※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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6連勤…トラブルによる休日出勤を含めれば9連勤…。
お盆にそれはきついって…。
それが終われば2連休。
最低限の仕事だけこなして、体力を温存したいところ…。


第377話

 

 

神呑月

 

 

 今頃は、タカネ達はローマでユノとライブ対決の直前か。出来ればテレビでもいいから見たいんだが、その前にやる事やっておかないと。

 ジュリウスの捜索状況、音信不通となったフライアの事前調査、最近のアラガミ達の動向…。

 

 リヴィの極東地区への編入は、さして時間をかけずに終わった。どうやら本当に支部長に兄が居て、何やら連絡があったらしい。

 …随分あっさりと受け入れるもんだなぁ。支部長の事だから、拒絶はしなくても難癖つけるか、それを利用して何やら取引くらいはすると思ったのに。

 

 

「…君は少々物事を穿ち過ぎだな。私とて、信頼を寄せる相手はいる。兄ほど実直な人間も珍しいからな…。下手に諍いの種を作ろうとは思わんよ」

 

 

 さいですか。頭が上がらない人…なんだろうか?

 何故か自分の頬を擦りながら言う支部長だが……ひょっとして、色々バレてぶん殴られたとか? 実際、支部長は殴られるどころか、縁切り撲殺社会的抹殺が当たり前なくらいの事、いくつもやってるからなぁ…。俺も人の事は言えんが。

 何にせよ、この支部長相手にそこまでやれる人は貴重だな。 

 

 

 ともあれ、リヴィはブラッド隊の補佐として正式に就任する事になった。隊長であるジュリウスが行方不明なので、ロミオが隊長代行、シエルがその補佐をしている。

 結構うまく回ってるようだな。ジュリウスを心配するあまり暴走してないかと思っていたが。

 

 さて、リヴィがブラッド隊に就任するにあたり、最優先しなければならないのは、血の力の習得だ。ブラッド隊はその性質上、感応種と戦う機会が非常に多い。

 血の力がなければ、神機が停止し、どれ程凄腕のゴッドイーターも、戦闘力を喪失してしまう。

 血の力を持つ者が近くに居ればそれは防げるが、感応種がどんどん増えている現状、ブラッド隊は別々のミッションに駆り出される事も多かった。

 

 

「…ああ、それは分かる。血の力が有用な物で、ブラッドアーツが強力な物であると言うのは、私もよく知っている。今後の戦力強化は私も望むところなので、異論はない。だが…」

 

 

 だが?

 

 

「どうしてそこで、アイドルと一緒にレッスンなんだ!? 私は! アイドルではなく、ゴッドイーターだ! 歌って踊れるような、煌びやかな人間ではない!」

 

 

 仕方ないじゃーん。血の力に目覚める為の訓練、ここでしかやってないんだから。

 そりゃ俺が居れば訓練自体はできるけど、訓練というかレッスンを受けたがってるのは、アイドル候補生達も同じなんだもの。

 彼女達の血の力が目覚めれば、それだけ黒蛛病に対する治療手段も増える事になるし、何だかんだでこのやり方が一番実績とノウハウを積んでる。

 だったら、一緒にやった方が合理的じゃないか。

 

 

「ぬ、ぬぅ…」

 

 

 呻き声が男らしい。

 別に歌えとも踊れとも着飾れとも、『キラッ☆』しろとも言わんよ。慣れない人種との触れ合いに戸惑うのも分かるが、割り切ってやってくれ。

 

 

「…仕方ない。あまり多人数との接触は好ましくないが、何とかやってみよう…」

 

 

 チラリとアイドル達を見るリヴィ。現在、ダンスのレッスン中だ。うむ、眼福。

 リヴィはと言うと、自分とは違うキラキラした人種に気後れしているようにも見える。まー気持ちは分からないでもない。

 

 …女らしくなれば、ロミオも振り向いてくれるかもしれないぞ………とは言えなかった。

 ソッチ方面の波風を立てて見物するのは楽しそうだが、修羅場になったり人間関係が拗れたりしてしまったらシャレにならない。特に、ロミオとその彼女は…破れ鍋に綴じ蓋状態と言うか、ある意味奇跡的なバランスで釣り合ったからな…。

 

 

 とりあえず、レッスン自体は至って真剣。リヴィもアイドル系のレッスンをわざわざ受けさせる理由は無いし、血の力関係のレッスンのみにした。

 それ以外の時間は、各種ミッションやジュリウス捜索に当たっている。

 

 …筋はいい…な。間違いなく才能はある。上達スピードが目に見えて違う。流石に一朝一夕では目覚めないだろうけど、ちょっとした切っ掛けがあれば、多分…。

 ロミオに聞いてみたところ、リヴィはかつて…それこそロミオと面識が出来る前は、ラケルてんてーの『お気に入り』だったんだそうだ。ジュリウスが現れてから、ラケルてんてーに見放されていたそうだが……ひょっとして、ジュリウスが見つからなければ、特異点候補として育てるつもりだったんだろうか? この血の力の才能がその証か?

 と言う事は、上手くすればリヴィを通じて終末捕食に影響を与える事も…?

 

 …いや、無理だな。性質的にどうかはともかく、リヴィは血の力に目覚めようとしている段階で、ジュリウスは覚醒して長く訓練を続けてきた。才能が同等だったとしても、研鑽が違い過ぎる。 

 

 

 

 

 さて、リヴィの話は一旦置いておく。

 ジュリウスが心配でも、夜のオタノシミはキッチリやっている俺達だが、皆が集まる前に、俺、アリサ、レアの3人で相談中。つまり、ループの事を知っている面々だ。

 

 

「…色々と差異はあるけど、重要な部分は『前回』や『シナリオ』に近い…かな?」

 

「ジュリウスの行方不明、フライアの孤立。恐らく、ジュリウスは強引に黒蛛病に感染させられているでしょう。ラケルは、フライアの中で終末捕食の準備を進めていると思った方がいいわ」

 

「『前回』は、それを阻止する為にフライアに侵入して、周囲のアラガミの合体攻撃でフライアごと吹き飛ばされた…でしたっけ?」

 

 

 うん、それで合ってる。ここ最近のアラガミ達の様子はどうだ?

 前と同じような、他のアラガミを協力させるような感応種が出てるか?

 

 

「未知数としか言いようがないわ。最近のアラガミの進化速度、変化速度は異常の一言よ。どんな力を持ったアラガミが出てきてもおかしくないけど、消えていくアラガミも多い。…まるで、何かに追い立てられてるみたいね」

 

 

 追い立てられる…か。

 実際のところは分からないが、フライアに突入した時に、周囲のアラガミも狩り続けるしか対処法が無いな。

 

 

「ああ、それ聞きたかったんですよね。『前回』もフライアは、何処にも止まらず、車とかでも追いつけないくらいのスピードで運行してたんですよね。どうやって乗り込んだんですか?」

 

 

 爆撃。

 色々方法はあったけど、フライアを稼働させたままにすると何が起こるか分からなかったから、大きな損害を与えつつ侵入しようって事になった。

 俺を迎えにいこうって、ロケットの開発してただろ? それを借りて、破棄される部品が丁度フライアにぶつかるようにした。で、動きが止まった所に突入。

 

 

「何とも、大雑把と言うか豪勢と言うか…。わざわざロケットを使わなくても。破壊力は高そうですが」

 

「よく当たったものね…。さて、今回はどうしようかしら。『前回』のようにロケットを使う為に交渉に行ったら、戻ってこれなくなりそうね。一番大事な場面に居られないのはちょっと…」

 

 

 それは我儘…とも言えないよなぁ。レアにとっては、妹がどうなるかの瀬戸際でもある訳だし。

 突入チームはブラッド隊で固める…いや、拘る必要もないか。モチベーションという意味ではブラッド隊が一番だろうけど。

 

 順序としてはフライアを足止めし、突入チームが突っ込んで、出てくるまで殲滅チームが周囲のアラガミの排除、か。手間がかかると言うか、人手が要ると言うか。

 

 

「………あの、そもそもなんですけど……ライブの録画見ながら話す事ですか?」

 

「乱交前に話すような話題でもないから、今更でしょ」

 

 

 …はい、真面目な話をしているよーで、俺達はユノとタカネ達のライブ対決の映像を見ています。リアルタイムでないのが残念です。

 リアルタイム放送時間は、俺も仕事中だったからな…。無理言って休ませてもらえばよかったと、今でも思う。

 

 映像では猛烈な盛り上がりを見せているところだ。

 血の力を歌に籠め、感情に直接揺さぶりかけるようなタカネ達。それに真正面から渡り合うユノ。

 

 元祖歌姫の底力って感じだなぁ…。というか、『前回』以上に歌唱力が上がっている気がする。タカネ達にライバル意識でも持って、特訓とかしたのかもしれない。

 特に圧巻だったのはアレだな。タカネとの一騎打ち……と言いたいところだが、アンチョビと張りあった時だ。

 既にローマにも人気や芸風が浸透しているアンチョビ。チームアンツィオのサクラ(と言うには本気で楽しんでいるが)達がいつものコールを始める。

 

 

「「「「ドゥーチェ! ドゥーチェ! ドゥーチェ! ドゥーチェ! ドゥーチェ!!」」」」

 

 

 そして同時に湧き上がる、ユノを応援する声援。

 

 

「「「「ローマ! ローマ! ローマ! ローマ! ローマ!」」」」

 

 

 …二人への声援で会場が埋め尽くされ、歌の声が聞こえなくなったくらいだった。

 まさかここでローマコールを聞く事になるとは。

 というか、そこはユノコールじゃないのか。あっちの人には発音しにくい名前なのかな。そもそも、ユノを応援している事になるんだろうか。なるんだろうなぁ、そういう空気だったし、ローマは全てに通じるからユノもローマの一部であって……はっ、いかんいかん、ローマに呑み込まれるところだった。

 

 

 まぁ、何にせよ、既に話はライブ対決どころじゃなくなっていた。元々、『ライブ対決』なんて言って騒いでいたのはマスコミや観客達だけで、当人達はそんな言葉は一言も使ってないんだよなぁ。実際にそのつもりが無かったかは別として。

 テンションが上がりに上がった結果、勝敗なんてとっくに忘れちゃってるみたいね。

 ライブのクライマックスは、ユノも含めた全員が揃って熱唱。流石に全員で練習した新曲な無いので、アレンジ・アドリブメインだったが、現地に居ない事が本当に悔やまれる…! ジュリウス、何でこのタイミングで行方不明になった……!

 

 

 ライブの映像を見終わって、ぼちぼち今夜のオタノシミメンバーも集まって来たので、もう一度最初から。

 今度は、彼女達のカラダがどうなっているのか、どんな風にして抱いたのか教えながら見てみよう。

 

 

 

神呑月

 

 

 嘘だッ!と思うかもしれないが、俺だってセックスばっかりしてる訳じゃない。隙あらば女を抱いているのは否定できないが、ジュリウス捜索だってちゃんと参加しているのだ。

 俺の場合、ジュリウス自身を探すと言うよりも、ラケルてんてーの仕業だって事を証明する為の証拠探し&証拠捏造作業だけど。

 

 ジュリウスがフライアに居るのは俺にとっては確定事項だが、支部長達にとってはそうではない。

 フェンリルとして強権を奮おうにも、相応の手続きをこなさなければならない。『言ってる場合か!』って状況なのは支部長達も分かってるから、かなり強引に話を進めているが……それでも難しかった。

 

 が、ようやく許可が下りた。

 フライアへの突入作戦が公表されたのだ。

 

 

 これについては、ゴッドイーター達もかなり騒いでいた。そりゃそうだろう、フライアに突入すると言う事は、そこにいる人間に神機を向ける事になるのだ。

 実際に人間が残っているかは疑問だが。(ラケルてんてーとジュリウスは居るだろうけど)

 ゴッドイーターを人間相手に動員するなんぞ、とんでもない大事になりかねない。

 

 それを、支部長は「救出作戦」と銘打って押し通した。

 曰く、現在のフライアは暴走状態にあり、内部と連絡が取る事ができない。航路も正常な予定ルートを外れ、このまま暴走を続ければ何処に激突してもおかしくない。内部の食料類も、そう長くは保たないだろう。

 故に、フライアを力ずくでも停止状態にし、内部の人間を救出しなければならない…という建前だ。

 

 突入するのは極東でも有数の戦力を持ったゴッドイーター達が2チーム分。

 ブラッド隊はと言うと、ロミオ以外は周辺のアラガミ掃討に割り当てられた。

 

 これについて、ブラッド隊全員がフライア潜入に志願していたが、寄ってくるアラガミ達の中に感応種が居る可能性を考えると、全員で突入する訳にはいかなかった。

 結果、フライア内部を最もよく知っているであろうロミオが代表として選ばれた。

 まだ血の力を体得していないリヴィは、その戦闘力を買われて潜入チームに抜擢されている。

 

 

 纏めると……潜入チーム1は俺、リンドウさん、ソーマ、リヴィ。

 潜入チーム2は、ロミオ、アリサ、コウタ、そして………クジョウ博士だ。

 

 

 …うん、言いたい事は分かる。最後に一人、変なのが混じってる。

 色んな意味で…と言うより、あらゆる意味で危険なフラグの気配をビンビンに感じる。

 

 ちなみに本人は気合十分。「ラケル博士、今お助けに参ります!」と気炎を上げている。…こんなキャラだったっけか、この人…。

 真面目な話をすると、クジョウ博士は調査要員、或いは機械対策要員だ。

 フライアにはあちこちに電子機器があり、それを通じて情報を引き出す事が出来る。勿論セキュリティはかかっているだろうから、そこでクジョウ博士の出番と言う訳だ。

 

 俺も戦闘と探索に集中するだろうし、下手に電脳空間に入り込むと何か仕掛けられていそうだから、そういう調査専門の人がいてくれるのは助かるんだが…嫌な予感しかしないなぁ。

 ラケルてんてーに唆されて、利用されているか、裏切られるか、或いはここぞと言う時に無人神機兵を乗っ取られるか…。

 要注意としか言いようがない。

 

 

 

 なんか色々ツッコミたい点はあるが、作戦の話に移る。今回は時間が足りなかった事もあり、前回のようにロケットを借りてドカン!は出来ない。

 その為、代わりにフライアを止める方法が必要な訳だが…これがまた、予想外のところからその手段が湧いてきた。

 

 神機兵だ。

 

 それも単なる神機兵ではない。前回までは存在しなかった、異形の兵器達。クジョウ博士が浪漫という燃料をブチ込まれた結果、趣味に走って作り上げた神機兵達。

 その中でも特に問題…というか欠陥品扱いだった浪漫兵器が、何故か大量生産されていた。

 

 具体的に言うと、自走型自爆特攻兵器『カミカゼキング』。大量のオラクルを、たった一発の砲弾に詰め込んで発射した後、完全にぶっ壊れて修理も不能になってしまう『 ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲じゃねーか、完成度高けーなオイ 』。…最初の半角スペースと、オイ、までが正式名称であるのは言うまでもない。

 

 

 …ねぇクジョウ博士、何か辛い事でもあった? いやマジで。研究に行き詰まりでもした?

 

 

「は? いえ別に…。むしろ最近は、趣味と仕事の両立によって頭がバリバリ回転し、天啓を幾つも授かっているくらいです」

 

 

 それ回転のし過ぎで絶対オーバーヒートしてるって。というか、何だってこのイロモノ兵器ばっかり揃えてるんだ…。

 

 

「単純に、安価で作りやすかったので…。何せ必要なのが、遺された神機の破片のみ。しかもスキルを抽出した後の、抜け殻でも良いのです。まぁ、その性質上、部品の品質が安定せず、性能がピンキリという欠点もありますが」

 

 

 たったそれだけで作れるのか…。どんな構造してるんだ。

 

 

「徹底的に無駄を省いただけです。何せ無人機で使い捨てですので、安全装置等も最低限でよかったのです。遠隔操作の装置すら付けておりませんからな! …おっと、私は作戦の為の準備がありますので、失礼します」

 

 

 色々な意味で不安になるんですが!? …いや、ラケルてんてーにこっそり乗っ取られないだけマシと思っておくか…。

 しかし、一番酷いのはネーミングだ。一体どういうテンションの時に付けたんだろうか…。後にクジョウ博士が思い返して七転八倒するのを期待する。その為にも、クジョウ博士にはきっちり生き残ってもらわないと。

 

 …結局、クジョウ博士自身がラケルてんてーに何か仕掛けられているかは、確信が持てなかったな。同行する3人に、妙な行動をしないか注意を促しておくか…。

 

 

 

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