だがオデッセイもまだプレイ中。
それはそれとして……灰域ってまんま異界だな。
灰嵐に至っちゃオオマガトキっぽいし。
うーん、クロスさせる取っ掛かりは見えたけど、まだ真相が明らかになってないし、暫く討鬼伝モノノフの話が進むし、まだ考えなくてもいいか。
いっそ夢という形で、本編終了後のワンシーンとして…?
魔禍月弐日目
さて、よくも悪くも練武戦が終わり、今日は片付けの日だ。
周囲からの視線がどうなるか、今から憂鬱だった。
「弟子にしてください!」
………これは予想外だったよ。朝が来て、扉をあけた第一声がコレだ。
いや、家の外に誰かいるなぁとは思ってたんだけど……まさか朝っぱらから土下座する白浜君を見る事になるとは。
あ、ごめん、これ返すの忘れてた。
「あ、どうも…。いえそうじゃなくて! その、朝から申し訳ないとは思うんですけど、弟子に…」
待て待て、何でそうなった。
普通に教官に訓練つけてもらえばいいじゃない。
「教官からは、もう出来る限りの事はしていると言われています。素質の無さが絶望的だと、何度言われた事か」
素質は教える人間じゃ変わらんぞ。俺は遠からず、里から出て去るつもりの人間だ。
途中で教わる人間が変わっても、ロクな事にならない。
ついでに言えば、俺が強いからって、人を育てるのに向いてる訳でもない。
「それでも、僕はもう貴方に賭けるしかないんです。今まで何をやっても、強くなれませんでした。努力が足りてなかったと言われれば反論の余地はありません。だけど、今までと同じ事をやっていたら、僕はきっと変われない。僕は…僕は、強くなりたいんです!」
…何だかなぁ。
弟子云々はともかくとして、ちょっとした方針とか助言くらいならする。それでいいか?
「はい! ありがとうございます!」
…とりあえず、どういう方向で鍛えるか考えてみるから、今日は普段通りにしてくれ。どっちにしろ、片付けの日だしな。
そう伝えると、白浜君は走り去っていった。
…ひょっとして、白浜君の刀を使ってそのまま優勝まで行ったのか、妙な琴線に触れたんだろうか…。別に、無念を晴らすとかじゃなくて、丁度いいところに使っても文句を言われそうにない武器があっただけなんだけど。
まぁ、白浜君の事は後で考えよう。面倒事は増えたが、悪い方向に変わらなかった…味方してくれそうな人が居た事を幸運と思おう。
さてと、昨日は大暴れできたとしても、今日は別の話。毎月の練武戦に慣れている里の人達と違って、俺は何処に何を片付ければいいのか、どれを捨てればいいのかも分からない。
ぶっちゃけ、指示貰わないと何もできません。
さて、いつもの二人を探してみますか。俺に何か指示を出すのも、気心を知れてる二人の方がやりやすいだろう。
…態度が変わるなら、それはそれで早い所ハッキリさせておきたいし。
そう思って、二人を探し、風華と華天に話を聞けた。…この一人と一匹も、あまり態度が変わらないな。懸念だったかなぁ? まぁ、風華は元々あまり俺に興味を持ってなかったし…。
とりあえず、明日奈と神夜は道場に居るらしい。
朝っぱらから稽古でもしてたのか…と思ったが。
「あの…明日奈さんが、怒って…走って行って……神夜さんが、追いかけていったんですけど…」
…明日奈が、怒って? …何でまた…。
「さぁ…。凄い顔で…走ってるのを見ただけなので…」
そうなのか…。
うん、わかったありがとう。とりあえず行ってみるわ。
華天、また一緒に異界の探索行くか?
「キュッ」
あ、そ…。そんじゃ失礼。
さて、道場か…今日は特に何もないと聞いてるけども。怒るような事、怒られるような人が誰か居たんだろうか?
と言うか、明日奈が怒るって割と珍しいな。まだ一月程度の付き合いだけど、叱ったり、個人的に嫌っているらしい泥高丸に顔を歪める事はあっても、目に見えて怒ったのは見た事が無い。
さて、一体何があるのやら…。
道場をそっと覗いてみると、何やら剣呑な雰囲気。怒っていると言われていた明日奈は…怒鳴り散らしたりはしないものの、あからさまに不機嫌な雰囲気をばら蒔いて、寒雷の旦那と睨み合っている。一緒に居る神夜はと言うと…意外な事に、それを止めようとはしていない。どちらかと言うと、明日奈の不機嫌さに同調しているようにすら見える。
…これ入って行かなきゃいかんのかな…。やっぱり俺関係なんだろうか…?
色々と不安な事もあるが…。おーい、どうした?
「あ! 丁度いいところに…聞いてください、こんなの絶対おかしいですよ!」
「そうですそうです。幾ら何でも理不尽です」
「だから、それは理由があっての事だと説明しようとしているだろうが…」
ややウンザリした表情の寒雷の旦那と、憤る二人。
この様子からして、やっぱり俺関係?
「見てください、これ!」
んー?
千鬼長、泥高丸。同じく千鬼長、木棟。百鬼長、亮士………なんだこれ?
「昨日の練武戦の結果です。聞いてませんでしたか、練武戦の成績で、階級が変わるって」
…ああ、そういやそんな事言ってたな。階級を意識した事は少ないから、イマイチ分からんが…。
で、これが何かおかしな事でもあるのか? そもそも俺の階級は…と言うか、これって里人の階級だろ? 俺、関係あるの?
「あるぞ。外への道が確保されたら、里から出るつもりだと言うのは知っているが、それまでは里のモノノフとして働くのには違いない。仮初でも階級と言うか地位を位置付けておかないと、命令系統が乱れるだろう」
それもそうか。元から命令系統なんぞ知った事かとばかりに動いてたけども。
さて、俺の階級はナンボかな?
「ここです! ここ!」
明日奈が指さす先には、確かに俺の名前がある。階級は……十鬼長か。階級は上から、千鬼長、百鬼長、十鬼長、精鋭級となっているから、幹部の中では一番下だね。
…これが何か問題でも?
「問題でも何も、昨日の練武戦でどれだけ勝ったと思ってるんですか。見た事もありませんよ、あんな得点…」
まー延々と戦い続けて全部勝ったし…。泥高丸にも勝ったし。
で、結局それが?
「昨日の試合結果から言えば、どう考えても千鬼長が当たり前なんですよ。むしろ、それでも不足かと思えるくらいです」
ふーん、それで怒ってるのか。褒章が低すぎるって感じで。
「他人事みたいに言ってどうするんですか。受け取るべき結果…優勝商品を、不正に奪われたようなものですよ! それともあれですか、『地位なんてどうでもいいや、俺は雲のように生きるのよ』とか言っちゃう人ですか?」
そーゆー人種なのは確かだが、別にそこまで言わんなぁ。
何だかんだで、何かしようと思ったら地位はあるに越した事はないし、それ以上に身元保証書みたいなもんだからな。
十鬼長なら、丁度いいくらいじゃないか? モノノフの階級ってよく分からんけど…。
「むぅ……やっぱり他人事みたいに…」
そうは言っても、望まない地位や見合わない地位につけられるよりよっぽどいいぞ。
出世ってのは上に行く事じゃなくて、その人の能力を全開で奮える役割に落ち着く事を言うんだよ。
とは言え、行った事に対して対価が少なすぎるって言うなら、その理由は気になるところだが……実際どうなの、寒雷の旦那?
「…まぁ、確かに意図的に十鬼長に留めたのは否定できん。明日奈達の言う通り、戦績と得点で言えば最低でも千鬼長が当たり前だ」
ほう?
「能力と言う意味でも、まぁ問題はない。お前さんの実務能力がどうなのかは分からんが、専門の補佐役をつける事もできる。実際、泥高丸もそういうやり方をしているしな。……お前を十鬼長以上の地位につけられなかった理由は……言い方は悪いが、余所者だからだ」
「寒雷さん!!」
「ちょっと…さっきも言ってたけど、それは納得できないわよ…」
「言葉が悪いが、と言っただろうが! ちゃんとした理由があって、それを集約するとこうなるんだ! さっきからそれを説明しようとしているのに、喚いて聞かなかったのはお前らだろうが」
いつになく寒雷の旦那が声を荒げておる…。
よっぽど苛立ってたんだろうなぁ…。
ほれ、明日奈も神夜も落ち着け落ち着け。…で、細かい理由は? こいつらが大人しい間に説明してくれ。
しかし、明日奈がここまで荒れるのは意外だな。何だかんだで、目上の人間や規則、上意には素直に従う優等生タイプだと思っていたが。
「あぁ…。以前から公言しているが、お前は外への道が開けたら、里から出ていくつもりだろう。異界の浄化を目にする前なら、夢物語、或いは空想と断じる事もできたが、今は違う。いずれ出ていく人間を、高い地位に就けることができると思うか?」
まー無理だわな。辞めます辞めます言ってる奴を、誰が正社員として採用するかって話だ。
「そういう事だ。地位が高い者の言動は、他の人間と比べて良くも悪くも影響力が高い。お前を千鬼長に就ければ、外へ行きたいという気風も高まるかもしれん。それが異界浄化の戦いに良い影響を与える可能性もあるが、逆もある。…この里は、非常に繊細な力関係の上に成り立っている。博打を討つには、危険が過ぎる。……それに、お前の為でもあるんだ。いずれ本当に里の外に出ていくとして、あまりに大きな地位についていては、足枷にしかならんだろう」
「むぅぅぅ………ブツブツ」
仕事を多く抱えた人間やお偉いさんが抜ける時は、引継ぎが大変だからな…。十鬼長と言うのは、その辺の事も考えた結果なんだろう。現場の責任者くらいのレベルかな。
元々報酬とかにも大して期待はしてなかったから、それが多少少なくなってもあまり気にならないし、理由も求めてない。考えだけ確認できればよかった。
俺は納得したが、明日奈はまだ何やら顔を顰めている。
理屈の良し悪しはともかく、与える影響を考えれば矛を修めざるを得ないと理解してると思うが…何故にここまで食い下がるのか。
理由を求めて神夜を見れば、何故か視線を逸らされた。…何故?
理由が分からないなら肩をすくめるとか、止められないと思うなら首を横に振るとか、そういうなら分かるけど、何故に視線を逸らす?
ふむ……ここ最近使ってなかったが……フラウ直伝、久々の内面観察術!
………明日奈は本当に気に入らないから怒っているのが8割。残りの2割は何やら打算が見える。
神夜も似たような状態だが、打算の割合はもう少し低いかな。しかし、根っこでは明日奈の打算に同調しているように思える。
明日奈には何かしら目的があって、神夜も消極的ながらそれに賛同しているんだろう。
その目的が何なのかは、イマイチ見えない。…エロ目的以外で使ったのは久しぶりだから、ちょっと腕が鈍ったかな…。
何にせよ、もう決まった事なんだろ? 里長の牡丹とも話し合った結果だろうし、寒雷の旦那の一存じゃ変えられまい。
もう発表はしたのか?
「いや、これからだ。だってのに、この二人は何処から聞きつけてきたんだか…」
それは置いといても、多少の不安は残るな。
理由はどうあれ信賞必罰が正しく機能してない例を作ると、士気にも影響が出るんじゃないか?
「そこは既に考えてある。俺としても、報酬を減らすだけってのは気が引けたんでな。今日からお前は…いや、お前達3人は、異界浄化を専門に扱う遊撃部隊となってもらう。無論、隊長はお前だ。そして、その援護の為という名目で、各種物資を要求されたら、優先的にそちらに流す事ができる」
成程。
高すぎる地位の代わりに、別の立場を与えようって事か。
異界浄化の専門ともなれば、里の防衛と同じくらいに重要な任務。一朝一夕で成果が出ないのも仕方ないが、上手く行った時の見返りを考えれば、資材による援護をする価値は充分にある…。
ついでに言えば、いつか里を去られた時にも、そこまで大きな影響はない。里から出ていくって事は、異界がある程度浄化されて外との繋がりが出来ているって事だから。
「そういう事だ。ついでに言えば、これでお前達が使っている瘴気無効の装備を押収して、里で運用するべきではないのかって声も抑え込める。こればっかは、遠からず問題が再発してただろうからな。口実が出来て助かったぜ」
あー…まぁ、そりゃなぁ。
まともに考えれば、最大戦力に使わせるか、何人かのモノノフで代わる代わる運用すべきだものな。俺以外だと、現状じゃ異界の浄化は出来そうにないが。
「大体はこういう事だ。意図的に地位を抑えたのには理由があるし、その代償として別の形で報いる準備もある。当の本人もそれで納得している。まだ喚き立てるつもりなら、相応の理由を提示してもらうが?」
「ぐぬぅぅぅぅぅぅ……」
「明日奈さん明日奈さん、落ち着いてください。流石にこれ以上は無理です。何より本人が承諾してしまっているのですから」
事後承諾だけどなー。
しかし、俺の為……なのかは知らんけど、そこまで怒ってくれるのはちょっと嬉しかった。
ありがとうな。
「う……い、いえ、そうお礼を言われると、ちょっと居心地が悪いって言うか……。はい、ごめんなさい…」
「…同じくです…ちょっと暴走し過ぎました…」
礼を言われて、むしろ怯んだような表情で矛を収める明日奈と神夜。
どういう目論見があったのか分からないが、この分ならそうヤバい事ではなさそうだ。
しかし寒雷の旦那、異界浄化専門のお役目と言う事は…今後もこの3人だけで行動すると思った方がいいか?
「そうだな。お前さんの瘴気無効装備がまだあるなら話は別だが…」
無い。(全く無いとは言ってない)
「なら仕方ない。死地に3人だけで送り出すのは気が引けるが、出来る限りの支援は約束する」
あいよ。…とりあえず二人とも、何か欲しいものあるか?
…と、その辺の事は後にして、まずは練武戦の片付けだよな。勝手が分からないから、指示をくれぃ。
魔禍月 参日目
練武戦片付けも終わり、俺達の異界浄化専門という役職も大きな反発なく受け入れられて、普段通りの日常が戻って来た。
日常って言っても、モノノフ達は鬼を相手に斬った張ったし、俺達3人は異界の中に踏み込んでいく日々だが。
3日ほど全く様子を見ていなかった異界だが、やはり荒れに荒れていたようだ。よくぞ、あそこから逃げた鬼が里に向かってこなかったもんである。
実際、過去には何度か鬼が攻めてきて、練武戦がポシャった事もあったらしい。その場合、勝ち抜き戦から鬼の討伐数を競う大会になったそうだが。
さて、そーいう訳でまた探索に戻る訳だが…二人とも、何か意見とか気付いた事とかあるか?
「うーん、私は特に…」
「…………あの、探索の問題ではないのですけど……明日奈さん、何か眠そうですね?」
「え? あ、あぁ…昨日も一昨日も、ちょっと寝苦しかったんで…。別に問題はないわ」
…出発前に昼寝でもしていくか? 行く場所が場所だから、不調のまま突っ込むくらいなら休んだ方がいいぞ。
「大丈夫です、冷たい水で顔を洗えばはっきり目が覚めますから。それより、これからもよろしくお願いしますね、隊長さん♪」
隊長!? …って、ああそういやそうだったっけ。
んじゃ、異界浄化部隊、早速始動と行きますかね!
里の人達が遠巻きに送ってくる、期待しているような恐れているような視線を浴びながら出発。
「それにしても、さっきの白濱さんはどうしたんでしょうか? いきなり『お供します!』って言ってきて驚いたわ。対瘴気装備があったとしても、実力的に連れてはいけないけどさ…」
あー、ちょっとあいつを鍛える事になったんだよ。
弟子にとったなんて大仰なつもりはないけど、努力し続けてるのに報われないってのもスッキリしないし。相当な無茶でも耐えて見せるって言うから。
「それって実質弟子にとったんじゃないですか? 白浜さんが強くなる……こう言ってはなんですけど、想像しにくい事極まりないです」
「ちょっと神夜、それは流石にひどい…いや分かるけども。どう鍛えるつもりなんですか?」
あいつの理想とは違うかもしれんが、基本は狩人として鍛えるつもりだよ。才能が無い奴に 、才能が必要な戦い方を学んでも仕方ない。窮地を徹底的に遠ざけて勝つべくして勝つか、土台から徹底的に叩き上げて簡単な技術を絶対の業にまで昇華させて勝つかの二択だ。
狩人としての訓練の付け方なら、俺も一通り知ってるし、弟子(みたいなもの)を鍛えた事もある。……元気にしてっかなぁ、あのメゼポルタの音響兵器…。正宗もまぁ、弟子っちゃ弟子か? あいつはブータを名乗れるようになっただろうか。
「…狩人って、鬼と戦えるんでしょうか…?」
そりゃまぁ、狩人(ハンター)だし。
話は変わるが、あいつどうしてるんだ、泥高丸。昨日の片付けでは、ついぞ姿を見なかったが。
「寝込んでるって聞きましたけど」
「神夜、寝込んでるんじゃなくて目を覚ましてないの。…どれだけ強力に吹っ飛ばしたんですか。練武戦の最後の一撃、あれ人間に使っていい物じゃないと思うんですけど…」
ちゃんと加減はしてるゾ。そこまで強い威力は出してない筈なんだが……精神的な衝撃の方が大きいのかな。
しかし、負けたのがそこまで衝撃的だったか…? 確かに天狗になってる節はあったが…。
「あー………いえ、それはその…ねぇ、明日奈さん?」
「う、うん…でもどうしようもないし…それはともかく、早く行きましょう! 泥高丸については、こっちから何かするにしても、起きてからでないとどうにもなりません」
ま、確かに。何か隠してる感は気になるが、とりあえず探索と行きますかね。
さて、異界の中をウロチョロしてみた訳だが…これ以上引っ掻き回すのは難しそうだな。
少し間を開けてしまった為か、縄張りの力関係が安定している感じがする。だからこそ、縄張りと縄張りの隙間、鬼達が出張ってくるか否かの境界線を縫って進みやすいんだけど。
明日奈も神夜も段々慣れてきたようで、気配を消しながらの進軍・警戒に淀みが無い。スムーズに奥まで進めそうだ。
…空を飛んでいる鬼が少ないのが気にかかる。……いや、居ないんじゃなくて……なんだろう、空に妙な威圧感があると言うか、下手に飛ぶと危険な気配がすると言うか…感覚にすぎないから、確証はないけども。
ある程度進み、鬼が居ない場所を確認して一休み。と言っても、瘴気の侵蝕が止む訳ではないし、タマフリその他の使用量が回復する訳でもない。単に体を少し休ませるのと、位置の確認だ。
「さて…前に高い所から見たから、大体の今の場所は分かるけど…やっぱり、結界石の彫刻は見つからないわね」
「ですね。彫刻の形が変わって、小さくなっているだけじゃないかと期待していたんですが…」
「ここから先に進むとなると……大きな池……と言うか、これは泥沼かぁ…」
泥沼ねぇ…結構厄介なんだよな。足元が見えづらいし、動きにくいし、虫や魚や寄生虫が居る可能性もある。
多分、沼の地形に特化した鬼も居るね。
確か、上から見た時には、あからさまに怪しい小島が見えたよな。
と言うか、沼自体が結構強い瘴気溜まりになっているようだった。瘴気無効装備があっても、強行軍するのは危険なくらいだ。
現場で見た所、そんなに深い沼じゃない…突発的に空いてる穴とかはともかくとして、見える範囲では深くても胸元くらいか。相当な重量をかけなければ沈んでいく事はないだろう。
しかし、どうやったって動きは鈍る。いや、鈍るどころか、機動力はほぼ死ぬと考えた方がいい。
「…そうなると、私の持ち味は8割方消えますね」
「汚泥に塗れるのも合戦の内とは言え、流石に地の利が不利すぎます…。何かこう、得意の狩人の知恵で淀みなく動ける歩法とか、瘴気無効装備と同じような、自由に動ける装備とかないですか?」
歩法はともかく、装備はあるよ。
「…言っておいてなんですが、あるんですか。驚嘆極まりないです」
あるけど一つだけだ。対瘴気装備の代わりに着ける事になるんで、どっちにしろここに来るまでに死ぬな。ここで付け替えたとしても、この瘴気だとするとまず沼を渡り切る前に死ぬ。
「むぅぅぅ……」
「あの、物凄く早い走り方で、沈む前に沼を突っ切るとか…」
忍者の水面歩行じゃあるまいし、大して距離を稼げんよ。大体、できたとしても俺一人じゃないか。
うーん…………筏でも作った方が確実かなぁ…。まぁいいや。今日は一度下がろう。
活動限界時間も、大分近くなってきたし。
「そうですね。……………?」
「明日奈さん、どうされました?」
「…ううん、多分気のせい。誰か居たような気がしただけ」
それ、大抵は本当に誰かが居るのがお約束じゃないか。
とは言え、こんな所に生きた人間がいる訳もなし、まず間違いなく鬼だよな。…俺の感覚には引っ掛からないが…。
やっぱり早い所撤退するぞ。鬼に見られていたのだとしたら、侵入がバレたって事だ。囲まれる前にさっさと逃げるに限る。
…結果的には、特に何事もなく撤退で来た。鬼が居たとして、本当に見ていただけなのか、それとも…。
討鬼伝世界登場人物表兼コメント
Q.お酒の強さは?
討鬼伝モノノフからの登場人物
・牡丹……里長をやっているミタマの女の子。
A…生きてた時はそこそこだったけど、ミタマになってからは全然酔えない。
・寒雷…元モノノフ、現在は万事屋の店主。体格のいい、豪快なオッサン。
A…実はあまり強くない。酒より茶が好き。
・雪華…シノノメの里に所属する神垣の巫女。
A…お酒を飲もうとすると、皆が顔を蒼白にして止めるのですが…。
・練…勝気で姉御肌、褐色美女の鍛冶師。
A…昔は興味があったけど、事情があって全然飲まないし飲めない。
・風華…祭祀堂の巫女。
A…自覚はないが、ザルを通り越して枠。
他作品からの登場人物
・明日奈…ソードアートオンラインより。
A…飲むよりも飲ませる方が好き。
・神夜…無限のフロンティアより。
A…牛乳を呑めば酔いません!
・白浜君…既にお察しの通り、史上最強の弟子の白濱兼一君です。
A…いやまだ未成年ですから。
オリキャラ(と言うよりネタバレ防止の為、バレバレだとしても引用元を黙秘するキャラ)
・泥高丸…でいこうがん。
A…慣れた酒なら、樽で呑んでも潰れない。