今まで全く手を付けてないジャンルなので楽しみです。
ゴッドイーターも強襲ミッションを延々繰り返すだけで飽きてきたところ。
大変なのは分かるけど、アップデートはよ。
しかし、転生とらぶるがこっちに来られたかぁ…。
溜めてから気が向いた時に読みに行ってましたが。
…あの話数をこっちに移すという作業だけでも、苦行の域に達している気がします。
10分で一話と言いつつ、向こうも更新しながら2,000話…パネェ…。
今後はほぼ毎日、お気に入り更新リストのトップに君臨し続けるだろうなぁ。
北斗が如くイチゴ味、やってくれねぇかなぁ…。
これは狙いを定めた猟犬、狼の目だ。或いは蝉ドンしてきた時の明日奈と同じ表情だ。
別にそれがどうこうって訳じゃないし、明日奈の時は平然と反撃してからお持ち帰りしたが…流石に今回はそうも言ってられん。明日奈は自分の意思だが、雪華は違う。
ふむ…………内面観察術、発動!
………うむ、雪華(仮)の狙いは分かった。俺の体だ。
食料的な意味でも、憑依的な意味でもなく、性的な意味で。
と言うより、何かややこしい事になってるぞ、コレ。
一言で言えば雪華は取り憑かれている。ただし、鬼の術にかかったのではない。恐らくこれは、純粋な人の残留思念と言うか、幽霊と言うか…。まぁ、それが雪華に取り憑くまでに、鬼の介入があった可能性は大いにあるけども。
面倒くさいのは、ただ取り憑かれているだけではなく、雪華が半ばそれを受け入れている点だ。何でそんな事になってるのかはよく分からんが、取り憑いている残留思念に対してひどく同調し、そして気を許す…心を開いているようにも見える。
それこそ唆された、取り憑いた霊に甘言を吹き込まれたと言われればそれまでだが…。
…ん? いや待てよ、そうだとすると…例え唆されたのだとしても、雪華は自分の意思でこうしている、つまりはそういう欲求を持っていたって事か? その対象が俺? 雪華的にもオッケーである事には変わりない?
…いやいや、欲望に流されるな、俺。心配しているであろう明日奈や神夜の事を考えてみろ。優先すべきは戻る事、最低でも無事を伝える事。
下手すると、あの二人は吹雪にも構わず俺達を探して飛び出しかねない。
「しずか ですね」
ん? あ、あぁ…静かと言えば静かだな…。吹雪の音が凄い事になってるけど。…いや、さっきに比べると若干弱くなったか…?
雪華は、チラチラと横目で俺の様子を伺いながら、ジリジリと距離を詰めようとしている。俺からのアクションを期待しているようでもあった。
しかし、それを無視して色気の無い話を振る。
雪華、一対何があったんだ? 祭祀堂に護衛と一緒に居た筈なのに、吹雪の中を平然と突っ切って…。護衛達は外傷もなく倒れてたけど、あいつらもかなりの使い手だった。全く気付かれずに、しかも殺さず無力化できるような奴が居たのか?
…さて、どう対応する? 誤魔化すか、無視して自分の望み通りの展開を作ろうとするか…。
突然振られた話題に鼻白んだようだったが、それでも雪華は答えた。雪華に取り憑いている奴も、疑問に思うのも無理はない、と思ったのかもしれない。
「それが わたしに も よくわからない のです。たしかに さいしどうで きとうして いました。ですが きがつけば みなが たおれふし わたしはそとへむかいました」
倒れている護衛を見て、疑問も心配も沸かなかったのか。
完全に惑わされてるな…。或いは、それこそが望みだったのか。
「どういうことですか?」
自分で考えてみな。今すぐに。
どうして外に飛び出したのか。護衛の事を気遣わなかったのか。どうしてここに居るのか。何のために来たのか。
…惑わされているにせよ、取り憑いている奴に同調して暴走したにせよ、今の雪華は思考停止状態で、取り憑いている奴の考えをそのまま受け入れている。だから疑問を持たない。
なら、疑問を持たせ、考えさせて、取り憑いている奴との差異を作ってやるといい。それだけでも、雪華は正気に戻り始めるだろう。現に、言葉の応酬をするだけでも様子が変わってきている。少しだが、口調が滑らかになってきた。
しかし、裏を返せば大した力や強制力無しに、ここまで操ってるって事か…。神夜の家の手前からここまで瞬間移動させた手際を考えると、かなりの力を持ってそうなんだがな…。どうにもチグハグだ。
話を続ける内に、雪華の表情が変わる。変化が大きくなってきた。
後悔。酩酊。不安。渇望。怒り。涙。
二人分の表情が次々に現れる。雪華と、取り憑いてる奴の表情だ。さて、次に口を開くのは…?
「お前も…」
お前、か。…取り憑いてる奴らしいな。
「お前も、私を拒絶するのか…!」
「氷華姉さま、いけません…」
氷華? 確か、先代の神垣の巫女で、雪華の姉だったか。
それが取り憑いている? …本物だろうか。
確かに、雪華は『ひょっとしたら、ミタマとして残った姉に会えるかも』みたいな期待を持ってたから、本当に現れたらつい気を許してしまうかもしれない。判断能力が落ちた状態であれば、猶更。
「お前も」「お前も」「私を「私達を「私達は「皆、いけませ「何故「私達だけが叶わな「私達にも権利はある「寂し「せめて一度「私にそ&‘*&「?~})*$
おうおう、湧き出る湧き出る集まってくる。半ば以上予想してていたが、やっぱりオニビ(仮)か。
結界石の洞窟に鬼は入ってこれない筈なのに、外から入り込むし雪華の中から湧き出て来るし、どうなってんだか。
まぁ見当はつくけど…。この前のウシヲキナのように、誰かの言葉を操っているのではない。このオニビ(仮)達は、明かに自分で自分の言葉を吐き出している。
つー事は…こいつら、鬼じゃなくて人間の霊だ。
憑依が解けたのか、ガックリと倒れ込んだ雪華を抱え上げる。さて、どうしたもんかな。相変わらず、外は吹雪。少しは収まったかと思ってたのに、さっきまで以上に激しくなってきた。
このまま飛び出すのは自殺行為。この狭い洞窟の中で、雪華を抱えながら、突っ込んでくるオニビ(仮)達の対処をせにゃならんのか。
…ま、フロンティアのG級依頼に比べりゃ楽なもんだが、こいつらを始末したとして、その後にどうするのか見えないのが痛いな…。
「う……み、みんな、いけません…氷華姉さま…」
雪華、起きたか。状況説明、できるか? こいつら敵認定してもいいよな。
「いえ、いいえ! いけません! そのような事をすれば、彼女達は益々怨嗟を募らせるばかりです!」
そうは言っても、こんだけ暴れ狂ってちゃな。お前を連れ出して里を危機に陥れた時点で、もう後には引けんだろ。
大体、このままだと俺はともかく雪華が死ぬぞ。
「大丈夫です、彼女達を鎮め、全てを丸く収める方法はあります。……その、ご協力いただきたいのですけど…」
まぁ協力するくらい構わんが。後でちゃんと説明しろよ、色々と。
で、俺は何をどう協力すればいい?
「まず…私の言うとおりにしてくださいますと、恐らく彼女達はもう一度私に取り憑こうと近寄ってきます。それを妨害せずにいてほしいのです」
わざと取り憑かせるのか。大丈夫なんだろうな? さっきまでも同じ状態だったようだが、また乗っ取られたり同調して暴走するんじゃないか?
「大丈夫の筈です。そこで暴走するのは、彼女達にとっても目的の為にならないので。むしろ説得するのに好都合です」
筈、で好都合、か…。まぁ気合や根性で耐えようとするんじゃなく、勝算があっての事なら賭けてみますか。
それで、次は?
「その………私を、抱きしめてください」
…接吻も付けた方がいいかな?
「(真っ赤)…………はい。時間をかけて」
何だかよく分からん要求だが、さっきまでと違って雪華は正気のようだし、これはオニビ(仮)達を鎮める為の行為であって、心配しているであろう明日奈や神夜を放置しての浮気ではない。…よね?
少なくとも、雪華が要求を口にして、周囲のオニビ(仮)達には動揺が走っているようにも感じられた。何というか…興味津々で見ている、と言うのが一番近い表現だろうか。
やっぱりこいつら、元は人間だろ…。少なくとも鬼が騙してる訳じゃなさそうだ。
武器を収め、雪華の正面に立つ。雪華がゴクリと喉を鳴らしたのが聞こえた。…オニビ(仮)の視線も強くなる。
両肩を掴んでゆっくり抱き寄せ、腕の中に誘い込む。抵抗は全く感じなかった。
厚手の衣に遮られ、吹雪に長時間晒されたのに、雪華の体は暖かかった。何だか爽やかな香りがする。その中に仄かに紛れる生々しい匂い。
衣に香を焚き籠めているらしい。結界を張る為の儀式の一環だろうか。
抱きしめられた雪華は、頬を俺の胸板に付け、ゆっくりと、しかし躊躇いなく俺の体に腕を回して抱き返す。
腕の中から上目遣いで見上げる雪華と、至近距離で見つめ合う。
改めて見ると、整った容姿だ。まつ毛長い。切れ長の目。これで感情豊かなのだから、バランスが取れているのかいないのか。
気が付けば、片手で雪華の頬を撫でていた。スベスベとした、箱入りのお嬢様である事が容易に察せられる手触り。男が触れた事など、無いのではないだろうか。
視界の端で、オニビ(仮)が狂乱して突っ込んでくるのが見える。雪華が予測していた通りだ。
反射的に迎撃しそうになったが、気合で…と言うか、雪華に集中して意図的に無視する事で抑え込む。
本当にそのままでいいのかギリギリまで迷ったが、雪華に従って正解だったようだ。オニビ(仮)は雪華の中に入り込んだ。しかし、雪華自信に苦しんだ様子はない。
その一体を皮切りに、我も我もと言わんばかりに、オニビ(仮)は雪華の体目掛けて飛び掛かってくる。抱き合っている俺の事など、見向きもしない。
結局、最後の一匹が入り込むまで雪華の頬を愛で、侵入される雪華も何ら抵抗や拒絶を示す事は無かった。
…これでいいのかな? と思っていると頬を撫でていた手の上に、雪華の手が重ねられる。
拒絶や満足を現す意思表示ではない。雪華の目は、まだ真っ直ぐ俺を見つめていて……ゆっくり閉じられた。
OK、何が何だか分からないけど、続行ね。頬で重なる手はそのままに、俺も目を閉じて徐々に顔を近付ける。
軽く唇が触れ合う感触。
離れる事はせず、逆に舌を使うような事もせず、角度も変えず。お互いの顔の温度が感じられる距離で、ドラマのキスシーンみたいに、唇の感触だけを味わった。
…多分、一分に満たないくらい。
雪華の顔から離れ、一言。
呼吸は止めずに、鼻で息をしなさい。
「っ………はぃ」
顔が赤くなっているのは、酸欠の為なのか恥ずかしさの為なのか。
とりあえず、もう大丈夫…なのか?
「とりあえずは……ですが、その…抱きしめたまま…は流石にお話ししにくいので、密着している必要があります」
まぁ、それくらいなら別に…。とにかく状況と理由を話してほしい。
あのオニビ(仮)は何だ? 姉の氷華の名前を呼んでたが。
「ええ、どこから話したものか……とりあえず、明日奈さん達に式神で連絡を送ります。まだ吹雪は止みませんが、今なら皆が協力してくれるので、確実に届ける事ができそうです」
皆、って…もう何が何だか分からんな。
消えかけていた焚火をもう一度燃やし、そこに腰かけて話を聞く。理由はこれから説明してもらうが、密着している程いい…らしいので、胡坐をかいた俺の足の上に、雪華が腰かける形になった。寄りかかってくる背中を支え、腕を回して背後から抱きしめる。
…真面目な話をする体勢じゃないが、こうでもしてないとまたオニビ(仮)達が暴れ出すのだそうな。
で、結局どういう事なん?
「どこから話したものでしょうか…。まず、あなたがオニビ(仮)と呼んでいた方々は、鬼ではありません。歴代の神垣の巫女の……霊と言うか残留思念と言うか、そういうものです。見知った方も何人か居ました…氷華姉さまも」
えらく数が多かったが?
「シノノメの里の巫女は、他の里に輪をかけて短命と言われていますし…恐らく、他所の里の神垣の巫女もいるのでしょう。あれだけの数が集まり、またシノノメの里にやってきた経緯はよく分かりませんが…恐らく、そこは鬼に唆されたのではないでしょうか。彼女達は吹雪を起こし、里を閉じ込めました」
この吹雪、そいつらの仕業か!? 道理で何やら嫌な気配を感じると…。
と言うか、神垣の巫女ってそんな事まで出来るのか。
「吹雪はともかく、雨乞いの術なら…。それを集団で使い、この寒さに合わせた結果、吹雪になったのではないでしょうか。彼女達は鬼ではないので結界に弾かれず、神垣の巫女である為に結界を擦り抜ける方法も熟知していたのです」
ふむ…確かに、神垣の巫女の結界について、当の神垣の巫女以上に詳しい奴はそうそう居ないか。続けて?
「祭祀堂で結界を張る為の祈祷を続けていたのですが、その時に彼女達が語り掛けてきました。語る、と言っても言葉でではなく…何と言いますか、強い思念を当てられて…同じ想いを持っていた私はそれに同調してしまい、護衛の皆さんは気絶しました」
護衛の外傷が無かったのはその為か。耳元でとんでもない爆音を慣らされて気絶したようなものだな…。後遺症が無ければいいが。
「大丈夫…の筈です。皆さん、未練とかはありますけど、モノノフを恨んでいる訳ではありませんので。…全く無いとも言えませんが。擁護するようですが、皆には里に危害を加えるという考えは無かったのです。何せ霊、残留思念ですから、自分の行動が何を引き起こすのかという事を考えられないのです。考えられるとしたら、自分達の未練を如何にして晴らすのか、それだけでしょう。…彼女達に取り憑かれた私は、祭祀堂から出て…後はご存知の通りです」
生者だったら、即刻首を刎ねるくらいの重罪だもんな…。残留思念にまともな思考を期待する方が間違いか。
オニビ(仮)に襲われていた雪華を俺達が見つけ、神夜の家まで連れ帰ろうとしたと…。と言うか、襲われてたのでなければ、あれは一体何だったんだ?
「私の体に入り込もうとしていたのです。取り憑くと言う意味では襲われていたとも言えますが…。私の体に入り込んで生き返ろうとか、そういう事を考えていたのではありません。体を一時貸してほしい、という事でした。言われた時には、皆さまに完全に同調してしまっていたので、何も考えずに了承する事しかできませんでした」
ふむ…。で、結局何をしようとしているんだ?
何故、俺だけを連れてこんな場所に転位した?
そもそもからして、雪華が同調した想いって一体何だ?
生き返ろうとしているのではないって事は、早逝を悔やんでいるって事ではないようだが…。
「えーと………………その………」
うん?
「…………せ、せめて一度でもいいので………殿方と、素敵な一夜を過ごしたいと…」
は?
「ご存知かもしれませんが神垣の巫女に本来自由はありません。
今のシノノメの里は色々と追い詰められ、人も多くないので私は大手を振って歩けますが、氷華姉さまが神垣の巫女をやっていたオオマガトキの頃は、その前までは結界を張り里を守る為だけに生かされ、自分ひとりで出歩く事すら許されませんでした。
数々の特権を持ってはいますが、それを振るう機会は無いに等しい。
また、異性との接触は最小限に留められ、殿方と何年も話した事がない神垣の巫女も居たそうです。
これらは神垣の巫女の扱いとしては、珍しい事ではありません。
私も霊山でそういう噂を聞いた程度なのですが、意中の殿方ができたが為に心を乱され、結界を張れなくなった巫女が居ました。
それを防ぐ為、神垣の巫女は殿方に懸想しないよう言い含められます。
また、そのような事にならないよう、やはり殿方との接触も制限されるのです。
シノノメの里の巫女は特に早逝が多く、殿方と話した事は数える程しかなかった、という巫女も居ました。
ですが、人は禁じられ、手が届かないものにこそ憧れを抱くもの。
生前、誰かが話すのを聞く事しかできなかった恋。
仲睦まじい夫婦の睦み事、それによって得られる充足感と、話によれば『すごく気持ちがいい』行為。
輪廻の輪に戻る前に、自分も体験してみたいと言うのは、当然の結論でしょう。
ええ、私とてそういう憧れや、自分が置かれている状況への不満は持っていました。
以前、神垣の巫女として身命を使い尽さなければならない事に恐怖を持っていると話した事がありましたが、もう一つの恐怖が正にこれです。
心惹かれる殿方に出会う事もなく、出会ったとしても立場とお役目に囚われて想いを告げる事さえできずに終わるのかと。
私だって、できるのであれば神垣の巫女の立場も力も放り出して、いつか素敵な旦那様と家庭を持って、子を産み、心穏やかに過ごしていきたいと願っているのです。
そして、それは私だけでなく、残留思念となって残った神垣の巫女の皆さまも同じでした。
愛する人に抱きしめられてみたい、もっと殿方と触れ合ってみたかった…そう言った思いに同調したのです。
彼女達は私の体を借りて、殿方と触れ合うつもりだったのです。
私としても、相手にもよりますが嫌ではありませんでしたし、数人が私の中に宿りました。
そこへあなたが助けに来てくださったのです。
皆さま、お怒りでしたけども狂喜乱舞していましたよ。
殿方が自分を助ける為、命を賭けて駆け付ける。
夢にまで見た状況ですとも。
一緒に来てくださった明日奈さんを無視するようで心苦しいですが、皆さん殿方しか目に入っていなかったので、今は置いておきます。
助けに来てくださったあなたと、あわよくば…と考えていたようですが、神夜さんの家に連れて行かれそうになり、それはご破算となります。
他の方が居るのに、殿方との触れ合いなど出来る筈もありませんから…。
慌てて転位の術を使い、あなたと私だけがこの洞窟に連れてこられたのです」
待て待て待て長い長い。
どこを縦読みすればいいんだ。恥ずかしいと言うか気まずい事を一気に言い切って誤魔化そうとしてるのはよく分かるから、ちょっと待て。
…つまり、こうやってくっついてる理由は…。
「…その、これも殿方との触れ合いですので…。先程の抱擁と…接吻もあり、私の中に宿っている皆は、一先ず落ち着いています」
じゃあ逆に、さっき正体を指摘したら暴れ出したのは。
「…正体を看破され、自棄になりかけたのです。氷華姉さまが『お前も私を拒絶するのか』と言っていましたが、あれは先程述べたように、殿方との触れ合いを禁じられていた為です。…生前、気になっている方も居たようなのですが、掟に阻まれて何もできなかったようで…」
拒絶がどうのって問題か…? と言うか率直に言って筋違いだな…。
雪華に言っても仕方ないし、そんな事を考えられる理性も残ってないっぽいが。
…で、ここからどうする? 最低でも吹雪をどうにかしないといけないんだが…。
「私の中の皆さんは、今は落ち着いているとは言え満足しているとは言えません。もしも私があなたから離れれば、また暴れ出すでしょう。……と言うより…ある条件を付けて大人しくしてもらっているんです」
怨霊を鎮める為に条件を付ける、か。
…つまり、この流れでいくと…。
「………その…………先程の接吻の、更に続きと申しますか…私の中に宿ってそれを体験すると…」
…マジ?
………いやするのはいいんだけどさ…。一応聞いておくと、断った場合は?
「吹雪を徹底して続け、私達を返さないつもりのようです。勿論、そうなると里も…」
セックスしないと出られない部屋かよ。
「…あの、やはり…お嫌でしょうか…」
色々と納得できないのは確かだな。
雪華はいいんだよ。掟は俺にとって大して意味はないし、個人的にもかなり好きな女なのは間違いない。一夜のお相手してくれるなら、喜んで飛びつくさ。
明日奈と神夜は、ちょっと怒るかもしれないが、そっちはどうにかする。
ただ、宿ってる連中がな…。仕方ないとは言え、これだけ大騒ぎ起こして、里を危険にさらしておいて、自分が男から愛されたいだけって。
「…仰りたい事は分かります。責は同調してしまった私にもありますし、このような事を言える立場ではありませんが…。………神垣の巫女の皆を、癒してあげてほしいのです。現在の行為は養護できなくても、生前の彼女達は誰かに愛される事なく、身命をその使命に捧げ、使い果たした神垣の巫女です。死して尚、無念と渇愛にに苛まれ続け、狂う程に人の温もりに飢えているのです。彼女達は……いつか私がそうなってもおかしくない姿なのです」
…分かったよ。どうせヤる事は変わりない。
分からんでもないしな…。俺自身の記憶ではないのかもしれないけど、『童貞のまま死にたくない』って叫んだ事もある。ループが始まる前の記憶もそうだし、MH世界で初めて死ぬ時だって、似たような事を考えていた…ような気がする。
「…と言いますか…その、先程申し上げたような条件で大人しくしてもらっているので、否を突き付けるとそれこそ暴れ出すかも…」
告白を断られたら無理心中を迫るメンヘラじゃあるまいし。
まぁいいか…。ところで、明日奈達に送った式神っぽいのの反応は?
「大丈夫です、ちゃんと届きました。明日奈さんも神夜さんも、神夜さんの家で待機しています。騒がせてしまった他の皆にも、無事の知らせは届いています。…流石に全てを説明してはいませんが…」
結構微妙な問題だしな…。ある意味、これまでの神垣の巫女が総出で反乱してきたようなものだし。
ともかく、事情は分かったし受け入れもした。
ここで聞くのもおかしな話だが……雪華、いいんだな?
「…はい。私も、その、興味があると言いますか、渡りに船と言いますか、千載一遇、盲亀の浮木、優曇華の花…」
ああうん、隠す気もない程乗り気なのはよく分かったから落ち着け。
本当に、自分で言うのも何だし、すっごい今更だけど、何で俺がそんなに琴線に触れるのやら…。勿論好都合極まりないのだけど。
とりあえず雪華、こっち向いて。俺の膝の上に腰かけるといい。
「はい…よろしくお願いいたします」
任せとけ。後になってどうなるかは…その時になってから考えるとして、忘れられない一夜にしよう。
…ま、初体験がこんな洞窟で、しかも吹雪のど真ん中なんてのも何だから、一段落したら神夜の家に撤退するんだけども。
童貞処女のまま死んでも未練を残さない者から、彼女達に石を投げなさい。