※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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実家から戻ってきて以来、PCが非常に不調です。
動作が重すぎる…。
おちおち執筆もできないくらいです。
本格的に、投稿が停滞するかもしれません。
エターだけは避けるつもりですので、投稿が途切れても見捨てないでください(愛玩)


第371話

神呑月

 

 

 妹ネコにフェラの仕方を教わっている姉ネコという、何とも背徳的な朝から始まった本日。

 姉ネコことミカが、人の居ない所ですっごい甘えてきます。人目があるところだと、視線で甘えてきます。

 尚、バレバレです。だがそれが可愛い。

 素直に嬉しいです。密着してきて、我慢できなくなった時は思う存分パコります。そうでなくても、甘ったるい雰囲気で恋人気分…どっちかと言うと愛奴隷と書いてアイドル気分?を満喫中。

 

 

 気づいてないのは、それどころじゃないアンチョビくらいかなぁ…。

 

 …うん、ライブも終わったし、移動中なんだが、そっちの問題をどうにかしないとなぁ…。

 先日のライブでも、アンチョビに陰りがあったのに、ファンの何割かは気が付いただろう。

 

 ネットで調べてみたが……ああ、ネットと言っても俺が元居た…と記憶している世界のようなインターネットじゃなくて、フェンリルが独自に持っている社内ネットワークと、一般人が多少触れられる程度の、限られた情報網だが……そこでは、「アンチョビって子、前評判ほどじゃなかった」「アメリカの時と何だか様子が違うぞ」みたいな話が飛び交っていた。

 アンチョビは既に、コアなファンを獲得しているようで、躍起になって弁護している人も居るようだが、このままの調子だとな…。

 

 

 アンチョビの気を晴らそうと、あれこれリカが話しかけている。その様子に気付き、ミカも話しかけようとするが、俺がストップをかけた。今はリカに任せた方がいい。

 

 

「リカに任せた方がって……何か考えでもあるの?」

 

 

 考えと言うか、これまでの流れや運を考えるとこうなるだろうな、ってのが…。

 まぁアレだ、リカの小悪魔っぷりを最大限に活用しようとしてるだけだ。

 

 つまり、リカを嗾けて、理性やモラルをガンガン削り取ってしまえって事だ。

 

 

「いやそれ削ってどうするの!? 私も一晩で削り切られて、何でもオッケー状態になってたけど!」

 

 

 可愛くてエロかったぞ?

 

 

「あ、ありがと…」

 

 

 チョロ可愛い。

 ま、それはともかくだな。…俺もいい加減ヨゴレ芸人になってきてるけどさ、だからこそ一つ分かった事があるんだよ。

 多分、アンチョビがこれから絶対に覚えないといけない事だ。

 

 

 

 穢れているから、本当にきれいな物が分かるんだよ。

 

 

 

 アンチョビは、穢れを知らなきゃいけない。

 

 

 

「…正直、どうかと思うけどね、その理屈は。引き留められたけど、私はやっぱりアンチョビと話すからね」

 

 

 ああ、それはそれで構わない。そういう自分の意思での行動が、アンチョビにも、その周囲に居る人にも何よりも必要だ。

 

 

 

 なーんて言ったけど、理性を削るリカと、モラルを支持するミカじゃ、この状況だと勝負にならねーな。アンチョビにとって、どっちが楽…と言うか受け入れやすい選択肢なのかに加えて、あいつらは既に肉欲に関してモラルを食い尽されている身だ。嫌が応にも、行動や言動にその影響は出る。

 いい塩梅に、踏み台…いや燃料になってくれるだろう。

 

 

「あなた様」

 

 

 ん? …タカネか。直接話しかけてくるって、何気に珍しいな。どした?

 

 

「大した事ではありませんが…あのユノというヒトに関してお話を伺いたく思います」

 

 

 ユノに…? 確かにユノは有名な歌姫だが、お前が気にする程の相手か?

 …いや、人間の世界の知名度なんぞ、お前には関係なかったな。何か気になる事でもあるのか。

 

 …まぁ、いいけど。お前が人の事を気にするなら、俺にとってはいい傾向だと思うし。

 

 

「私とて、あなた様以外のヒトの事を気にかけていますよ。恩のある方々に、美味しいらぁめんを作る方々も。…とは言え、確かにあの方は珍しい形で気になりますね。アンチョビのように、次にどう動くのか好奇心で見守るでもなく……これは…一体どういったものなのか」

 

 

 ふむ…タカネの人間関係とか、人に対する価値観は色々と特殊過ぎるから、俺も正直分からないな。

 とは言え、話を聞かせろと言うなら吝かではない。…今回、あんまり接触してないけども。

 

 タカネが求めているのは、ユノのプロフィール等の情報ではないだろう。彼女の何かがタカネの興味を引いた…となると、まず真っ先に考えられるのは、血の力……いや、これは違うな。

 確かにユノは血の力のようなものを歌に籠める事ができるが、そんな事はタカネにしてみれば朝飯前だ。下手をすると、俺以上に血の力を扱えるんだしな。

 となると、次点は…歌そのもの?

 

 歌唱力という点において、ユノはタカネと真向から張り合える数少ない存在だろう。

 情熱や真剣さという意味で言えば、恐らくユノに軍配が上がる。タカネにとって、アイドル稼業も含めて人との交わりは、一種の戯れのようなものでしかないのだから。

 その真剣さや自負が、タカネの心の何かを動かしたのかもしれない。

 

 

 ともあれ、ユノとの共同ライブは間近に迫っている。そこで何が起きるのか…俺にとっても、興味の対象だった。

 

 

 

神呑月

 

 

 相変わらず案内を務めてくれるフランと一緒に、ローマに到着。…Y字ポーズを決めたくなったが、何とか我慢した。

 ローマの街並みも酷いものだ。壮麗だったであろう建築物も、今や痕跡が残っていればいい方。コロセウムとか見て見たかったんだけどなぁ…。

 

 ま、言っても仕方ない事だ。いつか復興される事を祈ろう。或いは、いつもの夢でそれっぽい場所に飛ばされるか。

 

 

 それはそれとしてフランから教えてもらったが、ヴェネツィアでの考えは当たりだったようだ。小さな規模だが、黒蛛病に感染したネズミのコロニーが発見された。

 …ペスト再来? と言ったら不謹慎だと言われたが、シャレにならない可能性はあるらしい。

 ネズミに歌を聞かせて治療ってできるのかな…。

 

 しかし、可能性を提示して、わずか数日で発見? 運が良かったのか、コロニーが調べやすい所にあったのか、それとも数が多くて見つかったのがそこだけだったのか…。

 

 

 つーか、真面目にシャレにならんよな、コレ。ローマから引き返して、ネズミ全滅させた方がいいんじゃないかってレベルで…。

 ネズミの繁殖力や適応力を考えると、冗談抜きで世界規模のパンデミックになるんじゃ…。

 

 

「だとしても、現状で私達に出来る事はありません。引き返す事はできますが、それで対処が出来るとでも?」

 

 

 …無理だな。巣を潰すだけならともかく、全滅させる必要がある。

 大物狩りは専門だし、小物を蹴散らす事もできるが、相手が小さくて多すぎる…数の力で圧殺するしかない。そして、それを俺が担当する必要はない。ネズミを相手に数で勝負ってのもゾッとしないが。

 

 

「そういう事です。…良からぬ情報が、もう一つあります。極東の事です」

 

 

 …ラケルてんてーか?

 

 

「……分かりません。正直に言えば、あなたがあの人をそこまで嫌悪し、敵として扱う理由すら、私にはわかりません。フライアに居た頃から、水面下で冷戦を行っていた事には気づいていましたが、今もってその理由が分からないのです」

 

 

 あー………うん、まぁ…傍から見ればそうなるか。

 ロミオやジュリウスだって、最初は全然疑ってなかったし。外見は物凄く胡散臭いけど、やってる事は…まぁ、一見すると善人なんだよなぁ。

 俺だって、シナリオの知識が無くて、現実に彼女に出会って何らかの形で助けられてたら、あの人心掌握術から逃げられた自信は無い。

 

 

「私も、フライアで務めていた身ですし、それなりの家の生まれでもあります。組織運営の為のグレーゾーンの取引が何度かあった事も把握しています。ですが、それはあなたがあの人を敵視する理由にはならない筈です」

 

 

 …そうだな。そこは理由になってないな。グレーゾーンのは。グレーなんざ、俺自身が何度もやってる。

 むしろ、下手しなくてもグレーよりもブラックぶっちぎりの行為の方が、ずっと多いだろうな。仮にラケルてんてーが同じ事をやってたとしても、俺は敵視しないだろう。利害の不一致でもない限りは。

 

 

「では何故」

 

 

 ……俺なんぞじゃ及びもつかないくらいに真っ黒なんだよ。下手に情報を漏らすとフランも危険だから黙っておくが、マッドなんてレベルに収まらない。

 比喩も誇張も抜きで、人類を全滅させかねない事をやってるんだ。

 …信じられないかもしれんがね。

 

 ところで、そのラケルてんてーがどした? 

 

 

「あ、いえ、ラケル博士の事ではなかったのですが…さっきのは単に以前から気になっていた事を聞いただけなので。改めて、極東の事ですが…アラガミ達の様子がおかしいようです」

 

 

 アラガミが妙な事になってるのはいつもの事だが、それを踏まえてもおかしい? 具体的には?

 

 

「赤い雨を好んで浴びるアラガミが目撃されているのが、一つ。新種…なのか亜種なのか判断が付きかねますが、新しいアラガミが何種も出現しているようなのです」

 

 

 …ふむ? 新しいアラガミが出るのは珍しくないが、その数が異常。

 赤い雨を好んで浴びる……確かに妙だな。水が雨を好むアラガミは確かに居るが、赤い雨はアラガミにとっても毒に近い。感応種の類じゃないんだな?

 

 

「ええ。通常のアラガミだそうです」

 

 

 …感応種になろうとしている? いや、赤い雨と血の力は確かに似通った所があるが、黒蛛病になっても血の力は得られない。アラガミがそこまで理解しているかも怪しいが…。

 イヤな予感はするが、具体的にどうってのが思い浮かばんな。

 いずれにせよ、変わった行動をするアラガミやモンスターは、毎度毎度俺の死に直結している。もっと情報が欲しい所だ。

 

 

「…分かりました。情報を集め、後程レポートとして貴方に渡します」

 

 

 感謝。…しかし…全然有給じゃないなぁ。真面目で優秀すぎて、苦労人だなこの子…。

 自律しているように見えて、上司から命令されたら断れないタイプか? 極東人でもないのに、社畜根性でも持ってるんだろうか。サバト趣味も、その反動だろうか…。

 

 

 っとそうそう、新しいアラガミってのは?

 

 

「……これは、半ば未確認情報に近いのですが…幽霊のようなアラガミだと」

 

 

 幽霊…? ニュクス・アルヴァみたいに、触れられないタイプか?

 

 

「近いですね。触れられないのもありますが、見えはしても記録できない現象が発生しています。アラガミの幻影……と言うよりは、幻影『が』アラガミ…のようにも思えます。あくまで伝聞ですが…」

 

 

 …そういう奴、居るなぁ…。

 ていうか、鬼って本来そういう物だもんな。化ける化かす唆すは奴らの本分だ。

 鬼のようなアラガミが増えてきている。MH世界のモンスターに似ているアラガミが出るんだから、討鬼伝世界の鬼に似たアラガミが出てもおかしくない…と考えてはいた。事実、何匹かそれっぽいのも出てきていたが、随分と大っぴらに進化しているようだ。

 

 これは、ラケルてんてーの計画の範囲内なんだろうか? いつぞやのループでは、俺達を迷惑がったアラガミに、諸共に吹き飛ばされたものだが。

 

 

 …場合によっては、ライブツアーの同伴を放り出してでも、極東に戻る必要があるかもしれない。

 

 

 

「…飛行機の手配は必要ですか?」

 

 

 いや、奥の手を使って、誰にも知られずに移動する。もしもそうなった場合、アイドル達が動揺するかもしれん。そっちのフォローを任せていいか?

 

 

「私の担当範囲に居る間は引き受けますが…自分で関係を持った相手なのですから、責任もって自分で話をしておいてください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、それはそれとして、ローマの状態について説明しなければなるまい。

 ローマの街並みはアラガミ達の氾濫によって大きなダメージを受けた。歴史的建造物が消え去ったのは、その筆頭と言っていいだろう。コロッセオくらいしか知らないけど。

 だがその反面、人々の生活は世界的に見てもトップクラスの質を維持しているらしい。

 

 何がどうなってそうなったのか訳が分からないが、飢えている人も少なく、仕事も多く、そして支払いも滞ってない。非常に健全な状態にあると言えよう。

 福祉施設も整っており、特に浴場は非常に安い料金で利用できる。…まぁ、日本で想像するような静かな銭湯じゃなくて、中で運動したりもする、公園のような施設のようだったが。

 

 …何と言うか………古代ローマに逆行したようなイメージがあるな。

 実際、道行く人の服装も、近代的な物ではなくゆったりとした布を巻きつけたような物。簡易のローブといえばわかりやすいか? …成程、あれなら加工の手間も少ないし、原材料もあまり必要ない。

 質実剛健を体現したような街並みだ。

 

 アラガミによって大きなダメージを受け、それでも生活の質を維持する手段を求めた結果、過去の文化に目を付けた…って事かな。

 

 

 まぁ、ローマもそう簡単に今の状態に落ち着いたのではなく、つい最近まで結構な悶着があったのだそうだ。

 近代的な暮らしから、古代の暮らしに戻れって言われれば、そりゃ簡単に受け入れられる筈もない。

 

 それが受け入れられたのには、一人の男の活躍があるのだそうだ。

 えらく古めかしい衣装(今ではローマの流行最先端らしいが)を纏い、これまたえらく古い言葉をしゃべる一人の壮年が、「ローマとはかくあるべし」と声を張り上げ、また古代の…主に風呂…テルマエをどんどん再現していったのだとか。

 

 最初は古めかしさでバカにされていたそうだが、古い技術ではあっても使いどころ。現代の精密すぎる程精密な部品を必要とせず、また重機を必要とせず人力のみで組み立てるその技術が注目され、徐々に評価が上がって来た。

 最終的には、古めかしかった筈の古代ローマ衣装や技術は、省エネという名目で受け入れられ、一見時代遅れながらも、逆にどの国よりも……極東は別格として……衣食住を保証された生活が実現されたのだそうな。

 

 余談だが、その立役者である男は、何故か毎回毎回風呂とか川とかから、死にそうな顔をして飛び出してくるのが特徴らしい。どっかで聞いたような、そうでもないような?

 …ま、男だからどうでもいいか。

 

 

 

 そんな土地柄でも、やってくるアイドルは楽しみらしく、あちこちにポスターが張られている。

 …何ともまぁ、持ち上げてくれるポスターだこと。

 

 次代の葦原ユノ、はまだいいよ。

 奇跡の歌声、大地を癒す光、歌と踊りの聖女、etc etc…。

 どうやら、アメリカで黒蛛病にかかった畑を浄化し、更に何故か石油を作り出した事が知られてしまっているらしい。…情報は洩れる物とは言え、幾ら何でも早すぎないか?

 

 まぁ、ユノとの対バンもあるんだし、相手をそれなりに盛り上げておきたいって打算もあるんだろうが…。

 何だかんだで、知名度や人気で言えば、ユノの方が高いんだよなぁ。こればっかりは、最初の黒蛛病抑制効果と、これまで活動してきた積み重ねだ。そうそう飛び越える事は出来ない。

 何より、彼女の歌に救われたファンは、同類が出てきたってそうそう鞍替えしないだろう。

 

 …別に問題ないけどね。ライブ対決して、人気で負けたとしても、ペナルティがある訳じゃないし。

 プライドっつーか、「ウチの子達が一番だ!」的な欲目があるのは否定しないが。

 むしろ、負けたらペナルティがあるのはユノの方だ。世界的な歌姫が、ポッと出のアイドルに負ける…。スキャンダルとは言わないが、商品価値に傷がつくのは確実だ。ファンも幾らか剥ぎ取られそうだし。

 

 ま、ユノ自身、こんなセコい事考えてないだろうけどね。そう言うのはマネージャーのサツキの領分だ。

 

 

 

 

 …ところで…街並みの話に戻るが、なんだ、古代ローマの街並みっぽくはあるんだ。ポスターを除けば。よくも悪くも、という枕言葉がつくけどな。

 具体的に言うと……娼館が多い。

 実際の古代ローマで娼館がどれくらいあったのかは知らないが、それっぽい建物が多い。裸のオネーちゃんの看板が、ちょっと路地裏に行けばあちこちにある。

 

 別に珍しいこっちゃねーな。世界中で物資や労働力が不足しているこの時代、世界最古の職業が沢山出てくるのはおかしな事でもなんでもない。

 むしろ、ちゃんとした店舗として経営している分、健全なくらいだ。

 事実、少しばかり調べてみたが、意外なくらいにしっかりとした経営をしていたようだ。体を使ったサービスであるだけで、接客業である事には変わりないんだなー、と今更のように納得した。

 むしろ、体を使っているだけあって、衛生面に徹底的に気を使っているようだ。

 質実剛健な、現在(古来?)のローマの娼館とは思えない……いや、むしろ質実剛健だからこそ、この娼館なのか?

 

 

 

 利用した訳じゃないが、そこに居るお姉さん達も、結構なプロ意識を持って働いていたようだ。

 …それこそ、アンチョビの意識に影響を与えるくらいには。

 

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