※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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GE3を買うべきか…。
ネタは増えそうだけど、一応GE編は終了扱いにしてるし、なんか色々変わってそうだし。
他にもペルソナQ2は、まだ世界樹の迷宮xをコンプしてないから延期で。
ていうかお姫さん強すぎる…。こりゃパーティ構成と育成を一からやり直さんとあかんな…。


第399話

凶星月三十日

 

 

 早朝から既に賑わっている里。うーん、小規模とは言え活気があるのはいいものだ。

 あっちこっちからいい匂いも漂ってくる。…中には『え、これ食べ物? …ヤバくね?』って匂いもあるが。

 

 とりあえず、開会式に参加する為、村の広場に向かう。踏み台が一つ置いてあり、皆がその前に集まってきていた。

 その集まっている人達に、一人のモノノフが何やら配っている。

 

 俺にもくれ。…ありがとう。

 これは……へぇ、本当に文化祭みたいだな。出し物一覧と地図だ。

 

 売り物屋は簡単な出店が作られていて、時間を決めて交代する。

 踊りや何かの発表会であれば、道場を舞台代わりとして順番に発表。…意外と真面目そうな物が多いな。退屈そう、とも言えるが。合間合間に休憩時間が作られており、飛び入りで参加する場合はそこを狙わなくてはいけない。

 

 

「あら、あなたも何か出し物をされるのですか?」

 

 

 ん? ああ、雪華か。出し物って言っても、一発芸みたいなもんだよ。

 …にしても、出し物一覧を見ても、どんな物なのか今一つ分からないな。何かお勧めとか定番ってある?

 

 

「そうですね…定番と言いますか、やはり初日の主役は発表会でしょう。大抵の人は、欲しい物を確保した後、ご飯、お酒、お摘みを買いに走り、発表会を見物しながらそれを食べる、と言うのが大体の流れです」

 

 

 …道場で飯食っていいんかい。まぁ、このクッソ寒い里で、外で宴会するのもきついけどさ…。

 

 

「発表会に興味のない人は、外で集まって…去年は確か腕相撲大会でしたか。その前は釣り、その前は…何か意味もなく穴を掘って埋めてを繰り返していた気がします」

 

 

 何故そんな収容所みたいな事を…。要するに、適当に集まって騒いでる訳ね。

 

 

「そういう事です。個人的に勧めたいのは、やはり風華の甘味です! …が、それ以外にも日枝さんが作る秘伝の梅干しや、神夜さんの舞、白浜さんが育てた鉢植えの花など、悩ましいところです」

 

 

 日枝さん誰ですねん。いや、里の誰かだとは分かるんだけど。

 つーか、出し物一覧を見ると、剣舞とか型の披露の類が無いなぁ。モノノフみたいに武を偏重する人種なんだから、絶対あると思ってたが。

 

 

「翌日に練武戦がありますし、手の内を見せるのを嫌っているのでは?」

 

 

 …そりゃそうか。考えてみれば当たり前だった。神夜の舞は結構ギリギリだと思うが…いや恰好の事じゃなくて、舞ってほら、武に通じるし。

 と言うか恰好もギリギリだった。どんな舞踊なのか知らないが、あの恰好で激しく動いたら男モノノフが全員前屈みになっちゃうじゃないか。

 

 絶対にその辺も狙ってやってる恰好だよなぁ…神夜にどこまで自覚があるのか微妙だが。家の役割の事を考えると、敵には色仕掛けで集中力を削り、味方には際どい恰好で欲望を煽り自分を求めさせる…って考えで作られてるのは間違いないだろう。

 …舞の披露は、その助長かな? 前日に印象付けておいて、視線を誘導しやすくするとか…。まぁ、その辺は考えずに楽しめばいいか。

 

 そういや、雪華はどうするんだ? 一緒に回らないか?

 

 

「ふふ、楽しそうですけど、遠慮しておきます。私は風華の所に行きますから。甘味が尽きるまで動く事はありません」

 

 

 …太る云々はこの際何も言わんけど、歯ぁ磨けよ…。と言うか、朝から昼まで甘味尽くしとは…この女、中々にジャンキーである。

 

 周囲が一際騒めいたので見回すと、広場の踏み台に寒雷の旦那が立っていた。ああ、開会式か。

 しかし、こうやって見てると寒雷の旦那が里長にしか見えんなぁ…。隣に風華が居ると言う事は、牡丹を祭祀堂から連れてきているんだろうが、モノノフにも薄っすらとしか見えてないし。

 

 

 寒雷の旦那の挨拶は、まぁ…短い方だな。クッソ長い校長先生のお話と違い、ダレる前に終わった。三秒スピーチとまでは言わなかったが。

 多分、「さっさと始めろ」って視線が集まってたんだろう。実際、宣言終了と同時に周囲の人が一斉に動き始めたからな。それはもう、ダッシュで。

 

 

「皆目的があるんですよ。さっさと買っておかないと、色々売り切れちゃいますし、時間が過ぎるともう買えなくなりますから」

 

 

 …なんかジトっとした目の明日奈が、いつの間にか隣に居て教えてくれた。

 何で怒ってるのかよく分からんが、明日奈はいいのか?

 

 

「さっき走って行った人達は、お酒か食べ物目当てですから。居酒屋の従業員特典って事で、私は確保してるから大丈夫です」

 

 

 マジか、俺も何か買いに行かないと。酒もないのに空きっ腹なのは御免被る。

 

 

「はい、どうぞ」

 

 

 ……え?

 

 

「お祭りの事を全然知らないから、多分そうなるだろうなーと思って作って来たんです。尤も、雪華さんと一緒に行こうとしてた人には無用だったかもしれませんけど」

 

 

 いやいやいやいや、手作り弁当に勝る飯は無い! ありがとう明日奈様!

 てか、一緒に回ってくれる?

 

 

「ま、案内は必要だろうなーと思ってましたから。ちなみに、神夜は居ませんよ。舞の準備で動けませんから」

 

 

 ? 準備って…神夜の出番は正午からだろ? 今から?

 

 

「今からと言うか、今更です。昨日まで練武戦の為の修練に集中していたおかげで、例年ならとっくに済ませている準備をすっかり忘れちゃったとか」

 

 

 何やってんだか…。手伝わなくていいのか? 楽しみにしてる人(と言うか男)も多いだろうし、間に合わなかったら赤っ恥だろうに。

 

 

「いいんです。充分間に合うそうですから。そもそも、家の秘伝とか色々と詰まっているらしいから、下手に人手があっても足手纏いですよ」

 

 

 そんなもんかね…。ま、俺より付き合いの長い明日奈がそう言うなら、そうなんだろう。

 そんじゃ、取り敢えずは一緒に回って行こうか。そんで、神夜への差し入れも買っておこう。

 

 

「そうですね。じゃあ、まず外せないのは…」

 

 

 

 …お? 何気なく手を繋がれて引っ張られた。うーん、なんか新鮮。腕を組んで歩くとか、「当ててんのよ」されたり、こっそりセクハラ…腕を回して尻を鷲掴みにしたりしながら歩く事はあっても、手をつなぐだけなのは少なかった。

 KENZENなデートをしている気分だ。

 

 ん? いやデートでしょ、普通に考えて。そりゃ自意識過剰と言われるかもしれないが、異性としてそれなり以上に好意を持たれているのは間違いない。

 年に一度のお祭りで、案内の為とは言え一緒に回ろうと誘って来て、雪華と一緒に回ろうとしていたのをジト目で見て、更に差し入れまでしてくれる。

 これで何もないと言うのなら、かなりの魔性の女である。

 

 …まぁ、ガチで惚れられてるんじゃなくて、青春っぽい事したいし、手頃な相手って所だろうけども。

 初めて会った時も、彼氏が欲しいとか青春したいとか言ってたからね。だからって誰でもいい性格じゃないし、嫌なら自分から関わってくる子じゃない。

 総合すると、イイカンジの男の人…ってところかな。

 

 

 

 

 

 明日奈の内心はともかくとして、案内には確かにハズレが無かった。毎年やっているから、色々慣れてるんだろうな。……あの謎の悪臭料理も含めて。

 

 

「いや、あれは料理じゃなくて…薬です。味は匂いでお察しですけど、効果がものすごく高くて、翌日には実力以上に動けるようになるって評判なんですが。練武戦では、結果や評価が一段上がるって言われるくらいに」

 

 

 …ドーピングかな? さもなきゃ、どう考えても罰ゲームの類だ。 

 まぁ、ハンターも猫飯使ってドーピングしてっから、あまり他人の事は言えないが。

 

 

「血管から食すると、更に強い効果が出せると言われているんですが……やったらお陀仏確定ですので、誰もやらないんですよね」

 

 

 何と言うドーピングコンソメスープ。と言うか血管から食するってこの時代でアリなんか…。いや未来でも普通にナシだけど。真っ当な薬品や栄養補給の点滴ならワンチャン。

 ちゅーか、使う人居るの?

 

 

「……むしろ、負けてから使う事の方が多いです」

 

 

 やっぱり罰ゲームじゃないか。

 そういや、練武戦って得点制だったよな。明日奈の持ち点っていくら?

 

 

「あんまり多くないですね。どの試合かにもよりますけど、2回負けたらもう終わりです。最近はモノノフとして戦えるようになってきましたけど、前回とかの成績が振るわなかったし…」

 

 

 普通の戦いなら、一回負けたら即終わりだから、そんなに珍しくはないな。

 普段の戦果が得点に影響するなら、もうちょっと色つけてもよかろうに。

 

 

「まぁ、前代未聞でしたし……と言うか、正直今思うと、普段の戦いはともかくとして、異界への侵入と浄化はあなたにおんぶ抱っこでしたから、これはこれで妥当かなーって思います。そういうあなたの持ち点は?」

 

 

 さぁ? 計算も面倒だし、確認してないな。

 そこらへんは司会役が宣言するだろ。そもそも負ける気もない。呼ばれたら戦うだけさね。

 

 

「脳筋…」

 

 

 否定はせん。ところで、発表って飛び入りでも出来るんだよな。受付とか必要か?

 

 

 

 

 

 

 さて、明日奈に案内されて里をぐるっと見て回り、俺達の手には出店で勝った食べ物や酒が握られている。

 別に俺達が食べる訳じゃない。明日奈の手作り弁当があるからね。

 これは神夜への差し入れだ。今から行けば、神夜の舞の少し前に会う事が出来るだろう。

 

 

「そう言えば、何か出し物するんですよね? 飛び入りで参加するなら、神夜の前に丁度いい時間がありますけど」

 

 

 うーん…まぁ、場を盛り上げておくと思えば…。神夜の舞の後に、つまらん人形劇見せても盛り下がるだけだし。

 悪いけど、差し入れ持って行ってくれるか? 演目を早めに終わらせて、顔見に行くから。

 

 

「仕方ないですねぇ…。準備が終わってれば、控室から出て見物にも来れるでしょうし、いいですよ。その代り、何をするつもりなのか教えてくれません?」

 

 

 …まぁ、いいか。この里には無いタマフリを使った一発芸だよ。

 

 

 

 

 

 

 さて、そういう訳でやってきました道場。

 人が沢山集まってんなぁ。庭に茣蓙を敷いて座る人、塀の上で酒を飲む人、厠の手前で悶える長蛇の列、その他諸々…。

 

 うーん、普段の道場とは全然雰囲気が違うなぁ。武を扱う場所なだけあって、普段は礼儀に厳しい所なのだ。入る前に、足を止めて一礼は最低限。土足なんてしたら、総攻撃を喰らう。食い物を持ち込むのも持っての他。

 

 そんな場所の中央で、今は何故か漫談が行われています。

 あまり関わった事のないモノノフ二人…いや、一人は里にない武器の使い方を教えてくれって言ってたモノノフだった…と、一般人らしき少女。

 3人が道場の外に居る人にも聞こえるくらいの声量で、ド突き漫才を繰り広げている。無論、殴る役は少女一人である。

 

 …おお、いいパンチしてるな。鍛えれば結構イケるんじゃないか?

 あと、淫夢語録がチラホラ聞こえるのは偶然なんだろうか…。

 

 

 ド突き漫才に後ろ髪を惹かれつつ、進行役に参加したいと伝え、明日奈は神夜に会いに行く。

 タイミングが良かったらしく、俺の出番は漫才後の休憩時間。

 俺の演目が終わったら、明日奈が働いている居酒屋の店主による新メニューのお披露目があって、その後に神夜の舞の時間だ。

 

 他に気になる物と言えば…………泥高丸による、改良版鬼纏の発表と………ん、何だコレ?

 毎月恒例、ちゃらっちゃっちゃらっちゃちゃらちゃちゃ~。

 

 

 …いや、マジでこう書いてあるのよ。品目名がちゃらっちry)ちゃ~、なんだ。……毎月恒例ってあるし、これだけで内容が皆に伝わるって事か?

 まぁ、狭い里だし、本当に毎月同じ事をやってるんだったら、皆には伝わるんだろうけど……。異界を超えてくる客人なんて、まず考えてなかっただろうし。

 

 

 

 …おぉ、一際強い打撃音。モノノフ二人が、高橋〇美子的なポーズで塀の外まで吹っ飛んでいく。…普通に殴られたんじゃなくて、タイミングを合わせてジャンプしたな、あれは。

 拍手が巻き起こり、少女が退場していく。…あ、なんかちょっと怒ってる。割と真面目に殴ったのかもしれない。

 

 道場の脇に出ていた演目名が、そそくさと出てきた黒子に取り換えられる。『漫才』から『休憩』。

 

 

「では、ここらで少しばかり休憩時間です。厠は毎年、大変混雑するのでご自宅で済ませるのがお勧めです…と言いたいところなのですが!」

 

 

 黒子がまた演目名を取り換える。『休憩』の上に、即興で書いたらしき『操』が貼り付けられた。…一応言っておくが『あやつる』であって貞操的な意味での『みさお』ではない。

 

 

「はい飛び入り演目の発生です! 厠は暫くお待ちください! 行ってもいいけど、なんと演者は異界浄化を成し遂げた張本人! 一体どんな代物を見せてくれるのか!?」

 

 

 ハードル上げるな! 自分から参加しといてなんだけど、不安なんだよこういうの。よく考えたら、面白いかコレ?

 くそ、一杯ひっかけてくればよかった。

 

 まぁいいや、もう考えても無駄だし。

 

 

 

 えー、どもども、外の里からやってまいりましたワタクシです。

 大した見世物じゃありませんが、ちょっと珍しいタマフリの使い方をお見せします。

 

 これは西の方の里で使われているミタマの使い方なんですが、その名は題目の通り『操』。

 簡単に言えば、式神っぽい物を使うやり方です。

 

 具体的には……ホイ、攻種召喚。

 

 このような浮いてる式神を作り出し、追随させて敵を攻撃させたりするものです。

 さぁさ、そっちにやるから触ってみなせい。

 

 

 攻種召喚だけでなく、衛種召喚も使って、観客達の手元に飛ばす。本来なら半自動で動き、こうやって思った所に飛ばすような事はできないが、それは戦闘中であるのなら、だ。平時で落ち着いている状態なら、この程度の動きをさせるのは難しくない。

 手元に式神がやってきた観客の皆さまは、触ったり引っ張ったり匂いを嗅いでみたり、それぞれ思い思いに見物してから横の人に渡している。……式神達から、逃げたそうな感覚が伝わってくるが…特に感情は無い筈なので、錯覚だよな?

 

 …あ、神夜と明日奈も来たのか。こら神夜、齧ろうとするんじゃありません。

 式神を引っ張り戻し、自分の周りに待機させる。…やっぱり、怖い敵から逃げてきた子犬のように思えてくるな。

 

 では、改めまして…式神達の舞い踊り、拙いながらもお付き合いください。

 

 

 

 式神達を操作して、空中でクルクル。単に動かすだけではなく、時に属性を変化させ、その形態でのアクション…光ったり急加速したり水を出したり、陣を張ったり…を組み合わせる。

 目が集まっている所に、更に五輪権限。一際大きな式神を召喚し、その周囲を攻種衛種をグルグル回す。

 

 で、その影に隠れてちょっとだけ鬼祓を使って…。

 最後に五輪権現を天属性にして、光の柱を作り出す。それに向かって攻種衛種を突撃させて、効果終了。まるで光の柱に包まれ、天に昇って行った…ように見えるといいなぁ。

 

 

『…はい、これにて終了です。拙い演目でしたが、お付き合いいただきありがとうございます』

 

 

 おぉーっ、と拍手が巻き起こる。良かった、程度はともかく好評ではあったらしい。

 ……これ、もう余計な事しない方がいいかな…。でももうやっちゃったし。

 

 

 

 司会の人が感謝の口上を述べてくれているその時に。

 

 

 

  ドカン!

 

 

 

「な…なんだぁ!? 爆発した! 爆発したぞ!? まさかの爆発落ちを持ってきた! 夢落ちと並んで最低です! と言うか、無事なんでしょうね!?」

 

 

 …大混乱してしまったようだ。

 

 

「…あの、出て行った方がいいのでは? このまま死亡認定されても困るでしょうし」

 

 

 そりゃそうだが、ちょっと気まずすぎるっつーか…神夜、代わりに行ってくれない?

 

 …一体何があったのかと言うと、ちょっとだけ鬼祓を使った事で、ニギタマフリの形代召喚を使ったのだ。

 鬼を浄化する事で発動し、身代わりとなる繰鬼を呼び出す奴だ。

 ちょっとでも攻撃されると、ドカンと爆発して鬼にダメージを与える術。

 これと入れ替わって、マジシャンみたく突然の爆発で消えたように見せかけたんだが………上手く行きすぎちゃったかな…。

 

 どうしたもんかと悩んでいたら、見物していた泥高丸が俺の無事を保証してくれたので、何とか場が治まった。繰鬼と入れ替わった所を見られてたか。こりゃ失敗。ま、助かったからよしとしよう。

 

 

 

 何とか落ち着き、次の演目は居酒屋新メニューのご披露だったが…なんか気まずかったので、入り損ねた。

 ふん、明日奈の手作り弁当があるからいいもんね。

 

 それより、神夜の顔を見ておこう。

 はい、ちょっくら忍び込んで…。

 

 

 おっす、神夜。明日奈も居るのか。

 

 

「あ、来てくださったんですね! それはそれとして、さっきはびっくりしました」

 

 

 あははは、爆発オチはいかんかったかと反省してます。

 おうおう、おめかししてるねぇ。団子食べる姿も絵になるわぁ。

 

 

「お褒め頂き光栄です♪」

 

「衣装を汚さないようにしなさいよ? 何とか準備が間に合ったのに、別の衣装で…なんて事になったら救えないわ」

 

 

 神夜の衣装は、意外にも露出度は低かった。…普段が高すぎて、アレを超えるようなら通報案件だけども。

 色とりどりの鮮やかな着物で、間違いなく一級品の代物だと一目で理解できる。派手なだけでなく、落ち着きと清楚さを兼ね備え…何で矛盾しねーんだろうなぁ。同じ日本人だからそう感じるだけなのかもしれないが。ワビサビに加えてイキもあって、混合できるもんなんだねぇ。

 

 それを纏う神夜本人も負けてはいない。いつもは頭上で結っている長髪を下し、簪等も付けている。

 顔もよく見れば化粧をしており、唇がいつも以上に色鮮やか。

 

 うーん、女だねぇ。化けたってのも失礼な言い方かもしれないが。

 

 

「いえいえ、褒め言葉は素直に嬉しいです。戦装束と舞踊の装束で、印象が違うのは当然ですし。…月に一度くらいしか着ませんしね」

 

 

 そうかぁ。見た目は綺麗だし、これで舞い踊れば眼福だろうけど、流石に日常でする恰好でもないわな。

 折角の珍しい姿なんだし、堪能させてもらうよ。舞台は…飯食いながら見ると思うけど。

 

 

「明日奈さんの手作りお弁当ですね。私も食べたかったです…。でも、食べられないかもしれませんよ」

 

 

 ん、どういう事だ?

 

 

「大抵の方は、ご飯よりも私を見てますから。お酒は飲みますけど」

 

 

 …これはまた、大胆な発言。団子より花に惹きつけようってか。いいね、そういう子は大好きだ。

 楽しみにしてるよ。

 

 

「…そろそろ時間ね。神夜、私も見てるから、頑張ってね」

 

「はい♪」

 

 

 

 

 

 

 

 そして数分後、神夜の言っていた事が事実だったと、よーく理解させられた。

 見事なもんだなぁ。多分、神夜の家にに伝わっている舞なんだろうけど、実に優美。着物の色彩まで計算に入れた、美事な魅せ方だ。エロ的な意味じゃなくて、純粋に美しい。ふつくしい。

 飯食うのも忘れて見入ってたよ。

 

 

「今まで戦働きができなかったから、あの舞台があの子の一番の晴れ舞台でしたからね。気合も入るってものです」

 

 

 …そういう明日奈も見入ってたのに、なんだか不機嫌だな?

 手作り弁当よりも、神夜を見るのに集中しちゃったからか?

 

 

「そこは別に…。全く無いとは言いませんけど、そうなるだろうなとは思ってましたし、ご飯はゆっくり味わって食べるものですから、見惚れながら食べられても…。それより、気付いてました?」

 

 

 ん?

 

 

「今までなら、向きを変えて場所を変えて、なるべく沢山の方向を向くようにしてたんですけど…今日のあの子、ずっとあなたを正面にして舞ってたんですよ。一番綺麗に見える場所です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いつもの服に着替えてきた神夜に感想を伝えて……陳腐な言い方しかできないのが残念だ……3人並んで、次の出し物を見る。中々バラエティに富んでいる事。

 明日奈も許してくれたので、作ってきてくれた弁当は3人で食べた。

 美味い美味い。

 いい嫁さんになるね、これは。

 

 3人で食べた為にちょっと量が少なくなってしまったが、ご飯は一緒に食べた方が美味しいからね。

 

 

「はい、明日奈さんの煮物は絶品です!」

 

「神夜だって、生姜焼きが上手じゃない。時々作ってもらってるんです」

 

 

 仲がいいなぁ、相変わらず…。

 

 その後も出し物は続き、気になっていた泥高丸の鬼纏改良版とやら。

 こいつはちょいと問題だった。改良版とやらの性能は確かに凄い。パワーとスピードはこれまで通りだが、長時間の発動を可能とした。

 だが、現状ではそれを行えるのは泥高丸一人。俺でも多分無理だろう。

 改良版と言うよりは、試作版に近いのではないだろうか? 改良版は広める為に作ったのではなく、ただ自分の戦力を底上げする事だけを考えて試行錯誤された代物のようだ。

 それでも大幅な戦力アップに繋がるのは確かなので、会場を沸かせるに足る発表ではあったが。

 

 

 

 

 

 そして、最後、気になっていた、演目『毎月恒例、ちゃらっちゃっちゃらっちゃちゃらちゃちゃ~』がやってきた。

 道場の中にも沢山いた観客が、何故か外に移動してくる。観客全員で、道場を見る形になった。

 

 準備が整ったのを確認したのか、司会の人が出てきて宣言した。

 

 

「はい、今月もやってまいりました! 締めを務めるいつもの二人です! 馬鹿ですねぇ本当に! では、皆さま手拍子の準備はよろしいですか!? よろしいですね!? では開幕!」

 

「「ちゃらっちゃっちゃらっちゃちゃらちゃちゃ~」」

 

 

 奥から二人が、妙なテーマソング?を歌いながら飛び出してくる。

 それに合わせて、会場の皆が手を叩き始めた。

 

 ってオイオイオイオイオイオイオイオイ、この懐かしいテーマソングは……!

 

 会場に立つのは……………全身タイツっぽいけど、忍び装束だな。青で染め上げている。とても忍ぼうとはしていないようだが、とりあえずパッと見て個人が分からないようにはなっている。顔も完全に覆われているし、体型も分からない。

 このテーマソング、この二人組、これは間違いなく…。

 

 

 二人は道場の真ん中で、ちゃっちゃちゃっちゃと口遊みながら、何やら小道具を手にして。

 

 

 

「 花 」

 

「 はなみず 」

 

 

 …やっぱり、〇ちゃんの仮装大賞の色コンビだよコレ!

 何故この世界になんて言わない、ただただ不思議な懐かしさが溢れ出す。

 気が付けば俺も、皆と一緒になって手拍子をしていた。

 

 

 

 

 ……てか、あれって片方は多分、雪華なんだけど…。意外な一面だった。

 

 




討鬼伝世界登場人物表兼コメント

Q.発表会の見所は?

討鬼伝モノノフからの登場人物
・牡丹……里長をやっているミタマの女の子。
    A…皆の活気付いた笑顔。

・寒雷…元モノノフ、現在は万事屋の店主。体格のいい、豪快なオッサン。
    A…商売と宣伝の好機!

・雪華…シノノメの里に所属する神垣の巫女。
    A…甘味食べ放題!…と、仮装の出し物です。誰なんでしょうねー(棒

・練…勝気で姉御肌、褐色美女の鍛冶師。
    A…麗亜さんが作ったぬか漬け。

・風華…祭祀堂の巫女。
    A…華天がはしゃいでいつも行方不明になるので、それどころではない。

他作品からの登場人物
・明日奈…ソードアートオンラインより。
    A…今回は彼氏ではないとは言え、男連れ!

・神夜…無限のフロンティアより。
    A…我が家に伝わる舞をご堪能ください。

オリキャラ(と言うよりネタバレ防止の為、バレバレだとしても引用元を黙秘するキャラ)
・白浜屋の店主…落ちこぼれのモノノフ。
    A…練武戦に向けて、ちょっとでも出来る事を…。

・泥高丸…でいこうがん。
    A…無論、我が鬼纏の発表だ。
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