※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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第384話

 

 

 

凶星月

 

 

 ですわーぷ………なんつぅか……もう言葉も無いわ…。

 ていうか何だよアレ。ラヴィエンテ以上に理不尽なモノ見る日が来るとは、思ってもみなかったんだけど。

 いや、理不尽というか強引と言うか、アレがデウス・エクス・マキナってヤツか。魔を断つ剣じゃなくて、舞台装置的な意味の。

 どんだけ準備して事前調査してたって、無理だってあんなの。それこそ国家規模…じゃまるで足りないから、地球規模で防衛戦をやってようやくってレベルだ。地球防衛軍連れてこい。ストーム1をグロス単位で連れてこい。

 

 

 いつも通りに状況を整理したいところだが、正直言ってアレを言語化するのは非常に難しい。

 別に外なる神みたいなのが襲い掛かって来た訳じゃない。ある意味、それに近いのかもしれんが…。

 

 

 うん、出来る限り簡潔に表現してみよう。

 

 

 

 

 

 

 空を覆うサイズのミラバルカン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 空を覆うサイズのミラバルカン。

 

 

 

 

 繰り返す。

 

 

 空を覆うサイズの。

 

 

 

 グランミラオスでも、ダラ・アマデュラでも、ナバルデウスでも、ラヴィエンテでもなく、ミラバルカン。

 

 

 

 うん、マジで空を覆うサイズなんだ。

 月から出現して、巨大化しながら地球に接近し、太陽がもう一つ増えたんじゃないかと思う程の熱気をばらまいた。これだけで各地の気温が5度くらいあがったっぽい。大混乱だったから、正確な情報が取れた訳じゃないが。

 大気圏の空気がぶっ飛ぶんじゃないかと思うくらいの咆哮で、アラガミの食い残しの建物や大地は崩壊し、海は荒れて津波が押し寄せ、更に全国各地の火山まで大噴火。

 ヤツが飛び去った後には、竜巻と台風と大地震のオンパレード。巨体が動くって、それだけで脅威なんだよなぁ…。

 そこへ狙ったように…いや実際に狙ったんだろうけど、クトゥグアかと思うくらいの火炎弾までブチ込みやがる。あまりの熱量に耐え切れず、燃焼する前に消滅するレベルだった。

 

 そんな未曽有の大災害に、組織立って抵抗しようとしたフェンリルはマジで称えられるべきだと思う。殆どが…いや、事実上全てが無駄な抵抗に終わってしまったとしても、だ。

 一般人、技術者、有力者、何でもいいからとにかく大きな都市から分散して避難させた。食料等の手配が間に合ったかは想像したくないが……仮に間に合っていたとしても同じだったな。アレの前には、一切合切が消し飛んで終わりだ。

 事実、逃げ込んでいた避難所が、火炎…と表現していいのかすら分からない灼熱のブレスで次々に消し飛んで行った。地形を変える程の攻撃の前に、どれだけ地下深くに潜っていたとしても逃げられる筈がなかった。

 

 

 そして、ミラバルカン最大の攻撃であるメテオ…ゲームでは隕石ではなく火山弾という話だったが、これがまたガチでメテオになりやがった。しかもFF7方式のメテオだよ。問答無用にも程があるだろ。

 

 

 

 

 

 それが本家火山弾と同じレベルで降り注ぐんだぞ。ああ、世界の終わりとかアポカリプスとか黙示録ってこーいう事なんだな、って思ったよ。

 あの大質量が地球に降り注ぐ…接近しただけでも引力狂いまくって阿鼻叫喚だっつの。万有引力っつーけど、目に見える形で実感するハメになるとは思わなかったわ。

 あんなモンをどうにかできる奴は、某一撃男くらいだっつの。マジ殴り連発でようやくどうにか…でも直接殴らなきゃいけないから、カバーしきれんかな。

 

 

 フェンリルも突貫で迎撃兵器を用意しようとしたが、流石に無理だった。

 月を穿つような超兵器でも、まだ足りないレベルの隕石の嵐だもの。一つだって準備できない。

 一番有効なやり方が、某和名・最終戦争なアレだ。

 

 君の寝息を聴いているだけで起きていられたよ、目を閉じたくないんだ、か………ああ、閉じたくなんてなかったよ。

 増して、閉じる事さえできなくなったお前達なんて、見たくもない……ああ駄目だ、それでもずっと見ていたい。もう二度と目を開けないとしても。

 

 

 そうまでした作戦でも、壊せたメテオは3つだけ。一つぶっ壊せただけで偉業、二つで奇跡どころか宇宙神話レベルだった。

 3つ目は何と表現すればよかったのか。

 掻き集めた三つの宇宙船で…実は月に居た俺を迎えに来る為の船だったらしい…飛び立ち、一つは隕石への着陸失敗、一つは隕石破壊に成功したものの諸共に消滅、最期の一つは隕石破壊後に別の隕石に飛び立ち、カミカゼかまして諸共に爆破。

 ……だが、集まってくる隕石は三つ程度じゃ済まなかった。幾つかは互いの引力に惹かれ合って、ぶつかったようだけど……結局、地球に落ちてくるのには変わりなかった。

 

 …正直、俺も何処まで正気を保てたか怪しい。降り注ぐ破滅から女達を守る事もできず、隕石に挑んだ中に居ただろう知人達に言葉を送る事もできず。

 たった2日で破滅した世界の中で、あのミラバルカンに向けて叫び続けていただけだった。無論、叫んだところで何も変わりはしなかった。

 

 

 

 

 …誰も彼もが跡形もなく消し飛び、クレーターと荒れ狂う天だけが残る地獄そのものの風景の中、クサレイヅチが立っていたような気がしたが……正直、記憶に残ってない。

 

 

 

 

 

 

 

 そりゃ、あのGE世界で俺を殺そうと思ったら、自分で言うのもなんだけど一筋縄じゃいかないのは分かるよ。アラガミは新たな進化を遂げつつも、俺の相手になる程の力を得るにはまだ遠く。一切合切を飲み込む終末捕食は、その鍵であるジュリウスに一切その気が無く、特異点に至る為の黒蛛病も非常に軽い。

 本来の特異点であるシオに至っては、ソーマの旦那として生活していて、話にすら関わってこなかった。…嫁じゃなくて旦那なのはアレだ、シオは生活力がすっごく低いから…。家事はまだソーマの方が上手いらしい。あのソーマが、まともな家事ができるというのが驚きだがな。

 タカネなんぞ何を言わんや。星の意思や理なんぞ何するものぞとばかりに、人の生活を謳歌していた。メスとして躾けた結果、割と色ボケになってしまったのは公然の秘密だ。

 

 率直に言って、イヅチカナタが正面に出てきたら、問答無用でナマス切りに出来るだけの実力も身に付けていた。千歳を人質にされていたとしても、そこだけ避けて充分に殺れるくらいに。

 ちゅーか、ラヴィエンテが暴れてさえいなければ、MH世界の終りの時に充分仕留められてたな。言い訳にも慰めにもならんが。

 

 

 ちょいと話が逸れたが、世界と言うか何者かの悪意を感じて仕方ないって話だ。

 クサレイヅチを確実に仕留められるだけの力を持ったと思ったら、今度はあっちこっちから理不尽不条理な邪魔が入る。人生ってそういう物だと言われればそれまでだし、或いはイヅチが意識してそういう行動を取っている可能性もあるが…。

 何にせよ、デスワープの切っ掛けが無茶苦茶すぎないかい?

 

 

 ……いや、分かってる。確かに問答無用で出てきた、舞台をぶっ壊す為のデウスエクスマキナにしか見えないが、アレの動く理由は分かってる。

 

 

 

 

 怒りだ。

 

 

 アレはただ、怒りの塊だ。誰の物だったのか、誰と誰を取り込んだ結果なのか、それは分からない。

 

 

 ただ集まった怒りが同調し、凝縮され、膨れ上がって。

 

 

 

 その果て………ではないな。アレはまだ『途中』だ。

 一目見て理解した。アレは俺と同じ物だ。このままだと、いずれ俺もアレの一部と成り果てるだろう。

 さて、何といえばいいものか…。

 

 

 

 

 うん、まずはMH世界のミラについてだ。

 出会った事があるのは、ミラボレアス、ミラルーツ、そして今回のミラバルカン。元は人間であったアレらが、本当にミラ系ドラゴンなのかは分からない。MH世界の何処かに、最初からモンスターとして生まれ育ったミラ系ドラゴンが居て、結果的にその姿に似ただけかもしれないが、その疑問は置いておく。

 おそらく、俺が出会ったミラボレアス・ミラバルカン・ミラルーツは、全て同じように人間から派生している。

 

 ミラボレアスは、ミキ達の父親が、何らかの触媒によって死んだ後も動かされ、憎悪や失意と言った感情で埋め尽くされてモンスターとなった。

 もし、あの場で仕留められず、ミラボレアスとして長く生き延びていれば、僅かに残っていた人間としての記憶と理性と感情を失い、憎悪も消えていき……怒りだけが残る。

 そうなったら、ミラボレアスの体は黒から赤に染まり、ミラバルカンの誕生だ。

 そして、そのミラバルカンは、どういう経緯かは分からないが、あの巨大なミラバルカンに取り込まれる。

 

 更に時間が経って……いや、多分その怒りは消える事はないだろうから、奪われるんだろうな……何らかの理由で、ミラバルカンから怒りが消えた時。

 『漂白』されてしまった時、体は赤から白に変わる。

 絶大な力を持ちながら、怒りという余計な感情を捨て去り、ただ目的を果たす為だけに動き続けるミラルーツに変わる。

 

 

 

 要するにミラボレアスが原石、ミラバルカンはその原石を少し磨いて一つにまとめた物。そしてミラルーツは、それらを濾過して余計なモノを削ぎ落した純粋な結晶だ。

 …いや、ひょっとしたら濾過されて残った不純物の結晶こそが、ミラバルカンなのかもしれない。

 

 

 ……ミラルーツと夢で邂逅した時にもオボロゲに理解していたが…やっぱり、俺と同様にループに巻き込まれ、クサレイヅチを追いかけていた奴らが居るんだろう。

 それらの成れの果てが、ミラボレアス、ミラバルカン、ミラルーツ。

 

 …多分、あの巨大ミラバルカンと、俺が会ったミラルーツが戦えば、後者が勝つと思う。「どうやって?」と言われると言葉に詰まるが、少なくとも風格が違う。

 ミラルーツは泰然としている王者、或いは神、さもなきゃ自然現象そのもの、という印象。ミラバルカンは……感情のままに荒れ狂う獣だ。

 プレイヤースキルが非常に高い貧弱装備キャラと、装備スペックでゴリ押ししてレバガチャ暴れするしかないキャラとで、どっちが怖いかって話である。

 

 

 

 恐らく、あのミラバルカンは、普段から標的…イヅチカナタか、それに類する物を追って、言葉にできない場所を彷徨っているんだろう。

 それがどうやってこの世界に介入してきたのかは分からないが、空になったノヴァの肉体という媒介を見つけ、体を得た。

 

 

 

 

 

 

 …そして、標的であるイヅチカナタが居るであろう地球を薙ぎ払ったと。

 

 

 何と言うかさぁ…確かにクサレイヅチは、今でも俺の傍に居ると思うよ。腹立たしいなんてレベルじゃないが。

 でも、物理的にいるとは限らないじゃん。俺の気配センサーにも全然引っ掛からないんだし、多分どこか別次元と言うか、世界と世界の狭間的な所にいると思うんだよ。

 わざわざ世界の中に入って肉体作って暴れるより、よく分からん情報生命体っぽい状態のままの方が遭遇しやすいと思うのですが。

 

 物理的に薙ぎ払うにしても、せめてクサレイヅチが姿を現してからにしろよ…。そしてクサレイヅチだけ狙えよ。俺だけを巻き込むなら、まぁ色々思う所はあるが、許容範囲と考えておくから。

 あれだけの力があれば、クサレイヅチなんて虫けらみたいにプチッと潰せるだろ。何をハチの巣一つ壊す為に、島を丸ごとコンガリ焼くような真似してやがる。

 

 

 しかも、結局仕留め損なってるし。

 

 

 

 うん、そうなんだクサレイヅチまだ生きてるんだ。あいつも大概しぶといな。千歳諸共焼き殺されるところだったから、今回はナイスと言えなくもないが。

 俺がコンガリ焼かれてデスワープしそうになったのに慌てたのか、それとも炎に炙り出されたのかは定かではないが、周辺一帯…下手すると星そのものが灼熱地獄になった辺りで、あのクソイヅチは姿を現した。予想通り、俺の近くに潜んでいたらしい。

 

 …周囲に何もいなくなってたからな……逆に自由に動けるってのは皮肉だったわ。死んだのを確認した訳じゃないが、あの地獄の中で生き延びてるとも思えん。呼吸するだけで、下手なハンターでも致死級のダメージを追うくらいの熱気だった。この俺でさえ、アラガミ化してなければとっくにデスワープだったろう。

 

 それはともかく、クサレイヅチを見て、俺も半ばヤケになって斬りかかった。ミラバルカンに殺られてたまるか、千歳を奪い返して、クサレイヅチを殺すのは俺だ…ってね。

 既に俺も、意識と記憶が飛ぶほどボロボロになってたから、ロクに動けていなかった。執念に突き動かされてイヅチに斬りかかり、攻撃してきた触手を1本飛ばした事は覚えている。あいつも相当ダメージ負ってたみたいで、触手の動きが引きつりまくっていた上に、火傷だらけだった。

 お互いそんな状態だったから、まぁ泥仕合? 泥なんか速攻で乾燥して蒸発するくらいの炎の中だったけどね。

 

 それでも何とか千歳が収納されている場所を見切って、懐に滑り込んで、「この一撃で確実に殺れる!」って所まで追い込んだんだわ。

 

 

 

 

 

 

 で、そこでふと気が付いた。

 

 

 

 この状況で千歳を救出できたとして、生きてられるのか?

 

 

 

 答えは考えるまでもなくNO。例えミラバルカンがあの瞬間に去ったとしても、焼き尽くされた地球は戻らず、降り注ぐメテオも消えはしない。

 そう気付いて、動きが止まった瞬間、イヅチ諸共に竜巻に吸い上げられ、空から降ってくる炎でデスワープしてしまった。直前に、クサレイヅチの姿が青い燐光と共に消えたから、奴は逃げ去ったようだった。

 

 

 

 

 うーむ…。あのミラバルカンが何だったとか、関係者諸共丸ごと吹き飛ばされた怒りとか色々あるけど、デスワープして何もかもがリセットされてしまった以上、それは後回しでもいいだろう…良くも悪くも。

 

 とりあえず考えなければならないのは、千歳を救出した後の事だ。今回のように、人がとても生きていける状況ではなかったとしたら、助け出しても意味がない。

 クサレイヅチを殺るのに、条件が一つ追加された訳だ。

 

 

 

 

 

 

 …というか、クサレイヅチって俺に付き纏ってたり、因果を奪ってたりするんだよな。千歳はその中に居る訳で…。

 

 

 

 

 

 

 ………まさかとは思うが、俺の所業をほぼ全部見ていた、なんて事は……。

 

 

 

 

 …いや、無いよな。意識が無さそうだったもんな。万一知っていて、助けた後にガチで殺されるとしても、千歳救出とクサレイヅチ抹殺は変わらない。うん、そういう事にしよう。

 

 助けた後に生きて居られる環境かどうか…は、正直その時になってみないと何とも言えない。仮にウタカタの里付近での戦いになったのだとすれば、心配は無用だろう。あそこの異界は、比較的緩いし浅い。

 ミラバルカンは……流石に出てこないよな? 出てくるとしても、ゲーム基準サイズでお願いします。今回のGE世界では、ノヴァの体という極上の媒介があったとは言え、それであそこまで巨大化するんだから……うん、そこらの鬼が媒介になったとしても、とんでもないサイズになりそうではある。

 

 ま、対策、考えるだけ考えてみるか…。サイズがサイズだから、手の打ちようが考えつかないかもしれないけど。

 実際、奴のおかげで身内が何人も死んだのは確かだろうからな……お礼参りはいつかする。絶対。

 

 

 




はい、そういう訳でGE世界編終了です。
思い返すだけで、反省点が山ほど出てくる話になってしまいました。

キャラの設定を間違えるのは序の口、回収しきれなかった伏線、一度だけ抱いて全く出番が無かったキャラ、展開が思いつかずに意味のない会話や雑談での時間稼ぎ、そしてグダグダどころか崩壊しまくったストーリー、特にライブツアー近辺。
お付き合いくださった皆様に、申し訳なくなりました。

シナリオプロットって大事ですね…。
二次創作と一次創作の難易度の違いがよく分かります。二次創作は、基本となるストーリーに沿って話を勧めればいいのですが、一次創作はその基本のストーリーを自分から作らないといけないんですよね。
どうやら時守には、後者のスキルが致命的に欠けているようです。

今度の討鬼伝世界で、一応の完結にするつもりでもあるので、もうちょっと計画を練り直します。
一応、以前に討鬼伝世界の初めだけをちょっとだけ執筆したので、1回分くらいの書き溜めはありますが…投稿が暫く止まるかもしれません。
具体的には、一か月ほどゲームとアニメ見放題にかまけつつ、イベントの順序とネタの順番を整理してみようと思う次第です。
エターにだけはしないつもりですので、どうぞ気長にお付き合いをお願いいたします。





尚、最近アニメ見放題で見たのは、異世界食堂、異世界居酒屋、らきすた、日常、ドラゴンボール等。
……拝み屋横丁、確かドラマであったよな…どっかで見られないかな…。
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