※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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R-18だからダイマはないだろうと思ってたら、ダイマ返しされてビビッた。
こういうのがハーメルンの楽しい所だと心底思う。
ありがとうございましたッ!


第363話

神産月

 

 

 昨晩はアリサから写メが送られてきた。「帰ってきたら、これでしてあげます」。……おお、こんなコスチューム何処で買って来たんだ…。

 うむ、会ったばかりの小生意気な雰囲気が出てて素晴らしい。最近は絶対服従状態になるまで躾けちゃったからな。いやそれはそれで愛おしいんだけど。

 ちなみに、今後も一日一枚ずつ送られてくる予定らしい。

 今回もナニの写真を送ろうかと思ったんだが、丁度チームアンツィオのR-18チームがやってきた為、ハメ撮り写真を送る事になった。

 

 ちなみに、彼女達がやってきた理由は…単にムラムラした為だそーな。以前に抱かれた時の快楽が忘れられない、と言ってたな。そーいう頭の悪い媚び方は大好きだぞ。

 

 

 

 さて、それは置いといて。今日はライブの日な訳だ。

 早速移動の準備を…と思っていたら、とある学者さん達に呼び出された。名前も知らない人なんだが、よく分からんが権威がある人らしい。どうやら、黒蛛病や、それに犯された土地について研究している人らしい。

 しかも、若い者の芽を摘み取って上でふんぞり返るタイプではなく、知的好奇心の赴くままに突っ走る、マッドなタイプの方だ。タチの悪い事に、榊博士と違ってアクティブなマッドだな。いや榊博士も中身はアクティブだが、普段は大人しく………うん、大人しく見えるから。

 

 一昨日のライブ中、黒蛛病に犯された土地を調べたレポートを提出していたんだが、それを読むなり真っ直ぐ俺に会いに来たそうな。

 朝っぱらから質問攻めを喰らっております。その質問は、素人考えでもかなり鋭い物に思え、そこから紡ぎ出される理論には俺も幾らか心当たりがある。有益な話になりそうなんで、付き合うのに苦は無かった。辟易としたのは事実だけども。

 

 で、その博士は「流石に直接調べない事には信じられないが」という前置きを置いた理論を展開した。…うん、俺も正直信じられない。何でもありの世界だが、流石にそれは無いだろう。

 …そう考えはするものの、事実は小説より奇なりと言うし、何より畑近辺に溜まっていた血の力が浄化された事で、調査が容易になっている。早速フィールドワークだ、と叫んで走って行った。

 

 

 

 

 

 無い、よなぁ。幾ら何でも…。血の力を貯め込み続けた地下水が、そんな変容を起こすなんて…。………ま、一週間もせずに結果は分かるだろう。仮に真実だったとしたら、厄介極まりない赤い雨にも、多少の恩恵はあったって事だな。百害あって一利程度だけど。

 

 

 

 

 さて、七面倒くさいお話も終わったんで、飯を食いに食堂に来た。朝飯も、ダイナミックでダイナマイトな量だなぁ…。

 

 

「あ、おはよートレーナー。早く食べないと無くなるよ」

 

 

 こんだけ量があって、一流ホテルなんだからそうそう無くなる筈ない…と言いたいところだが、ビーフンみたいな麺関係は無くなりそうだな。タカネが食いまくってる。

 ……で、ミカは大丈夫なのか? 昨日は何だかんだでグッタリしてたし………今日は今日で、朝っぱら物凄い勢いで飯食ってるし。何処に入っていくのか不思議なくらいだ。ハンターの俺が言うのもなんだけど。

 食い過ぎて、ステージで動けないなんてないようにしろよ。マジで。それくらい食ってるからな。隣のリカが、見てるだけで腹いっぱいって顔してるくらい。

 

 

「分かってるけどさ、何だかお腹空いて仕方ないんだよね。体中の活力を持て余してて、それなのにまだまだ足りないって体が訴えてるんだよ。もう、正直言って太るとか考えてる場合じゃない」

 

 

 そう言いながら、またもハムエッグを一口。まだ食う気か。

 大方、血の力に目覚めた事によって、全身が活性化してるんだろうけど…。急激に覚醒してレベルアップしたから、色々バランスが取れてないんだろうな。下手すると、現在進行形で眠ってる力が引き出され続けてるのかもしれん。一種の超回復…なのか?

 

 

「ん、多分そんな感じ。一昨日のステージで、なんか色々突破した感はあるね。出発前に、極東のトレーナーから『君は一気に伸びる時期だから、世界を体験してきなさい』なんて言われてたけど、こういう事だったのかなぁ」

 

 

 アイドル業に限らず、血の力(霊力)は使い手の人生や経験に大きく影響されるからな。この前のステージで、何か強く感じる事でもあったのか?

 

 

「心当たりはあるね。気恥ずかしいから、あんまり語る気はしないけど…」

 

 

 …気恥ずかしいなんてレベルじゃないくらい、エクスタシーして濡れてたよな…とは口に出せない。

 冗談抜きで、一度検査した方がいいかもしれない。今日のライブでは、ミカの状態にも注意しておかないと。

 

 

「お? 今日はライブ見に来れるの?」

 

 

 最初から最後までじゃないが、一昨日よりは見られると思うよ。

 ああ、そうそう言い忘れてた。一昨日のライブの効果だけど、大成功と言っていい。近くにあった、黒蛛病に犯された土地がかなり浄化されたよ。まだ畑一つ分程度で、色々検証しないといけない事もあるけど。

 

 

「私達の歌で、食糧難を救う、かぁ…。スケールがおっきいね」

 

 

 つっても、一息にどうにかなる物じゃないし、ついでに言えば一昨日の奴はミカの歌は関係ないと思うぞ。血の力に目覚めたの、終盤だったし。

 

 

「う、それはちょっとテンション下がる…。………? あれ、リカが居ない」

 

「リカさんでしたら、あちらですよ」

 

 

 カエデさんに指さされて見てみると、リカはホテルの出入り口で、見覚えのある男性と話し込んでいるようだった。

 と言っても、リカは英語なんぞ聞くのも話すのも読むのも分からない。通訳しているのは、チームアンツィオのメンバーの一人だ。多分、あの子が砂の耳を持ってる子なんだろう。

 

 で、何だろ?

 

 

「あの人、確か……昨日のスイカ割りに参加してた人だよね。私達がアイドルだって気付いて、追いかけてきた…のかな?」

 

「いえ、それなら周囲を警戒している自称親衛隊のファンに捕縛されるでしょうし、リカとああも熱心に話し込みはしないでしょう」

 

 

 …まさか、リカってばもうやらかした? 昨日のあのにーちゃんの様子では、ロリに興味はありませんって顔してたのに、たった数時間の接触でもうモラルを削り取られたのか?

 

 

「流石にそれは無いと思うけど…と言うか、なんだかえらく熱心にメモを取ってるね、あのお兄さん。私達の個人情報を教えてる訳じゃなさそうだけど」

 

「教えているのは、スイカの育て方ですね。そう言えば、昨日は必死で種を集めている姿を見ましたが」

 

 

 

 カワイイ女の子が口に含んで吹き出した種を集める。これは有罪か無罪か。

 

 

 

 …で、スイカ? の、育て方…? 何でそんな事を…………あっ(察し)

 

 

「スイカ割りがそんなに気に入ったのかな?」

 

「スイカそのものでしょう。昨日食べた時、物凄くモノ欲しそうな顔をしていましたよ」

 

 

 まぁ、美味いのは確かだしなぁ…。アメリカ人なら、野菜よりも肉が好きそうなもんだが。

 しかし、ホテルまで追いかけてくる程気に入ったのか?

 

 

「無理もないよ。極東に居ると忘れそうになるけど、合成じゃない食べ物なんて、滅多に食べられるようなものじゃ………うん? スイカって野菜なの? 果物じゃないの?」

 

 

 野菜だよ。区別の仕方が国によって違ったりもするけど。一般に、野菜はいろいろな部分を食べるのに対して、果物は実だけを食べるのが分かりやすい区別かな。

 …と言っても、そもそも野菜も果物も絶滅寸前だもんな。知識が途絶えるのも無理はないか。

 

 ちなみにミカ、クジラは魚?

 

 

「く、くじら? …おっきい魚じゃないの?」

 

 

 あれは哺乳類。

 

 

「ほ、ほにゅうるいってなんだっけ」

 

 

 キリがない。だが責められない。誰も教えちゃくれなかっただろうし、ミカは字を読めるようになったのだって、アイドルとして活動し始めてからなのだ。

 

 …眼下では、リカがえらく専門的な植物の話をペラペラペラペラ語り、専門用語も混じっているのに平然と通訳するチームアンツィオのメンバーを眺め、俺はちょっと同情した。こりゃ姉の威厳を気にもするわ。

 

 

 

 

 

 

 しかしリカの奴…………マジで作りやがった。しかも入国2日目で。…GKNG、海外支部…。いや、流石にその原型と言うかとっかかりだけだと思うが…。

 

 

 この数年後には、アメリカの象徴がスイカになるかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、それはともかくとして。ライブステージに移動した訳だが、これがまた大騒ぎである。

 彼女達が乗った車だ出発すると同時に、ホテル周辺を警備していた自称親衛隊の方々が、一斉に移動を始める。

 なんつーか……ゲルマン民族大移動? アメリカだけど。

 

 まぁ、ガードしてるつもりなんだろうし、危害を加えてくる気配もない、単純にファンの心理でちょっとでも近くに行きたいってのもあるだろうが…大丈夫かなぁ。追跡してきたパパラッチのおかげで、お偉いさんが死んだって話もあるしなぁ…。

 やれやれ、今後の国でも同じような事ばっかりなのかね。

 

 

「例外もありますよ。今後滞在するホテルの情報を調べましたが、ホテル内に劇場がある所もありました」

 

 

 それはそれで、ずーっと警戒してなきゃいかんという事でもあるんだが。ちなみにその国って?

 

 

「一番最初に訪れるのはロシアです。私はともかく、屋外でのコンサートは人の身には少々厳しいでしょう」

 

「私はともかくって、タカネさんが人じゃないみたいな言い方して」

 

 

 あーそういやそうだなー! 特にミカの衣装は薄着の傾向が強いからなー! ロシアに行ったら、サブイボ立てながらライブとかになっちゃうかもなー!

 

 

「いやいきなり大声出してどうしたのよ…。でも実際にサブイボは嫌ね。寒いのは我慢すればいいけど、サマにならないわ」

 

 

 寒さよりも恰好が重要なのか。見上げたプロ意識だな。

 

 

「ま、これで食べていけるようになった訳だしね。思い入れも、この職業に対する感謝もあるわ。………ところで…」

 

「…? 何だ、ミカ?」

 

「ん、ドゥーチェは今日は歌わないのかなと」

 

「いやいやいや、開祖様にも言われたけど、無理だって。今の私には、あんなステージに立って観客を熱狂させるような力はないから。血の力も覚醒してないから、歌ってもあんまり意味ないし」

 

「意味の在る無しで歌うなんて、ドゥーチェらしくないと思うけどね。意味や意義を問いたいなら、歌ったから、歌うから、自然と産まれてくるものじゃない?」

 

 

 妙に深い事を言いよる。

 しかし、真面目な話、いざと言う時の為に一曲くらいは準備していた方がいいかもしれん。この旅行中、どんなハプニングが起こるか分かったものじゃない。

 何らかの理由で、このメンバーの誰かが歌えなくなる、或いは出場できなくなる可能性は充分にある。そんな深刻な事じゃなくても、ライブの尺が余るって事もあるかもしれん。

 勿論、それを防ぐ為に俺達が居る訳だが、最悪の想定や次善の策は何より大事だ。

 もしもそうなった時、間に合わせでも代理を務められる程の実力があるのは…アンチョビ、お前だ。

 

 

「一番ありそうなのは、タカネさんがフラッとラーメン巡りに行って戻ってこない…とか?」

 

「有り得ますね…」

 

「失敬な。時間までには、全てのらぁめんを味わい尽して戻ってきますとも」

 

 

 ……な?

 

 

「そういう理屈なら分かりますけど…でも、急に言われてもなぁ…」

 

「アンチョビ、アンチョビ」

 

「え? どうしたんですか、リカさ……もとい、リカ」

 

 

 敬語。…まぁ、GKNG的に考えれば、アンチョビにとっていリカは遙か遠い上司だもんな。ちなみに、ポジションで言えば俺は運上人に近かったりする。

 で、どうしたリカ?

 

 

「アレ歌えばいいんじゃない? ほら、チームアンツィオのみんなが一番慣れてるヤツ」

 

「あー…アレですか。いやでも、あれって軍歌でしょ? しかも、こう言っちゃなんだけど、シンデレラオーディションに合格する為に、奇をてらう事を狙った一発芸みたいなものだし…」

 

「それでも、一番慣れてる歌でしょ。チームアンツィオの皆も、ノリやすいと思うし」

 

 

 それは確かに。本職からの指導も受けて、おかしかった発音も直ってきてるし、本人が言うような大舞台に立てる程の実力じゃなかったとしても、今回の観客の殆どは耳目が肥えてる訳じゃない。

 コミックバンド的や一発芸的なポジションだと考えれば、充分にウケると思うぞ?

 

 

「う、うーん……」

 

 

 真面目に悩み始めるアンチョビ。万が一に備えておくべきという理屈は分かるし、通用するか不安はあるが、敷居が低そうなのも確か。

 いざと言う時の備えと考えれば。デメリットは少なく、万が一当たれば配当は大きい。

 後はアンチョビ自信の決断のみ。

 

 

 

 ……そんなアンチョビを見つめる俺を、ミカはジト目で見つめていた。

 …どした?

 

 

(さっき、リカやチームアンツィオの皆と何か相談してたよね。どういうつもり?)

 

 

 どうもこうも言葉の通りだが? いざと言う時の備えを用意する事の何がおかしい。

 

 

(それだけで済むハズがないって確信してるでしょ。アンチョビの…豪運って言っていいのか、天運って言うのか、とにかくそういうのが、その程度で留まらせてくれる筈がない。アンチョビ自信の素質に、ドゥーチェコールのドーピングと煽動。下手すると、前座だった筈がメインステージのタカネさんとカエデさんすら食っちゃうかも)

 

 

 実際、この前のライブのミカがそんな感じだったしな。結局最後は、タカネがカーテンコールを務めたが。

 ま、勿論それも織り込み済みですが? それこそ、ミカ同様に血の力に目覚めてくれれば言う事は無い。

 

 

(ふ~ん。…別に嫉妬する訳じゃないけど、何だか妙に特別扱いしてない?)

 

 

 …正直言うと、してる。コイツが持ってる才能と言うかスキルがな、俺の問題の一つに役に立つかもしれんのだ。

 ぼんやりとしたプランでしかないから、何となくと言ってしまえばそれまでだけど。

 

 なに、悪いようにはならないよ。この子なら、放っておいてもな。

 

 

(むぅ…)

 

 

 …こりゃ本当に嫉妬かな? ミカにだって、充分期待してる…と言うより、一昨日のライブで見事にそれに応えてくれたんだけどな。血の力の覚醒って意味でも、アイドルとしても。

 女としては……どっちかと言うと、俺が期待に応えてやるべきか?

 

 ま、それは後から考えよう。今からヤれる訳じゃないし、機会もチャンスも充分にある。…と言うより、ミカの様子からして、夜に部屋に呼び出せば、シャワーは当然、勝負下着まで付けて、顔を真っ赤にしながらホイホイやってきそうだし。…ちなみに、勝負下着を持ってきてるのは、リカからの情報で確定済みである。

 

 

 

 

 

 さて、そんな訳でライブ会場についた。先日の会場とはまた別のステージだが、こちらのアラガミは既に掃討されているようだ。

 充分な準備時間があったから、と言うのもあるが、ライブの効果を聞いて、上層部が本腰を上げ、ファンになったアメリカゴッドイーターの皆さまが死力を尽くした結果だろう。

 相変わらず、黒蛛病患者が居る場所は隔離されているが、こればかりは仕方ない。いくら治癒する方法があるとはいえ、無駄に感染するのもな…。

 

 始まる前から、既に観客は熱狂の渦に包まれている。ライブ一回だけで、どんだけファンが増えたのやら。

 …グッズ販売とかしてる? してない? どう考えても足りないし、下手をすると奪い合いで暴動が起きる? せやな。

 

 つーか、こうして考えると、アメリカの国力は今でも大きいんだなぁ。移動してくる時、個人所有だと思われる車が何台もあったし。ま、アメリカは乗り物が無きゃ生活できない土地だから(偏見)、必死こいて死守・運営してるんだろうけど。

 識字率だって極東よりは…以前の極東よりは高いようだし、何だかんだで食料も多いようだ。それ以上に消費が激しいようだが。

 

 …今から考えても仕方ないけど、下手に国力回復させて、また自称・世界の警察が余計な事を始めたりしないよな…。ま、その時はその時か。

 どうせだったら、アラガミに喰われた自由の女神像の代わりに、アンチョビの像を立てるにはどうしたらいいか考えてみよう。アンチョビが泣いて嫌がるのが容易に想像できるが、愉しいので問題ない。

 

 

 

「ねぇねぇ、開祖様。いつスるの?」

 

 

 その発音は、いつものR-18の事に聞こえるから止めなさい。

 そうだな、前座として考えれば初っ端から放り込むべきなんだが、仕上がり具合によっては最初にメインディッシュを出すような事になりかねん。

 『繋ぎ』の場面に放り込むのが最適だろう。えーと、パンフパンフ…。

 

 ……うん、予定ではミカ・カエデさん・タカネの順になってるから、カエデさんとタカネの間でいいだろ。伝令は頼む。

 

 

「伝令しなくても、そうなったらノリノリで騒ぎだすと思うけどね。楽しみにしとこ! 勿論、お姉ちゃんのステージもね!」

 

 

 おう。俺も一昨日は途中からしか見れなかったからな。今日は楽しませてもらうとするか。

 関係者席から眺める事になるし、途中で『仕込』の為に抜けるけど。

 

 

 

 

 

 

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