったアイドル達から漏れたのかと…。
「それを確認したかね? 憶測で情報を補完すると、遠からず痛い目にあうぞ。たった一言問いかけるだけで真偽を確かめられる事なのだ。確認を疎かにするのは良くないな。…話が逸れたが…彼女はアイドル達とも、増して上級階級と言われている人間とも接点はない」
何? それじゃ、一体どこから情報を得たと?
「…通りすがりの、車椅子の女性だそうだ」
……罠、だった?
「だろうな。流石にフミカ君も怪しんだようだが、祖父・祖母が黒蛛病に感染し、相当追い詰められていたのだろう。藁にも縋る思いでやってきたのだ」
藁に縋るっつーか、藁で鉄棒を叩き壊そうとするような決意だったようですけどね。そもそもからして、当たり屋の真似事してアナグラ内部に入ろうとしたらしいし。
「手段はともかくとして、君がもし彼女の頼みを引き受けていれば、或いは祖父・祖母を優先的に治療していれば、これ幸いと情報をばら撒き、混乱させるつもりだったのだろう。或いは、もっと別の狙いがあったか…。幸いにして、彼女の祖母・祖父が黒蛛病にかかったという情報は拡散していない。本人達の口を封じれば、致命傷には至るまい」
物騒な意味での口封じじゃないでしょうね?
「それこそ、つけいる隙を与える事に他ならない。しかも、フェンリル全体にまで影響を及ぼすような隙をな。…正直、ラケル博士はどんな手を打ってくるのか、全く見当がつかん。彼女の思考形態は異質すぎる。人とアラガミが交じり合った結果だろうな。それがどんな小さな目的のための行動であれ、どれ程被害が大きかろうと、全く遠慮なしに行動する」
敵に1のダメージを与える為に、100の味方を犠牲にする、か。味方と思っているのかさえ怪しいもんだが。
しかし、どうしたもんか…。
「そこで、先程の提案だ。逃げ出すようで気に入らないかもしれんが、この場合距離を取る事は我々にとっても有利に働く。世界各地を廻り、黒蛛病患者を治療し、味方…シンパと言ってもいい…を増やす。ラケル博士の面倒なところは、かなりの権威や財力を持ち、それを存分に活用した陰謀策謀を張り巡らせている部分だ。その力を削り取る事ができれば、彼女のリソースは激減する」
ま、物理的に怖い相手じゃないわな。車椅子の華奢な女だ。筋肉だって殆ど無い。直接戦闘で負ける事はまずない。
しかし、その提案に乗ると…ラケル博士の得意分野で戦う事になるのでは?
「そこは我々がサポートする。最初から、君に権勢の扱いを期待している訳ではないよ。それに、彼女が君に集中するなら、それはそれで好都合だ。私が背後から彼女を封殺するまで」
そういうもんかな…。と言うか、支部長の命令で出張したら、荒野に置き去りにされるし、言葉は全然通じないし、俺を蚊帳の外にして一大決戦やってたしで、割と警戒心が…。
「意味もなく君を謀るような事はせんよ。既にそれだけの価値は無くなっている」
はっ、終末捕食をコントロールする為の価値しかなかったもんな。今はまぁ、精々が使えるゴッドイーターか、情報源程度か。まぁいいや。
いざとなったら、ネットを通じて強引に帰ってくるだけだ。いつ出発なんだ?
「旅先の都合もあるからな。具体的な事はまだ分からんが、もう少し先だ。正式な辞令が出るまでは、今のままアイドル達へのレッスンを続けたまえ。私からは以上だ」
…ふむ。タカネ、何か聞いておく事はあるか?
「そうですね…。…………旅先で、美味しいらぁめんは食べられるでしょうか?」
「……最初の行き先は、ラーメンで有名な中国近辺だ。期待しておきたまえ。………ああ、一つだけ言い忘れていた事があった。君達二人を同時にツアーへ行かせる理由だが……彼女は君にくらいしか従うまい。後は、彼女の社長くらいか」
…つまり、コントロールしろって事ね…。
面倒事を押し付けられた腹いせに、家族板案件を再発させるよーな情報(捏造だが)を放り込んで退室する。
背後から聞こえる、ソーマの怒鳴り声とシオの楽しそうな声を他所に、タカネは何やら機嫌よさげである。
「ええ、あなた様との旅行ですもの。楽しみでしかたありません」
…まぁ、そうなるのか。でも二人きりじゃないだろうな。
「それくらいは構いませんわ。誰かが居たところで、どうなるものでもありません」
…まぁ、こいつの感覚で言えば、人間もペットの犬も大して変わらんからな…。成大に吠え立てる狂犬でもなければ、チワワを連れてお出かけするのと大して変わらないんだろう。
しかし…誰が一緒に来るのかな。護衛は俺にもタカネにもまず必要ないけど、ポーズは必要だろう。貴重な血の力体得者を、護衛もつけずに放り出しては、支部長が責められそうだ。それ以上に必要なのは、俺の監視だが。
誰が来るかで揉めなきゃいいんだが…。
ま、先の事は先の事。後から考えるとしようか。
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この時の俺は、支部長の報復で、誰を連れていくのかの修羅場に叩き込まれる事を知らなかった…久々に刺されるトコだったぜ…。
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