※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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PCの不調、とりあえずは直ったようです。
スタートアップの修復が有効だった模様。
3万くらい余計な金使ったけど、とりあえず直ったからよしとする。
代わりに妙に動作が重いから、色々無駄な物とか削っていかねば。

ダクソ3、とりあえず簒奪者エンドまで到達して、リマスターに移りました。
無名の王へのリベンジができてないのが癪ですが。

…と思ってたら、モッサリ感が半端ないですな。
騎士から初めて、ドッスンローリングだからかもしれませんが、避けにくいったらありゃしない…。
3の動きだったら、最初のボスのデーモンは多分初見突破してました(負け惜しみ)
今後は3とリマスターを交互にやっていきたいと思います。

それはそれとして、乗り遅れた感はありますが、暇潰しにやってみた空へ落ちるゲームがかなり新感覚。
アトリエと並んで購入を検討しています。
ダクソで荒んだ心を癒すんだ…。



第361話

神産月

 

 今朝方、お肌ツヤツヤ、腰回りも充実した雰囲気のケイは、「今度会った時は、本気でシてね♪」とキスをして去って行った。

 すぐに離れる事になるんで、中毒症状とか出たりしないように手加減しておいたが…見抜かれてたか。

 

 さて、血の力を扱い、黒蛛病に犯された土地を浄化するのが今回のライブコンサートの目的な訳だが…。結構宣伝されてはいるが、やはり疑いの視線が強いようだ。

 そりゃそうだわな。治療不能で、進行すれば確実に死に至る病を、歌で治すと言うのだ。どんな奇跡の話だよ。

 ベーブルースでも連れてきた方が、まだ可能性はあるだろう。

 

 

 ま、あんまり疑われるのも癪なんで、とりあえず黒蛛病患者の病棟に行って、病状が酷い人を数人治しました。

 研究者だか医者だかがどよめいていたが…おい詰めかけてくるな、専門用語は分からないって!

 我も我もと押しかけてくるな! 気持ちは分かるが、あんまり大勢一度に治すと、俺が黒蛛病になる(という設定)んだよ!

 

 

 …ふぅ。とりあえず、患者達の意識は変えられたかな。

 最初に見た時は、諦観と言うかどうにもならないって意識が根付いてたみたいだった。今回のライブだって、黒蛛病が治る、軽減されると言うのはデマで、どうしようもないからせめて慰撫しよう、という意図で企画されたものと思っていたようだ。

 

 これは後から聞いた話だが、「そんな慰めなんか必要ない、そんなので誤魔化されない」とゴネていた患者が数人いたらしい。今回のライブだけじゃなく、色んな事に対してな。

 それが、目の前で黒蛛病が治るのを目撃して、「ひょっとしたら」と意識が変わった。随分素直になったようだ。

 

 

 さて、それでは当のアイドル達はと言うと。

 

 

 

「朝餉にらぁめんを所望します」

 

「一杯だけ、一杯だけですから…」

 

「フヒヒヒヒ、リカぁ…」

 

「ちょっ、起きろミカ! 私はお前の妹じゃないって!」

 

 

 …ダメだこいつら! 仕事になれば切り替わると思いたいけど、それ以前の理由でダメだこいつら…。

 朝っぱらからラーメン、酒、締りの無い顔で妹に縋りつく姉(実際にはアンチョビにしがみついてるが)。欲望に素直な連中だなぁ…。

 

 日付変更線を超えるくらい移動したんだから、体内時計が狂うのは仕方ないと思っておくが。

 とりあえず、全員引き摺っていくか。

 

 

 

 

 

 

 

 とりあえず朝飯は済んだ。量が矢鱈多かったが、食いきれない分は俺とタカネで処分。

 それだけ食ったにも関わらず、ラーメン店へ突撃しようとするタカネを止める。まだ営業してないっつの。

 

 カエデさんの駄洒落に微妙な空気になりつつも、何とかステージの控室まで到着した。

 何が厄介だったって、やっぱりマスコミだ。会場に入る時を狙ってインタビューしようと突撃してくる。人目は避けて移動したし、そもそもアメリカゴッドイーターの皆さまが警備しているというのに、カンだけで近付いてくるんだから…。

 

 そして、ステージの状況はと言うと…おーおー、随分な観客で。

 客席は7~8割が埋まっている。…一角だけ妙に空きがあるのは、黒蛛病患者の席と隣接している部分だ。…あまりいい気分はしないが、俺だって接触感染のある患者に好んで近付こうとは思わんからな…。責められん。

 

 

 

「……開祖様…なんか、緊張してきました。自分が出場する訳でもないのに」

 

 

 ん、アンチョビ。気持ちは分からんではないよ。俺だって、不安と期待でドキドキしてるし。

 極東じゃアイドルブームもあって、超がつく程盛り上がったが…海外だとどうかな。通じるだけの実力はあると思ってるけど、偏見や嘲りを捻じ伏せるのは何よりも難しい。

 

 さて、もうすぐ出番だが…ミカは?

 

 

「もう着替えて、控室で瞑想してました。血の力が漏れ出てましたよ」

 

 

 またか…。そこまで来てるなら、いつ体得してもおかしくないんだけどな。むしろ、そこで足踏みしてるのが不思議なくらいなんだよなぁ。

 何が足りてないんだろ…。考えてみれば、リンも同じ状態だった。

 

 …済し崩しにリンを抱いたけど、結局アレでも血の力は発現しなかったんだよな。あの時は、目覚めさせようとして抱いた訳じゃないから、無理もないっちゃ無理もないが。

 

 

 

 タカネとカエデさんは?

 

 

「ようやくアイドルモードに入ってくれました…。本当に自由ですよね、あの二人。……ライブツアーについてきたのは、他の皆と距離を保って、自立できるようにする為でもあったのになぁ…」

 

 

 カエデさんに関しては、それは達成できてないなぁ。物理的にもうちょっと距離を作らなきゃならんだろうか?

 しかし、そうなると当のカエデさんがちゃんと生活できるか怪しくなってくる。

 そうなると、アンチョビもついつい面倒を見てしまう訳で。難儀な話よのぅ…。

 

 

 さて、俺もそろそろ動くとするか。

 

 

「? 動くって…ステージ、見て行かないんですか? と言うか、開祖様が何処かに行くなら、世話役の私も行かなきゃいけないんですけど」

 

 

 荒事になる可能性もあるから、アンチョビはここに居な。

 タカネ達の歌が、この辺の植物にどう影響を与えるのか、確認しておきたいんだよ。近場に、黒蛛病に汚染された地帯がある。上手く行けば、歌でそれを浄化できるかもしれん。

 ちなみにその辺り、まだアラガミがウロウロしてるから、自分の身を守れないとついてくる事もできないぞ。

 ライブを見れないのは残念だが、一応こっちも仕事でな。

 

 ああ、何かあったら、この無線使って連絡しろ。ここのボタンを押して、マイクに喋ればいいように設定しておいた。

 

 

「…分かりました。お気をつけて。……是非とも成功させてください。そうすれば、私が想像してたアメリカの光景も戻ってくるかもしれません」

 

 

 成功するかどうかは、俺じゃなくてタカネ達次第だな。

 

 

 

 

 

 そういう訳で、ライブ会場から抜けてきた。…何だかんだで、毎回ライブを見逃してるな。映像データは貰ってるけど、それじゃライブ…と言うかナマとは言えないし。

 

 …なるべく早く片付ければ、戻ってライブを見れるか? …無理だな、最低でもタカネ達のステージが終わるまでは、現場で状況を調べなければいけない。

 前座扱いのミカのステージも含め、予定では2時間半、上手く盛り上がれば延長されて3時間超が想定されている。

 それまでは、こっちで邪魔なアラガミを狩りつつ、現地調査…か。

 

 

 

 

 

 

 …はい、ちょっと時間は飛んで、約1時間後。うーむ……何と言うか……暇だ。

 いや、やる事自体はちゃんとやってんのよ。調査の邪魔になるアラガミを駆逐し、その土地の状況を調べる。

 

 …なお、この1時間の内訳は、40分が移動、5分が狩り、15分が調査だ。アメリカって本当に広いな…。畑の端から端に歩いて移動すると、物凄い時間がかかる。北海道以上の広さは伊達じゃない。

 

 しかし、改めて調べてみると酷いもんだな、これは…。黒蛛病に犯された土地、畑。一見すると普通の畑に見えるのだが、よく見てみれば根本は黒ずんでおり、葉や実のあちこちに黒い斑点が出来ている。

 鬼の目で見てみれば、異常は一目瞭然だ。地面から、草木から、微量の霊気が立ち上っている。それが降り積もって…いや立ち上ってるんだから、この表現はおかしいな。とにかく、溜まりに溜まって霧のように漂っている。ロンドンもビックリの、毒薬マシマシのスモッグだ。

 こんなトコに入り込んだら、あっという間に霊力に犯されて重体になるわ。討鬼伝世界の異界並の瘴気だぞ、コレ。

 

 

 しかし、妙と言えば妙だな。

 ここらの畑には、物凄く酷い黒蛛病が広まっているのに、少し離れた場所の畑ではそうでもなかった。人間同様、赤い雨に触れて黒蛛病に感染するのなら、僅かな距離でこんなにも差が出るものだろうか?

 こっちは赤い雨にひどく当たって、あっちは当たらなかった? …雨雲と風の流れ次第では、確かにそういう事もあるかもしれんが…。

 

 いや待てよ、赤い雨を浴びた植物だって、必ず感染する訳じゃないだろう。緑に覆われた極東がその証拠だ。殆どはMH世界の植物だが、昔からこの世界にあった植物も、多少は繁殖している。赤い雨が降った後も、あの辺りの植物に黒蛛病は発現しなかった。

 …発病するのに、或いは悪化するのに、何か条件があるのか?

 

 

 

 うーん………お?

 

 

 …畑の様子が少し変わった。霧のように漂っていた霊力が、徐々に動き始めている。

 風に流されたのではない。どちらかと言うと、これは…鬼祓で鬼の部位を消し去った時のような…。

 

 

 ああ、そうか。タカネとカエデさんの歌が始まったのか。

 血の力の波長を感じる。会場は、どうやら多いに盛り上がっているようだ。ここまで歓声が響いて来る。

 その歓声に、血の力が乗っているようだ。

 

 ああ、成程。自分達の声だけでは血の力の及ぶ範囲が狭すぎるから、タカネが観客まで同調して増幅させたんだな。

 何気に俺にも出来そうにない事を、サラッとやってのけている。彼女達の血の力の特性なのか、タカネが上手くやっただけなのか、それともアイドルのライブという状況が関わっているのか。

 

 おうおう、漂っていた霊気の霧が晴れていくわ。稲穂のあちこちにあった黒い斑点も消えていく。…あ、消えないのが……なんだ、これは黒蛛病じゃない自前の病気っぽい。

 見る見る内に、視界が本来の金色の野の姿を取り戻していく。大神降ろしのような光景だな。あくまで霊的な視点で見ればであって、物理的には全く変わってないんだろうけど。

 

 

 ……うん? 地面から、浄化された力が溢れ続けている…。いや、違う。地面の下に、大量の霊力が溜まっているのか。

 地下に、霊力を貯め込むような何かがあるのかな…。

 

 そう言えば、極東の植物も赤い雨に晒されてるけど、こんな風に感染はしてないよな。地下にある霊力が長時間影響した事で、この畑に黒蛛病が広まったのかもしれない。

 

 

 肝心の地下に何があるかは、掘ってみない事には分からないが…流石に時間が足りない。結構深い所にありそうだ。

 

 

 

 そろそろ戻らないと、ライブが終わるな。一端引き上げるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 途中で出会った、アメリカゴッドイーターの一人…昨日一緒に戦った人だな。に、畑の地下に何かあるのか聞いてみた。

 

 

「地下に何があるか? そりゃあ…土だろ? 後は、化石とか、木の根っことか、モグラとか。ああ、水もあるよな。この辺には川もないから、地下水を組み上げて使ってるんだぜ」

 

 

 詳しいっすね…へぇ、ここらが地元? このライブで、本当に畑の黒蛛病が治るのを期待している? …ああ、完治はどうか分からんが、大分効果はありそうだったぞ。

 

 しかし、水…地下水か。関係ありそうではあるなぁ。今までの例を鑑みても、水脈やら地脈やらが関わっていたケースは幾つもある。

 流れる水は穢れを清める力があるが、淀んだ水は穢れを貯め込みやすいから、血の力をそれだけ吸収して毒水のような性質を持ってしまったのかもしれない。

 

 うーん…でも、なんか違和感があるな。単なる地下水なら、俺の感覚に引っ掛かると思うんだが。そりゃ確実じゃないが、地面の上から「あ、この辺に水脈が流れてそう」って程度には分かる。それが全然引っ掛からなかったんだよな…。

 

 

 

 

 

 

 とりあえず、ライブ会場まで帰って来た。畑を観察して分かった事は、後日レポートにして報告するとして…。

 うーむ、会場まだ盛り上がってんなぁ。暴動になったり、アレな人種がステージや楽屋裏に乗り込んだりしないよう、警備の皆さんが目を光らせているようだ。延長も視野に入っていたとは言え、これ収集つくのかな。

 

 アイドル3人、通じるだけの実力はあると思ってたが、これ程熱狂させるとは…。アメリカ人の民族性か? ハリウッドやブロードウェイの輝きを思い出したのか?

 そうだとしたら、アイドルの本懐達成…かな。タケウチ社長も言ってたが、このご時世に皆を笑顔に変える事、活きる活力を湧き出させる事。それが何よりも重要な事だろう。  

 

 ま、とりあえず幸先のいいスタートダッシュが切れたって事か。

 

 

 

 

 

 

 

 そんな熱狂とは裏腹に、ステージ裏に居たアンチョビは妙に憂いた顔をしていた。

 熱狂が伝わってくる…と言うよりは、『アンコール!』の大連呼で空気がビリビリするなぁ。既に期待に応えようとスタンバっている3人を見ながら、アンチョビは手を握りしめていた。

 …熱気に当てられたか。

 

 

「…あ、開祖様…」

 

 

 おう。別にいいんじゃないのか、今から参加しても。あの3人も拒まないし、合わせられるだろ。

 

 

「いえ…。そうだとしても、今の自分じゃ足を引っ張るのは避けられません。ユニゾンできても、それじゃ私自身が許せない」

 

 

 ……プライドか、意地か…。まぁ、ここで飛び出して、失敗ならまだしも大成功しちまったら、アイドル勢からの信仰化待った無しだからな。

 冗談抜きで拝まれて、ご利益に肖ろうとブロマイドとか持ち歩くようになりそうだ。

 

 

「うぐ…それもあった…」

 

 

 頭を抱えてしまった。…それでも、今からでも飛び入りで参加したいという思いは禁じ得ないようだ。

 …ま、今回ばかりは抑えておけ。こっから先は、ミカのスペシャルライブになりそうだからな。

 

 

「ミカの? 確かに凄いけど、レベルで言えばあの二人程には………!?」

 

 

 気づいたか。

 …血の力、覚醒したようだな。いや、血の力だけじゃない。明らかに、アイドルとしても急激に成長している。

 俺は批評家じゃないが、頑張ってるあの子達を近くで見てたからな。雰囲気が大きく変わったのがよく分かった。

 

 どう、と明確には言えないが…見た目も、声も、表情も、どれも同じ筈なのに、より輝かしい印象を感じ取れる。

 …ああ、綺麗だな。

 

 湧き上がる血の力の勢いが、ミカ自身のテンションが上限突破している事を教えてくれる。下手をしなくても、もうトランス状態だろう。冗談抜きで、神降ろしみたいな状態になってても不思議はない。

 このままだと、突っ走るだけ突っ走るな。精根尽き果てて倒れるまで。それだけレベルアップするだろうが…。

 

 

 

 …いかんな、はじめの一歩の鴨川会長の気持ちが分かるわ。ミックスアップってきっとこんな感じだ。

 俺が育てた訳じゃないが、関わりのあった子がこうも急成長する…。見惚れるのも当たり前だ。

 

 

 …当たり前だが…これ以上はならぬ。血の力を勢いのままに噴き出しているので、負担も凄まじい事になっている。

 

 

 …おい、タカネ。

 

 

 

『ええ、聞こえていますわ。この子を止めるのですね。正直に言うと、少々興味が湧いておりましたが』

 

 

 タカネがそう言うのは珍しいな。犬猫が思わぬ芸を披露したから、もう少し見ていたいと?

 

 

『…どうでしょうね。少しばかり違う気がします。とは言え、このまま続けて、舞台の中で倒れられても興覚めです。舞い踊るのは楽しい事ですが、刻限もよい頃合い。幕引きと参りましょう』

 

 

 タカネは歌と動きを切り替える。同時に、花火のように光り輝いていた血の力が、今度は優しく降り注ぐ雨音を連想させるような色になった。

 曲も同様に変化して、昂った心と体を、ゆっくりと鎮めるような曲。

 

 それに気付かず、ミカは次の曲に移ろうとしたが、背後からカエデさんがこっそり口を塞ぎ、黒子のような動きで飛び出してきたアンチョビがササッと舞台裏に引っ込んでいく。

 …文句を言うかと思ったら、口を塞がれた時点で気絶していたようだった。

 

 

 …いや、気絶と言うよりは、眠らされたのかな。タカネから放たれる血の力は、精神を落ち着ける効果があるようだ。落ち着ける…と言うよりは、緊張やテンションの糸を叩き斬るような事になっちゃったが。

 こうして聞いているだけでも、ゆっくり夜の中を落ちて行って、その底にある暖かいベッドに埋まるような気持ちになってくる。

 大いに盛り上がっていた観客も、お休み前のママの子守歌でも聞いているような状態になっていた。

 

 

「…やっぱり、凄いですね。タカネさんは」

 

 

 それについて行けるカエデさんも心底凄いと思うけどね。アイツのアレは…まぁ、産まれの問題と言うか、一種の反則技に近いし。俺が言うのもなんだけど。

 

 

「反則なんてありませんよ。それを言い出したら、血の力だって反則みたいなものですよ」

 

 

 む…そりゃそうか。

 

 

「開祖様、それより手伝って…。流石に人間一人は…」

 

 

 おお、悪い悪い。ゴッドイーターでもないアンチョビには、気を失った人間を運ぶのは辛いか。

 ほいっと…。控室でいいかな?

 

 

「意識が無くても、最後までここに居させてあげたいんですけど…汗だくですからね。このままだと風邪を引いちゃうんじゃないかってあせってます………ふふっ」

 

 

 …相変わらず反応に困るトコで駄洒落を言うな。

  まぁいいか。アンチョビ、一緒に来てくれ。汗を拭くくらいならできるが、ちょっとデリケートな所も拭かないと。

 

 

「そういうのは慣れてますから、運ぶだけ運んでくれれば後は…」

 

 

 …うん、そうなんだけどね。汗だくのミカが妙に色っぽくてね…いや何でもない。とにかく行こうか。

 ………体が敏感になってるのか、運ぶために触るだけでもピクピク動いてた。理性がメッチャ削られた。

 

 

 

 

 アンチョビにミカの世話を任せ、控室の外で待っていると、ステージを終えたタカネとカエデが戻って来た。

 おう、お疲れさん。…タカネは汗一つ掻いてないなぁ。

 

 

「ええ、あの程度の運動では息も切れません。…貴方は、汗を掻いた方がいいようですが」

 

 

 そこは状況次第かなー。単に汗掻いてるだけじゃ、あんまり面白くないし。

 ところで、ステージはどうなった?

 

 

「タカネさんの歌の後は、もうアンコールはありませんでした。拍手もすごく静かな拍手でしたね。…スタンディングオベーションでしたけど」

 

「泣いている方も居ましたわ」

 

 

 スタンディングなのに静かなのか。いや、思いっきり手を叩いて騒ぐか、静かに感動を表すのかの違いだろうけど。

 そこまで行くと、感極まって卒倒する人も出てきそうだなぁ。

 

 

「お、お待たせしました…」

 

 

 部屋の中からアンチョビが顔を出す。ミカの汗拭きが終わったようだが…どうした、顔が赤いぞ。

 

 

「いや…その…予想外のところがちょっと、アレだったんで…キカナイデ…」

 

 

 …聞かなくても分かっちゃうんだよなぁ。

 汗だくだったミカから漂っていた、特有の匂い。メスの匂い。

 ウルトラハイテンショントランス状態だったミカは、どうやらエクスタシーの領域にまで行っていたらしい。

 体を拭ていたアンチョビは、漂ってくるフェロモンに思いっきり当てられてしまったようだ。

 

 ま、無理もないな。小娘のクセに、年齢に見合わない体してるしなぁ…。 

 とりあえず、カエデさんが一息ついたら、ホテルまで引き上げるとしましょうか。

 また隠密行動になるな…。

 

 今朝や昨晩も報道陣がホテル近辺で待機してたけど、今の注目度は跳ね上がっている。

 お行儀のいいマスコミだけじゃなく、マスゴミ、不埒な考えを持つ連中にも注意しないと。

 




リマスターをプレイ中、ふとネタが浮かんだので執筆中。
別作品として、2~3時間後に投稿予定です。
R-18タグ付きですが、細かい描写はありません。

ここの主人公が、いつもの夢を見る外伝ではありません。
いや設定上そうできなくもないのですが、別物として書いています。

一話目は書きあがりましたが、今後続く見込みは…低いなぁ。
展開に詰まっていても転生輪が優先ですし、リマスターのプレイ印象を元に執筆するので、リマスター一区切りクリア後かつ転生輪が充分書き溜めがある時のみ執筆と言う形になりそうですし。

以前からの課題であった、中編で終わらせるという練習には丁度いいと思うので、ゆっくりノンビリ飽きるか心が折れるまでは続けようと思います。
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