※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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第二種衛生管理者試験の成績が送られてきたので見てみると、あと1問…。
全部40%以上正解で、得点55%でした。
あと1問がと嘆くべきか、これならちょっと復習すれば何とかなりそうだと喜ぶべきか…。

とりあえず世界樹の迷宮で、執筆も勉強も手が付きませぬ。


第375話

 

 

神呑月

 

 

 やられた。先手を打たれた。

 フライアに居るのは、既にラケルてんてーのみ。そしてインターネットから完全に切り離された、独立した機械となっていた。

 俺の能力を知ってそうしたのか、単にハッキングの類を遮断する為の処置なのかは分からないが、とにかく電脳空間を通じてフライア内部に直接乗り込むという方法は取れなくなった。

 フライアはずっと補給もせずに延々と航路を走り続けており、接触のタイミングも掴めないらしい。

 この点からも、フライア内部に居るのは、ラケルてんてーのみ、或いはそれに心酔している数少ない人間のみである事が伺える。予め、たっぷり燃料類を買い込んでおけば、スタッフのストレス軽減の為に何処かに立ち寄る必要もない訳だしね。ここまで計算して、駐在スタッフを減らしていったんだろうか。

 

 対外的にどうしているのかと思ったが、そもそも連絡を取っていないらしい。

 

 

 

 …どうにも…中途半端だ。いや、徹底した結果そうなったのか?

 仮にも人間社会に紛れて陰謀を張り巡らせていたラケルてんてーが、外聞を放り出した。他人からの通信を全て遮断して、自分の路線を進み始めた。それは他人の付き合いを捨てた、というレベル……これなら中途半場の領域に収まる……を通り過ぎて、将棋やチェスで言う王手の為に、防御を捨てて『詰み』の為だけに動き始めたと言う事ではないか?

 となれば…それは完全に破綻したか、最終目的…つまり終末捕食への何らかの目途が立ち、必要でないもの全てを切り捨てる段階まできたのだと考えられる。

 

 思ってたより、余裕はないのかもしれない。

 

 

 

 それはそれとして、ジュリウスを誘拐したアラガミについて、幾つか判明した。

 無理もないと言うかなんというか……これ、ラケルてんてーは制御できてんのかな。

 

 結論から述べると…ジュリウスを攫ったのは、神機兵零號機だ。

 

 

 

 

 ただし、分離した。

 

 

 そう、分離だ。

 持ち換えられた腕のハリボテをフミカが解析し、極東マッド連中が色々調べたところ、幾つかの推論が出来上がった。

 今まで何度か発見された、腕だけの痕跡、足だけの痕跡。これらが出来上がった理屈は単純だ。

 

 そこに、その部位しか存在しなかったからだ。

 

 

 いつから神機兵零號機が、こんな風になっていたのかは分からない。少なくとも、設計したレアからして、根本的に別物と言わしめた。

 実際、こんな機構を持ったアラガミなんて前代未聞だろう。

 

 何せ分離だ、分離。

 分離が出来ると言う事は、当然合体だって出来るのだ。と言うか、俺が知っているあの神機兵零號機の姿は、合体済みの姿だったと言う訳だな。

 アラガミにしてはロマンに溢れた機能を習得したものである。

 

 まぁ、俺は女体との合体の方が好きだけど。

 

 

 しかも、合体よりも更にもう一つ、手順を踏んでいる。それを聞いた時の俺の感想は………一言で言えば『それなんてアルター能力?』だ。

 完全にそのものだったからなぁ。

 

 

 とあるアラガミを核として、周囲にあるモノを取り込み、それを分解・構成して体と成す。

 推定5体、或いは6体のアラガミがそれぞれ担当する部位を作り上げ、そして合体。まるで巨大な一体のようなアラガミのように行動するのだ。

 

 そして、そのアラガミとは…なんとアバドンである。

 ある意味、納得できると言えば納得できるのだ。今までの不自然な痕跡の近くで、小さな穴が見つかったという報告は多い。それがアバドンが空けた穴だったんだろう。

 それに、アバドンの素材は大抵の素材の代用品となる。その特異な性質は、俺が見てきた3つの世界の中でも特に珍しい物だ。他にあるとすれば、討鬼伝世界の万能の石くらいだろうか。

 何もかもを受け入れるその性質を活かし、その辺にあるものを全て取り込んで材料としたのだろう。

 

 …普通のアバドンがこんな事を出来る筈がないから、ラケルてんてーのお手製、改造済みのアラガミなんだろうが…よくこんなモノ作れたもんだ。

 

 

 ともあれ、アバドンとしてジュリウスに近付き、一瞬の油断をついて体(多分、腕だと思う)を構成、掻っ攫って逃げる。

 そのまま逃げ切れる筈もないので、体は放棄してアバドンは逃走。

 ジュリウスは……遠隔操作している神機兵でも使って受け取ったんだろう。

 

 

 …しかし、これはこれで疑問がある。隙をつかれたとしても、ジュリウスがそうそう戦闘不能になるのか? 一撃喰らったとしても、即死でもなければ確実に抵抗する筈。

 

 …が、これも既に疑問の答えは発見されている。

 フミカが分析した腕から、強力な麻痺毒が発見されているのだ。

 

 

 

 

 

 よりにもよって ラ ン ゴ ス タ の麻痺毒が。

 

 

 ヲノレ…よりにもよって、そいつの麻痺毒を習得しやがったか。

 ヤバさで言えば、ランゴスタ単体はそう危険ではない。もっと攻撃力が強くて、えげつない麻痺のさせ方をしてくるモンスターは沢山いる。

 

 だがランゴスタの麻痺毒が一番罪深い(確信)。

 同じ麻痺毒なら山ほどあったろうに、何故そいつのを選んだのか…。何らかの切っ掛けで進化したか、或いは進化したアラガミを取り込んだんだろうけど、本当に嫌がらせかと思う。

 

 しかし、これはジュリウスが一瞬で戦闘不能になり、連れ去られるのも納得だ。ハンターでさえ動けなくなる麻痺毒だからな…。

 俺の体感では、この手の状態異常への耐性は、ゴッドイーターよりもハンターの方が高いし。

 

 博打ではあっただろうな。その一刺しで、ジュリウスが麻痺するかどうか。もしも麻痺しなくても、アバドンの移動速度なら逃げ切れる可能性は高い。

 戦略的に、そう重要な相手でもないので、新入りを連れて無理に深追いはしないだろう。

 そう考えると、失敗しても再度仕掛けられる可能性は高いか。

 

 何にせよ、ジュリウスがラケルてんてーの手中に落ちた前提で動くべきだ。ジュリウスを奪い返す時間はあるか?

 ……奪い返す事自体は、できると思う。ただし、ジュリウスが本当に、フライアの中に居るのであれば、だ。

 ラケルてんてーだもんなぁ…。俺らの予想を裏切って、実は…って事も大いに考えられる。

 

 

 …やはり、フライアは武力鎮圧を前提とするべきか。それも、中に乗り込んでどうこうじゃなくて、外から大火力でぶっ飛ばす勢いで。実際、前回は中に乗り込んだところを、アラガミ達の合体技で纏めて吹っ飛ばされたんだしな。

 下手に敵の内部に入らず、まとめて潰すのが上策だ。…問題は、それにジュリウスが巻き込まれないかって事だけど。

 

 

 

 

 なんだかなー。色々考えれば考える程面倒になってくるな。やっぱり、今から電脳空間経由で極東に行くかなぁ…。

 

 

神呑月

 

 

 極東のアラガミの変化が激しすぎる。昨日の日記に書いた神機兵零號機もそうだし、MH世界のモンスターっぽいアラガミ、討鬼伝世界の鬼っぽいアラガミ等が現れていたが…もう一段、見逃せないアラガミが現れてしまった。

 いやもう本当に、幾ら何でも頻繁すぎないか? これも何かの異変だろうか。アラガミの進化スピードは元々早いものだが、幾ら何でも度が過ぎていると思う。

 

 ともあれ、今回のアラガミの変化は、他に比べるとまだ納得がいく。変質度合いとしては、大人しいとさえ言えるだろう。

 その凶悪さは、大人しいなんてとても言えたものじゃないが。

 

 

 極東のアラガミの一部が、赤い雨を積極的に浴びていた、という話を覚えているだろうか?

 アレの意図がようやく分かった。感応種になるつもりなのか、なんて考えていたが、話はもっと単純だった。

 

 毒を身に着けようとしていたのだ。

 珍しい話ではない。毒を持つエサばかりを喰らう事で、体内でより強力な毒を作り上げるというアレだ。

 

 

 あいつら、それを赤い雨でやりやがった。つまり…。

 

 

 触れたら黒蛛病になるアラガミ誕生だよオラァン!

 

 

 実際、最初に遭遇したゴッドイーターと、その後感染が発覚するまでに身体的接触をした数人が、既に発病してしまっているらしい。

 冗談じゃないと言うか、本気でタチが悪いぞこの進化。

 

 何せ黒蛛病だ。未だに治療法は、俺か、一部のアイドル達の歌しか見つかっていない。自然治癒は一切期待できない。

 例え攻撃した時の返り血を浴びただけでも感染の危険があり、感染したらミッション終了しようが病院に入ろうが治らない。

 ゲーム的に言えば、戦闘に参加したNPCが、確率で無条件リタイアしてしまうようなものだ。

 

 しかも、そのアラガミによって受けた黒蛛病は、従来の黒蛛病よりも進行が速い傾向があるらしい。

 今は極東に残ったアイドル達の一部が、血の力を歌に宿す事が出来るようになったので、それによって進行を抑えているそうだが…それでも深刻過ぎる問題だ。

 

 

 その結果、俺かタカネのどっちかに、急いで極東に戻るよう要請が来ている。まぁ、黒蛛病完全治療って、俺とタカネしか出来てないからな。

 ライブツアー中にパワーアップしたミカ達でも出来なくはないが、そっちは医学的に検証した訳じゃないからな。回復はしても、完治したのかと言われると…様子見するしかない。

 

 ともあれ、そういう訳で、どっちか戻らないとイカンのだが…。

 

 

「まぁ、タカネさんと貴方とでは、貴方になりますよね」

 

「えぇ…開祖様、帰っちゃうの?」

 

「えぇ、じゃないわよリカ。…まぁ、言いたい気持ちは分かるけど。でもライブツアー中に、タカネさんが抜ける訳にもいかないでしょ。今や、葦原ユノと張りあえる超大物なんだから」

 

「ジュリウスさんの行方不明も心配だしな…。それじゃ、開祖様が極東に戻って、黒蛛病になったゴッドイーター達を治療するって事ですか?」

 

 

 そーなるな。ライブが直接見れないのは残念だし、またゴッドイーターばかり優遇してると騒がれそうだが、事が事だ。

 黒蛛病の病原菌持ちになったアラガミは、さっさと駆除しておきたい。下手をすると、他のアラガミまで同じ性質を持ちかねん。

 

 こっちの護衛については、フランを介してシックザール支部長とかが色々手配してくれている。

 

 

「ああ、この前の…ディバイダ―だっけ? 紅茶の美味しかった人とか」

 

 

 そういう事。ちなみに女の子メインだ。

 仮にもアイドルの近くに、護衛とは言え男が居たら、問題視するヤツも出てくるしな。

 

 

「…言ってておかしいと思いません?」

 

 

 俺は問題視させなかったからいーんだよ。これでも、背後で色々やってんだぞ。ちみつなせっていだけどな!

 

 

「背後(意味深)」

 

 

 お前ら以外にはシとらんわい。そりゃ、地位持ってるヤツを狙って篭絡する方法もあったけどな。

 それに使う時間と労力と精液は、お前らと遊ぶ方に使ってたし。

 

 まーとにかく、そういう訳だ。葦原ユノとのライブ対決の場に居られないのも、その後のライブツアーで一緒に居られないのも残念だし悪いと思うが、向こうを放っておく訳にもいかん。

 詳しい事は言えんが、冗談抜きで世界規模の災害に繋がる可能性がある。下手すると、ライブツアーどころじゃなくなりかねん。

 

 

「…まぁ、事が黒蛛病関連なら、そう大袈裟に語ってるとは思いませんが…」

 

「あ、タカネさんはどう思います? ……タカネさん?」

 

 

 そういや、さっきからずっと黙りっぱなし………お、おう?

 いつもの平然とした顔つきだが…なんか、不機嫌になってない?

 

 

「いえ、それ程でも。ええ、私は夫に理解ある妻でありたいと思っています。ご友人の危機でもありますもの。止める事はいたしません」

 

 

 ……言葉にトゲを感じるな。 

 心当たりがないとは、口が裂けても言えないが、今まで大抵の事は平然と流していたタカネにしては、珍しい態度ではある。

 

 まぁ、無理もないかぁ…。新婚旅行(タカネ視点)に来たと言うのに、旦那は嫁さんではなくペット(タカネ視点)と遊んでばかり。挙句に、仕事で呼び出されたからと旅行を途中で切り上げ、後は一人で旅行+ペットの世話をしてくれ、と言っているのに等しい。

 成田離婚どころの話じゃないわ。しかも、『近い内に可愛がる』と言っておいてコレだもの。

 

 …流石に愛想つかされないか、心配になってきた。と言うか普通は尽かされてる。

 帰る前に一発…いやダメだ。そんな義務的かつ慌ただしい行為で、タカネが満足する筈ない。むしろ、誘った時点で怒りを煽りそうだ。

 

 タカネが好意を要求しているのにも拘らず、俺が他の女にかまけてばかりなのに怒らないのは、浮気に寛容だからではない。単純に、それを浮気と考えてないからだ。ペットに悋気を出す必要はない、と考えている。それが、自分も気に入っているペットであれば猶更。

 決して勘気が無い訳ではない…と、思う。

 こいつを怒らせると、俺でもシャレにならんのだよな…。戦って負けるとは思わないけど、手加減できる自信もない。

 

 今まで後回しにしてきたんだし、本当に何か埋め合わせをしないとな…。

 

 

 

 

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