尚、書き溜めの量が割とヤバイ。
コトが一区切りして、神夜の体を休めている。時間的にはまだまだ余裕があるが、体力的にはね…。神夜の積極的さに悦んで、ちょっとハメを外し過ぎた。
改めて布団をベッドの上に敷き直して、柔らかすぎるベッドに身を委ね、他愛も無い冗談を交わしている時間は嫌いじゃない。ピロートークだって楽しみ方の一つ。
なんだけど、お互いの体温と柔らかさで色々その気になってきちゃって、さぁもう一回…。
ドンドンドンドンドン!
…何だぁ? 外はもう結構な吹雪だぞ。
いい所で水を差され、神夜の顔にも珍しく明確な不満と怒りが浮かんでいる。
「…あの叩き方は、慌てた明日奈さんですね。何でしょう、まさか今更『やっぱり許せない』なんて」
ありえない…とは言わないが、ちょっと違う気がするな。
神夜はフラつく体に喝を入れ、扉に向かった。おいおい、足腰に来てるんだから無理するなって。対応は俺がするよ。
と言うか、服着て扉開けろって…。
……あからさまに情事の痕跡を残し、薄布一枚を纏った姿で扉を開けようとする神夜。ひょっとしなくても、明日奈がさっきの想定のような事を言い出した時の為の備え…と言うか、挑発のつもりだろうか?
公認した浮気の現場に殴り込んだら、親友が精液垂らしてお出迎えとか、どんな昼ドラだよ。
「はーい、今開け「ごめん、緊急事態! 雪華来てない!?」……は?」
雪華…? 普通に来てないけど…。祭祀堂で結界張ってる筈じゃ?
「居なくなってるのよ! 侵入者…はよく分からないけど、護衛は全員気絶してたし、かといって誰かが戦った様子もないし! 辛うじて、雪華が外に出て行った痕跡が残ってて!」
…おいおいおい、そりゃマジでヤバイぞ。
この吹雪の中で出歩いて、鍛えてもいない雪華が無事でいられるか。そもそも、理由はどうあれ結界を張る神垣の巫女が姿を消したのなら…里を守る結界は?
他に誰か知らせたか?
「こっちに来る途中、万事屋で寒雷さんにだけは知らせた。すぐにあなたに知らせに走れって」
了解、と言う事は里の警備やら何やらは、あっちで手配するって事だな。俺は雪華の追跡か。明日奈、来れるか?
神夜、風呂沸かしておいてくれ。
「私は大丈夫。逸れないように、命綱をつけていきましょう」
「わ、私も探しに」
…腰、抜けたままだろ。
「あぅ」
何か起こりそうだな、とは思っていたが……体感時間操作、使っておいて正解だった。入れる寸前にこうなってたら、目も当てられん…。
しかし、どうやって探したものか。この吹雪だし、流石に痕跡が残っているか怪しい。
…もどかしいが、まずは現場検証か。気絶していた護衛達を叩き起こせれば、話くらいは聞けるかもしれない。
よし、そうと決まれば急ぐぞ明日奈! 神夜、また後でな!
その辺にあった縄を借りて、明日奈の腕に結ぶ。外に出てみると、思った以上に吹雪いていた。
…これ、里の中だからまだいいものの、平野に出たら方向感覚すら見失うぞ…。
頭の中で地図を思い浮かべ、民家の壁伝いに移動する。
幸い祭祀堂までは大した距離は無くあっさりと到達できたが、かなり寒い。
倒れている女護衛達は、一か所に纏められていた。…明日奈?
「あ、えーと…その、慌ててたから…。纏めればいいってものじゃないけど」
慌ててたなら仕方ない。しかし、そうされても起きなかったって事か…。
体を軽く確かめる(エロい事はしていない)が、外傷は無し。首を一撃されたとかではない。衣服や装備に乱れも無い。
戦闘の後が無いと言うのは明日奈が言っていた通り。
装備からしてもかなりの手練のようだし、全員に気付かれずに気絶させる…正直、俺でもちと厳しい。
揃って顔色が悪くなってる。急激なストレス…例えば恐怖…による気絶? 単なる鬼や強者に対する恐怖なら、彼女達も散々経験してきた筈…。
単なるストレスじゃないな。
雪華が座っていたのは…あそこか。護摩壇の前。茣蓙に僅かな乱れがある。ここから立ち上がって…部屋の中なら、まだ痕跡が残ってるな。鷹の目!
…立ち上がった雪華は…ちょっとフラつきながら、真っ直ぐ外へ向かった。
…真っ直ぐ? 誰にも止められずに? つまり、雪華が立ち上がった時には護衛達はもう気絶していたか、とにかく動けない状態にあった…。明かに異常な状態だけど、雪華はそれに構わなかった。
恐らく、その時点で正気ではない。
「どうです? 何か分かりました?」
あぁ、色々と。さて、肝心の向かった先は…せめて方角くらいは特定したい。そう思って外に目を向けると…。
なんじゃこりゃ。
明日奈、ちょっと鬼の目で外見てみろ。
「は? 鬼の目………ああ、あれね。普段の戦いで滅多に使わないから忘れて…………なにこれ」
明日奈が絶句したのも無理はない。痕跡は消えるどころか、くっきりはっきり残っていた。
強い霊力が、道のように吹雪の中に続いている。
これは…雪華の霊力…か? なんか色々混じってるような気がするが…。
「言ってる暇はないでしょ。今はとにかく追いかけないと。多分、これって吹雪から身を護る為に張り巡らせた結界の跡…。まだ無事でいられる可能性は高くなったわ」
…力技で防寒結界作ってるみたいだから、長持ちはしそうにないな…。生存率はトントンかな。猶更急がんと。
明日奈と二人で飛び出し、痕跡を追いかける。間の悪い事に、吹雪は更に激しさを増した。…吹雪から感じる、嫌な感覚も増している気がした。
痕跡自体は簡単に辿れても、追いかけるのは一筋縄ではいかなかった。周囲が見えなくなる程の吹雪、恐らくは既に里の外まで出ているだろう。かなり居場所を見失ってしまっているが、異界へ入るのにそう距離は無いと思われる。
益々異常だな…。雪華がこんなにスムーズに、雪の中を歩いて行けるとは思えん。何かが干渉している可能性が非常に高い。
まず間違いなく鬼だろうが……不思議と気配がしなかった。まるで、鬼も吹雪を嫌って隠れてしまっているようだ。…それとも、吹雪の為に気配が覆い隠されているだけなのか…。
明日奈、無事か!?
「何とか! でもこれ、本当に危険…早く雪華を連れ戻しましょう」
と言っても、何処まで行ったのやら…。と言うか、これ以上進めば戻る事すら難しくなる。
今は霊気の痕跡を辿って雪華を追いかけているし、見つけたら痕跡を逆に辿れば里の近くまでは戻れる。しかし、これ以上時間をかければその痕跡も消えてしまいかねない。
…それでも進まざるを得ないんだけどな。神垣の巫女に万一の事があったら、いくら異界を浄化したところでどうにもならん。鬼どもが大挙して襲ってきて、拠点を壊滅させられて終わりだ。
しかし、このままだと…。
最悪の想像…この場でデスワープして、明日奈とも神夜とも二度と会えないという想像がよぎった時、明日奈が大きく声を上げた。
雪華発見か!? と思ったが。
「あれ、何か光ってます…しかも複数」
明日奈の姿も見えづらいので、周囲を見回す。…少し先…吹雪が無ければ、それこそ一気に駆け抜けられそうな場所に、オレンジ色の光が明滅している。
恐らく、地面から1メートルちょっと…雪のデコボコで正確な高さが計れない…の辺りを、3つ…いや、分かりにくいが少なくとも4つ以上の光がフラフラと彷徨っている。
「…オニビ…かしら」
動きはそれっぽいが、あいつはあんな色してたっけか…。何匹も集まってるところは見た事が無いし、何よりあの光は…。
「うん、言いたい事は分かるわ。鬼火の明かりは、見ていて不安を煽るような色だけど、あの色はどっちかと言うと…見ていて安心するような………そう、ミタマみたいな色よ」
…そう、か。確かに言われてみればそんな気も…。まともに視認できたミタマなんぞ、のっぺら共程度しか知らんから、イマイチ何とも言えんが。
まぁいいか。警戒しとけ明日奈。見ていて安心しようとすまいと、ありゃ敵だ。
こんな所に、本当にミタマがふらふら飛んでる筈がない。しかも雪華が居なくなった異常事態で、その痕跡を辿って来た先でだぞ。
「……やっぱり? ひょっとしたらミタマが雪華を守ってくれてる……とか、無いか。それなら漂わずに、雪華の体に宿って力を奮った方がいいし」
ああ、無いな。勘違いだったら腹でも斬って詫びるさ。
…ていうか、赤く見えてるからな、鷹の目的に考えて。そういう訳で、早速斬りかかる。
思った通り、敵だったようだ。珍しい色のオニビだが、それだけだ。オニビ・朧とも違う、変わった色。その真ん中でフラフラと歩いていた、雪華も発見。
…このオニビ達の仕業だったんだろうか?貯めこんでいた霊力は普通のオニビより強かったが、それだけだった。
一匹だけならな!
最初は良かったんだよ。漂っていたらオニビ(仮)達を苦も無く斬り伏せ、俺は周囲の警戒、明日奈は倒れ込んだ雪華を何とか叩き起こそうとした。
雪華は酩酊したような表情だったが、目を開けて……そこからが大変だった。
明日奈、周り見ろ!
「え? …………!」
全方位、八方だけでなく上方までもを覆い尽くす、オレンジ色の明滅の群れ。不規則に漂い、一見すると暖かさを連想させていた光は不気味に吹雪を照らし出す。
…蛍の群れにでも囲まれた気分だな。
あれって実は交尾しようぜって呼びかけなんだけど。
「私には、肉と魂を食べさせろって言ってるように見えるけどね…!」
この時、ようやく俺達は、間抜けにも鬼の巣穴に誘い込まれた事を理解した。
が、大人しく食われてやる訳にもいかない。明日奈に雪華の護衛を任せ、後の事は後で考えると決めて、取り出した銃形態の神機(アサルト)で片っ端からオニビ(仮)を叩き落し始めた。
幸い、オニビ(仮)の動きは単純だった。俺よりも明日奈と雪華に狙いを定めて突っ込んでくるだけ。片っ端から弾幕をばら蒔けば、大体叩き落される。
耐久力は非常に低く、弾丸の余波だけでも弾け飛ぶくらいだった。
正直、こいつら実は鬼そのものじゃなくて、幻とか、別の鬼が放った遠距離攻撃の類なんじゃないかと思ったくらいだ。
ふぅ…なんか唐突に別ゲー、具体的にはガンゲーに突っ込まれたような気分だったが、まぁ何とか無事か。
明日奈、雪華は?
「両方、怪我はないわ。…すっごい寒いけど…。ほら、雪華、しっかりして。何があったのかは、帰ってから聞くわよ」
? どうかしたのか?
「…………」
「さっきから雪華の反応が…。鬼の術にかけられていたみたいだし、頭がまだ動いてないのかも」
…様態を見たいところだが、この場で四の五の言ってられんか。よし、雪華を回収できたのは確かだし、とにかく撤退するぞ。
幸い、さっきの騒ぎを経ても、帰り道の痕跡は何とか残ってる。
「了解。私が雪華を背負うから、先導と警戒をお願い」
任された。周囲の吹雪から感じる、嫌な気配は相変わらず治まってない。もう一騒動あると思った方がいいか?
むしろ何もない方が困るか。この吹雪を起こしている鬼が居るとして、そいつを放っておけば一体いつまで吹雪が続くか分かったものじゃない。
とりあえず二人を先導する。雪華は自分の足で歩くのも困難な状態らしく、明日奈に背負われている。意識はあるようだが、何を言っても上の空だ。
…む、さっきのオニビ(仮)がまだ残っているようだ。直接こっちに来るのではなく、遠くをふよふよ漂っているだけだが、明滅がいくらか残っている。
考えてみれば、あいつらが吹雪を起こしたとは考えられないだろうか? 一体一体の力はあまり強くないが、あれだけの量が居たんだし…いや、もしそうなら数を減らした事で、吹雪も幾らか治まる筈。まるで影響が見られないし、やっぱり違うか…。
…って、あ…。
「…やられた…」
呆然とする明日奈の声に、俺も顔を歪める。
単純だが効果的な手を打たれた。奴らは何も俺達を狙う必要なんか無かったんだ。帰り道を分からなくすれば、それだけで俺達の致死率は跳ね上がる。
具体的には、俺達が辿って来た雪華の霊力の痕跡を、掻き消してしまった。恐らく、俺達がオニビ(仮)の群れを相手にしている間に、こっちの小細工をされたんだろう。
「成程、やたら脆かったのは、衝撃を受けたら爆発する鬼だったって事か…」
世界大戦にも突入してないのに、何だってカミカゼ精神を鬼が発揮してんだか…。
しかしどうすっかな、これは。里の近くまで戻ってるのは確かだが、ここから下手に動くと危険だぞ。
「神夜の家まで戻りたいわ…。あの子、下手すると吹雪に構わず飛び出してくるわよ。あの恰好で」
明日奈の今の恰好も、とても吹雪の中に突っ込む恰好じゃないんだぞ。
かまくら…っつーか雪洞を作ってビバークするか? しかし、この吹雪だと上手く出来るかどうか…それに、ハンターの身体能力と知識を使っても、それなりに時間がかかりそうだ。
……アラガミ化…里の一部がエラい事になるのを覚悟すれば、炎でどうにか…。
「……お待ち、を。私が、案内、しま す」
「雪華…。じゃなかった、雪華様? 目が覚めたんですね」
「はい もう 歩け、ます。こちらへ…」
…相変わらず、微妙に目の焦点が合っていない。
おい雪華、本当に大丈夫か? 無茶でも無理でもしなけりゃ無事に帰れない状態とは言え、当てずっぽうや素人判断で行動すればいいってものでもないんだぞ?
「大丈夫
です。 さぁ、 こちら へ」
…あからさまにおかしい…。
「…どう思います?」
まっとうな状態とは思えんが…しかし、神垣の巫女には普通じゃない視界があるのも事実。千里眼の術なんてのも使えるし、それを使っているからあんな風になって……いると、思えなくもない?
「う~~~…。放っておくのは論外として、確かにこのままじゃ帰れないし…」
賭けるしかない、か…。明日奈、雪華から目を離すなよ。
見失う可能性も厄介だが、鬼が何かの仕掛けを施してる可能性だってある。
「分かってる。少しでもおかしいと思ったら…いやもう喋り方の時点でおかしいけど、すぐに気絶させるわ」
明日奈に頷き、先導する雪華を鬼の目、鷹の目で見る。
肉体が雪華本人なのは確実だ。催眠術でもかけれたのなら、一度意識を断ち切れば元に戻るだろうか。
そんな懸念とは裏腹に、雪華は確かに里へ導いてくれた。オニビ(仮)の明かりとは違う、確かな家屋の明かりが見えた時は、本当にホッとした。
後になって思うと、それこそが雪華(仮)の狙いだった訳だけども。
灯りが見えて、神夜の家が見えて、明日奈も雪華も俺も欠ける事無く戻ってこれたのだと、つい気を緩めて。
次の一瞬には、灯りも明日奈も消えていた。周囲にあるのは、猛烈な吹雪と、何故か山道。そして雪華。
「もうしわ けありません おおぐちを たたき ながら そうなんしてし まったようです」
…突っ込むべきだろうか、お決まりの一言を言うべきだろうか。それとも嘘を吐くなと今すぐ殴り倒すべきか。
とにもかくにも、明日奈は無事だろうか? 吹雪のおかげで、気配を探る事すらままらない。
そもそもここが何処か分からない時点で、操られていると思しき雪華を気絶させたところで、何の意味も無い。敵が一人減るかもしれないが、気を失ったままこの吹雪の中に居ては、どうやったってお陀仏だ。ホットドリンクも、ハンターでない雪華の体にどれくらい効くか…。
現在地か、或いは安全な場所か…どちらか一つだけでも…。
「どうくつ をみつ けまし た ひなんし ましょ う」
洞窟ぅ? 随分都合よく見つかるもんだな。
ていうか、この流れで信用されるとでも思ってるんだろうか。洞窟なんて言っても、大方鬼の罠だろう。洞窟に見せかけ、実は鬼の口で奥に進んだらそのまま消化…なんて事だって考えられる。
しかし、それならそれで好都合。雪華を操る鬼がそこに居るのであれば、叩き斬っておくに越した事はない。
「こ ちら です」
…と思ったのだが。
うん、これはちょっと鬼の罠とは考え辛い。だって、案内されたのは天然の結界石でできた洞窟だったんだから。以前のループで、虚海が触鬼の触媒を隠していたような、天然の洞窟。珍しさで言えば、鍾乳洞みたいなものだ。
俺の僅かな術さえ増幅して、鬼の瘴気を祓う結界を展開している。…偽物じゃないな。
結界石は鬼の瘴気を浄化し、その侵入を防ぐ。例えば鬼が人の体の中に潜り込んで隠れたとしても、それを掻い潜る事はできない。
雪華は平然と洞窟に…結界石のど真ん中に足を踏み入れていた。
と言う事は、やはり雪華本人で、少なくとも鬼が宿っているのではない。
「かぜを しのぐ けっかいで す。さむさまではふせげ ません ので ひを おこしてくだ さい」
…結界の腕も確かなもの。術式も神垣の巫女特有の感触がする。
益々もって分からない。一体、雪華はどういう状態にあるんだ?
正気でないのは間違いないが、その原因が掴めない。ここで暴れ出されても困るので、とりあえずは従うが…。
適当な道具と、その辺から拾ってきた木切れで火を起こす。湿気ているモノもあったが、まぁそこはやり方だ。
洞窟の入り口と、奥を注意しつつ腰を下ろすと、雪華も座り込んだ。
俺のすぐ隣に。
…あの、ここは普通、火を囲んで対面に座るものでは?
「さむさを しのぐ ためです が なにか」
アッハイ。まぁ、確かにくっついてた方が暖かくはある。
…地面についていた俺の手の上に、そっと雪華の手が乗せられる。…こう、あまずっぱい雰囲気と言うか、寄り添うような、もどかしい雰囲気を演出する為にされる奴だ。
だが率直に言わせてもらうと、そんな雰囲気は微塵も感じなかったりする。
雪華の様子が明らかにおかしいのもあるが、そもそも雪華とそーいう雰囲気になるような実績って、何にも無いもの。ラブコメ漫画で、前振りも無しに現れたヒロインが他のヒロインを抜き去って一話でゴール一歩手前になっても、『は?』としか思わんだろ。エロ漫画ならともかく。
と言うか、何よりもだ。
今の雪華に、そんなラブコメっぽい言動は無理だ。確かに元から美人でクールビューティに見えるのに、蓋を開ければ甘味ジャンキーの割とフレンドリーな子だったが、今は表情が全く違う。
このプレッシャーは憶えがある。
これは狙いを定めた猟犬、狼の目だ。或いは蝉ドンしてきた時の明日奈と同じ表情だ。