※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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第二種衛生管理者試験落ちた…。
再受験のインターバルは無いみたいだし、連続で受ければ同じ問題出てくるかな…。
でも、問題を覚えてなくて、どれが悪かったのか分からないんだよなぁ…。


第374話

 

神呑月

 

 

 「えらい目にあった」とはアンチョビの言だ。昨晩の初体験+その後の乱交の事だけでなく、野次馬根性丸出しで根掘り葉掘り聞き出そうとするリカミカシスターズの相手の事も含めて。

 まぁ、アンチョビも恥ずかしがりはするものの、惚気るのは悪い気分ではないらしく、結構語っていたようだが。

 初体験の過激さでミカとアンチョビが張り合っていたそうな。リカも充分に張り合える経験だったが、彼女の場合夢の中で初体験を済ませたと言えなくも無いし、どれが本当に初めてなのか全く分からない為、ハブられてしまったとブーブー文句を言っていた。俺の上で腰を振りながら。

 

 ともあれ、アンチョビは良くも悪くも変わった。チームアンツィオ間でのイザコザも解消され、より強い絆が出来上がったと言っていい。代わりに、R-18チームの総受け役に収まってしまったが。

 売春については、やはり今後は手を引く事にしたそうだ。個人個人が相手を選び、自分の意思で誰かと付き合うのは問題ないが、その場合でも金銭その他による対価を受けとるのは禁止。

 

 後始末…これまでの『顧客』の後始末については、追々行っていくしかないだろう。

 これについては不穏の種を完全に刈り取る事は難しく、予防を行っていくしかないが、強い味方を作る事ができた。

 リカだ。正確に言えば、彼女とその背後に居るGKNG。

 個人的に二人が仲良くなった事もあり、アンチョビはリカの直属の部下と言う事になった。本人達は友人であるが、形式的にね。

 

 それ何か意味あるのか? と言われれば、大いにある。特に極東では。

 何せ天下のGKNG。極東に流通する食物の殆どを、一手に牛耳る超団体であり、リカはそこの大幹部なのだ。彼女達と、その直属の部下のチームにちょっかいを出せば、アッと今に極東で暮らせなくなってしまう。冗談抜きで。

 そして、R-18チームの顧客だった相手は、大体極東の住人だ。

 

 チームアンツィオ自身の人徳に加え、GKNGの財力・マンパワー・影響力。スキャンダルになってでもチームアンツィオと離れる気のないアンチョビの人望。

 これだけ揃えば、迂闊にちょっかいを出してくるのは、前後や損得計算も分からない阿呆くらいだ。…居る所には居るのが問題だが。

 

 

 

 

 

 さて…今日語るべき事は………軽い話から済ませておくか。

 

 ここの所、俺達を興味深そうに眺め続けていたタカネ。アイドルとしての仕事も卒なくこなし、持ち前のスペックの高さもあって、総合力なら世界レベルでナンバーワンとまで称されるようになってきた。

 技術自体もさる事ながら、彼女には他のアイドルにない、圧倒的に有利な点が一つある。

 

 それは言葉だ。

 

 どの国のどの言葉でも、彼女はあっという間に習得してしまう。それこそ、現地人から見事な発音だと感心されるくらいだ。…スラングとかが混じるのは仕方ないと思う。

 そして習得した言葉で歌を歌う。耳慣れない言語での歌も異国情緒が溢れていいものだが、やはり耳慣れた言葉が聞きやすい。歌詞の意味も分かりやすい。

 何より、外国からやってきたアイドルが、自分達の国の言葉で、しかも非常に綺麗に歌ってくれるのだ。吹き替えや翻訳を通す事なく、生で。そりゃ人気も出るというもの。

 

 

 勿論、他の子達だって負けてはいないんだが……これについての話は、また後にしよう。

 

 今日のライブも大盛況(なんてレベルではなかったが)のうちに終わり、食事も終わり、さぁ後は寝る(意味深)だけ。今日は誰をどうやって遊ぼうかと考えていると、タカネに呼び止められたのだ。

 相談したい事がある、と言うのでついて行ったところ、予想外…いや、予想はできたな。地球で再会した時からして、やってみたいと言ってたし。

 

 彼女の相談とは、ぶっちゃけコレだ。

 

 

「性行為とは、それ程に心地よいものなのでしょうか?」

 

 

 …いきなり何を聞いてるんだ、と思った俺は悪くないと思う。

 

 

「私は、あなた様と再会した時にもそういった行為を行いたいと言いましたが、それとはまた別の疑問を持ったのです。性行為は、子を成す為の行動であり、また好意を伝える為の手段だと思っていました。私は子を成す必要がありませんので、他に好意を伝える方法があれば、特に性行為を行う必要はないと考えていました」

 

 

 まぁ…タカネと言うか、ノヴァにとってはそうなるよな。

 究極生物はセックスしないというカーズ様の言葉を考えれば、タカネはそれに最も近い生物だろう。…元のノヴァとしての体であれば。

 

 

「故に、あなた様が私を放置し、アンチョビ等を愛でていても、特に不満はありません。もっと構っていただきたいとは思いますが」

 

 

 …言葉とは裏腹に、何だか視線がキツい気がする。まぁ、タカネにしてみりゃ、このライブツアーも新婚旅行みたいなものだ。だと言うのに、連れてきたペットとばかり遊んでいれば、不満も溜まるか。

 

 

「ですが、そこで私は疑問を持ったのです。あなた様が何より好む、まぐわいとは一体どういうものなのか。知識としては知っていますし、試してもみました」

 

 

 ほう、試し……ためした!?

 

 

「はい。あなた様の真似をし、こう、乳房に触れ、股座を掻き回してみたのです」

 

 

 …そ、そうか。試したって自慰でか…。あぁ、びっくりした…。誰かがタカネの体を味わったのかと思ったぜ。

 心臓に悪いな…。……ネトラレなんてゴメンだってのもあるが、これだけショックを受けるとは。俺もそれだけ、タカネを好いていると言う事だろうか。

 

 

「しかし、心地よさはあったものの、あなた様やアンチョビ達が夢中になる理由が分かりませんでした。まぐわいとは、私を放り出して熱中する程に心地よいものなのですか?」

 

 

 うーん、そりゃ一人で性欲解消するのと、好きな相手と絡み合うのは全然違うもんだしなぁ。

 

 

「そうでしょうか。体を刺激するという意味で、同じなのでは?」

 

 

 タカネは片手を上げ、指を器用に動かした。一本一本の指が独立した生物であるかのように動き、そこには何もない筈なのに、胸を揉む動作であると言う事がすぐに分かる。

 …全く経験なぞ無いであろうに、その動きは熟練のもの………と言うか、俺の愛撫のやり方を、そのまま真似取ったような動きだった。

 いや、ような、ではなく、恐らく本当に動きをコピーしたのだろう。タカネの見ている前で、アリサの胸を弄った事があったからな…その時の動きを思い出して再現したのか。

 

 確かに、体を刺激するという点では、十分すぎる程の動きだろう。半ば自画自賛になるが、性感を引き出し、女を夢中にさせる指の動きだ。

 

 

 だが、違う。違うのだよ。体の刺激だけでは、セックスは語れないんだ。今のタカネの手の動きにしても、それはタカネの体に合わせたものじゃないしな。

 と言うか……タカネ、お前自分の体のコントロールできるよな。

 ひょっとして、神経と言うか感覚とかも制御下に置いて試した?

 

 

「ええ。あまりに夢中になって、暴走でもしたら厄介ですし」

 

 

 それだよ…。快感とかも一定ラインを超えないようにセーブして自制してるんじゃ、夢中になんかなる筈ないって。

 とは言え、心配は理解できるな。昂り過ぎて血の力が暴発でもしたら、とんでもない事になる。人間の体とは言え、元がノヴァ。精神力は折り紙付きだろう。

 

 

 …ん? 人間の体…?

 

 

 なぁタカネ。さっきは子を成す必要が無いって言ってたけど、今はどうなんだ?

 月にあるノヴァとしての体であれば、太陽の光でもあれば光合成みたいな事してエネルギーを生成できるだろうし、極端な話、単体で完結した生物として生きていけるだろうけど。

 

 

「子を孕めるかと言われれば、可能ですね。人としての体を作り上げましたから。人間の体で出来る事であれば、一通りの事はできます。……私が子を孕む、ですか…。考えた事もありませんでしたね」

 

 

 

 ノヴァとしては、子孫を残す必要が無かったからなぁ。

 …ちなみに、『ノヴァ』の体に戻る事って出来るの? いや、やれって言ってるんじゃないけど。

 

 

「できますよ。残った体に触れて、パスを作れば」

 

 

 ……月にある体に、どうやって触れる気だ?

 

 

「……………」

 

 

 タカネは空を見上げた。緑化した月が、満月でよく見える。

 

 

「………ま、別に問題はありませんね。重要なのは、あなた様の傍に居られるかどうかです」

 

 

 ポカしやがったな、タカネ。

 ……いや、ポカさせたのは俺か。俺がタカネを地球に呼び寄せたようなものだ。切っ掛けはちょっと祈っただけだったが、タカネはそれに応えて地球にやってきた。本来の不滅の体を捨てて、ただ俺の傍に居る為だけに。

 元の体に戻る事など、考えてもいなかっただろう。

 

 男に焦がれて地上に降りた天女は、羽を失って戻れなくなりました…か。

 こんな男の為に、バカなヤツ…。

 

 

「? どうかなされましたか?」

 

 

 もうタカネは、人間として生きていくしかない。中身…精神はノヴァだが、体は完全に人間だ。どうにかして月まで辿り着ければ話は別だろうが…それも厳しい。

 ノヴァの体であれば自力で大気圏突破もできただろう。金と人脈をフル活用すれば、ロケットで月まで行く事もできるかもしれない。…どちらも、当分は無理だろうな。

 

 

 

 …大した事じゃない。もっとお前に構ってやればよかったな、って今更思っただけだ。

 

 

「ふふっ、嬉しゅうございますわ。ですが、まるで既に死に別れたかのような物言いは減点です」

 

 

 おう、縁起でもなかったな、悪い悪い。

 …まぁ、何だ。まぐわいの事が知りたいってんなら、近い内に体験させてやるよ。

 

 

 

 約定ですよ、と念を押し、タカネは寝室に戻った。…あー、なんだろうな、この感じ。タカネの狙い通りにハメられたような気がする。

 だとしても、そう嫌な気分じゃないが。

 

 …いつもの俺なら、『近い内に』なんて事言わず、今すぐ体験させてやっただろうに。何だろう、このモヤモヤする感じ…。

 

 

 

 

 誰かを抱く気にも今一なれず、自室のベッドでボケッとしていたんだが……すぐにそれどころではなくなった。

 モヤモヤした感じ、予感の原因はきっとコレだ。

 

 

 

 

 

 

 

 ジュリウス、行方不明。

 

 

 

 連絡を受けた時は、『とうとう来たか』と思ったよ。元々、何か起こるとすれば、俺が極東に居ないライブツアー中だろうと予想していた。或いは、帰って来た時に、MH世界であったように大型アラガミが暴れている、とか。

 

 これは、ストーリー進行、クライマックスへのカウントダウンが始まったって事だろう。ゲームシナリオで言えば…ジュリウスが離脱したとなると、中盤の終わりくらいかな? しかし、黒蛛病に感染についてはどうなるのか…。

 詳しい情報を聞きたいところだが、極東でも結構な騒ぎになっているらしく、アリサ達とも連絡が取れない状態だ。捜索に駆り出されているのだろう。

 

 こう言ってはなんだが、一人のゴッドイーターを相手にここまで極東地区が大騒ぎする事は、普通は無い。リンドウさんのような超ベテラン、有名人であれば話は別だが。

 それがこんなに騒ぎになってるのは………あ、そうか。ブラッド隊の隊長だもんな。ジュリウスは極東にえらく馴染みはしたが、その所属はフライア。極東から見れば、よそ様の子をお預かりしている状態だ。それが行方不明ともなれば、責任問題になる。

 …ゴッドイーターとしての任務中の行方不明なので、死ぬのも職務の内と主張できない事もないが……相手はラケルてんてーだものな。どんな手を使ってくるか、分かったものではない。

 

 それに、ジュリウスはまだ数少ない血の力の使い手。感応種を相手にできる、両手で数えられる程の数しかいない重要人物だった。そりゃ、ラケルてんてーが何もしなくても問題にはなるわ…。

 

 

 そのラケルてんてーだが、不気味なくらい動きを見せないらしい。ジュリウスを心配していると口では言う物の、その態度は例によって人形のように落ち着いており、裏で何か策謀を仕掛けている様子も見えないそうだ。

 …どういう事だろう…。考えられるとすれば、俺達に察知できない方法で陰謀を進めているか。或いは、既に陰謀の仕込は全て終わっており、仕上げを待つだけになっているのか。

 フライアの内部がどうなっているのかも気になる。フランも有給扱いで締め出していたように、人をどんどん少なくして、自分だけの状態にしようとしているのか。

 

 

 …落ち着け。今から極東に戻った所で、出来る事は何もない。ジュリウスが行方不明になって、既にそれなりの時間が経過してしまった為、鷹の目による捜索も難しい。協力しても、一般隊員以上の協力はできない。

 世界の裏側からでも、数瞬で極東に戻れるのは最後まで秘匿しておくべき切り札だ。札を切ってしまいたいのは山々だが、ここは堪える。

 …ジュリウスを見捨てる、と言われると反論できないのが辛いな。ラケルてんてーの仕込だろうから、少なくとも死んではいないと確信しているが。

 

 

 

 …ちょっと待て、持っている情報を整理しよう。

 

 まず、ジュリウスが行方不明になったのは、とあるミッションの最中だ。聞いた話…簡潔にメールで送られてきた…では、特に珍しくも無い駆除任務。極東以外であれば、決戦とも言える任務内容だが、慣れたジュリウスにとっては特にどうこう言う程ではなかったようだ。同行者はブラッド隊ではなく、新しく配属された新人ゴッドイーター1人。

 事実、ミッション自体は至極あっさりと終了した。新人にも大きな怪我はなく、ジュリウスは完全に無傷。これはオペレーターも証言している。

 

 ジュリウスからの通信が突然途絶えたのは、ミッションを終えて帰投する直前。

 新人ゴッドイーターが、ほんの少し……そう、本当にほんの少し。物音に反応して振り返り、瓦礫が崩れ落ちただけなのを確認して前を向けば、もうジュリウスは居なくなっていた。

 オペレーターとの通信が数分途絶え、回復。ジュリウスの所在について問いかけてみれば、反応が一切ないと来た。

 

 …まるで神隠しだな。新人ゴッドイーターはその場でジュリウスを捜索しようとしたが、上官命令で引上げさせられた。

 そりゃそうだ、初陣を迎えたばかりのゴッドイーターが、極東地区を一人でウロウロするなんて、短時間でも自殺行為以外の何物でもない。二次災害にならないよう、帰還させて代わりの人員を出すのが当然だ。

 

 

 捜索の結果見つかったのは、以前にも発見された奇妙な形跡。小さな穴と、その近くに点在する大きな片腕だけの爪痕。

 その痕跡を辿って行った先にあったのは……何といえばいいんだろうか。継ぎ接ぎだらけの腕? の、形をしたガラクタ…?

 瓦礫や鉄や、その他諸々の素材を組み合わせ、形だけ整えた腕のハリボテ。

 

 

 その形を見たレアはこう言った。この腕は、ラケルてんてーの『お人形さん』の腕にそっくりだ、と。

 

 

 …そう、そっくりであって、その物ではない…らしいのだ。実際、ハリボテだしな。もしもあの『お人形さん』本体がそんな構造だったら大笑いだ。一発ド突いただけで、バコッと部位破壊完了とかな。

 冗談はともかく、それを回収し、フミカに分析を依頼しているところだそうだ。

 

 

 情報として届いているのはこれくらいか…。ああ、ジュリウスの彼女(暫定なのか確定なのかは知らないが)が、大分錯乱しているらしいが、これは今は置いておこう。

 

 

 

 

 

 はて、ラケルてんてーもどうするつもりなのやら。仮にジュリウスを今回の件で、人知れず確保したとして…黒蛛病に感染させるのは確定か。その後、病状が進行するまで、人目につかない場所に軟禁。

 その後、特異点と化したジュリウスを軸にして終末捕食を発動…か。

 

 …仮に、感染までうまくいったとして、それでジュリウスをどうやって抑え込む気だ? あいつの戦闘力はかなりのものだ。神機兵を使ったところで、そうそう無力化はできない。

 いや、誘拐されたと思われる時点で、恐らくは意識を奪う事に成功しているのだろう。そのまま目覚めないよう、投薬なりなんなりを続ければいいだけだ。

 

 そうなると…やはり、怪しいのはフライア内部、かな…。秘密を知る人間を増やさない為にも、ジュリウスを他の誰かに任せるとは思えん。

 

 

 

 …色々考えたが…一番有効な手段は、やはりフライア内部からのジュリウスの奪還か。ジュリウスの黒蛛病を治す手段はまた考えるとして、ラケルてんてーの目論見を防ぐには、これが一番だろう。

 

 

 

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